説明

換気装置

【課題】温度調整された室内のガス濃度を調整する換気装置において、簡易な構成で所望のガス濃度を調整可能とし、かつ、ガス濃度調整時の熱負荷を小さくする。
【解決手段】内部の温度調整が行われる筐体10と、筐体10内の特定種類のガス濃度を検出するガス濃度検出手段12〜14と、外気が流れる外気流路22および筐体10内に存在する内気が流れる内気流路23を形成する流路形成部材22と、外気流路22側と内気流路23側との間で気体を選択的に透過させる透過膜24と、外気流路22の外気の流れまたは内気流路23の内気の流れの少なくとも一方を発生させる送風手段25〜28と、送風手段25〜28による送風制御を行う制御手段50とを備え、制御手段50は、ガス濃度検出12〜14によって検出されたガス濃度に基づいて、送風手段25〜28による外気または内気の少なくとも一方の風量の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調整された室内のガス濃度を調整する換気装置に関し、特に青果物(野菜と果物)を収納する容器に好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来より、温度調整された室内のガス濃度を調整する換気装置が知られている。例えば、青果物を貯蔵する冷蔵庫や冷凍庫においては、MA(Modified Atmosphere)やCA(Controlled Atmosphere)によって、酸素濃度と二酸化炭素濃度を調整して青果物の鮮度を維持することが行われている。
【0003】
MAには、外気を直接室内に供給して換気する直接法(特許文献1参照)と、所定の酸素透過速度と二酸化炭素透過速度を有する包装材を介して酸素や二酸化炭素を室内に供給する間接法(特許文献2参照)があり、間接法はMA包装と称される。また、CAは、吸着分離や膜分離を用いて、室内における酸素濃度と二酸化炭素濃度をコントロールする方法であり、CA貯蔵と称される(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−50027号公報
【特許文献2】特開平6−11235号公報
【特許文献3】特開平3−85287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の直接法は、室内における窒素を含むすべてのガスが入れ替えられるため、室温が大きく変動し、再度室温を調整するための熱負荷が大きくなる。また、青果物は種類によって最適な酸素濃度や二酸化炭素濃度が異なるが、特許文献2に記載の間接法では、ガス透過速度が包装材の種類に依存するため、青果物の種類によって包装材を変更する必要がある。さらに、特許文献3に記載のCA貯蔵では、所望のガス濃度を得るために加圧ポンプや減圧ポンプを用いるために、ランニングコスト高になることに加え、装置が複雑化してしまう。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、温度調整された室内のガス濃度を調整する換気装置において、簡易な構成で所望のガス濃度を調整可能とし、かつ、ガス濃度調整時の熱負荷を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明では、内部に存在する内気の温度調整が行われる筐体(10)と、前記筐体(10)内の特定種類のガス濃度を検出するガス濃度検出手段(12、13、14)と、外気が流れる外気流路(21)および前記筐体(10)内に存在する内気が流れる内気流路(22)を形成する流路形成部材(22)と、一方の面が前記外気流路(21)の外気と接触し、かつ他方の面が前記内気流路(22)の内気と接触するように前記外気流路(21)と前記内気流路(22)との境界に配置され、前記外気流路(21)側と前記内気流路(22)側との間で気体を選択的に透過させる透過膜(24)と、前記外気流路(21)における外気の流れまたは前記内気流路(22)における内気の流れの少なくとも一方を発生させる送風手段(25、26、27、28)と、前記送風手段(25、26、27、28)による送風制御を行う制御手段(50)とを備え、前記制御手段(50)は、前記ガス濃度検出(12、13、14)によって検出されたガス濃度に基づいて、前記送風手段(25、26、27、28)による外気または内気の少なくとも一方の送風制御を行うことを特徴としている。
【0008】
このように透過膜(24)を用いることで、外気と内気とで濃度差が発生した気体(例えば酸素、二酸化炭素、水蒸気)のみを移動させることができる。これにより、外気と内気との間で濃度差がない気体(例えば窒素)の移動が生じないあるいは低減できるので、温度調整された内気が必要以上に外気に放出されることを防止でき、装置全体の熱負荷を小さくすることができる。
【0009】
また、ガス濃度検出手段(12、13、14)で検出されたガス濃度を用いて外気あるいは内気の風量制御を行うことで、筐体(10)内の特定種類のガス濃度を所望範囲に調整することができる。これにより、筐体(10)に収納される対象が変更されても、筐体(10)内の特定種類のガス濃度を収納対象に適した範囲に保持することができる。さらに、本発明では、外気と内気との間の濃度差によって気体が透過膜(24)を移動するので、送風手段(25、26、26、27)によって外気または内気の少なくとも一方の流れを発生させるという簡易な構成で、筐体(10)内のガス濃度を調整することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記筐体(10)内で内気を循環させるための内気循環送風機(11)が設けられており、前記内気流路(22)で内気の流れを発生させる送風手段(27)は、前記内気循環送風機(11)によって発生した内気の流れを前記内気流路(22)に導入することで、前記内気流路(22)で内気の流れを発生させることを特徴としている。
【0011】
これにより、動力を備えた内気送風機を省略することができ、換気装置の構成を簡素化することができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明では、前記内気流路(22)で内気の流れを発生させる送風手段(26)は、送風ファン(26a)と、前記送風ファン(26a)を回転駆動する駆動手段(26b)とを備えており、前記外気流路(21)で外気の流れを発生させる送風手段(28)は、動力伝達部材(29)を介して伝達される前記駆動手段(26b)の回転駆動力によって回転して、前記外気流路(21)で外気の流れを発生させることを特徴としている。
【0013】
これにより、動力を備えた外気送風機を省略することができ、外気の流れを発生させる送風手段の構成を簡略化することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、前記透過膜(24)は、前記特定種類のガスの平均自由行程以下の孔径の孔を有していることを特徴としている。
【0015】
これにより、外気と内気の圧力差に依存することなく、外気と内気とで濃度差がある気体のみを選択的に透過させることができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明では、高温冷媒と外気とを熱交換するコンデンサ(30)と、低温冷媒と内気とを熱交換するエバポレータ(31)を備え、前記外気送風手段(25)は、前記コンデンサ(30)に外気を送風するコンデンサファンであり、前記内気送風手段(26)は、前記エバポレータ(31)に内気を送風するエバポレータファンであることを特徴としている。
【0017】
これにより、既設の装置を利用して透過膜(24)に外気と内気を供給することができ、換気装置の構成を簡素化することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明では、前記透過膜(24)は、前記エバポレータ(31)の空気流れ下流側、かつ、前記コンデンサ(30)の空気流れ上流側に設けられていることを特徴としている。
【0019】
このように、透過膜(24)をコンデンサ(30)の空気流れ上流側に設けることで、コンデンサ(30)によって昇温される前の外気を透過膜(24)に供給できる。これにより、透過膜(24)を介して存在する外気と内気の温度差を小さくして熱損失を小さくすることができ、システム効率の低下を抑制できる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明では、前記透過膜(24)は、前記エバポレータ(31)の空気流れ下流側、かつ、前記コンデンサ(30)の空気流れ下流側に設けられており、前記コンデンサ(30)をバイパスして前記外気流路(22)に外気を供給するバイパス流路(35)を備えることを特徴としている。
【0021】
このように、コンデンサ(30)をバイパスして外気流路(22)に外気を供給するバイパス流路(35)を設けることで、コンデンサ(30)の空気流れ下流側に設けられた透過膜(24)に、コンデンサ(30)の熱の影響を受けることなく外気を供給できる。これにより、透過膜(24)を介して存在する外気と内気の温度差を小さくして熱損失を小さくすることができ、システム効率の低下を抑制できる。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の換気装置の概念図である。
【図2】透過膜の断面図である。
【図3】第2実施形態の換気装置の概念図である。
【図4】第3実施形態の透過膜ユニットの断面図である。
【図5】第3実施形態の透過膜ユニットの断面図である。
【図6】第4実施形態の換気装置の概念図である。
【図7】第5実施形態の換気装置の概念図である。
【図8】第6実施形態の換気装置の概念図である。
【図9】第7実施形態の換気装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1、図2に基づいて説明する。図1は、本第1実施形態の換気装置1の構成を示す概念図である。
【0025】
図1に示すように、換気装置1は、内部に被収納物を収納可能な筐体10を備えている。本実施形態の筐体10は、青果物を貯蔵する冷蔵庫、冷凍庫あるいは冷凍コンテナとして構成されており、図示を省略しているが、内気を所望温度に調整するための空調装置が設けられている。空調装置は、空調風の冷却には周知の冷凍サイクルを用いることができ、空調風の加熱には周知のヒータ(電気式や燃焼式等)を用いることができる。
【0026】
筐体10には、筐体10の内部全体に内気を循環させるための内気循環送風機11が設けられている。また、筐体10には、内気中の酸素濃度を検出するためのO2センサ12、内気中の二酸化炭素濃度を検出するためのCO2センサ13、内気中の湿度を検出するための湿度センサ14が設けられている。
【0027】
また、筐体10には、透過膜ユニット20が設けられている。透過膜ユニット20は、外気流路22と内気流路23を形成する流路形成部材21が設けられている。流路形成部材21は、筐体10の壁面を境界にして、筐体10の外部と内部に跨るように設けられている。外気流路22と内気流路23との境界には、透過膜24が設けられている。つまり、筐体10の壁面の一部が透過膜24になっている。外気流路22では、筐体10の外部に存在する外気が透過膜24の表面に沿って流れることができ、内気流路23では、筐体10内に存在する内気が透過膜24の表面に沿って流れることができる。
【0028】
透過膜24は、膜間に濃度差がある種類の気体(例えば酸素、二酸化炭素、水蒸気)が透過しやすいが、濃度差がない他の種類の成分の気体(例えば窒素)は透過しにくいというものである。透過膜24の材料としては、シリコーン等の気体透過性高分子の膜やセロファンやセラミックの多孔体や不織布等を用いることができる。透過膜24は、外気流路22に露出する面に外気が接触し、内気流路23に露出する面に内気が接触することで、外気と内気との間で特定種類の気体を選択的に透過させることができる。
【0029】
また、透過膜24は、特定種類の気体(例えば酸素、二酸化炭素、水蒸気)における内気中の濃度と外気中の濃度との差によって透過性能が発揮されるようになっている。そして、透過膜24の内気側と外気側との間に、真空ポンプ等の差圧発生手段により大きな圧力差を設けることなく、すなわち内気と外気との間に差圧がない状態においても、透過膜24の透過性能が発揮されるようになっている。
【0030】
透過膜24は、例えば襞折りにされた板状、あるいは平膜を積層することで、透過膜24の容積当りの表面積を大きくすることでき、透過性能を向上させることができる。また、図示を省略しているが、透過膜24にはセラミック、繊維、多孔質金属、多孔質樹脂または樹脂スクリーンメッシュ等からなる支持体が積層されている。透過膜24は、気体を透過し易くするために膜厚が薄くなっているため、支持体によって支持され強度が補われている。
【0031】
本実施形態の透過膜24は、表面および内部の孔径が透過対象ガス(O2、CO2、H2O)の平均自由行程以下となっている。平均自由行程とは、気体分子同士の衝突から次の衝突までの間に進む距離であり、気体分子の種類に依存する。これにより、透過膜24に気体を透過させた場合に、膜を透過する気体の流れにおいてクヌーセン(Knudsen)流が支配的となる。「クヌーセン流」とは、分子の動きが問題となるほど希薄な気体の流れをいい、ガスの透過速度がその分子量に依存するという特徴を有している。また、「クヌーセン流が支配的」とは、ガスの透過速度がその分子量に依存するようになることをいう。
【0032】
透過膜24を透過する気体の流れは、透過膜24の孔径が小さくなるに従って、粘性流→クヌーセン流→溶解拡散流に変化する。クヌーセン流が生じる孔径は、下限が分子サイズの1nm程度であり、上限が透過対象ガス(O2、CO2、H2O)の平均自由行程以下である50nm程度である。
【0033】
粘性流は、圧力の高い方から低い方に流れるので、外気と内気の圧力差(全圧の差)によって気体の流れる方向が決まる。このため、外気と内気とで濃度差がない気体(例えばN2)でも、内外気の圧力差によって選択膜24を透過することとなり、外気と内気とで濃度差(分圧の差)がある気体(例えば酸素、二酸化炭素、水蒸気)のみを選択的に透過させることができない。
【0034】
これに対し、クヌーセン流では、分子同士が衝突する前に膜の孔内の壁面に衝突するので、外気と内気の圧力差の影響を受けることがなく、外気と内気とで濃度差がある気体(例えばO2、CO2、H2O)のみを選択的に透過させることができる。このため、透過膜24の孔径を透過対象ガス(O2、CO2、H2O)の平均自由行程以下とすることで、外気と内気とで濃度差がある気体のみを選択的に透過させることができる。
【0035】
また、溶解拡散流では、気体分子が膜の上流表面に溶解し、下流方向に膜内を分子拡散により移動するので、外気と内気の圧力差の影響を受けないが、膜の孔径が小さくなるほど、膜を透過する気体の速度が小さくなる。このため、気体の透過速度を確保するためには、透過膜24の孔径が大きくすることが望ましく、少なくとも分子サイズである1nmより大きくすることが望ましい。
【0036】
外気流路22には、外気の流れを発生させるための外気送風機25が設けられている。また、内気流路23には、内気の流れを発生させるための内気送風機26が設けられている。これらの送風機25、26は、気体に運動エネルギーを与えたり圧力を高めたりする流体機械のうち圧縮比が2未満のものであり、具体的にはファンやブロア等である。これらの送風機25、26は、送風ファンとこれを回転駆動するモータとを備えている。
【0037】
図1に示す例では、外気流路22の外気は左から右に向かって流れ、内気流路23の内気は右から左に向かって流れるようになっている。なお、筐体10の内部では、内気循環送風機11によって内気が循環する流れが発生しているが、内気送風機26が作動していない場合には、内気流路23には内気の流れが発生しないようになっている。
【0038】
外気送風機25または内気送風機26の非作動時には、透過膜24の表面近傍で気体が滞留し、外気と内気とで気体の濃度差が小さくなって、気体の透過が進行しなくなる。このため、外気送風機25または内気送風機26の少なくとも一方を作動させることで、透過膜24の表面近傍での気体の滞留を解消させ、気体の透過を進行させることができる。
【0039】
換気装置1には、制御部50が設けられている。制御部50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。制御部50は、O2センサ12、CO2センサ13、湿度センサ14のセンサ信号が入力する。そして、制御部50は、これらのセンサ信号に基づいて、外気送風機25と内気送風機26に制御信号を出力して送風制御を行う。
【0040】
青果物は、筐体10内に収納された後にも呼吸するため、筐体10内は大気と比較して酸素濃度が低く二酸化炭素濃度が高い状態になる。青果物は、酸素濃度が低く二酸化炭素濃度が高い状態で呼吸を抑制でき、鮮度を長期間保持できることが知られている。一方、過度に酸素濃度が低くなると、青果物の代謝異常が起きて、異味や異臭を生じたり、腐敗するおそれがある。また、青果物は多量の水分を含有しており、筐体10内に収納された状態では、青果物から放出された水分で、筐体10内の相対湿度が高くなることが多い。筐体10内の相対湿度は、高すぎると結露が発生し、低すぎると青果物が萎れ、どちらの状態も青果物の鮮度の保持する上で好ましくない。以上のことから、筐体10内の酸素濃度と二酸化炭素濃度と湿度を、青果物の貯蔵に適した所望の範囲内に調整する必要がある。
【0041】
青果物の種類によって最適な酸素濃度、二酸化炭素濃度、湿度が異なっている。例えば、バナナは、酸素濃度が2〜5%、二酸化炭素濃度が2〜5%、相対湿度が90〜95%の範囲内で貯蔵することが望ましい。イチゴは、酸素濃度が5〜10%、二酸化炭素濃度が15〜20%、相対湿度が90〜95%の範囲内で貯蔵することが望ましい。マンゴーは、酸素濃度が3〜5%、二酸化炭素濃度が5〜10%、相対湿度が85〜90%の範囲内で貯蔵することが望ましい。このため、本実施形態では、制御部50がO2センサ12、CO2センサ13、湿度センサ14のセンサ信号に基づいて外気送風機25と内気送風機26の風量を制御することで、酸素濃度、二酸化炭素濃度、相対湿度を調整している。
【0042】
以下、制御部50が実行する外気送風機25と内気送風機26の送風制御について説明する。本制御は、制御部50のROM等に格納された制御プログラムにしたがって実行される。
【0043】
ここでは収納対象物としてバナナを用いた例を示すが、青果物の種類が変わればその制御方法も変わる。本膜を用いる場合の酸素濃度と二酸化炭素濃度の変化は、下記の式を満たしながらそれぞれが変化する。
【0044】
酸素濃度+二酸化炭素濃度≒21%
例えば、酸素濃度が15%の時は、二酸化炭素濃度は6%である。また一方で、バナナに障害の出る酸素濃度の下限値および二酸化炭素濃度の上限値は、それぞれ1%および7%である(出典:書籍名:GUIDE to FOOD TRANSPORT、1.Controlled Atmosphere、出版社:Mercantila Publishers)。したがって、バナナの鮮度維持に必要な濃度域(酸素濃度:2〜5%、二酸化炭素濃度:2〜5%)と障害の出る濃度域(酸素濃度:1%以下、二酸化炭素濃度:7%以上)とのバランスで、どちらに主眼を置くかが決まる。バナナの場合は、二酸化炭素濃度に主眼を置いて制御することになる。したがって、本膜を使った換気システムでは、二酸化炭素濃度を2〜5%、酸素濃度を16〜19%の濃度域にすることが必要となる。
【0045】
以下、本実施形態の換気装置1にバナナを収納した場合の送風機25、26の送風制御の一例を示す。
【0046】
まず、CO2センサ13で検出した二酸化炭素濃度が所望範囲の上限値(バナナの場合は5%)に達したか否かを判定する。この結果、二酸化炭素濃度が所望範囲の上限値を上回っている場合には、外気送風機25および内気送風機26を作動させ、透過膜24の両面に外気と内気を供給する。外気送風機25および内気送風機26の送風量は、CO2センサ13で検出した二酸化炭素濃度に基づいてファン回転出力を調整(例えば、ON−OFF制御、PID制御)すればよい。
【0047】
これにより、透過膜24を介して二酸化炭素濃度が高い内気から二酸化炭素濃度が低い外気に二酸化炭素ガスが移動し、筐体10内の二酸化炭素濃度が降下する。このとき、外気と内気との間で濃度差が発生している他のガス(CO2、H2O)についても、外気送風機25および内気送風機26を作動させることで、外気と内気との間で濃度差が小さくなる。
【0048】
外気送風機25および内気送風機26を作動開始させた後、二酸化炭素濃度が所望範囲の下限値(バナナの場合は2%)に到達しているか否かを判定する。この結果、二酸化炭素濃度が所望範囲の下限値に到達している場合には、外気送風機25および内気送風機26の両方あるいは一方の作動を停止させる。これにより、透過膜24を介した外気と内気との間でのガス移動が停止し、筐体10内の二酸化炭素濃度の降下が停止する。その後、青果物の呼吸によって筐体10内の二酸化炭素濃度が増加した場合に、上記処理を繰り返し行う。
【0049】
次に、二酸化炭素濃度が所望範囲内(バナナの場合は2〜5%)であり、かつ、酸素濃度が所望範囲内(バナナの場合は16〜19%)である場合には、湿度センサ14で検出した湿度が所望範囲の上限値(バナナの場合は95%)を上回っているか否かを判定する。この結果、湿度が所望範囲の上限値を上回っている場合には、外気送風機25および内気送風機26を作動させ、透過膜24の両面に外気と内気を供給する。外気送風機25および内気送風機26の送風量は、湿度センサ14で検出した湿度に基づいて調整すればよい。具体的には、湿度センサ14で検出した湿度と所望範囲の上限値との差が大きい程、透過膜24での分子交換効率を高めるために外気送風機25および内気送風機26の送風量を多くすればよい。
【0050】
これにより、透過膜24を介して湿度が高い内気から湿度が低い外気に水蒸気が移動し、筐体10内の湿度が低下する。このとき、外気と内気との間で濃度差が発生している他のガス(O2、CO2)についても、外気送風機25および内気送風機26を作動させることで、外気と内気との間で濃度差が小さくなる。
【0051】
なお、内気の湿度より外気の方が高湿度である場合には、外気送風機25および内気送風機26を作動させても、筐体10内の湿度を低下させることはできないので、外気の湿度を検出する湿度センサを設け、内気の湿度が所望範囲の上限値を上回っていることに加え、内気の湿度より外気の方が低湿度である場合に、外気送風機25および内気送風機26を作動させるようにしてもよい。
【0052】
外気送風機25および内気送風機26を作動開始させた後、湿度が所望範囲の下限値(バナナの場合は95%)に到達しているか否かを判定する。この結果、湿度が所望範囲の下限値に到達している場合には、外気送風機25および内気送風機26の作動を停止させる。これにより、透過膜24を介した外気と内気との間でのガス移動が停止し、筐体10内の湿度の低下が停止する。その後、青果物からの水分蒸発によって筐体10内の湿度が上昇した場合に、上記処理を繰り返し行う。
【0053】
また、外気送風機25および内気送風機26の作動中は、外気送風機25で発生させる外気の流量と内気送風機26で発生させる内気の流量を異ならせることで、透過膜24での気体の透過を促進させることができる。以下、この点について説明する。
【0054】
図2は、外気流路22の外気の流れと内気流路23の内気の流れを示す断面図である。図2に示す例では、本実施形態では、外気流路22を流れる外気の流量Q1より内気流路23を流れる内気の流量Q2の方が多くなっており、外気流路22の静圧P1より内気流路23の静圧P2の方が高くなっている。このように、外気の流量Q1と内気の流量Q2が異なり、外気流路22の静圧P1と内気流路23の静圧P2が異なっている場合、図2で破線で示すように、透過膜24の表面に垂直方向の流れを発生させることができる。これにより、透過膜24の表面近傍での気体の滞留が軽減もしくは消滅し、透過膜24の分子交換効率を向上させることができ、気体の透過を促進させることができる。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、透過膜24を用いることで、外気と内気とで濃度差が発生した気体(O2、CO2、H2O)のみを移動させることができる。これにより、外気と内気との間で濃度差がない気体(例えばN2)の移動が生じないので、温度調整(本実施形態では冷却)された内気が必要以上に外気に放出されることを防止でき、換気装置1の熱負荷を小さくすることができる。
【0056】
また、本実施形態では、O2センサ12、CO2センサ13、湿度センサ14のセンサ信号に基づいて外気送風機25および内気送風機26の風量制御を行うことで、筐体10内の酸素濃度、二酸化炭素濃度、湿度を所望範囲に調整することができる。これにより、筐体10に収納される青果物の種類が変更されても、筐体10内の酸素濃度、二酸化炭素濃度、湿度を青果物の種類に適した範囲に保持することができる。
【0057】
また、本実施形態では、外気と内気との間の濃度差によって気体が透過膜24を移動するので、送風機25、26によって外気と内気の流れを発生させるという簡易な構成で、筐体10内のガス濃度を調整することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3を用いて説明する。以下、上記第1実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
図3は、本第2実施形態の換気装置1の構成を示す概念図である。図3に示すように、本第2実施形態では、内気流路23に内気送風機26が設けられておらず、内気流路23の入口部に内気流路切替ドア27が設けられている。図3に示す例では、内気循環送風機11によって発生する内気の流れが反時計方向となっている。このため、筐体10の上部に配置されている内気流路23では、右側が入口部であり、左側が出口部となっている。
【0060】
内気流路切替ドア27は、モータによって回動可能に構成されている。内気流路切替ドア27が図3の破線で示す閉鎖位置にある場合は、内気循環送風機11によって発生する内気の流れが内気流路23に導入されない。一方、内気流路切替ドア27が図3の実線で示す開放位置にある場合は、内気循環送風機11によって発生する内気の流れが内気流路23に導入される。また、内気流路切替ドア27の開閉角度を調整することで、内気流路23に流れる内気の流量を調整することができる。すなわち、内気流路切替ドア27の開閉角度を大きくすることで、内気流路23に流れる内気の流量を多くすることができ、内気流路切替ドア27の開閉角度を小さくすることで、内気流路23に流れる内気の流量を少なくすることができる。
【0061】
内気流路切替ドア27は、制御部50から出力される制御信号によって作動する。つまり、本第2実施形態では、制御部50がO2センサ12、CO2センサ13、湿度センサ14のセンサ信号に基づいて、外気送風機25と内気流路切替ドア27の開閉制御を実行するように構成されている。
【0062】
以上説明した本第2実施形態によれば、内気循環送風機11によって発生する内気の流れを利用することで、動力を備えた内気送風機26を省略することができ、換気装置1の構成を簡素化することができる。
【0063】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4、図5を用いて説明する。本第3実施形態では、上記各実施形態と比較して、外気送風機25の構成が異なっている。以下、上記各実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0064】
図4は、本第3実施形態の透過膜ユニット20の断面構成の一例を示しており、内気送風機26が設けられた上記第1実施形態の変形例に相当する。図4に示す例では、内気送風機26には、送風ファン26aと、送風ファン26aを回転駆動するモータ26bと、モータ26bの駆動軸に設けられた駆動ギア部26cとを備えている。また、外気送風機28は、送風ファン28aと従動ギア部28bとを備えている。本第3実施形態の外気送風機28はモータを有しておらず、内気送風機26に従動的に作動する送風ファンとして構成されている。
【0065】
さらに、内気送風機26のモータ26bの回転駆動力を外気送風機28に伝達するための動力伝達部材29が設けられている。動力伝達部材29は、回転軸29aと、その両端に設けられたギア部29b、29cとを備えている。動力伝達部材29の回転軸29aは、外気流路22と内気流路23に跨るように設けられている。回転軸29aの内気流路23側の端部に設けられた内気側ギア部29bは、内気送風機26の駆動ギア部26cと噛み合っており、外気流路22側の端部に設けられた外気側ギア部29cは、外気送風機28の従動ギア部28bと噛み合っている。
【0066】
このような構成により、内気送風機26が作動すると、内気送風機26のモータ26bは、内気送風機26の送風ファン26aを回転駆動すると同時に、外気送風機28を回転駆動することができる。これにより、内気流路23に内気の流れが発生すると同時に、外気流路22に外気の流れが発生する。
【0067】
図5は、本第3実施形態の透過膜ユニット20の断面構成の他の例を示しており、内気送風機26が設けられていない上記第2実施形態の変形例に相当している。図5に示す例は、図4に示した例と動力伝達部材29の構成が異なっている。図5の動力伝達部材29は、回転軸29aの内気流路23側の端部には、内気の流れを受けて回転するファン29dが設けられている。つまり、図5に示す例では、内気流路23を流れる内気の流体エネルギを駆動力として動力伝達部材29が回転し、外気送風機28を回転駆動する。これにより、内気流路23に内気の流れが発生すると同時に、外気流路22に外気の流れが発生する。
【0068】
以上説明した本第3実施形態によれば、動力(モータ)を備えた外気送風機25を省略することができ、外気の流れを発生させる送風手段の構成を簡略化することができる。なお、図4に示した構成において、外気流路22と内気流路23に設けた装置の関係を逆にしててもよい。つまり、外気流路22にモータを備える外気送風機25を設け、内気流路23にモータを備えない内気送風機を設け、外気送風機25の回転駆動力を動力伝達部材29を介して内気送風機に伝達するようにすればよい。
【0069】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6を用いて説明する。以下、上記各実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
図6は、本第4実施形態の換気装置1の概念図である。図6に示すように、本実施形態の換気装置1には、冷凍サイクルを構成するコンデンサ30とエバポレータ31とが設けられている。コンデンサ30は、外気が導入される外気導入流路32に配置され、エバポレータ31は、内気が通過する内気循環流路33に配置されている。外気導入流路32を通過する外気はコンデンサ30で高温冷媒と熱交換して温度上昇し、内気循環流路33を通過する内気はエバポレータ31で低温冷媒と熱交換して温度低下する。
【0071】
本実施形態では、外気導入流路32は筐体10の下側角部に設けられている。図示を省略しているが、冷凍サイクルの圧縮機等は、外気導入流路32におけるコンデンサ30の下方空間に設置されている。図6に示す例では、コンデンサ30とエバポレータ31は、筐体10の右側壁の近傍で略水平に配置されており、エバポレータ31は右側壁に向かって若干下方に傾斜している。また、エバポレータ31は、コンデンサ30の上方に位置している。
【0072】
本実施形態では、外気送風機25はコンデンサ30に外気を送風するコンデンサファンとして構成され、内気送風機26はラジエータ31に内気を送風するラジエータファンとして構成されている。外気送風機25は、コンデンサ30の空気流れ下流側に設けられており、外気送風機25により吸引される外気がコンデンサ30に供給される。内気送風機26は、エバポレータ31の空気流れ上流側に設けられており、内気送風機26から押し出された内気がエバポレータ31に供給される。なお、本実施形態の換気装置1は、冷凍コンテナとして構成されている。このため、内気は常時エバポレータ31を通過して冷却される。
【0073】
筐体10の内部には、内気が循環する庫内と外気が導入される庫外に仕切る隔壁34が設けられている。本実施形態の透過膜24は、隔壁34に設けられている。透過膜24は、外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ下流側、かつ、内気循環流路33におけるエバポレータ31より空気流れ下流側に設けられている。外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ下流側は、コンデンサ30で加熱された外気が流れる。このようなコンデンサ30で加熱された外気とエバポレータ31で冷却された低温の内気とを透過膜24を介して接触させた場合、熱損失が大きくなり、換気装置1の冷却効率が低下することとなる。このため、本実施形態では、コンデンサ30をバイパスして外気流路22に外気を取り込むためにバイパス流路35が設けられている。
【0074】
図6では、外気流路22とバイパス流路35を破線で示している。バイパス流路35は、外気導入流路32におけるコンデンサ30の空気流れ下流側に設けられており、外気送風機25と紙面垂直方向にずれて配置されている。バイパス流路35より導入された外気は、コンデンサ30を通過することなく透過膜24に到達するので、コンデンサ30の熱の影響を受けることがない。本実施形態のバイパス流路35は、透過膜24に対して垂直に形成されている。このため、バイパス流路35に導入された外気は、直角に曲がった後、外気流路24を流れる。
【0075】
内気流路23には、内気流路23と内気循環流路33とを連通または遮断するための内気流路切替ドア27a、27bが設けられている。内気流路23の空気流れ上流側には、第1内気流路切替ドア27aが設けられ、空気流れ下流側には第2内気流路切替ドア27bが設けられている。上記第2実施形態と同様、各内気流路切替ドア27a、27bは、モータによって回動可能に構成されている。各内気流路切替ドア27a、27bは、各センサ12〜14からのセンサ信号に基づいて制御部50(図6では図示省略)によって開閉制御される。
【0076】
図6に示す例では、外気流路22における外気の流れ方向が下から上に向かう方向であり、内気流路23における内気の流れ方向が上から下に向かう方向となっている。つまり、本実施形態では、透過膜24を介して内気と外気の流れ方向が反対となる対向流となっている。この対向流と、内気と外気の流れ方向が直交する直交流と、内気と外気の流れ方向が並行する並行流を比較すると、透過膜24の分子交換効率は、対向流が最も高く、次いで直交流、並行流の順となる。このため、透過膜24を介する内外気の流れを対向流とすることで、透過膜24により分子交換を効果的に行うことができる。なお、透過膜24を介する内外気の熱交換効率も、対向流が最も高く、次いで直交流、並行流の順となり、対向流が最も熱損失が大きくなる。このため、透過膜24による分子交換効率と熱損失のバランスを図り、透過膜24を介する内外気の流れを直交流としてもよい。
【0077】
以上説明した本第4実施形態によれば、外気送風機25としてコンデンサファンを用い、内気送風機26としてエバポレータファンを用いることで、既設の装置を利用して透過膜24に外気と内気を供給することができる。これにより、専用の外気送風機25や内気送風機26を設ける場合に比較して、換気装置1の構成を簡素化することができる。
【0078】
また、外気流路22に外気を取り入れるためのバイパス流路35を設けることで、外気導入流路32におけるコンデンサ30の空気流れ下流側に設けられた透過膜24に、コンデンサ30の熱の影響を受けることなく外気を供給できる。この結果、外気流路22の外気と内気流路23の内気の温度差を小さくして熱損失を小さくすることができ、透過膜24を介して内外気が接触することによるシステム効率の低下を抑制できる。
【0079】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図7を用いて説明する。本第5実施形態では、上記第4実施形態に比較して、透過膜24の位置が異なっている。以下、上記各実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0080】
図7は、本第5実施形態の換気装置1の概念図である。本実施形態においても、透過膜24は外気導入流路32と内気循環流路33とを仕切る隔壁34に設けられている。本実施形態では、透過膜24は、外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ上流側、かつ、内気循環流路33におけるエバポレータ31より空気流れ下流側に設けられている。透過膜24の外気側近傍には、外気流路22を形成するための外気流路形成部材36が設けられている。外気導入流路32に導入された外気は、外気流路形成部材35を回り込んで外気流路22に流入するので、外気導入流路32に導入された外気が直接透過膜24に衝突することがない。
【0081】
外気流路形成部材35は、外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ下流側に至るまで形成されている。このため、外気流路22を通過した外気は、コンデンサ30を通過することなく、外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ下流側に流れることができる。
【0082】
以上説明した本第5実施形態によっても、外気送風機25としてコンデンサファンを用い、内気送風機26としてエバポレータファンを用いることで、既設の装置を利用して透過膜24に外気と内気を供給することができ、換気装置1の構成を簡素化することができる。また、本第5実施形態では、外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ上流側に透過膜24を配置しているので、上記第4実施形態のようにバイパス流路35を設ける必要がない。
【0083】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図8を用いて説明する。本第6実施形態では、上記第4、第5実施形態と比較して、透過膜24の位置が異なっている。以下、上記各実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
図8は、本第6実施形態の換気装置1の概念図である。本実施形態においても、透過膜24は外気導入流路32と内気循環流路33とを仕切る隔壁34に設けられている。本実施形態では、透過膜24は、外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ下流側、かつ、内気循環流路33におけるエバポレータ31より空気流れ下流側に設けられている。
【0085】
本実施形態では、透過膜24は、隔壁34におけるエバポレータ31に対向する面に配置されており、透過膜24はエバポレータ31の直下に位置している。このため、除霜運転時にエバポレータ31から落下した水滴が透過膜24に流入した場合には、透過膜24の透過性能の低下を招くおそれがある。そこで、本実施形態では、透過膜24への水滴の流入を防ぐために、隔壁34における透過膜24の近傍にリブ37が設けられている。図8に示す例では、隔壁34におけるエバポレータ31に対向する面が若干左下がりになっているため、水滴が左方向に流れる。このため、リブ37は隔壁34における透過膜24の右側に設けられている。
【0086】
外気導入流路32におけるコンデンサ30より空気流れ下流側は、コンデンサ30で加熱された外気が流れる。このようなコンデンサ30で加熱された外気とエバポレータ31で冷却された低温の内気とを透過膜24を介して接触させた場合、熱損失が大きくなり、換気装置1の冷却効率が低下することとなる。このため、本実施形態では、上記第4実施形態と同様、透過膜24の外気流路22に外気を取り込むためにバイパス流路35が設けられている。これにより、外気導入流路32におけるコンデンサ30の空気流れ下流側に設けられた透過膜24に、コンデンサ30の熱の影響を受けることなく外気を供給できる。この結果、外気流路22の外気と内気流路23の内気の温度差を小さくして熱損失を小さくすることができ、システム効率の低下を抑制できる。
【0087】
図8に示す例では、外気流路22における外気の流れ方向とが右から左に向かう方向であり、内気流路23における内気の流れ方向が右から左に向かう方向となっている。つまり、本実施形態では、透過膜24を介して内気と外気の流れ方向が同一となる並行流となっている。
【0088】
以上説明した本第6実施形態によっても、外気送風機25としてコンデンサファンを用い、内気送風機26としてエバポレータファンを用いることで、既設の装置を利用して透過膜24に外気と内気を供給することができ、換気装置1の構成を簡素化することができる。また、第6実施形態では、透過膜24がエバポレータ31に対向する位置に設けられている。このため、透過膜24が内気送風機26に近くなり、内気送風機24から送り出された内気を容易に透過膜24に供給することができ、内気送風機24の動力を有効に利用できる。
【0089】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図9を用いて説明する。本第7実施形態では、上記各実施形態と比較して、透過膜24の位置が異なっている。以下、上記各実施形態と同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0090】
図9は、本第7実施形態の換気装置1の概念図である。本実施形態では、透過膜24は、内気循環流路33におけるエバポレータ31より空気流れ上流側に設けられている。透過膜24は筐体10の側壁に設けられており、外気流路22は筐体10の外部に存在する。このため、透過膜24には、外気導入経路32を通過する外気ではなく、筐体10の外部に存在する外気が供給される。
【0091】
本実施形態では、図4で示した第3実施形態と同様の構成の外気送風機28が設けられている。動力伝達部材29によって内気送風機26の動力が外気送風機28に伝達されるので、内気送風機26が作動することで外気送風機28も同時に作動する。これにより、内気流路23に内気の流れが発生すると同時に、外気流路22に外気の流れが発生する。
【0092】
以上説明した本第7実施形態によっても、内気送風機26としてエバポレータファンを用いることで、既設の装置を利用して透過膜24に外気と内気を供給することができ、換気装置1の構成を簡素化することができる。また、本第7実施形態の構成では、上記第3実施形態と同様、動力(モータ)を備えた外気送風機25を省略することができ、外気の流れを発生させる送風手段の構成を簡略化することができる。なお、本実施形態の構成では、外気流路22は筐体10の外部に開放されているため、透過膜24の外気側に接触する外気の入れ替えは比較的容易であり、外気送風機28を省略することも可能である。
【0093】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0094】
例えば、上記各実施形態では、換気装置1として、筐体10内を冷凍または冷蔵する例について説明したが、これに限らず、筐体10内の温度調整が行われていればよく、筐体10内を常温や常温より高温に温度調整する構成としてもよい。
【0095】
また、上記各実施形態では、O2センサ12、CO2センサ13、湿度センサ14を用いて送風機25、26の風量制御や内気流路切替ドア27の開閉制御を行うように構成したが、これらのセンサ12、13、14のうち1つまたは2つを用いて送風機25、26の風量制御や内気流路切替ドア27の開閉制御を行ってもよい。
【0096】
また、上記各実施形態では、外気流路22と内気流路23のそれぞれに送風手段を設けるように構成したが、これに限らず、外気流路22と内気流路23の少なくとも一方に送風手段が設けられていればよい。
【0097】
また、上記各実施形態では、筐体10に青果物を収納する例について説明したが、これに限らず、筐体10に収納する対象は、温度調整が必要で、かつ、収納中に内気中の特定種類のガス濃度が変化するものであれよい。例えば、異なる種類の食品であってもよく、さらには動物や人であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 筐体
11 内気循環送風機
12 O2センサ(ガス濃度検出手段)
13 CO2センサ(ガス濃度検出手段)
14 湿度センサ(ガス濃度検出手段)
21 流路形成部材
22 外気流路
23 内気流路
24 透過膜
25 外気送風機(送風手段)
26 内気送風機(送風手段)
27 内気流路切替ドア(送風手段)
28 外気送風機(送風手段)
29 動力伝達部材
30 コンデンサ
31 エバポレータ
32 外気導入流路
33 内気循環流路
35 バイパス流路
50 制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に存在する内気の温度調整が行われる筐体(10)と、
前記筐体(10)内の特定種類のガス濃度を検出するガス濃度検出手段(12、13、14)と、
外気が流れる外気流路(21)および前記筐体(10)内に存在する内気が流れる内気流路(22)を形成する流路形成部材(22)と、
一方の面が前記外気流路(21)の外気と接触し、かつ他方の面が前記内気流路(22)の内気と接触するように前記外気流路(21)と前記内気流路(22)との境界に配置され、前記外気流路(21)側と前記内気流路(22)側との間で気体を選択的に透過させる透過膜(24)と、
前記外気流路(21)における外気の流れまたは前記内気流路(22)における内気の流れの少なくとも一方を発生させる送風手段(25、26、27、28)と、
前記送風手段(25、26、27、28)による送風制御を行う制御手段(50)とを備え、
前記制御手段(50)は、前記ガス濃度検出(12、13、14)によって検出されたガス濃度に基づいて、前記送風手段(25、26、27、28)による外気または内気の少なくとも一方の送風制御を行うことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
前記筐体(10)内で内気を循環させるための内気循環送風機(11)が設けられており、
前記内気流路(22)で内気の流れを発生させる送風手段(27)は、前記内気循環送風機(11)によって発生した内気の流れを前記内気流路(22)に導入することで、前記内気流路(22)で内気の流れを発生させることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記内気流路(22)で内気の流れを発生させる送風手段(26)は、送風ファン(26a)と、前記送風ファン(26a)を回転駆動する駆動手段(26b)とを備えており、
前記外気流路(21)で外気の流れを発生させる送風手段(28)は、動力伝達部材(29)を介して伝達される前記駆動手段(26b)の回転駆動力によって回転して、前記外気流路(21)で外気の流れを発生させることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
前記透過膜(24)は、前記特定種類のガスの平均自由行程以下の孔径の孔を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項5】
高温冷媒と外気とを熱交換するコンデンサ(30)と、低温冷媒と内気とを熱交換するエバポレータ(31)を備え、
前記外気送風手段(25)は、前記コンデンサ(30)に外気を送風するコンデンサファンであり、前記内気送風手段(26)は、前記エバポレータ(31)に内気を送風するエバポレータファンであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項6】
前記透過膜(24)は、前記エバポレータ(31)の空気流れ下流側、かつ、前記コンデンサ(30)の空気流れ上流側に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の換気装置。
【請求項7】
前記透過膜(24)は、前記エバポレータ(31)の空気流れ下流側、かつ、前記コンデンサ(30)の空気流れ下流側に設けられており、
前記コンデンサ(30)をバイパスして前記外気流路(22)に外気を供給するバイパス流路(35)を備えることを特徴とする請求項5に記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32138(P2012−32138A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48931(P2011−48931)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】