説明

接続装置

【課題】電子機器に容易かつ迅速に接続することができる。
【解決手段】ポータブルコンピューター1に第1の金属部6と第2の金属部7とを備え、接続装置10に第1のマグネットと第2のマグネットとを備えることにより、マグネットが発生する引力を利用して接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着することができる。したがって、接続装置10が装着されたポータブルコンピューター1を誤って床等に落下させてしまい、接続装置10に衝撃が印加された場合に、接続装置10はポータブルコンピューター1から容易に離間する。これにより、たとえ接続装置10が破損したとしても、接続装置10がポータブルコンピューター1から離間することでポータブルコンピューター1へ伝わる衝撃を低下できるため、ポータブルコンピューター1の破損を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の実使用性向上のために、周辺機器等の接続時においても、着脱可能な接続手段が開発されている。これらの接続手段により、周辺機器の拡張性を向上し、その使用範囲は広がっている。
【0003】
特許文献1は、ノートパソコンなどの電子機器と周辺機器とをケーブルで接続する構成において、ケーブルの端部に配されているコネクタを、携帯機器側のコネクタにネジで固定する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−217620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1が開示している構成は、ネジによりコネクタを電子機器に接続する構成であるため、電子機器に対するコネクタの着脱に時間がかかってしまう。
【0006】
また、電子機器にコネクタを接続した状態で電子機器を持ち運んでいる際に誤って電子機器を床等に落下させてしまい、コネクタに大きな負荷または衝撃が加わると、コネクタや電子機器が破損してしまう場合があった。コネクタ及び端子の両方が破損してしまうと、電子機器及びコネクタの両方の修理が必要となるめ、修理コストが高くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願が開示する接続装置は、接続端子を備えた電子機器に着脱可能な接続装置であって、前記接続端子に電気的に接続可能な端子と、前記電子機器の所定位置に吸着可能なマグネットとを備え、前記マグネットを前記電子機器の所定位置に吸着したとき、前記端子と前記接続端子とが電気的に接続された状態になる。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示によれば、電子機器に容易かつ迅速に接続することができる。
【0009】
また、本願の接続装置は、電子機器に接続した状態で衝撃が印加されたとしても、電子機器から容易に離間するため、電子機器に衝撃エネルギーが伝わりにくく、電子機器における端子等が破損する可能性を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態にかかる接続装置、ポータブルコンピューターの斜視図
【図2】本実施の形態にかかるポータブルコンピューターの下面側の斜視図
【図3】本実施の形態にかかる接続装置の斜視図
【図4A】接続装置をポータブルコンピューターに接続する前の状態を示す側面図
【図4B】接続装置をポータブルコンピューターに接続した状態を示す側面図
【図4C】接続装置が接続されたポータブルコンピューターを机上に載置した状態を示す側面図
【図5】ポータブルコンピューター及び接続装置の下面側の平面図
【図6】図5におけるZ−Z部の断面図
【図7A】接続装置を上下反転させた姿勢で装着しようとしている状態を示す側面図
【図7B】接続装置を上下反転させた姿勢で装着しようとしている状態を示す側面図
【図8】カバー部材の斜視図
【図9】カバー部材が装着された接続装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
〔1.電子機器の構成〕
以下、本実施の形態にかかる電子機器の一例としてポータブルコンピューターを挙げて説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかるポータブルコンピューター、接続装置、ケーブルの外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態におけるポータブルコンピューターの下面側の斜視図である。なお、本実施の形態では、電子機器の一例としてポータブルコンピューターを挙げたが、少なくとも接続装置を接続可能な機器であればよい。電子機器は、ポータブルコンピューターの他、ノートパソコン、携帯電話端末、携帯型音楽プレーヤーなどであってもよい。
【0013】
ポータブルコンピューター1は、単一筐体内に中央演算処理装置やメモリなどの各種電子部品(不図示)を備えている。ポータブルコンピューター1は、その上面1aにディスプレイパネル2、および操作ボタン3を備えている。ディスプレイパネル2は、ポータブルコンピューター1に内蔵されている各種電子部品で生成された画像を表示することができる。操作ボタン3は、例えばユーザーによるポータブルコンピューター1の電源をオンまたはオフにする操作を受け付けたり、ユーザーによる情報入力を受け付けたりすることができる。
【0014】
ポータブルコンピューター1は、その側面1bに第1の端子部5、第1の金属部6、および第2の金属部7を備えている。第1の端子部5は、複数の電気接点を備えている。第1の端子部5は、ポータブルコンピューター1に接続装置10が装着された際に、接続装置10に備わる第2の端子部15(後述)が電気的に接続される。第1の端子部5と第2の端子部15(後述)とが電気的に接続することにより、ポータブルコンピューター1に内蔵されている各種電子部品で生成された電気信号を接続装置10に送ったり、接続装置10から送られる電気信号をポータブルコンピューター1内の各種電子部品に送ったりすることができる。第1の金属部6及び第2の金属部7は、ポータブルコンピューター1内に配された金属製のグランドプレート(不図示)の一部であって、側面1bに形成された円形の開口部から露出している部分である。第1の金属部6及び第2の金属部7は、ポータプルコンピューター1内の電気的に接地された部分に電気的に接続されている(すなわりグランド電位である)。第1の金属部6及び第2の金属部7は、第1の端子部5の長手方向両端近傍に配されている。
【0015】
接続装置10は、ポータブルコンピューター1の側面1bにおける所定位置に着脱可能である。なお、「所定位置」とは、ポータブルコンピューター1の側面1bにおける第1の端子部5、第1の金属部6、および第2の金属部7の近傍の位置のことであり、ポータブルコンピューター1に備わる第1の端子部5と接続装置10に備わる第2の端子部15(後述)とが電気的に接続可能な状態となる接続装置10の装着位置のことである。接続装置10は、側面10bにLANポート11、第1のUSBポート12、第2のUSBポート13を備えている。LANポート11は、LANケーブル21を着脱可能である。第1のUSBポート12及び第2のUSBポート13は、USBケーブル22を着脱可能である。なお、本実施の形態にかかる接続装置10は、LANポート11、第1のUSBポート12、および第2のUSBポート13を備える構成としたが、備えるポートはこれらに限らず、例えば外部ディスプレイ装置を接続可能なディスプレイポートや、外部電源を接続可能な電源ポートを備えてもよい。
【0016】
図2に示すように、ポータブルコンピューター1は、側面1bと下面1c(上面1aの裏側の面)とが接する辺に第1の凹部4a及び第2の凹部4bが形成されている。寸法W1は、第1の凹部4aと第2の凹部4bとの間隔である。ポータブルコンピューター1は、下面1cに脚部8a及び8bが配されている。
【0017】
〔2.接続装置の構成〕
図3は、接続装置10の側面10a側の斜視図である。なお、側面10aは、側面10bの裏側の面である。図3に示すように、接続装置10は、側面10aに第2の端子部15、第1のマグネット16、および第2のマグネット17を備えている。接続装置10は、側面10aからその法線方向(Z軸方向)に突出するように、第1の支持部18と第2の支持部19とを備えている。
【0018】
第2の端子部15は、複数の電気接点を備えている。第2の端子部15に備わる電気接点は、ポータブルコンピューター1の第1の端子部5に備わる電気接点と同数でかつ同じピン配置である。第2の端子部15は、接続装置10に内蔵されている電気回路基板に電気的に接続されている。第2の端子部15は、接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着することにより、第1の端子部5に電気的に接続される。
【0019】
第1のマグネット16は、接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着した際に、第1の金属部6に吸着することができる。第2のマグネット17は、接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着した際に、第2の金属部7に吸着することができる。すなわち、第1のマグネット16の中心と第2のマグネット17の中心との間隔M11は、第1の金属部6と第2の金属部7との間隔M1(図2参照)と同じである。なお、本実施の形態における「間隔M11は間隔M1と同じ」は、完全に一致している場合に限らず、少なくとも第1のマグネット16が第1の金属板6に吸着し、第2のマグネット17が第2の金属板7に吸着可能であれば間隔M1と間隔M11とは不一致であってもよい。第1のマグネット16及び第2のマグネット17は、第2の端子部15の長手方向(Y軸方向)の両端近傍に配されている。このような配置とすることにより、ポータブルコンピューター1に接続装置10を装着した際に、第1の端子部5に対する第2の端子部15の相対位置のバラツキを抑えることができる。なお、第1のマグネット16と第2のマグネット17の磁力は、少なくとも接続装置10をポータブルコンピューター1の側面1bの所定位置に装着した状態から、接続装置10がポータブルコンピューター1に対して自重による離間が生じない程度とすることが好ましい。また、第1のマグネット16及び第2のマグネット17は、接続装置10内のグランド端子等に電気的に接続されており、電気的にグランド電位である。
【0020】
第1の支持部18は、接続装置10の側面10aの一方の長辺近傍に形成させ、側面10aの法線方向(Z軸方向)に突出するように形成されている。第1の支持部18は、接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着した際に、ポータブルコンピューター1の上面1aに当接可能な位置に配置される。
【0021】
第2の支持部19は、接続装置10の側面10aの他方の長辺近傍に形成され、側面10aの法線方向(Z軸方向)及び側面10aの面方向(X軸方向)に突出するように形成されている。第2の支持部19は、接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着した際に、ポータブルコンピューター1の下面1cに当接可能な位置に配置される。第2の支持部19は、第1の突起部19a、第2の突起部19b、および第3の突起部19cを備えている。第1の突起部19aは、側面10aの面方向(X軸方向)に突出している。第2の突起部19b及び第3の突起部19cは、側面10aの法線方向(Z軸方向)に突出している。第2の突起部19b及び第3の突起部19cは、側面10aの長手方向(Y軸方向)の両端に形成されている。第2の突起部19bは、ポータブルコンピューター1に形成された第1の凹部4a(図2参照)に係合可能である。第3の突起部19cは、ポータブルコンピューター1に形成された第2の凹部4b(図2参照)に係合可能である。
【0022】
〔3.接続装置10の着脱動作〕
図4Aは、ポータブルコンピューター1に接続装置10を装着する前の状態を示す側面図である。図4Bは、ポータブルコンピューター1に接続装置10が装着された状態を示す側面図である。図4Cは、接続装置10にUSBケーブル22が接続された状態を示す側面図である。図4Aは、ポータブルコンピューター1及び接続装置10の寸法関係を明確に図示するために、側面1b及び10aの近傍を拡大した側面図で表した。図5は、接続装置10が装着されたポータブルコンピューター1の下面1c側の平面図である。図6は、図5におけるV−V部の断面図である。
【0023】
ポータブルコンピューター1に接続装置10を装着する際は、まず、図4Aに示すように接続装置10の側面10aをポータブルコンピューター1の側面1bに対向させ、かつ第1の支持部18がポータブルコンピューター1の上面1aを支持可能で第2の支持部19がポータブルコンピューター1の下面1cを支持可能な姿勢にする。
【0024】
次に、接続装置10を矢印Aに示す方向へ移動させ、図4Bに示すように側面10aと側面1bとを当接させる。このとき、第1のマグネット16を第1の金属部6に吸着させ、第2のマグネット17を第2の金属部7に吸着させることで、接続装置10は、ポータブルコンピューター1の側面1bにおける所定位置に位置決めされる。図4Bに示す状態では、接続装置10の第2の端子部15がポータブルコンピューター1の第1の端子部5に接触し、両者が電気的に接続された状態となっている。
【0025】
また、図4Bに示す状態では、第1の支持部18がポータブルコンピューター1の上面1aに当接可能な位置に位置し、第2の支持部19がポータブルコンピューター1の下面1cに当接可能な位置に位置しているため、接続装置10はポータブルコンピューター1に対してX軸方向への位置が規制されている。具体的には、図4Aに示すポータブルコンピューター1の厚さ寸法H1と、接続装置10における第1の支持部18と第2の支持部19との間隙寸法H11とが、
H1≦H11
の関係を有するため、第1の支持部18と第2の支持部19との間の空間にポータブルコンピューター1の一部が入り込む状態となる。したがって、接続装置10は、ポータブルコンピューター1に対してX軸方向への位置が規制される。
【0026】
また、図4Bに示すように接続装置10をポータブルコンピューター1の側面1bの所定位置に装着することで、図5及び図6に示すように第2の突起部19bが第1の凹部4aに係合し、第3の突起部19cが第2の凹部4bに係合する。具体的には、図4Aに示すポータブルコンピューター1の厚さ寸法H1から第1の凹部4aの深さ寸法H3(第2の凹部4bの深さ寸法も同じ寸法)を除いた厚さ寸法H2と、接続装置10における第1の支持部18と第2の突起部19bとの間隙寸法H12(第1の支持部18と第3の突起部19cとの間隙寸法も同じ寸法)とが、
H2≦H12
の関係を有する。また、第1の凹部4aと第2の凹部4bとの間隙寸法W1(図2参照)と、第2の突起部19bと第3の突起部19cとの間隙寸法W11(図3参照)とは、
W1≦W11
の関係を有する。したがって、第2の突起部19bは第1の凹部4aに係合し、第3の突起部19cは第2の凹部4bに係合する。このように、第2の突起部19bは第1の凹部4aに係合し、第3の突起部19cは第2の凹部4bに係合することにより、ポータブルコンピューター1に対する接続装置10のY軸方向の位置決めが可能となる。
【0027】
また、図4Aに示す第1の凹部4aの奥行き寸法D1(第2の凹部4bの奥行き寸法も同じ寸法)と、第2の突起部19bの奥行き寸法D11(第3の突起部19cの奥行き寸法も同じ寸法)とが、
D11≦D1
の関係を有するため、接続装置10がポータブルコンピューター1の所定位置に装着された状態において接続装置10の側面10bとポータブルコンピューター1の側面1bとの間にはほとんど隙間ができず、第1の端子部5と第2の端子部15とが確実に電気的に接続された状態となる。また、第1のマグネット16に第1の金属部6が確実に吸着し、第2のマグネット17に第2の金属部7が確実に吸着するため、ポータブルコンピューター1に対する接続装置10の位置決めが確実になる。
【0028】
なお、上述のH1とH11、H2とH12、W1とW11およびD11とD1のそれぞれの関係式において、理想的には全て等号(=)が好ましいが、全てを等号関係で構成した場合裕度が低くなるため、製造誤差を勘案すると不等号(<)関係とすることが実際的である。
【0029】
図4Cに示すように、接続装置10が装着されたポータブルコンピューター1を机上等に載置することにより、脚部8a及び8bと第1の突起部19aとが机上面50に接する。図4Cに示すように、接続装置10に第1の突起部19aを備えたことにより、接続装置10の側面10bに備わる各ポート(例えば第1のUSBポート12)の位置が机上面50から離れるため、各ポートへのケーブルの着脱を容易に行うことができる。なお、図示のように、第1の突起部19a(第2の突起部19bも同様)を独立的して接続装置10に備える構成でも、第1の突起部19a(第2の突起部19bも同様)における最大突出部から接続装置10の側面10bの方向にかけて傾斜面あるいは延在させる構成であっても、接続装置10は大型化するだけで機能は発揮できる。
【0030】
次に、接続装置10をポータブルコンピューター1から離脱する場合は、図4B(または図4C)に示す状態から、接続装置10を矢印Bに示す方向へ移動させる。このとき、第1のマグネット16が第1の金属部6に吸着せず、第2のマグネット17が第2の金属部7に吸着しない位置まで、接続装置10を移動させる。これにより、図4Aに示すように、接続装置10をポータブルコンピューター1から離間させることができる。
【0031】
図7A及び図7Bは、接続装置10を上下反転させた姿勢でポータブルコンピューター1に装着しようとした際のポータブルコンピューター1及び接続装置10の側面図である。「上下反転させた姿勢」とは、第1の支持部18がポータブルコンピューター1の下面1cの近傍に位置し、第2の支持部19がポータブルコンピューター1の上面1aの近傍に位置する姿勢のことである。本実施の形態では、接続装置10を上下反転させた姿勢でポータブルコンピューター1の所定位置に装着しようとすると、図7Aに示すように第2の突起部19b及び第3の突起部19c(図7Aでは第2の突起部19bのみ図示)が側面1bに乗り上げるか、図7Bに示すように第1の支持部18が側面1bに乗り上げるかのいずれかとすることで、側面1bと側面10bとの間に隙間が生じさせる。この隙間は、第1のマグネット16が第1の金属部6に吸着できず、第2のマグネット17が第2の金属部7に吸着できず、第1の端子部5と第2の端子部15とが電気的に接続できない寸法を有する。これにより本実施の形態では、接続装置10を上下反転させた姿勢でポータブルコンピューター1に装着しようとしても、接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着することができないように構成されている。
【0032】
仮に、接続装置10を上下反転させた姿勢でポータブルコンピューター1に装着でき、第1の端子部5と第2の端子部15とが電気的に接続可能な構成である場合、ポータブルコンピューター1と接続装置10との間で誤った電気信号の伝送が行われてしまう。つまり、第1の端子部5のピン配置と第2の端子部15のピン配置は、接続装置10をポータブルコンピューター1に対して正規の姿勢で装着されたときに、正しい組み合わせで第1の端子部5に含まれる電気接点と第2の端子部15に含まれる電気接点とが電気的に接続されるように予め決められている。したがって、接続装置10を上下反転させた姿勢でポータブルコンピューター1に装着し第1の端子部5と第2の端子部15とが電気的に接続可能な構成とした場合、誤った組み合わせで第1の端子部5に含まれる電気接点と第2の端子部15に含まれる電気接点とが電気的に接続されてしまう。このような構成では、ポータブルコンピューター1、接続装置10、接続装置10に接続される周辺機器において誤動作が生じてしまう可能性がある。
【0033】
そこで本実施の形態では、図4Aに示すように第1の支持部18と第2の突起部19b(第3の突起部19c)との間隙寸法H12と、ポータブルコンピューター1の厚さ寸法H1とは、
H12<H1
の関係を有するため、第1の支持部18と第2の突起部19b及び第3の突起部19cとの間にポータブルコンピューター1の側面1b近傍部分を嵌め込むことができないように構成されている。これにより、接続装置10を上下反転させた姿勢でポータブルコンピューター1に装着しようとした場合、図7Aに示すように第2の突起部19b及び第3の突起部19cが側面1bに乗り上げるか、図7Bに示すように第1の支持部18が側面1bに乗り上げ、側面1bと側面10aとの間に隙間が生じる。この隙間は、第1のマグネット16が第1の金属部6に吸着できない程度の隙間、第2のマグネット17が第2の金属部7に吸着できない程度の隙間、または、単に接続装置10の自重に抗してパーソナルコンピューター1に追従する程度の極めて弱い引力が第1のマグネット16及び第2のマグネット17と第1の金属部6及び第2の金属部7との間に生じる程度の隙間である。このような隙間が生じることにより、接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着することができなくなる。また、側面1bと側面10bとの間に、第1の端子部5と第2の端子部15との間に電気信号の伝送ができない程度の隙間が生じるため、ポータブルコンピューター1や接続装置10の誤動作を防止することができる。
【0034】
また、図4Bに示すように、第1の端子部5をポータブルコンピューター1の中心線C1に対して厚さ方向(X軸方向)に変位させた位置に配置し、第2の端子部15を接続装置10の中心線C2に対して厚さ方向(X軸方向)に変位させた位置に配置することにより、接続装置10を上下反転させた姿勢にしたときに第1の端子部5と第2の端子部15とが対向しなくなるため、電気接点の誤った組み合わせのまま第1の端子部5と第2の端子部15とが電気的に接続されてしまうことを防ぐことができる。
【0035】
また、図4Bに示すように、第1の金属部6(第2の金属部7も同様)をポータブルコンピューター1の中心線C1に対して厚さ方向(X軸方向)に変位させた位置に配置し、第1のマグネット16(第2のマグネット17も同様)を接続装置10の中心線C2に対して厚さ方向(X軸方向)に変位させた位置に配置することにより、接続装置10を上下反転させた姿勢にしたときに第1の金属部6と第1のマグネット16とが対向しなくなる(第2の金属部7と第2のマグネット17も同様)ため、第1のマグネット16及び第2のマグネット17が発生する引力が第1の金属部6及び第2の金属部7に作用しにくくなるため、接続装置10をポータブルコンピューター1に装着できなくなる。したがって、電気接点の誤った組み合わせのまま第1の端子部5と第2の端子部15とが電気的に接続されてしまうことを防ぐことができる。
【0036】
また、ポータブルコンピューター1に、接続装置10に備える第1のマグネット16及び第2のマグネット17が発生する磁界を検出する磁界検出素子を有する構成が好ましい。具体的には、ポータブルコンピューター1に、磁界検出素子と、第1の端子部5に情報信号を伝送するか否かを切り替えるスイッチと、当該磁界検出素子が検出する磁界の強さに応じてスイッチのオン/オフを制御する制御部とを備えることが好ましい。このような構成とすることで、接続装置10が備える第1のマグネット16および第2のマグネット17の近接に応じて、接続装置10とポータブルコンピューター1との間の信号の授受を選択的に制御することができる。具体的には、上記のような構成とすることで、接続装置10がポータブルコンピューター1の所定位置に正しい姿勢で装着されたことと、所定位置に正しくない姿勢(例えば上下反転した姿勢)で装着されたことを検出することができる。制御部は、磁界検出素子が検出する磁界の強さと所定値とを比較し、検出した磁界の強さが所定値よりも大きい場合は「接続装置10がポータブルコンピューター1の所定位置に正しい姿勢で装着された」と判断し、スイッチをオンに切り替える。一方、制御部は、磁界検出素子が検出した磁界の強さが所定値よりも小さい場合は「接続装置10がポータブルコンピューター1の所定位置に正しくない姿勢で装着された」と判断し、スイッチをオフに切り替える。これにより、接続装置10がポータブルコンピューター1の所定位置に正しい姿勢で装着されたときのみ、接続装置10とポータブルコンピューター1との間で信号の授受を行うことができるため、第1の接続部5と第2の接続部15との電気的な誤接続を抑制することができる。なお、磁界検出素子は、第1のマグネット16が磁気吸着する第1の金属部6または第2のマグネット17が磁気吸着する第2の金属部7の少なくとも何れか一方に備えれば良い。
【0037】
図8は、カバー部材30の斜視図である。図9は、カバー部材30が装着された接続装置10の断面図である。本実施の形態の接続装置10は、ポータブルコンピューター1に装着されていない状態では第2の端子部15が露出する。この状態において第2の端子部15に水分や埃などの異物が付着すると、第2の端子部15が腐食して電気信号の伝送が行えなくなる可能性がある。また、本実施の形態の接続装置10は、ポータブルコンピューター1に装着されていない状態では、第2の端子部15、第1のマグネット16、および第2のマグネット17が露出する。この状態において、第1のマグネット16または第2のマグネット17に金属製クリップなどの吸着や、あるいは磁界に対して脆弱な物質などを近接させた場合、その金属製クリップが第2の端子部15に触れた状態となると、第2の端子部15の電気接点同士が電気的にショートして接続装置10が破損してしまう可能性やあるいは例えば磁気記録媒体などを近接させると格納した情報を散逸する可能性がある。
【0038】
そこで、図8に示すようなカバー部材30で、接続装置10の側面10aを覆うことが好ましい。カバー部材30は、本実施の形態では全体がマグネットに吸着可能な金属材料で形成されているが、少なくとも底部30aに形成された第1の突起31及び第2の突起32がマグネットに吸着可能な金属材料で形成されていればよい。底部30aの周囲には、壁部33が形成されている。底部30a及び壁部33は、接続装置10の側面10a、第1の支持部18、および第2の支持部19を覆うことができる大きさを有する。
【0039】
カバー部材30は、第1のマグネット16及び第2のマグネット17が第1の突起31及び第2の突起32を吸着することで、接続装置10の側面10aを覆う状態で接続装置10に装着される。カバー部材30は、接続装置10の側面10aに装着された状態において、底部30aと第2の端子部15との間に空隙を有する。これにより、カバー部材30の全体が金属で形成されている場合、第1のマグネット16及び第2のマグネット17が発生する磁界が外部に漏れる磁気漏洩を抑制できるため、底部30aにより第2の端子部15における電気接点が電気的にショートされてしまうことを防止する、または例えば磁気記録媒体など磁界に対して脆弱な物質を近接させることができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、図8に示したように、接続装置10の第2の支持部19における第2の突起部19bおよび第3の突起部19cを含む外郭を収納できる底部30aの形状としたことによって、カバー部30に対して接続装置10の吸着方向は上下何れでも可能とすることができる構成である。また、本実施の形態ではカバー部30を板金加工で成形しているため、底部30aに第2の突起部19bおよび第3の突起部19cの形状を作成する手間を省略することができる。しかしながら、第2の突起部19bおよび第3の突起部19cの外郭形状を有するように構成することもでき、この構成の場合には、例えば接続装置10における第1の支持部18と第2の支持部19とが、第1のマグネット16および第2のマグネット17に対する距離が大きく異なる場合などでは、カバー部材30に対して接続装置10の装着方向を一義的に決めることができるため好ましい。
【0041】
また、本実施の形態では、図9に示したように、第1のマグネット16および第1の突起31(第2のマグネット17および第2の突起32も同様)に間隙dを介し、カバー部材30を接続装置10に吸着させたが、間隙dは第1のマグネット16が発生する磁界をシールドすることができる距離であれば良く、間隙dが0(すなわち、第1のマグネット16と第1の突起31とが密着する)であっても良い。なお、間隙dは、小さくすればするほど第1のマグネット16と第1の突起31との間に生じる引力が大きくなり、大きくすればするほど第1のマグネット16と第1の突起31との間に生じる引力が小さくなる。したがって、間隙dを任意の大きさにすることにより、接続装置10に対するカバー部材30の吸着の強さを任意の強さにすることができる。
【0042】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、ポータブルコンピューター1に第1の金属部6と第2の金属部7とを備え、接続装置10に第1のマグネット16と第2のマグネット17とを備えることにより、第1のマグネット16と第2のマグネット17が発生する引力を利用して接続装置10をポータブルコンピューター1の所定位置に装着することができる。これにより、ポータブルコンピューター1への接続装置10の着脱を容易かつ迅速に行うことができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、接続装置10が装着されたポータブルコンピューター1を誤って床等に落下させてしまい、接続装置10に衝撃が印加された場合に、接続装置10はポータブルコンピューター1から容易に離間する。これにより、ポータブルコンピューター1へ伝わる衝撃エネルギーを低下できるため、ポータブルコンピューター1の破損を低減することができる。よって、接続装置10のみを修理するだけで済む可能性が高く、修理コストを低減することができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、第1の支持部18及び第1の突起部19aでポータブルコンピューター1に対する接続装置10のX軸方向の位置を規制し、第2の突起部19bを第1の凹部4aに係合させ第3の突起部19cを第2の凹部4bに係合させることでポータブルコンピューター1に対する接続装置10のY軸方向の位置を規制する構成としたことにより、軽い振動等でポータブルコンピューター1に対する接続装置10の位置が変動することを防止することができる。例えば、第1のマグネット16及び第2のマグネット17の磁力を高めることで、ポータブルコンピューター1に対する接続装置10の位置変動を抑えることができるが、第1のマグネット16及び第2のマグネット17の磁力を高めすぎると、ポータブルコンピューター1及び接続装置10内の電気部品に磁気的悪影響を与えたり、接続装置10をポータブルコンピューター1から意図的に離間させる際に強い引っ張り力が必要となる。そこで本実施の形態のように、第1の支持部18及び第2の支持部19によって、ポータブルコンピューター1に対する接続装置10の位置決めを機械的に行うことで、第1のマグネット16及び第2のマグネット17の磁力を大幅に高める必要がなくなる。よって、ポータブルコンピューター1及び接続装置10内の電気部品への磁気的悪影響を抑えたり、接続装置10をポータブルコンピューター1から容易に離間させることができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、接続装置10を上下反転させた姿勢でポータブルコンピューター1の側面1bに装着できない構成としたことにより、第1の端子部5と第2の端子部15とが誤った組み合わせで電気的に接続されてしまうことを防ぐことができる。したがって、ポータブルコンピューター1、接続装置10、接続装置10に接続されている周辺機器の誤動作や故障を防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、第1の金属部6、第2の金属部7、第1のマグネット16、および第2のマグネット17をグランド電位としている。すなわち、ポータブルコンピューター1と接続装置10の磁気吸着手段と、ポータブルコンピューター1のグランドと接続装置10のグランドとを電気的に接続する手段とを共用している。したがって、ポータブルコンピューター1及び接続装置10にグランド電位を有する端子を別途設ける必要がないため、ポータブルコンピューター1及び接続装置10における端子の数を減らすことができ、ポータブルコンピューター1及び接続装置10を小型化することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、接続装置10に第1の突起部19aを備えたことにより、ポータブルコンピューター1に接続装置10を装着し机上等に載置した状態において、接続装置10の側面10aを高くすることができる。これにより、側面10aに備わる端子が目視しやすくなり、側面10aに備わる端子へケーブルを接続しやすくなる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、接続装置10の側面10bをカバー部材30で覆うことができる構成としたことにより、ポータブルコンピューター1に装着していない状態において第2の端子部15に水分や埃等の異物が付着することを防止することができる。また、第1のマグネット16及び第2のマグネット17をカバー部材30で覆うことにより、第1のマグネット16及び第2のマグネット17の磁力が、磁気によりデータ消失や故障などが生じる可能性が高い製品(磁気テープ、ICチップ内蔵カード等)へ悪影響を与える可能性を低減することができる。
【0049】
なお、本実施の形態にかかる接続装置10は、LANポート11などを備え、各種ケーブルを接続可能な構成としたが、これに限らない。例えば、ポータブルコンピューター1に給電可能なバッテリーユニット、無線通信が可能なアンテナなどを内蔵した通信ユニット、ハードディスクや半導体メモリーを内蔵した記録媒体ユニット、各種メモリーカードを着脱可能なスロットを備えたユニットなどであってもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、ポータブルコンピューター1に金属部を備え、接続装置10にマグネットを備える構成としたが、ポータブルコンピューター1にマグネットを備え、接続装置10に金属部を備える構成としてもよい。
【0051】
なお、特開平07−295704号公報は、「コネクタの各部は引き合い、整合時に2つの接続部を保持する磁石(55、65)を含み、それにより自己整合コネクタを提供する」ことを開示している。また、特開平07−295704号公報は、「コネクタの2つの結合部(50、60)の各々は、結合プレート(501、502、503、601、602、603)を具備する。2つの結合部が結合されるとき、結合プレートはデータ信号が通されるキャパシターを形成する。データコネクタの各部を駆動する回路(100、200)は、双方向信号パスを作成し、それによりオーミック接続と機能的に等価な接続が提供される」ことを開示している。しかしながら、特開平07−295704号公報は、コネクタの2つの結合部(50、60)のうちいずれか一方が上下反転した姿勢で接続しようとしたときに、両者を接続できなくする構成については開示していない。また、特開平07−295704号公報は、結合プレートによりキャパシターを形成してデータ信号を伝送することは開示しているが、各コネクタにおける端子同士を直接電気的に接続する構成については開示していない。また、特開平07−295704号公報は、コネクタ同士の機械的な位置決めについては開示していない。
【0052】
また、本実施の形態における第1の端子部5は、本発明の接続端子の一例である。本実施の形態におけるポータブルコンピューター1は、本発明の電子機器の一例である。本実施の形態における接続装置10は、本発明の接続装置の一例である。本実施の形態における第2の端子部15は、本発明の端子の一例である。本実施の形態における第1のマグネット16及び第2のマグネット17は、本発明のマグネットの一例である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願は、接続装置に有用である。
【符号の説明】
【0054】
5 第1の端子部
6 第1の金属部
7 第2の金属部
15 第2の端子部
16 第1のマグネット
17 第2のマグネット
18 第1の支持部
19 第2の支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を備えた電子機器に着脱可能な接続装置であって、
前記接続端子に電気的に接続可能な端子と、
前記電子機器の所定位置に吸着可能なマグネットとを備え、
前記マグネットを前記電子機器の所定位置に吸着させたとき、前記端子と前記接続端子とが電気的に接続された状態になる、接続装置。
【請求項2】
前記電子機器における相対向する一対の表面にそれぞれ支持される第1の支持部及び第2の支持部を備えた、請求項1記載の接続装置。
【請求項3】
前記電子機器の一部に係合する係合部を備えた、請求項1または2記載の接続装置。
【請求項4】
前記端子は、本装置表面に露出し、
前記端子を隠蔽可能なカバー部材を備えた、請求項1記載の接続装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、少なくとも一部が前記マグネットに吸着可能な材料で形成されている、請求項4記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−242879(P2011−242879A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112380(P2010−112380)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】