説明

接触センサ

【課題】人体や動物の長時間接触の違和感が少なく、荷重変化を連続して検出する接触センサを提供する。
【解決手段】センサシート11にエラストマー系の感圧導電性シートを採用し変形、屈曲性に優れた電極10を採用し、電極の一部分を表面保護シート9へ固定しその他の部分を自由な状態にした電極の固定方法を採用する。表面シ−トに柔軟性、感触の優れたものを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体や動物の接触検出に関するセンサで、接触がソフトで長時間の接触に対しても違和感が少なく、凹凸面に対して追従性がよく柔軟性の優れた接触センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年 国内において少子高齢化が進み、高齢化に対応した介護、医療、リハビリ機器が開発されている。
また、徘徊老人に対する監視機器も必要とされ、人体に直接接触して長時間検出する人体との接触に違和感の少ない、感触がソフトで柔軟性の優れた接触センサ(市販の接触センサ例としては、日本医療機器株式会社製 離床センサ、アルニック株式会社製 離着床検知センサ “みまもりくん”、株式会社HOTORON製 ベッドセンサ“おき太君”等が上げられ、また関連する特許公開例として特開2002−071496,特開2001−256850,特開 平10−213499、特開 平05−307086号等に開示されている。)が望まれている。
【0003】
屋内で猫、犬、等の動物をペットとして飼う場合や自動車に同乗させる場合の保護、監視用として動物の接触検出のニ−ズが高まっている。
【0004】
音楽、映像機器等を小型、薄型、軽量化して人体に身に付けるウエアラブル電子機器(市販の機器例としてはソニ−株式会社製、携帯型カセット磁気テ−プ、光磁気デイスク記録音楽再生機“ウオ−クマン“、米国アップル社製 携帯型半導体メモリや磁気デイスク記録装置付き音楽、映像再生機、”アイポッド ipod“等が上げられる)が開発され、人体に装着する接触センサにおいて感触がソフトで接触に違和感に少ないものが望まれている。
【0005】
近年 パソコンにおいても小型、薄型、軽量化が進展し人体へ身につけて使用する環境が整って来ている、これに使用する入力装置としても感触がソフトで接触に違和感の少ない接触センサが望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開 平05−307086号公報
【特許文献2】特開 平10−213499号公報
【特許文献3】特開2001−256850号公報
【特許文献4】特開2002−071496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の接触センサ、センサ面に対して主に垂直方向の荷重を感知する接触センサは、主要部材が金属薄板、金属細線、合成樹脂成型品、合成樹脂シート、フイルム、セラミック等の部品により構成されているため、人体や動物などが接触した場合に固く冷たい感触であるため違和感が強く、特に長時間接触しての使用が困難であり、また柔軟性や凹凸面への追従性に乏しく変形、屈曲して使用する場所には適さない物であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
センサを絶縁保護するための表面保護シ−トと、リ−ド線を接続した抵抗変化の信号を取り出すための上下一対の電極シ−トと、電極の中間に荷重の変化を抵抗の変化へ変換するセンサシ−ト、からなり電極シートを表面保護シートへ粘着あるいは縫製加工して固定し、更に表面保護シートの外周をセンサシートや電極シートが当たらないようにし、更にリード線を表面保護シートの外部へ出るようにして一緒に熱溶着または縫製加工により固定する方法を採用する。
【0009】
接触センサ面に対して電極の固定部分をセンサの上側電極を左か右の末端部分、下側電極の上か下の末端部分のみを表面保護シートへ固定しその他の部分は自由な状態にした電極の固定方法を採用する。
【0010】
接触センサを保護する表面シ−トに柔軟性、感触の優れた天然繊維またはポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンの合成樹脂繊維を布状に織物加工したもの、あるいは上記の繊維を接着剤または熱溶着した不織布、あるいは発泡したゴムないし樹脂のシートを採用する。
【0011】
上下の電極シ−トの寸法が表面保護シートより小さく、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリエチレン、の合成樹脂繊維の布状織物で一定の間隔で、この合成樹脂繊維の表面へ金属メッキした導電性繊維を、絶縁性合成樹脂繊維と混合して布状に織り込んだ電極を採用する。

【0012】
センサシ−トの寸法が上下電極シートより大きく表面保護シートより小さく、上下電極が接触することがなく、各シートがセンサシートを中心になるようにして配置する。
【0013】
センサシートが非導電性エラストマ−中に導電性の微粒子、黒鉛微粒子、カーボンブラック、金属微粒子等を混合してなる導電性ゴムをあらかじめ架橋させ、しかる後、該導電性ゴムと相溶性を有する不揮発性オイルを吸収させることによって、該導電性ゴム内部の該導電材の粒子が、微少な間隔で均等あるいは好適に分散した状態に加工したものや(開示例、昭59−11343、平6−192485 )、非導電性エラストマ−のシリコーンゴムに導電性のカ−ボン微粒子を組成物の全容積当たり45〜55容量%の割合で配合し、該ゴム内部へ該導電材の粒子が、微少な間隔で均等あるいは好適に分散した状態に架橋成形したもの(開示例、平2−196836、平4−253109 )を加圧変形することにより電気抵抗値が好適に連続的に変化する、エラストマー系の感圧導電性シートを採用する。
【0014】
上下電極シートの金属メッキした導電性繊維の金属が、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、インジュウム、アルミニュウム、の単体あるいは多層薄膜、あるいは複数の金属の合金薄膜で構成されたものを採用する。
これらの採用により感触がソフトで、凹凸面に対しての追従性、柔軟性、人体や動物が長時間接触の違和感を改善し、荷重の変化を連続して検出可能な接触センサを提供する。
【発明の効果】
【0015】
人体や動物との接触がソフトで、屈曲、変形に対して柔軟性があり長時間の接触使用に違和感が少ない接触センサの提供が可能になる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
センサシートとして、シリコーンゴム中へ導電性のカーボン微粒子、を混合してなる導電性ゴムをあらかじめ架橋させ、その後に該導電性ゴムと相溶性を有する不揮発性オイルを吸収させた感圧導電性シ−トを採用し、この上下に電極として合成樹脂繊維の表面へ導電性金属をメッキした導電性繊維と、絶縁性繊維を布状に織り込んだ導電性の布を電極として採用し、電気信号を取り出すリ−ド線としてイラックスHF電線を採用しリ−ド線と布状電極との電気的接続を導電性ペ−ストを使用して接続固定し、センサ面に対して電極の固定部分をセンサの上側電極を左か右の末端部分、下側電極の上か下の末端部分のみを表面保護シートと固定し、その他の部分は自由な状態にした電極の固定方法を採用し、上下の布状電極の外側を絶縁性のある合成樹脂繊維の不織布で保護し、外周を熱溶着により固定された接触センサ。
【実施例1】
【0017】
センサシートとして、信越化学工業株式会社製 シリコーンゴム“KE−931―U”、100重量部へ導電性のカーボン微粒子、電気化学工業株式会社製“ デンカブラックHS−100”35重量部をニーダーで混練りして導電性ゴムコンパウンドにした後、架橋剤として“2,5−ジメチル―2,5―ジーt―ブチルパーオキシヘキサン“1重量部を二本ロールにて混練りして入れた未架橋導電性ゴムを、温度170度C、時間10分間にて寸法、縦110mm、横100mm、厚さ0.5mmのシート状にプレス架橋成形し、その後 該架橋導電性ゴムシートを不揮発性オイル、信越化学工業株式会社製 シリコーンオイル“KF−96”粘度100の入った容器の中で温度20度Cにて1時間20分浸積して吸収させたエラストマー系の感圧導電性シ−ト(縦85mm,横85mm厚さ0.5mmに裁断加工)を採用した。
【0018】
電極としてポリイミド繊維の表面へ銀をメッキした導電性繊維とポリエステル繊維を布状に織り込んだカネボウ繊維株式会社製“エックスエイジ”AG-02(縦80mm、横80mm厚さ0.15mm)を採用した。
【0019】
電気信号を取り出すリ−ド線として住友電工株式会社製“イラックスHF電線”UL 3302 AWG32 ( 錫メッキ軟銅線)長さ100mm両端を5mmストリップしたものを採用しリード線の片側末端と上記“エックスエイジイ”布状電極を接触固定した後に導電性ペーストの藤倉化成株式会社製“ド−タイト”D−362を塗布乾燥して接着し電気的に接続固定した。
【0020】
センサ表面保護シ−トとして日本バイリ−ン株式会社製“不織布”EW−605(縦100mm、横100mm厚さ0.5mm)を採用した。
【0021】
上側電極の左端5mm幅を上側表面保護シート、下側電極の上端5mm幅を下側表面保護シートへ日東電工株式会社製 両面粘着テープ No.5000NSを使用して接着固定した。
【0022】
センサシートを上下電極の中間へ挟み表面保護シートの外周を熱溶着して固定接着した接触センサを得た。
【0023】
上記 実施例1の接触センサを半径100mmから10mmのアールで変形させた場合の変形半径−電気抵抗値の変化デ−タを表1に示す。また比較例として、センサシートは同じものを使用し、電極に開口寸法1.0mm線径0.1mmのステンレスメッシュ、表面保護シ−トに厚さ50ミクロンのポリエステルフイルムを使用した接触センサとの変形半径−電気抵抗値の変化デ−タも表1に示す。
【実施例2】
【0024】
センサシ−トとして、上記実施例1のエラストマー系の感圧導電性シ−ト(縦 55mm、横 110mm、厚さ 0.5mm)を採用し、電極としてポリエステル繊維の表面へ銀をメッキした導電性繊維とポリエステル繊維を布状に織り込んだ三ッ富士繊維工業株式会社製“銀メッキ繊維布”M20048(縦 50mm、横 105mm、厚さ 0.15mm)を採用した。
【0025】
電気信号を取り出すリ−ド線として住友電工株式会社製“イラックスHF電線”UL 3302 AWG30 ( 錫メッキ軟銅線)長さ80mm両端を5mmストリップしたものを採用しリード線の片側末端と上記“銀メッキ繊維布”電極を接触固定した後に導電性ペーストの藤倉化成株式会社製“ド−タイト”D−362を塗布乾燥して接着し電気的に接続固定した。
【0026】
センサ表面保護シ−トとして 株式会社川島織物製“ banex”(縦 60mm、横12mm厚さ0.5mm)布地を採用した。
【0027】
上側電極の右端5mm幅を上側表面保護シート、下側電極の下端5mm幅を下側表面保護シートへ日東電工株式会社製 両面粘着テープ No.5000NSを使用して接着固定した。
【0028】
センサシートを上下電極の中間へ挟み表面保護シートの外周を絶縁性のポリエステル繊維で縫製加工して固定した接触センサを得た。
【0029】
上記 実施例2の接触センサを半径100mmから10mmのアールで変形させた場合の変形半径−電気抵抗値の変化デ−タを表1に示す。
【実施例3】
【0030】
センサシ−トとして、上記実施例1のエラストマー系の感圧導電性シ−ト(縦 45mm、横 45mm、厚さ 0.5mm)を採用し、電極としてポリエステル繊維の表面へ銀をメッキした導電性繊維とポリエステル繊維を布状に織り込んだ三ッ富士繊維工業株式会社製“銀メッキ繊維布”M20048(縦 40mm、横 40mm、厚さ 0.15mm) を採用した。
【0031】
電気信号を取り出すリ−ド線として住友電工株式会社製“イラックスHF電線”UL 3302 AWG30 ( 錫メッキ軟銅線)長さ150mm両端を5mmストリップしたものを採用しリード線の片側末端と上記“銀メッキ繊維布”電極を接触固定した後に導電性ペーストの藤倉化成株式会社製“ド−タイト”D−362を塗布乾燥して接着し電気的に接続固定した。
【0032】
センサ表面保護シ−トとして サンポリマー株式会社製 シリコーンスポンジシートSC−300(縦 50mm、横50mm厚さ1.0mm)を採用した。
【0033】
上側電極の右端5mm幅を上側表面保護シート、下側電極の下端5mm幅を下側表面保護シートへ日東電工株式会社製 両面粘着テープ No.5000NSを使用して接着固定した。
【0034】
センサシートを上下電極の中間へ挟み表面保護シートの外周を絶縁性のポリエステル繊維で縫製加工して固定した接触センサを得た。
【0035】
上記 実施例3の接触センサを半径100mmから10mmのアールで変形させた場合の変形半径−電気抵抗値の変化デ−タを表1に示す。
【0036】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1における斜視図である。
【図2】同実施例1,実施例2,実施例3,の電極である。
【図3】同実施例1,実施例2,実施例3,の電極の拡大図である。
【図4】同実施例1,実施例2,実施例3,の電極の金属メッキ導電性繊維の模式図である。
【図5】同実施例1のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施例2における斜視図である。
【図7】同実施例2のB−B断面図である。
【図8】本発明の実施例3における斜視図である。
【図9】同実施例3のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 接触センサ
2 リード線
3 電極
4 導電性ペースト
5 金属メッキ導電性繊維
6 合成樹脂繊維
7 合成樹脂繊維の素繊維
8 金属メッキ膜
9 表面保護シートの不織布
10 リード線の付いた電極
11 センサシート
12 表面保護シートの熱溶着固定部
13 表面保護シートの縫製加工固定部
14 表面保護シートの布地
15 表面保護シートのシリコーンスポンジシート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを絶縁保護するための表面保護シ−トと、リ−ド線を接続した抵抗変化の信号を取り出すための上下一対の電極シ−トと、電極の中間に荷重の変化を抵抗の変化へ変換するセンサシ−トからなり電極シートを表面保護シートへ粘着あるいは縫製加工して固定し、更に表面保護シートの外周をセンサシートや電極シートが当たらないようにし、更にリード線を表面保護シートの外部へ出るようにして一緒に熱溶着または縫製加工により固定したことを特徴とする接触センサ。

【請求項2】
表面保護シ−トが天然繊維または合成樹脂繊維を布状に織物加工したもの、あるいは上記の繊維を接着剤または熱溶着した不織布、あるいは発泡したゴムないし樹脂のシートであることを特徴とする請求項1に記載の接触センサ。

【請求項3】
上下の電極シ−トが表面保護シートより小さく、合成樹脂繊維の布状織物で一定の間隔で、合成樹脂繊維へ金属メッキした導電性繊維を、合成樹脂繊維と混合して布状に織り込んだことを特徴とする請求項1に記載の接触センサ。

【請求項4】
センサシ−トの寸法が上下電極シートより大きく表面保護シートより小さく、各シートがセンサシートを中心にして配置され、センサシートが非導電性エラストマ−中に導電性の微粒子を混合してなる導電性ゴムをあらかじめ架橋させた後、該導電性ゴムと相溶性を有する不揮発性オイルを吸収させたもの、あるいは非導電性エラストマ−中に導電性の微粒子を配合して架橋成形した、エラストマー系の感圧導電性シートであることを特徴とする請求項1に記載の接触センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−263833(P2007−263833A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90886(P2006−90886)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)