説明

接触する駆動輪と被駆動輪が同方向に回転する動力伝達装置

【課題】回転軸方向に並設され、接触することで動力を直接授受する駆動輪と被駆動輪が、両輪の中間に回転を反転させる為の動力伝達輪を設けること無しに、同方向に回転する動力伝達装置を提供する。
【解決手段】被駆動輪4の円周上の点Bから円内部の点Cまで、円の面に対して垂直に設けた受け板5に、駆動輪2の先端部Pが、接しながら点Bから点Cに向かう方向に回転する装置により、この課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸方向に並設され、接触することで動力を直接授受する駆動輪と被駆動輪が、同方向に回転する動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯車やフリクションドライブなどによる動力伝達では、回転軸方向に並設され、接触する駆動輪と被駆動輪は相反する方向に回転する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これでは、駆動輪と被駆動輪を同方向に回転させる為に、両輪の中間に回転方向を反転させる為の動力伝達輪を必要とする。すなわち、同じ回転方向を伝達する為に3本の回転軸が必要となり、非効率である。この中間輪が無くとも、接触する駆動輪と被駆動輪が同方向に回転する動力伝達装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、図1に示したように、被駆動輪4の円周上の点Bから円内部の点Cまで、円の面に対して垂直に設けた受け板5に、駆動輪2の先端部Pが、接しながら点Bから点Cに向かう方向(矢印Eの方向)に回転する動力伝達装置である。
図2は動作原理図であり、駆動輪2の先端部Pと被駆動輪4に設けた受け板5の接点において、受け板5が受ける力を成分ごとにベクトルで示している。受け板5が受ける力の合力、すなわち板の面に垂直方向の力をベクトルFv、ベクトルFvの点A方向の成分をベクトルGv、ベクトルGvに対する点Aからの反作用をベクトルGiv、そして、ベクトルFvの被駆動輪4の回転方向成分をベクトルRvとする。この時、ベクトルGvとベクトルGivは打ち消し合い、ベクトルRvだけが残る。図2より、ベクトルRvは受け板5(線分BC)の任意の点において、駆動輪と被駆動輪が同方向に回転する方向を向いており、その絶対値は点Bにおいて最大、点Cにおいて0となる。
すなわち、本動力伝達装置では、接触する駆動輪と被駆動輪が同方向に回転する。よって上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、回転軸方向に並設され、接触する駆動輪と被駆動輪を同方向に回転させる際、両輪の中間に回転方向を反転させる為の動力伝達輪を必要とせず、駆動輪と被駆動輪の2つの回転軸だけ設ければよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明に係る駆動輪と被駆動輪の構成要素と配置である。
【図2】 本発明に係る動力伝達の動作原理図である。
【図3】 本発明に係る動力伝達装置を、連続的に正転及び逆転させる場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2で示したように、被駆動輪4に設けた一枚の受け板5が駆動輪2による接触を受けた時、回転できる角度は最大45°である。従って、一回転させる為には、受け板と駆動輪の先端のセットが八対必要である。
ここで、被駆動輪の回転速度が駆動輪の回転速度以下の時、駆動輪の先端は被駆動輪の円周内を、被駆動輪中心から見て最大で180°移動するから、一枚の被駆動輪上では、受け板同士は回転方向に180°離しておく必要がある。
以上を考慮して、本発明に係る動力伝達装置を、連続的に正転及び逆転させる場合の模式図を図3に示す。まず、一枚の被駆動輪には回転方向に180度離して2組の受け板を設ける。この被駆動輪を4枚用意し、それぞれを回転方向に45度ずらして、回転軸方向に配置する。次に駆動輪については、受け板に接する先端を180度間隔で持つものを4枚用意する。そして被駆動輪と同様に、それぞれを回転方向に45度ずらして、回転軸方向に配置する。これらの駆動輪と被駆動輪が、正転及び逆転できるように配置した模式図が図3である。
【実施例】
【0009】
被駆動輪の受け板より外側(円周側)の円盤部分は、無くてもよい。
【符号の説明】
【0010】
1 駆動輪の回転軸
2 駆動輪
3 被駆動輪の回転軸
4 被駆動輪
5 受け板
A 被駆動輪の中心
B 被駆動輪の円周上の点(受け板の端点)
C 被駆動輪上の線分BDの中点(受け板の端点)
D 点Bから中心角90度の位置にある被駆動輪の円周上の点
E 駆動輪と被駆動輪の回転方向
H 点Pと点Aを結ぶ直線に対する垂線の内、点Pを通るもの
P 駆動輪2の先端部
Fv 受け板5が駆動輪2から受ける力の合力ベクトル
Gv Fvの回転軸A方向の成分ベクトル
Giv Gvに対する回転軸Aからの反作用ベクトル
Rv Fvの被駆動輪4の回転方向成分ベクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動輪(4)の円周上の任意の点から円内部にかけて、円の面に対して垂直に設けた受け板(5)に、駆動輪(2)の先端部が接しながら回転する時、被駆動輪も駆動輪と同方向に回転する動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−87944(P2013−87944A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240631(P2011−240631)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(507284237)
【Fターム(参考)】