説明

描画装置及び描画方法

【課題】 描画対象物1枚あたりの描画時間を短縮することが望まれている。
【解決手段】 保持機構に保持された描画対象物に、液滴を吐出複数のノズルを有する第1及び第2のノズルユニットが対向する。移動機構が、描画対象物に対して、第1及び第2のノズルユニットを、相対的に、相互に交差する第1の方向及び第2の方向に移動させる。制御装置が、ノズルユニット及び前記移動機構を制御する。第1及び第2のノズルユニットの各々のノズルは、第2の方向に等間隔で配列した着弾点に液滴を着弾させるように配置されている。第1及び第2のノズルユニットは、第2の方向に間隔を隔てて配置されている。間隔調節機構が、制御装置からの制御により、第1及び第2のノズルユニットの間隔を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を吐出させて描画を行う描画装置及び描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板にソルダーレジストのパターンを形成する従来の方法について説明する。まず、表面に回路パターンが形成されたプリント配線板の全面に、感光性のソルダーレジストを塗布する。所定のマスクパターンを用いて、ソルダーレジスト膜を露光し、その後現像することにより、ソルダーレジストのパターンが形成される。
【0003】
ソルダーレジストを液滴化して、プリント配線板の所望の領域にのみ液滴を付着させ、硬化させることにより、ソルダーレジストのパターンを形成する技術が注目されている。プリント配線板の表面に付着した液滴に紫外線を照射することにより、液滴を硬化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3544543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
描画対象物1枚あたりの描画時間を短縮することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
描画対象物を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持された描画対象物に対向し、描画対象物に液滴を吐出複数のノズルを有する第1及び第2のノズルユニットと、
前記保持機構に保持された描画対象物に対して、前記第1及び第2のノズルユニットを、相対的に、相互に交差する第1の方向及び第2の方向に移動させる移動機構と、
前記第1及び第2のノズルユニット及び前記移動機構を制御する制御装置と
を有し、
前記第1及び第2のノズルユニットの各々のノズルは、前記第2の方向に等間隔で配列した着弾点に液滴を着弾させるように配置されており、
前記第1及び第2のノズルユニットは、前記第2の方向に間隔を隔てて配置されており、
さらに、前記制御装置からの制御により、前記第1及び第2のノズルユニットの間隔を変化させる間隔調節機構を有する描画装置が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によると、
外形及び寸法が同一で、第2の方向に間隔を隔てて配置された複数の繰り返しパターンを含む描画パターンが画定された描画対象物を準備する工程と、
前記描画対象物に少なくとも2つのノズルユニットを対向させ、1つの繰り返しパターンと1つのノズルユニットとの前記第2の方向に関する相対位置関係と、他の繰り返しパターンと他のノズルユニットとの前記第2の方向に関する相対位置関係とを同一にし、前記ノズルユニットを、前記描画対象物に対して、相対的に前記第2の方向と直交する第1の方向に移動させながら、前記ノズルユニットから液滴を吐出させる主走査を行う工程と
を有する描画方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
複数のノズルユニットを用いることにより、描画時間を短縮することができる。第1のノズルユニットと第2のノズルユニットとの間隔を変化させることにより、第1のノズルユニットと第2のノズルユニットとの相対位置関係を、描画すべきパターンの繰り返し周期に整合させることができる。これにより、描画品質のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例による描画装置の概略図である。
【図2】図2Aは、ノズルユニットの斜視図であり、図2Bは、ノズルユニットの底面図である。
【図3】図3は、ノズルと、ノズルの像との位置関係を示す図である。
【図4】図4Aは、ノズルユニット及びプリント配線板を、走査方向に直交する視線で見た図であり、図4Bは、ノズルユニット及びプリント配線板を、走査方向に平行な視線で見た図である。
【図5】図5は、描画対象物であるプリント配線板の平面図である。
【図6】図6Aは、実施例によるプリント配線板の繰り返しパターンと、ノズルユニットとの位置関係を示す図であり、図6Bは、実施例による方法で製造した描画後のプリント配線板の断面図である。
【図7】図7Aは、比較例によるプリント配線板の繰り返しパターンと、ノズルユニットとの位置関係を示す図であり、図7Bは、比較例による方法で製造した描画後のプリント配線板の断面図である。
【図8】実施例の変形例による描画装置のノズルユニットの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、実施例による描画装置の概略図を示す。定盤20の上に、移動機構21により保持機構25が保持されている。移動機構21は、Xステージ22、Yステージ23、及びθステージ24を含む。水平面をXY面とし、鉛直方向をZ軸とするXYZ直交座標系を定義する。Xステージ22は、Yステージ23をX軸方向に移動させる。Yステージ23は、θステージ24をY方向に移動させる。θステージ24は、Z軸に平行な軸を回転中心として、保持機構25の回転方向の姿勢を変化させる。保持機構25は、描画対象であるプリント配線板50を保持する。保持機構25には、例えば真空チャックが用いられる。
【0011】
定盤20の上方に、支柱30によって梁31が支えられている。梁31に、ノズルユニット40及び撮像装置32が取り付けられている。ノズルユニット40は、Y方向に並んで複数個、例えば2個配置されている。間隔調節機構46により、ノズルユニット40の間隔を調節することができる。撮像装置32及びノズルユニット40は、保持機構25に保持されたプリント配線板50に対向する。撮像装置32は、プリント配線板50の表面に形成されている配線パターン、アライメントマーク等を撮像する。撮像結果が、制御装置33に入力される。ノズルユニット40は、複数のノズルから、プリント配線板50に向けて、紫外線硬化型樹脂、例えばソルダーレジストの液滴を吐出する。吐出された液滴が、プリント配線板50の表面に付着する。
【0012】
制御装置33が、Xステージ22、Yステージ23、θステージ24、保持機構25、及びノズルユニット40を制御する。記憶装置34に、描画すべきパターンのイメージデータが記憶されている。
【0013】
図1では、ノズルヘッド40を定盤20に対して固定し、保持機構25を移動させるように、移動機構21を配置したが、その逆に、保持機構25を定盤20に固定し、ノズルユニット40を保持機構25に対して移動させてもよい。
【0014】
図2Aに、ノズルユニット40の各々の斜視図を示す。支持部材41の底面に、4個のノズルヘッド42A〜42Dが、X方向に配列するように取り付けられている。ノズルヘッド42A〜42Dが、X軸の負の向きに向かってこの順番に配列している。ノズルヘッド42A〜42Dの各々に、複数のノズル45が形成されている。
【0015】
ノズルヘッド42Aと42Bとの間、ノズルヘッド42Bと42Cとの間、ノズルヘッド42Cと42Dとの間に、光源43が配置されている。さらに、ノズルヘッド42AよりもX軸の正の側の領域、及びノズルヘッド42DよりもX軸の負の側の領域に、光源43が配置されている。光源43は、プリント配線板50(図1)に紫外線を照射する。
【0016】
図2Bに、ノズルヘッド42A〜42D、及び光源43の底面図を示す。ノズルヘッド42Aの底面(プリント配線板50に対向する表面)に、2列のノズル列46a、46bが形成されている。ノズル列46a及びノズル列46bの各々は、Y軸方向にピッチ(周期)8Pで並ぶ複数のノズル45で構成される。ノズル列46bは、ノズル列46aに対して、X軸の負の方向にずれており、さらに、Y軸の負の方向にピッチ4Pだけずれている。すなわち、ノズルヘッド42Aのノズル45は、Y方向に関しては、ピッチ4Pで等間隔に分布している。ピッチ4Pは、例えば300dpiの解像度に相当するピッチ、すなわち約84.67μmである。
【0017】
ノズルヘッド42B〜42Dの構造は、ノズルヘッド42Aの構造と同一である。ノズルヘッド42B、42C、42Dは、それぞれノズルヘッド42Aに対して、Y軸の負の方向に2P、P、3Pだけずれるように機械的に位置決めされて、支持部材41(図2A)に取り付けられている。ノズルヘッド42A〜42Dの間、及び最も外側のノズルヘッド42A、42Dよりも外側に、光源43が配置されている。
【0018】
図3に示すように、ノズルヘッド42A〜42Dのノズル45を、X軸に垂直な仮想平面56に垂直投影した像55A〜55Dは、Y方向に、1200dpiの解像度に相当するピッチP、すなわち約21.17μのピッチで等間隔に配列する。このため、4個のノズルヘッド42A〜42Dを用いて、Y軸方向に関して1200dpiの解像度で描画を行うことができる。
【0019】
図4Aに、ノズルユニット40及びプリント配線板50を、Y軸に平行な視線でみたときの概略図を示す。支持部材41の底面に、ノズルヘッド42A〜42D、及び光源43が取り付けられている。ノズルヘッド42A〜42Dに、プリント配線板50が対向する。
【0020】
ノズルヘッド42Aと42Bとの間に取り付けられた光源43は、プリント配線板50の表面のうち、ノズルヘッド42Aに対向する領域48Aと、ノズルヘッド42Bに対向する領域48Bとの間の領域に、光を照射する。同様に、ノズルヘッド42Bに対向する領域48B、ノズルヘッド42Cに対向する領域48C、及びノズルヘッド42Dに対向する領域48Dの間の領域も、対応するノズルヘッドの間に取り付けられた光源43により光照射される。
【0021】
ノズルヘッド42Aよりも外側(X軸の正の側)に取り付けられた光源43は、領域48AよりもX軸の正の側の領域に光を照射する。ノズルヘッド42Dよりも外側(X軸の負の側)に取り付けられた光源43は、領域48DよりもX軸の負の側の領域に光を照射する。
【0022】
プリント配線板50を、X軸の負の向きに移動させながら、ノズルヘッド42A〜42Dから液滴を吐出させて描画を行う場合について説明する。ノズルヘッド42A〜42Dから吐出されてプリント配線板50に付着した液滴は、着弾した時点の液滴の位置よりも前方(X軸の負の方向)の光源から光が照射されることによって硬化する。
【0023】
各ノズルヘッド42A〜42Dの各々の前方に光源43が配置されているため、液滴がプリント配線板50に付着してから短時間のうちに、液滴を硬化させることができる。また、各ノズルヘッド42A〜42DのX軸の正の側にも、光源43が配置されているため、プリント配線板50をX軸の正の方向に移動させながら描画を行う際にも、液滴の付着から硬化までの時間を短くすることができる。
【0024】
図4Bに、ノズルユニット40及びプリント配線板50を、X軸に平行な視線でみたときの概略図を示す。
【0025】
Y方向に間隔を隔てて第1のノズルユニット40A及び第2のノズルユニット40Bが配置されている。第1のノズルユニット40Aと第2のノズルユニット40Bとの間隔は、間隔調節機構46により調節することができる。具体的には、第1のノズルユニット40Aと第2のノズルユニット40Bとを、独立してY方向に移動させることができる。間隔調節機構46は、制御装置33により制御される。
【0026】
図5に、プリント配線板50に描画すべきパターンの一例を示す。複数の繰り返しパターン51がX方向及びY方向に行列状に配置されている。Y方向の繰り返し周期をLとする。描画が終了すると、プリント配線板50が製品ごとに分割される。1つの繰り返しパターン51が、1つの製品の基板に対応する。複数の繰り返しパターン51の外形及び寸法は同一である。また、全ての繰り返しパターン51は、その内部に、同一の描画パターンを含んでいる。各繰り返しパターン51の内部に配置されたパターンの外側の領域に、ソルダーレジストが塗布される。
【0027】
図6Aを参照して、実施例による描画方法について説明する。制御装置33(図1)は、記憶装置34に記憶されている描画すべきパターンのイメージデータから、繰り返しパターン51の繰返し周期Lを算出する。なお、予め、パターンの設計データから繰り返し周期Lを求めておき、繰り返し周期Lを制御装置33に入力するようにしてもよい。
【0028】
第1のノズルユニット40AをX方向に移動させながら、ノズルから液滴を吐出させることによって、X方向に延在する帯状の領域に描画を行うことができる。同様に、第2のノズルユニット40Bでも、X方向に延在する帯状の領域に描画を行うことができる。
【0029】
描画パターンを定義するピクセルの、Y方向の中心間距離が、ノズルの像55A〜55DのピッチP(図3)に等しい場合には、ノズルユニット40をX軸に平行に、片方向に移動させることによって、ノズルユニット40に対応する帯状の領域内の描画が完了する。ノズルの像55A〜55DのピッチPが、ピクセルの中心間距離のm倍(mは正の整数)である場合には、ノズルユニット40をY方向に距離(P/m)ずつずらせながら、X方向にm回移動させることによって、ノズルユニット40に対応する帯状の領域内の描画が完了する。例えば、m=2の場合には、1つのノズルユニット40を1往復させることによって、帯状の領域内の描画が完了する。ノズルユニット40をX方向にm回移動させて、ノズルユニット40に対応する帯状の領域内の描画を完了させる処理を、「1回の主走査」ということとする。
【0030】
1回の主走査で描画を行う領域を「単位走査領域」ということとする。単位走査領域の最大幅をWとする。最大幅Wは、図3のノズルの像55A〜55Dのうち、両端のノズルの像の間隔に、ピッチPを加えた長さと等しい。ノズル45の総数をNとすると、W=N×Pと表される。単位走査領域の最大幅Wは、繰り返しパターン51の繰り返し周期Lよりも狭い。
【0031】
制御装置33は、間隔調節機構46(図4B)を制御して、第1のノズルユニット40Aと第2のノズルユニット40BとのY方向に関する相対位置関係を、繰り返し周期Lに整合させる。具体的には、一例として、第1のノズルユニット40Aに対する第2のノズルユニット40BのY方向へのずれ量を、繰り返し周期Lと同一にする。このとき、1列目の繰り返しパターン51と第1のノズルユニット40AとのY方向に関する相対位置関係は、2列目の繰り返しパターン51と第2のノズルユニット40BとのY方向に関する相対位置関係と同一である。
【0032】
なお、第1のノズルユニット40Aに対する第2のノズルユニット40BのY方向へのずれ量を、繰り返し周期Lの整数倍にしてもよい。
【0033】
1列目の繰り返しパターン51が配置された領域を、複数個、図6Aにおいては3個の単位走査領域60A(1)〜60A(3)に区分し、2列目の繰り返しパターン51が配置された領域を、3個の単位走査領域60B(1)〜60B(3)に区分する。単位走査領域60A(1)〜60A(3)をY方向に繰り返し周期Lだけずらすと、単位走査領域60B(1)〜60B(3)と一致する。
【0034】
繰り返し周期Lが、単位走査領域の最大幅Wで割り切れるとは限らない。割り切れない場合には、1列目の繰り返しパターン51を区分した3個の単位走査領域60A(1)〜60A(3)の少なくとも1つの幅は、Wよりも狭くなる。図6Aでは、単位走査領域60A(3)の幅がWよりも狭い例を示している。なお、単位走査領域60A(1)〜60A(3)の各々の幅を、L/3としてもよい。
【0035】
第1及び第2のノズルユニット40A、40Bによって1回目の主走査を行うことにより、単位走査領域60A(1)及び60B(1)内の描画が完了する。1回目の主走査のときの第1及び第2のノズルユニット40A、40Bの位置を実線で示す。第1及び第2のノズルユニット40A、40BをY方向にWだけずらして2回目の主走査を行う。これにより、単位走査領域60A(2)及び60B(2)内の描画が完了する。さらに、3回目の主走査を行うことにより、単位走査領域60A(3)及び60B(3)内の描画が完了する。2回目および3回目の主走査のときの第1及び第2のノズルユニット40A、40Bの位置を破線で示す。
【0036】
3回目の主走査のときに、第1のノズルユニット40Aで描画することができる領域が、1回目の主走査で第2のノズルユニット40Bによって描画された単位走査領域60B(1)と部分的に重複する場合がある。この場合、重複する領域については、第1のノズルユニット40Aによる描画は行わない。
【0037】
図6Bに、描画後のソルダーレジスト膜53の断面図を示す。単位走査領域60A(3)、60B(3)の幅が、他の単位走査領域の幅よりも狭い。このため、3回目の主走査で液滴を吐出させるノズルの数は、1回目及び2回目の主走査で液滴を吐出させるノズルの数よりも少ない。ソルダーレジストを吐出させるノズルの数を少なく設定して主走査を行うと、ノズルから吐出される液滴の体積が大きくなる傾向を示す。これは、ソルダーレジストが、一般の印刷用インクに比べて粘度が高いためであると考えられる。
【0038】
単位走査領域60A(3)、60B(3)の幅が、他の単位走査領域の幅より狭いため、単位走査領域60A(3)、60B(3)に形成されるソルダーレジスト膜53の膜厚が、他の単位走査領域に形成されるソルダーレジスト膜53の膜厚より厚くなる。繰り返しパターン51ごとのソルダーレジスト膜53の膜厚の分布は、全ての繰り返しパターン51について同一になる。1つの繰り返しパターン51が1つの製品に対応するため、ソルダーレジスト膜の品質の、製品間のばらつきは小さくなる。
【0039】
また、実施例では、2つのノズルユニット40を用いて描画を行うため、描画時間を短くすることができる。
【0040】
図7Aに、比較例による方法で描画を行うときの繰り返しパターン51と単位走査領域60A(1)〜60A(3)、60B(1)〜60B(3)との位置関係を示す。比較例においては、第1のノズルユニット40Aと第2のノズルユニット40Bとの、Y方向のずれ量が、単位走査領域の最大幅Wの3倍に固定されている。
【0041】
単位走査領域60A(3)は、隣り合う2つの列の繰り返しパターン51と部分的に重なる。1列目の繰り返しパターン51と、2列目の繰り返しパターン51とでは、単位走査領域の境界線と、繰り返しパターン51との位置関係が異なる。
【0042】
図7Bに、比較例による方法で形成されたソルダーレジスト膜53の断面図を示す。単位走査領域60A(3)を走査するときには、1列目の繰り返しパターン51と2列目の繰り返しパターン51との間の余白部分に液滴が塗布されない。このため、単位走査領域60A(3)を走査するときに使用するノズルの数が、他の単位走査領域を走査するときに比べて少なくなる。従って、単位走査領域60A(3)内のソルダーレジスト膜53の膜厚が、他の領域に比べて厚くなる。
【0043】
1列目の繰り返しパターン51内の膜厚分布と、2列目の繰り返しパターン51内の膜厚分布とは異なる。このため製品間で、ソルダーレジスト膜の品質のばらつきが大きくなる。
【0044】
実施例による描画装置及び描画方法を採用することにより、ソルダーレジスト膜の品質の、製品間でのばらつきを抑制することができる。
【0045】
上記実施例では、ノズルユニット40を2個配置したが、ノズルユニット40を3個以上配置してもよい。このとき、1つの繰り返しパターン51と、それに対応するノズルユニット40とのY方向に関する相対位置関係と、他の1つの繰り返しパターン51と、それに対応するノズルユニット40とのY方向に関する相対位置関係とを同一にする。この状態で、ノズルユニット40を、描画対象物50に対して、相対的にX方向に移動させながら、ノズルユニットから液滴を吐出させる。これにより、ソルダーレジスト膜の品質の、製品間のばらつきを抑制することができる。
【0046】
図5では、同一の繰り返しパターン51がX方向及びY方向に行列状に配置されている例を示したが、X方向に関しては、必ずしも同一のパターンが周期的に配置されている必要はない。例えば、図5において、1行目に配置された繰り返しパターン51と2行目に配置された繰り返しパターン51とは、各繰り返しパターン51の内部のパターンや外形の寸法が同一である必要はない。ただし、外形の寸法が同一でない場合であっても、1行目の繰り返しパターン51と2行目の繰り返しパターン51とは、Y方向に関して同一の繰返し周期Lで配列している必要がある。
【0047】
図8に、実施例の変形例による描画装置のノズルユニットの底面図を示す。以下、実施例との相違点に着目して説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0048】
上記実施例では、ノズルヘッド42A〜42Dの各々に、2列のノズル列46a、46bが形成されていたが、変形例では、1列のノズル列46が形成されている。ノズル列46は、ピッチ4PでY方向に配列した複数のノズル45で構成される。実施例では、2本のノズル列46a、46bからの吐出時刻をずらせることにより、1本の直線上に液滴を着弾させたが、変形例では、1つのノズルヘッド内のノズル45から、同時に液滴を吐出させればよい。
【0049】
1つのノズルヘッド42A、42B、42Cまたは42Dのノズル45が、300dpiに相当するピッチで配列している場合、変形例においても、4個のノズルヘッド42A〜42Dを用いて1200dpiの解像度で描画を行うことができる。
【0050】
なお、ピッチPで1列に配列した複数のノズル45を有する1つのノズルヘッドによりノズルユニット40を構成してもよい。
【0051】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0052】
20 定盤
21 移動機構
22 Xステージ
23 Yステージ
24 θステージ
25 保持機構
30 支柱
31 梁
32 撮像装置
33 制御装置
34 記憶装置
40 ノズルユニット
40A 第1のノズルユニット
40B 第2のノズルユニット
41 支持部材
42A、42B、42C、42D ノズルヘッド
43 光源
45 ノズル
46 間隔調節機構
50 プリント配線板(描画対象物)
51 繰り返しパターン
53 ソルダーレジスト膜
60A 第1のノズルユニットの単位走査領域
60B 第2のノズルユニットの単位走査領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画対象物を保持する保持機構と、
前記保持機構に保持された描画対象物に対向し、描画対象物に液滴を吐出複数のノズルを有する第1及び第2のノズルユニットと、
前記保持機構に保持された描画対象物に対して、前記第1及び第2のノズルユニットを、相対的に、相互に交差する第1の方向及び第2の方向に移動させる移動機構と、
前記第1及び第2のノズルユニット及び前記移動機構を制御する制御装置と
を有し、
前記第1及び第2のノズルユニットの各々のノズルは、前記第2の方向に等間隔で配列した着弾点に液滴を着弾させるように配置されており、
前記第1及び第2のノズルユニットは、前記第2の方向に間隔を隔てて配置されており、
さらに、前記制御装置からの制御により、前記第1及び第2のノズルユニットの間隔を変化させる間隔調節機構を有する描画装置。
【請求項2】
前記描画対象物に描画すべき描画パターンは、外形及び寸法が同一で、前記第2の方向に間隔を隔てて配置された複数の繰り返しパターンを含み、
前記制御措置は、
前記第1及び第2のノズルユニットの、前記第2の方向に関する相対位置が、前記繰り返しパターンが前記第2の方向に並ぶ繰り返し周期に整合するように、前記間隔調節機構を制御し、
前記第1及び第2のノズルユニットの、前記第2の方向に関する相対位置が前記繰り返し周期に整合した状態で、前記第1及び第2のノズルユニットを、前記保持機構に保持された描画対象物に対して、前記第1の方向の相対的に移動させながら描画を行う請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
外形及び寸法が同一で、第2の方向に間隔を隔てて配置された複数の繰り返しパターンを含む描画パターンが画定された描画対象物を準備する工程と、
前記描画対象物に少なくとも2つのノズルユニットを対向させ、1つの繰り返しパターンと1つのノズルユニットとの前記第2の方向に関する相対位置関係と、他の繰り返しパターンと他のノズルユニットとの前記第2の方向に関する相対位置関係とを同一にし、前記ノズルユニットを、前記描画対象物に対して、相対的に前記第2の方向と直交する第1の方向に移動させながら、前記ノズルユニットから液滴を吐出させる主走査を行う工程と
を有する描画方法。
【請求項4】
1つの前記ノズルユニットを前記第1の方向に相対的に移動させることによって描画することができる領域の前記第2の方向の幅は、前記繰り返しパターンの各々の前記第2の方向の寸法よりも小さく、
前記ノズルユニットの前記第2の方向に関する位置を変えて、前記主走査を複数回行う請求項3に記載の描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−33879(P2013−33879A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169830(P2011−169830)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】