説明

揮発性物質を持続放出するための固体封入粒子を含む化粧品組成物

本発明は、(a)5〜200マイクロメートルの平均粒径を有する固体封入粒子であって、(i)エチレンのモノマーと、少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1つの部類との共重合により得ることができるコポリマーと、(ii)少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤と、(iii)揮発性物質と、を含む固体封入粒子と、(b)化粧用として許容可能なキャリアと、を含む化粧品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用として許容可能なキャリアと、5〜200マイクロメートルの平均粒径を有する固体封入粒子と、を含む化粧品組成物に関する。化粧品組成物は、肌触りを損なうことなく、かつ皮膚の炎症を全く誘発することなく、揮発性物質を持続的に、均一に放出する。
【背景技術】
【0002】
化粧品組成物は、消費者が化粧品を使用している間,心地よい香りを付与するために、香料のような揮発性物質を含んでもよい。その揮発性のために、これらの物質、又は少なくともそのより高度に揮発性である部分は、化粧品を皮膚に適用した後速やかに蒸発する傾向があり、結果として香料の心地よい効果は短時間で消える。更に、いったん化粧品組成物を含む容器を開放すると、これらの揮発性物質は蒸発する傾向があり、化粧品組成物は保管中経時的に香りが失われる傾向がある。
【0003】
経時的な揮発性物質の喪失を制限し、及び/又は揮発性物質を持続放出するために、揮発性物質のポリマー組成物へのカプセル化又は封入に基づく技術が開発されてきた。例えば、欧州特許第1 624 013号、同第1 604 690号、国際公開第01/93813号、同第01/93814号、及び同第01/93815号を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1 624 013号
【特許文献2】欧州特許第1 604 690号
【特許文献3】国際公開第01/93813号
【特許文献4】国際公開第01/93814号
【特許文献5】国際公開第01/93815号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それにもかかわらず、経時的な揮発性物質の持続的で、均一な放出が改善された化粧品組成物、特に残留型局所用組成物を提供することに対する要求が依然として存在する。また、肌触りを損なうことなく、かつ皮膚の炎症を誘発しない化粧品組成物を提供することに対する要求も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(a)
(i)エチレンのモノマー及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1つの部類の共重合により得ることができるコポリマーと、
(ii)少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤と、
(iii)揮発性物質と、を含む固体封入粒子と、
(b)化粧用として許容可能なキャリアと、を含む化粧品組成物であって、
前記固体封入粒子が5〜200マイクロメートルの平均粒径を有する化粧品組成物に関する。
【0007】
定義
本明細書で使用するとき、用語「持続放出性」は、揮発性物質が長時間にわたって放出されることを意味する。具体的には、用語「持続」放出性とは、化粧品組成物を皮膚に適用した後4時間を超えてもなお、消費者が揮発性物質を認知可能であることを意味する。
【0008】
用語「均一放出性」とは、消費者が知覚する香りが長期間にわたって実質的に同一であることを意味する。具体的には、用語「均一」放出性とは、パーソナルケア組成物を皮膚に適用した後4時間を超えても、消費者が知覚する香りが、この組成物を皮膚に適用した直後に消費者が知覚する香りと実質的に同一であることを意味する。
【0009】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による化粧品組成物は、固体封入粒子を含む。これらの固体封入粒子は、エチレンのモノマー及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1つの部類の共重合により得ることができるコポリマーと、少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤と、揮発性物質と、を含むポリマー組成物から得ることができる。
【0011】
発明者らは、驚くべきことに、肌触りを損なうことなく、及び/又は皮膚の炎症を全く誘発することなく、揮発性物質を持続的で、均一に放出する化粧品組成物、特に残留型局所用化粧品組成物は、揮発性物質が固体封入粒子内に含まれるときに、実現できることを見出した。具体的には、このような効果は、これらの固体封入粒子が5〜200マイクロメートルの平均粒径を有するときに達成される。理論に束縛されるものではないが、請求の範囲の平均粒径と組み合わせた固体封入粒子の組成物は、揮発性物質及び/又は固体粒子自体が皮膚の炎症を誘発する水準まで皮膚に吸収されるのを妨げるが、固体粒子を通じて揮発性物質が適切に拡散するのを妨げず、経時的に持続的で、均一な放出を達成すると考えられる。更に、請求の範囲の平均粒径を有する粒子は、有利な表面積/体積比のために、有益な香料の放出速度を示す。
【0012】
固体封入粒子の形状
固体封入粒子は、用いられるプロセス及び組み込まれる化粧品組成物に応じて、異なる形状であってもよい。例えば、水溶液に分散するとき、固体粒子は一般に実質的に球形状を有する。エマルションに分散するとき、固体粒子はより不規則な形状、例えば不規則な星形を有する。理論に束縛されるものではないが、固体封入粒子の形状は、少なくとも部分的に、化粧用として許容可能なキャリアと固体封入粒子との間の表面エネルギーの差に依る。その差が最大であるとき、固体封入粒子は球形状である。表面エネルギーの差が減少するにつれて、固体封入粒子はより不規則な形状になる。固体粒子の形状にかかわらず、発明者らは、肌触りを損なうことなく、かつ皮膚の炎症を全く誘発しない揮発性物質の持続的で、均一な放出は、固体封入粒子が5〜200マイクロメートル、好ましくは30〜100マイクロメートル、より好ましくは30〜50マイクロメートルの平均粒径を有するとき、達成できることを見出した。
【0013】
平均粒径は、当業者に既知である任意の適切な機器を用いることにより決定できる。例えば、平均粒径は、速度並びに粒径及び粒子数の変化の程度を連続して製造過程でリアルタイムに測定する集束ビーム反射率測定(FBRM)として既知の技術を用いて、メトラー・トレド(Mettler Toledo)により供給される、Lasentec D600L機器で測定できる。この技術では、集束レーザービームは高速で回転し、モニタされるべき粒子懸濁液に伝播する。集束レーザービームがプローブの前で粒子と交差するとき、信号はプローブに後方錯乱する。スキャンされる粒子の長さ(又は大きさ)は、電子システムにより測定され、直径長分布ヒストグラムに移される。直径長分布は、粒子数及び粒径を提供し、それから平均粒径を決定することができる。
【0014】
コポリマー
本発明による固体封入粒子は、エチレンのモノマー及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1つの部類との共重合により得ることができるコポリマーを含む。コポリマーは、それ故、エチレンモノマー及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーを含む。
【0015】
用語「少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマー」は、少なくとも、Xが炭素原子でも水素原子でもない、極性C−X結合を含むモノマーを含む。Xは、窒素、硫黄、フルオロ(fluor)、塩素又は酸素原子であってもよい。好ましくは、コモノマーはカルボニル基を含む、より好ましくはコモノマーはビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びこれらの混合物から選択されるエステル基を含み、更により好ましくはコモノマーはビニルエステルである。最も好ましいコモノマーは、酢酸ビニルエステルであり、それ故コポリマーはエチレン−酢酸ビニルコポリマー(又はEVAコポリマー)である。理論に束縛されるものではないが、EVAコポリマーは、揮発性物質の持続放出性を高めるのに最も有効なコポリマーである。
【0016】
コモノマーは、好ましくは、総コポリマーの10重量%〜90重量%、より好ましくは14重量%〜80重量%、更により好ましくは18重量%〜70重量%を表す。
【0017】
コポリマーは、少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーではない、他のコモノマーを更に含んでもよい。例えば、コポリマーは架橋コモノマーを含んでもよい。
【0018】
これらのコポリマーは低融点を有する。本明細書で使用するとき、用語「低融点」は、80℃未満、好ましくは45℃〜80℃、より好ましくは45℃〜55℃の融点を意味する。融点は従来の方法により測定できる。低融点を有するコポリマーは、ポリマー組成物を低適用温度、すなわち100℃未満の温度で配合でき、次いでこれらのポリマー組成物を同様に低適用温度で化粧品組成物に組み込むことができるため、好ましい。低適用温度の使用は、著しい量の揮発性物質の蒸発を妨ぐために、またポリマー組成物を化粧品組成物に組み込むとき、化粧活性成分の分解及び/又は不活性化を妨ぐために望ましい。
【0019】
コポリマー原材料は市販されている。例えば、好適なエチレン−酢酸ビニルコポリマー原材料は、デュポン(Dupont)により商品名エルバックス(Elvax)(商標)として、アトフィナ(Atofina)により商品名「エバタン(Evathane)(商標)として、エクソン(Exxon)により商品名エスコレン(Escorene)(商標)として、バイエル(Bayer)により商品名レバメルト(Levamelt)(商標)及びレバメルト(商標)として販売されている。特に好ましいのは、70℃の融点を有するエルバックス(商標)250及び47℃の融点を有するエルバックス(商標)40Wである。好適なエチレン−アクリル酸エステルコポリマー原材料は、アトフィナ(Atofina)により商品名ロトリル(Lotryl)(商標)として販売されている。
【0020】
少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤
固体封入粒子は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤を含む。この少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤は、エチレンのモノマー及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1つの部類との共重合により得ることができるコポリマーと適合性がある。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「適合性」は、コポリマーの溶解度が、周囲温度(すなわち25°)における可塑剤の溶解度と一致することを意味する。コポリマー及び適合性可塑剤を混合するとき、均質な混合物が得られ、適合性可塑剤は、ポリマーのガラス転移温度を低下させるとき可塑効果を呈する。コポリマー及び可塑剤の適合性は、当業者に既知である任意の従来の方法、例えば水/オクタノール分配係数を用いることにより決定することができる。
【0022】
用語「少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤」は、Xが水素原子でもなく、炭素原子でもない、少なくとも極性C−X結合を含有する可塑剤を含む。Xは窒素、硫黄、フルオロ、塩素又は酸素原子であってもよい。好ましくは、可塑剤はカルボニル基を、より好ましくはエステル基を含む。可塑剤がエステル基を含むとき、可塑剤は、好ましくは、アジピン酸エステル、安息香酸エステル、クエン酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、ロジンエステル、セバシン酸エステル、スクロースエステル、酒石酸エステル、又はこれらの混合物から選択される。より好ましくは、可塑剤は、アジピン酸エステル、クエン酸エステル、ロジンエステル、セバシン酸エステル、又はこれらの混合物から選択される。更により好ましくは、可塑剤は、クエン酸エステル、及び/又はセバシン酸エステルから選択され、クエン酸エステル及び/又はセバシン酸エステルは両方とも本発明によるコポリマーと満足のいく適合性を呈し、皮膚への適用に安全である。
【0023】
可塑剤原材料は、市販されている。例えば、水素添加ロジンの好適なエステルは、イーストマン(Eastman)より商品名フォラリン(Foralyn)5020−F(商標)として販売されている。クエン酸の好適なエステルは、ジャングブンズラウアー(Jungbunzlauer)により商品名シトロフォル(Citrofol)BII(商標)(アセチルトリブチルシトレート)で、ジャングブンズラウアーにより商品名シトロフォルAH II(商標)(アセチル2−エチルヘキシルシトレート)、及びモルフレックス(Morflex)から商品名モルフレックスMSC(商標)(モノステアリルシトレート)として販売されている。セバシン酸の好適なエステルは、モルフレックスから商品名モルフレックスDBS(商標)(ジブチルセバケート)で販売されている。
【0024】
揮発性物質
固体封入粒子は少なくとも1種の揮発性物質を含む。
【0025】
揮発性物質は、風味剤、脱臭剤、殺虫剤、フェロモン、アロマ、忌避剤、香料又はこれらの混合物から選択することができる。
【0026】
好ましくは、揮発性物質は香料である。本明細書で使用するとき、用語「香料」は、1種以上の揮発性成分、すなわち、室温で大気圧未満の蒸気圧を有する成分を含む任意の芳香を有する物質を意味する。その揮発性に応じて、これらの成分はより急速に又はより緩徐に蒸発する傾向がある。揮発性が高くなるにつれて、より急速に蒸発する。最も急速に蒸発する成分は、通常、トップノート(top note)として分類され、最も緩徐に蒸発する成分をベースノート(base note)、中間の成分をミドルノート(middle note)と分類する。
【0027】
より具体的には、香料は、室温で大気圧未満の蒸気圧を有する1種以上の成分を含む。前記香料が1種以上のこれらの成分を含むとき、これらの成分は通常異なる揮発性を有する。これらの成分を単に化粧品組成物に組み込んだとき、これらの成分は、使用時にその揮発性に応じて異なる速度で蒸発する傾向がある。この異なる揮発性に起因して、消費者は経時的に異なる香りを知覚する。対照的に、化粧品組成物が本発明による固体封入粒子内に含まれる香料を含むとき、香料の放出は経時的に均一である。理論に束縛されるものではないが、これらの揮発性物質の経時的放出は、単にその揮発性によって決定されるものではないと考えられる。対照的に、その放出は、揮発性、分子量、固体封入粒子の他の成分との化学的相互作用、及び固体封入粒子の特定の平均粒径と組み合わせた固体封入粒子内の揮発性物質の合計比率を含む、経時的に持続的で、均一に放出させるいくつかの要因に応じて決定される。
【0028】
香料は、室温で液体又は固体状であってもよい。
【0029】
香料は、天然原料、合成原料、又はこれらの混合物から得ることができる。
【0030】
好ましくは、香料は、アルデヒド、ケトン、エステル、アルコール、又はテルペンから選択される少なくとも1種の成分を含む。
【0031】
これらの成分は、所望の香りに応じて選択してもよい。これらの成分は、当業者に周知である。例示としては、香料物質は、S.アータンダー(Artander)、香料風味剤及び化学物質(Perfume Flavors and chemicals)第1巻及び第2巻、モントクレア(Montclair)、ニュージャージー州、及びメルク・インデックス(Merck Index)第8版、メルク社(Merck & Co.)、ローウェー(Rahway)、ニュージャージー州に、より詳細に記載されており、これらは参考として本明細書に組み込まれる。
【0032】
好ましくは、固体封入粒子は、粒子の重量に対して、5重量%〜75重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%の、エチレンのモノマー及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1種の部類との共重合により得ることができるコポリマー、10重量%〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%の、少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤、及び10〜85重量%、より好ましくは20〜85重量%、更により好ましくは30重量%〜85重量%、最も好ましくは40重量%〜85重量%の揮発性物質を含む。固体封入粒子により、揮発性物質を高比率で組み込むことが可能になる。
【0033】
化粧用として許容可能なキャリア
本発明による化粧品組成物は、化粧用として許容可能なキャリアを含む。この化粧用として許容可能なキャリアは、化粧品、特に水溶液又はエマルションで従来用いられているいずれの化粧用として許容可能なキャリアであってもよい。エマルションの場合、化粧品組成物は、油中水型エマルション、水中油型エマルション、又は多重エマルションであってもよい。
【0034】
組成剤の形態
化粧品組成物は、好ましくは、残留型局所用化粧品組成物である。用語「残留型」とは、皮膚上に適用され、適用後すすぎ落とされない化粧品組成物を意味する。好ましくは、残留型局所用化粧品組成物は、少なくとも4時間皮膚上に残存する組成物である。
【0035】
固体封入粒子の比率
化粧品組成物は、組成物の好ましくは0.01重量%〜30重量%、より好ましくは0.2重量%〜10重量%、更により好ましくは0.5重量%〜6重量%の固体封入粒子を含む。
【0036】
本発明による化粧品組成物は、任意成分を含んでもよい。特に、この化粧品組成物は、化粧品組成物で一般的に用いられている成分を含んでもよい。
【0037】
化粧品組成物は更に少なくとも1種の保湿剤を含んでもよい。好ましくは、保湿剤は多価アルコールを含む。より好ましくは、保湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、又はこれらの混合物を含む。更により好ましくは、この保湿剤はグリセリンを含む。
【0038】
化粧品組成物は、更に少なくとも1種の増粘剤を含んでもよい。使用してもよい増粘剤は、C12〜C24脂肪酸、C10〜C30脂肪族アルコール、N−脂肪族グルタミン酸ジアリルアミド、カルボキシメチルセルロース若しくはこれらの誘導体、多糖類ゴム類、デンプン若しくはこれらの誘導体、微粒子増粘剤、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸ナトリウムコポリマー及び疎水変性アクリル酸ナトリウムコポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、ポリアクリレート、アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート及びアンモニウムアクリロイルジメチルタウレート架橋ポリマー及びコポリマー並びに疎水変性アンモニウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー、カチオンに帯電したポリマー、又はこれらの混合物を含む。好ましくは、増粘剤はカルボマーポリマーを含む。
【0039】
化粧品組成物は、親水性ビタミン成分を更に含んでもよい。好ましくは、親水性ビタミン成分は、ビタミンB3、これらの塩若しくはエステル、プロビタミンB5、これらの塩若しくはエステル、ビタミンC、これらの塩若しくはエステル、ビタミンEの親水性誘導体、又はこれらの混合物を含む。
【0040】
化粧品組成物は、疎水性ビタミン成分を更に含んでもよい。疎水性ビタミン成分は、ビタミンE若しくはこれらの疎水性誘導体、ビタミンD若しくはこれらの誘導体、又はこれらの混合物を含んでもよい。
【0041】
化粧品組成物は、少なくとも1種の日焼け止め活性種、すなわち、疎水性有機日焼け止め活性物質、親水性有機日焼け止め活性物、無機日焼け止め剤、又はこれらの混合物を更に含んでもよい。日焼け止め剤の好適な例としては、ウェニング(Wenning)及びマキューエン(Mc Ewen)編、「CTFA国際化粧品成分辞典及びハンドブック(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)」、第7版、第2巻、1672頁(化粧品工業会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association,Inc.)(ワシントン(Washington)DC)、1997年)に見出すことができる。好ましくは、疎水性有機日焼け止め活性物質は、アルキルβ,β−ジフェニルアクリレート誘導体、α−シアノβ,β−ジフェニルアクリレート誘導体、アントラニレート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ケイ皮酸誘導体、カンファー誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、トリアジン誘導体、又はこれらの混合物を含む。好ましくは、親水性有機日焼け止め活性物質は、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸(PBSA)である。好ましくは、無機日焼け止め活性物質は、二酸化チタン、酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含む。
【0042】
化粧品組成物は、少なくとも1種の日焼け活性物質を更に含んでもよい。好ましくは、前記日焼け活性物質は、ジヒドロキシアセトン(DHA)、これらの塩、誘導体、若しくは互変異性体、又はこれらの混合物から選択される。
【0043】
化粧品組成物は、少なくとも1種の糖アミンを更に含んでもよい。前記糖アミンの起源は合成であっても天然であってもよく、純粋な化合物としても化合物の混合物としても用いることができる。好ましくは、糖アミンは、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、これらの異性体、これらの塩、又はこれらの混合物を含む。
【0044】
化粧品組成物は、少なくとも1種のヘキサミジン化合物、これらの塩若しくは誘導体、又はこれらの混合物を更に含んでいてもよい。好ましくは、ヘキサミジン化合物は、以下の化学構造に該当する化合物を含む。
【0045】
【化1】

式中、R1及びR2は、有機酸(例えば、スルホン酸など)である。
【0046】
化粧品組成物が水中油型エマルションの形であるとき、この組成物は少なくとも1種の親水性界面活性剤を更に含んでもよい。一般に、親水性界面活性剤は、不連続相を連続相内に分散及び懸濁させるのに役立つ。好ましくは、親水性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤(当該技術分野において既知のものなど)から選択される。本明細書で有用なその他の好適な界面活性剤は、当該技術分野で既知の多種多様なカチオン性、アニオン性、双極性、及び両性界面活性剤を含む。例えば、マカッチャン(McCutcheon)著、洗剤と乳化剤(Detergents and Emulsifiers)、北米版(1986年)、アルレッド・パブリッシング・コーポレーション(Allured Publishing Corporation)を参照のこと。本明細書で有用な親水性界面活性剤は単一の界面活性剤、又は好適な界面活性剤の任意の組み合わせを含有できる。選択される界面活性剤は、組成物及びその他の存在する成分のpHによって決まる。
【0047】
化粧品組成物は、更に、鉱油、植物油及び動物油、脂肪及びろう、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸、又はこれらの混合物から選択される天然又は合成油のような油性成分を少なくとも1種含んでもよい。好ましくは、化粧品組成物は、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコールのような、飽和及び不飽和脂肪族アルコールを含んでもよい。
【0048】
化粧品組成物は、少なくとも1種の皮膚軟化剤を更に含んでもよい。好ましくは、この組成物は、100〜15,000、より好ましくは100〜1000の重量平均分子量を有する分枝鎖炭化水素、更により好ましくは、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタヘキサコンタン、イソヘキサペンタコンタヘクタン、イソペンタコンタオクタクタン(isopentacontaoctactane)、ワセリン、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、又はこれらの混合物から選択される分枝鎖炭化水素を含む。
【0049】
化粧品組成物は、少なくとも1種の微粒子物質を更に含んでもよい。微粒子物質は、着色及び無着色顔料、干渉顔料、無機粉末、組成粉末、蛍光増白剤、粒子又はこれらの混合物を含んでもよい。これらの微粒子物質は無機日焼け止め活性物質を含まない。好ましくは、微粒子物質は、水にも油にも不溶性の自由流、中実(すなわち中空でない)物質を含み、中央粒径が0.1μm〜75μm、より好ましくは0.2μm〜30μm、及び屈折率が1.3〜1.7であり、前記物質は前記組成物に分散している。好適な微粒子物質は、有機又はオルガノシリコーン又は無機である。
【0050】
化粧品組成物は更に構造剤を含んでもよい。好ましくは、構造剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアレス−2、ステアレス−21、又はこれらの混合物から選択される。
【0051】
化粧品組成物はまた、固体封入粒子内に含まれる揮発性物質に加えて、更に精油、芳香剤、又はこれらの混合物を含む揮発性物質を含んでもよい。
【0052】
種々の追加の任意成分を、本発明による化粧品組成物に組み込んでもよい。これらの追加成分の非限定的な例としては、ビサボロール、ジアルカノイルヒドロキシプロリン化合物、ファルネソール、フラボノイド、グアニジン、N−アシルアミノ酸化合物、ペプチド、フィタントリオール、植物ステロール、サリチル酸化合物、尿素及び抗ニキビ化合物のような化合物、抗酸化化合物、皮膚沈静及び治癒剤、抗しわ/抗萎縮活性物質、コンディショニング剤、抗炎症剤、皮膚美白剤、抗微生物/抗菌/抗真菌活性物質、キレート剤及び金属イオン封鎖剤が挙げられる。
【0053】
製造方法
ポリマー組成物は、任意の従来の方法で調製してもよい。
【0054】
好ましくは、ポリマー組成物は、従来のホットメルトブレンド法により調製される。エチレンのモノマー及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1つの部類の共重合により得ることができるコポリマーと、少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤と、揮発性物質と、を含むポリマー組成物は、化粧品組成物に分散させる前に調製される。コポリマー及び可塑剤を、均質な混合物が得られるまで、その融点を超える温度で混合し、融解させる。混合物が均質であるとき、温度を冷却し、次いで均質な混合物が得られるまで攪拌条件下でポリマー組成物に揮発性物質を添加し、揮発性物質を含むポリマー組成物を室温で冷却させる。
【0055】
固体封入粒子を化粧品組成物に分散させる前に、揮発性物質を含むポリマー組成物を60〜70℃で融解させる。融解したポリマー組成物を、次いで、攪拌条件下で化粧品組成物に分散させる。攪拌条件は、ポリマー組成物の固体封入粒子の平均粒径を決定する。
【実施例】
【0056】
実施例1−ポリマー組成物の調製
30%のエルバックス(Elvax)250(商標)(EVAコポリマー)、20%のフォラリン(Foralyn)5020−F(商標)(可塑剤)及び50%の香油を含むポリマー組成物を調製する。エルバックス(Elvax)250(商標)及びフォラリン(Foralyn)5020−F(商標)を、その融点を超える温度、すなわち60〜70℃で均質な混合物が得られるまで融解させ、混合する。次いで、この混合物をおよそ50℃に冷却し、その後均質なポリマー組成物が得られるように攪拌条件下で揮発性物質を添加する。次いで、得られるポリマー組成物を室温で冷却する。
【0057】
実施例2−ボディーローション
実施例1のポリマー組成物を60〜70℃で融解させ、その後60〜70℃で3500〜4000rpmの攪拌下で水溶液に分散させる。いったんポリマー組成物が均質に分散すると、水溶液を45〜50℃に冷却し、残りの成分を、均質な組成物が得られるまで攪拌条件下で添加する。水溶液は、残留型ボディーローションとして使用する。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例3−ボディーローション
実施例1のポリマー組成物を60〜70℃で融解させ、その後60〜70℃で3500〜4000rpmの攪拌下で水溶液に分散させる。ポリマー組成物が均質に分散した時点で、水溶液を45〜50℃に冷却し、残りの成分を、均質な組成物が得られるまで攪拌条件下で添加する。水溶液は、残留型ボディーローションとして使用する。
【0060】
【表2】

【0061】
実施例2又は実施例3のボディーローションを皮膚に適用した後、4時間後も使用者は香料を認知することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)エチレンのモノマーと少なくとも1つのヘテロ原子を含むコモノマーの少なくとも1つの部類との共重合により得ることができるコポリマーと、
(ii)少なくとも1つのヘテロ原子を含む可塑剤と、
(iii)揮発性物質と、を含む固体封入粒子と、
(b)化粧用として許容可能なキャリアと、
を含む化粧品組成物であって、
前記固体封入粒子が5〜200マイクロメートルの平均粒径を有する化粧品組成物。
【請求項2】
前記平均粒径が30〜100マイクロメートル、好ましくは30〜50マイクロメートルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が残留型局所用化粧品組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、組成物の0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.2重量%〜10重量%、より好ましくは0.5重量%〜6重量%の固体封入粒子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記コポリマーが45℃〜80℃、好ましくは45℃〜55℃の融点を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記コモノマーがカルボニル基を含み、好ましくは前記コモノマーがエステル基を含み、より好ましくは前記コモノマーがビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びこれらの混合物から選択され、更により好ましくは前記コモノマーが酢酸ビニルエステルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記可塑剤がカルボニル基、好ましくはエステル基を含み、より好ましくは前記可塑剤がアジピン酸エステル、安息香酸エステル、クエン酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、ロジンエステル、セバシン酸エステル、スクロースエステル、酒石酸エステル又はこれらの混合物から選択され、更により好ましくは前記可塑剤がアジピン酸エステル、クエン酸エステル、ロジンエステル、セバシン酸エステル又はこれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記揮発性物質が香料であり、好ましくは前記揮発性物質がアルデヒド、ケトン、アルコール、テルペン、エステル又はこれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記固体封入粒子が、粒子の重量に対して、5重量%〜75重量%のコポリマー、10重量%〜50重量%の可塑剤、及び10重量%〜85重量%の揮発性物質を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−500551(P2011−500551A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528519(P2010−528519)
【出願日】平成20年10月13日(2008.10.13)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054211
【国際公開番号】WO2009/050642
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】