説明

掲示板管理装置、掲示板管理方法及び掲示板管理プログラム

【課題】電子掲示板の情報が設置主旨に沿った有用なものであるか否かを推定するための情報を第三者に提供する。
【解決手段】管理処理部14が、電子掲示板の管理者からの要求に応じて、電子掲示板の管理に関する処理を行う。また、管理履歴データ生成部14bが、管理処理部14により電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する。そして、管理履歴データ挿入部14cが、管理履歴データ生成部14bにより生成された管理履歴データを電子掲示板上で公開されるページデータに挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する掲示板管理装置、掲示板管理方法及び掲示板管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信網に接続された情報処理装置を介して複数の利用者が自由に情報を書き込み、公衆の閲覧に供する電子掲示板がある。電子掲示板は、匿名で情報を書き込めることから利用者にとって自由度が高く、他の方法では困難な情報交換を行うことができる。このため、電子掲示板は、コミュニティ構築ツールとして広く利用されている(例えば、非特許文献1〜5参照)。
【0003】
かかる電子掲示板には、匿名で情報を書き込めることから、掲示板の設置主旨とは無関係な情報が書き込まれることもある。そして、このような書き込みによって、電子掲示板に書かれた情報の有用性が劣化してしまう場合もある。また、不要な書き込みによって電子掲示板のページの大部分が埋められてしまうと、閲覧者が必要とする情報を見つけにくくなってしまう。
【0004】
このように、掲示板の設置主旨とは無関係な書き込みはスパム書き込みと呼ばれる。このスパム書き込みへの対策としては、例えば、特定のドメインからの書き込みを一律に禁止する方法がある。また、例えば、電子掲示板を商取引に利用する場合など、情報の信頼性が重視される場合に、匿名性を排除して会員制を前提とする方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
なお、インターネット上に設置される電子掲示板のほとんどは、掲示板システムの提供者が主に個人ユーザを対象として管理者を募るレンタル掲示板である。このようなレンタル掲示板の多くは、一人の管理者が管理すべきページの規模が小さい。そのため、管理者が適切な管理をしていれば、ある程度スパム書き込みがあっても情報の有用性を維持できる。ここでいう適切な管理とは、例えば、書き込みの多寡に応じた頻度で管理者が掲示板システムにログインして、掲示板の設置主旨に外れた書き込みを削除することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−5731号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「RFC2131−Dynamic Host Configuration Protocol」、[平成21年7月1日検索]、インターネット<URL: http://www.ietf.org/rfc/rfc2131.txt>
【非特許文献2】「livedoor したらば掲示板:無料レンタル掲示板」、[平成22年1月7日検索]、インターネット<URL: http://rentalbbs.livedoor.com/>
【非特許文献3】「無料レンタル掲示板−FC2 掲示板」、[平成22年1月7日検索]、インターネット<URL: http://bbs.fc2.com/>
【非特許文献4】「せっかく掲示板−レンタル掲示板」、[平成22年1月7日検索]、インターネット<URL: http://bbs.sekkaku.net/>
【非特許文献5】「掲示板|teacup.無料レンタル掲示板」、[平成22年1月7日検索]、インターネット<URL: http://www.teacup.com/fbbs/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電子掲示板では、管理者が電子掲示板を適切に管理していても、第三者が電子掲示板の管理状況を知る手段がない。なお、ここでいう第三者とは、例えば、電子掲示板の利用者や検索エンジンのロボットなどである。例えば、相当な頻度で閲覧を繰り返している利用者であれば、文面からある程度は管理状況を推量することも可能である。しかし、初めての来訪者や、まして機械にとっては、管理状況の推量は難しい。このことから、従来の電子掲示板では、掲示板システム全般に対する社会の評価が低下し、良好に管理された電子掲示板でも情報が信頼されなくなる可能性があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子掲示板の情報が設置主旨に沿った有用なものであるか否かを推定するための情報を第三者に提供することができる掲示板管理装置、掲示板管理方法及び掲示板管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する掲示板管理装置であって、前記電子掲示板の管理者からの要求に応じて該電子掲示板の管理に関する処理を行う管理手段と、前記管理手段により前記電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記管理履歴データを前記電子掲示板上で公開される公開情報に挿入する挿入手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する掲示板管理装置により実行される掲示板管理方法であって、前記電子掲示板の管理者からの要求に応じて該電子掲示板の管理に関する処理を行うステップと、前記電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成するステップと、前記管理履歴データを前記電子掲示板上で公開される公開情報に挿入するステップとを含んだことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する掲示板管理プログラムであって、前記電子掲示板の管理者からの要求に応じて該電子掲示板の管理に関する処理を行う管理手順と、前記管理手順により前記電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する生成手順と、前記生成手順により生成された前記管理履歴データを前記電子掲示板上で公開される公開情報に挿入する挿入手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子掲示板の情報が設置主旨に沿った有用なものであるか否かを推定するための情報を第三者に提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本実施例に係る掲示板システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る掲示板サーバの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、管理履歴データ挿入部によりページデータに挿入される管理履歴データの一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施例に係る掲示板サーバにより実行される掲示板管理方法の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、ブラウザ可視領域に表示された管理履歴データの一例を示す図である。
【図6】図6は、掲示板管理プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る掲示板管理装置、掲示板管理方法及び掲示板管理プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、掲示板サーバ、利用者クライアント、及び管理者クライアントを有する一般的な掲示板システムに本発明を適用した場合について説明するが、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
まず、本実施例に係る掲示板システムの構成について説明する。図1は、本実施例に係る掲示板システムの構成を示す図である。図1に示すように、本実施例に係る掲示板システムは、掲示板サーバ10、複数の利用者クライアント1、及び複数の管理者クライアント2を有する。掲示板サーバ10、各利用者クライアント1、及び各管理者クライアント2は、インターネット3を介して互いに通信可能に接続されている。
【0017】
掲示板サーバ10は、通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を提供する。例えば、掲示板サーバ10は、システム設置者によって保有される。そして、掲示板サーバ10により提供される電子掲示板は、いわゆるレンタル掲示板であり、システム設置者から管理者権限を貸与された複数の管理者によってそれぞれ管理される。
【0018】
利用者クライアント1は、掲示板サーバ10により提供される電子掲示板を利用する際に利用者が使用する端末装置である。例えば、利用者クライアント1は、利用者による操作に応じて、電子掲示板の情報を閲覧するための閲覧要求や、電子掲示板へ情報を書き込むための書き込み要求を掲示板サーバ10に送信する。また、例えば、利用者クライアント1は、閲覧を要求した電子掲示板に関するページデータが掲示板サーバ10から送信されると、送信されたページデータをブラウザ経由で表示する。
【0019】
管理者クライアント2は、システム設置者から管理者権限を貸与された管理者が自身の電子掲示板を管理する際に使用する端末装置である。例えば、管理者クライアント2は、管理者による操作に応じて、掲示板サーバ10にログインするためのログイン要求を掲示板サーバ10に送信する。また、例えば、管理者クライアント2は、管理者による操作に応じて、電子掲示板に書き込まれた情報の中から掲示板の設置主旨に外れた書き込みを削除するための記事削除要求を掲示板サーバ10に送信する。
【0020】
このような構成のもと、本実施例では、掲示板サーバ10が、電子掲示板の管理者からの要求に応じて、電子掲示板の管理に関する処理を行う。そして、掲示板サーバ10は、電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成して、その電子掲示板上で公開される公開情報に挿入する。
【0021】
このように、本実施例では、第三者に対して電子掲示板の管理状況に関する情報が明示的に与えられる。ここでいう第三者とは、例えば、電子掲示板の利用者や検索エンジンのロボットなどである。これにより、第三者は、電子掲示板の管理が適切に行われているのか、それとも、スパム書き込みが放置されているのかを判別することができるようになる。すなわち、本実施例によれば、電子掲示板の情報が設置主旨に沿った有用なものであるか否かを推定するための情報を第三者に提供することが可能になる。
【0022】
次に、本実施例に係る掲示板サーバ10の構成について説明する。図2は、本実施例に係る掲示板サーバ10の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、掲示板サーバ10は、通信制御部11、記憶部12、掲示板処理部13、及び管理処理部14を有する。
【0023】
通信制御部11は、インターネット3を介して利用者クライアント1又は管理者クライアント2との間でやり取りされる情報の送受信を制御する。例えば、通信制御部11は、利用者クライアント1から閲覧要求又は書き込み要求を受信すると、受信した要求を後述する掲示板処理部13に送る。また、例えば、通信制御部11は、管理者クライアント2からログイン要求又は記事削除要求を受信すると、受信した要求を後述する管理処理部14に送る。
【0024】
記憶部12は、掲示板サーバ10により処理される各種情報を記憶する。例えば、記憶部12は、ページデータ記憶部12a及びログイン履歴記憶部12bを有する。なお、この記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やRAM(Random Access Memory)などにより実現される。
【0025】
ページデータ記憶部12aは、電子掲示板を構成するページデータを電子掲示板ごとに記憶する。ここでいうページデータは、電子掲示板上で公開される公開情報である。なお、本実施例では、ページデータはHTML(HyperText Markup Langage)形式で記述されることとする。
【0026】
例えば、ページデータには、電子掲示板として表示されるページの上段や下段に表示される共通事項欄や、ページの中段に表示される記事欄などが含まれる。共通事項欄には、管理者によって記載された掲示板の設置主旨や、ページの切り替えや情報の書き込みを行うための操作ボタン、広告などが表示される。また、記事欄には、利用者により書き込まれた情報が時刻順、テーマ順などに整理されて表示される。
【0027】
ログイン履歴記憶部12bは、電子掲示板の管理者が掲示板サーバ10にログインした履歴を示すログイン履歴情報を管理者ごとに記憶する。ここでいうログイン履歴情報には、例えば、管理者が最後にログインした日時が含まれる。この日時を以下では最終ログイン日時と呼ぶ。
【0028】
掲示板処理部13は、掲示板サーバ10により提供される電子掲示板に関する各種処理を行う。この掲示板処理部13は、一般的な掲示板機能を有する。ここで、一般的な掲示板機能とは、任意のインターネット利用者に電子掲示板を閲覧させたり、情報を書き込ませたりする一般公開機能である。
【0029】
例えば、掲示板処理部13は、利用者クライアント1から送信された閲覧要求を受け付けると、その閲覧要求により要求された電子掲示板のページデータをページデータ記憶部12aから読み出す。そして、掲示板処理部13は、読み出したページデータを閲覧要求の送信元の利用者クライアント1に送信する。なお、以下では、かかる処理をページ表示処理と呼ぶ。掲示板処理部13は、利用者クライアント1から送信される閲覧要求に応じて、ページ表示処理を随時行う。
【0030】
また、例えば、掲示板処理部13は、利用者クライアント1から送信された書き込み要求を受け付けると、その書き込み要求とともに送られた書き込み情報をページデータ記憶部12aに記憶されているページデータの記事欄に書き込む。なお、以下では、かかる処理を記事書き込み処理と呼ぶ。掲示板処理部13は、利用者クライアント1から送信される書き込み要求に応じて、記事書き込み処理を随時行う。
【0031】
また、例えば、掲示板処理部13は、電子掲示板ごとに、管理者により設定された禁止ワードを含む書き込みを拒否する処理や、管理者により設定された禁止ドメインからの情報の書き込みを拒否する処理などを行う。
【0032】
そして、本実施例では、掲示板処理部13は、ページ更新部13aを有する。このページ更新部13aは、後述する管理処理部14からページを更新するよう指示された場合に、電子掲示板上で公開中のページデータをページデータ記憶部12aに記憶されているページデータで強制的に更新する。
【0033】
管理処理部14は、電子掲示板の管理者からの要求に応じて、電子掲示板の管理に関する処理を行う。この管理処理部14は、一般的な管理ツールの機能を有する。ここで、一般的な管理ツールの機能とは、電子掲示板の管理一式を可能とする限定公開機能である。
【0034】
例えば、管理処理部14は、管理者クライアント2から送信されたログイン要求を受け付ける。そして、管理処理部14は、ユーザIDやパスワードなどを用いた一般的な認証処理を行うことで、ログイン要求を送信した利用者が管理権限を有する管理者であるか否かを判定する。
【0035】
また、例えば、管理処理部14は、管理者からの要求に応じて、電子掲示板の表示スタイルや禁止ワード、書き込み禁止ドメインなどを設定する。また、例えば、管理処理部14は、管理者からの要求に応じて、電子掲示板に書き込まれている情報を強制的に書き換えたり削除したりする。
【0036】
そして、本実施例では、管理処理部14は、ログイン履歴更新部14a、管理履歴データ生成部14b、及び管理履歴データ挿入部14cを有する。
【0037】
ログイン履歴更新部14aは、電子掲示板の管理者が掲示板サーバ10にログインした場合に、その管理者がログインした日時を含むログイン履歴情報を生成する。そして、ログイン履歴更新部14aは、生成したログイン履歴情報を管理者ごとにログイン履歴記憶部12bに保存する。
【0038】
管理履歴データ生成部14bは、管理処理部14により電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する。例えば、管理履歴データ生成部14bは、電子掲示板の管理者が掲示板サーバ10にログインした場合に、ログイン履歴更新部14aにより生成されたログイン履歴情報に基づいて管理履歴データを生成する。なお、本実施例では、管理履歴データ生成部14bは、管理履歴データを生成する際に、その管理履歴データに管理者の最終ログイン日時を含めることとする。
【0039】
管理履歴データ挿入部14cは、管理履歴データ生成部14bにより生成された管理履歴データをページデータ記憶部12aに記憶されているページデータに挿入する。図3は、管理履歴データ挿入部14cによりページデータに挿入される管理履歴データの一例を示す図である。
【0040】
図3に示すように、例えば、管理履歴データ挿入部14cは、ページデータがHTML形式で記述されている場合に、管理履歴データに含まれる最終ログイン日時をページデータに含まれるヘッダ領域にメタデータ4として挿入する。なお、図3に示す例では、最終ログイン日時を年月日とした場合を示しているが、例えば、最終ログイン日時にさらに時刻を含めるようにしてもよい。
【0041】
一般的に、検索エンジンのロボットなどは、ページデータのメタデータを読み取ることができる。したがって、本実施例のように、最終ログイン日時を含む管理履歴データをページデータのメタデータとして挿入することで、検索エンジンのロボットなどが、電子掲示板の管理が適切に行われているのか、あるいは、スパム書き込みが放置されているのかを判別することができるようになる。
【0042】
そして、管理履歴データ挿入部14cは、管理履歴データをページデータに挿入した後に、掲示板処理部13に対してページを更新するよう指示する。これにより、電子掲示板上で公開中のページデータが、最新の管理履歴データが挿入されたページデータで更新される。
【0043】
次に、本実施例に係る掲示板サーバ10により実行される掲示板管理方法の流れについて説明する。図4は、本実施例に係る掲示板サーバ10により実行される掲示板管理方法の流れを示すフローチャートである。
【0044】
図2に示すように、本実施例に係る掲示板サーバ10では、掲示板処理部13が、利用者クライアント1から送信された閲覧要求を受け付けた場合に(ステップS101,Yes)、ページ表示処理を行う(ステップS102)。また、掲示板処理部13は、利用者クライアント1から送信された書き込み要求を受け付けた場合には(ステップS103,Yes)、記事書き込み処理を行う(ステップS104)。これらページ表示処理及び記事書き込み処理は、利用者クライアント1から送信される要求に応じて随時行われる。
【0045】
そして、管理者が掲示板サーバ10にログインした場合には(ステップS105,Yes)、ログイン履歴更新部14aが、ログイン履歴情報を生成し、生成したログイン履歴情報を管理者ごとにログイン履歴記憶部12bに保存する(ステップS106)。その後、管理履歴データ生成部14bが、管理処理部14により電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する(ステップS107)。
【0046】
続いて、管理履歴データ挿入部14cが、管理履歴データ生成部14bにより生成された管理履歴データをページデータ記憶部12aに記憶されているページデータに挿入する(ステップS108)。そして、ページ更新部13aが、管理処理部14からの指示により、電子掲示板上で公開中のページデータを管理履歴データが挿入されたページデータで強制的に更新する(ステップS109)。
【0047】
その後、管理処理部14が、電子掲示板の管理者からの要求に応じて、各種の電子掲示板の管理に関する処理を行う(ステップS110)。そして、管理処理部14は、管理者が掲示板サーバ10からログアウトした場合に(ステップS111,Yes)、処理を終了する。
【0048】
上述したように、本実施例では、管理処理部14が、電子掲示板の管理者からの要求に応じて、電子掲示板の管理に関する処理を行う。また、管理履歴データ生成部14bが、管理処理部14により電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する。そして、管理履歴データ挿入部14cが、管理履歴データ生成部14bにより生成された管理履歴データを電子掲示板上で公開されるページデータに挿入する。したがって、本実施例によれば、管理履歴データに基づいて、電子掲示板の管理状況を把握することができるようになる。すなわち、本実施例によれば、電子掲示板の情報が設置主旨に沿った有用なものであるか否かを推定するための情報を第三者に提供することができる。
【0049】
また、本実施例では、管理処理部14が、管理者からのログイン要求を受け付ける。そして、ページ更新部13aが、管理処理部14によりログイン要求が受け付けられた場合に、電子掲示板上で公開中のページデータを管理履歴データ挿入部14cにより管理履歴データが挿入されたページデータで更新する。したがって、本実施例によれば、管理者によって管理作業が行われた時点で管理履歴データが自動的に更新されるので、電子掲示板の情報が設置主旨に沿った有用なものであるか否かを推定するための情報をより正確に提供することができる。
【0050】
また、本実施例では、管理履歴データ生成部14bが、管理履歴データを生成する際に、その管理履歴データに管理者の最終ログイン日時を含める。したがって、本実施例によれば、電子掲示板が最近も管理されているか、それとも長期間放置されているかを判別することができるようになる。また、放置されている期間が長いか短いかを判定することによって、電子掲示板に書き込まれている情報に掲示板の設置主旨とは無関係な広告等が多く含まれている可能性が大きいか小さいかを判別することができるようになる。また、電子掲示板に表示される情報に日時が付加されていれば、管理人の最終ログイン以前から存在する情報と、管理人の最終ログイン後に書き込まれた情報とを判別することができるようになる。また、管理人の最終ログイン日時以外に、過去一定期間のログイン回数や、ログイン時に電子掲示板の設定を操作したか否かを示す情報や、電子掲示板に書かれた情報の修正や削除を行ったか否かを示す情報などを管理履歴データに含めるようにしてもよい。これにより、電子掲示板の管理状況をより精密に判別することができるようになる。
【0051】
また、本実施例では、ページデータがHTML形式で記述された情報である。そして、管理履歴データ挿入部14cが、ページデータに含まれるヘッダ領域にメタデータとして管理履歴データを挿入する。したがって、本実施例によれば、検索エンジンのロボットなどが、電子掲示板の管理が適切に行われているのか、あるいは、スパム書き込みが放置されているのかを判別することができるようになる。例えば、従来、検索エンジンでは、検索結果の中で掲示板の表示順位を一律に低く設定するという調整が行われる場合もあり、有用な情報が埋もれてしまう場合もあった。しかし、本実施例によれば、検索エンジンのロボットが電子掲示板の管理状況を判定することができるので、適切に管理された電子掲示板に書かれた有用な情報がスパム書き込みによって埋没するのを防ぐことができる。
【0052】
なお、上記実施例では、HTML形式で記述されたページデータのメタデータに管理履歴データを挿入することで、検索エンジンのロボットなどが電子掲示板の管理状況を判別することができるようにした。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、管理履歴データの内容をブラウザ経由でクライアントに表示することで、利用者が電子掲示板の管理状況を判別することができるようにしてもよい。
【0053】
この場合には、例えば、管理履歴データ挿入部14cが、ページデータに含まれるブラウザ可視表示領域に閲覧用データとして管理履歴データを挿入する。図5は、ブラウザ可視領域に表示された管理履歴データの一例を示す図である。図5に示すように、例えば、管理履歴データ挿入部14cは、電子掲示板として表示されるページの上部に管理者の最終ログイン日時が表示されるように、管理履歴データに含まれる最終ログインをページデータに含まれるブラウザ可視表示領域に挿入する。
【0054】
このように、最終ログイン日時を含む管理履歴データがページデータのブラウザ可視表示領域に閲覧用データとして挿入されることで、利用者が、電子掲示板の管理が適切に行われているのか、それとも、スパム書き込みが放置されているのかを判別することができるようになる。なお、管理履歴データは、メタデータ及びブラウザ可視表示領域の両方に挿入されてもよい。
【0055】
また、上記実施例では、管理者が掲示板サーバ10にログインした際に、ログイン履歴情報に基づいて管理履歴データを生成する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、一般的な掲示板サーバの中には、利用者によって電子掲示板への書き込みが行われた際に、その電子掲示板の管理者に対して、書き込まれた情報の内容をメールで通知する機能を有するものもある。このような掲示板サーバに本発明を適用する場合には、例えば、管理者へ送信されるメールの宛先アドレスの存在が確認された際に、管理履歴データを生成するようにしてもよい。
【0056】
この場合には、例えば、管理処理部14が、利用者による電子掲示板への書き込みを監視し、書き込みが行われた場合に、書き込まれた情報の内容をページデータ記憶部12aに記憶されたページデータの記事欄から取得する。また、管理処理部14は、情報が書き込まれた掲示板の管理者に対して、書き込まれた情報の内容を含めたメールを送信する。その後、管理処理部14は、所定の時間が経過しても、送信したメールの宛先アドレスが存在しないことを示すエラー通知をメールサーバから受信しなかった場合に、その宛先アドレスが存在していると判定する。そして、管理処理部14によって宛先アドレスが存在していると判定された場合に、管理履歴データ生成部14bが、管理履歴データを生成する。
【0057】
また、例えば、電子掲示板の管理者は、掲示板サーバにはログインせずに、自身の電子掲示板を閲覧することでスパム書き込みが無いか監視する場合もある。そこで、例えば、掲示板サーバ10が、電子掲示板の閲覧者が管理者であるか否かを判定し、閲覧者が管理者であった場合に、管理履歴データを生成するようにしてもよい。
【0058】
この場合には、例えば、管理処理部14が、管理者によってログインされた際に、管理者クライアント2にクッキーを保存する。そして、管理処理部14は、電子掲示板が閲覧される際に閲覧者のクライアントから送信されるクッキーに基づいて、閲覧者が管理者であるか否かを判定する。そして、管理処理部14によって閲覧者が管理者であると判定された場合に、管理履歴データ生成部14bが、管理履歴データを生成する。
【0059】
なお、管理履歴データの生成については、上述したログイン履歴情報に基づく方法、管理者へのメールの宛先アドレス確認に基づく方法、クッキーによる管理者確認に基づく方法のうち、いずれか2つ又は3つの方法を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
なお、上記実施例で説明した掲示板サーバ10の構成は、要旨を逸脱しない範囲で各種の形態に変更することができる。例えば、図2に示した掲示板処理部13及び管理処理部14の機能をソフトウェアで実装し、そのソフトウェアをコンピュータで実行することで掲示板サーバ10の機能を実現することもできる。
【0061】
以下に、掲示板処理部13及び管理処理部14の機能をソフトウェアで実装した掲示板管理プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。図6は、掲示板管理プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。なお、図6に示すコンピュータ100は、図2に示した掲示板サーバ10に対応する。
【0062】
コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)110、入力装置120、出力装置130、媒体読取装置140、及びネットワークインタフェース150を有する。CPU110は、各種の演算処理を実行する。入力装置120は、各種データの入力を利用者から受け付ける。出力装置130は、CPU110により処理された各種データを出力する。媒体読取装置140は、記憶媒体からプログラム等を読み取る。ネットワークインタフェース150は、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行う。例えば、ネットワークインタフェース150は、図2に示した通信制御部11に対応する。
【0063】
また、コンピュータ100は、RAM160及びHDD170を有する。RAM160は、CPU110により処理される各種情報を一時的に記憶する。HDD170は、各種データや各種プログラムを記憶する。例えば、HDD170は、図2に示した記憶部12に対応する。
【0064】
そして、例えば、HDD170は、図2に示した掲示板処理部13と同様の機能を有する掲示板処理プログラム171、及び、図2に示した管理処理部14と同様の機能を有する管理処理プログラム172を記憶する。また、CPU110は、HDD170から掲示板処理プログラム171及び管理処理プログラム172を読み出してRAM160に展開する。その後、CPU110は、掲示板処理プログラム171を掲示板処理プロセス111として実行し、管理処理プログラム172を管理処理プロセス112として実行する。
【0065】
なお、掲示板処理プログラム171及び管理処理プログラム172は、必ずしもHDD170に格納されている必要はなく、例えば、CD−ROM等の記憶媒体に記憶され、記憶媒体から読み出されて実行されてもよい。または、掲示板処理プログラム171及び管理処理プログラム172は、他のコンピュータによって記憶され、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等を介して取得されて実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明に係る掲示板管理装置、掲示板管理方法及び掲示板管理プログラムは、通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する場合に有用であり、特に、電子掲示板に書かれた情報の有用性を推定することが求められる場合に適している。
【符号の説明】
【0067】
1 利用者クライアント
2 管理者クライアント
3 インターネット
10 掲示板サーバ
11 通信制御部
12 記憶部
12a ページデータ記憶部
12b ログイン履歴記憶部
13 掲示板処理部
13a ページ更新部
14 管理処理部
14a ログイン履歴更新部
14b 管理履歴データ生成部
14c 管理履歴データ挿入部
100 コンピュータ
110 CPU(Central Processing Unit)
111 掲示板処理プロセス
112 管理処理プロセス
120 入力装置
130 出力装置
140 媒体読取装置
150 ネットワークインタフェース
160 RAM(Random Access Memory)
170 HDD(Hard Disk Drive)
171 掲示板処理プログラム
172 管理処理プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する掲示板管理装置であって、
前記電子掲示板の管理者からの要求に応じて該電子掲示板の管理に関する処理を行う管理手段と、
前記管理手段により前記電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記管理履歴データを前記電子掲示板上で公開される公開情報に挿入する挿入手段と
を備えたことを特徴とする掲示板管理装置。
【請求項2】
前記管理手段は、前記管理者からのログイン要求を受け付け、
前記管理手段により前記ログイン要求が受け付けられた場合に、前記電子掲示板上で公開中の公開情報を前記挿入手段により前記管理履歴データが挿入された公開情報で更新する更新手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の掲示板管理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記管理履歴データを生成する際に、該管理履歴データに管理者の最終ログイン日時を含めることを特徴とする請求項1又は2に記載の掲示板管理装置。
【請求項4】
前記公開情報はHTML形式で記述された情報であり、
前記挿入手段は、前記公開情報に含まれるヘッダ領域にメタデータとして前記管理履歴データを挿入することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の掲示板管理装置。
【請求項5】
前記公開情報はHTML形式で記述された情報であり、
前記挿入手段は、前記公開情報に含まれるブラウザ可視表示領域に閲覧用データとして前記管理履歴データを挿入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の掲示板管理装置。
【請求項6】
前記管理手段は、前記電子掲示板への書き込みが行われた場合に該電子掲示板の管理者へメールを送信し、送信したメールの宛先アドレスが存在するか否かを判定し、
前記生成手段は、前記管理手段により前記宛先アドレスが存在すると判定された場合に、前記管理履歴データを生成する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の掲示板管理装置。
【請求項7】
前記管理手段は、前記電子掲示板が閲覧される際に閲覧者のクライアントから送信されるクッキーに基づいて、該閲覧者が管理者であるか否かを判定し、
前記生成手段は、前記管理手段により前記閲覧者が管理者であると判定された場合に、前記管理履歴データを生成する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の掲示板管理装置。
【請求項8】
通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する掲示板管理装置により実行される掲示板管理方法であって、
前記電子掲示板の管理者からの要求に応じて該電子掲示板の管理に関する処理を行うステップと、
前記電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成するステップと、
前記管理履歴データを前記電子掲示板上で公開される公開情報に挿入するステップと
を含んだことを特徴とする掲示板管理方法。
【請求項9】
通信網に接続された情報処理装置を介して情報が書き込まれ、書き込まれた情報を公開する電子掲示板を管理する掲示板管理プログラムであって、
前記電子掲示板の管理者からの要求に応じて該電子掲示板の管理に関する処理を行う管理手順と、
前記管理手順により前記電子掲示板の管理に関する処理が行われた履歴を示す管理履歴データを生成する生成手順と、
前記生成手順により生成された前記管理履歴データを前記電子掲示板上で公開される公開情報に挿入する挿入手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする掲示板管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−170702(P2011−170702A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35106(P2010−35106)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】