説明

描画装置、および描画方法

【課題】
本発明の目的は、基板に均一な厚みの材料層を描画する描画装置および描画方法を提供することにある。
【解決手段】
基板の表面に画定される単位領域ごとに、該単位領域内のうち液状材料を付着させるべき領域が占める面積の割合に基づいて、ノズルヘッドのノズルに印加する電気信号の電圧パルス高さまたは電圧パルス幅の少なくとも一方を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状材料を吐出してパターンを描画する描画装置および描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルヘッド(インクジェットヘッド)からパターン形成用材料を含んだ液状材料を液滴として吐出して、描画対象物の表面に、材料層を所定パターンで描画する技術が知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
このような描画技術において、たとえば、描画対象物にはプリント配線基板が、液状材料には液状ソルダーレジストが用いられる。プリント配線基板は、基材および配線を含み、所定の位置に電子部品等がはんだ付けされる。ソルダーレジストは、プリント配線板への電子部品等のはんだ付けのために、必要な導体部分を露出し、はんだ付けが不要な部分にはんだが付かないように配線板上に形成される絶縁膜である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3544543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、基板に均一な厚みの材料層を描画する描画装置および描画方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、基板を保持する保持機構と、規則的に配列され、電気信号に基づいて前記保持機構に保持される基板に向けて絶縁性液状材料を吐出し、該液状材料を前記基板に付着させることによって描画を行う複数のノズル、および該複数のノズルに絶縁性液状材料を供給する供給路が設けられたノズルヘッドと、前記保持機構を移動させることによって、該保持機構に保持される基板の表面を前記ノズルヘッドに対して走査する移動機構と、前記基板に描画すべきパターンを定義する画像データを記憶し、前記画像データに基づいて、前記移動機構および前記ノズルヘッドを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記基板の表面に画定される単位領域ごとに、該単位領域内のうち絶縁性液状材料を付着させるべき領域が占める面積の割合に基づいて、前記ノズルヘッドのノズルに印加する電気信号の電圧パルス高さまたは電圧パルス幅の少なくとも一方を制御する描画装置、が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によれば、規則的に配列され、電気信号に基づいて絶縁性液状材料を吐出する複数のノズル、および該複数のノズルに絶縁性液状材料を供給する供給路が設けられたノズルヘッドを移動させながら、所定の電圧パルス高さおよび電圧パルス幅を有する電気信号を、前記ノズルに印加して絶縁性液状材料を吐出し、基板に絶縁性液状材料によって描画を行う描画方法であって、前記ノズルヘッドが前記基板の表面に画定される複数の単位領域のうち1つの単位領域を移動する際、前記ノズルヘッドのノズルに印加する電気信号の電圧パルス高さおよび電圧パルス幅を、該単位領域内のうち絶縁性液状材料を付着させるべき領域が占める面積の割合に基づいて制御する描画方法、が提供される。
【発明の効果】
【0008】
液状材料が均一な厚みで描画された基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1Aは、描画装置を示す側面図であり、図1Bおよび図1Cは、描画装置に備えられるノズルヘッドを示す断面図および底面図である。
【図2】図2は、ノズルヘッドに対して描画対象物を相対的に走査しながら、ノズルヘッドから吐出される液状材料を描画対象物の表面に付着させる様子を示す側面図である。
【図3】図3Aおよび図3Bは、描画対象物に所定のパターンを描画する様子を示す平面図および側面図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは、描画対象物に所定のパターンを描画する様子を示す平面図および側面図である。
【図5】図5Aは、描画対象物に所定のパターンを描画する様子を示す平面図であり、図5Bは、ノズルヘッドに対して描画対象物を相対的に走査しながら、ノズルヘッドから吐出される液状材料を描画対象物の表面に付着させる様子を示す側面図である。
【図6】図6は、実施例の変形例によるノズルヘッドを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、実施例による描画装置の構成を示す側面図である。この描画装置は、定盤20、フレーム21、ステージ22、ノズルヘッド23、CCDカメラ30、および制御装置40を含む構成である。定盤20は、図中の座標系においてXY平面に平行な面内に設置される。ステージ22は、定盤20上に配置される。フレーム21は、定盤20に固定され、Y軸方向に沿って見たとき、ステージ22を門型に囲むように配置され、ノズルヘッド23およびCCDカメラ30が取り付けられる。制御装置40は、描画装置の動作を制御する。
【0011】
ステージ22は、たとえば、定盤20側から順に配置されるYステージ22y、Xステージ22xおよびθステージ22θ等の移動機構、およびチャックプレート22a等の保持機構を含む。Yステージ22y、Xステージ22xおよびθステージ22θは、それぞれボールネジやリニアモータ等の駆動機構を備える。チャックプレート22aは、描画対象物(たとえばプリント配線板)50を吸着保持する。θステージ22θは、保持された描画対象物50を、XY平面に平行な面内で、Z軸に平行な回転軸の周囲に回転させる。Xステージ22xおよびYステージ22yは、それぞれ描画対象物50を、X軸方向およびY軸方向に移動させることができる。チャックプレート22aによる描画対象物50の吸着は、制御装置40によって制御される。X,Y,θステージ22x,22y,22θによる描画対象物50の移動は、各ステージの駆動機構を介して、制御装置40によって制御される。なお、移動機構は、描画対象物をX,Y,θ方向にそれぞれ移動させることができる単一の可動ステージであってもかまわない。
【0012】
フレーム21は、2本の支柱21a、21b、及び梁21cを含む。支柱21a、21bは、定盤20のY軸方向の略中央に立設される。梁21cは、X軸方向に沿うように、支柱21a、21bに支持される。
【0013】
ノズルヘッド23およびCCDカメラ30は、フレーム21の梁21cに取り付けられる。ノズルヘッド23は、パターン形成用材料を含んだ絶縁性を有する液状材料(たとえば光硬化剤が添加された液状ソルダーレジスト)を液滴として保持機構22aに保持された描画対象物50に向けて吐出(滴下)する。ノズルヘッド23からの液状材料の吐出は、制御装置40によって制御される。CCDカメラ30は、保持機構22aに保持された描画対象物50の表面を撮像する。移動機構により描画対象物50を移動させることで、描画対象物50上の任意の位置の撮像データを取得することができる。取得された撮像データは、制御装置40に送信される。取得された撮像データにより、制御装置40は、描画対象物50に液状材料を付着させるべき位置の計測や、付着した液状材料の検査を行うことができる。CCDカメラ30による撮像、およびその撮像データの送信は、制御装置40によって制御される。
【0014】
制御装置40は、記憶装置40aを含み、記憶装置40aには、描画対象物50上に描画すべきパターンを定義する画像データ(ガーバデータ、ビットマップデータ等)が記憶されている。制御装置40は、CCDカメラ30による撮像データおよび記憶装置40aに記憶される画像データに基づいて、描画対象物50に描画すべきパターンが描画されるように、移動機構による描画対象物50の移動、およびノズルヘッド23からの液状材料の吐出を制御する。
【0015】
描画対象物50は、X軸およびY軸方向に移動され、ノズルヘッド23の鉛直下方(Z軸方向)において液状材料を付着される。
【0016】
なお、図1Aでは、ステージ22に移動機構を備え、フレーム21が固定される構成であるが、フレーム21に移動機構を備える構成であってもかまわない。
【0017】
図1Bおよび図1Cは、ノズルヘッド23の構成を示す断面図および底面図である。ノズルヘッド23は、図1Bに示すように、規則的に配列され、電気信号に基づいて液状材料を吐出する複数のノズル23a、およびそれらノズル23aに液状材料を供給する供給路23bを含む。ノズル23aは、ピッチPでX軸方向に沿って配列し、一端のノズル23aから他端のノズル23aまでの距離はLである。たとえば、ノズルは、約30μmの開口径を有し、ピッチPが約160μm、ノズル配列距離Lが約30mmである。また、ノズルヘッド23は、図1Cに示すように、描画対象物50上に塗布された液状材料、たとえば光硬化剤が添加された絶縁性を有する液状材料を光硬化させるための光源23cを備える。複数のノズル23a各々は、たとえばピエゾ素子を含んで構成され、電気信号の印加によって液状材料を吐出する。複数のノズル23a各々からの液状材料の吐出は、制御装置40によって制御される。
【0018】
図2は、ノズルヘッド23に対し描画対象物50を走査しながら、ノズルヘッド23から吐出される液状材料を描画対象物50の表面に付着させる様子を示す側面図である。制御装置40は、ノズル23aに所定の基準電圧を印加した状態で、ノズルヘッド23に対して描画対象物50を、たとえばY軸方向に移動する。CCDカメラ30(図1A)による撮像データ、および記憶装置40a(図1A)に記憶される画像データに基づいて、たとえば吐出周期S(吐出周波数F)が33μs(30kHz)程度の条件で、液状材料を吐出させるノズル23aに電圧パルス高さVh1および電圧パルス幅Pw1の電気信号を印加する。電気信号を印加されたノズル23aは、時刻T1に開始する電圧パルスの印加によって、液状材料を吐出し、液状材料を描画対象物50上の地点P1に付着させる。さらに、時刻T2に開始する電圧パルスの印加によって、液状材料を吐出し、液状材料を描画対象物50上の地点P2に付着させる。描画対象物への液状材料の付着を繰り返し、描画対象物の表面に描画すべきパターンを描画する。たとえば、描画対象物50とノズルヘッド23のノズル23aとの距離は1mm程度であり、地点P1からP2までの距離は20μm程度である。ここで、ノズルヘッドの1つのノズルから1回に吐出される液状材料が、描画対象物の表面に付着する領域を1ピクセルと定義する。描画対象物に描画すべきパターンは、1ピクセルを単位とするビットマップとして定義することが可能である。また、ノズルヘッドに設けられた複数のノズルの総数をNtとし、液状材料を吐出するノズルの数をNaとしたとき、Na/Ntをノズルヘッドのノズル使用割合と定義する。
【0019】
本発明者らは、上記の描画装置を用いて、プリント配線板に光硬化剤が添加されたソルダーレジストを所定のパターンで描画する評価実験を行った。なお、以下では、便宜的に、ノズルヘッドがプリント配線板の表面を走査するものとして説明を行う。
【0020】
図3Aおよび図3Bは、プリント配線板にソルダーレジストパターンを描画する様子を示す平面図および側面図である。プリント配線板50には、たとえば、描画すべきソルダーレジストパターンが合同である複数の配線領域51が規則的に配置されている。図中において、配線領域51、およびプリント配線板に形成されるソルダーレジスト層60は、ハッチングにより示している。本評価実験では、制御装置40(図1A)は、まず、CCD30(図1A)によりプリント配線板50に形成されたアライメントマークMを参照して、ノズルヘッド23に配列されたノズル23aの一端がプリント配線板50の描画すべき領域の隅に配置されるようにノズルヘッド23を移動する。さらに、Y軸方向に沿ってプリント配線板50の表面の一端側から他端側まで、つまり単位領域52a上でノズルヘッド23を主走査する。同時に、ノズルヘッド23のノズル23aに電圧パルス高さVh1および電圧パルス幅Pw1の電気信号を印加し、単位領域52aにおけるソルダーレジストを付着させるべき領域にソルダーレジストを吐出する。基板に付着したソルダーレジストは、ノズルヘッド23に備えられた光源によって直ちに光硬化される。次に、X軸方向に沿ってノズル23a配列距離Lずらした位置にノズルヘッド23を副走査し、Y軸方向に沿ってプリント配線板50の表面の一端側から他端側まで、つまり単位領域52b上でノズルヘッド23を主走査する。同時に、ノズルヘッド23のノズル23aに電圧パルス高さVh1および電圧パルス幅Pw1の電気信号を印加し、単位領域52bにおけるソルダーレジストを付着させるべき領域にソルダーレジストを吐出する。基板に付着したソルダーレジストは、ノズルヘッド23に備えられた光源によって直ちに光硬化される。このように、ノズルヘッドがプリント配線板の一端側から他端側まで走査する主走査と、ノズルヘッド23が主走査の方向と直交する方向に走査する副走査と、を繰り返し行い、プリント配線板の表面全面に描画を行う。
【0021】
このような描画操作において、ノズル23a配列距離Lと、配線領域51のX軸方向に沿う長さとが整合しないため、各単位領域内のうちソルダーレジストを付着させるべき領域が占める面積の割合(付着面積比)は、単位領域52a〜52dでそれぞれ異なる。本発明者らの評価実験によれば、図3Bに示すように、付着面積比が相対的に高い単位領域では、1つのノズルから吐出されるソルダーレジスト量が相対的に少なくなり、プリント配線板50に形成されるソルダーレジスト層60の厚みが相対的に薄くなる、また、付着面積比が相対的に低い単位領域では、1つのノズルから吐出されるソルダーレジスト量が相対的に多くなり、ソルダーレジスト層60の厚みが相対的に厚くなることがわかった。このような現象は、ノズルヘッド23のノズル23aからソルダーレジストのような比較的粘性の高い液状材料を吐出する場合であって、かつ、液状材料を供給する供給路23b(図1B)が複数のノズル23aに対して共通に設けられたノズルヘッド23を用いる場合に生じうる。
【0022】
プリント配線板等に描画されるソルダーレジストの厚みは、外観上、均一であることが望ましい。ノズルに設けられるピエゾ素子に、所定の高さおよび幅を有する電圧パルスを印加すると、そのピエゾ素子の変位量および変位時間が変化する。上記の評価実験に基づけば、描画対象物の表面に画定される単位領域ごとに、その単位領域内の付着面積比に基づいてノズルに印加する電気信号を制御して、各単位領域で1つのノズルから吐出されるソルダーレジスト量を同程度にすることにより、プリント配線板に形成されるソルダーレジスト層の厚みを均一にすることができる、と考えられる。
【0023】
図4Aの1段目および図4Bは、プリント配線板にソルダーレジストを均一に塗布する様子を示す平面図および側面図である。図4Aの2段目に、単位領域52a〜52dにおける付着面積比Rの関係を示す概略的なグラフを示す。本実施例では、制御装置40(図1A)は、評価実験で採用した描画操作と同様に、ノズルヘッド23がプリント配線板50の単位領域52a〜52dを走査する主走査と、ノズルヘッド23が主走査の方向と直交する方向に走査する副走査と、を繰り返し行い、プリント配線板50の表面全面に描画を行う。実施例において、制御装置40に設けられる記憶装置40a(図1A)は、所定の付着面積比において、ノズル23aに印加する電圧パルス高さおよび電圧パルス幅と、1つのノズルから1回に吐出されるソルダーレジスト量と、が関連付けられたテーブルデータを記憶する。
【0024】
制御装置40は、図4Aの3段目に示すように、付着面積比が相対的に高い単位領域52aおよび52cで、ノズルヘッド23のノズル23aに相対的に高い電圧パルス高さVh2を印加する。付着面積比が相対的に低い単位領域52dで、ノズルヘッド23のノズル23aに相対的に低い電圧パルス高さVh4を印加する。付着面積比が単位領域52aおよび52cと単位領域52dとの中間である単位領域52bで、ノズルヘッド23のノズル23aにVh2より低くVh4よりも高い電圧パルス高さVh3を印加する。このとき、制御装置40は、記憶装置40aに記憶される画像データに基づいて各単位領域の付着面積比を算出し、それら付着面積比におけるノズルへの電圧パルス高さと1つのノズルから1回に吐出されるソルダーレジスト量との関連付けデータを参照する。そして、各単位領域で1つのノズルから吐出されるソルダーレジスト量が同程度になるようVh2,Vh3,Vh4を選択する。このような描画操作により、図4Bに示すように、プリント配線板50に形成されるソルダーレジスト層60の厚みを均一化することが可能となる。
【0025】
また、制御装置40は、図4Aの4段目に示すように、付着面積比が相対的に高い単位領域52aおよび52cで、ノズルヘッド23のノズル23aに相対的に長い電圧パルス幅Pw2を印加する。付着面積比が相対的に低い単位領域52dで、ノズルヘッド23のノズル23aに相対的に短い電圧パルス幅Pw4を印加する。付着面積比が単位領域52aおよび52cと単位領域52dとの中間である単位領域52bで、ノズルヘッド23のノズル23aにPw2より短くPw4よりも長いPw3を印加する。このとき、制御装置40は、記憶装置40aに記憶される画像データに基づいて各単位領域の付着面積比を算出し、それら付着面積比におけるノズルへの電圧パルス高さと1つのノズルから1回に吐出されるソルダーレジスト量との関連付けデータを参照する。そして、各単位領域で1つのノズルから吐出されるソルダーレジスト量が同程度になるようPw2,Pw3,Pw4を選択する。このような描画操作により、プリント配線板50に形成されるソルダーレジスト層60の厚みを均一化することが可能となる。
【0026】
以上のように、描画対象物の表面に画定される単位領域ごとに、単位領域内の付着面積比に基づいて、各単位領域で1つのノズルから1回に吐出される液状材料の量が同程度になるように、ノズルに印加する電気信号の電圧パルス高さまたは電圧パルス幅の少なくとも一方を制御する。このような制御により、描画対象物に形成される材料層の厚みを均一化することが可能となる。実施例では、ノズルヘッド23がプリント配線板50の一端側から他端側まで走査する領域を単位領域として画定したが、さらに細かく単位領域を画定することにより、描画対象物に形成される材料層の厚みをさらに均一にすることが可能となる。
【0027】
図5Aおよび図5Bは、配線領域51の一部の領域にソルダーレジストパターンを描画する様子を示す平面図、およびノズル23に対しプリント配線板50を走査しながら、ノズルヘッド23から吐出されるソルダーレジストをプリント配線板50の表面に付着させる様子を示す側面図である。配線領域51には、微小な電子部品等をはんだ付けするための導体露出領域51a、およびソルダーレジストを付着させるべき絶縁領域51bが設けられている。
【0028】
制御装置40は、記憶装置40a(図1A)に記憶される画像データに基づいて、図5Aに示すように、付着面積比が相対的に大きい単位領域52eおよび付着面積比が相対的に小さい単位領域52fを画定し、それら付着面積比におけるノズル23aへの電気信号と1つのノズルから1回に吐出されるソルダーレジスト量との関連付けデータを参照する。制御装置40は、単位領域52eおよび52fで、1つのノズルから1回に吐出されるソルダーレジスト量が同程度になるように、ノズル23aに印加する電気信号を制御する。このような描画操作をプリント配線板の表面全面で繰り返すことにより、描画されるソルダーレジスト層の厚みを、より均一にすることが可能となるであろう。
【0029】
さらに、制御装置40は、ノズルヘッド23からの1回のソルダーレジストの吐出で、プリント配線板50にソルダーレジストを付着させることができる全ピクセルで構成される領域を単位領域として画定してもかまわない。制御装置40は、各単位領域の付着面積比(この場合、ノズルヘッド23のノズル使用割合に等しい)に基づいて、図5Bに示すように、単位領域ごとに1つのノズルから1回に吐出されるソルダーレジスト量が同程度になるよう、ノズル23aに印加する電気信号を制御する。このような描画操作をプリント配線板の表面全面で繰り返すことにより、描画されるソルダーレジスト層の厚みを、さらに均一にすることが可能となるであろう。
【0030】
以上、実施例を用いて本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、プリント配線板は、複数の配線領域を含む構成でなく、単一の回路パターンを含む構成であってもよい。
【0031】
図6は、実施例の変形例によるノズルヘッドを示す底面図である。ノズルヘッドは、ノズルが千鳥状に配置された構成であってもかまわない。たとえば、ノズルヘッド23は、ノズル23aがX軸方向に沿って千鳥状に配列される。ノズルヘッド23をY軸正方向に移動させながら、任意の地点に液状材料を塗布する場合、ノズル列23Iが任意の地点のZ軸上方に位置したときにノズル列23Iから液状材料を吐出させ、ノズル列23IIが任意の地点のZ軸上方に位置したときにノズル列23aIIから液状材料を吐出させる。このような吐出操作を行うことにより、ノズルヘッド23に設けられる供給路やピエゾ素子の寸法・レイアウトなどの制約を受けることなく、X軸方向の解像度を容易に増加することが可能である。また、このようなノズルヘッドが複数X軸方向にずらして配置されるノズルヘッドユニットを用いてもかまわないであろう。
【0032】
そのほか、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0033】
21 フレーム
21a,b 支柱、
21c 梁、
22 ステージ、
22a チャックプレート、
22θ θステージ、
22x xステージ、
22y yステージ、
23 ノズルヘッド、
23a ノズル、
23b 供給路、
23c 光源、
23I,II ノズル列、
30 CCDカメラ、
40 制御装置、
40a 記憶装置、
50 描画対象物、
51 配線領域、
51a 導体露出領域、
51b 絶縁領域、
52 単位領域、
60 材料層、
F 吐出周波数、
L ノズル配列距離、
P ノズルピッチ、
V 電圧、
S 吐出周期、
T 時間、
Vh 電圧パルス高さ、
Pw 電圧パルス幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持機構と、
規則的に配列され、電気信号に基づいて前記保持機構に保持される基板に向けて絶縁性液状材料を吐出し、該液状材料を前記基板に付着させることによって描画を行う複数のノズル、および該複数のノズルに絶縁性液状材料を供給する供給路が設けられたノズルヘッドと、
前記保持機構を移動させることによって、該保持機構に保持される基板の表面を前記ノズルヘッドに対して走査する移動機構と、
前記基板に描画すべきパターンを定義する画像データを記憶し、前記画像データに基づいて、前記移動機構および前記ノズルヘッドを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記基板の表面に画定される単位領域ごとに、該単位領域内のうち絶縁性液状材料を付着させるべき領域が占める面積の割合に基づいて、前記ノズルヘッドのノズルに印加する電気信号の電圧パルス高さまたは電圧パルス幅の少なくとも一方を制御する描画装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記ノズルヘッドに対して前記基板を該基板の一端側から他端側まで走査する主走査と、前記基板を該主走査の走査方向と直交する方向に走査する副走査と、を繰り返し、
前記単位領域は、1回の主走査で走査される領域に対応する請求項1記載の描画装置。
【請求項3】
前記基板に描画すべきパターンは、前記ノズルヘッドの1つのノズルから1回に吐出される絶縁性液状材料が、前記基板に付着する領域を1ピクセルと定義され、
前記単位領域は、前記ノズルヘッドからの1回の絶縁性液状材料の吐出によって、前記基板に絶縁性液状材料を付着させることができる全ピクセルで構成される領域に対応する請求項1記載の描画装置。
【請求項4】
規則的に配列され、電気信号に基づいて絶縁性液状材料を吐出する複数のノズル、および該複数のノズルに絶縁性液状材料を供給する供給路が設けられたノズルヘッドを移動させながら、所定の電圧パルス高さおよび電圧パルス幅を有する電気信号を、前記ノズルに印加して絶縁性液状材料を吐出し、基板に絶縁性液状材料によって描画を行う描画方法であって、
前記ノズルヘッドが前記基板の表面に画定される複数の単位領域のうち1つの単位領域を移動する際、前記ノズルヘッドのノズルに印加する電気信号の電圧パルス高さおよび電圧パルス幅を、該単位領域内のうち絶縁性液状材料を付着させるべき領域が占める面積の割合に基づいて制御する描画方法。
【請求項5】
前記単位領域は、前記ノズルヘッドの1つのノズルから1回に吐出される絶縁性液状材料が前記基板に付着する領域を1ピクセルとしたときに、前記ノズルヘッドからの1回の絶縁性液状材料の吐出によって、前記基板に絶縁性液状材料を付着させることができる全ピクセルで構成される領域に対応する請求項4記載の描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−21072(P2013−21072A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152039(P2011−152039)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】