説明

接続装置

【課題】1部品で2つの基板12を容易に接続できる接続装置11を提供する。
【解決手段】接続装置本体21の本体部24に、2つの基板12の縁部16を挿入配置する。接続装置本体21の係止部25が本体部24に配置された各基板12を係止する。本体部24内の接続端子22が各基板12の接続パターン17に電気的に接触し、接続端子22で2つの基板12を電気的に接続する。接続装置11により、2つの基板12を電気的および機械的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面方向に隣り合う2つの基板を電気的および機械的に接続する接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、面方向に平行に隣り合う2つの基板を電気的および機械的に接続するには、コネクタのプラグを一方の基板の縁部に設置し、コネクタのリセプタクルを他方の基板の縁部に設置し、これらプラグとリセプタクルとを組み合わせることにより2つの基板を電気的および機械的に接続している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらプラグ、リセプタクルは、ケースおよびこのケース内に配置された接続端子を有し、接続端子の脚部がケースから突設されて基板に形成されたスルーホールに差し込まれるとともに基板の裏面側で半田付けされている。
【特許文献1】特開平10−83873号公報(第4頁、図4−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コネクタがプラグとリセプタクルとの2部品となり、各部品毎にケースや接続端子が必要となり、部品点数が増加する問題がある。
【0005】
また、コネクタのプラグおよびリセプタクルは基板に半田付けしなければならないため、配線作業に手間がかかる問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、1部品で2つの基板を容易に接続できる接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の接続装置は、面方向に隣り合う2つの基板の縁部が着脱可能に配置される本体部、およびこの本体部に配置された各基板を係止する係止部を有する接続装置本体と、この接続装置本体に配置され、この接続装置本体の本体部に配置された各基板に対し電気的に接触して本体部に配置された2つの基板を電気的に接続する接続端子とを具備しているものである。
【0008】
請求項2記載の接続装置は、請求項1記載の接続装置において、接続装置本体の本体部の両側に、各基板の縁部が挿入されて各基板を保持する挿入部が設けられ、接続装置本体の係止部は、本体部の挿入部に挿入された各基板を係止して反挿入方向への移動を規制するものである。
【0009】
請求項3記載の接続装置は、請求項2記載の接続装置において、接続装置本体の係止部は、各基板を係止する2つのフック、これら2つのフックを両側に設けた揺動部、この揺動部の中間部を介して揺動可能に本体部に支持する支持部を有しているものである。
【0010】
請求項4記載の接続装置は、請求項2または3記載の接続装置において、接続装置本体の本体部の裏面に、接続端子を両側の各挿入部に臨ませて配置する開口部が形成され、接続端子は、両側の各挿入部内に突出するとともに各挿入部に挿入された各基板との接触で弾性変形して各基板に圧接しかつ電気的に接続される接触部が両側に設けられているものである。
【0011】
請求項5記載の接続装置は、請求項1ないし4いずれか記載の接続装置において、接続装置本体の本体部に配置される各基板の縁部に沿った方向に、複数の接続端子が配列されているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の接続装置によれば、接続装置本体の本体部に面方向に隣り合う2つの基板の縁部を配置することにより、係止部が本体部に配置された各基板を係止し、接続端子が本体部に配置された各基板に対し電気的に接触して本体部に配置された2つの基板を電気的に接続するため、例えば半田付けなどの配線作業をしなくてもよく、1部品で2つの基板を電気的および機械的に容易に接続できる。
【0013】
請求項2記載の接続装置によれば、請求項1記載の接続装置の効果に加えて、接続装置本体の本体部の両側の挿入部に各基板の縁部を挿入することにより、挿入部が各基板を保持するとともに、係止部が本体部の挿入部に挿入された各基板を係止して反挿入方向への移動を規制するため、基板を挿入するだけでワンタッチ装着できる。
【0014】
請求項3記載の接続装置によれば、請求項2記載の接続装置の効果に加えて、係止部が各基板を係止する2つのフックを両側に設けた揺動部を備え、この揺動部の中間部を介して揺動可能に支持するため、本体部の挿入部への基板の挿入を容易にできるとともに、本体部の挿入部からの基板の取外しも容易にでき、作業性を向上できる。
【0015】
請求項4記載の接続装置によれば、請求項2または3記載の接続装置の効果に加えて、接続装置本体の本体部の裏面の開口部を通じて、接続端子を両側の各挿入部に臨ませて配置することができ、また、接続端子の両側の接触部が、両側の各挿入部内に突出していて、各挿入部に挿入された各基板との接触で弾性変形して各基板に圧接するため、基板に対して確実に電気的に接続できる。
【0016】
請求項5記載の接続装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の接続装置の効果に加えて、接続装置本体の本体部に配置される各基板の縁部に沿った方向に複数の接続端子を配列し、2つの基板を複数の接続系統で接続できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図に示すように、接続装置11は、2枚の基板12を、例えば水平方向であって基板12の面方向に平行に隣り合う状態で互いに機械的および電気的に接続するものである。
【0019】
各基板12は、例えば、絶縁基板15に回路パターンが形成されたプリント配線基板で構成されている。接続装置11に接続する基板12の縁部16の一面には、基板12の縁部に対して直交する方向に沿って長く形成される接続部としての接続パターン17が基板12の縁部16に沿った方向に間隔をあけて複数配列されている。これら接続パターン17は回路パターンの一部を構成している。また、基板12の縁部には、複数の接続パターン17の形成領域の両側と中央とにスリット18が基板12の縁部16に対して直交する方向に沿って形成されている。さらに、基板12の縁部16近傍で両側のスリット18より外側には、被係止部としての四角形状の係止孔19が形成されている。
【0020】
また、接続装置11は、接続装置本体21と、この接続装置本体21に組み込まれた複数の接続端子22とを備えている。
【0021】
接続装置本体21は、例えば絶縁性を有する合成樹脂材料で一体に成形されており、両側から各基板12の縁部16が着脱可能に挿入配置される本体部24を有し、この本体部24の各基板12が挿入される両側部に対して交差する両端部に本体部24に配置された各基板12を係止する係止部25が形成されている。
【0022】
本体部24は、薄形の略四角形枠状に形成され、本体部24の両側面に各基板12の縁部16が挿入されるスリット状の挿入口26が形成されているとともに、本体部24の内部両側に挿入口26を通じて各基板12の縁部16が挿入される挿入部27が形成されている。挿入部27に基板12が挿入されることで、基板12の面に直交する方向の位置を位置決め規制する。
【0023】
挿入口26の両端側および中央部に枠部28が形成されており、これら各枠部28に基板12の各スリット18が嵌り込んで、基板12の挿入を可能としているとともに、挿入方向と交差する基板12の縁部16に沿った方向の位置を位置決め規制する。本体部24内の両側の挿入部27間には、各基板12の縁部16が当接して各基板12の挿入位置を位置決め規制するストッパ部29が形成されている。
【0024】
本体部24の両端面における各基板12が挿入される両側位置には、基板12の縁部16が挿入される保持溝30を介して対向する各一対の保持部31が突出形成されている。これら一対の保持部31の間隔は、基板12の面に直交する方向の位置を位置決め規制するように基板12の厚みよりわずかに広く形成されているとともに、基板12の挿入を容易にするために本体部24の側面側が拡開形成されている。
【0025】
本体部24の内部には、本体部24の両側の挿入部27にわたって接続端子22が臨んで配置されるように接続端子収容部32が本体部24の両側方向に長く形成されているとともに、本体部24に挿入配置される各基板12の縁部16に沿った方向であって本体部24の両端方向に複数の接続端子収容部32が配列されて形成されている。接続端子収容部32の中間部には接続端子22を取り付けるボス部33が形成されている。
【0026】
本体部24の裏面には、各接続端子収容部32に各接続端子22を装着可能とする複数の開口部34が形成されている。これら複数の開口部34間には、挿入口26の内縁部と同一面で挿入部27に挿入された基板12の裏面側の面を支える複数の支え部35が形成されている。
【0027】
各係止部25は、各基板12の係止孔19に係脱可能に係止する2つのフック36を両側に形成した揺動部37を有し、この揺動部37の中間部が本体部24の両端面の中央から突設された支持部38によって支持されている。すなわち、揺動部37は、本体部24に挿入配置される基板12の表面に対して間隙をあけて本体部24の表面側に配置されており、支持部38を支点として両側の各フック36が基板12に対して容易に係脱するようにシーソー状に揺動可能に支持されている。フック36は、本体部24に対する基板12の挿入域に突出配置されており、フック36の外面側は基板12が容易に挿入されるように傾斜面に形成され、内面側は基板12の係止孔19に縁部に係合して基板12の反挿入方向への移動を規制するように係止孔19の内縁部と平行な係止面に形成されている。
【0028】
また、各接続端子22は、導電性を有する板ばねによって一体に形成されており、中間部には略U字形に折曲されて本体部24のボス部33に被着した状態に取り付けられる取付部40が形成され、この取付部40の両側から本体部24の両側の接続端子収容部32に収容される端子部41が形成されている。各端子部41は、取付部40から折曲されて本体部24の接続端子収容部32内に配置されるとともに本体部24の挿入口26側に臨む先端側から略U字形に折曲されている。それら各端子部41の略U字形に折曲された先端には、挿入部27内に突出するとともに各挿入部27に挿入された各基板12との接触で弾性変形して各基板12の接続パターン17に圧接しかつ電気的に接続される接触部42が形成されている。
【0029】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0030】
接続装置11によって2枚の基板12を接続するには、各基板12の縁部16の各スリット18を接続装置本体21の本体部24の各枠部28に合わせて、各基板12の縁部16を本体部24の挿入口26に挿入する。これにより、基板12の接続パターン17領域が本体部24の挿入口26から挿入部27内に挿入されるとともに、基板12の接続パターン17領域の外側領域で外側のスリット18の外側縁部が一対の保持部31間の保持溝30に挿入される。
【0031】
基板12の挿入過程で、基板12の縁部16が係止部25のフック36の傾斜面に当接するが、揺動部37が支持部38を支点に揺動するように弾性変形してフック36が容易に逃げるため、基板12の挿入を許容できる。このとき、2枚の基板を同時に本体部に挿入するのではなく、一方ずつ順番に挿入することにより、揺動部37が支持部38を支点に揺動するように弾性変形してフック36が容易に逃げる。
【0032】
基板12の挿入過程で、挿入部27に挿入された基板12が各接続端子22の接触部42に接触し、各接続端子22の接触部42を弾性変形させなから挿入される。
【0033】
基板12の縁部16が本体部24のストッパ部29に当接することで挿入方向の位置が規制され、この基板12の縁部16がストッパ部29に当接する挿入位置まで挿入されることで係止部25のフック36が基板12の係止孔19に係合し、本体部24に対して基板12の反挿入方向への移動を規制する。
【0034】
そして、本体部24に挿入配置された基板12は、基板12の各スリット18が本体部24の各枠部28に嵌り込むことで挿入方向と交差する基板12の縁部16に沿った方向の位置が位置決め規制され、基板12の縁部が本体部24の挿入口26に挿入されること、および基板12が一対の保持部31間に嵌り込むことで基板12の面に直交する方向の位置を位置決め規制する。したがって、接続装置11に挿入配置された各基板12が全ての方向に対して位置決め保持される。
【0035】
この接続装置11に挿入配置された各基板12が全ての方向に対して位置決め保持された状態で、各接続端子22の接触部42が弾性変形した状態で各基板12の各接続パターン17に圧接して電気的に接続される。したがって、2枚の基板12の各接続パターン17が各接続端子22を通じて互いに電気的に接続されている。
【0036】
このように、接続装置11によれば、接続装置本体21に本体部24に面方向に隣り合う2つの基板12の縁部16を配置することにより、係止部25が本体部24に配置された各基板12を係止し、接続端子22が本体部24に配置された各基板12に対し電気的に接触して本体部24に配置された2つの基板12を電気的に接続するため、半田付けなどの配線作業が必要なく、接続装置11の1部品で2つの基板12を電気的および機械的に容易に接続できる。
【0037】
特に、接続装置本体21の本体部24の両側の挿入部27に各基板12の縁部16を挿入することにより、挿入部27で各基板12を保持するとともに、係止部25が本体部24の挿入部27に挿入された各基板12を係止して反挿入方向への移動を規制するため、基板12を挿入するだけでワンタッチ装着できる。
【0038】
また、係止部25が各基板12を係止する2つのフック36を両側に設けた揺動部37を備え、この揺動部37の中間部を介して揺動可能に支持するため、本体部24の挿入部27への基板12の挿入を容易にできるとともに、本体部24の挿入部27からの基板12の取外しも容易にでき、作業性を向上できる。
【0039】
接続装置本体21の本体部24の裏面の開口部34を通じて、接続端子22を両側の各挿入部27に臨ませて配置することができ、また、接続端子22の両側の接触部42が、両側の各挿入部27内に突出していて、各挿入部27に挿入された各基板12との接触で弾性変形して各基板12に圧接するため、基板12に対して確実に電気的に接続できる。
【0040】
なお、基板12を接続装置11に挿入配置したが、基板12の表面方向から接続装置11を被着することにより、接続装置11の係止部25が基板12を貫通して基板12の裏面側に係止し、接続端子22が基板12の接続パターン17に接触するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態を示す接続装置の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】同上接続装置の分解状態の斜視図である。
【図3】同上接続装置の接続状態の斜視図である。
【図4】同上接続装置の斜視図である。
【図5】同上接続装置の底面図である。
【図6】同上接続装置の側面図である。
【図7】同上接続装置の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
11 接続装置
12 基板
16 縁部
21 接続装置本体
22 接続端子
24 本体部
25 係止部
27 挿入部
34 開口部
36 フック
37 揺動部
38 支持部
42 接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面方向に隣り合う2つの基板の縁部が着脱可能に配置される本体部、およびこの本体部に配置された各基板を係止する係止部を有する接続装置本体と、
この接続装置本体に配置され、この接続装置本体の本体部に配置された各基板に対し電気的に接触して本体部に配置された2つの基板を電気的に接続する接続端子と
を具備していることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
接続装置本体の本体部の両側に、各基板の縁部が挿入されて各基板を保持する挿入部が設けられ、
接続装置本体の係止部は、本体部の挿入部に挿入された各基板を係止して反挿入方向への移動を規制する
ことを特徴とする請求項1記載の接続装置。
【請求項3】
接続装置本体の係止部は、各基板を係止する2つのフック、これら2つのフックを両側に設けた揺動部、この揺動部の中間部を介して揺動可能に本体部に支持する支持部を有している
ことを特徴とする請求項2記載の接続装置。
【請求項4】
接続装置本体の本体部の裏面に、接続端子を両側の各挿入部に臨ませて配置する開口部が形成され、
接続端子は、両側の各挿入部内に突出するとともに各挿入部に挿入された各基板との接触で弾性変形して各基板に圧接しかつ電気的に接続される接触部が両側に設けられている
ことを特徴とする請求項2または3記載の接続装置。
【請求項5】
接続装置本体の本体部に配置される各基板の縁部に沿った方向に、複数の接続端子が配列されている
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−287519(P2007−287519A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114683(P2006−114683)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000103194)エムデン無線工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】