説明

描画制御装置、レーザ照射システム、描画方法、描画プログラム、及び記憶媒体

【課題】描画時間を短縮して、明度を反転させた形状を描画することができる描画制御装置、レーザ照射システム、描画方法、描画プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】塗潰しストローク生成部136が、描画領域を塗潰す複数のストロークである塗潰しストロークを生成する。形状ストローク生成部138が、描画領域に形成される形状のストロークである形状ストロークを生成する。第1検知部140が、塗潰しストロークと形状ストロークとの重複部分を検知する。更新部142が、塗潰しストロークから重複部分を除去して描画ストロークに更新する。描画命令生成部144が、描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成する。描画制御部146が、描画命令を用いて、サーマルリライタブル媒体にエネルギーを伝達して可視情報を描画するレーザ照射装置を制御し、サーマルリライタブル媒体上に描画ストロークを描画させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画制御装置、レーザ照射システム、描画方法、描画プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サーマルリライタブル媒体や金属などの対象物にレーザ光を照射することで、当該対象物に文字や記号などの形状を書き込むレーザマーカが知られている。このようなレーザマーカは、各種分野で使用されており、例えば、物流などの分野においては、コンテナなどに貼付されたサーマルリライタブル媒体への物品名や物品の宛先などの印字に用いられている。
【0003】
ところで、対象物に書き込まれる形状を強調するため、形状の明度を反転させて書き込むこと、即ち、形状部分を書き込む明度と背景部分を書き込む明度とを反転させて書き込むことが所望される場合がある。例えば特許文献1には、2次元コードのコードシンボルを明暗反転変換して反転コードシンボルを生成し、生成した反転コードシンボルをドットデータや走査データなどのマーキングデータに変換し、変換したマーキングデータを用いて明度を反転させた2次元コードをワークにレーザマーキングすることが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、ドットデータや走査データなどのマーキングデータに変換するためのラスター化が必要となる。また、ドットデータや走査データなどのマーキングデータを用いて描画を行うため、明度を反転させた形状をラスタスキャンで描画することになる。このため、上述した従来の技術では、明度を反転させた形状を描画するための処理量が多く、描画に時間を要してしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、描画時間を短縮して、明度を反転させた形状を描画することができる描画制御装置、レーザ照射システム、描画方法、描画プログラム、及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる描画制御装置は、描画領域を塗潰す複数のストロークである塗潰しストロークを生成する塗潰しストローク生成手段と、前記描画領域に形成される形状のストロークである形状ストロークを生成する形状ストローク生成手段と、前記塗潰しストロークと前記形状ストロークとの重複部分を検知する第1検知手段と、前記塗潰しストロークから前記重複部分を除去して、描画ストロークに更新する更新手段と、前記描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成する描画命令生成手段と、前記描画命令を用いて、対象物にエネルギーを伝達して可視情報を描画する描画装置を制御し、前記対象物上に前記描画ストロークを描画させる描画制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様にかかるレーザ照射システムは、上記描画制御装置と描画装置とを備えるレーザ照射システムであって、前記描画装置は、前記描画命令に従ってレーザを発振するレーザ発振器と、前記レーザの照射方向を変更する方向制御ミラーと、前記描画命令に従って前記方向制御ミラーを駆動して、前記対象物に前記レーザを照射させる方向制御モータと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の態様にかかる描画方法は、塗潰しストローク生成手段が、描画領域を塗潰す複数のストロークである塗潰しストロークを生成する塗潰しストローク生成ステップと、形状ストローク生成手段が、前記描画領域に形成される形状のストロークである形状ストロークを生成する形状ストローク生成ステップと、第1検知手段が、前記塗潰しストロークと前記形状ストロークとの重複部分を検知する第1検知ステップと、更新手段が、前記塗潰しストロークから前記重複部分を除去して、描画ストロークに更新する更新ステップと、描画命令生成手段が、前記描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成する描画命令生成ステップと、描画制御手段が、前記描画命令を用いて、対象物にエネルギーを伝達して可視情報を描画する描画装置を制御し、前記対象物上に前記描画ストロークを描画させる描画制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様にかかる描画プログラムは、上記描画方法をコンピュータに実行させるためのものである。
【0010】
また、本発明の別の態様にかかる記憶媒体は、上記描画プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、描画時間を短縮して、明度を反転させた形状を描画することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1実施形態のレーザ照射システムの概略構成例を示す構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態のレーザ照射制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、描画位置の一例を示す図である。
【図4】図4は、描画領域の一例を示す図である。
【図5−1】図5−1は、塗潰しストロークの一例を示す図である。
【図5−2】図5−2は、塗潰しストローク情報の一例を示す図である。
【図6−1】図6−1は、ストロークフォントデータの一例を示す図である。
【図6−2】図6−2は、曲線部を直線で近似する手法の説明図である。
【図6−3】図6−3は、直線で近似されたストロークフォントデータの一例を示す図である。
【図6−4】図6−4は、形状ストロークの一例を示す図である。
【図6−5】図6−5は、形状ストローク情報の一例を示す図である。
【図7−1】図7−1は、交点が存在する2線分の例を示す図である。
【図7−2】図7−2は、交点が存在せず、垂線を設定可能な2線分の例を示す図である。
【図7−3】図7−3は、交点が存在せず、垂線を設定不可能な2線分の例を示す図である。
【図8−1】図8−1は、塗潰しストロークと形状ストロークとを描画領域に重ねて配置した状態を示す図である。
【図8−2】図8−2は、塗潰しストロークの更新過程の説明図である。
【図8−3】図8−3は、塗潰しストロークの更新過程の説明図である。
【図8−4】図8−4は、塗潰しストロークの更新過程の説明図である。
【図8−5】図8−5は、塗潰しストロークの更新過程の説明図である。
【図8−6】図8−6は、描画ストロークの一例を示す図である。
【図9−1】図9−1は、描画ストロークの一例を示す図である。
【図9−2】図9−2は、描画命令の一例を示す図である。
【図10】図10は、サーマルリライタブル媒体上に描画される白抜き文字列の一例を示す図である。
【図11】図11は、第1実施形態のレーザ照射システムで行われる処理例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第1実施形態のレーザ照射システムで行われる重複ストローク除去処理例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、第2実施形態のレーザ照射制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図14】図14は、非接触部分が検知された描画ストロークの一例を示す図である。
【図15−1】図15−1は、描画ストロークの一例を示す図である。
【図15−2】図15−2は、他のストロークとの非接触部分が検知されたストロークを示す図である。
【図16−1】図16−1は、描画ストロークの一例を示す図である。
【図16−2】図16−2は、描画命令の一例を示す図である。
【図17】図17は、第2実施形態のレーザ照射システムで行われる処理例を示すフローチャートである。
【図18】図18は、第2実施形態のレーザ照射システムで行われる非接触部分検知処理例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、第3実施形態のレーザ照射制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図20−1】図20−1は、形状ストロークの一例を示す図である。
【図20−2】図20−2は、輪郭ストロークの一例を示す図である。
【図20−3】図20−3は、太字ストロークの一例を示す図である。
【図20−4】図20−4は、輪郭ストロークの一例を示す図である。
【図21−1】図21−1は、描画ストロークと輪郭ストロークとを描画領域に重ねて配置した状態を示す図である。
【図21−2】図21−2は、描画命令の一例を示す図である。
【図22】図22は、サーマルリライタブル媒体上に重ねて描画される描画ストローク及び輪郭ストロークの一例を示す図である。
【図23】図23は、描画ストロークの一例を示す図である。
【図24】図24は、第3実施形態のレーザ照射システムで行われる処理例を示すフローチャートである。
【図25】図25は、第1〜第3実施形態のレーザ照射制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる描画制御装置、レーザ照射システム、描画方法、描画プログラム、及び記憶媒体の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、明度を反転させた形状のストロークである描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成し、生成した描画命令に従ってレーザ光を照射することで、明度を反転させた形状を対象物に書き込む例について説明する。
【0015】
まず、第1の実施形態のレーザ照射システムの構成について説明する。
【0016】
図1は、第1の実施形態のレーザ照射システム100の概略構成の一例を示す構成図である。図1に示すように、レーザ照射システム100は、レーザ照射制御装置110と、レーザ照射装置150とを備える。
【0017】
レーザ照射制御装置110(描画制御装置の一例)は、レーザ照射装置150(描画装置の一例)を制御するための描画命令を生成し、生成した描画命令を用いてレーザ照射装置150を制御する。レーザ照射制御装置110の詳細については後述する。
【0018】
レーザ照射装置150は、レーザ照射制御装置110の制御に従ってサーマルリライタブル媒体170(対象物の一例)にレーザ光を照射することによりサーマルリライタブル媒体170を加熱して、文字や記号などの形状又は明度を反転させた形状を書き込む。レーザ照射装置150は、レーザ発振器152と、光学レンズ154と、方向制御ミラー156と、方向制御モータ158と、集光レンズ160とを備える。
【0019】
レーザ発振器152は、レーザ照射制御装置110により生成された描画命令に従ってレーザを発振するものであり、例えば、半導体レーザ(LD:Laser Diode)、気体レーザ、固体レーザ、又は液体レーザなどにより実現できる。
【0020】
光学レンズ154は、レーザ発振器152により発振されたレーザ光のスポット径を拡大して、方向制御ミラー156に入射させる。
【0021】
方向制御ミラー156は、反射面(図示省略)を備えており、光学レンズ154によりスポット径が拡大されたレーザ光を反射面で反射させてレーザ光の照射方向を変更する。
【0022】
方向制御モータ158は、レーザ照射制御装置110により生成された描画命令に従って方向制御ミラー156を駆動し、方向制御ミラー156の反射面の向きを2軸に制御することにより、サーマルリライタブル媒体170へのレーザ光の照射位置を調整する。方向制御モータ158は、例えば、サーボモータなどにより実現できる。レーザ照射装置150では、方向制御ミラー156及び方向制御モータ158によりガルバノミラーが構成される。
【0023】
集光レンズ160は、方向制御ミラー156から出射されたレーザ光をサーマルリライタブル媒体170の表面に収束させる。
【0024】
サーマルリライタブル媒体170は、発色温度帯まで加熱して急冷することで発色し、発色部を当該発色温度帯より低温の消色温度帯に加熱することで消色する書き換え可能な感熱媒体である。ここでは、サーマルリライタブル媒体170は、加熱により白から黒に発色する感熱媒体とする。つまり、サーマルリライタブル媒体170に書き込まれる形状は、白い背景上に黒い線分で描かれる黒抜きの形状となり、サーマルリライタブル媒体170に書き込まれる明度を反転させた形状は、黒い背景上に白い線分で描かれる白抜きの形状となる。
【0025】
本実施形態では、文字や記号などの形状が書き込まれる対象物としてサーマルリライタブル媒体を例に取り説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、感熱紙(サーマルペーパ)、プラスチック、金属などのように書き換え不可能な媒体であってもよい。なお、対象物にプラスチックや金属を用いた場合、当該プラスチックや金属には、レーザ光の照射により、文字や記号などの形状として当該形状を彫り込んだ刻印(形状を相対的に沈み込ませた刻印)が形成され、明度を反転させた形状として当該形状の周辺を彫り込んだ刻印(形状を相対的に浮き上がらせた刻印)が形成される。
【0026】
また、通常のサーマルリライタブル媒体や感熱紙は、近赤外領域のレーザ光を吸収しない。このため、レーザ発振器152に、半導体レーザや固体レーザのYAGレーザなどの近赤外レーザ波長を発振するレーザ発光素子を用いる場合は、サーマルリライタブル媒体や感熱紙にレーザ光を吸収する材料の添加や層を追加する必要がある。
【0027】
図2は、第1の実施形態のレーザ照射制御装置110の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、レーザ照射制御装置110は、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0028】
記憶部120は、レーザ照射制御装置110で実行される各種プログラムやレーザ照射制御装置110で行われる各種処理に使用される情報などを記憶するものである。記憶部120は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、光ディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの磁気的、光学的、又は電気的に記憶可能な既存の記憶装置により実現できる。記憶部120は、形状情報記憶部122を備える。
【0029】
形状情報記憶部122は、描画対象の形状を示す形状情報を記憶する。例えば、形状情報記憶部122は、文字や記号などが中心線の並び(詳細には、中心線の端点の座標値)で定義されたストロークフォントデータを記憶する。ここでは、ストロークフォントデータは標準化された大きさの座標値で定義されているものとする。なお、ストロークフォントデータに、描画順序を含めるようにしてもよい。
【0030】
制御部130は、レーザ照射装置150を制御するための各種処理を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などにより実現できる。制御部130は、描画位置決定部132と、描画領域決定部134と、塗潰しストローク生成部136と、形状ストローク生成部138と、第1検知部140と、更新部142と、描画命令生成部144と、描画制御部146とを備える。
【0031】
描画位置決定部132は、描画対象の形状の描画位置を決定する。具体的には、描画位置決定部132は、描画基点、描画対象の形状、及び描画対象の形状のサイズなどの描画位置決定データから、描画対象の形状の描画位置を決定する。なお、描画位置決定データは、記憶部120に予め記憶しておいてもよいし、入力部(図示省略)から入力するようにしてもよい。また、描画位置決定データの一部を記憶部120に予め記憶しておき、残りを入力部から入力するようにしてもよい。また、描画位置決定部132は、更に、形状情報記憶部122に記憶されている形状情報を参照して、描画対象の形状の描画位置を決定するようにしてもよい。
【0032】
図3は、描画位置の一例を示す図であり、描画対象の形状である描画対象文字列201に含まれる各文字の描画位置を黒枠で示している。図3に示す例では、描画位置決定部132は、描画基点(x0,y0)を基準として、描画対象文字列201及びそのサイズから各文字の描画位置を決定している。
【0033】
具体的に説明すると、描画位置決定部132は、まず、最初の行の先頭文字(図3に示す例では文字202)の左上が描画基点(x0,y0)となるように描画開始位置を決定する。そして、描画位置決定部132は、先頭文字(図3に示す例では文字202)の文字幅wと文字間に空けるべき隙間shと文字高さhとを決定する。文字幅wは、例えばユーザにより入力部から入力されて設定される文字倍率rとフォントサイズで定義されるフォント文字幅fとの積とすることができる。つまり、w=f*rとなる。文字間の隙間shは、例えばユーザにより入力部から予め入力されて設定される。文字高さhは、例えば文字倍率rとフォントサイズで定義されるフォント文字高さgとの積とすることができる。つまり、h=g*rとなる。これにより、描画位置決定部132は、先頭文字(図3に示す例では文字202)の描画終了位置を(x0+w,y0+g*r)に決定し、次の文字(図3に示す例では文字203)の描画開始位置(x1,y1)を、x1=x0+w+sh、y1=y0に決定する。以下、描画位置決定部132は、算出した描画開始位置を用いて描画終了位置及びその次の文字の描画開始位置を順次決定していき、同一行に含まれる全ての文字の描画開始位置及び描画終了位置を決定する。
【0034】
続いて、描画位置決定部132は、次の行の先頭文字(図3に示す例では文字204)の描画開始位置(x0’,y0’)を、x0’=x0、y0’=y0+g*rに決定する。以下、描画位置決定部132は、算出した描画開始位置を用いて描画終了位置及びその次の文字の描画開始位置を順次決定していき、最初の行と同様に同一行に含まれる全ての文字の描画開始位置及び描画終了位置を決定する。
【0035】
図2に戻り、描画領域決定部134は、描画領域を決定する。図4は、描画領域の一例を示す図である。図4に示す例では、描画領域決定部134は、描画位置決定部132により決定された全ての描画位置を囲む領域を描画領域211に決定している。
【0036】
具体的には、描画領域決定部134は、描画位置決定部132により決定された各文字の描画開始位置及び描画終了位置のうち、描画開始位置の最小値、描画終了位置の最大値を求め、それぞれ、(x0,y0)、(xe,ye)とする。また、描画位置周辺に空けるべき隙間Pは、例えばユーザにより入力部から予め入力されて設定される。但し、レーザ照射装置150は、線幅以下の細い領域は表現できないため、隙間Pは、線幅以上であるものとする。そして、描画領域決定部134は、描画領域(図4に示す例では描画領域211)を(x0−P,y0−P)〜(xe+P,ye+P)に決定する。
【0037】
図2に戻り、塗潰しストローク生成部136は、描画領域を塗潰す複数のストロークである塗潰しストロークを生成する。具体的には、塗潰しストローク生成部136は、塗潰しストロークに含まれる各ストロークの始点及び終点を示す塗潰しストローク情報を塗潰しストロークとして生成する。ここでは、ストロークの始点及び終点は、当該ストロークの中心線の始点及び終点とする。
【0038】
図5−1は、塗潰しストロークの一例を示す図である。図5−1に示す例では、ストロークとして線分を想定しており、塗潰しストローク生成部136は、X方向の線分を線幅分ずつY方向にずらしていくことで塗潰しストロークを生成している。ここで、線幅とは、線分の幅であり、詳細には、レーザ照射装置150でサーマルリライタブル媒体170にストロークを描画した際に、サーマルリライタブル媒体170が発色する発色域の幅を示す。従って、Y方向にずらしていくサイズは、発色域の幅に応じて決定される。なお、サーマルリライタブル媒体170の発色域の幅は、光学レンズ154や集光レンズ160のレンズ位置又は焦点距離、サーマルリライタブル媒体170との距離を調整することで変化させることができる。
【0039】
図5−1に示す例では、塗潰しストローク生成部136は、まず、線分221の中心線223の始点(100,100)及び終点(500,100)を生成する。以下、塗潰しストローク生成部136は、線分221を線幅のサイズである40ずつY方向にずらしていくことで、線分225の中心線227の始点(100,140)及び終点(500,140)、線分229の中心線231の始点(100,180)及び終点(500,180)を順次生成し、図5−2に示す塗潰しストローク情報を生成する。
【0040】
本実施形態では、X方向の線分を線幅分ずつY方向にずらして塗潰しストロークを生成する例について説明したが、塗潰しストロークの生成手法はこれに限定されるものではない。例えば、Y方向の線分を線幅分ずつX方向にずらして塗潰しストロークを生成するなど種々の手法で生成することができる。
【0041】
図2に戻り、形状ストローク生成部138は、描画領域に形成される形状のストロークである形状ストロークを生成する。具体的には、形状ストローク生成部138は、描画対象の形状を示す形状情報を形状情報記憶部122から取得し、取得した形状情報から形状ストロークを生成する。例えば、形状ストローク生成部138は、描画対象文字列201に含まれる各文字のストロークフォントデータを形状情報記憶部122から取得し、取得したストロークフォントデータから各文字の形状ストロークを生成する。詳細には、形状ストローク生成部138は、形状ストロークに含まれるストロークの始点及び終点を示す形状ストローク情報を形状ストロークとして生成する。ここでは、ストロークの始点及び終点は、当該ストロークの中心線の始点及び終点とする。なお、形状ストロークは、単数のストロークであってもよいし、複数のストロークであってもよい。
【0042】
ここで、図6−1〜図6−5を参照しながら、形状ストロークの生成手法を具体的に説明する。
【0043】
図6−1は、ストロークフォントデータの一例を示す図である。図6−1に示す例では、ストロークフォントデータ241は曲線部を有しているが、本実施形態では、ストロークとして線分を想定しているため、形状ストローク生成部138は、ストロークフォントデータ241の曲線部を直線で近似する。これは、曲線部を有していると線分間の距離の算出が複雑になるためである。なお、曲線部を有しているストロークフォントデータには、曲線制御用のデータが含まれているので、形状ストローク生成部138は、曲線制御用のデータの有無から曲線部を有するか否かを判別する。
【0044】
図6−2は、曲線部を直線で近似する手法の説明図である。図6−2に示す例の場合、形状ストローク生成部138は、始点(A,B)から始まり終点(C,D)で終了する曲線部242に対して、所定距離s毎に曲線部246の座標を検出することで(x,y)〜(x,y)の5つの座標を検出している。これにより、形状ストローク生成部138は、曲線部242を線分243〜線分248に近似する。
【0045】
図6−3は、ストロークフォントデータ241を直線で近似したストロークフォントデータ251を示す図である。図6−3に示す例では、ストロークフォントデータ251は、ストロークフォントデータ241の直線部分に相当する線分253、並びにストロークフォントデータ241の曲線部分を直線で近似した線分255、257、及び259から構成されている。そして、形状ストローク生成部138は、ストロークフォントデータ251を描画位置や文字のサイズに合わせるため、変倍を行って形状ストロークを生成する。
【0046】
図6−4は、ストロークフォントデータ251を変倍した形状ストローク261を示す図である。図6−4に示す例では、形状ストローク生成部138は、ストロークフォントデータ251を形状ストローク261に変倍することにより、線分253を変倍した線分263の中心線264の始点(100,50)及び終点(100,500)、線分255を変倍した線分265の中心線266の始点(100,220)及び終点(230,50)、線分257を変倍した線分267の中心線268の始点(230,50)及び終点(300,50)、線分259を変倍した線分269の中心線270の始点(300,50)及び終点(400,100)を生成し、図6−5に示す形状ストローク情報を生成する。
【0047】
本実施形態では、ストロークフォントデータを直線で近似した後に変倍を行って形状ストロークを生成する例について説明したが、形状ストロークの生成手法はこれに限定されるものではない。例えば、ストロークフォントデータの変倍を行った後に直線で近似して形状ストロークを生成したり、直線近似のみを行って形状ストロークを生成したりするなど種々の手法で生成することができる。
【0048】
図2に戻り、第1検知部140は、塗潰しストロークと形状ストロークとの重複部分を検知する。具体的には、第1検知部140は、塗潰しストローク情報により特定される各ストロークの中心線と形状ストローク情報により特定される各ストロークの中心線との距離が、線幅(発色域の幅)以下となる部分を重複部分として検知する。
【0049】
ここで、第1検知部140の重複部分の検知手法について詳細に説明する。第1検知部140は、塗潰しストローク情報や形状ストローク情報に基づき、線分の位置と線の太さに起因して重複する可能性のある線分を検出する。例えば第1検知部140は、図5−2の塗潰しストローク情報が示す塗潰しストロークの座標と図6−5の形状ストローク情報が示す形状ストロークの座標とから重複が生じるか否かを判定する。
【0050】
具体的には、第1検知部140は、以下のルールに従って、線分の座標から線分同士の距離を求める。
・線分同士に交点がある場合、距離は、ゼロ
・線分同士に交点がない場合、距離は、一方の線分の端点から他方の線分に下ろした垂線の距離(垂線が設定できる場合)線分同士の端点間距離の少なくともいずれか
【0051】
まず、第1検知部140は、2線分それぞれを直線の方程式で表してその連立方程式を解き、線分内に交点が存在する場合に、線分同士に交点があり、距離はゼロと判断する。例えば、2線分それぞれの直線の方程式が数式(1)、(2)であり、交点を(xp,yp)とすると、連立方程式は、数式(3)となる。
y=a1x+b1 …(1)
y=a2x+b2 …(2)
(xp,yp)=((b2−b1)/(a1−a2),a1xp+b1) …(3)
【0052】
続いて、第1検知部140は、線分同士に交点がない場合、一方の線分の端点から他方の線分に下ろした垂線を算出し、算出した垂線と他方の線分との交点を求め、求めた交点が他方の線分内に存在すれば垂線の長さ(一方の線分の端点から他方の線分との交点までの距離)を算出する。例えば、垂線の方程式は、数式(4)となる。
y=cx+d …(4)
【0053】
更に、第1検知部140は、線分同士に交点がない場合、両線分の端点間同士の距離、即ち4つの距離を算出する。なお、第1検知部140は、線分間の垂線を算出できない場合のみ、両線分の端点間同士の距離を算出するようにしてもよい。
【0054】
図7−1は、交点が存在する2線分の一例を示す図であり、図7−2は、交点が存在せず、垂線を設定可能な2線分の一例を示す図であり、図7−3は、交点が存在せず、垂線を設定不可能な2線分の一例を示す図である。図7−1に示す例の場合、第1検知部140は、数式(3)の連立方程式を解くと線分内に交点が存在するため、線分同士に交点があり、距離はゼロと判断する。また、図7−2に示す例の場合、第1検知部140は、数式(3)の連立方程式を解くと線分内に交点が存在しないため、線分同士に交点がないと判断する。このため、第1検知部140は、一方の線分の端点から他方の線分に下ろした垂線を算出し、算出した垂線と他方の線分との交点が他方の線分内に存在するため、垂線の長さを算出する。また、第1検知部140は、両線分の端点間同士の距離を算出する。
また、図7−3に示す例の場合、2線分が平行しているため、第1検知部140は、数式(3)の連立方程式を解いても交点が得られず、線分同士に交点がないと判断する。このため、第1検知部140は、一方の線分の端点から他方の線分に下ろした垂線を算出するが、算出した垂線と他方の線分との交点が他方の線分内に存在しないため、両線分の端点間同士の距離を算出する。
【0055】
そして、第1検知部140は、求めた距離が線幅(発色域の幅)以下となる部分を重複部分として検知し、重複部分が検知された1対の線分を抽出する。なお、第1検知部140は、線幅(発色域の幅)−距離を重複量として検知する。
【0056】
更新部142は、塗潰しストロークから重複部分を除去して、描画ストロークに更新する。具体的には、更新部142は、塗潰しストローク情報から重複部分の情報を除去して描画ストローク情報に更新する。
【0057】
図8−1は、塗潰しストロークと形状ストロークとを描画領域に重ねて配置した状態を示す図である。図8−1に示す例では、第1検知部140は、最初に、形状ストローク296に含まれるストローク298と塗潰しストローク281に含まれるストローク283〜294との重複部分を、ストローク283〜294の順番で検知する。この場合、まず、第1検知部140は、ストローク298とストローク284との重複を検知するので、更新部142は、ストローク298との重複部分をストローク284から除去して、ストローク284a、bに更新し、ストローク284a、bの座標を決定することで、図8−2に示す状態とする。続いて、第1検知部140は、ストローク298とストローク285との重複を検知するので、更新部142は、ストローク298との重複部分をストローク285から除去してストローク285a、bに更新し、ストローク285a、bの座標を決定することで、図8−3に示す状態とする。
【0058】
ストローク298とストローク283〜294との重複検知が終了すると、第1検知部140は、形状ストローク296に含まれるストローク299と塗潰しストローク281に含まれるストローク283〜294との重複部分を、ストローク283〜294の順番で検知する。この場合、まず、第1検知部140は、ストローク299とストローク286との重複を検知するので、更新部142は、ストローク299との重複部分をストローク286から除去してストローク286a、bに更新し、ストローク286a、bの座標を決定することで、図8−4に示す状態とする。以下、第1検知部140及び更新部142は、重複部分の検知及び除去を繰り返し、図8−5に示す状態とする。
【0059】
そして、更新部142は、図8−5に示す状態から、形状ストローク296を除去して、図8−6に示す描画ストローク321に更新する。
【0060】
図2に戻り、描画命令生成部144は、描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成する。具体的には、描画命令生成部144は、描画ストローク情報を、レーザ照射装置150が解釈できるフォーマットに変換することにより描画命令を生成する。例えば、描画命令生成部144は、描画ストローク情報にストローク毎の描画待機時間やストロークの線幅(太さ)などを加えて描画命令を生成する。
【0061】
図9−1は、描画ストロークの一例を示す図であり、図9−2は、図9−1に示す描画ストロークを描画するための描画命令を示す図である。図9−2に示す描画命令は、命令コード及びパラメータで構成されている。命令コード「t」は、ストロークの線幅をパラメータで指定された値に設定する命令である。命令コード「m」は、パラメータで指定された座標位置に、レーザ光の照射位置を移動させる命令である。命令コード「d」は、パラメータで指定された座標位置までレーザ光を照射させることによりストロークを描画させる命令である。命令コード「w」は、パラメータで指定された時間待機させる命令である。
【0062】
図2に戻り、描画制御部146は、描画命令を用いてレーザ照射装置150を制御し、サーマルリライタブル媒体170上に描画ストロークを描画させる。
【0063】
例えば、描画制御部146が図9−2に示す描画命令を用いてレーザ照射装置150を制御してサーマルリライタブル媒体170上に図9−1に示す描画ストロークを描画させる場合、まず、レーザ照射装置150は、ストロークの線幅を40に設定する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(100,100)に移動させ、座標(1200,100)までのストロークを描画する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(100,140)に移動させ、時間「50」待機した後、座標(180,140)までのストロークを描画する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(500,140)に移動させ、座標(610,140)までのストロークを描画する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(680,140)に移動させ、座標(1200,140)までのストロークを描画する。以下、レーザ照射装置150が描画命令に従った動作を行うことにより、図10に示す白抜き文字列がサーマルリライタブル媒体170上に描画(形成)される。
【0064】
次に、第1の実施形態のレーザ照射システムの動作について説明する。
【0065】
図11は、第1の実施形態のレーザ照射システム100で行われる処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、描画対象の形状として文字列を例に取り説明する。
【0066】
まず、描画位置決定部132は、描画対象の形状である描画対象文字列に含まれる各文字の描画位置を決定する(ステップS100)。
【0067】
続いて、描画領域決定部134は、描画位置決定部132により決定された全ての描画位置を囲む領域を描画領域に決定する(ステップS102)。
【0068】
続いて、塗潰しストローク生成部136は、描画領域決定部134により決定された描画領域を塗潰す塗潰しストロークを生成する(ステップS104)。
【0069】
続いて、形状ストローク生成部138は、描画対象文字列に含まれる1文字のストロークフォントデータを形状情報記憶部122から取得し、取得したストロークフォントデータから当該文字の形状ストロークを生成する(ステップS106)。
【0070】
続いて、第1検知部140及び更新部142は、塗潰しストローク生成部136により生成された塗潰しストロークと形状ストローク生成部138により生成された1文字分の形状ストロークとの重複部分を検知して除去する重複ストローク除去処理を行う(ステップS108)。なお、重複ストローク除去処理の詳細については後述する。
【0071】
そして、描画対象文字列に含まれる全ての文字の形状ストロークに対して重複ストローク除去処理が行われるまで、ステップS106〜ステップS110の処理が繰り返される(ステップS110でNo)。
【0072】
描画対象文字列に含まれる全ての文字の形状ストロークに対して重複ストローク除去処理が行われると(ステップS110でYes)、塗潰しストロークから描画対象文字列の形状ストロークとの重複部分が除去された描画ストロークが生成される。描画命令生成部144は、生成された描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成する(ステップS112)。
【0073】
続いて、描画制御部146は、描画命令生成部144により生成された描画命令を用いて、レーザ照射装置150を制御する(ステップS114)。
【0074】
続いて、レーザ照射装置150は、レーザ照射制御装置110の制御に従って、サーマルリライタブル媒体170にレーザ光を照射し、サーマルリライタブル媒体170上に描画ストロークを描画する(ステップS116)。
【0075】
図12は、図11のフローチャートのステップS108に示す重複ストローク除去処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、第1検知部140は、形状ストロークに含まれる1のストロークを重複検知対象に設定する(ステップS130)。
【0077】
続いて、第1検知部140は、塗潰しストロークに含まれる1のストロークを重複検知対象に設定する(ステップS132)。
【0078】
続いて、第1検知部140は、重複検知対象に設定した両ストロークが重複するか否かを確認する(ステップS134)。
【0079】
第1検知部140により両ストロークの重複が検知された場合(ステップS134でYes)、更新部142は、重複検知対象に設定された塗潰しストロークのストロークから重複部分を除去する(ステップS136)。なお、第1検知部140により両ストロークの重複が検知されなかった場合(ステップS134でNo)、更新部142は、ステップS136の処理を行わない。
【0080】
そして、重複検知対象に設定された形状ストロークのストロークと塗潰しストロークに含まれる全てのストロークとの重複確認が行われるまで、ステップS132〜ステップS138の処理が繰り返される(ステップS138でNo)。
【0081】
重複検知対象に設定された形状ストロークのストロークと塗潰しストロークに含まれる全てのストロークとの重複確認が行われると(ステップS138でYes)、形状ストロークに含まれる他のストロークに対して、ステップS130〜ステップS140の処理が繰り返される(ステップS140でNo)。
【0082】
形状ストロークに含まれる全てのストロークの重複確認が行われると(ステップS140でYes)、第1検知部140及び更新部142は、重複ストローク除去処理を終了する。
【0083】
以上のように第1の実施形態では、レーザ照射制御装置110は、ベクトルデータである描画ストロークをそのまま解釈する描画命令を生成し、生成した描画命令を用いて描画ストロークが示す明度を反転させた形状を描画させる。このように第1の実施形態によれば、描画ストロークをラスターデータに変換せずに描画命令を生成できるので、描画時間を短縮して、明度を反転させた形状を描画することができる。また、データサイズの大きいラスターデータを生成する必要がないため、メモリなどの記憶装置の記憶容量を節約することもできる。
【0084】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、描画ストロークを描画する際のレーザ光の照射パワーについては言及しなかった。しかしながら、ストロークの周囲が他のストロークと接触していないと周囲に熱が逃げやすくなり、明度を反転させた形状の境界部分が十分に発色せず、ぼやけた印象になる場合がある。そこで、第2の実施形態では、描画ストロークを描画する際に、他のストロークと接触しない非接触部分を描画するレーザ光の照射パワーを強くする例について説明する。以下では、第1の実施形態との相違点の説明を主に行い、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1の実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
図13は、第2の実施形態のレーザ照射制御装置410の機能構成の一例を示すブロック図である。第2の実施形態のレーザ照射システム400のレーザ照射制御装置410では、制御部430に第2検知部443が追加された点、及び描画命令生成部444の処理内容が第1の実施形態のレーザ照射制御装置110と相違する。以下では、これらの機能部について説明する。
【0086】
第2検知部443は、描画ストロークに含まれる各ストロークから、描画ストロークに含まれる他のストロークと接触しない非接触部分を検知する。具体的には、第2検知部443は、描画ストローク情報により特定されるストローク毎に、当該ストロークの中心線から線幅の距離内に描画ストローク情報により特定される他のストロークの中心線が存在しない部分を非接触部分として検知する。図14は、非接触部分が検知された描画ストロークの一例を示す図である。図14に示す例では、第2検知部443により描画ストロークの境界部分が非接触部分として検知されている。
【0087】
ここで、図15−1〜図15−2を参照しながら、非接触部分の検知手法を具体的に説明する。
【0088】
図15−1は、描画ストロークの一例を示す図である。ここでは、図15−1に示すストローク501の非接触部分の検知する例について説明する。まず、第2検知部443は、ストローク501の中心線とストローク503の中心線との距離が線幅以下となる部分、即ち、ストローク503との接触部分をストローク501から検知し、接触部分の始点と終点の座標を記憶部120に一時的に記録する。以下、第2検知部443は、ストローク505、ストローク507、及びストローク509に対しても同様の処理を行う。そして、第2検知部443は、記憶部120に記録された座標から、ストローク501の上部及び下部の少なくとも一方が他のストロークと接触していない非接触部分を検知する。また、第2検知部443は、ストローク501の両端についても非接触部分として検知する。
【0089】
図15−2は、他のストロークとの非接触部分が検知されたストローク501を示す図である。図15−2に示す例では、第2検知部443により、ストローク501から非接触部分511、513、515が検知されている。
【0090】
図13に戻り、描画命令生成部444は、描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令であって、第2検知部443により検知された非接触部分を描画するエネルギーを他の部分を描画するエネルギーよりも強くした描画命令を生成する。
【0091】
図16−1は、描画ストロークの一例を示す図であり、図16−2は、図16−1に示す描画ストロークを描画するための描画命令を示す図である。図16−2に示す描画命令において、命令コード「p」は、レーザ光の照射パワーをパラメータで指定されたパーセンテージに変更する命令である。図16−2に示す例では、描画命令生成部444は、非接触部分の照射パワーを105%に設定し、他の部分の照射パワーを100%に設定した描画命令を生成している。詳細には、描画命令生成部444は、描画ストロークに含まれるストローク毎に非接触部分と接触部分とを別々の線分に分割し、非接触部分の線分の照射パワーを105%に設定し、接触部分の線分の照射パワーを100%に設定した描画命令を生成している。
【0092】
なお、描画制御部146が図16−2に示す描画命令を用いてレーザ照射装置150を制御してサーマルリライタブル媒体170上に図16−1に示す描画ストロークを描画させる場合、まず、レーザ照射装置150は、ストロークの線幅を40に設定する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(100,100)に移動させ、レーザ光の照射パワーを105%に設定し、座標(1200,100)までのストロークを描画する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(100,140)に移動させ、時間「50」待機した後、座標(103,140)までのストロークを描画する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射パワーを100%に設定し、座標(180,140)までのストロークを描画する。以下、レーザ照射装置150が描画命令に従った動作を行うことにより、境界部分がくっきりと表現される白抜き文字列がサーマルリライタブル媒体170上に描画(形成)される。
【0093】
次に、第2の実施形態のレーザ照射システムの動作について説明する。
【0094】
図17は、第2の実施形態のレーザ照射システム400で行われる処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、描画対象の形状として文字列を例に取り説明する。
【0095】
まず、ステップS200〜ステップS210までの処理は、図11に示すステップS100〜S110までの処理と同様である。
【0096】
そして、描画対象文字列に含まれる全ての文字の形状ストロークに対して重複ストローク除去処理が行われると(ステップS210でYes)、第2検知部443は、描画ストロークに含まれる各ストロークから、描画ストロークに含まれる他のストロークと接触しない非接触部分を検知する非接触部分検知処理を行う(ステップS211)。なお、非接触部分検知処理の詳細については後述する。
【0097】
続いて、描画命令生成部444は、更新部142により更新された描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令であって、第2検知部443により検知された非接触部分を描画するエネルギーを他の部分を描画するエネルギーよりも強くした描画命令を生成する(ステップS212)。
【0098】
以降のステップS214、S216の処理は、それぞれステップS114、S116の処理と同様である。
【0099】
図18は、図17のフローチャートのステップS211に示す非接触部分検知処理の一例を示すフローチャートである。
【0100】
まず、第2検知部443は、描画ストロークに含まれる1のストロークを非接触部分検知対象に設定する(ステップS230)。
【0101】
続いて、第2検知部443は、描画ストロークに含まれる他のストロークを非接触部分検知対象に設定する(ステップS232)。
【0102】
続いて、第2検知部443は、非接触部分検知対象に設定した両ストロークが接触するか否かを確認する(ステップS234)。
【0103】
両ストロークの接触が検知された場合(ステップS234でYes)、第2検知部443は、1のストロークにおける接触部分の座標を記録する(ステップS236)。なお、第2検知部443により両ストロークの接触が検知されなかった場合(ステップS234でNo)、第2検知部443は、ステップS236の処理を行わない。
【0104】
そして、1のストロークと描画ストロークに含まれる全ての他のストロークとの接触確認が行われるまで、ステップS232〜ステップS238の処理が繰り返される(ステップS238でNo)。
【0105】
1のストロークと描画ストロークに含まれる全ての他のストロークとの接触確認が行われると(ステップS238でYes)、第2検知部443は、1のストロークにおける全ての接触部分の座標から、1のストロークに非接触部分が存在するか否かを確認する(ステップS240)。
【0106】
1のストロークに非接触部分が存在する場合(ステップS240でYes)、第2検知部443は、非接触部分の座標を記録する(ステップS242)。なお、1のストロークに非接触部分が存在しない場合(ステップS240でNo)、第2検知部443は、ステップS242の処理を行わない。
【0107】
そして、描画ストロークに含まれる全てのストロークの非接触確認が行われるまで、ステップS230〜ステップS244の処理が繰り返され(ステップS244でNo)、描画ストロークに含まれる全てのストロークの非接触確認が行われると(ステップS244でYes)、第2検知部443は、非接触部分検知処理を終了する。
【0108】
以上のように第2の実施形態では、描画ストロークの非接触部分を描画するレーザ光の照射パワーを他の部分よりも強くするため、明度を反転させた形状の境界部分をくっきりと表現することができ、品質(画実)を向上することができる。
【0109】
なお、第2の実施形態では、非接触部分の照射パワーを一律に設定したが、非接触部分の数に応じて照射パワーを変更するようにしてもよい。例えば、ストロークの上部及び下部のいずれにも他のストロークが存在しない場合、いずれか一方に他のストロークが存在する場合に比べ熱が逃げやすくなる。従って、非接触部分の数が多くなるほど照射パワーを強くするようにしてもよい。
【0110】
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態では、描画ストロークのみを描画する例について説明した。しかしながら、ストロークの線幅(発色域の幅)が太くなると、明度を反転させた形状の境界部分の凹凸が目立ってしまう。そこで、第3の実施形態では、形状ストロークの輪郭のストロークである輪郭ストロークを生成し、描画ストロークとともに輪郭ストロークを描画する例について説明する。以下では、第1の実施形態との相違点の説明を主に行い、第1の実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1の実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
図19は、第3の実施形態のレーザ照射制御装置610の機能構成の一例を示すブロック図である。第3の実施形態のレーザ照射システム600のレーザ照射制御装置610では、制御部630に輪郭ストローク生成部643が追加された点、及び描画命令生成部644の処理内容が第1の実施形態のレーザ照射制御装置110と相違する。以下では、これらの機能部について説明する。
【0112】
輪郭ストローク生成部643は、形状ストロークの輪郭のストロークである輪郭ストロークを生成する。例えば、形状ストローク生成部138により図20−1に示す形状ストロークが生成された場合、輪郭ストローク生成部643は、図20−2に示すように、図20−1に示す形状ストロークに接する輪郭ストロークを生成する。具体的には、輪郭ストローク生成部643は、形状ストロークに平行する複数のストロークを形状ストロークに隣接させて太字ストロークを生成し、太字ストロークから両端のストローク以外のストロークを除去することで輪郭ストロークを生成する。例えば輪郭ストローク生成部643は、図20−3に示すように、図20−1に示す形状ストロークに平行する2つのストロークをそれぞれ形状ストロークに隣接させて太字ストロークを生成し、太字ストロークから両端のストローク以外のストローク、即ち、中心の形状ストロークを除去することで図20−2に示す輪郭ストロークを生成する。
【0113】
なお、輪郭ストローク生成部643は、図20−4に示すように、図20−2に示す輪郭ストロークの両端を閉じた輪郭ストロークを生成するようにしてもよい。具体的には、輪郭ストローク生成部643は、他と接続しない輪郭ストロークの端部(図20−2に示す点線部参照)に、輪郭ストロークに対して垂直のストロークを生成するようにしてもよい。例えば、輪郭ストローク生成部643は、他と接続しない輪郭ストロークの端部から、太字ストロークの太さ程度の距離内に別の、他と接続しない輪郭ストロークの端部を検出する。そして輪郭ストローク生成部643は、それぞれの端部から重複しないように離れた位置に、ストロークの座標を決定することで、輪郭ストロークの端部に、輪郭ストロークに対して垂直のストロークを生成する。
【0114】
図19に戻り、描画命令生成部644は、描画ストローク及び輪郭ストロークをいずれかの順序で描画させる描画命令を生成する。本実施形態では、描画命令生成部644は、描画ストロークの描画と輪郭ストロークの描画との間に待機時間を設定した描画命令を生成するものとする。
【0115】
図21−1は、描画ストロークと輪郭ストロークとを描画領域に重ねて配置した状態を示す図であり、図21−2は、図21−1に示す描画ストローク及び輪郭ストロークを描画するための描画命令を示す図である。図21−2に示す例では、描画命令生成部644は、描画ストロークの描画と輪郭ストロークの描画との間に待機時間「300」を設定した描画命令を生成している。
【0116】
なお、描画制御部146が図21−2に示す描画命令を用いてレーザ照射装置150を制御してサーマルリライタブル媒体170上に図21−1に示す描画ストローク及び輪郭ストロークを描画させる場合、まず、レーザ照射装置150は、ストロークの線幅を40に設定する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(100,100)に移動させ、座標(1200,100)までのストロークを描画する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(100,140)に移動させ、時間「50」待機した後、座標(180,140)までのストロークを描画する。以下、レーザ照射装置150が描画命令に従った動作を行うことにより、描画ストロークがサーマルリライタブル媒体170上に描画(形成)される。
【0117】
そして、レーザ照射装置150は、時間「300」待機する。続いて、レーザ照射装置150は、レーザ光の照射位置を座標(180,100)に移動させ、時間「50」待機した後、座標(520,100)までのストロークを描画する。以下、レーザ照射装置150が描画命令に従った動作を行うことにより、輪郭ストロークがサーマルリライタブル媒体170上に描画(形成)される。
【0118】
図22は、サーマルリライタブル媒体170上に重ねて描画される描画ストローク及び輪郭ストロークの一例を示す図である。図22に示す例では、図23に示す描画ストロークと、図20−2に示す輪郭ストロークとを重ねて描画している。なお、図23に示す描画ストロークは、ストロークを他のストロークと重ねて描画している。
【0119】
次に、第3の実施形態のレーザ照射システムの動作について説明する。
【0120】
図24は、第3の実施形態のレーザ照射システム600で行われる処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、描画対象の形状として文字列を例に取り説明する。
【0121】
まず、ステップS300〜ステップS308までの処理は、図11に示すステップS100〜S108までの処理と同様である。
【0122】
ステップS308で重複ストローク除去処理が行われると、輪郭ストローク生成部643は、形状ストローク生成部138により生成された形状ストロークの輪郭のストロークである輪郭ストロークを生成する(ステップS309)。
【0123】
そして、描画対象文字列に含まれる全ての文字の形状ストロークに対して重複ストローク除去処理が行われるまで、ステップS306〜ステップS310の処理が繰り返される(ステップS310でNo)。
【0124】
描画対象文字列に含まれる全ての文字の形状ストロークに対して重複ストローク除去処理が行われると(ステップS310でYes)、描画命令生成部644は、更新部142により更新された描画ストローク及び輪郭ストローク生成部643により生成された輪郭ストロークをいずれかの順序で描画させる描画命令を生成する(ステップS312)。
【0125】
以降のステップS314、S316の処理は、それぞれステップS114、S116の処理と同様である。
【0126】
以上のように第3の実施形態では、描画ストロークとともに輪郭ストロークを描画して描画ストロークの境界部分の凹凸を輪郭ストロークで塗潰すため、明度を反転させた形状の境界部分を滑らかに再現することができ、品質(画実)を向上することができる。
【0127】
また第3の実施形態では、描画ストロークの描画と輪郭ストロークの描画との間に待機時間を設定しているため、描画ストロークを描画した際の熱が十分に逃げた後に輪郭ストロークを描画することができる。このため、媒体温度が必要以上に上昇せず、サーマルリライタブル媒体の劣化を防止することができる。
【0128】
(ハードウェア構成)
次に、第1〜第3の実施形態のレーザ照射制御装置のハードウェア構成について説明する。
【0129】
図25は、第1〜第3の実施形態のレーザ照射制御装置110、410、610のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。レーザ照射制御装置110、410、610では、バス700に、CPU701、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリであるメモリ702、ドライブ装置703、通信I/F704、ハードディスク705、入力装置706、及び表示制御装置707が接続される。バス700に接続される各部は、バス700を介して互いに通信可能とされている。
【0130】
ハードディスク705は、CPU701が動作するためのプログラムや各種データ、文字や記号のフォントデータなどが予め記憶される。レーザ照射装置150を制御するための制御プログラムも、ハードディスク705に記憶される。CPU701は、ハードディスク705から読み出したプログラムに従い、メモリ702をワークメモリとして用いて、レーザ照射システム100、400、600の全体の動作を制御する。
【0131】
ドライブ装置703は、脱着可能な記憶媒体710が装填可能とされ、当該記憶媒体710からのデータの読み出しを行うことができる。ドライブ装置703が対応可能な記憶媒体710としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)といったディスク記憶媒体や、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリ(例えばEEPROM)が考えられる。
【0132】
上述したハードディスク705に格納される制御プログラムやフォントデータは、例えば記憶媒体710に記録されて提供される。ドライブ装置703により、記憶媒体710に記録された制御プログラムやフォントデータを読み出してハードディスク705に記憶することで、レーザ照射制御装置110、410、610に対して制御プログラムが実装される。
【0133】
通信I/F704は、レーザ照射装置150とのインターフェイスであって、CPU701は、通信I/F704を介してレーザ発振器152及び方向制御モータ158と通信を行い、これらを制御する。通信I/F704は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394やUSB(Universal Serial Bus)といったシリアルインターフェイスに対応し、このシリアルインターフェイスを介してレーザ照射装置150を制御する。なお、通信I/F704が対応可能なインターフェイスは、有線に限られず、ワイヤレスUSBやBluetooth(登録商標)といった、無線通信を行うものでもよい。また、レーザ照射制御装置110、410、610とレーザ照射装置150とを共通の筐体内に構成するものとし、通信I/F704を内部的な通信を行うインターフェイスとしてもよい。
【0134】
入力装置706は、ユーザ操作に応じた制御信号を出力し、CPU701に供給する。CPU701がプログラムに従い、この入力装置706からの制御信号に応じてレーザ照射システム100、400、600を制御することで、レーザ照射システム100、400、600を、ユーザ操作に応じて動作させることが可能となる。
【0135】
表示制御装置707は、LCD(Liquid Crystal Display)などを表示デバイスとして用いたディスプレイ708が接続される。表示制御装置707は、CPU701がプログラムに従い生成した表示制御信号を、ディスプレイ708が表示可能な信号に変換してディスプレイ708に供給する。このディスプレイ708における表示と、入力装置706とにより、レーザ照射システム100、400、600を操作するためのGUI(Graphical User Interface)を構成することができる。このGUIにより、例えばサーマルリライタブル媒体170に描画する文字や記号の入力欄がディスプレイ708に表示される。ユーザは、このGUIによる表示に従い、入力装置706から文字や記号の入力を行う。
【0136】
サーマルリライタブル媒体170に描画される描画対象の文字や記号は、例えばリスト状にハードディスク705に記憶されていてもよいし、入力装置706により入力してもよい。文字や記号は、UNICODEやJISコードなどの文字コードで特定され、レーザ照射制御装置110、410、610は、文字コードに対応するフォントデータをハードディスク705から読み出して描画命令に変換することで、レーザ照射装置150を制御する。
【0137】
なお、第1〜第3の実施形態のレーザ照射制御装置110、410、610で実行される描画プログラムは、メモリ702のROM等に予め組み込まれて提供される。
【0138】
第1〜第3の実施形態のレーザ照射制御装置110、410、610で実行される描画プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0139】
さらに、第1〜第3の実施形態のレーザ照射制御装置110、410、610で実行される描画プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、第1〜第3の実施形態のレーザ照射制御装置110、410、610で実行される描画プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0140】
第1〜第3の実施形態のレーザ照射制御装置110、410、610で実行される描画プログラムは、上述した各部をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしてはCPU701がメモリ702のROMから描画プログラムをメモリ702のDRAM上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現されるようになっている。
【符号の説明】
【0141】
100、400、600 レーザ照射システム
110、410、610 レーザ照射制御装置
120 記憶部
122 形状情報記憶部
130、430、630 制御部
132 描画位置決定部
134 描画領域決定部
136 塗潰しストローク生成部
138 形状ストローク生成部
140 第1検知部
142 更新部
144、444、644 描画命令生成部
146 描画制御部
150 レーザ照射装置
152 レーザ発振器
154 光学レンズ
156 方向制御ミラー
158 方向制御モータ
160 集光レンズ
170 サーマルリライタブル媒体
443 第2検知部
643 輪郭ストローク生成部
700 バス
701 CPU
702 メモリ
703 ドライブ装置
704 通信I/F
705 ハードディスク
706 入力装置
707 表示制御装置
708 ディスプレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】
【特許文献1】特開2005−310048号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画領域を塗潰す複数のストロークである塗潰しストロークを生成する塗潰しストローク生成手段と、
前記描画領域に形成される形状のストロークである形状ストロークを生成する形状ストローク生成手段と、
前記塗潰しストロークと前記形状ストロークとの重複部分を検知する第1検知手段と、
前記塗潰しストロークから前記重複部分を除去して、描画ストロークに更新する更新手段と、
前記描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成する描画命令生成手段と、
前記描画命令を用いて、対象物にエネルギーを伝達して可視情報を描画する描画装置を制御し、前記対象物上に前記描画ストロークを描画させる描画制御手段と、
を備えることを特徴とする描画制御装置。
【請求項2】
前記描画ストロークに含まれる各ストロークから、前記描画ストロークに含まれる他のストロークと接触しない非接触部分を検知する第2検知手段を更に備え、
前記描画命令生成手段は、前記描画命令として、前記非接触部分を描画するエネルギーを他の部分を描画するエネルギーよりも強くした描画命令を生成することを特徴とする請求項1に記載の描画制御装置。
【請求項3】
前記形状ストロークの輪郭のストロークである輪郭ストロークを生成する輪郭ストローク生成手段を更に備え、
前記描画命令生成手段は、前記描画命令として、前記描画ストローク及び前記輪郭ストロークをいずれかの順序で描画させる描画命令を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の描画制御装置。
【請求項4】
前記描画命令生成手段は、前記描画命令として、前記描画ストロークの描画と前記輪郭ストロークの描画との間に待機時間を設定した描画命令を生成することを特徴とする請求項3に記載の描画制御装置。
【請求項5】
前記描画領域は、前記形状ストロークが形成される領域の周辺にストロークの線幅以上の領域を有する領域であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の描画制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の描画制御装置と前記描画装置とを備えるレーザ照射システムであって、
前記描画装置は、
前記描画命令に従ってレーザを発振するレーザ発振器と、
前記レーザの照射方向を変更する方向制御ミラーと、
前記描画命令に従って前記方向制御ミラーを駆動して、前記対象物に前記レーザを照射させる方向制御モータと、
を備えることを特徴とするレーザ照射システム。
【請求項7】
塗潰しストローク生成手段が、描画領域を塗潰す複数のストロークである塗潰しストロークを生成する塗潰しストローク生成ステップと、
形状ストローク生成手段が、前記描画領域に形成される形状のストロークである形状ストロークを生成する形状ストローク生成ステップと、
第1検知手段が、前記塗潰しストロークと前記形状ストロークとの重複部分を検知する第1検知ステップと、
更新手段が、前記塗潰しストロークから前記重複部分を除去して、描画ストロークに更新する更新ステップと、
描画命令生成手段が、前記描画ストロークに含まれる各ストロークを描画する描画命令を生成する描画命令生成ステップと、
描画制御手段が、前記描画命令を用いて、対象物にエネルギーを伝達して可視情報を描画する描画装置を制御し、前記対象物上に前記描画ストロークを描画させる描画制御ステップと、
を含むことを特徴とする描画方法。
【請求項8】
請求項7に記載の描画方法をコンピュータに実行させるための描画プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の描画プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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【図8−6】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図20−3】
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【図20−4】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−116114(P2011−116114A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182371(P2010−182371)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】