説明

接触帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】 清掃部材を交換しなくても清掃部材の耐久性を向上させることができる接触帯電装置を提供する。
【解決手段】 感光体ドラム9と、帯電ローラ10と、軸受部材15、ガイド部材17、及び、バネ16を有し、帯電ローラ10を感光体ドラム9に当接させてニップを形成するニップ形成部300と、帯電ローラ10とニップを形成して帯電ローラ10を清掃するクリーニングシート22と、を備え、軸受部材15における感光体ドラム9の側の面を感光体ドラム9に向けたまま軸受部材15の長手方向の一端部と他端部とを逆向きにした状態にして、軸受部材15をガイド部材17に組み込み直すと、軸受部材15の姿勢は、第1姿勢Qから第2姿勢Rへと移行して、クリーニングシート22に対する帯電ローラ10が形成するニップの位置が変わる接触帯電装置50を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電ローラが感光体ドラムに接触しつつ帯電させる接触帯電装置、これを備えるプロセスカートリッジ、及び、これらを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の分野では、感光体ドラムの表面に帯電ローラを接触させて帯電させる接触帯電装置が知られている。帯電ローラによる帯電は、コロナ放電による帯電に比べて、オゾンの発生が少ない利点から広く用いられる。こうした接触帯電装置を備える画像形成装置では、感光体ドラムの表面上に、現像残トナーをクリーニング部材で清掃した後にも極微量のトナー、あるいはトナーに含まれる外添剤等が存在している。感光体ドラムに接触する帯電ローラの表面にも、前述のトナーや外添剤等の残存物質が移ってくるから、帯電ローラの表面は徐々に汚染されて帯電性能は次第に低下する。
【0003】
こうした帯電ローラの汚染を防止すべく、帯電ローラにクリーニングブレード等の清掃手段を設ける特許文献1に記載の発明が開示される。また、帯電ローラにシート状の摺擦部材を当接させ、帯電ローラの汚れを分散させて帯電性能を均一化させる特許文献2に記載の発明が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−342237号公報
【特許文献2】特開2000−56544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1又は2に記載の発明の場合には、帯電ローラをクリーニングするクリーニング部材を交換するにあたって、手間がかかるという問題が残る。例えば、クリーニング部材の取り外しには、基端部の両面テープを取り外さなければならない。また、新品のクリーニング部材の取り付けには、帯電ローラと安定したニップを形成するように調整をしなければならない。したがって、こういったクリーニング部材(清掃部材)を交換しなくても済む構成が望ましい。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、清掃部材を交換しなくても清掃部材の耐久性を向上させることができる接触帯電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の接触帯電装置は、像担持体と、前記像担持体の表面に接触して前記像担持体の表面を帯電する帯電ローラと、前記帯電ローラの軸を支持する軸受部材、前記軸受部材の動作を案内するガイド部材、及び、前記帯電ローラを前記像担持体の方へと付勢する付勢手段を有し、前記帯電ローラを前記像担持体に当接させてニップを形成するニップ形成手段と、前記帯電ローラに対向して配置され、前記帯電ローラとニップを形成して前記帯電ローラを清掃する清掃部材と、を備え、前記付勢手段が前記軸受部材を付勢する付勢位置の中心と前記像担持体の中心とを結ぶ面を第1仮想平面とし、前記第1仮想平面と平行な面で前記帯電ローラの中心を通る面を第2仮想平面とし、前記第1仮想平面が前記第2仮想平面の第1面の側の位置するときの前記軸受部材の姿勢を第1姿勢とし、前記第1仮想平面が前記第2仮想平面の第2面の側に位置するときの前記軸受部材の姿勢を第2姿勢とした場合に、前記軸受部材における前記像担持体の側の面を前記像担持体に向けたまま前記軸受部材の長手方向の一端部と他端部とを逆向きにした状態にして前記軸受部材を前記ガイド部材に組み込み直すと、前記軸受部材の姿勢は、前記第1姿勢から前記第2姿勢へと移行、又は、前記第2姿勢から前記第1姿勢へと移行して、前記清掃部材に対する前記帯電ローラが形成するニップの位置が変わることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清掃部材を交換しなくても清掃部材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る接触帯電装置を備える画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】接触帯電装置の構成を示す断面図等である。
【図3】軸受部材がガイド部材に嵌め合わされた構成を示す断面図であり、図2中の矢印J方向からみた断面図に相当する。
【図4】接触帯電装置の構成を示す断面図であり、受穴を感光体ドラムの方に向けつつ、第2面と第4面を逆にしてガイド部材に組み込み直した断面図に相当する。
【図5】接触帯電装置の構成を示す断面図であり、図4中の矢印J方向から見た断面図に相当する。
【図6】帯電ローラとクリーニングシートの接触状態を示した断面図である。
【図7】実施例2に係る接触帯電装置を備えるプロセスカートリッジの構成を示す断面図である。
【図8】プロセスカートリッジを備える画像形成装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る接触帯電装置50を備える画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した両面印刷機能を有する画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部60が設けられる。画像形成部60は、『像担持体』である感光体ドラム9、『転写装置』である転写ローラ13等を含む。
【0012】
まず、感光体ドラム9は、直径30mmのアルミシリンダの外周面に、有機感光層(OPC)の塗布を行ったものである。感光体ドラム9はアルミシリンダの外径中心を回転軸として、回転自在に枠体(図1中不指示)に取付けられ、駆動用のモータ(図1中不指示)によって矢印F方向に回転駆動される。尚、感光体ドラム9のアルミシリンダは、図1に示す通り接地されている。
【0013】
感光体ドラム9の周囲には、帯電ローラ10、スキャナ11、現像装置12、転写ローラ13、及び、クリーニングブレード14が配置されている。帯電ローラ10(接触帯電部材)は、感光体ドラム9の表面に接触して感光体ドラム9の表面を一様に帯電するローラである。スキャナ11(レーザスキャナ)は、感光体ドラム9上に静電像を形成するため機器である。現像装置12は、感光体ドラム9上に形成された静電像一成分現像剤(以下、単に「現像剤T」という)を内包し、感光体ドラム9上に形成された静電像を非接触現像するための機器である。転写ローラ13は、現像された現像剤像を記録材Pに転写するローラである。『清掃部材』であるクリーニングブレード14は、転写後に感光体ドラム9上に残存した現像剤をクリーニング(清掃)するブレードである。
【0014】
前述の帯電ローラ10は、接触帯電装置50の一部として構成され、帯電ローラ10は、芯金部10a及びゴムローラ部10b(図2参照)を有する。また、接触帯電装置50は、帯電ローラ10の他に、導電性樹脂で形成された軸受部材15、ガイド部材17、バネ16を有する。また、接触帯電装置50は、帯電用のバイアス電源19を有する。そして、バイアス電源19は、ガイド部材17に取付けられた接点18(図2参照)に接続されており、帯電ローラ10に対してDCバイアス印加が可能となっている。
【0015】
前述の現像装置12は、現像ローラ12a、供給ローラ12b、現像ブレード12c、撹拌部材12dを有する。現像ローラ12a(現像剤担持体)は、感光体ドラム9に接触し、感光体ドラム9の回転に対して順方向(矢印G方向)に回転しながら現像を行うローラである。供給ローラ12b(現像剤供給手段)は、現像ローラ12aの回転とカウンタ方向(矢印H方向)に回転し、現像剤Tを現像ローラ12aに供給するローラである。現像ブレード12c(規制部材)(現像剤規制手段)は、現像ローラ12a上の現像剤Tの塗布量(層厚)及び帯電量を規制するブレードである。撹拌部材12dは、現像剤Tを供給ローラ12bに供給すると共に現像剤Tの撹拌を行う部材である。
【0016】
尚、現像装置12を構成する枠体内の空間は、現像剤Tを内包するための現像剤収容部12eとして利用される。また、感光体ドラム9と現像ローラ12aで形成される間隙dは、規制コロ12fによって一定に保たれる。また、装置本体100Aの内部には、コントローラ51が設けられる。コントローラ51は、装置本体100Aの感光体ドラム9その他の内部機器の駆動を制御する。
【0017】
画像形成工程では、感光体ドラム9は矢印F方向に回転し、帯電用のバイアス電源19から−1000VのDCバイアスを印加された帯電ローラ10により、その周面がおよそ500V程度に接触帯電処理される。次の静電像形成工程では、スキャナ11(露光用光源)(露光手段)が感光体ドラム9の表面の帯電処理面に対して走査露光して、画像情報の静電像を形成する。
【0018】
次の現像工程では、感光体ドラム9上に担持された静電像が、現像剤Tを担持した現像ローラ12aと対向する部位に到達した際に、現像用バイアス電源(不図示)から現像ローラ12aに対しAC電圧とDC電圧を重畳した振動電圧の印加が行われる。感光体ドラム9と現像ローラ12aとの間に交番電界を形成されると、感光体ドラム9の表面に形成された静電像に対し、現像剤Tが飛翔・転移して現像が行われ、静電像は現像剤像と変化する。
【0019】
次の転写工程では、感光体ドラム9上に形成された現像剤像は、感光体ドラム9の回転により装置本体100Aの内部の転写ローラ13にて記録材Pに転写される。次の定着工程では、記録材Pは定着装置20に搬送されて、定着装置20で現像剤像が定着される事によって、記録材P上に定着画像が完成する。
【0020】
一方、これらと同時に、クリーニング工程では、転写時に感光体ドラム9上に残留した現像剤Tは、再び帯電ローラ10を通過する前にクリーニングブレード14によって掻き落とされ、廃現像剤容器21の内部に蓄積される。尚、帯電ローラ10の表面には、クリーニングブレード14に取付けられた台座22b(図2参照)に、その一端が両面テープ22a(図2参照)で固定された帯電ローラ10の清掃部材としてのクリーニングシート22が当接されている。
【0021】
図2(a)は、接触帯電装置50の構成を示す断面図である。図2(b)は、軸受部材15の構成を示す断面図である。図2に示されるように、接触帯電装置50は、感光体ドラム9と、感光体ドラム9の表面を帯電する接触帯電部材としての帯電ローラ10と、を備える。被帯電体である感光体ドラム9は、例えば直径が20〜50mm程度のアルミシリンダの外周面に、有機感光層(OPC)の塗布を行ったものである。感光体ドラム9はアルミシリンダの外径中心を回転軸として、回転自在に図示しない枠体に取付けられ、駆動用の図示しないモータによって矢印F方向に回転駆動される。尚、感光体ドラム9のアルミシリンダは接地されている。
【0022】
一方、帯電ローラ10は、芯金部10aと、導電性を有するゴムローラ部10bと、を有し、ここでは、芯金2aの外径をφ4〜φ6mm、ゴムローラ部10bの外径をφ8〜12mmとしている。また、帯電ローラ10は、帯電ローラ10の芯金部10aを軸受部材15によって支持されている。軸受部材15と隣接してバネ16が配置されている。この『付勢手段』であるバネ16は、帯電ローラ10を感光体ドラム9の方へと付勢する部材である。軸受部材15がガイド部材17によって可動方向を規制されながら、付勢手段である金属製のバネ16によって矢印I方向(感光体ドラム9に向かう方向)へ付勢される。軸受部材15が付勢力を受けることにより、帯電ローラ10のゴムローラ部10bが感光体ドラム9の表面に当接し、帯電ローラ10は感光体ドラム9の回転に合せて矢印B方向に従動しつつ回転する。
【0023】
尚、軸受部材15には導電性の樹脂を用いてあり、バネ16及び枠体に取付けられた接点18を介して接続されたバイアス電源19から、帯電ローラ10に対してバイアス印加を行える。バイアス電源19は接地されており、−500V〜−1500VのDCバイアスを出力できる。
【0024】
このバイアスを感光体ドラム9の表面に接触しながら矢印B方向へ従動しつつ回転する帯電ローラ10に印加することで、矢印F方向に回転駆動する感光体ドラム9の周面を、およそ0〜1000Vの範囲内で所望の帯電電位に均一帯電することができる。また、ここでは、バイアス電源19としてDCバイアスの印加を行うものを接続したが、ACバイアスの印加を行うものを接続しても良い。
【0025】
一方、帯電ローラ10表面には、枠体に取付けられた台座22bに、その一端を両面テープ22aで固定されたクリーニングシート22が当接している。『清掃部材』であるクリーニングシート22は、先端側の部位が帯電ローラ10に対向して配置され、帯電ローラ10とニップを形成して帯電ローラ10を清掃するシート部材である。クリーニングシート22は、ガイド部材17以外の装置本体100Aに固定される固定端22x、及び、固定端のもう一方の端部である自由端22yを有する。クリーニングシート22は波打ちや反り等によって帯電ローラ10と当接しない部分が生じ、帯電ローラ10の清掃が不完全にならない様、枠体に対して精度良く組み付ける必要が有る。
【0026】
ここでは、クリーニングシート22の自由長L1を6〜10mm、帯電ローラ10との当接長L2が4〜8mm、帯電ローラ10への侵入量Δを1〜2mmとした。だが、クリーニングシート22の自由端の波打ち量が1mmを超えると、その部位でクリーニングシート22が帯電ローラ10に当接しない場合が有った。
【0027】
この問題を回避するために、枠体にクリーニングシート5を固定する際に予め枠体を反らせておいた。そして、そこにクリーニングシート22を真っ直ぐな状態で貼り付けた後、枠体の反りを開放してクリーニングシート22に帯電ローラ10の芯金2a(軸)の方向へのテンションを与えている。尚、ここではポリイミドの厚みを25〜75μmとしてシート状に形成したものを用いたが、帯電ローラ10の清掃に対して同様の効果が得られるならば他の材質や厚みのものを用いても構わない。
【0028】
次に本実施例の接触帯電装置50における特徴である、軸受部材15及び軸受部材15が取付けられる周辺の構成について説明する。軸受部材15は、帯電ローラ10の軸である芯金部10aを支持する部材である。軸受部材15は、感光体ドラム9の方に向かって開口すると共に帯電ローラ10の『軸』である芯金部10aを受ける『第1受穴』である受穴15dを有し、受穴15dは、撓むことで開閉自在である。したがって、受穴15dは、芯金部10aが挿入されると撓んで開き、芯金部10aが挿入されきると閉じて芯金部10aが勝手に外れるのを防ぐ。特に、受穴15dは、開口側に円弧状の開口縁部が形成されている。後述の第1面H1に受穴15dを有し、その受穴15dに芯金部10aが挿入されている。受穴15dは、開口側が狭く形成されている。
【0029】
軸受部材15は、第1面H1の裏面に相当する第2面H2にボス15aを有する。ボス15aは、感光体ドラム9に対して帯電ローラ10を加圧するためバネ16を支持するための凸部である。ボス15aは、前述のバネ16の端部に挿入されて固定される。
【0030】
また、軸受部材15は、第1面H1及び第2面H2に直交する側面に相当する第3面H3及び第4面H4に、ガイドリブ15b、15cを有する。ガイドリブ15b、15cは、ガイド部材17のガイド溝17b、17cと係合してガイド部材17の内部を直線的に移動可能に構成される(図3参照)。ガイド部材17は、軸受部材15の動作を案内する部材である。ガイド部材17は、内側の底面に位置するバネ16の受け部17aと、内側の側面に位置して軸受部材15のガイドリブ15b、15cと係合部を形成するガイド溝17b、17cと、を有する。軸受部材15の可動方向は、ガイド部材17に設けられたガイド溝17b、17cによって規制され、矢印D方向に限られる。『ニップ形成手段』であるニップ形成部は、前述した軸受部材15、ガイド部材17、バネ16等を有して、帯電ローラ10を感光体ドラム9に当接させてニップを形成する。
【0031】
ガイド部材17は、感光体ドラム9の方に向かって開口すると共に軸受部材15を受けて案内する『第2受穴』である受穴17dを有し、受穴17dは、撓むことで開閉自在である。したがって、受穴17dは、軸受部材15が挿入されると撓んで開き、軸受部材15が挿入されきると閉じて軸受部材15が勝手に外れるのを防ぐ。特に、軸受部材15の受穴17dは、開口側に爪部が形成されている。ガイド部材17が軸受部材15の取り出しを規制する力は、軸受部材15が前記帯電ローラ10の芯金部10aの取り出しを規制する力よりも強く設定されている。
【0032】
ここで、バネ16が軸受部材15を付勢する付勢位置の中心J1と感光体ドラム9の中心J2とを結ぶ面を第1仮想平面Xとする。また、第1仮想平面Xと平行な面で帯電ローラ10の中心J3を通る面を第2仮想平面Yとする。
【0033】
さらに、第2仮想平面Yが第1仮想平面Xの第1面X1の側に位置するときの軸受部材15の姿勢を第1姿勢Qとする。また、第2仮想平面Yが第1仮想平面Xの第2面X2の側に位置するときの軸受部材15の姿勢を第2姿勢Rとする。したがって、帯電ローラ10の芯金部10aが軸受部材15の受穴15dに嵌められると、図2の場合だと、芯金部10aの中心J1は仮想平面Xの第1面X1の側に位置し、仮想平面Xに対してずれて第1姿勢Qの状態にあることとなる。
【0034】
図3は、軸受部材15がガイド部材17に嵌め合わされた構成を示す断面図であり、図2中の矢印J方向からみた断面図に相当する。図3に示されるように、軸受部材15のガイドリブ15b、15c、ガイド部材17のガイド溝17b、17cは、各々が設けられる面において左右対称な形状とした。従って、軸受部材15は、受穴15dが感光体ドラム9の方を向くようにしつつ、第3面H3と第4面H4とを逆にして組み込み直すことが可能となる(図4、図5参照)。このことについては、図4及び図5を参照しつつ後述する。
【0035】
また、ガイド部材17は、内側の側面に前述のガイド溝17b、17cを有すると共に、内側の底面に突き当て部17e(突き当て面)を有する。帯電ローラ10が軸受部材15に組み込まれると、帯電ローラ10の芯金部10aの両端部の端面がガイド部材17の突き当て部17eに接触するため、帯電ローラ10の移動が軸方向で規制される。なお、図3では、帯電ローラ10の一端部の構成のみを示しているが、他端部の構成も同様である(図5も同様)。
【0036】
図4は、接触帯電装置50の構成を示す断面図であり、受穴15dを感光体ドラム9の方に向けつつ、第2面H3と第4面H4を逆にしてガイド部材に組み込み直した断面図に相当する。図5は、接触帯電装置50の構成を示す断面図であり、図4中の矢印J方向から見た断面図に相当する。図4及び図5を見ると分かるように、軸受部材15における感光体ドラム9の側の面(第1面H1)を感光体ドラム9に向けたまま軸受部材15の長手方向の一端部と他端部とを逆向きにした状態にして、軸受部材15をガイド部材17に組み込み直す。そうすると、軸受部材15の姿勢は、第1姿勢Qから第2姿勢Rへと移行へと移行する。この場合に、図4の場合だと、芯金部10aの中心J1は、仮想平面Xの第2面X2の側に位置し、仮想平面Xに対してずれることになる。
【0037】
そして、クリーニングシート22に対する帯電ローラ10が形成するニップの位置が変わる。すなわち、ニップの位置は、クリーニングシート22の先端側へと移っている。なお、逆に、元々、軸受部材15の姿勢が第2姿勢Rであった場合には、軸受部材15が第2姿勢Rから第1姿勢Qへと移行して、ニップの位置を変えることも可能である。なお、接触帯電装置50の特徴としては、受穴17dの断面中心は、軸受部材15の断面中心に対して偏心しているとも言える。
【0038】
図6は、帯電ローラ10とクリーニングシート22の接触状態を示した断面図である。図6(a)は、軸受部材15が図2の状態に組み込まれたときの接触状態を示し、図6(b)は、軸受部材15が図4の状態に組み込まれたときの接触状態を示す。図6(a)及び図6(b)を比べると分かるように、軸受部材15の組み込み直し前後では、クリーニングシート22における帯電ローラ10とのニップ部が重ならないように変更されている。
【0039】
なお、試作では、図6(a)の状態で、帯電ローラ10のゴム部2bの外形の寸法がφ12mmであった場合、帯電ローラ10とクリーニングシート22とが形成するニップ幅は約0.5mmとなった。また、仮想平面Xと仮想平面Yとの間の寸法が0.4mmにずらして配置された。こうした設定によって、軸受部材が第3面H3と第4面H4を逆にして組み込み直されると、帯電ローラ10とクリーニングシート22が形成するニップの重複を回避出来た。
【0040】
次に、前述してきた接触帯電装置のメンテナンス及びクリーニングシートのリユースの手順について説明する。帯電ローラ10の交換や、枠体、クリーニングシート22、クリーニングシートの取付け部材(両面テープ22a、台座22b)、の再使用を行う場合、以下の手順で作業を行う。
【0041】
(あ)枠体(図中不指示)より、感光体ドラム9を取り外す。(い)軸受部材15から、帯電ローラ10を取り外す。(う)ガイド部材17から一旦軸受部材15を取り外し、図3に示す方向から図5に示す方向にして再びガイド部材17に組込む。(え)軸受部材15に、新しい帯電ローラ10を組み付ける。(お)枠体(図中不指示)に、感光体ドラム9を取付ける。
【0042】
こうした構成によれば、新たに組込んだ帯電ローラ10の表面とクリーニングシート22の未使用部分が接触する様になり、クリーニングシート22の交換を行わなくとも優れた清掃性が得られた。従って、長期に亘って接触帯電装置の帯電性能を維持することが可能となった。加えて、前述の効果がクリーニングシート22や枠体を分解、若しくは交換すること無く得られる様になり、接触帯電装置50のメンテナンスやリユースに係わる労力を軽減できた。
【実施例2】
【0043】
図7は、実施例2に係る接触帯電装置50を備えるプロセスカートリッジ23の構成を示す断面図である。図8は、プロセスカートリッジ23を備える画像形成装置200の構成を示す断面図である。実施例2のプロセスカートリッジ23及び画像形成装置200の構成中で、実施例1の接触帯電装置50と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。符号が付されてなくとも、接触帯電装置50の部分の構成は、実施例1の構成と同じである。実施例2の構成では、接触帯電装置50がプロセスカートリッジ23に組み込まれる構成であることや、このプロセスカートリッジ23が装置本体200A(画像形成装置本体)に着脱自在に取付けられる構成であることが実施例1と主に異なる。
【0044】
プロセスカートリッジ23は、実施例1で前述した感光体ドラム9、帯電ローラ10及びその支持機構、現像装置12、クリーニングブレード14、廃現像剤容器21が一体化されており、装置本体100Aに着脱自在な構成となっている。なお、プロセスカートリッジ23は、感光体ドラム9、帯電ローラ10及びその支持手段、クリーニングブレード14、廃現像剤容器21を組込んだ枠体25、現像装置12に分離可能である。
【0045】
図7に示す通り、帯電ローラ10の支持手段として、軸受部材15、ガイド部材17、付勢手段である金属製のバネ16がプロセスカートリッジ23に組込まれている。また、画像形成装置200(図8参照)に搭載された帯電用のバイアス電源19からのバイアスを帯電ローラ10に印加する構成が施されている。まず、プロセスカートリッジ23の内部には、接点26(金具で形成されている)が取り付けられている。また、プロセスカートリッジ23の外部には、接点27が取り付けられている。装置本体200Aには、接点27と対応する位置に接点28が取り付けられている。こうした構成により、バイアス電源19は、接点28、接点27、接点26、接点18(図2参照)、バネ16を介して帯電ローラ10と、電気的に接続される。
【0046】
尚、帯電ローラ10の芯金部10aの受穴15dは、図3及び図5に示す通り、軸受部材15のガイドリブ15b、15cを設けた面と直交する面に設けられる。そして、感光体ドラム9の回転軸中心を通り且つバネ16による付勢方向(図2中の矢印I方向)と並行な仮想平面X上から0.4mm(図3、図5中寸法k)だけずらして設けられる。また、軸受部材15のガイドリブ15b、15c、ガイド部材17のガイド溝17b、17cは、各々が設けられる面において左右対称な形状とした。従って、図3及び図5に示す通り、軸受部材15をガイド部材17の規制方向と直交する方向に反転させて組込む事が可能である。
【0047】
次に、本実施形態のプロセスカートリッジにおいて、再生を行う場合の作業の一例を説明する。以下に説明する再生手順は、使用後の帯電ローラ10及び現像装置12のみを新品に交換する。そして、クリーニングシート22、クリーニングシート22の取付け部材(両面テープ22a、台座22b)、クリーニングブレード14、枠体25(廃現像剤容器21)の交換を行わずにプロセスカートリッジのリユースを可能とするものである。
【0048】
(あ)枠体より、使用済みの現像装置12を取り外す。(い)枠体(図中不指示)より、感光体ドラム9を取り外す。(う)軸受部材15から、帯電ローラ10を取り外す。(え)感光体ドラム9を取り外したことによりクリーニングブレード14に生じた開口から、廃現像剤容器内の現像剤を吸引し、容器内部を清掃する。(お)ガイド部材17から一旦軸受部材15を取り外し、図3に示す方向から図5に示す方向にして再びガイド部材17に組込む。(か)軸受部材15に、新しい帯電ローラ10を組み付ける。(き)枠体(図中不指示)に、感光体ドラム9を取付ける。(く)枠体に、新しい現像装置12を取付ける。
【0049】
実施例1又は2の構成によれば、以下のようになる。即ち、軸受部材15における感光体ドラム9の側の第1面H1を感光体ドラム9の長手方向の一端部と他端部とを逆向きにした状態にして、軸受部材15をガイド部材17に組み込み直す。そうすると、クリーニングシート22の表面に形成される帯電ローラ10とのニップ位置が変更される。
【0050】
ここで、接触帯電装置50を使用した後に、クリーニングシート22の表面に形成される帯電ローラ10とのニップ位置に損傷や付着物等の不都合が生じた場合を想定する。この場合でも、クリーニングシート22の表面における再使用前のニップ位置と異なるニップ位置を再使用時のニップ位置に設定することができる。簡単にいうと、新たに組み込まれた帯電ローラ10の表面とクリーニングシート22の未使用部分が接触するようになり、クリーニングシート22の未使用部分が帯電ローラ10をクリーニングすることになる。そのために、クリーニングシート22の交換を行わなくとも優れた清掃性が得られる。
【0051】
その結果、クリーニングシート22が交換されなくてもクリーニングシート22の耐久性が向上する。ひいては、画像形成装置100、200は、長期に亘り良好な出力画像を出力することができる。加えて、クリーニングシート22やその他の部材を分解若しくは交換する事無く得られる様になり、プロセスカートリッジ23のリユースに係わる労力を軽減できる。
【0052】
その他の効果を例示すると、以下のことが言える。クリーニングシート22の着脱が不要であるので、接触帯電装置50の再使用にかかる労力や時間を短縮できる。クリーニングシート22が同一部材のままでも、帯電ローラ10は長期に亘って優れた帯電性を維持することができ、また、長期に亘って良好な画像が得られる。
【0053】
次に、実施例1又は2の構成によれば、クリーニングシート22は、装置本体100Aに固定端22xを固定され、先端側が自由端22yとされる。そして、自由端22yが帯電ローラ10の表面に摺擦して、クリーニングシート22と帯電ローラ10の間に安定したニップが形成される。その結果、クリーニングシート22と、これを枠体等に固定する固定手段のみの簡単な構成で、帯電ローラ10を清掃することができる。
【0054】
また、感光体ドラム9と転写ローラの画像進行方向と直交する方向の寸法を、画像形成装置100で形成する最大画像幅に合せて設定し、必要以上に幅広に設定する必要が無くなる。また、感光体ドラム9と、転写ローラ13を固定して配置出来るため、感光体ドラム9周辺の構成を簡略化出来、メンテナンス性が向上する。
【符号の説明】
【0055】
9 感光体ドラム(像担持体)
10 帯電ローラ
15 軸受部材
16 バネ(付勢手段)
17 ガイド部材
22 クリーニングシート(清掃部材)
50 接触帯電装置
300 ニップ形成部(ニップ形成手段)
J1 中心
J2 中心
J3 中心
X 第1仮想平面
Y 第2仮想平面
Q 第1姿勢
R 第2姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体の表面に接触して前記像担持体の表面を帯電する帯電ローラと、
前記帯電ローラの軸を支持する軸受部材、前記軸受部材の動作を案内するガイド部材、及び、前記帯電ローラを前記像担持体の方へと付勢する付勢手段を有し、前記帯電ローラを前記像担持体に当接させてニップを形成するニップ形成手段と、
前記帯電ローラに対向して配置され、前記帯電ローラとニップを形成して前記帯電ローラを清掃する清掃部材と、を備え、
前記付勢手段が前記軸受部材を付勢する付勢位置の中心と前記像担持体の中心とを結ぶ面を第1仮想平面とし、前記第1仮想平面と平行な面で前記帯電ローラの中心を通る面を第2仮想平面とし、前記第1仮想平面が前記第2仮想平面の第1面の側の位置するときの前記軸受部材の姿勢を第1姿勢とし、前記第1仮想平面が前記第2仮想平面の第2面の側に位置するときの前記軸受部材の姿勢を第2姿勢とした場合に、
前記軸受部材における前記像担持体の側の面を前記像担持体に向けたまま前記軸受部材の長手方向の一端部と他端部とを逆向きにした状態にして前記軸受部材を前記ガイド部材に組み込み直すと、前記軸受部材の姿勢は、前記第1姿勢から前記第2姿勢へと移行、又は、前記第2姿勢から前記第1姿勢へと移行して、前記清掃部材に対する前記帯電ローラが形成するニップの位置が変わることを特徴とする接触帯電装置。
【請求項2】
前記軸受部材は、前記像担持体の方に向かって開口すると共に前記帯電ローラの前記軸を受ける第1受穴を有し、前記第1受穴は、撓むことで開閉自在であり、
前記第1受穴の断面中心は、前記軸受部材の断面中心に対して前記第1仮想平面に沿う方向に偏心していることを特徴とする請求項1に記載の接触帯電装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記像担持体の方に向かって開口すると共に前記軸受部材を受けて案内する第2受穴を有し、前記第2受穴は、撓むことで開閉自在であり、
前記ガイド部材が前記軸受部材の取り出しを規制する力は、前記軸受部材が前記帯電ローラの前記軸の取り出しを規制する力よりも強く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の接触帯電装置。
【請求項4】
前記清掃部材は、前記ガイド部材以外の画像形成装置本体に固定される固定端、及び、前記固定端のもう一方の端部である自由端を有するシート部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接触帯電装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の接触帯電装置を備え、画像形成装置本体に着脱自在に取付けられるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の接触帯電装置、又は、請求項5に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−109209(P2013−109209A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255008(P2011−255008)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】