説明

接続装置及びパケットを送信する方法

【課題】周辺機器の転送方式に応じた適切な通信を実現することのできる技術を提供する。
【解決手段】接続装置は、所定の規格に準拠した複数のデータ転送方式によって通信を行なう周辺機器を接続可能な接続部と、接続部に接続された周辺機器をネットワークを介して利用可能とするために、所定の規格に準拠したデータをネットワークにおける通信に適合したパケットに変換する変換部と、パケットをネットワークに送信する際の設定を、データ転送方式に応じて選択する選択部と、ネットワークとの間でパケットの送受信を行なう通信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺機器を接続する接続装置及びパケットを送信する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介してUSB(Universal Serial Bus)デバイスを共有することが可能なUSBデバイスサーバが注目を集めている。USBデバイスサーバは、いわゆる「USB Over IP(Internet Protocol)」という技術を用いることによって、USB規格に準拠したデータをIPパケットに変換し、ネットワークに接続されたコンピュータとUSBデバイスとの間の通信を可能とする。
【0003】
しかし、従来のUSBデバイスサーバでは、USBデバイスにおける転送方式についてはあまり考慮されていなかった。なお、このような問題は、USBデバイスサーバに限らず、ネットワークを介して周辺機器を利用可能とする接続装置全般に共通する問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−009147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、周辺機器の転送方式に応じた適切な通信を実現することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の形態または適用例を取ることが可能である。
【0007】
[適用例1]
接続装置であって、
所定の規格に準拠した複数のデータ転送方式によって通信を行なう周辺機器を接続可能な接続部と、
前記接続部に接続された前記周辺機器を、ネットワークを介して利用可能とするために、前記所定の規格に準拠したデータを、前記ネットワークにおける通信に適合したパケットに変換する変換部と、
前記パケットを前記ネットワークに送信する際の設定を、前記データ転送方式に応じて選択する選択部と、
前記ネットワークとの間で前記パケットの送受信を行なう通信部と
を備える接続装置。
この構成によれば、パケットをネットワークに送信する際の設定を、周辺機器の転送方式に応じて選択するので、周辺機器の転送方式に応じた適切な通信を実現することができる。
【0008】
[適用例2]
適用例1に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、トランスポート層における通信プロトコルを選択する、
接続装置。
この構成によれば、データ転送方式に応じた適切な通信プロトコルを選択するので、データ転送方式に応じた適切な通信を実現することができる。
【0009】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記パケットの優先度を選択し、
前記通信部は、前記優先度に応じて、前記パケットを送信する、
接続装置。
この構成によれば、データ転送方式に応じた適切な優先制御を実現することができるため、データ転送方式に応じた適切な通信を実現することができる。
【0010】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一項に記載の接続装置であって、
前記通信部は、電波を利用した無線通信を行なうことが可能であり、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信において利用される設定を選択する、
接続装置。
この構成によれば、データ転送方式に応じた適切な無線通信を実現することができる。
【0011】
[適用例5]
適用例4に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信における伝送レートを選択する、
接続装置。
この構成によれば、データ転送方式に応じた適切な伝送レートによって、効率のよい通信を実現することができる。
【0012】
[適用例6]
適用例4または適用例5に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信におけるフレーム・アグリゲーションによって束ねられるデータのサイズを選択する、
接続装置。
この構成によれば、データ転送方式に応じた適切なデータサイズによってフレーム・アグリゲーションが行なわれるため、効率のよい通信を実現することができる。
【0013】
[適用例7]
適用例4ないし適用例6のいずれか一項に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信における再送処理のリトライ回数を選択する、
接続装置。
この構成によれば、データ転送方式に応じた適切なリトライ回数が選択されるので、データ転送方式に応じて、通信の信頼性を確保することができる。
【0014】
[適用例8]
適用例1ないしの適用例7のいずれか一項に記載の接続装置であって、
前記所定の規格は、USB規格であり、
前記周辺機器は、前記USB規格に準拠したUSBデバイスであり、
前記データ転送方式は、前記USB規格に準拠した転送方式である、
接続装置。
この構成によれば、USBデバイスの転送方式に応じた適切な通信を実現することができる。
【0015】
[適用例9]
パケットを送信する方法であって、
所定の規格に準拠した複数のデータ転送方式によって通信を行なう周辺機器を接続する工程と、
前記接続部に接続された前記周辺機器を、ネットワークを介して利用可能とするために、前記所定の規格に準拠したデータを、前記ネットワークにおける通信に適合したパケットに変換する工程と、
前記パケットを前記ネットワークに送信する際の設定を、前記データ転送方式に応じて選択する工程と、
前記ネットワークとの間で前記パケットの送受信を行なう工程と
を備える方法。
この方法によれば、パケットをネットワークに送信する際の設定を、周辺機器の転送方式に応じて選択するので、周辺機器の転送方式に応じた適切な通信を実現することができる。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、周辺機器の接続方法および装置、接続システム、それらの方法または装置の機能を実現するための集積回路、コンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例としてのUSB接続装置とその周辺を示す説明図である。
【図2】USB接続装置の内部構成を示す説明図である。
【図3】USBデバイスがUSBダウンストリームポートに接続された場合におけるUSB接続装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】USBデバイスの転送方式に対応した各種の通信設定を格納するテーブルを示す説明図である。
【図5】第2実施例におけるUSBデバイスの転送方式に対応した各種の通信設定を格納するテーブルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.装置構成:
A2.USBの転送方式:
A3.トランスポート層における通信プロトコル:
A4.優先制御:
A5.マルチレート制御:
A6.フレーム・アグリゲーション:
A7.再送処理:
B.第2実施例:
C.変形例:
【0019】
A.第1実施例:
A1.装置構成:
図1は、本発明の一実施例としてのUSB接続装置100とその周辺を示す説明図である。USB接続装置100は、複数のUSBデバイスを接続可能な装置であり、いわゆる「USBデバイスサーバ」としての機能を有している。USB接続装置100は、電波を用いてアクセスポイント205と通信が可能であり、LAN(Local Area Network)200に接続されている。
【0020】
このUSB接続装置100によれば、ネットワークに接続されたコンピュータが、ネットワークを介して、USB接続装置100のUSBダウンストリームポートに接続されたUSBデバイスと通信を行なうことができる。この図1に示された例では、コンピュータ300,310が、LAN200を介して、USB接続装置100のUSBダウンストリームポート30,32に接続されたUSBデバイス410,420と通信し、データを交換するやり取りを行なうことができる。
【0021】
USB接続装置100は、コンピュータ300,310に対してはIP(Internet Protocol)を利用した通信を行い、USBデバイス410,420に対してはUSB2.0規格に準拠した通信を行なう。すなわち、USB接続装置100は、いわゆる「USB Over IP」の技術を利用することによって、「USBデバイスサーバ」として機能する。なお、USB接続装置100は、AC/DCアダプター110から電源の供給を受けている。
【0022】
図2は、USB接続装置100の内部構成を示す説明図である。USB接続装置100は、無線LAN通信部10と、CPU12と、RAM14と、ROM16と、USBホストコントローラ20と、USBハブコントローラ22と、4つのUSBダウンストリームポート30,32,34,36とを備えている。USBダウンストリームポート30,32,34,36には、USB接続の外付ハードディスクドライブ(HDD)410や、USB接続のプリンタ420などのUSBデバイスが接続される。
【0023】
USBハブコントローラ22は、USBデバイスの接続の検出や、通信速度の検出、通信速度の変換、信号の分配、USBデバイスへの電源供給の管理等を行なう。USBホストコントローラ20は、USBダウンストリームポート30,32,34,36に接続された各種のUSBデバイスを制御する。
【0024】
CPU12は、ROM16に格納されたプログラムをRAM14に展開して実行することにより、USB接続装置100の種々の制御を行なう。具体的には、例えば、CPU12は、USBデバイスから受信したUSB規格に準拠した形式のデータをIPパケットに変換(カプセル化)したり、無線LAN通信部10から受信したIPパケットをUSBデバイスが受信可能なUSB規格に準拠した形式のデータに変換する。また、後述するように、CPU12は、USBデバイスの転送方式をUSBホストコントローラ20から取得するとともに、IPパケットをLAN200に送信する際に利用される設定を、USBデバイスの転送方式に応じて選択する。すなわち、CPU12は、本発明における変換部及び選択部として機能する。
【0025】
無線LAN通信部10は、IEEE802.11に準拠した無線通信を行なうことが可能であり、LAN200に接続されたコンピュータ300,310とアクセスポイント205を介して通信を行なうことができる。具体的には、無線LAN通信部10は、IPパケットをカプセル化してMACフレーム(以下では、「無線フレーム」ともいう。)の生成を行なうとともに、2.4GHz帯又は5GHz帯の電波を利用して、アクセスポイント205との間で無線フレームの送受信を行なう。
【0026】
図3は、USBデバイスがUSBダウンストリームポートに接続された場合におけるUSB接続装置100の処理を示すフローチャートである。ステップS10では、CPU12は、USBダウンストリームポートにUSBデバイスが接続されたことを認識する。ステップS20では、CPU12は、USBホストコントローラ20からUSBデバイスの転送方式を取得する。ステップS30では、CPU12は、テーブルを参照し、USBデバイスの転送方式に応じて、IPパケットをLAN200に送信する際に利用される設定を選択する。テーブルの内容については後述する。ステップS40では、無線LAN通信部10は、選択された設定に従って、IPパケットが格納された無線フレームの送受信を開始する。
【0027】
図4は、USBデバイスの転送方式に対応した各種の通信設定を格納するテーブルを示す説明図である。この図3に示されたテーブルは、ROM16(図2)に格納されている。前述したように、CPU12は、ROM16に格納されたテーブルを参照することにより、USBデバイスの転送方式に応じて、IPパケットを送信する際に利用される設定を選択する。
【0028】
具体的には、CPU12は、USBデバイスの転送方式に応じて、トランスポート層における通信プロトコルや、優先制御における優先度、無線LANによる通信において利用される設定等を選択する。無線LANによる通信において利用される設定には、例えば、マルチレート制御における伝送レートや、フレーム・アグリゲーションにおけるデータサイズ、無線フレームの再送処理におけるリトライ回数等が含まれる。
【0029】
以下では、USBの転送方式、トランスポート層における通信プロトコル、優先制御、マルチレート制御、フレーム・アグリゲーション、再送処理について説明する。
【0030】
A2.USBの転送方式:
USBの転送方式には、コントロール転送、バルク転送、インタラプト転送、アイソクロナス転送の4つの転送方式が含まれる。
【0031】
コントロール転送は、USBデバイスの認識や設定、制御等を行なうための転送方式である。したがって、このコントロール転送は、データ転送の確実性が要求されるが、即時性は要求されない。
【0032】
バルク転送は、まとまった量のデータを非周期的に転送するための転送方式である。バルク転送は、データ転送の確実性が要求されるが、即時性は要求されない通信において利用される。バルク転送は、例えば、USB接続の記憶装置やスキャナ等に利用される。
【0033】
インタラプト転送は、一定間隔でデータを転送するための転送方式である。インタラプト転送は、データ転送の確実性及び即時性が要求される通信において利用される。インタラプト転送は、例えば、USB接続のキーボードやマウス等に利用される。
【0034】
アイソクロナス転送は、連続的なデータを転送するための転送方式である。アイソクロナス転送は、データの再送が行なわれない転送方式であるため、データ転送の確実性よりも即時性が要求される通信において利用される。アイソクロナス転送は、例えば、ビデオやオーディオの入出力等に利用される。
【0035】
A3.トランスポート層における通信プロトコル:
CPU12は、トランスポート層における通信プロトコルとして、TCP(Transmission Control Protocol)又はUDP(User Datagram Protocol)を選択する。
【0036】
TCPは、セッションを確立して1対1の通信を行なうプロトコルであり、欠損パケットの再送等のエラー訂正機能を備えている。したがって、TCPは、確実性の高いプロトコルであり、通信速度よりも確実性が要求される通信において利用される。
【0037】
UDPは、コネクションレスであり、送達確認などを行わないプロトコルである。したがって、UDPは、高速なプロトコルであり、確実性よりも通信速度が要求される通信において利用される。
【0038】
本実施例では、CPU12は、USBデバイスの転送方式に応じて、トランスポート層において利用される通信プロトコルを選択する。具体的には、CPU12は、データ転送の確実性が要求される「コントロール転送」、「バルク転送」及び「インタラプト転送」に対しては、トランスポート層における通信プロトコルとして「TCP」を選択する。一方、確実性よりも通信速度が要求される「アイソクロナス転送」に対しては、CPU12は、トランスポート層における通信プロトコルとして「UDP」を選択する。
【0039】
このようにすれば、「コントロール転送」、「バルク転送」及び「インタラプト転送」に対してはデータ転送の確実性を確保することができ、「アイソクロナス転送」に対しては高速な通信速度を確保することができる。
【0040】
A4.優先制御:
優先制御とは、送信待ちのパケット(又は無線フレーム)に優先順位をつけて、優先度の高いパケット(又は無線フレーム)から優先的に送信する制御である。IEEE802.11eに準拠した優先度には4つのクラスがあり、優先度の高い順に、ボイス(VO:最優先)、ビデオ(VI:優先)、ベストエフォート(BE:標準)、バックグラウンド(BK:低)がある。なお、優先制御は、QoS(Quality of Service)の一種である。
【0041】
本実施例では、CPU12は、USBデバイスの転送方式に応じて、優先制御における優先度を選択する。具体的には、CPU12は、最も即時性が要求される「インタラプト転送」に対しては最も優先度の高い「ボイス」を選択し、「アイソクロナス転送」に対しては2番目に優先度の高い「ビデオ」を選択する。そして、CPU12は、「コントロール転送」及び「バルク転送」に対しては「ベストエフォート」を選択する。
【0042】
このようにすれば、「インタラプト転送」及び「アイソクロナス転送」に係るパケット(無線フレーム)から優先的に送信されるため、「インタラプト転送」及び「アイソクロナス転送」に要求されるデータ転送の即時性を確保することができる。
【0043】
A5.マルチレート制御:
「マルチレート制御」とは、無線フレームを送信する際の伝送レートを、複数の伝送レートから選択する制御である。高い伝送レートが選択されると、通信速度は速いが、伝送距離は短い。一方、低い伝送レートが選択されると、通信速度は遅いが、伝送距離は長い。
【0044】
本実施例では、CPU12は、USBデバイスの転送方式に応じて、マルチレート制御における伝送レートを選択する。具体的には、CPU12は、「コントロール転送」、「バルク転送」及び「インタラプト転送」に対しては、高い伝送レートを意味する「大」を選択する。一方、「アイソクロナス転送」に対しては、CPU12は、中程度の伝送レートを意味する「中」を選択する。なお、実際のテーブルには、伝送レートとして、具体的な値が格納されている。
【0045】
A6.フレーム・アグリゲーション:
「フレーム・アグリゲーション」とは、MACヘッダや、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダ等のオーバーヘッド(付加的領域)を共用して、多数のデータを束ねて送信することをいう。このフレーム・アグリゲーションを利用すれば、データを送信する際のオーバーヘッドを圧縮することができるため、データの転送効率を向上させることができる。
【0046】
フレーム・アグリゲーションの方法としては、例えば、MSDU(MAC Service Data Unit)を複数個まとめ、これに1つの共通のMACヘッダを付与することによって長いMACフレームを生成する方法や、物理層における送信データの単位であるPSDU(PLCP Service Data Unit)を複数個まとめ、これに1つの共通のPLCPプリアンブルを付与することによって長い無線フレームを生成する方法等を用いることができる。
【0047】
本実施例では、CPU12は、USBデバイスの転送方式に応じて、フレーム・アグリゲーションを行なうか否かを決定するとともに、フレーム・アグリゲーションによって束ねられるデータのサイズを選択する。具体的には、CPU12は、「アイソクロナス転送」に対して、フレーム・アグリゲーションを行なうことを決定するとともに、フレーム・アグリゲーションによって束ねられるデータのサイズとして、中程度のサイズを意味する「中」を選択する。このように、フレーム・アグリゲーションを行なえば、「アイソクロナス転送」において、効率のよいデータ転送を実現することができる。
【0048】
なお、「コントロール転送」、「バルク転送」及び「インタラプト転送」では、ホスト側又はデバイス側からのデータの連続送信が行なわれないため、フレーム・アグリゲーションは行なわれない。また、実際のテーブルには、フレーム・アグリゲーションによって束ねられるデータのサイズとして、具体的な値が格納されている。
【0049】
A7.再送処理:
「再送処理」とは、無線フレームが送信先に届けられなかった場合に、再び同一の無線フレームを送信する処理である。再送処理におけるリトライ回数とは、無線フレームの再送信を実行する回数を意味する。
【0050】
本実施例では、CPU12は、USBデバイスの転送方式に応じて、再送処理におけるリトライ回数を選択する。具体的には、CPU12は、データ転送の確実性が要求される「コントロール転送」、「バルク転送」及び「インタラプト転送」に対しては、リトライ回数が多いことを意味する「大」を選択する。一方、確実性よりも通信速度が要求される「アイソクロナス転送」に対しては、CPU12は、中程度のリトライ回数を意味する「中」を選択する。
【0051】
このようにすれば、「コントロール転送」、「バルク転送」及び「インタラプト転送」に対して、データ転送の確実性を確保することができる。なお、実際のテーブルには、リトライ回数として、具体的な値が格納されている。
【0052】
以上のように、第1実施例によれば、USBデバイスの転送方式に応じて、パケットを送信する際の設定を選択するので、データ転送の確実性や即時性等の要求に応じた最適な通信を行なうことができる。
【0053】
B.第2実施例:
図5は、第2実施例におけるUSBデバイスの転送方式に対応した各種の通信設定を格納するテーブルを示す説明図である。図4に示した第1実施例との違いは、USBデバイスの転送方式に「バルクバースト転送」が追加されているという点だけであり、他の構成は第1実施例と同じである。
【0054】
バルクバースト転送は、USB3.0によって追加された転送方式である。バルクバースト転送は、大容量のデータを高速に転送する場合に利用される。
【0055】
第2実施例におけるCPU12は、「バルクバースト転送」に対しては、トランスポート層における通信プロトコルとして「TCP」を選択し、優先制御における優先度として「ベストエフォート」を選択する。また、CPU12は、「バルクバースト転送」に対して、マルチレート制御における伝送レートとして高い伝送レートを意味する「大」を選択する。さらに、CPU12は、「バルクバースト転送」に対して、フレーム・アグリゲーションによって束ねられるデータのサイズとして「大」を選択するとともに、再送処理におけるリトライ回数としてリトライ回数が多いことを意味する「大」を選択する。
【0056】
このようにすれば、「バルクバースト転送」に対して、データ転送の確実性を確保することができるとともに、データ転送の高速化を実現することができる。
【0057】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0058】
変形例1:
上記実施例の図3及び図4に示されたテーブルの内容は、書き換え可能としてもよい。こうすれば、USBデバイスの転送方式に応じた各種の設定を適宜変更することができる。テーブルの書き換えは、例えば、LAN200に接続されたコンピュータ300が行なうこととしてもよい。
【0059】
変形例2:
上記実施例では、USB接続装置100は、無線LAN通信部10を備えていたが、この代わりに、有線LANインターフェースを備えることとしてもよい。この場合、優先制御等のQoSは、有線LANインターフェースにおいて行なわれることとしてもよい。また、USB接続装置100は、無線LAN通信部10に加えて、有線LANインターフェースを備えることとしてもよい。
【0060】
変形例3:
上記実施例では、USBデバイスの通信規格として、USB2.0規格及びUSB3.0規格を挙げて説明したが、本発明は、USB1.0規格や、USB1.1規格等の他のUSB規格に対しても適用することができる。また、本発明は、IEEE1394やeSATA(external Serial ATA)のような他のシリアル通信規格に対しても適用することができる。また、USB接続装置100とコンピュータ300,310との間の通信は、TCP/IP以外の通信プロトコルによって実現されることとしてもよい。TCP/IP以外の通信プロトコルとしては、例えば、AppleTalkや、IPX(Netware)、NetBEUI、DEC等を挙げることができる。
【0061】
変形例4:
上記実施例では、USB接続装置100は、4つのUSBダウンストリームポートを備えているが、USB接続装置100は、3つ以下又は5つ以上のUSBダウンストリームポートを備えることとしてもよい。
【0062】
変形例5:
上記実施例においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…無線LAN通信部
12…CPU
14…RAM
16…ROM
20…USBホストコントローラ
22…USBハブコントローラ
30,32,34,36…USBダウンストリームポート
100…USB接続装置
110…AC/DCアダプター
200…LAN
205…アクセスポイント
300…コンピュータ
310…コンピュータ
410…外付ハードディスクドライブ
420…プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続装置であって、
所定の規格に準拠した複数のデータ転送方式によって通信を行なう周辺機器を接続可能な接続部と、
前記接続部に接続された前記周辺機器を、ネットワークを介して利用可能とするために、前記所定の規格に準拠したデータを、前記ネットワークにおける通信に適合したパケットに変換する変換部と、
前記パケットを前記ネットワークに送信する際の設定を、前記データ転送方式に応じて選択する選択部と、
前記ネットワークとの間で前記パケットの送受信を行なう通信部と、
を備える接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、トランスポート層における通信プロトコルを選択する、
接続装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記パケットの優先度を選択し、
前記通信部は、前記優先度に応じて、前記パケットを送信する、
接続装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の接続装置であって、
前記通信部は、電波を利用した無線通信を行なうことが可能であり、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信において利用される設定を選択する、
接続装置。
【請求項5】
請求項4に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信における伝送レートを選択する、
接続装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信におけるフレーム・アグリゲーションによって束ねられるデータのサイズを選択する、
接続装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の接続装置であって、
前記選択部は、前記データ転送方式に応じて、前記無線通信における再送処理のリトライ回数を選択する、
接続装置。
【請求項8】
請求項1ないしの請求項7のいずれか一項に記載の接続装置であって、
前記所定の規格は、USB規格であり、
前記周辺機器は、前記USB規格に準拠したUSBデバイスであり、
前記データ転送方式は、前記USB規格に準拠した転送方式である、
接続装置。
【請求項9】
パケットを送信する方法であって、
所定の規格に準拠した複数のデータ転送方式によって通信を行なう周辺機器を接続する工程と、
前記接続部に接続された前記周辺機器を、ネットワークを介して利用可能とするために、前記所定の規格に準拠したデータを、前記ネットワークにおける通信に適合したパケットに変換する工程と、
前記パケットを前記ネットワークに送信する際の設定を、前記データ転送方式に応じて選択する工程と、
前記ネットワークとの間で前記パケットの送受信を行なう工程と
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−89012(P2012−89012A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236560(P2010−236560)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】