説明

揮散装置

【課題】吸上芯の挿入を容易としつつ転倒時のこぼれを抑制することができる揮散装置を提供する。
【解決手段】吸上芯19を挿通する被保持体15の開口部81の外周部に上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面83を形成することで、吸上芯19が開口部81の上部傾斜面83に干渉した場合に吸上芯19を上部傾斜面83に沿って開口部81に案内することができ、所定数の吸上芯19を挿入可能な大きさまで開口部81を小さくすることができる。これにより、開口部81への吸上芯19の挿入容易性を損なうことなく、開口部81の開口面積を最小限に抑えることができる。したがって、吸上芯19の挿入を容易としつつ、転倒時での液状薬剤11の不用意なこぼれを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状成分を揮散する揮散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器体に収容された芳香液や消臭液等の液状薬剤を揮散する揮散装置が知られている。
【0003】
この揮散装置としては、容器体に複数の吸上芯を挿入し、吸い上げた液状薬剤を、容器体から延出した部分より揮散するいわゆるリードディフューザータイプの揮散装置が知られている。
【0004】
このリードディフューザータイプの揮散装置811は、図6に示すように、液状薬剤801を収容した容器体802を備えてなり、該容器体802に設けられた口部803の開口部804には、複数の吸上芯805,・・・が挿入されている。
【0005】
各吸上芯805,・・・は、その基端部が前記容器体802の底部に達するとともに、先端部が前記口部803より上方に延出するように構成されており、前記容器体802に収容された前記液状薬剤801を基端部から吸い上げて先端部及び周囲より揮散できるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の揮散装置811にあっては、吸上芯805,・・・を挿入する為に容器体802の口部803の開口面積が大きいため、当該容器体802が倒れた際に収容された液状薬剤801がこぼれ易いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、吸上芯の挿入を容易としつつ転倒時のこぼれを抑制することができる揮散装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の揮散装置にあっては、複数の吸上芯を容器体内に連通した開口部に挿入し、前記容器体内の液状薬剤を前記各吸上芯で吸い上げて前記容器体より延出した前記各吸上芯の部位から揮散する揮散装置において、前記開口部の外周部を、該開口部から上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面で構成し、上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成した。
【0009】
すなわち、複数の吸上芯が挿入される開口部の外周部は、該開口部から上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面で構成されており、複数の吸上芯を束ねて前記開口部に挿入する際に、外側に配置された吸上芯が前記開口部外周部の前記上部傾斜面に干渉した場合であっても、これらの吸上芯を、前記上部傾斜面に沿って前記開口部へ案内することができる。
【0010】
このため、前記開口部への前記吸上芯の挿入容易性を損なうことなく、前記開口部の開口面積を最小限に抑えることができる。
【0011】
そして、前記開口部の外周部には、該開口部から上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面で構成されており、前記開口部に挿入された複数の吸上芯は、前記上部傾斜面側への傾倒が許容される。
【0012】
また、請求項2の揮散装置においては、前記開口部の外周部を、該開口部から下方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する下部傾斜面で構成し、下方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成した。
【0013】
すなわち、前記開口部の外周部における下部には、下方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜した下部傾斜面を形成されており、下方へ向かうに従って拡開する拡開形状を構成されている。
【0014】
このため、前記開口部に挿入された複数の吸上芯は、前記上部傾斜面に沿って傾倒された状態で、前記下部傾斜面への干渉が防止される。
【0015】
さらに、請求項3の揮散装置では、前記容器体の口部に装着されるキャップと、該キャップと前記口部との間に保持される被保持体とを設け、該被保持体に前記容器体内部と外部とを連通する前記開口部を設定するとともに、当該被保持体の外周面より外方へ延出する鍔部を設ける一方、前記キャップに、前記口部の外周部を覆う筒部と、該筒部の上端より内側に延出したフランジ部とを形成し、当該キャップを前記口部に装着した状態で前記被保持体の前記鍔部を前記口部の端面と前記キャップの前記フランジ部とで挟持可能に構成した。
【0016】
すなわち、この揮散装置は、容器体の口部に装着されるキャップと、該キャップと前記口部との間に保持される被保持体とを備えており、当該被保持体に、前記容器体内部と外部とを連通する前記開口部が設定されている。
【0017】
そして、この被保持体の外周面には、外方へ延出する鍔部が形成されており、前記キャップには、前記口部の外周部を覆う筒部と、該筒部の上端より内側に延出したフランジ部とが形成されている。
【0018】
このため、前記キャップを前記口部に装着した際には、当該キャップのフランジ部と前記口部の端面との間に、前記被保持体の前記鍔部を挟持した状態で、当該被保持体を前記容器体に設けることができる。
【0019】
このとき、前記被保持体には、前記開口部が設けられており、該開口部の外周部に前述した傾斜面が設定される。
【0020】
このため、この被保持体を、液状薬剤を収容した容器体の口部に装着するだけで、前述した構成を形成することができ、前述した作用を奏することができる。
【0021】
加えて、請求項4の揮散装置にあっては、前記キャップに外嵌し当該キャップを覆う装飾カバーを前記キャップと異なる素材で構成し、該装飾カバーの天部に、前記被保持体の前記開口部及び前記口部を介して前記容器体内連通する連通穴を設けた。
【0022】
これにより、前記キャップを前記液状薬剤の浸透を防止するプラスチック製で構成し、前記装飾カバーを木製で構成することが可能となり、デザイン性の向上が図られる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明の請求項1の揮散装置にあっては、複数の吸上芯を束ねた状態で大まかに前記開口部に合わせてセットするだけで、前記開口部に位置した吸上芯は直接、また前記上部傾斜面に当接した吸上芯にあっては当該上部傾斜面でガイドすることによって、前記開口部に挿入することができる。
【0024】
これにより、前記開口部への複数の前記吸上芯の挿入を容易に行うことができる。
【0025】
また、前記上部傾斜面に当接した吸上芯を前記開口部に案内できることから、前記開口部の開口面積を、前記複数の吸上芯を挿入可能な大きさまで小さくすることができる。
【0026】
これにより、転倒時に前記開口部からこぼれ出る液状薬剤の流出量を抑えることができ、前記容器体より延出した前記吸上芯に手などを引っ掛けて転倒させてしまった場合であっても、当該容器体をすぐに起立させることによって、収容された液状薬剤の漏れを防止することができる。
【0027】
したがって、前記吸上芯の挿入を容易としつつ、転倒時での液状薬剤の不用意なこぼれを抑制することができる。
【0028】
そして、前記開口部の外周部には、前記開口部へ向かうに従って下方に傾斜した上部傾斜面が形成されており、前記開口部に挿入された複数の吸上芯は、前記上部傾斜面側への傾倒が許容され、外側へ傾斜することができる。
【0029】
これにより、前記開口部に挿入された複数の吸上芯を放射状に延出することができ、美観を高めることができる。そして、前記吸上芯を放射状に延出することで、前記液状薬剤の揮散量を拡大することができる。
【0030】
また、請求項2の揮散装置においては、前記開口部の外周部における下部には下方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜した下部傾斜面が形成されており、下方へ向かうに従って拡開する拡開形状を構成されている。
【0031】
このため、前記開口部に挿入された複数の吸上芯を、前記上部傾斜面に沿って傾倒した状態であっても、前記下部傾斜面への干渉を防止することができる。
【0032】
これにより、前記吸上芯の傾倒角を大きくすることができ、広範囲に広がる放射形状を形成することができ、前記液状薬剤の揮散量をさらに拡大することができる。
【0033】
さらに、請求項3の揮散装置では、前記キャップを前記口部に装着することで、当該キャップのフランジ部と前記口部の端面との間に、前記被保持体の前記鍔部を挟持した状態で、当該被保持体を前記容器体に保持することができる。
【0034】
このとき、前記被保持体には、前記開口部が設けられており、該開口部の外周部に前述した傾斜面が設定される。
【0035】
このため、この被保持体を、液状薬剤を収容した容器体の口部に装着するだけで、前述した構成を形成することができ、前述した作用を奏することができる。
【0036】
加えて、請求項4の揮散装置にあっては、例えば前記キャップを前記液状薬剤の浸透を防止するプラスチック製で構成し、前記装飾カバーを木製で構成することが可能となり、デザイン性の向上を図ることができる。
【0037】
このとき、デザイン性向上のため前記キャップを木製とすることが考えられる。この場合、吸上芯等で吸い上げられた液状薬剤が前記キャップの付着した際に当該キャップに染みこむ恐れがあり、この場合、キャップ表面にシミ等が表出する恐れがある。
【0038】
しかし、本願発明のように、前記キャップと前記装飾カバーとを異なる素材で構成することで、このような不具合を防止しつつ、デザイン性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す説明図である。
【図2】同実施の形態を示す図で、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【図3】同実施の形態の使用状態を示す断面図である。
【図4】同実施の形態の被保持体を示す図で、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図である。
【図5】同実施の形態の使用状態を示す図で、(a)は容器体が水平方向に倒れた状態を示す説明図であり、(b)は容器体の口部が下方へ向けて傾斜するように転倒した状態を示す説明図である。
【図6】従来の揮散装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0041】
図1から図5は、本実施の形態にかかる揮散装置1を示す図であり、該揮散装置1は、芳香液や消臭液等の液状薬剤を揮散するものである。
【0042】
この揮散装置1は、図1に示したように、前記液状薬剤11を収容した容器体12と、該容器体12の口部13に取り付けられ使用時には取り外される内キャップ14と、前記口部13上に配置される被保持体15と、前記口部13に装着されるキャップ16と、該キャップ16に取り付けられる装飾カバー17と、該装飾カバー17に取り付けられる保護カバー18とによって構成されており、図3に示したように、前記容器体12内の前記液状薬剤11を吸い上げて揮散する複数の吸上芯19,・・・を備えて構成されている。
【0043】
前記容器体12は、図1に示したように、矩形状のガラス瓶で構成され、正方形状の底面21を備えている。該底面21の各辺からは矩形状の壁面22,・・・が上方へ向けて延出しており、各壁面22,・・・によって当該容器体12の周壁23が形成されている。該周壁23の上縁は、矩形状の上面24によって連設されており、該上面24の中央部からは、円筒状の前記口部13が上方へ向けて延出している。
【0044】
該口部13は、当該容器体12内に連通しており、容器体12の内部Iと外部Oとが前記口部13によって連通するように構成されている(図2及び図3参照)。
【0045】
この口部13には、プラスチック製の前記内キャップ14が出荷時に装着されており、該内キャップ14は、前記口部13に内嵌される有底円筒状の内嵌部31と、該内嵌部31の上縁より側方に延出した延出部32とによって一体形成されている。これにより、該延出部32が前記口部13の端面に当接するまで前記内嵌部31を前記口部13に内嵌することで、前記容器体12内の液状薬剤11の運搬中等での漏れを防止できるように構成されている。
【0046】
前記口部13の外周面には、雄ねじ部41が一体形成されており、プラスチック製の前記キャップ16を取り付けられるように構成されている。
【0047】
該キャップ16は、装着時に前記口部13の外周部を覆う円筒状の筒部51と、該筒部51の上端より内側に延出したリング状のフランジ部52とによって一体形成されている。これにより、当該キャップ16の天部には、前記フランジ部52の内側に円形穴53が設けられている。
【0048】
このキャップ16の前記筒部51の内側面には、前記口部13の前記雄ねじ部41に螺合する雌ねじ部61が一体形成されており、当該キャップ16を前記口部13に螺着できるように構成されている。これにより、図3に示したように、当該キャップ16と前記口部13との間に、あるいは図2に示したように、前記キャップ16と前記内キャップ14との間に、前記被保持体15を保持できるように構成されている。
【0049】
この被保持体15は、シリコン、ブタジエン等のゴム、エラストマーまたはウレタン等の素材で形成されており、弾性変形可能に構成されている。該被保持体15は、図4に示したように、その中心部を構成する本体部71が円筒状に形成されており、当該本体部71は、取付状態において上側を構成する小径の小径部72と、該小径部72より大径であって下側を構成する大径部73とによって構成されている。該大径部73の下端側には、当該被保持体15の外周面より外方へ延出する鍔部74が全周に渡って形成されており、円形リング状の鍔部74が当該被保持体15の下端部に一体形成されている。
【0050】
前記本体部71を構成する前記大径部73の外形寸法は、図2及び図3に示したように、前記キャップ16に設けられた円形穴53とほぼ同寸法又はやや小径に設定されており、前記大径部73は前記円形穴53を挿通して前記キャップ16の天部の前記フランジ部52より上方へ突出するように構成されている。
【0051】
また、前記鍔部74の外形寸法は、前記キャップ16の内径寸法よりやや小さめであって、前記口部13の外形寸法よりやや大きめに設定されており、当該被保持体15の前記鍔部74を前記容器体12の前記口部13の端面に載置した状態で、前記キャップ16を前記口部13に装着できるように構成されている。
【0052】
そして、前記被保持体15の前記鍔部74上面には、図3に示したように、前記キャップ16の前記フランジ部52が全周に渡って当接するように構成されており、前記被保持体15の前記鍔部74を前記口部13の端面と前記キャップ16の前記フランジ部52とで挟持した状態で、当該被保持体15を前記キャップ16と前記口部13間に保持できるように構成されている。
【0053】
このとき、前記キャップ16を締め付けることによって、前記フランジ部52で前記鍔部74を押圧できるように構成されており、これにより当該鍔部74を全周に渡って前記口部13の端面に圧接することで、当該口部13をシールできるように構成されている。
【0054】
前記被保持体15の前記本体部71には、図4に示したように、上下に貫通した開口部81が形成されており、当該被保持体15を前記キャップ16と前記口部13間に配設した状態で、前記容器体12内部Iと外部Oとを連通するように構成されている(図2及び図3参照)。
【0055】
前記本体部71に設けられた前記開口部81の外周部には、該開口部81から当該本体部71の上面82へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜したすり鉢状の上部傾斜面83が形成されており、当該開口部81は、その上部が上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成されている。また、前記開口部81の外周部には、該開口部81から当該本体部71の下面84へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜したすり鉢状の下部傾斜面85が形成されており、当該開口部81は、その下部が下方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成されている。
【0056】
これにより、前記本体部71には、前記上部傾斜面83と前記下部傾斜面85との連設部分に内側に突出した細挟部91が設定されており、該細挟部91における前記開口部81の内径寸法は、前記吸上芯19を所定数挿入できる大きさに設定されている。これにより、当該開口部81には、所定数の吸上芯19,・・・を挿入できるように構成されており、挿入される各吸上芯19の外形寸法にバラツキが生じた場合であっても、前記被保持体15が弾性変形することで、前記吸上芯19,・・・の挿通を許容できるように構成されている。
【0057】
この被保持体15の中心線101に平行する平行線102を想定した際に、該平行線102に対する前記上部傾斜面83の傾斜角度αは、当該平行線102に対する前記下部傾斜面85の傾斜角度βより小さい角度に設定されており、前記細挟部91から前記上面82までの寸法は、当該細挟部91から前記下面84までの寸法より長くなるように設定されている。
【0058】
前記キャップ16の外周部には、図2及び図3に示したように、当該キャップ16を覆い隠すように前記装飾カバー17が取り付けられており、該装飾カバー17は、プラスチック製の前記キャップ16と異なる素材である天然木によって形成されている。
【0059】
この装飾カバー17は、前記キャップ16の前記筒部51に外嵌した状態で固定された円筒状の側面111と、該側面111の天面を形成する天部112とによって構成されており、前記側面111は、その外形寸法が前記天部112側へ向かうに従って大きくなるように設定されている。
【0060】
該天部112の中央部には、連通穴121が開設されており、該連通穴121は、前記キャップ16の円形穴53と、前記被保持体15の前記開口部81と、前記内キャップ14を外した状態の前記口部13とを介して、前記容器体12内に連通するように構成されている。
【0061】
この連通穴121は、下方へ向かうに従って内径寸法が小さくなるテーパー状に形成されており、当該連通穴121の内側には、前記保護カバー18が取り付けられている。該保護カバー18は、プラスチックによって形成されており、前記連通穴121の内側面に沿って延在するテーパー筒状のテーパ部132と、該テーパ部132の下端より側方に延出した下縁鍔部133とによって構成されている。
【0062】
これにより、前記連通穴121の内側に前記保護カバー18を取り付けた状態において、前記テーパ部132が前記連通穴121の内側面に沿って延在するとともに、前記下縁鍔部133が前記連通穴121下端の開口縁部と係合することで当該保護カバー18の離脱を防止できるように構成されている。
【0063】
前記装飾カバー17と前記キャップ16との間には隙間141が形成されており、前記装飾カバー17に設けられた前記連通穴121と、前記キャップ16に設けられた前記円形穴53と、該円形穴53を前記本体部71が挿通した前記被保持体15の前記開口部81と、前記容器体12の前記口部13とは、直線上に配置されるように構成されている。
【0064】
これにより、前記容器体12の前記口部13と、前記被保持体15の前記開口部81と、前記キャップ16の前記円形穴53と、前記装飾カバー17及び前記キャップ16間に形成された前記隙間141と、前記装飾カバー17の前記連通穴121とによって、前記容器体12の内部Iを外部Oに連通する連通部151が構成されており、複数の前記吸上芯19,・・・を前記連通部151より挿入することで、当該吸上芯19,・・・を前記被保持体15の前記開口部81を介して前記容器体12内に挿入できるように構成されている。
【0065】
前記各吸上芯19,・・・は、円柱長尺状の葦で構成されており、木製の前記装飾カバー17と同系色で構成されている。これにより、前記装飾カバー17が前記葦と異なる色のプラスチックで形成された場合と比較して、デザイン性の向上が図られている。
【0066】
葦で構成された前記吸上芯19,・・・は、液体吸上力を備え、前記各吸上芯19,・・・の基端部を前記液状薬剤11に浸した状態で、当該液状薬剤11を先端まで吸い上げられるように構成されている。この吸上芯19,・・・の長さ寸法は、前記容器体12の前記底面21から前記装飾カバー17の前記天部112までの高さ寸法より十分長い寸法に設定されており、当該吸上芯19,・・・を前記容器体12に挿入し、その基端を前記底面21に接触させた状態において、その先端部が前記装飾カバー17の前記天部112より上方へ延出するように構成されている。
【0067】
これにより、所定数の吸上芯19,・・・を、前記装飾カバー17の前記連通穴121より前記容器体12内に挿入するとともに、その基端部を前記容器体12内の前記液状薬剤11に浸けることによって、該液状薬剤11を前記各吸上芯19,・・・で吸い上げて、前記容器体12より延出した前記各吸上芯19,・・・の先端部及び周囲から揮散できるように構成されている。
【0068】
このとき、前記吸上芯19,・・・が、木製の前記装飾カバー17の前記連通穴121の内縁に接することがあるが、該連通穴121の内側には、プラスチック製の前記保護カバー18が取り付けられており、前記連通穴121の内側面は、前記保護カバー18の前記テーパ部132で覆われている。このため、前記吸上芯19,・・・と前記装飾カバー17との直接接触を防止することができ、前記吸上芯19,・・・で吸い上げられた前記液状薬剤11が木製の前記装飾カバー17に染みこむ現象を防止することができる。
【0069】
以上の構成にかかる本実施の形態において、複数の吸上芯19,・・・が挿入される被保持体15の開口部81の外周部は、該開口部81から上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面83が形成されており、複数の吸上芯19,・・・を束ねて前記開口部81に挿入する際に、外側に配置された吸上芯19,・・・が前記開口部81外周部の前記上部傾斜面83に干渉した場合であっても、これらの吸上芯19,・・・を、前記上部傾斜面83に沿って前記開口部81へ案内することができる。
【0070】
このため、複数の吸上芯19,・・・を束ねた状態で大まかに前記開口部81に合わせてセットするだけで、該開口部81に位置した吸上芯19,・・・を直接、また前記上部傾斜面83に当接した吸上芯19,・・・にあっては当該上部傾斜面83でガイドすることにより、前記開口部81に挿入することができる。
【0071】
特に、本実施の形態のように外側の装飾カバー17の挿通穴121から離れた位置に前記開口部81が存在する場合であっても、当該開口部81へ吸上芯19,・・・の挿入を容易に行うことができる。
【0072】
そして、前記上部傾斜面83に当接した前記吸上芯19,・・・を前記開口部81に案内できることから、前記開口部81の開口面積を、所定数の吸上芯19,・・・を挿入可能な大きさまで小さくすることができる。このため、前記開口部81への前記吸上芯19,・・・の挿入容易性を損なうことなく、前記開口部81の開口面積を最小限に抑えることができる。
【0073】
これにより、転倒時に前記開口部81からこぼれ出る液状薬剤11の流出量を抑えることができ、前記容器体12より延出した前記吸上芯19,・・・に手などを引っ掛けて転倒させてしまった場合であっても、当該容器体12をすぐに起立させることによって、収容された液状薬剤11の漏れを防止することができる。
【0074】
したがって、前記吸上芯19,・・・の挿入を容易としつつ、転倒時での液状薬剤11の不用意なこぼれを抑制することができる。
【0075】
ここで、前記装飾カバー17と前記被保持体15との間には、隙間141が形成されており、前記開口部81から前記液状薬剤11が少しでも漏れることがあった場合には、この隙間141に保持することができる。
【0076】
このとき、前記装飾カバー17は、厚手の天然木で形成されており、前記隙間141に漏れた前記液状薬剤11を、その内側面から吸収することができる。これにより、前記液状薬剤11の外部への漏れを確実に防止することができる。
【0077】
なお、前記装飾カバー17は、厚肉に形成されているため、吸収した液状薬剤11が当該装飾カバー17の外周面に表出することはない。
【0078】
そして、前記開口部81の外周部には、該開口部81へ向かうに従って下方に傾斜した上部傾斜面83が形成されており、前記開口部81に挿入された複数の吸上芯19,・・・は、前記上部傾斜面83側への傾倒が許容され、外側へ傾斜することができる。
【0079】
これにより、前記開口部81に挿入された複数の吸上芯19,・・・を放射状に延出することができ、各吸上芯19,・・・が延出した当該揮散装置1の美観を高めることができる。そして、前記吸上芯19,・・・を放射状に延出することで、前記液状薬剤11の揮散量を拡大することができる。
【0080】
このとき、図5の(a)に示したように、前記容器体12が水平方向に倒れた場合、前記開口部81を挿通した前記吸上芯19は、前記細挟部91の頂点を境とした前記容器体12内側の部位が前記下部傾斜面85の上部側に密接する一方、前記容器体12外側の部位が前記上部傾斜面83の下部側に密接することとなる。
【0081】
すると、当該吸上芯19は、前記開口部81をさらに閉鎖する効果を発揮し、当該開口部81からの前記液状薬剤11の漏れ防止効果を高めることができる。
【0082】
また、図5の(b)に示したように、前記容器体12の口部13が下方へ向けて傾斜した状態で転倒した場合、前記開口部81を挿通した前記吸上芯19は、前記細挟部91の頂点を境として、前記容器体12内側の部位が前記下部傾斜面85の下部側に密接する一方、前記容器体12外側の部位が前記上部傾斜面83の上部側に密接することとなる。
【0083】
これによっても、当該吸上芯19は、前記開口部81をさらに閉鎖する効果を発揮し、当該開口部81からの前記液状薬剤11の漏れ防止効果を高めることができる。
【0084】
このようにして、転倒時における前記液状薬剤11の漏れを抑制することができる。
【0085】
また、前記開口部81の外周部における下部側には下方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜した下部傾斜面85が形成されており、下方へ向かうに従って拡開する拡開形状を構成されている。
【0086】
このため、前記開口部81に挿入された複数の吸上芯19,・・・を、前記上部傾斜面83に沿って傾倒した状態であっても、前記下部傾斜面85への干渉を防止することができる。
【0087】
これにより、前記吸上芯19,・・・の傾倒角を大きくすることができ、広範囲に広がる放射形状を形成することができ、前記液状薬剤11の揮散量をさらに拡大することができる。
【0088】
そして、この揮散装置1は、前記容器体12の口部13に装着されるキャップ16と、該キャップ16と前記口部13との間に保持される被保持体15とを備えており、当該被保持体15に、前記容器体12内部Iと外部Oとを連通する前記開口部81が設定されている。
【0089】
また、この被保持体15の外周面には、外方へ延出する鍔部74が形成されており、前記キャップ16には、前記口部13の外周部を覆う筒部51と、該筒部51の上端より内側に延出したフランジ部52とが形成されている。
【0090】
このため、前記キャップ16を前記口部13に装着することで、当該キャップ16のフランジ部52と前記口部13の端面との間に、前記被保持体15の前記鍔部74を挟持した状態で、当該被保持体15を前記容器体12に保持することができる。
【0091】
このとき、前記被保持体15には、前記開口部81が設けられており、該開口部81の外周部に前述した傾斜面83,85が設定される。
【0092】
このため、この被保持体15を、液状薬剤11を収容した容器体12の口部13に装着するだけで、前述した構成を形成することができ、前述した作用を奏することができる。
【0093】
一方、前記キャップ16は、前記液状薬剤11の浸透を防止するプラスチックで構成されており、外周部を構成する前記装飾カバー17は、天然木で形成されている。これにより、当該揮散装置1のデザイン性の向上を図ることができる。
【0094】
このとき、デザイン性向上のため前記キャップ16自体を木製とすることが考えられる。この場合、前記吸上芯19,・・・等で吸い上げられた液状薬剤11が木製のキャップ16の付着し当該キャップ16に染みこむ恐れがあり、この場合、キャップ16表面にシミ等が表出する恐れがある。
【0095】
しかし、本実施の形態のように、前記キャップ16と前記装飾カバー17とを異なる素材で構成することで、このような不具合を防止しつつ、デザイン性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 揮散装置
11 液状薬剤
12 容器体
13 口部
15 被保持体
16 キャップ
17 装飾カバー
19 吸上芯
51 筒部
52 フランジ部
74 鍔部
81 開口部
83 上部傾斜面
85 下部傾斜面
112 天部
121 連通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸上芯を容器体内に連通した開口部に挿入し、前記容器体内の液状薬剤を前記各吸上芯で吸い上げて前記容器体より延出した前記各吸上芯の部位から揮散する揮散装置において、
前記開口部の外周部を、該開口部から上方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する上部傾斜面で構成し、上方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成したことを特徴とする揮散装置。
【請求項2】
前記開口部の外周部を、該開口部から下方へ向かうに従って外周方向に向けて傾斜する下部傾斜面で構成し、下方へ向かうに従って拡開する拡開形状に形成したことを特徴とする請求項1記載の揮散装置。
【請求項3】
前記容器体の口部に装着されるキャップと、該キャップと前記口部との間に保持される被保持体とを設け、
該被保持体に前記容器体内部と外部とを連通する前記開口部を設定するとともに、当該被保持体の外周面より外方へ延出する鍔部を設ける一方、
前記キャップに、前記口部の外周部を覆う筒部と、該筒部の上端より内側に延出したフランジ部とを形成し、当該キャップを前記口部に装着した状態で前記被保持体の前記鍔部を前記口部の端面と前記キャップの前記フランジ部とで挟持可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の揮散装置。
【請求項4】
前記キャップに外嵌し当該キャップを覆う装飾カバーを前記キャップと異なる素材で構成し、該装飾カバーの天部に、前記被保持体の前記開口部及び前記口部を介して前記容器体内連通する連通穴を設けたことを特徴とする請求項3記載の揮散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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