説明

揮発性の液体液滴計量分配デバイス

【課題】液滴のスプレーとして液体を放出する揮発性液滴計量分配デバイスを提供すること。
【解決手段】本発明が提供するデバイスは、液体を含む空間(5)を有する第1の基板(1)であって、デバイスから液体を放出する液体吐出手段(4)を有し、空間(5)は、液体が、液体吐出手段(4)を横断することによってデバイスの空間(5)から出ることが可能となるように、液体吐出手段(4)の近くに配置されている、第1の基板(1)と、第1の基板(1)を受容および支持する支持部を含む第2の基板(3)と、液体が振動を受け、液体吐出手段(4)と接触することにより、液滴スプレーとして該デバイスを出るように、該空間(5)内に存在する液体を作動させるように構成された振動要素(6)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、液滴計量分配デバイスに関する。このような液滴計量分配デバイスは、時々、エアロゾル発生器、ネブライザーなどとも呼ばれる。このような液滴計量分配デバイスは、通常、支持部分上にノズル本体を収容し、特に、液体液滴スプレーとして、またはノズル本体のノズルを通してデバイスから液体物質を計量分配する液体液滴スプレーデバイスのノズル本体を収容する。このような液滴計量分配デバイスは、さらに、一般的に、液体を振動させ、加速させ、そして液滴として排出させる振動要素ベースのアクチュエータから構成される。このような液滴計量分配デバイスは、さらに、例えば、液体空間、リザーバへの液体フィードおよび流体インターフェース、リザーバ、ならびに振動要素と対応する電子回路との間の電気接続などの要素から構成される。上記の要素は、前述の支持部分、さらなる支持部分に収容され得るか、またはこれらは多くの支持部分に収容され得る。上記1つ以上の支持部分および要素は、アクチュエータおよび振動要素と共に製造され、組み立てられる必要がある。上記の液体は、例えば、周囲芳香剤(ambient fragrance)、香水、殺虫剤、液体薬剤調合物、水性ベースの液体、および引火性または可燃性液体であり得る。
【0002】
このようなノズル本体は、時々、アパーチャプレート、ノズルアレイ、計量アパーチャ、オリフィス板、振動可能膜部材、計量アパーチャ配列、エアロゾル発生器などとも呼ばれる。これらの用語は、従って、本文書全体を通して交換可能であるとして誓いされるべきである。
【0003】
実際、このようなノズル本体および液滴スプレーデバイスは、周知である。例えば、本出願人名義でのEP 1 129 741を参照されたい。この文書は、メイン本体とノズル本体とから形成される上部基板を有する液体液滴デバイスを記載している。ノズル本体は、液体液滴スプレーデバイス内に収容される液体物質がデバイスから、この場合には液滴のスプレーとして、出ることを可能にする液体液滴吐出手段のノズルアレイを収容する。ノズル本体 は、従来、シリコン、ポリマー、SU−8などの樹脂、ニッケル、金属合金、パリレン、デュロプラストまたは任意の適切な材料、あるいはこれらの材料および吐出ノズルアレイの十分に正確でかつ費用対効果の良い製造を可能にする他の材料の組み合わせから作られたノズルアレイで形成される。周知のシリコン、金属およびSU−8樹脂の微細機械加工方法以外に、上記ノズルアレイはまた、シリコン微細機械加工、他の公知の複製方法(例えば、LIGA(リソグラフィ−電解メッキ形成)、熱エンボス加工、UVプリンティング、ポリマーおよび粉末微量注入形成、マイクロEDM)、同様の先進的な3D微細機械加工方法、ならびに樹脂、シリコン、金属およびプラスチックのフォトリソグラフィおよび微細構造形成(micro structuring)の方法の適切な組み合わせによっても製造され得る。
【0004】
本出願人名義の特許文献1およびEP 1 273 355もまた、そのような微細機械加工方法を開示している。
【0005】
本出願人名義のPCT/EP2006/005059は、ノズル本体、支持部分および振動要素を含むアクチュエータを含んでいる液滴スプレーデバイスと、そのようなデバイスの一般的な組み立て方法とを示している。
【0006】
本出願人名義の特許文献2およびEP−A−1 604 701もまた、液滴スプレーデバイスを製造し、効率的かつ対費用効果の良い方法で組み立てる必要のある、様々なデバイスの構成の例を示している。
【0007】
別のデバイスは、特許文献3から公知であり、この特許文献は、圧電エアロゾル計量分配装置を開示しており、この圧電エアロゾル計量分配装置は、一風変わった取り込み/吐出手段と、単一のノズルの近くのノズル領域を有するノズルチャンバと、ノズルチャンバに相互接続されたより大きなリサーバとを有する。ノズル領域は、制限チャネルを介して重力で供給される。さらに、圧電ベンダー(bender)が、流体をリサーバ領域からノズル領域へと、そして単一のノズルを介してノズル領域から駆動することにより、エアロゾルスプレーを形成するために用いられる。圧電ベンダーを有するそのような構成は、流体の解放を制御することができない。なぜならば、流体はまず、リサーバ領域から汲み上げられ、その後、1つの流れとその他の流れとが干渉せずに、ノズルから排出されなければならないからである。さらに、圧電ベンダーの使用中の正確な制御は、ほぼ不可能である。
【0008】
引用文献から分かるように、それら全ては、主に、それぞれの液滴スプレーデバイスの特定のコンポーネントを製造する特定の局面にアプローチするが、工業的製造やコンポーネントおよびデバイスの組み立てのための、全デバイスのアプローチを取ることができない。実際、これらのデバイスおよびその他のデバイスは、マルチマテリアルエレクトロメカニカルシステムの範疇に含まれる。一般に、そのようなデバイスの構成、製造および組み立て(いくつかの主な基準または問題を支配し、さらには考え得る最も低いコストを達成することが要求される)は、矛盾する効果および条件を提示し得る。
【0009】
上記の効果および条件は、まず、毛管現象の供給を提供すること、あるいは、1mbar(100 Pa)またはその何分の一より十分小さい非常に低い圧力での供給を意味する。なんらかの液体に対する毛管現象の供給は、液体チャネル、チャンバおよびその他の流体処理構造または流体処理特徴であって、微小な泡が捉えられることさえも防ぐために、寸法が数百ミクロンから100μm未満(しばしば、10〜50μm)で、湿潤表面が完全に均一で、滑らかであり、デッドスペース、コーナー、ポケットが存在しないものを意味する。液体の極めて薄い膜によって包囲された空気から成るこれらの泡は、非常に効果的に、毛管現象の供給をブロックし、ひいては、デバイスの機能をブロックする傾向がある。
【0010】
第2の問題は、振動要素(すなわち、圧電要素)によって伝達される超音波エネルギーの最も効率的な使用を提供するように、アクチュエータを組み立てることである。
【0011】
第3の問題は、様々な液体に対して保証される必要のある漏れ耐性(leak−tightness)である。漏れ耐性は、通常、リジッドな本体の構成と、そのコンポーネントの組み立てと、侵食する可能性のある溶媒に対するコンポーネントの長期の耐性を意味する。
【0012】
さらなる問題は、単純な最小の組み立て動作、信頼性のある組み立てステップを伴う、上述の考え得る最も低いコストの構成である。
【0013】
さらなる問題は、使用後に全てのパーツを捨てることなく1つのパーツのみを捨て、その他のパーツは例えば洗浄後にさらなる使用のために保持するために、1回または数回の使用後に液滴スプレーデバイスを分解すること、または、定期的に洗浄のために一部のパーツを分解し、さらなる使用のためにそれらを再組み立てすることの必要性によって表現される。
【0014】
当業者は、これらの基準が、要件および効果において、非常に矛盾し得るものであるということを理解し得る。また、上述の従来技術のデバイスのどれもが、1つのデバイスまたはデバイスの族におけるこれらの矛盾する基準をどのように達成するかについて開示していない。
【0015】
その他の従来技術のデバイスは、より詳細な一部の個別の問題領域に対処してきた。例えば、US6,926,208は、流体射出デバイスを開示しており、この流体射出デバイスは、先が細められた開口部を有する振動表面を有するアパーチャプレートと、振動表面への流体供給の様々な比較的複雑な組み合わせとを有する。ここでもまた、一般にこの明細書は、漏れ耐性、流体工学的な最適化および低コストの統合を提供する最終的なデバイスに、この特徴がどのようにして統合され得るのかに関しては、何も述べない。
【0016】
上述の問題を踏まえて、出願人は、上述の問題を克服する計量分配デバイス に関する、同時係属中の出願EP 07 002 190.2を出願した。
【0017】
この文献EP 07 002 190.2は、液滴のスプレーとして液体を放出する揮発性液体計量分配デバイスを開示している。圧電要素が、液体に作用し、圧電要素から液体への超音波の伝送によって、液体に振動を受けさせる。このデバイスは、図1に概略的に示されており、図1は、第1の基板1と第2の基板3とを含む計量分配デバイスの断面の詳細な図を示している。作動膜2が、第1の基板1と第2の基板3との間に配置されており、適切に取り付けられた振動要素6によって、作動させられ得る(すなわち、振動させられ得る)。
【0018】
第1の基板1には、空間5(例えば、窪んだ部分)が提供され、振動要素6から液体への超音波伝送を介して排出される液体を受容することを可能にする。この空間5は、液体で充填されると、含まれた液体を放出するための圧力チャンバをなす。第1の基板1は、液滴吐出手段4をさらに含み、この液滴吐出手段4は、底を通って液体が放出することを可能にするように適切に配置される。この液滴吐出手段4は、一般に、当該技術分野で周知なノズルアレイを有する多孔性の膜から構成されるスプレーヘッドである。
【0019】
しかしながら、出願人は、このデバイスが、超音波伝送の効率性に関する上述の問題に部分的に対処し、排出される液体を作動させるために圧電要素の効率性を改善することを可能にするに過ぎないことを発見した。振動要素6を作動させ、その後空間5内の液体を作動させるために、一部の伝送効率は、振動要素6から失われる。
【0020】
この超音波伝送が、さらに改善されたならば、電力消費の低減が達成され得、このことはバッテリー電源式のデバイスを用いるときに、特に重要なものとなる。
【0021】
また、このデバイスは、液体を含む第1の基板の空間5が、第1の基板内の窪んだ開口部として形成され得るという、さらなる問題を有する。これは、液体が空間5内に存在するときに、第1の基板が、第2の基板3から分離され得ない(なぜならば、液体が漏れてしまうから)ということを意味する。このことは、望ましくないアセンブリの制約につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第6,722,582号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2004/0263567号明細書
【特許文献3】米国特許第4,702,418号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の目的は、従来技術の文書によって提示された不便さを克服する革新的な液滴スプレーデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
従って、本発明は、これらの目的を効率的に、かつ比較的単純で安価な態様で得られ得る様々な実施形態において満足する革新的な計量分配デバイスの構築に関する。
【0025】
革新的な計量分配デバイスは添付の特許請求の範囲において規定される。
【0026】
本発明に従う革新的かつ発明的な計量分配デバイスのおかげで、様々な実施形態において、これらの目的を満足させる効率的なデバイスが、相対的に単純で安価な態様で得られ得る。
【0027】
本発明に従う、本計量分配デバイスの他の特徴および利点が、以下の説明を読むことにより明らかになり、この説明は、非制限的な例としてのみ与えられ、添付される図面を参照して言及される。
【0028】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
液滴のスプレーとして液体を放出する揮発性液滴計量分配デバイスであって、該デバイスは、
該液体を含む空間(5)を有する第1の基板(1)であって、該デバイスから液体を放出する液体吐出手段(4)を有し、該空間(5)は、該液体が、該液体吐出手段(4)を横断することによって該デバイスの該空間(5)から出ることが可能となるように、該液体吐出手段(4)の近くに配置されている、第1の基板(1)と、
該第1の基板(1)を受容および支持する支持部を含む第2の基板(3)と、
該液体が振動を受け、該液体吐出手段(4)と接触することにより、液滴スプレーとして該デバイスを出るように、該空間(5)内に存在する液体を作動させるように構成された振動要素(6)と
を備え、
該第1の基板の該液体吐出手段(4)は、複数の吐出ノズルを有する多孔性のノズル膜を含み、
該計量分配デバイスは、該振動要素(6)と該第1の基板(1)との間に配置された作動要素(12、22)をさらに含み、
密封要素(7)が、該空間(5)を密封するために、該作動要素(12、22)と該第1の基板(1)との間に配置され、
該作動要素(12、22)と該密封要素(7)とは、該振動要素(6)の振動によって生成された超音波エネルギーを該空間(5)内の液体に伝送するように構成されている、揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目2)
上記作動要素(12、22)は、上記振動要素(6)から上記密封要素(7)への効率的な超音波エネルギー伝送を可能にするように形状化および構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目3)
上記作動要素は、角形状(12)または階段形状である、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目4)
上記密封要素(7)は、上記空間(5)の底面を形成する上面(7a)を有し、該上面(7a)は、該表面(7a)から該空間(5)に延びる1つ以上の階段状の部分を有する、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目5)
上記空間(5)内に配置された挿入部(15)をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目6)
上記挿入部(15)は、ディスク形状であり、上記空間(5)の底面に実質的に対応する大きさである、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目7)
上記挿入部(15)は、上面(15a)を有し、該上面(15a)は、該表面から延びる1つ以上の階段状の部分を有する、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目8)
上記第1の基板(1)、上記液体吐出手段(4)、上記空間(5)および上記密封要素(7)は共に、上記計量分配デバイスの分離可能部分を形成する、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目9)
上記分離可能部分は、使い捨て可能である、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目10)
上記空間(5)は、排出される液体で予め充填され、上記分離可能部分は、使い捨て液体カートリッジを構成する、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
(項目11)
上記振動要素(6)は、圧電振動装置である、上記項目のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【0029】
(摘要)
液滴のスプレーとして液体を放出する揮発性液滴計量分配デバイスであって、デバイスは、液体を含む空間(5)を有する第1の基板(1)であって、デバイスから液体を放出する液体吐出手段(4)を有し、空間(5)は、液体が、液体吐出手段(4)を横断させることによってデバイスの空間(5)から出ることが可能となるように、液体吐出手段(4)の近くに配置されている、第1の基板(1)と、第1の基板(1)を受容および支持する支持部を含む第2の基板(3)と、液体が振動を受け、液体吐出手段(4)と接触することにより、液滴スプレーとしてデバイスを出るように、空間(5)内に存在する液体を作動させるように構成された振動要素(6)とを備え、第1の基板の液体吐出手段(4)は、複数の吐出ノズルを有する多孔性のノズル膜を含み、計量分配デバイスは、振動要素(6)と第1の基板(1)との間に配置された作動要素(12、22)をさらに含み、密封要素(7)が、空間(5)を密封するために、作動要素(12、22)と第1の基板(1)との間に配置され、作動要素(12、22)と密封要素(7)とは、振動要素(6)の振動によって生成された超音波エネルギーを空間(5)内の液体に伝送するように構成されている、揮発性液滴計量分配デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、前述された、従来の揮発性液体計量分配デバイスの概略的な断面図を示す。
【図2】図2は、第一の実施形態における本発明に従う計量分配デバイスの概略的な断面図を示す。
【図3】図3は、第二の実施形態における本発明に従う計量分配デバイスの概略的な断面図を示す。
【図4】図4は、本発明に従う計量分配デバイスの改良を示す。
【図5】図5は、本発明に従う計量分配デバイスのさらなる改良を示し、ここでは、排出される液体を収容する空間に挿入部が提供される。
【図6】図6は、本発明に従う計量分配デバイスの代替的な配列を示す。
【図7】図7は、本発明に従う計量分配デバイスの図6に示された代替的な配列の変形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、好適な実施形態の例が説明される。一般的に、本発明に従う、揮発性液体液滴計量分配デバイスは、一方が他方の上に据え付けられ、液体リザーバ(外部または内部にあり得る)から液体を受容するように配列される、上部パッケージングとも呼ばれる第一の基板と、下部パッケージングとも呼ばれる第二の基板とを備える。組み立てられたデバイスはまた、そのデバイスがアトマイズする、すなわちリザーバから受容された液体の液体液滴スプレーを生じさせるように配列されている場合には、アトマイザとも呼ばれる。
【0032】
図2は、第一の実施形態における、本発明に従う計量分配デバイスの断面で切断した詳細な図を示す。計量分配デバイスDは、第一の基板1と第2の基板3とを備える。第一の基板1は、排出される液体を収容する空間5を有し、その空間5から、従ってデバイスから液体を排出する液体吐出手段4をさらに有する。空間5は、液体吐出手段4の近くに配列され、その結果、液体が、液体吐出手段4を横に動かすことによって、デバイスの空間5から出得る。上述の同時係属出願EP 07 002 190.2に開示される従来のデバイスと同様に、液体吐出手段4は、複数の吐出ノズルを有する有孔ノズル膜を含み得る。第2
の基板3は、第1の基板1を受容するための支持部を含み得る。
【0033】
作動要素または膜12が、第1の基板1と第2の基板3との間に配置され、振動要素6によって、作動され得る(すなわち、振動される)。さらなる要素である密封膜7が、作動膜12と第1の基板1および密封空間5との間に提供される。
【0034】
振動要素6は、作動膜12に固定され、作動膜12そのものは、密封膜7に接触するように配置される。したがって、振動要素6が活性化されると、振動要素6によって生成された超音波エネルギーは、作動膜12に伝送され、密封膜7に伝送され、その後空間5内の液体に伝送され、その結果、液体が振動を受け、液滴のスプレーとして排出されるようにする。
【0035】
第2の基板3が、支持部分9にさらに取り付けられ、支持部分9は、作動膜12と密封膜7との間での正確な接触を保証するために、バネ8を含み得る。
【0036】
実際、これらの膜は、接触関係で配置されるが、必ずしも互いに固定されて配置される必要はない。
【0037】
図2に示されているように、第1の基板1は、概して、上述の同時係属中の出願EP 07 002 190.2に記載されているものと同一である。さらに、第2の基板3もまた、概して、上述の同時係属中の出願EP 07 002 190.2に記載されているものと同一である。
【0038】
実際、本出願の計量分配デバイスと同時係属中の出願の計量分配デバイスとの間の主な違いは、中間の密封膜7の使用にある。
【0039】
出願人は、そのような中間の密封膜7を用いたときには、予想され得ることに反して、超音波エネルギーが空間5内の液体により効率的に伝送され得ることを発見した。
【0040】
特に、この配置において、作動膜12は、それを振動要素6とペアにすることにより、効率的な伝送を可能にするように最適化され得る。まず第1に、作動膜12は、振動要素6に固定して取り付けられ得る。さらに、作動膜12は、振動要素との良好な接触を保証し、両方の要素が一緒になった超音波の完全に最適化された伝送を可能にするように、十分厚く構成され得る。これらの要素の正確なペアリングを補正することは、当業者であれば容易に理解され得るインピーダンス整合技術を用いて達成され得る。
【0041】
別個の密封膜7(非常に薄い膜として選択され得、図1に示されている従来技術のデバイスの作動膜2よりも薄くあり得る)をさらに用いることにより、作動膜12/振動要素6のペアから空間5内の液体へのより効率的な超音波エネルギーの伝送が可能となる。
【0042】
図3は、第2の実施形態における、本発明にしたがう、計量分配デバイスの断面図の詳細な図を示す。図2に示されているのと同じ要素は、同じ参照番号によって識別されるので、同じ要素に関するさらなる記載は、ここでは提供されない。
【0043】
上述の第1の実施形態と比較して、第2の実施形態における唯一の違いは、作動要素22に関係した違いであり、ここでは作動要素22は、角形状(horn−shape)を有しており、密封膜7に向けて細くなっている。作動膜22は、振動要素に固定して取り付けられ、このペアは、生成された超音波エネルギーの最適な使用を可能にするように、計量分配デバイスの吐出手段4と整列されるように配置される。
【0044】
したがって、第1の実施形態と第2の実施形態との間の主な違いは、作動要素の形状にあることが、分かるであろう。
【0045】
実際、作動膜22と第1の基板1との間で追加的な膜(すなわち、密封膜7)を用いることにより、超音波エネルギーの伝送に関する限り、作動膜22と振動要素6とから構成されるペアの設計を最適化することが可能になるということが知られた。
【0046】
一般に、出願人は、超音波伝送を最適化するように作動膜が構成されるように作動膜を設計することにより、より効率的な計量分配デバイスが得られ、この計量分配デバイスはより少ない電力を使用することを発見した。
【0047】
作動膜のそのような構成は、上の図2(略平坦形状)および図3(略角形状)に示されているが、勿論、振動要素との正確なペアリングによって超音波エネルギーの効率的な伝送を可能にする異なる形状(例えば、階段形状)を有していてもよい。
【0048】
さらに、中間密封部材7を使用のお陰で、そしてそれを第1の基板1に固定して取り付けることによって密封空間5を包囲することにより、第1の基板1、密封膜7および吐出手段4から構成される分離可能な部分を得ることが可能になる。実際、そのような分離可能な部分は、自己内蔵型(self−contained)であり、空間5内に予め充填された液体を含んでも含まなくてもよく、密封膜8が存在していることが理由で、液体は一切漏れ出ない。
【0049】
有利にも、この自己内蔵型部分は、使い捨て可能なものとして設計され得るので、液体の単純な置き換えを可能にしたり、時間の経過につれて有孔膜内でノズルが詰まることを回避したりする。逆に、第2の基板、作動膜および振動要素は、使い捨て可能ではない部分として設計され得る。
【0050】
変形例において、外部のリサーバ(図示されず)が、公知な、そして同時係属中のEP 07 002 190.2に記載されている方法で、リサーバから空間5に液体を供給するために提供され得る。適切な毛管現象液体供給手段(capillary liquid feeding means;図示されず)が、当業者には周知な外部のリサーバから空間5に液体を伝送するために要求される。空間5は、所定量(例えば、1投与量)の液体を受容するように設計され得る。しかしながら、空間5は代わりに、内部のリサーバとして機能することによって外部のリサーバの必要性を排除するように設計され得る。
【0051】
そのような方法で、分離可能な使い捨て可能なカートリッジが得られ、そのようなカートリッジは、第2の基板3に嵌合されることにより、密封膜7と作動要素12または22との間の接触を保証する。
【0052】
本出願の計量分配デバイスのさらなる改善において、出願人は、超音波エネルギーの伝送が、空間5の内部空間の適応によって、さらに最適化され得ることを発見した。
【0053】
実際、図4に示されているように、密封膜7の構造化された(structured)上面7aを提供することにより、そのような構造化された上面7aは、今度は空間5の底面を構成し、さらに改善された超音波エネルギーの伝送が得られる。実際、図面に示されているように、1つ以上の隆起または階段が、この効果のために、この上面7a上に提供され得る。
【0054】
そのような構造化は、空間の高さを僅かによりコンパクトなものとし、その結果、空間5の内部における毛管現象を促進し、液体が吐出手段4により容易に到達することを可能にする。
【0055】
さらに、構造化された上面を用いる代わりに、または、そのような構造化された上面7aとの組み合わせで、図5に示されているように、挿入部15が空間5内に提供され得る。
【0056】
そのような挿入部15は、空間5内に存在する液体を吸収する軟らかい多孔性媒体であり得る。これはまた、薄い箔またはディスク形状の要素でもあり得る。ここでもまた、そのような挿入部は、空間5内での改善された毛管現象を可能にする。挿入部15は、それ自身が、密封膜7の上面7aに類似した構造化された表面15aを有し得る。
【0057】
代替的な構成において、図6に示されているように、作動膜32の上面32aは、密封膜7の上面7aに関して上述されたのと同じ方法で、毛管現象を改善するように構成され得る。この代替的な構成においては、密封膜は用いられない。代わりに、図1に示された従来の配置と同様に、作動膜32が第1の基板1に直接的に固定される。さらに、この作動膜32は、図2および3の作動膜12または22と同じ方法で、形状化および構造化され得る。すなわち、この作動膜32もまた、図2および3において示された実施形態に関して既に上述されたのと類似の方法で、振動要素6から空間5内の液体への超音波エネルギーの伝送を最適化するために、角形状または階段形状を有したり、別の適切な形状にされたりし得る。
【0058】
図7にさらに示されているように、図6の代替的な実施形態において、作動膜32の構造化された上面32aの代わりに、挿入部15がまた用いられ得る。そのような挿入部は、図5に示されたものと同一であり得、したがって、空間5の体積を僅かに減少させることにより、毛管現象を促進することを可能にする。
【0059】
本発明にしたがう計量分配デバイスの上述の実施形態のお陰で、超音波伝送が改善され得、ひいては、計量分配デバイスの流体工学的な性質を改善することにつながる。毛管現象の特性が、さらに最適化され得、流体工学的な性質におけるさらなる増大が得られるだろう。理解され得るように、このことは、同時係属中の出願EP 07 002 190.2に開示されているような従来のデバイスと比較して同等量の液体を放出するために、より少ない超音波伝送を必要とする、より効率的なデバイスにつながる。よって、デバイスを動作させるためにより少ないエネルギーが必要とされ、勿論このことは、バッテリー電源の液滴計量分配デバイスのみならず、一般的な液滴計量分配デバイスにおける重要な局面である。
【0060】
ここでは、本発明の好適な実施形態が記載されてきたが、当業者は、その概念を組み込んだその他の実施形態が用いられ得ることを理解し得る。したがって、本発明は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の権利範囲によって限定されるべきであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0061】
1 第1の基板
3 第2の基板
4 液体吐出手段
5 空間
6 振動要素
7 中間の密封膜
8 バネ
9 支持部分
12 作動膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴のスプレーとして液体を放出する揮発性液滴計量分配デバイスであって、該デバイスは、
該液体を含む空間(5)を有する第1の基板(1)であって、該デバイスから液体を放出する液体吐出手段(4)を有し、該空間(5)は、該液体が、該液体吐出手段(4)を横断することによって該デバイスの該空間(5)から出ることが可能となるように、該液体吐出手段(4)の近くに配置されている、第1の基板(1)と、
該第1の基板(1)を受容および支持する支持部を含む第2の基板(3)と、
該液体が振動を受け、該液体吐出手段(4)と接触することにより、液滴スプレーとして該デバイスを出るように、該空間(5)内に存在する液体を作動させるように構成された振動要素(6)と
を備え、
該第1の基板の該液体吐出手段(4)は、複数の吐出ノズルを有する多孔性のノズル膜を含み、
該計量分配デバイスは、該振動要素(6)と該第1の基板(1)との間に配置された作動要素(12、22)をさらに含み、
密封要素(7)が、該空間(5)を密封するために、該作動要素(12、22)と該第1の基板(1)との間に配置され、
該作動要素(12、22)と該密封要素(7)とは、該振動要素(6)の振動によって生成された超音波エネルギーを該空間(5)内の液体に伝送するように構成されている、揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項2】
前記作動要素(12、22)は、前記振動要素(6)から前記密封要素(7)への効率的な超音波エネルギー伝送を可能にするように形状化および構成されている、請求項1に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項3】
前記作動要素は、角形状(12)または階段形状である、請求項2に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項4】
前記密封要素(7)は、前記空間(5)の底面を形成する上面(7a)を有し、該上面(7a)は、該表面(7a)から該空間(5)に延びる1つ以上の階段状の部分を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項5】
前記空間(5)内に配置された挿入部(15)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項6】
前記挿入部(15)は、ディスク形状であり、前記空間(5)の底面に実質的に対応する大きさである、請求項5に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項7】
前記挿入部(15)は、上面(15a)を有し、該上面(15a)は、該表面から延びる1つ以上の階段状の部分を有する、請求項5または6に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項8】
前記第1の基板(1)、前記液体吐出手段(4)、前記空間(5)および前記密封要素(7)は共に、前記計量分配デバイスの分離可能部分を形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項9】
前記分離可能部分は、使い捨て可能である、請求項8に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項10】
前記空間(5)は、排出される液体で予め充填され、前記分離可能部分は、使い捨て液体カートリッジを構成する、請求項8または9に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。
【請求項11】
前記振動要素(6)は、圧電振動装置である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の揮発性液滴計量分配デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−291785(P2009−291785A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133552(P2009−133552)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(509072364)エーペー システムズ エスアー, マイクロフロー ディビジョン (3)
【Fターム(参考)】