説明

揮発性油性組成物

本発明は、50〜100重量%のパラフィン混合物、および0〜50重量%の少なくとも1種の非揮発性油を含む、好ましくはそれらからなる揮発性油性組成物に関する。また、本発明は、上記の油性組成物を含有する化粧品組成物、特に、皮膚、唇、まつげ、および/または爪のメイクアップ、および/またはケア、および/または保護のための、前記化粧品組成物の化粧品としての使用、および発汗抑制剤/デオドラント組成物における使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、パラフィン混合物および任意に少なくとも1種の非揮発性油を含む、好ましくはそれらからなる揮発性油性組成物に関する。また、本発明は、上記の油性組成物を含有する化粧品組成物、および前記化粧品組成物の化粧品での使用、特に皮膚、唇、まつげ、および/または爪のメイクアップ、および/またはケアでの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
揮発性シリコーン、例えばシクロメチコンは、長い間無害な皮膚軟化剤および皮膚用の溶媒として考えられてきたが(特に、International Journal of Toxicology、1991年、第10巻、第1号、9〜19頁を参照)、最近、それらの環境に対する、またはヒトの健康に対する潜在的な悪影響に関して懸念があがってきた(特に、オクタメチルシクロテトラシロキサンに関して)。
【0003】
従って、揮発性シリコーンに代わる満足な代替物、すなわち、化粧品配合物中で類似する揮発特性および類似する挙動を、特にそれらの粘性に関して有し、ならびに揮発性シリコーンによって提供される感覚的特性、特に皮膚への塗布性および得られた膜の柔らかく、「ドライ」であり、および油っぽくない質感に関して同等の感覚的特性を有する代替物を同定する研究が行われた。
【0004】
このように米国特許出願第2005/0079986号は、8〜40個の炭素原子を含有し、好ましくは分岐鎖および飽和アルカンと、直鎖または分岐鎖ジアルキルカーボネートとの混合物を含む油性組成物を提案している。同様に、米国特許出願第2004/0241200号は、五量体(D5)および四量体(D4)シクロメチコンの代替物として、イソパラフィン(例えば、イソドデカン)をネオペンチルグリコールポリエステル(例えば、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート)と組み合わせて使用することを提案している。この混合物は、特にブランド名:Lexfeel(登録商標)D4およびD5でINOLEXによって市販されている。また、PRESPERSE LLCはブランド名:SiClone(登録商標)SR−5でシクロメチコンの代替物として、C13〜C16およびC12〜C14のイソパラフィンと、C13〜C15のアルカンとの混合物を提供している。最後に、他の試みとしては再生可能な供給源からの原材料の提供がある。これには、C18の脂肪酸異性体混合物による2−オクタノールのエステル化で生じるカプリリルイソステアレートの例があるが(米国特許第6,126,951号公報)、国際公開第2008/155059号公報に開示された直鎖パラフィン混合物の例もある。この混合物は、炭素原子数が少なくとも2個異なる、少なくとも2種類の炭化水素を含む。これらの炭化水素は、好ましくはC11〜C21の奇数の炭素原子数を有するもの、最も好ましくはC11およびC13の炭化水素の混合物から選択される。他の直鎖パラフィンは、商品名:Linpar(登録商標)10−13でSASOLによって販売されているもの(それらはC〜C14およびそれよりも多い炭素数の直鎖炭化水素の混合物を含む)、および商品名:Lilac(登録商標)でSONNEBORNによって販売されているもの(それらはC14〜C22のアルカン混合物を含む)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シクロメチコンの物理化学的および感覚的特性と非常に類似した特性を有し、結果として配合物、特に化粧品配合物においてシクロメチコンを代替することができる油性組成物に対する要求が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
全く予想すらしなかったことに、当出願人は、先行技術での代替物、例えば、イソパラフィンおよび脂肪酸エステルとは異なる、直鎖および非分岐鎖構造を有するパラフィンをベースとする油性組成物がこの要求を満たすことを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は:
(a)(i)70〜99重量%の、C、C10、C12のパラフィンおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の直鎖パラフィン、
(ii)1〜30重量%の少なくとも1種のC14〜C24の直鎖パラフィン、
からなる50〜100重量%の直鎖パラフィンの混合物、および
(b)0〜50重量%の少なくとも1種の非揮発性油、
を含む、ならびに好ましくは(a)および(b)からなる、揮発性油性組成物に関する。
【0008】
初めに、明細書の記載および後に続く請求項において、表現「の間(between)」とは、引用された限界を含むものとして理解されなければならないことに注意しなければならない。
【0009】
実際に、当出願人は、上記の原材料の組合せがシクロメチコンと同様な範囲内の揮発性、すなわち、環境温度(20℃)および大気圧で、0.001〜300mmHg、好ましくは0.01〜10mmHgの領域の蒸気圧を有しているため、ならびに皮膚軟化性を有しおよび皮膚に容易に塗布できるために、この組合せを含有する組成物が皮膚の外層を浸透した後も、シクロメチコンに類似した皮膚に柔らかく油っぽくない手触り、および低減された光沢を有する膜を残すことを実証した。さらに有利には、この油性組成物は、100℃未満、好ましくは50〜95℃の間、例えば70〜90℃の間、より好ましくは75〜85℃の間、さらに好ましくは75〜80℃の間の引火点(ASTM D93標準の通りに測定)、および/または40℃で5cSt未満、または1〜3cStの間の動粘性を有する。
【0010】
従って、この原材料の組合せは、化粧品組成物において従来使用された揮発性シリコーン、より具体的には、シクロペンタシロキサンおよびそれを含有する混合物[例えば、DOW CORNINGによって販売されているDC345(登録商標)]を部分的に、または完全に代替することができる。
【0011】
本発明の油性組成物に含まれるパラフィン(または脂肪族アルカン)は、有利には下記の連続するステップ:
(1)少なくとも1種のC〜C24の脂肪族アルコールの脱水して、アルケンを得るステップ、および
(2)前記アルケンを水素化してアルカンにするステップ、
を含む方法によって、得ることができる。
【0012】
この方法の第1ステップは、特に文献、米国特許出願第2008/0287722号に記載されているように、すなわち、190〜260℃の温度で、好ましくは220〜250℃の温度で、例えばアルコールの0.5〜3重量%に相当してもよいトリフルオロメタンスルホン酸からなる脱水触媒の存在下で実施してもよい。このステップで脱水されるアルコールは、植物源から得ることができ、具体的には天然油または天然油脂の鹸化によって得ることができる。しかしながら、それは脂肪酸トリグリセリド、好ましくは植物由来の脂肪酸トリグリセリドのエステル交換ステップ、およびそれに続く、得られた脂肪酸エステル(例えば、メチルエステル)の水素化ステップを含む方法によって得られることが好ましい。植物由来の脂肪族アルコールを使用することによって、偶数個の炭素原子を含有するアルケンが、一般的に混合物の形態でもたらされる。また、この混合物は分岐鎖アルケンを含むこともある。
【0013】
この方法の第2ステップは、油を水素化する用途で食品加工産業において使用される技術に従って、当業者にとって従来的な様式で実施されてよく、具体的にはアルケン(単数または複数)を、遷移金属を含む触媒に接触させてもよい。得られたアルカンは、上記のように偶数個の炭素原子を含むことが好ましい。それらは直鎖であるが、また、分岐鎖アルカンを少量含むことがある。
【0014】
明らかに、この方法はさらに、上記のステップ以外の他のステップ(事前、中間および/または後続ステップ)を含んでもよい。
【0015】
あるいは、市販の入手可能なパラフィン、例えば、ブランド名:Parafol(登録商標)[特に、テトラデカンに関してはParafol(登録商標)14−97]でSASOLから入手できるものを、本発明の油性組成物に使用してもよい。
【0016】
本発明の油性組成物は、70〜99重量%、例えば70〜90重量%、または90〜99重量%のC、C10、および/またはC12のパラフィン(単数または複数)、ならびに1〜30重量%、例えば10〜30重量%または1〜10重量%のC14〜C24のパラフィン(単数または複数)を含む。これらの2種類のパラフィンは、上記の方法によって別々におよび混合した状態で得ることができ、または脂肪族アルコールの混合物、特に植物源の脂肪族アルコールの混合物から一緒に得ることができる。C、C10、および/またはC12のパラフィン(単数または複数)の内、C12のパラフィンが好ましい。さらに、上記のようにC14〜C24のパラフィン(単数または複数)は、偶数個の炭素原子を有するものから選択されることが好ましく、より好ましくはC14のパラフィンである。
【0017】
さらに、本発明の油性組成物は、ドデカンおよびテトラデカンを含むか、または、それらのみからなることが好ましい。
【0018】
上記のパラフィンに加えて、所望の揮発性に従って、本発明の油性組成物は少なくとも1種の非揮発性油を含んでもよい。本発明に従って、用語「油」とは、環境温度(25℃)で液体化合物であり、水に導入された油の重量を基準にして、25℃で水に少なくとも1重量%の割合で導入された場合、水に全く溶解しないか、または10重量%未満の割合で溶解する化合物を表す。本明細書の記載において、用語「非揮発性油」とは、環境温度および大気圧で、摩擦がない状態で皮膚上に数時間残留する油を意味し、および/または上記の条件で、0.001mmHg未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0019】
非揮発性油の例としては、鉱物性または合成分岐鎖炭化水素、合成(ポリ)エステルおよび(ポリ)エーテル、特にC〜C24(好ましくはC〜C20)の酸とC〜C24(好ましくはC〜C20)のアルコールまたはポリオールとの(ポリ)エステル(それらは、有利には分岐鎖である)、C〜C20の脂肪酸トリグリセリド、植物油、ジカプリリルカーボネートのようなジアルキルカーボネート、分岐鎖および/または不飽和脂肪酸(例えば、リノール酸およびリノレン酸)、分岐鎖および/または不飽和脂肪族アルコール(例えば、オクチルドデカノールまたはヘキシルデカノール)、シリコーン油、フルオロシリコーン油、フッ素化油、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0020】
用語「炭化水素」とは、水素および炭素原子のみを含有する油を意味する。非揮発性炭化水素油の例としては、ポリブテン、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、水素化ポリデセン、スクアラン、非揮発性パラフィン油およびそれらの混合物である。
【0021】
〜C24の酸とC〜C20のアルコールおよびポリオールとの(ポリ)エステルは、本発明の非揮発性油の好ましい範疇を代表し、特に、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、オレイルアセテート、イソノニルイソノナノエート、エチルヘキシルイソノナノエート、ヘキシルネオペンタノエート、エチルヘキシルネオペンタノエート、イソデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、ヘプチルウンデシレネート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、プロパンジオールジカプリレート、ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、ココカプレートおよびカプリレートの混合物、C12〜C15のアルコールベンゾエート、およびそれらの混合物のようなモノ−およびジエステルが挙げられる。
【0022】
植物油の例は、特に、小麦胚芽油、ヒマワリ油、ぶどう種油、ゴマ油、トウモロコシ油、アンズ油、ヒマシ油、シアバター、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ種油、カボチャの種油、ゴマ油、マロー油、菜種油、クロフサスグリ油、マツヨイグサ油、キビ油、大麦油、キヌア油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油、またはツバキ油である。
【0023】
用語「シリコーン油」とは、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1個のSi−O基を含む油を意味する。非揮発性シリコーン油としては、特に少なくとも8個のケイ素原子を含有するポリジメチルシロキサン、アルキル鎖が8〜20個の炭素原子を含有するポリアルキルメチルシロキサン、およびINCI名:フェニルトリメチコンを用いて識別される油が挙げられる。
【0024】
本発明の油性組成物は、50〜100重量%のパラフィン混合物、および0〜50重量%の非揮発性油(単数または複数)、例えば70〜95重量%、好ましくは85〜95重量%のパラフィン混合物、および5〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の非揮発性油(単数または複数)を含有する。
【0025】
また、本発明の油性組成物は、商品名:Vegelight(登録商標)でBIOSYNTHISによって販売されている。
【0026】
上記の油性組成物は、有利には化粧品組成物の配合において使用することを意図しており、特に皮膚、唇、まつげ、および/または爪のメイクアップ、および/またはケア、および/または保護に適している。
【0027】
従って、本発明は、上記の油性組成物を含有する化粧品組成物、ならびにそれらの使用にも関する。
【0028】
この化粧品組成物は、生理的に許容でき、好ましくは美容的に許容できる媒体、すなわち、有害な副作用がなく、特に化粧品の使用者にとって許容できない発赤、炎症、硬直または疼きを引き起こさない媒体を含む。
【0029】
この媒体は、上記の油性組成物に加えて、任意に水および/または少なくとも1種の油を含んでもよい。従って、本発明の化粧品組成物は、無水組成物、油中水滴エマルション(W/O)、水中油滴エマルション(O/W)または多重エマルション(特にW/O/WまたはO/W/O)のようなエマルション、もしくは分散体であってよい。
【0030】
油としては、特に本発明の油性組成物の成分(b)として上記した油、および揮発性油が挙げられ、この揮発性油は特に、分岐鎖炭化水素(例えば、イソドデカンまたはイソヘキサデカン)、直鎖揮発性シリコーン油(例えば、ヘキサメチルジシロキサンまたはオクタメチルトリシロキサン)、揮発性フッ素化油(例えば、ノナフルオロメトキシブタン)、およびそれらの混合物から選択されてよい。
【0031】
本発明の化粧品組成物は、さらに少なくとも1種の下記成分:脂肪相ゲル化剤または構造剤(特にワックス、ゴム、オレフィンコポリマーまたはシリコーンエラストマー);バインダー(特に脂肪酸石鹸);水性相ゲル化剤または増粘剤[例えば、アクリルまたはスルホンホモ−またはコポリマー(特に、AMPSを基礎としたもの)];膜形成剤(例えば、PVP誘導体、アクリル乳液またはシリコーン樹脂);分散剤(例えば、脂肪酸エステル);アニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤、および/または乳化剤(特にW/O、O/WまたはW/Si乳化剤);活性物質;有機または無機光保護剤、またはUVフィルター;フィラー;任意に処理された疎水性および/または疎油性の顔料;球状および/またはラメラ構造を有する、有機または無機粉末(例えば、シリカ、タルク、雲母など);天然または合成繊維;着色剤;錯化剤;pH調整剤;香料;防腐剤;およびそれらの混合物、を含んでよい。
【0032】
本発明の好ましい実施形態に従って、上記の成分の1つ以上は再生可能な供給源に由来してもよく、すなわち、植物、バクテリア、または動物由来(好ましくは、植物由来)の原材料から得られてよい。
【0033】
さらに、この組成物は、環状シリコーン(シクロメチコン)、特にシクロテトラシロキサン、およびシクロペンタシロキサン誘導体を有さないことが好ましい。
【0034】
この組成物は、流体、ゲル、クリーム、ペースト、発泡体、圧縮または成型緻密物、またはスティック形態にある固体物の形態を取ってよい。それは、フェイシャルケアまたはボディーケアもしくは衛生剤、特に保湿、アンチエイジ(シワ取りおよび/または引き締め)、脱色素、色素形成促進またはセルフタンニング、痩身、デオドラントまたは発汗抑制剤、またはUV保護剤、洗浄液、メイク落とし、マッサージオイル、または入浴剤からなってよい。あるいは、それはヘア製品、特にシャンプー、コンディショナー、またはヘアスタイリング(特に、くせ毛直し)剤、またはヘアカラー剤からなってよい。あるいはまた、本発明の化粧品組成物は、皮膚、粘膜、および/または付属肢のための化粧剤、特にファンデーション、口紅、リップグロス、頬紅またはアイシャドウ、マスカラ、アイライナー、またはネイルバーニッシュからなってよい。
【0035】
油性組成物は、特にマスカラ、口紅またはファンデーションの乗りを改善するために使用されてよく、従って、「色移りしない(transfer−free)」組成物を生成する。あるいは、それは発汗抑制またはデオドラント組成物の皮膚上での蒸発および/または塗布を改善するために、特にロールオンもしくはゲルまたはスティック形態で、特にアルミニウム塩をベースにして使用してもよい。あるいは、それは日焼け止め組成物の皮膚上での拡散、および/または日焼け止め組成物中での顔料(特に、TiOおよびZnOのような無機ナノ顔料)の分散を改善するために使用してもよい。従って、本発明はこれらの使用にも関する。
【0036】
さらに、当出願人は、この油性組成物が、例えば:
(a)シリコーンガム、特に末端がヒドロキシル化されたポリジメチルシロキサン[それらはINCI名:ジメチコノール(DIMETHICONOL)で識別されている]、
(b)乳化または非乳化シリコーンエラストマーであって、それらは、有機水素ポリシロキサンのような有機シリコーンと、少なくとも1つの試薬基(特に、水素、アリルまたはビニル)を含有し、および少なくとも1つのアルキル(特に方法)またはフェニル基および/または少なくとも1つのポリオキシアルキレン基(これらの基は末端および/または側部に配置されている)を含むポリシロキサンとを、触媒の存在下で反応させることによって一般に得られる架橋有機ポリシロキサン
のようなシリコーンポリマーに対する賦形剤として使用されうることを見いだした。
【0037】
シリコーンエラストマーの例は、INCI名:ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(DIMETHICONE/VINYL DIMETHICONE CROSSPOLYMER)によって識別されるものであり、例えば、ブランド名:Gransil(登録商標)でGRANT INDUSTRIESから、ブランド名:DC 9546(登録商標)でDOW CORNINGから、またはブランド名:SFE 839(登録商標)でGENERAL ELECTRICから、特に油性ゲル形態で商業的に入手できる。さらなる例としては、INCI名:ラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(LAURYL DIMETHICONE/VINYL DIMETHICONE CROSSPOLYMER)を有し、SHIN−ETSUから販売されている化合物が挙げられ、特にブランド名:KSG−31(登録商標)が挙げられる。他のシリコーンエラストマーは、INCI名:ジメチコンクロスポリマー(DIMETHICONE CROSSPOLYMER)を有し、例えば、ブランド名:DC 9040(登録商標)でDOW CORNINGから入手できるものである。さらなる例としては、INCI名:ポリシリコーン−11(POLYSILICONE−11)を有する化合物が挙げられ、ブランド名:Gransil(登録商標)RPS、Gransil(登録商標)GCMまたはGransil(登録商標)PC−12でGRANT INDUSTRIESから特に油性混合物の形態で販売されている。さらなる例としては、ブランド名:Gransil(登録商標)SR−CYCでGRANT INDUSTRIESから入手できるINCI名:架橋ステアリルメチルジメチルシロキサンコポリマー(CROSSLINKED STEARYL METHYL DIMETHYL SILOXANE COPOLYMER)有する化合物が挙げられる。
【0038】
従って、本発明の油性混合物は、上記の市販混合物中に含まれている揮発性シリコーン油またはイソパラフィンの代替物として、有利に使用することができる。
【0039】
従って、本発明は、エラストマーまたはシリコーンゴムのようなシリコーンポリマーのための賦形剤として上記の油性組成物を使用することにも関する。
【0040】
本発明は、例示するのみの目的で与えられる下記の非限定的な実施例を参照して、より明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0041】
実施例1:ファンデーション(W/Oエマルション)
当業者にとって従来の方法を使用し、下の表1にINCI名(CTFA Dictionary、2006年、第11版を参照して)によって大文字で識別される構成成分を、その構成成分の向かい側に特定される重量%で含有する組成物を調製した。
【0042】
【表1】

【0043】
(調製)
相Aの化合物を10分間、1000rpmで混合した。相Bの構成成分を混合した後、それらを相Aに添加した。2つの相の混合物を30分間、2000rpmで均質化した。相Cは、それらの固体構成成分を水に分散させることによって調製し、その相を先に得たエマルションに添加した。その全体を15分間、4500rpmで均質化した。
【0044】
(評価)
上の組成物(以下、組成物1Aとする)は、C12およびC14の直鎖パラフィンの混合物の代わりに18.00重量%のシクロペンタシロキサン[DOW CORNING DC 345(登録商標)]を含有する以外は同一である配合物(以下、組成物1Bとする)と比較しながら、20人のボランティア集団によって評価された。
【0045】
これらの組成物は、一貫性、塗布均質性およびカバーリングならびに(ブラウスの襟に)色移りしない効果の観点から同一であると考えられた。それらの乾燥時間および艶消し効果は同様であった。
【0046】
従って、これら2つの配合物の間には顕著な感覚的相違が認められなかった。
【0047】
実施例2:乾性油
当業者にとって従来の方法を使用し、下の表2に識別される構成成分(表中、大文字で示した各構成成分は、それらのINCI名で識別されている)をその構成成分の向かい側に特定される重量%で含有する組成物2Aを調製した。
【0048】
【表2】

【0049】
この組成物は、本発明の油性組成物を20重量%の下に特定される構成成分によって代替した下記の組成物と比較しながら、30人のボランティア集団によって評価された。
【0050】
組成物2B:ジカプリリルカーボネート[COGNIS Cetiol CC(登録商標)]、
組成物2C:シクロペンタシロキサン、
組成物2D:イソドデカンおよびネオペンチルグリコールジヘプタノエートの混合物[INOLEX Lexfeel(登録商標)D5]
【0051】
本発明の組成物2Aは、組成物2Cと同様に皮膚を迅速に透過し、皮膚に柔らかく、油っぽくない膜を残すが、一方、組成物2Bはより遅く透過し、油っぽい手触りを有する残存する膜を形成することを観察した。組成物2Dの揮発性画分は迅速に蒸発して、ドライではあるが、刺々しく、不快な質感を有する膜を残した。
【0052】
本発明の油性組成物の優位性を、ヘキシルラウレートを他のエステル、すなわち、エチルヘキシルイソノナノエート(組成物2E)、イソステアリルネオペンタノエート(組成物2F)、およびプロパンジオールジカプリレート(組成物2G)で代替することによって確認した。これらすべての組成物の特徴は、組成物2Fがより滑らかな効果を皮膚に与えた以外は同等であった。
【0053】
本発明の2つの組成物2Hおよび2H’を比較する同様の実験を実施した。これらは、12および14個の炭素原子のみを異なった割合で有する直鎖パラフィンを含む。組成物2Hは30%のC14のパラフィンを含むのに対して、一方、組成物2H’は10%のC14のパラフィンを含む。また、これらを、1%のC14のパラフィン、9%のエステル油および90%のC12のパラフィンを含む本発明のもう1つの組成物2H”と比較した。組成物2Hは組成物2H’よりも柔らかな手触りを与え、それはCetiol(登録商標)CCベースの標準的な組成物によって提供される手触りに非常に近かった。組成物2H”は組成物2H’と類似の結果を与えたが、この用途において不利ではない幾分高い光沢をもたらした。
【0054】
実施例3:有機アンチエイジクリーム
当業者にとって従来の方法を使用し、下の表3に識別される構成成分(表中、大文字で示した各構成成分は、それらのINCI名で識別されている)をその構成成分の向かい側に特定される重量%で含有する組成物を調製した。
【0055】
【表3】

【0056】
この組成物は、本発明の油性組成物をより多く含む同様の組成物(それぞれ、2、3および5重量%)と比較しながら、20人のボランティア集団によって評価された。
【0057】
本発明の油性組成物はこの化粧品組成物の石鹸効果を低下させ、油性組成物の含量が増加するにつれて柔らかでビロード状の質感が増大することを観察した。それ以外にも、この組成物は、DC345(登録商標)よりもわずかに柔らかな質感をもたらし、皮膚に迅速に透過した。
【0058】
実施例4:発汗抑制剤
当業者にとって従来の方法を使用し、下の表4に識別される構成成分(表中、大文字で示した各構成成分は、それらのINCI名で識別されている)をその構成成分の向かい側に特定される重量%で含有する組成物を調製した。
【0059】
【表4】

【0060】
実施例5:物理的特性
本発明の油性混合物を、DC345(登録商標)および2つの他のパラフィン混合物、すなわち、C13〜14のイソパラフィンの混合物であるIsopar(登録商標)MおよびC14〜17の直鎖パラフィンの混合物であるLinpar(登録商標)14−17と比較した。
【0061】
この比較結果を下の表5にまとめる。
【0062】
【表5】

【0063】
この表から結果として、本発明は、DC345(登録商標)により近い蒸発プロファイルを有するパラフィンの混合物を提供するということが言える。
【0064】
実施例6:感覚分析
ボランティアによって、
組成物6A:C12およびC14のパラフィン、ならびにエステル油としてココカプリレートからなる本発明の油性混合物、
組成物6B:DC345(登録商標)、および
組成物6C:Lilac(登録商標)(C14〜22のアルカン)
の間で比較が行われた。
【0065】
下記のパラメータを評価した:平滑効果、残留物の量、粘着効果、光沢効果、伸展、爽快感、油っぽさ、および湿潤効果。組成物6A(グレード約5.5)は、組成物6C(グレード7より大きい)よりはるかに光沢が少なく、組成物6B(グレード約6)と類似する光沢を有するように思われたことを除いては、試験した3つの組成物は類似していた。
【0066】
従って、この実施例は本発明の油性混合物の優位性を実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)70〜99重量%の、C、C10、C12のパラフィンおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の直鎖パラフィン、
(ii)1〜30重量%の少なくとも1種のC14〜C24の直鎖パラフィン、
からなる50〜100重量%の直鎖パラフィンの混合物、および
(b)0〜50重量%の少なくとも1種の非揮発性油、
を含む、ならびに好ましくは(a)および(b)からなる、揮発性油性組成物。
【請求項2】
90〜99重量%のC、C10、C12のパラフィン(単数または複数)、および1〜10重量%のC14〜C24のパラフィン(単数または複数)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ドデカンおよびテトラデカンを含む、またはドデカンおよびテトラデカンのみからなることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記非揮発性油が、鉱物性または合成の分岐鎖炭化水素、(ポリ)エステルおよび(ポリ)エーテル、特に、C〜C24の酸とC〜C24のアルコールまたはポリオールとの(ポリ)エステル(それらは、分岐鎖であることが有利である)、C〜C20の脂肪酸トリグリセリド、植物油、ジアルキルカーボネート、分岐鎖および/または不飽和脂肪酸、分岐鎖および/または不飽和脂肪族アルコール、シリコーン油、フルオロシリコーン油、フッ素化油、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
70〜95重量%のパラフィン混合物および5〜30重量%の非揮発性油(単数または複数)、好ましくは85〜95重量%のパラフィン混合物および5〜15重量%の非揮発性油(単数または複数)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
マスカラ、口紅またはファンデーションの乗りを改善するための、またはシリコーンエラストマーまたはゴムのようなシリコーンポリマーのための賦形剤としての、または日焼け止め組成物の皮膚上での拡散および/または顔料の日焼け止め組成物中への分散を改善するための、請求項1〜5のいずれかに記載の油性組成物の使用。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の前記油性組成物を含む、化粧品組成物。
【請求項8】
環状シリコーンを有していないことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
皮膚、唇、まつげ、および/または爪のメイクアップ、および/またはケア、および/または保護のための、請求項7および8のいずれかに記載の化粧品組成物の化粧品としての使用。
【請求項10】
発汗抑制剤またはデオドラント組成物の皮膚上での蒸発、および/または塗布を改善するための、特にロールオンまたはゲルまたはスティック形態で、特にアルミニウム塩をベースにした、請求項7および8のいずれかに記載の化粧品組成物の化粧品としての使用。

【公表番号】特表2012−523394(P2012−523394A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504027(P2012−504027)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054690
【国際公開番号】WO2010/115973
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511243912)
【Fターム(参考)】