説明

揮散器

【課題】蒸発した揮散剤を煙として視認させるとともに、その煙を線香のように細く上昇させることができる揮散剤カートリッジを提供すること。
【解決手段】揮散剤を加熱することで揮散させる揮散器であって、前記揮散剤が含浸された芯材を含む揮散剤保持体と、前記揮散剤保持体を支持する支持部と、通電されて前記揮散剤を加熱する加熱部とを有する器体とを備え、前記加熱部は、通電されて発熱する発熱体を有しており、前記支持部は、前記芯材が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を支持すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮散剤を加熱して揮散させる揮散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通電されて発熱する加熱部により揮散剤を加熱して揮散させる電気式の揮散器が知られている。例えば特許文献1には、液体の薬剤と、この薬剤を吸収する吸収芯と、薬剤を収容するとともに吸収芯を保持する液体容器と、吸収芯を加熱する発熱体とを有する加熱蒸散器が開示されている。この加熱蒸散器では、通電された発熱体により吸収芯が加熱されると、その吸収芯における加熱された部分から薬剤が蒸発する。
【0003】
また、特許文献2には、香油と、この香油を吸収するガラス繊維と、ガラス繊維が内部に配置されるヒューム管と、香油を収容するとともにヒューム管を支持する容器と、ガラス繊維の上端を加熱するコイル部とを有する香油蒸散器が開示されている。この香油蒸散器では、通電されたコイル部によりガラス繊維の上端が加熱されると、その加熱されたガラス繊維の上端から香油が蒸発して煙として視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−000148号公報
【特許文献2】特許第3666855号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような蒸散器では、その視覚的効果を高めるために、揮散剤の蒸発によって生じる煙を効率よく発生させることが好ましい。
【0006】
この点について、上記特許文献1には、加熱されて蒸発し蒸散口から揮散する薬剤が、煙として視認されるかどうかが記載されておらず、また、上記特許文献2には、加熱されて蒸発した香油が煙として視認されることは明記されているものの、この文献2に記載の香油蒸散器では、煙を効率よく発生させることは困難であった。
【0007】
以上のように、上記従来の技術では、蒸発した揮散剤が煙として視認されることがないか、あるいは視認されたとしても、その煙を効率よく発生させることができるものではなかった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、蒸発した揮散剤を煙として視認させるとともに、その煙を効率よく発生させることができる揮散器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者らは、揮散剤が含浸された芯材に効率よく熱を伝えることに着想した。すなわち、単に芯材を加熱しただけでは、発生した熱を効率よく芯材に伝達することは困難であるが、芯材に直接熱源を接触させることで芯材に熱を効率よく伝達し、その接触させた部分を高温化して効率よく煙を発生させることができることに着想した。
【0010】
本発明はこのような観点からなされたものであり、揮散剤を加熱することで揮散させる揮散器であって、前記揮散剤が含浸された芯材を含む揮散剤保持体と、前記揮散剤保持体を支持する支持部と、通電されて前記揮散剤を加熱する加熱部とを有する器体とを備え、前記加熱部は、通電されて発熱する発熱体を有しており、前記支持部は、前記芯材が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を支持することを特徴とする揮散器を提供する。
【0011】
この発明の揮散器によれば、支持部に支持された揮散剤保持体における芯材と、通電されて発熱した発熱体とが接触するため、発熱体から発生する熱を効率よく芯材に伝えることができ、主に高温となるその接触部分から効率よく煙を発生させることができる。また、芯材における煙を発生させる部分を主に高温となる接触部分に限定することができるため、揮散剤の蒸発時における煙の径を小さくすることができ、その煙を例えば線香のように細く上昇させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記揮散剤保持体は、前記芯材をその一部が露出するように保持する芯材保持部を有しており、前記支持部は、前記芯材のうち前記芯材保持部の外側に露出する部分が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を保持していることが好ましい。
【0013】
このようにすれば、芯材における発熱体との接触部分を確保するとともに、芯材の露出部分以外の部分を確実に保持することができる。
【0014】
また、本発明において、前記支持部は、前記芯材のうち前記芯材保持部の外側に露出する部分の端面が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を支持することすることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、熱を伝える部分を芯材の端面に限定することができる。
【0016】
また、本発明において、前記支持部は、前記芯材のうち前記芯材保持部の外側に露出する部分の側面が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を支持することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、熱を伝える部分を芯材の側面に限定することができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記芯材は、繊維を含み、前記芯材保持部は、前記芯材のうち前記繊維の部分を露出させるように当該芯材を保持し、前記支持部は、前記発熱体の少なくとも一部が前記繊維同士の隙間に入りながら前記繊維と接触するように前記揮散剤保持体を支持することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、発熱体と芯材との接触面積が増加するため、蒸発する揮散剤の量、すなわち、煙の発生量が増加し、煙を明瞭に視認することができる。
【0020】
また、この場合において、前記支持部は、前記芯材が前記発熱体に対して下から接触するように前記揮散剤保持体を支持することが好ましい。
【0021】
このようにすれば、煙の上昇が芯材で妨げられることがないので、発生した煙をスムーズに上昇させることができる。
【0022】
さらに、この場合において、前記発熱体は特定方向に延びる形状を有し、前記器体は、前記発熱体が水平方向に延びる姿勢でその発熱体の中間部位が上下方向に撓み変位可能となるように当該発熱体の長手方向の両端を保持する発熱体保持部を有しており、前記支持部は、前記芯材が前記発熱体の中間部位を上向きに撓み変位させるように当該発熱体の中間部位に接触するように前記揮散剤保持体を支持することが好ましい。
【0023】
このようにすれば、発熱体と芯材とが所定の接触圧力を有するように接触するため、安定的な接触状態を確保することができる。また、発熱体が撓み変位可能であるため、芯材保持部からの芯材の突出量の寸法誤差を吸収することができる。
【0024】
また、本発明において、加熱部は、その発熱体に対する前記芯材保持部及びこれに保持される芯材の相対位置を決めるための位置決め部を有し、前記芯材保持部は、前記位置決め部に対して下から当接することにより前記発熱体に対する前記芯材の相対位置を固定する当接部を有し、前記器体は、前記支持部に支持された前記揮散剤保持体に上向きの付勢力を与えることにより前記位置決め部への前記当接部の当接を保持する付勢部材を有することが好ましい。
【0025】
このようにすれば、付勢部材の上向きの付勢力により、揮散剤保持体の当接部が位置決め部に対して所定の接触圧を有するように押圧されるので、発熱体に対する芯材保持部及びこれに保持される芯材の相対位置を確定させることができる。
【0026】
また、この場合において、前記発熱体と前記位置決め部との間の寸法は、前記芯材の上端と前記当接部との間の寸法以下であることが好ましい。
【0027】
このようにすれば、位置決め部と当接部とが当接した状態において、発熱体と芯材との接触状態、つまり、繊維同士の隙間に発熱体の一部が入り込みながら接触する状態を確保することができる。
【0028】
また、本発明は、加熱されることで揮散する揮散剤を含む揮散剤保持体と、前記揮散剤保持体を支持する支持部と前記揮散剤を加熱する発熱体とを有する器体とを備える揮散器に用いられる揮散剤保持体であって、前記揮散剤が含浸された芯材と、この芯材を保持する芯材保持体とを有し、前記芯材保持体は、前記芯材の一部が露出するように当該芯材を保持する芯材保持部と、前記芯材のうち前記芯材保持部から露出する部分が前記発熱体に接触する姿勢で前記支持部に支持される被支持部とを有していることを特徴とする揮散剤保持体を提供する。
【0029】
この発明の揮散剤保持体によれば、芯材保持体の被支持部が支持部に支持された状態においては、芯材保持部から露出した芯材の一部が発熱体と接触するため、芯材における発熱体との接触部分が高温となり、煙を発生させる部分を主にその高温となった接触部分に限定することができる。そのため、揮散剤の蒸発時における煙の径を小さくすることができ、その煙を例えば線香のように細く上昇させることができる。
【0030】
また、本発明において、前記芯材保持体は、前記芯材保持部と、この芯材保持部から延びる本体部とを有し、この本体部における前記芯材保持部が設けられた側と逆側の端部が前記被支持部を構成することが好ましい。
【0031】
このようにすれば、揮散剤保持体は、芯材保持部から延びる本体部を有しているため、その器体への取付動作が容易である。
【0032】
また、本発明において、前記芯材は、ガラス繊維の繊維束からなることが好ましい。
【0033】
ガラス繊維は熱伝導率が低く、発熱体と接触しても発熱体で発生する熱を奪いにくいため、この発明によれば、効率よく芯材を加熱して揮散剤を蒸発させることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、蒸発した揮散剤を煙として視認させるとともに、その煙を効率よく発生させることができる揮散器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態の揮散器の斜視図である。
【図2】図1に示した揮散器の加熱部保持体が離間位置に位置する状態の斜視図である。
【図3】揮散剤カートリッジの上部及び加熱部の拡大断面図である。
【図4】芯材保持体の上部及び挟持部材を拡大した断面斜視図である。
【図5】図1に示した揮散器の割面図である。
【図6】図3に示した拡大断面図の斜視図である。
【図7】揮散剤カートリッジにキャップが装着された状態の斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態の揮散器の斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態の揮散器の斜視図である。
【図10】図9に示した揮散器の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、本実施形態における揮散器1は、揮散剤保持体としての揮散剤カートリッジ10と、器体50とを有しており、揮散剤カートリッジ10の揮散剤を揮散させて煙を発生させるものである。図1は、本実施形態における揮散器1の使用状態であり、この状態で後述するパイロットランプ94が点灯しており、揮散剤カートリッジ10の上方から図示しない煙が立ち上っている。図2は、揮散剤カートリッジ10を交換する際の状態の揮散器1である。後述する加熱部保持体70を上方へ移動させることで、揮散剤カートリッジ10の交換が容易となっている。なお、本実施形態では、揮散剤カートリッジ10の長手方向を上下方向、加熱部保持体70の長手方向を左右方向、加熱部保持体70の短手方向(上下方向及び左右方向のそれぞれに直交する方向)を前後方向とする。
【0038】
図3に示すように、揮散剤カートリッジ10は、図示しない揮散剤が含浸された芯材20と、この芯材20を保持する芯材保持体30と、この芯材保持体30に取り付けられる挟持部材41とを有している。
【0039】
芯材20は、ガラス繊維の繊維束からなり、揮散剤が含浸されている。詳細には、芯材20の繊維束の繊維間に形成される微細な空気層に揮散剤が保持されている。揮散剤としては、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、忌避剤等が挙げられるが、本実施形態では芳香剤を用いている。この揮散剤は、後述する加熱部80により加熱されることで蒸発して揮散し、芯材20から立ち上る煙として視認される。それと同時に、揮散剤に含まれる芳香成分も揮散する。
【0040】
図4に示すように、芯材保持体30は、同図においては図示を省略した芯材20を保持する芯材保持部31と、この芯材保持部31の下方に延びる本体部32とを有している。
【0041】
芯材保持部31は、芯材20の下端を載置する芯材載置部33と、この芯材載置部33から芯材20の周囲に配置されるように上方に延びる壁部34と、この壁部34の上部に内向きに突出するように設けられた突起37とを有しており、芯材20の繊維方向が上下方向を向き、かつ、その芯材20の上端部を露出させた状態で芯材20を保持するものである。
【0042】
壁部34は、芯材載置部33の周縁から上方へ向けて立直するとともに、芯材20の下部の全周を取り囲む筒状部35と、この筒状部35から芯材20の周囲を周方向に間欠的に囲んで配置されるように上方へ向けて延びる複数の撓み片36とを有している。そして、これらの撓み片36のそれぞれの上部から芯材20へ向けて内向きに突出するように複数の突起37が設けられている。また、各撓み片36の上端は、後述する位置決め部85に当接する当接部38となっている。
【0043】
筒状部35は、芯材20の下部を囲むことで、繊維束がばらけることのないように芯材20を保持するものである。各撓み片36は、自身の可撓性により、あるいは、後述する挟持部材41に挟持されることにより、各突起37を芯材20へ圧接させるものである。そして、突起37は、壁部34と芯材20との接触を点接触とし、壁部34の内周面と芯材20の外周面との間に壁部34の外側の空間につながる隙間40を形成するものである。
【0044】
本体部32は、図5に示すように上下方向に長い円柱状で、芯材20の中心線を含むように芯材保持部31から下方に延びるように設けられており、その下部に後述する支持部61に支持される被支持部39を有している。この本体部32は、揮散剤カートリッジ10を上下方向に長く延びた外形とし、線香に似せた形状とするものである。
【0045】
挟持部材41は、図3及び図4に示すように円筒状であり、本体部32の下方から挿入されて芯材保持部31を外側から囲むように当該芯材保持部31に取り付けられることで、撓み片36を芯材20側へ圧接させるように挟持するものである。この挟持部材41は、その底部が芯材保持部31と本体部32との境界に位置した取付状態において、その上端の内径が、各撓み片36で規定される円の外径よりも小さく設計されている。そのため、挟持部材41が芯材保持部31に取り付けられると、この挟持部材41の上端が撓み片36を介して突起37を芯材20に圧接させることとなり、芯材保持部31が芯材20を安定的に保持する状態となる。
【0046】
本体部32及び挟持部材41は、揮散剤カートリッジ10が支持部61に支持された状態で、その周囲に後述する下方空間67が形成される形状となっている。
【0047】
図7に示すように、キャップ42は、芯材20を上方から覆うように挟持部材41に装着されて、揮散剤の揮散を抑制するものである。なお、揮散剤カートリッジ10を使用する際は、このキャップ42を取り外すため、図1ないし図6に示す揮散剤カートリッジ10には、キャップ42は図示されていない。
【0048】
図5に示すように、器体50は、器体本体60と、器体本体60に相対的に移動可能に取り付けられる加熱部保持体70と、加熱部保持体70に保持される加熱部80と、器体本体60の内部に配置される基板92と、基板92に搭載されるスイッチ93と、同じく基板92に搭載されるパイロットランプ94と、発熱体81に通電させるための電源部95とを有している。
【0049】
器体本体60は、支持部61を有する器体下部63と、第1連結部65及び第2連結部66とを有している。
【0050】
支持部61は、上下方向に貫通する孔62を囲む筒状部分を有する。この孔62は上向きに開口し、揮散剤カートリッジ10の本体部32の被支持部39が上から挿入可能な径を有する。支持部61は、その挿入された被支持部39を保持して揮散剤カートリッジ10を支持するものである。
【0051】
器体下部63は、器体本体60の下部に位置しており、その上部に支持部61を有し、その内部に設けられた空間に基板92等を収容するものである。また、器体下部63は、当該器体下部63の底部に形成された開口を塞ぐ裏蓋64を有している。この裏蓋64は、電源部95の電池を着脱する際に開閉される。
【0052】
第1連結部65は、器体下部63の左端と加熱部保持体70の左端とを連結して器体下部63の上方に加熱部保持体70を支持するものであり、器体下部63との連結部分から上方へ向かうにつれて外側(左側)に広がり、加熱部保持体70との連結部分で再び内側(右側)へ狭まるように湾曲する形状を有している。第2連結部66は、第1連結部65と左右対称の形状であるため、説明を省略する。つまり、第1連結部65及び第2連結部66は、器体下部63の上方に加熱部保持体70を支持するように器体下部63と加熱部保持体70とを連結するとともに、芯材20の下方、すなわち、挟持部材41と本体部32との周囲に、前後方向に開放された(側方が開放された)略円筒状の開空間である下方空間67が形成される形状を有するものである。このように、第1連結部65及び第2連結部66の形状を特定するだけで簡易に下方空間67を形成することができる。そして、この下方空間67は、後述する芯材20の周囲の周囲空間90を介して上方空間91とつながっている。
【0053】
加熱部保持体70は、後述する加熱部80を保持するものであり、その左端が、前後方向に延びる軸により第1連結部65の上端と連結されている。この軸を中心として、加熱部保持体70の右端は、第2連結部66の上端と係止される係止位置(図1の位置)と係止されない開放位置(図2の位置)との間で移動可能となっている。そして、この加熱部保持体70における支持部61の鉛直上方には、上下方向に貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔を形成するように囲む内周面71に、揮散剤カートリッジ10の揮散剤を加熱する加熱部80を保持する加熱部保持部72が設けられている。
【0054】
加熱部80は、導線がコイル状に巻回された加熱体としての発熱体81と、この発熱体81を保持するベース部材82と、ベース部材82上に載置されるホールド部材86とを有しており、ベース部材82とホールド部材86とで発熱体81を保持する加熱体保持部としての発熱体保持部を構成している。
【0055】
発熱体81は、基板92に接続されている図示しない導線の一部をコイル状に巻回されて形成されており、通電されることで発熱して揮散剤を加熱するものである。なお、本実施形態では、導線としてニクロム線を用いている。
【0056】
ベース部材82は、その左右方向の両端に設けられた切欠き83に発熱体81の両端の線状の部分を係止して保持するものである。また、ベース部材82は、その中央を上下方向に貫通するベース部材開口84を形成するように囲むベース部材内周面84aを有しており、発熱体81は、このベース部材開口84を臨むようにベース部材82に載置される。そして、ベース部材82には、ベース部材内周面84aからベース部材開口84内へ突出するように位置決め部85が設けられている。
【0057】
位置決め部85は、ベース部材82における切欠き83が形成された面より一段下がった面に設けられており、撓み片36の上端の当接部38と当接することで、揮散剤カートリッジ10の前後及び左右方向の位置、並びに芯材20と発熱体81との相対位置を決めるものである。また、この位置決め部85は、加熱部保持体70を係止位置に位置させた際に当接部38を下方へ押下する部分でもある。
【0058】
ここで、発熱体81の下面と位置決め部85との間の上下方向の寸法は、揮散剤カートリッジ10における芯材20の上端と当接部38との間の上下方向の寸法以下となるように設計されている。このように設計するのは、揮散剤カートリッジ10が支持部61に支持された状態で加熱部保持体70が係止位置にあるときに、この加熱部保持体70が保持する発熱体81を芯材20の上端に接触させるためである。
【0059】
さらに、芯材20は繊維束からなりその繊維方向が上下方向を向くように保持されているので、加熱部保持体70が係止位置にある状態では、発熱体81の一部が、芯材20の上端において繊維同士の隙間に入りながら繊維と接触することになる。
【0060】
以上のように、加熱部保持体70が係止位置にあるときは、発熱体81と芯材20とが必ず接触する接触位置となっており、加熱部保持体70が開放位置にあるときは、発熱体81と芯材20とが離間する離間位置となっている。
【0061】
ホールド部材86は、ベース部材82の上方に載置されて、発熱体81をベース部材82とともに挟持するものである。このホールド部材86も、ベース部材82と同様に、その中央を上下方向に貫通するホールド部材開口87を形成するように囲むホールド部材内周面87aを有している。また、このホールド部材86の左右方向の両端には、発熱体81が芯材20により下方から上方へ押し上げられた際に、発熱体81の中間部の撓み変位を容易にするように発熱体81の両端部分の上方への変位を許容する凹部88が設けられている。なお、この凹部88を有したホールド部材86の形状と加熱部保持体70の貫通孔の形状とは相似形状となっている。また、ホールド部材86には、ホールド部材開口87内に指等が入らないようにするためのリブ89が内向きに複数設けられている。そして、このホールド部材86の上方に、蒸発して煙となった揮散剤が上昇する上方空間91が確保されている。
【0062】
図6に示すように、発熱体保持部(加熱体保持部)であるベース部材82及びホールド部材86は、ベース部材開口84及びホールド部材開口87を上下方向にのみ開放するベース部材内周面84a及びホールド部材内周面87aを有した中空状をなしており、この内周面84a,87aは、その内側に周囲空間90を規定する。そして、発熱体保持部(加熱体保持部)は、その内周面84a,87aの内側の周囲空間90内で、芯材20の上方に加熱体としての発熱体81を保持している。また、図6に示すように、周囲空間90を上方から見た際、発熱体81は、蒸発した揮散剤のスムーズな上昇を妨げることがないように、芯材20の上端面の少なくとも一部が上方に露出されるような形状とされている。そして、下方空間67は、この上下方向にのみ開放された周囲空間90を介して上方空間91とつながっている。なお、発熱体81はベース部材82とホールド部材86との間、すなわち周囲空間90内に保持されており、高温となる部分が下方空間67や上方空間91に露出していないので、指等が発熱体81に触れてやけどをする虞がない。
【0063】
基板92は、器体下部63内に収容されており、本体部32の下端で押圧されるスイッチ93と、パイロットランプ94と、コイル状の発熱体81に繋がる図示しない導線とを有している。
【0064】
スイッチ93は、押下されて発熱体81への通電を開始するものである。このスイッチ93は、加熱部保持体70が係止位置に位置して位置決め部85で当接部38が押下されることにより、本体部32の下端で押下される。そして、スイッチ93は、本体部32の下端を上方への付勢する付勢力を有しているため、加熱部保持体70が係止位置に位置した状態において、当接部38を位置決め部85に対して所定の接触圧を有するように当接させることができる。また、スイッチ93は、オーバーストロークを有しているため、芯材保持体30の上下方向の成形誤差による押下量のバラつきを吸収することができる。なお、スイッチ93は、本体部32の下端で押下されるものに限られず、器体本体60の側面に突出するように設けた操作部により操作される構成であってもよい。
【0065】
パイロットランプ94は、発熱体81に通電されている間点灯するものであり、器体下部63の前方に設けられた孔から露出するように基板92に搭載されている。なお、本実施形態では、基板92には、発熱体81への通電が開始されてから10分で切れるプログラムが設けられているため、パイロットランプ94は点灯してから10分後に消灯する。
【0066】
電源部95は、スイッチ93のオンにより発熱体81に電流を流すための電圧を印加するものであり、その電圧の供給源としての電池を有している。また、電源部95の下面は、電池の交換のために露出された形状であり、この露出する面は器体下部63の裏蓋64で覆われている。
【0067】
次に、揮散剤カートリッジ10の器体50への取付け方ないし揮散器1の使用方法を説明する。
【0068】
まず、加熱部保持体70の右端を上方へ持ち上げてこの加熱部保持体70を開放位置(発熱体81と芯材20との離間位置)に位置させる。そして、揮散剤カートリッジ10の本体部32の被支持部39を、支持部61の孔62内へ挿入する。このとき、本体部32が上下方向に長い形状であり、かつ、本体部32の下部を支持部61に立てることから、実際に線香を立てるような動作の体現することができる。なお、この時点では、本体部32の下端はスイッチ93に当接しているだけでスイッチ93を押下してはいないので、まだ発熱体81への通電は開始されていない。
【0069】
次いで、加熱部保持体70を係止位置(発熱体81と芯材20との接触位置)へ戻す。そうすることにより、ベース部材82の位置決め部85が、芯材保持部31の当接部38と当接して芯材保持体30の前後及び左右方向の位置決めをするとともに、スイッチ93の上方への付勢力に抗してこの当接部38を下方へ押下する。その結果、スイッチ93がオンとなり、発熱体81への通電が開始されて、パイロットランプ94が点灯する。また、この状態で、芯材20は発熱体81に対して下方から接触しており、さらに、発熱体81の一部は、芯材20の繊維間に位置しつつ繊維と接触している。そして、通電がなされた発熱体81は発熱して、この発熱体81と接触している芯材20上部の繊維に熱を伝える。その結果、芯材20の上部が高温となり、主にこの高温となった接触箇所から揮散剤が蒸発して煙が発生し、それと同時に揮散剤に含まれる芳香成分も揮散する。
【0070】
この発生した煙は、芯材20の位置する周囲空間90から、その上方の上方空間91へと向かって立ち上る。そして、通電の開始から10分が経過すると、発熱体81への通電が停止され、揮散剤の蒸発が終了する。
【0071】
以上のように、本実施形態の揮散器1によれば、芯材20と発熱体81とを接触させることにより、発熱体81から発生する熱を効率よく芯材20に伝えることができ、主に高温となるその接触部分から効率よく煙を発生させることができる。また、芯材20における煙を発生させる部分を主に高温となるその接触部分に限定することができるため、揮散剤の蒸発時における煙の径を小さくすることができ、芯材20の上端全体を加熱する場合に比べて例えば線香のように細い煙を立ち上らせることができる。さらに、芯材20は繊維束からなり、発熱体81の一部が芯材20上端における繊維同士の隙間に入りながら繊維と接触しているため、発熱体81と繊維との接触面積を十分に確保することができ、揮散剤の蒸発量が増加して煙を明瞭に視認することができる。また、芯材20が発熱体81に対して直下から接触しているため、発生した煙を、繊維自身に妨げられることなくスムーズに上昇させることができる。
【0072】
ここで、発熱体81に通電がされて発熱体81が発熱すると、この発熱体81及び芯材20の周囲の周囲空間90に存在する空気は加熱されて上方空間91へ向けて上昇し、また、周囲空間90はベース部材82及びホールド部材86に囲まれて上下方向にのみ開放される空間であるため、この周囲空間90には、その下方の下方空間67から空気が供給されることになる。つまり、下方空間67から発熱体81及び芯材20の周囲の周囲空間90に空気が供給され、その空気が発熱体81により熱せられて上方空間91へ向かうことになる。このように、発熱体81に通電がなされると、下方空間67から周囲空間90を通って上方空間91へと向かう上昇気流が発生する。したがって、蒸発した揮散剤は発熱体81近傍で拡散することなく、少なくとも芯材20の直上部分では例えば線香のように細く真っ直ぐに立ち上る煙として視認することができる。
【0073】
より具体的には、ベース部材82及びホールド部材86に囲まれた周囲空間90は、下方空間67及び上方空間91に比してその水平方向断面の断面積が小さいため、周囲空間90における上昇気流の流速が、下方空間67における上昇気流の流速及び上方空間91における上昇気流の流速よりも大きくなるので、蒸発した揮散剤を発熱体81近傍で拡散させることなく、少なくとも芯材20の直上部分では発生時の細い状態の煙のまま上方空間91へと導くことができる。
【0074】
また、揮散剤カートリッジ10は、芯材保持部31が筒状部35を有しているため、芯材20に含まれる揮散剤が芯材20から染み出したとしても、芯材保持部31から漏れ出すことがないようにその揮散剤を保持することができる。さらに、芯材保持部31における芯材20の周囲には隙間40が確保されているため、この隙間40を通して空気が芯材20の下方へ、すなわち筒状部35側へ流れ込むことにより、芯材20内における揮散剤の上昇を促すことができる。そして、芯材保持体30が上下方向に延びる本体部32を有しているため、揮散剤カートリッジ10の器体50への着脱時の交換作業を行いやすくすることができる。加えて、この揮散剤カートリッジ10は、その上端側に蒸発すると煙として視認される揮散剤を含む芯材20を有し、下端側に被支持部39を有しており、しかも、この揮散剤カートリッジ10を器体50に取り付ける際には、上下方向に長く延びた本体部32の下部の被支持部39を支持部61に支持させることから、実際に線香をあげるような動作を体現することができる。そして、支持部61に支持された揮散剤カートリッジ10は、器体50との間に周囲空間90が形成される形状を有しているため、確実に下方空間67から周囲空間90を通って上方空間91へと向かう上昇気流を発生させることができる。
【0075】
そして、加熱部80における発熱体81はコイル状であって、その長手方向が左右方向となるようにベース部材82に保持されていることから、その中間部分が上下方向へ撓み変位可能となっている。さらに、加熱部80は、位置決め部85により当該加熱部80に対する揮散剤カートリッジ10における芯材保持部30の位置を固定することができるため、周囲空間90の形状を一定とすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、発熱体81と芯材20の上端とが接触しているため、芯材20の上端が高温化されてこの芯材20の上端から揮散剤が蒸発されることになるが、上記のとおり、壁部34の内周面と芯材20の外周面との間には隙間40が確保されているため、この隙間40を通じて芯材20の下方へ空気が入り込むことによって、芯材20内における揮散剤の芯材20上端への移動が促進され、芯材20の上端に効率よく揮散剤を供給することができる。さらに、位置決め部85と当接部38との当接により芯材20と発熱体81との相対位置が決定されるが、発熱体81はその中間部分が上方へ撓み変位可能であるので、芯材20が発熱体81の下方から当該発熱体81に接触した際における芯材保持部31からの芯材20の突出量の寸法誤差を吸収することができる。なお、発熱体81は芯材20の上に接触するように位置しているため、周囲空間90を広く確保することができ、上昇気流をスムーズにすることができる。
【0077】
また、本実施形態の揮散器1によれば、異なる芳香成分の揮散剤を有する揮散剤カートリッジ10を複数用意し、それらを取り替えることにより、使用者の好みや使用場所、環境等に応じて異なる芳香成分を有する揮散剤を揮散させることができる。さらに、芯材20の長さや揮散剤の含浸量を調整することで、揮散剤カートリッジ10の使用時間を適宜調整することができる。加えて、従来のように液体の揮散剤を収容する容器を有していないので、揮散器1の転倒等による液漏れの虞もない。
【0078】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態の揮散器1の構成を示している。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構成、作用及び効果については説明を省略する。
【0079】
この第2実施形態の揮散器1における第1実施形態の揮散器1との異なる点は、器体本体60の第2連結部66が省略されたことによる下方空間67の形状である。
【0080】
本実施形態においても、下方空間67から芯材20周囲の周囲空間90を通って上方空間91へとつながる空気流通路が確保されているため、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0081】
(第3実施形態)
図9及び図10は、本発明の第3実施形態の揮散器1の構成を示している。なお、第3実施形態においても、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構成、作用及び効果については説明を省略する。
【0082】
この第3実施形態の揮散器1は、第1実施形態の揮散器1とは器体50の構成が異なっている。すなわち、第1実施形態における揮散器1の第1連結部65及び第2連結部66が省略され、加熱部保持体70自体が、器体下部63に対して着脱可能な構成となっている。
【0083】
加熱部保持体70は、支持部61の鉛直上方の部分に加熱部80を保持する加熱部保持部72と、上端から下端へ向けて径が次第に大きくなる筒状部73とを有している。そして、筒状部73の側面には複数の開口74が設けられて、加熱部保持体70の内外が連通されている。この加熱部保持体70の下端部は、器体下部63の上端部と略同形状となっており、加熱部保持体70は、器体下部63の支持部61に支持された揮散剤カートリッジ10を覆うように器体下部63に接続される。そして、加熱部保持体70が器体下部63に接続された状態で、揮散剤カートリッジ10の挟持部材41及び本体部32の周囲には、加熱部保持体70の外側と連通するように側方が開放されるとともに、芯材20周囲の周囲空間90を通って上方空間91へとつながる空間、つまり下方空間67が形成されている。
【0084】
したがって、本実施形態においても、下方空間67から芯材20周囲の周囲空間90を通って上方空間91へとつながる空気流通路が確保されているため、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0085】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0086】
例えば、上記実施形態では、芯材20としてガラス繊維の繊維束からなるものを用いた例を示したが、芯材20に用いられる繊維はガラス繊維に限られない。また、芯材20としては、ガラス繊維等の繊維からなるものに限らず多孔質媒体等であってもよい。さらに、繊維を含む芯材20としては、繊維方向が特定されない綿状のものや、繊維以外の部材とその部材の上端部に設けられた繊維束とからなるものであってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、芯材20、芯材保持部31及び本体部32がそれぞれ円柱状である例について示したが、これらは、円柱状ではなく角柱状であってもよい。さらに、芯材に関しては球状や楕円体状であってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、芯材保持部31が、芯材載置部33、筒状部35と撓み片36とを有する壁部34及び突起37からなる例について示したが、筒状部35を省略し、芯材載置部33から直接複数の撓み片36が立設されたものであってもよい。あるいは、撓み片36及び突起37を省略し、芯材載置部33と筒状部35とからなるものであってもよい。または、芯材保持部31としては、芯材載置部33と、この芯材載置部33から芯材20の全周を囲むように立設された筒体と、この筒体の内面から芯材20に当接するように周方向に間欠的に突設された突起とを有するものであってもよい。さらに、これらの場合において、突起を設ける位置としては、壁部34の内周面または筒体の内周面と、芯材20の外周面との間に隙間40を確保できる位置であればよく、撓み片36の上部や筒体の上部に限られない。
【0089】
また、上記実施形態では、揮散剤カートリッジ10の本体部32の外形を上下方向に長い円柱状とし、支持部61は、円柱状の外形を有する本体部32の被支持部39を挿入可能な孔62を有する例を示したが、支持部が器体下部63から上方へ向けて伸びる円柱状の外形を有し、被支持部が、その円柱状の支持部と係合する凹部であってもよい。あるいは、被支持部39が本体部32の下部に設けられたものではなく、本体部32を省略し、挟持部材41の外周に被支持部が設けられたものであってもよい。さらには、芯材保持体30を省略し、芯材20自身が揮散剤カートリッジとして直接支持部61に支持されるものであってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、未使用の状態の揮散剤カートリッジ10にキャップ42が装着される例について示したが、揮散剤の揮散を抑制できるものであれば、芯材20の周囲を密閉するように被覆するフィルム等であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、器体下部63に支持部61を設けた例を示したが、支持部61を設ける場所としては、器体下部63に限らず連結部や加熱部保持体であってもよく、また、支持部61は、必ずしも揮散剤カートリッジ10が上下方向を向くように支持するものでなくてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、加熱体として導線をコイル状に巻回した発熱体81を用いた例を示したが、加熱体としては、半導体やセラミックヒータ等であってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、芯材20に対し上方から、つまり芯材20の上端面に発熱体81を接触させる例について示したが、芯材20の側方から、つまり芯材20の側面に発熱体81を接触させてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、挟持部材41を本体部32の下方から挿入して各撓み片36を挟持する例について示したが、撓み片36を挟持できる部材であればこのような形状に限られず、壁部34の周囲に巻かれるバンド等であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、発熱体81が加熱体保持部の内側領域である周囲空間90内に保持される例について示したが、その周囲空間90から上方空間91あるいは下方空間67のいずれかの空間に多少露出するように発熱体81が保持される構成でもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、リブ89をホールド部材86に設けた例について示したが、ホールド部材を省略し、加熱部保持体70の内周面に直接リブを設けてもよい。
【0097】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、加熱部80は加熱部保持体70に保持された例について示したが、加熱部保持体70を省略し、連結部の上端に加熱体としての発熱体81を保持してもよい。
【0098】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、支持部61は器体下部63の上部に孔62が上下方向を向くように固定された例について示したが、例えば支持部が左右方向に延びる軸を有し、その軸を中心に孔62が鉛直上向きから所定角度だけ前方に回動できるように器体下部63に支持されたものであってもよい。この場合、その支持部を前方に傾けて揮散剤カートリッジ10の被支持部39を孔62へ挿入し、孔62が鉛直上向きとなるように戻すことで揮散剤カートリッジ10の器体50への取り付けが完了する。そして、この場合においては、加熱部保持体70及び加熱部80に、その前方部分に揮散剤カートリッジ10の上部を通すことのできるスリットを設けるか、あるいは、上記のように加熱部保持体70を省略して連結部の上端に発熱体81を保持するなど、発熱体81が芯材20と接触できるように保持されている必要がある。なお、この場合、発熱体81は芯材20の側面に接触することになる。
【0099】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、加熱部保持体70が前後方向に延びる軸により器体本体60に対して回動可能に支持された例について示したが、軸の方向は前後方向に限らず、前後方向と直交する上下方向であって、加熱部保持体70が器体本体60に対して前後方向に回動可能に支持されたものであってもよい。あるいは、第1連結部65の上端及び加熱部保持体70の左端のいずれか一方の端部が他方の端部内に入り込むように両者が接続されており、加熱部保持体70が器体本体60に対して摺動可能に支持されたものであってもよい。さらには、これら第1実施形態及び第2実施形態において、連結部の一部にその前後方向に延びる薄肉部を設け、この薄肉部を撓ませることにより、加熱部80が上下方向に移動する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 揮散器
10 揮散剤カートリッジ(揮散剤保持体)
20 芯材
30 芯材保持体
31 芯材保持部
32 本体部
33 芯材載置部
34 壁部
35 筒状部
36 撓み片
37 突起
38 当接部
39 被支持部
40 隙間
41 挟持部材
42 キャップ
50 器体
60 器体本体
61 支持部
62 孔
62a 支持部内周面
63 器体下部
64 裏蓋
65 第1連結部
66 第2連結部
67 下方空間
70 加熱部保持体
71 内周面
72 加熱部保持部
73 筒状部
74 開口
80 加熱部
81 発熱体(加熱体)
82 ベース部材(発熱体保持部、加熱体保持部)
83 切欠き
84 ベース部材開口
84a ベース部材内周面
85 位置決め部
86 ホールド部材(発熱体保持部、加熱体保持部)
87 ホールド部材開口
87a ホールド部材内周面
88 凹部
89 リブ
90 周囲空間
91 上方空間
92 基板
93 スイッチ
94 パイロットランプ
95 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散剤を加熱することで揮散させる揮散器であって、
前記揮散剤が含浸された芯材を含む揮散剤保持体と、
前記揮散剤保持体を支持する支持部と、通電されて前記揮散剤を加熱する加熱部とを有する器体とを備え、
前記加熱部は、通電されて発熱する発熱体を有しており、
前記支持部は、前記芯材が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を支持することを特徴とする揮散器。
【請求項2】
前記揮散剤保持体は、前記芯材をその一部が露出するように保持する芯材保持部を有しており、
前記支持部は、前記芯材のうち前記芯材保持部の外側に露出する部分が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を保持していることを特徴とする請求項1に記載の揮散器。
【請求項3】
前記支持部は、前記芯材のうち前記芯材保持部の外側に露出する部分の端面が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を支持することを特徴とする請求項2に記載の揮散器。
【請求項4】
前記支持部は、前記芯材のうち前記芯材保持部の外側に露出する部分の側面が前記発熱体と接触するように前記揮散剤保持体を支持することを特徴とする請求項2に記載の揮散器。
【請求項5】
前記芯材は、繊維を含み、
前記芯材保持部は、前記芯材のうち前記繊維の部分を露出させるように当該芯材を保持し、
前記支持部は、前記発熱体の少なくとも一部が前記繊維同士の隙間に入りながら前記繊維と接触するように前記揮散剤保持体を支持することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の揮散器。
【請求項6】
前記支持部は、前記芯材が前記発熱体に対して下から接触するように前記揮散剤保持体を支持することを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の揮散器。
【請求項7】
前記発熱体は特定方向に延びる形状を有し、
前記器体は、前記発熱体が水平方向に延びる姿勢でその発熱体の中間部位が上下方向に撓み変位可能となるように当該発熱体の長手方向の両端を保持する発熱体保持部を有しており、
前記支持部は、前記芯材が前記発熱体の中間部位を上向きに撓み変位させるように当該発熱体の中間部位に接触するように前記揮散剤保持体を支持することを特徴とする請求項6に記載の揮散器。
【請求項8】
前記加熱部は、その発熱体に対する前記芯材保持部及びこれに保持される芯材の相対位置を決めるための位置決め部を有し、
前記芯材保持部は、前記位置決め部に対して下から当接することにより前記発熱体に対する前記芯材の相対位置を固定する当接部を有し、
前記器体は、前記支持部に支持された前記揮散剤保持体に上向きの付勢力を与えることにより前記位置決め部への前記当接部の当接を保持する付勢部材を有することを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の揮散器。
【請求項9】
前記発熱体と前記位置決め部との間の寸法は、前記芯材の上端と前記当接部との間の寸法以下であることを特徴とする請求項8に記載の揮散器。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の揮散器に用いられる揮散剤保持体であって、
前記芯材と、この芯材を保持する芯材保持体とを有し、
前記芯材保持体は、前記芯材保持部と、前記芯材のうち前記芯材保持部から露出する部分が前記発熱体に接触する姿勢で前記支持部に支持される被支持部とを有していることを特徴とする揮散剤保持体。
【請求項11】
前記芯材保持体は、前記芯材保持部と、この芯材保持部から延びる本体部とを有し、この本体部における前記芯材保持部が設けられた側と逆側の端部が前記被支持部を構成することを特徴とする請求項10に記載の揮散剤保持体。
【請求項12】
前記芯材は、ガラス繊維の繊維束からなることを特徴とする請求項10または11に記載の揮散剤保持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−22164(P2013−22164A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158347(P2011−158347)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】