説明

揚水機構および水底資源回収装置

【課題】膨大な運転動力を消費することなしに、極めて省エネルギー化され、かつ運転の容易な揚水機構、および、その揚水機構を使用して、深海底から鉱物資源の回収を高効率で行い、高い採鉱生産性を実現できる水底資源回収装置を提供することを課題とする。
【解決手段】揚水機構は、底面2aおよび当該底面を囲む側面2bを有する有底容器体2を水面に浮かべて、前記有底容器体の底面または側面に設けられた揚水口3に揚水管4を接続し、前記揚水管を通して水底Wbから鉱物資源Mを水と共に揚水として汲み上げるときに使用される前記揚水を行う揚水機構において、前記揚水機構は、前記水面Wsよりも水底Wb側とる位置に前記有底容器体の揚水口3を設置した構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深海底に存在する鉱物資源を回収するための揚水機構、および、その揚水機構を使用した水底資源回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、地上や大陸棚での資源探査がほぼ一巡した現在において、次の有望な資源探査箇所として深海底が注目されており、例えば、海面下5000〜6000mの深海底には、マンガン団塊、熱水鉱床、メタンハイドレート等の有用鉱物資源が存在することがわかっている。
【0003】
それらの海底における鉱物資源を深海底表層から海面まで運搬する方法として、海中垂直運搬方式が考えられている。その海中垂直運搬方式では、海底から海面へと設置したパイプを介して揚水し、それと同時に深海底鉱物資源の揚鉱が一緒に行なわれるが、その際の揚水速度を高めることで、当然のこと揚鉱速度も高くして、採鉱の生産性を上げることが望まれている。
【0004】
従来、揚水と揚鉱の目的で考えられてきた前記の海中垂直運搬方式は、揚水ポンプとエアーリフトとを併用する方法であったが、仮に1日に4000トンのマンガン団塊を揚鉱しようとすると、8000トンの深海水をポンプ揚水することが必要と計算され、その装置を運転するには膨大な動力を必要とする。ある一試算によると、マンガン団塊の採鉱では数万KWを要すると発表されており、その電力を電力費に換算すれば莫大な金額になることから、実用化するには大幅な省エネルギー技術の開発が求められている。ここで消費されるエネルギーのほとんどは、揚水ポンプの運転に伴う電力であることから、揚水ポンプに代わる装置の開発が望まれていた。
【0005】
そのため、従来において、海底から船上までの長さを備えたU字管を設置し、船上で開口する一方のU字管の上端開口に回収した海水を、ポンプを介して供給し、船上で開口する他方のU字管の上端開口から海底で採掘した鉱物を揚水と一緒に押し上げて回収する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−269070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の海底鉱物を揚上する装置では、以下に示すような問題点が存在する。
従来の海底鉱物を揚上する装置では、揚水管を用いて海底からの鉱物資源を回収する場合に、ポンプ等を使用して鉱物資源を揚水管へ導く構成であるため、膨大な運転動力を消費することが避けられなかった。
【0007】
また、特許文献1の装置では、U字管中を通る海水は、船上で供給される海水のヘッド圧程度では、海水の流速が鉱物資源を移動させるには小さく、鉱物資源の回収の効率が低かった。さらに、特許文献1の装置では、鉱物資源を海底においてU字管中に入れるときに大きな圧力を加えないと、そのU字管中に鉱物資源を送り込めないことから、作業効率が低かった。
【0008】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み創案されたものであり、膨大な運転動力を消費することなしに、極めて省エネルギー化され、かつ運転の容易な揚水機構、および、その揚水機構を使用して、深海底から鉱物資源の回収を高効率で行い、高い採鉱生産性を実現できる水底資源回収装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために、以下に示すような構成とした。すなわち、本発明に係る揚水機構は、底面および当該底面を囲む側面を有する有底容器体を水面に浮かべて、前記有底容器体の底面または側面に設けられた揚水口に揚水管を接続し、前記揚水管を通して水底から鉱物資源を水と共に揚水として汲み上げるときに使用される前記揚水を行う揚水機構において、前記揚水機構は、前記水面よりも水底側となる位置に前記有底容器体の揚水口を設置する構成とした。
【0010】
このような構成により、揚水機構は、水面から揚水口までの距離をできるだけ大きく設けることで、その水面から押し下げられた位置にある揚水口から水が噴きあがり水面まで水位を戻そうとして、揚水管から有底容器体内に噴出することになる。揚水機構は、水面から水中側に下がった位置に揚水口を設けることで、有底容器体の底面側にかかる水圧の大きさ(水面から揚水口までの落差の距離)を変え、揚水口に接続されている揚水管から揚水する流速を制御することができる。したがって、鉱物資源の状態あるいは大きさ、または、鉱物資源の回収量に応じて水面から揚水口までの距離を調整することで、機械的なポンプ等のエネルギーを使うことなく、鉱物資源を回収する駆動源として動作する。
【0011】
また、本発明に係る水底資源回収装置は、水底から鉱物資源を水と共に揚水として汲み上げると共に、前記鉱物資源と水とを分離する水底資源回収装置において、水面に浮かび底面および当該底面を囲む側面を有する有底容器体と、この有底容器体の側面または底面に設けた揚水口と、この揚水口に接続される揚水管と、この揚水管により前記揚水を汲み上げる揚水機構と、前記有底容器体内に設置され前記揚水機構により前記揚水管を介して汲み上げられて噴出する揚水の噴きかかる位置に、前記揚水を鉱物資源と水とに分離すると共に分離した鉱物資源を前記有底容器体の外に搬送する分離搬送装置と、この分離搬送機構により鉱物資源と分離された水を前記有底容器外に排水する排水機構とを備え、前記揚水機構は、前記有底容器体の揚水口を前記水面よりも水底側となる位置に配置する構成とした。
【0012】
このような構成により、水底資源回収装置は、有底容器体を水面に浮かばせる状態とし、その有底容器体の揚水口に、揚水管を接続して水底側まで連続させる。そして、有底容器体の揚水口が水面から水底側に位置していることが揚水機構となり、揚水管の開口近くの水および揚水管の開口近くの鉱物資源を、揚水管を通して揚水として汲み上げる。そのため、水底資源回収装置は、揚水機構としてポンプ等の駆動力を必要としないため、鉱物資源の回収コストを極端に節減できることになる。そして、水底資源回収装置は、揚水管を通じて水と共に鉱物資源が汲み上がると、その揚水が噴きかかる位置に分離搬送装置が設置されているため、揚水された水は分離搬送機構の例えば網状の無端コンベアをすり抜けて有底容器体内に落下し、また、鉱物資源は例えば網状の無端コンベア上に積載されて外部へと搬送される。さらに、鉱物資源から分離された水は、排水機構により有底容器体の外に排水される。
【0013】
さらに、前記した水底資源回収装置において、排水機構は、前記有底容器体の上方に水面よりも高い位置に設置した貯水部と、前記有底容器体に設けられた排水管と、前記鉱物資源と分離され、かつ、前記有底容器体内に溜まった水を前記貯水部まで汲み上げる汲上ポンプと、この汲上ポンプに接続されて前記貯水部に水を送る送水管と、前記貯水部から前記排水管に接続される接続管とを備える構成とした。
【0014】
このような構成により、水底資源回収装置は、水底から有底容器体内に揚水した水を、汲上ポンプにより送水管を通して貯水部の高さまで一旦水を持ち上げる。このとき、貯水部は、水面より高い位置に設置されているため、その水面からの高さの差により貯水部から排水管を通して揚水した水が排水される。なお、排水管は、例えば、その他端を揚水管の先端と同等の深さ位置に開口させれば、鉱物資源を回収するときに揚水した水を元の位置に再度戻すことになり、環境保全に役立てることができる。
【0015】
また、前記した水底資源回収装置において、前記揚水口には、開閉バルブが接続されている構成とした。
このような構成により、水底資源回収装置は、揚水管から揚水口を通して揚水するときに、開閉バルブにより揚水の開始および停止を操作することができる。また、喫水位置の調整をするとき、修理等の臨時の開閉にも開閉バルブを使用することができる。
【0016】
そして、前記した水底資源回収装置において、前記揚水口には、揚水を前記分離搬送装置に向かって案内する案内管が前記開閉バルブを介して接続されている構成とした。
このような構成により、水底資源回収装置は、揚水管を通して揚水した水と鉱物資源とが効率よく分離搬送装置に向かって噴きかかるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る揚水機構および水底資源回収装置は、以下に示すような優れた効果を奏するものである。
揚水機構は、水面の位置から揚水口の位置までの距離を調整することで、揚水管から水と鉱物資源とが揚水として汲み上がる揚水量や揚水速度を制御できるため、膨大な運転動力を消費することなしに、極めて省エネルギー化され、かつ運転を容易とする。
【0018】
水底資源回収装置は、有底容器体の揚水口の位置を水面の位置から水底側に距離を開けて設置しているので、水底の鉱物資源を水と共に揚水により回収するときに、あえて膨大な運転動力を消費することなしに、極めて省エネルギー化された状態で、かつ運転を容易とする。また、水底資源回収装置は、揚水した水底の水を排水管により再び元の水底へ戻すことができ、環境に対しても配慮して鉱物資源の回収を行うことができる。さらに、水底資源回収装置は、案内管を有することで、揚水管からの揚水の噴射方向を、分離搬送装置側に案内できることになり、鉱物資源の回収効率をさらに向上させることができる。そして、水底資源回収装置は、揚水口に接続される揚水管に開閉バルブを設置することで、揚水の開始および停止を制御することができるため、運転作業するときの操作がし易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、水底資源回収装置を使用して水底資源を回収する状態を模式的に示した模式図、図2は、水底資源回収装置の全体を断面にして模式的に示す模式図である。なお、以下の説明では、海洋における作業を一例として説明するが、湖水、河口、あるいはダムにより貯水されている貯水池等の淡水を対象にした構成や作業であっても構わないことは勿論である。
【0020】
図1および図2に示すように水底資源回収装置1は、ここでは、船舶Sの船体部分に設置されており、海中(海底側)に向かって昇降機構20により昇降自在に設けられている。さらに、水底資源回収装置1で使用される揚水管4は、ここでは、船舶Sに所定長さに分割された状態で積載されており、船舶Sに設置されているクレーン装置30等を使用して水底資源回収装置1に所定の長さになるまで、順次接続されていく構成として説明する。
【0021】
図2に示すように、水底資源回収装置1は、海面(水面)Wsに浮かばせた状態で支持されて揚水を行う有底容器体2と、この有底容器体2の底面2aあるいは側面2bの一方(図面では底面として説明する)に形成した揚水口(オリフィス)3と、この揚水口3から海底側に接続される揚水管4と、この揚水管4を介して揚水口3から噴出する揚水に対向する位置に設置された分離搬送装置7と、この分離搬送装置7により揚水が海水(水)Wと鉱物資源Mとに分離されたときにその分離した海水Wを底面2a側から有底容器体2の外部に排水する海水排水機構(排水機構)10と、を備えている。
【0022】
図2に示すように、有底容器体2は、海面Wsに浮かぶ状態で船舶S側に支持されるように形成されており、ここでは船舶Sの胴体部分から昇降自在に設けられている。この有底容器体2は、一例として、金属により底面2aおよび側面2bが形成されており、上方を開放した箱型形状に形成されている。また、有底容器体2の海水と接する側の外底面は、船体の長手方向の中央に向かって流線型となるような、一般的な船底の形状としてもよい。なお、有底容器体2の底面2aの内側では、後記する汲上ポンプ11の設置される位置が低くなるように凹状に形成されている。また、有底容器体2は、後記する昇降機構20からの駆動力により、船舶Sの設置位置から海中側に降下移動あるいは海中側から設置位置まで上昇移動できるように、船舶Sの船体部分に後記する昇降機構20により支持されている。
【0023】
有底容器体2の底面2aに形成した揚水口3は、海面Wsからの距離H1が所定以上になるように、昇降機構20により設定される。この揚水口3の海面Wsからの距離H1は、どの深さの海底から揚水を汲み上げるかにより決定される。なお、揚水口3から汲み上げられる揚水の揚水速度(噴出速度)は、鉱物資源Mを揚水とともに汲み上げるために、少なくとも4〜5(m/s)以上に設定することが望ましい。この揚水速度を決定する条件は、海面Wsの高さから揚水口3の開口高さまでの距離H1(=H=10m(基本設計の値の例))である吃水と、揚水管径Rと、の関係から求めることができる。ここで一例として、速度水頭Hvと、吃水および水頭距離に対応した噴水量Q(m/day)とを具体的な数値を用いて算出して示す。なお、図3(a)〜(c)に示すように、有底容器体2の揚水口3の位置は、底面2aまたは側面3bの位置で、海面Wsより海中(海底)側にあることで、揚水機構を発現させることができる。そして、この揚水機構は、噴出高さに対応する位置(H2)から噴きあがる海水の高さ(距離)が、底面2aまたは側面2bのいずれであっても同等に算出できる。
【0024】
揚水口(案内管6を接続したときはその開口:オリフィス)3より発生する噴出高さの具体的な試算用公式は、揚水口3の速度係数をCv(=0.97)とし、重力加速度をg(=9.8m/s)とし、空気や落下水の抵抗が存在しないと仮定し、揚水が噴出する高さをH2として、その噴出高さの試算を行う。このとき、揚水口3から噴出する瞬間の噴出速度をVとし、その速度に相当する速度水頭をHvとすれば、揚水の噴出高さH2はHvに等しくなるのが自然法則であるので、Hv=V×V(2g)1/2(式1)であり、揚水の噴出の初速度Vはトリチェリーの次の(式2)で示される。V=Cv(2gH)1/2(式2)。
【0025】
この(式2)においてVの値を(式1)のHvに代入すれば、Cv(2gH)1/2×Cv(2gH)1/2/2g=Cv×Cv×H(式3)となる。したがって、噴出高さHvは、次の(式4)により算出することができる。Hv=Cv×Cv×H(式4)。なお、具体的な数値を代入した場合、例えば、H(H1)=10m、Cv=0.97を(式4)に代入すると揚水口3(案内管6)から海水の噴出高さはほぼ9.5mとなり、また、揚水口3(案内管6)における噴出速度は13.6(m/s)となる。したがって、前記した揚水速度(噴出速度)の条件である4〜5m/s以上となり、鉱物資源Mを揚水とともに汲み上げることができることになる。なお、揚水管4の直径を0.5m(一定)にして、海面Wsから揚水口(オリフィス)3までの位置(以下、屹水(=喫水)という)H1を1〜30mまで変化させたときの揚水口3から噴きあがる噴出高さH2との関係を表1に、また、噴出高さH2における噴出速度(m/s)との関係を表2に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
また、屹水を2〜30mに変化させ、揚水管(揚水口)径を0.2〜1mまで変化させたときの揚水(圧力水)の1日での揚水口3の通過水量(万トン/day)の試算を表3に示す。ここで、揚水口3を通過する水量(万トン/day)とし、収縮係数をCc(=1)とし、速度係数をCv(0.98)とし、重力の加速度をg(9.8m/s)は、揚水口3の面積をA(m)とし、有効噴出高さ(有効落差と同じ)をH(m)(ここでHはほぼH2と等しい)とし、揚水管4の口径をdΦ(m)としたときに、つぎの(式5)により通過水量を算出した。すなわち、Q=Cc×Cv×A(2gH)1/2(式5)である。
【0029】
【表3】

【0030】
前記した表1ないし表3に示すように、通過水量を目安として、揚水の汲み上げ状態と鉱物資源Mの回収状態とを推定することができる。このように、揚水機構として揚水口3の位置を海面Wsからの距離をとることで、ポンプ等の駆動力をあえて使用することなく海底Wb側から海水と共に鉱物資源Mを揚水として回収することが可能となる。
【0031】
また、揚水管4は、図4に示すように、所定の長さに分割された状態で、船舶Sに積載されており、積載位置から船舶Sのクレーン装置30により搬送されて、揚水口3から海底側に順次接続されて設置される。なお、ここでは、揚水管4は、排水管15とペアとして揚水口3に接続される。揚水管4の接続は、図示しない継手手段を介して行うものや(Buttress Joint)、管端にネジ構造を備えて接続されるもの(Extreme Joint、Tool Joint)等の公知の手段により行われる。なお、一定長さの揚水管を接続して用いる代わりに連続管を使用してもよい。
【0032】
そして、ここでは、揚水管4の最後に接続される管の他端に開閉バルブ5が設置され、さらにその先端に、案内管6が接続されている。
この案内管6は、揚水を後記する分離搬送装置7に向かって放出するように方向付けするためのものである。案内管6は、ここでは、分離搬送装置7にその開口位置が向くように先端側を湾曲させた形状としている。
【0033】
図2に示すように、開閉バルブ5は、揚水の案内管6からの噴出および停止を制御するものである。この開閉バルブ5は、ここでは揚水口3に接続される揚水管4に設けられている。そして、開閉バルブ5は、バルブの開閉動作は外部から遠隔操作できるようにモータを介して行うように設定することができる。また、開閉バルブ5は、圧力等の揚水で使用される条件により公知の適切なものを選択して使用してもよい。
【0034】
図2に示すように、分離搬送装置7は、案内管6の噴射方向に対向する位置に設置され、案内管6から噴出する海水と鉱物資源Mとを分離して、鉱物資源Mを所定位置まで搬送するものである。この分離搬送装置7は、例えば、網目状の無端の搬送ベルト8と、この搬送ベルト8を両端から支持して搬送方向に向かって回転するように駆動するベルト駆動機構9とを備えている。搬送ベルト8は、海水Wを通過させ、所定の大きさとなる鉱物資源Mを載置できるように網目の大きさが予め設定され、所定間隔で搬送方向に沿って立設した載置羽根が幅方向に亘って設けられている。この分離搬送装置7に向かって揚水が噴出して来ると、海水Wは搬送ベルト8の網目を通過して後記する海水受部16に収容されるか、あるいは、有底容器体2の底面2aに落下する。また、揚水が搬送ベルト8を通過するときに、その網目により通過できない大きさあるいは粘度を有する鉱物資源Mが搬送ベルト8に積載されて所定の位置に搬送される。
【0035】
なお、分離搬送装置7は、図5に示すように、予め設定した搬送場所に向かって鉱物資源Mを搬送するために、有底容器体2の外部においても第2の分離搬送装置(搬送装置)7Aを設置することなど、複数台を設置することができる。また、有底容器体2の外部に設置される第2の分離搬送装置7Aでは、搬送ベルト8の構成を網目状にすることや、あるいは、網目状にすることなく面状としても構わない。第2の分離搬送装置7Aで搬送された鉱物資源Mは、船舶Sの船体に設置された収納バケットBに収納される。
【0036】
図2に示すように、分離搬送装置7により分離された海水Wは、海水排水機構10により有底容器体2の外部に排水される。海水排水機構10は、ここでは、分離搬送装置7により分離されて有底容器体2の底あるいは側面に設けた海水受部16に溜まった海水Wを上方に汲み上げる汲上ポンプ11と、この汲上ポンプ11により汲み上げられる海水Wを上方に送る送水管12と、この送水管12により送られた海水Wを一旦貯水する貯水部13と、この貯水部13に一旦貯水された後に排水管15に海水Wを送る接続管14と、この接続管14にその一端を接続し、かつ、海底Wb側に開口する排水管15とを備えている。
【0037】
図2に示すように、汲上ポンプ11は、有底容器体2から貯水部13に海水Wを汲み上げることができる能力のポンプを複数使用している(例えば、57KWで効率(μ)=0.8のポンプを10〜30基)。この汲上ポンプ11は、有底容器体2の内側となる底面2aに向かって形成した窪みの位置に設置されてもよい。その場合、図2に示すように、海水排水機構10は、揚水高さに対応する位置で、分離搬送装置7を通過した海水Wを受ける高さとなる側面2bの位置に、その海水Wを一時的に溜める海水受部16を設置し、その海水受部16に汲上ポンプ11を設置し、送水管12により貯水部13に海水Wを送水するように構成している。このように海水受部16を備えることで、揚水高さまで汲み上げた海水Wをその位置エネルギーを無駄にすることなく効率よく貯水部13に送水することができるようにしている。
【0038】
なお、汲上ポンプ11は、揚水量に対応してその規模、大きさ等の条件が設定される。つまり、汲上ポンプ11は、揚水量が、貯水部13までに汲み上げる汲上げ量を極端に上回る、あるいは、極端に下回ることが無いようにしている。そのため、一定の水量が底面2aの窪みに溜まったときに、図示しないセンサからの信号により、汲上ポンプ11を作動させ、海水Wを貯水部13に送るように設定されることが好ましい。また、揚水量が貯水部13までに汲み上げる水量よりも多い場合には、開閉バルブ5を一旦閉めて揚水作業を中断するか、あるいは、有底容器体2の側面に排水穴(図示せず)を形成し、海水Wが所定量溜まったときにその排水穴(図示せず)から船舶S外に海水Wを排水できるように構成して、海水Wが有底容器体2内に所定量以上溜まらないようにすることが好ましい。
【0039】
図2に示すように、貯水部13は、海面Wsよりも高い位置に設定されている。この貯水部13は、揚水された海水Wを再び回収した海底Wb側とほぼ同じ深さの位置に戻す場合には、海面Wsよりも高くなる位置に配置される。そして、貯水部13は、海水Wを再び回収した海底Wb側とほぼ同じ深さの位置に戻す場合には、揚水するときの屹水の高さH1と同等またはそれ以上となるように海面Wsからの高さが設定されることが好ましい。なお、貯水部13は、揚水管4より排水管15の直径を大きくすることで、海面Wsからの距離を屹水の高さH1よりも小さくしても揚水量と排水量とを同等以上として排水することができる。
【0040】
図2に示すように、排水管15は、その一端が貯水部13に接続される接続管14に接続され、その他端が海底Wb側において開口するように設置される。この排水管15は、揚水管4に隣接した状態で揚水口3に設置される。したがって、排水管15は、揚水管4と同じ長さになるように分割した状態で船舶Sに積載されている(図4参照)。そして、排水管15は、揚水管4を接続するときに、予め揚水管4に隣接するように取り付けられた状態となっている。
【0041】
図2に示すように、接続管14は、その一端が貯水部13に接続された状態で設置され、その管胴部分に伸縮できる蛇腹部分(図示せず)を備えていることが好ましい。この接続管14は、その他端に排水管15が接続される。
【0042】
また、図2に示すように、船舶Sの船体内には、有底容器体2を海中側に降下移動させるとともに、降下移動させた有底容器体2を海中側から船舶側に上昇移動させるための昇降機構20を備えている。この昇降機構20は、有底容器体2を昇降移動させるワイヤなどによる巻上装置21と、この巻上装置21に連動して動作する移動装置22とを備えている。
【0043】
そして、巻上装置21は、有底容器体2に係合するワイヤ21aと、このワイヤ21aの送り出した長さを、滑車21bを介して巻戻すウインチ(駆動部)21cとを備えている。ここでは、巻上装置21を有底容器体2の対面する側面2b側に設置してウインチ21cのモータを同期して動作するように構成している。
【0044】
また、移動装置22は、例えば、ラックアンドピニオンのような有底容器体2を移動したときにその移動位置において有底容器体2の位置を保持できるものであることが好ましい。この移動装置22は、船体側に設置した支持台に設置した駆動モータ22aと、この駆動モータ22aからの駆動力により回転するピニオンギア22bと、有底容器体2の側面2bに沿って外側に曲折して形成した設置部2cを介して固定したピニオンギア(駆動伝達部)22cとを備えている。
【0045】
なお、昇降機構20は、巻上装置21および移動装置22を、有底容器体2の重量に応じて設置数および設置条件を設定しており、例えば、有底容器体2の対面する側面2bに巻上装置21,21(2機)を設置すると共に、移動装置22,22(2機)を設置するようにしている。そして、昇降機構20は、巻上装置21および移動装置22が、その駆動タイミングを同期させて有底容器体2の降下移動および上昇移動を行っている。
【0046】
この昇降機構20は、海中側に有底容器体2を降下移動させる場合に、海水からの浮力の抵抗を受けることになるが、その浮力を軽減するために錘を予め有底容器体2に設置するか、あるいは、有底容器体2自体の重量を大きくなるように構成しても構わない。
昇降機構20により有底容器体2を昇降移動させる構成とする場合には、昇降移動する有底容器体2と船体側とがパッキン、メカニカルシール、油圧等の公知の手段により水密にシールされていることが好ましい。
【0047】
さらに、図4および図7に示すように、船舶Sには、クレーン装置30が設置されている。このクレーン装置30は、揚水管4および排水管15の搬送、収納バケットB(図5参照)の搬送等、基材の搬送を行うものであり、甲板等に設置したレールLに沿って躯体31が移動し、その躯体31に移動自在に設置されたクレーンフック32により基材の搬送作業を行っている。このクレーン装置30は、クレーンフック32の位置を、躯体31等を移動させることで、空間座標におけるXYZ方向のいずれの座標点にも制御できることで、基材の搬送作業を行っている。なお、ここで示す船舶Sには、移動用クレーンとしてのクレーン装置30や、船舶Sから収納バケットB等を他の船あるいは陸揚げするときに使用する揚貨装置(図示せず)を備える構成である。
【0048】
つぎに、水底資源回収装置1の動作について説明する。
図1に示すように、はじめに、資源回収現場の海底に、予め陸上で組み立てた揚水管4を支持するとともに集積バケット41を備える構造物40をクレーン等により船から海底に下ろして設置する。また、海底の構造物40の近くに、海底を走行して鉱物資源Mを集める海底自走車42が予め船からクレーン等により下ろされており、集積バケット41に、例えば、メタンハイドレート、オイルサンド、熱水鉱床、マンガン団塊等の鉱物資源Mが集積された状態を示している。なお、海底自走車42により集めた鉱物資源Mは、集積バケット41に集積される状態となる。また、集積バケット41は、構造物40の自重で海底Wbに埋没するように設置するか、予めドリル等により海底Wbに穴を形成した位置に設置するようにしている。
【0049】
水底資源回収装置1は、船舶Sに設置されて、鉱物資源Mの回収地点の真上となる海上まで航行して停止する。回収地点に予め設置された構造物40は、揚水管4が接続できるようにワイヤの先端にブイを接続して構造物40の位置が視覚的に判断できるようになっている。そして、船舶Sの音波探知装置、あるいは、予め海底に設置した音波発生装置などを使って、構造物40の正確な海底の位置を特定することができる。
【0050】
なお、船舶Sに水底資源回収装置1を設置して使用する場合には、海上において船舶Sの位置を制御することが必要になるが、例えば、以下のようにすることで実現することができる。船舶Sは、衛星から受信する位置データや、予め海底に設置した音波発生装置などを使って、船舶Sの位置を特定すると同時に、風や波の方向や速さなど「船に働いている力」を計る。それらのデータをもとに、船体の基準位置からのずれる方向や速さを予測する。その予測をもとに、360度回転する巨大な水中プロペラを船舶Sに設置して、コンピュータ制御で動かし、船の位置がずれないように、「ずれ」の反対方向から推進力を加えて、船にかかる外からの力とバランスをとり船舶Sの位置を維持することができる(自動船位保持システム(Dynamic Positioning System:DPS)。
【0051】
水底資源回収装置1は、はじめに、ブイに接続されている海底Wbに設置した構造物40からのワイヤを、有底容器体2の揚水口3から船体側に引き上げる作業を作業者等により行う。そして、図7(a)に示すように、船体上に分割して収納している揚水管4および排水管15を予め隣接した状態で係合しているものを、クレーン装置30により順次揚水口3に前記したワイヤを連通した状態で挿通させて下方となる海底に設置されている構造物40に向かって接続しながら降下させていく。なお、揚水管4および排水管15は、隣接した状態であってもそれぞれが、軸回り方向に回転できる状態で係合されている。
【0052】
そして、揚水管4および排水管15が構造物40に到達したときには、ワイヤにより構造物40の接続部分に、揚水管4および排水管15の先端部分が誘導されて挿入された状態で係合している。そして、揚水管4および排水管15が構造物40に係合したら、船上側から揚水管4および排水管15をそれぞれ回転させることで、構造物40に固定される。構造物40に予め設置されている揚水管4および排水管15の係合管は、蛇腹状の伸縮部分を備えていることで、揚水管4および排水管15を接続するときの作業を容易とする。同様に、海面Wsに近い側の揚水管4および排水管15においても、蛇腹状の伸縮部分を備えることで、有底容器体2に接続するときの作業を容易とする。
【0053】
また、揚水管4および排水管15を接続して海中に延設していく場合、図7(a)に示すように、海面Wsより高い位置に、揚水管4および排水管15の開口が配置されるように、船体側に設置されている保持手段35により保持した状態で作業が行われる。
【0054】
図7(b)、(c)に示すように、分割した最後の揚水管4のつぎに開閉バルブ5を設けた案内管6を接続して揚水口3の位置に、クレーン装置30により移動させて、揚水管4および排水管15を揚水口3側に係合させる。そして、排水管15は、貯水部13に一端を接続されている接続管14の他端に接続した状態とする。なお、排水管15は、常に海面Wsよりも開口しいている位置が高い位置にあるので、接続作業を行っているときに、揚水機構が働くことなく海水が溢れ出ることはない。
【0055】
水底資源回収装置1は、揚水管4および排水管15の準備が完了すると、揚水量に応じた喫水深さとなるように、昇降機構20を用いて有底容器体2の底部位置、すなわち揚水口3を、船舶S側から海中側へと降下移動させる。つまり、図6(a)、(b)に示すように、昇降機構20の巻上装置21および移動装置22により所定の位置まで浮力に抗して海中側に移動する。水底資源回収装置1では、昇降機構20により有底容器体2の位置を海中側に移動して、喫水の距離H1を大きくし、揚水管4からの噴きあがる揚水の噴出速度を高めることで、ある程度の重さのある鉱物資源Mであっても海水Wと一緒に汲み上げるように調整することができる。
【0056】
また、喫水の距離H1を大きくすることは、揚水量も増えるので、資源回収効率を高めることになる。なお、揚水量については、すでに説明した表1から表3を参照することで、実際に水底資源回収装置1で行う回収作業の目安になる。
【0057】
水底資源回収装置1では、有底容器体2の位置を昇降機構20により設定すると、有底容器体2の揚水口3に接続した案内管6の開閉バルブ5を開放することで、図7(d)に示すように、揚水を噴き上げて海底資源の回収作業を開始する。このとき、案内管6の開口の位置が、海面Wsよりも海底側となる位置にあることで揚水機構を構成し、海底Wb側から海水Wとともに鉱物資源Mを汲み上げることができる。
【0058】
水底資源回収装置1では、揚水管4を通して海水Wと鉱物資源Mが案内管6から噴出すと、海水は、分離搬送装置7の網目状の搬送ベルト8を通過して海水受部16に入るか、あるいは、有底容器体2の底面2aに落下して溜まる。また、鉱物資源Mは、大きさあるいは粘度により分離搬送装置7の搬送ベルト8に引っ掛かった状態となり順次搬送されて所定の位置まで送られることで回収される。
【0059】
水底資源回収装置1では、揚水された海水は、底面2aに設置した複数の汲上ポンプ11および海水受部16に設置した複数の汲上ポンプ11により、送水管12を通して貯水部13に送り込まれる。そして、貯水部13に送られた海水Wは、接続管14を通り、排水管15によりほぼ元の深さの位置に戻されることになる。海水をその汲み上げた海底Wb側に戻すことにより、海洋環境に悪影響を及ぼすことがなく、海洋環境を保全するという目的を達成することができる。
【0060】
このように、水底資源回収装置1では、海底Wb側から海水Wと共に鉱物資源Mを揚水する場合に、海面Wsからの揚水口3までの距離となる喫水の距離H1を大きくすることで揚水機構を働かせているので、揚水を行うときにポンプ等のエネルギーをあえて使用することなく鉱物資源Mの回収を行うことができる。
【0061】
以上のように水底資源回収装置1の構成および動作について、具体的に説明したが、以下に示すように、各構成を適宜変更するものであっても構わない。
水底資源回収装置1は、船舶に設置した例として説明したが、洋上基地に設置する構成としても構わない。洋上基地に設置する場合には、水底資源回収装置1を複数設置して鉱物資源Mの回収を行い、回収した鉱物資源Mを運搬船により輸送することができるために回収効率を向上させることが可能となる。
【0062】
また、水底資源回収装置1では、数十メートルから数千メートルを超える水深において使用することができ、海水および淡水で使用することができる。このとき、構造物40を設けることなく、揚水管4の先端に開口よりも離間した状態でドリルを設置してそのドリルにより掘削した鉱物資源Mを海水Wと共に揚水する構成としても構わない。
【0063】
さらに、水底資源回収装置1は、海底Wb側の海水を吸い込む位置に排水管15の先端を設けることによって揚水した海水Wを戻すように構成しているが、貯水部13、接続管14および排水管15を設けることなく、汲上ポンプ11で汲み上げた海水を送水管12により海面Ws側に排水する構成としても構わない。
【0064】
そして、水底資源回収装置1は、昇降機構20により海中側に移動できるように構成されているが、予め海面Wsから揚水口3(案内管6の開口)までの距離(喫水)を設定した状態で使用する構成としても構わない。また、開閉バルブ5は、揚水口3に設けられることや、揚水口3に最後に接続される揚水管4に設けられることや、あるいは、案内管6に設けられることのいずれかの構成であっても構わず、さらに、2つあるいは3つ等複数を設ける構成としてもよい。
【0065】
また、水底資源回収装置1は、揚水口3が、ここでは、有底容器体2の底面2aに形成された例として説明したが、海面Wsより所定距離を開けて下方となる位置であれば、側面2bに形成されても構わない。なお、海水受部16は、側面2bに設ける構成として説明したが、底面2aに所定高さに支持する支持脚を介して搬送ベルト8の裏側に近接して配置する構成としても構わない。つまり、海水受部16は、揚水高さに対応して分離搬送装置7に沿った位置に設けられる構成であることが好ましい。
【0066】
さらに、水底資源回収装置1において、揚水管4あるいは排水管15は、例えば、内径が約50cmで、外側に噴出防止装置(BOP)を制御するための導線、油圧管、流体の圧入管を装備する二重構造になっており、外径が1.2mとなる、いわゆるライザーパイプを使用することができる。
【0067】
また、海底Wbに設置した構造物40に接続するための方法は、ワイヤを使用するもの以外であってもよく、例えば、構造物40を水底に降下するときに、揚水管4を構造物40に接続して、揚水管4の接続を行いながら構造物40を降下させる等、海底Wbにおいてパイプを海上から延設して作業を行う場合に使われる公知の方法で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(a)は、本発明に係る水底資源回収装置を船舶に設置して鉱物資源を回収する状態を模式的に示す模式図であり、(b)は海底における鉱物資源の集積状態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る水底資源回収装置を模式的に示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明に係る資源回収装置における揚水機構を説明するための模式図である。
【図4】本発明に係る水底資源回収装置を模式的に示す平面図である。
【図5】本発明に係る水底資源回収装置により回収した鉱物資源の搬送および収納状態を一部を切り欠いて模式的に示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明に係る水底資源回収装置の有底容器体を船体から海中側に降下移動する状態および海中側にある有底容器体を船体側に上昇移動する状態を模式的に示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明に係る水底資源回収装置の動作を説明する状態を一部切り欠いて模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 水底資源回収装置
2 有底容器体
2a 底面
2b 側面
3 揚水口
4 揚水管
5 開閉バルブ
6 案内管
7 分離搬送装置
8 搬送ベルト
9 ベルト駆動機構
10 海水排水機構(排水機構)
11 汲上ポンプ
12 送水管
13 貯水部
14 接続管
15 排水管
16 海水受部
20 昇降機構
21 巻上装置
22 移動装置
30 クレーン装置
35 保持手段
B 収納バケット
Ws 海面
Wb 海底
W 海水
M 鉱物資源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面および当該底面を囲む側面を有する有底容器体を水面に浮かべて、前記有底容器体の底面または側面に設けられた揚水口に揚水管を接続し、前記揚水管を通して水底から鉱物資源を水と共に揚水として汲み上げるときに使用される前記揚水を行う揚水機構において、
前記揚水機構は、前記水面よりも水底側となる位置に前記有底容器体の揚水口を設置したことを特徴とする揚水機構。
【請求項2】
水底から鉱物資源を水と共に揚水として汲み上げると共に、前記鉱物資源と水とを分離する水底資源回収装置において、
水面に浮かび底面および当該底面を囲む側面を有する有底容器体と、この有底容器体の側面または底面に設けた揚水口と、この揚水口に接続される揚水管と、この揚水管により前記揚水を汲み上げる揚水機構と、前記有底容器体内に設置され前記揚水機構により前記揚水管を介して汲み上げられて噴出する揚水の噴きかかる位置に、前記揚水を鉱物資源と水とに分離すると共に分離した鉱物資源を前記有底容器体の外に搬送する分離搬送装置と、この分離搬送機構により鉱物資源と分離された水を前記有底容器外に排水する排水機構とを備え、
前記揚水機構は、前記有底容器体の揚水口を前記水面よりも水底側となる位置に設置することを特徴とする水底資源回収装置。
【請求項3】
前記排水機構は、前記有底容器体の上方に水面よりも高い位置に設置した貯水部と、前記有底容器体に設けられた排水管と、前記鉱物資源と分離され、かつ、前記有底容器体内に溜まった水を前記貯水部まで汲み上げる汲上ポンプと、この汲上ポンプに接続されて前記貯水部に水を送る送水管と、前記貯水部から前記排水管に接続される接続管とを備えることを特徴とする請求項2に記載の水底資源回収装置。
【請求項4】
前記揚水口には、開閉バルブが接続されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の水底資源回収装置。
【請求項5】
前記揚水口には、揚水を前記分離搬送装置に向かって案内する案内管が前記開閉バルブを介して接続されていることを特徴とする請求項4に記載の水底資源回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−280960(P2009−280960A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130856(P2008−130856)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】