説明

揮発性芳香族化合物分解用光触媒体および光触媒機能製品

【課題】気相中の揮発性芳香族化合物を速やかに分解し得る揮発性芳香族化合物分解用光触媒体と、該光触媒体を用いた光触媒機能製品とを提供する。
【解決手段】本発明の揮発性芳香族化合物分解用光触媒体は、気相中の揮発性芳香族化合物を分解するための光触媒体であって、酸化タングステン粒子を主成分として含有し、前記酸化タングステン粒子の表面を酸化チタン粒子で被覆されており、前記酸化チタン粒子の被覆量が、酸化タングステン粒子100質量部に対して、チタン換算で3〜45質量部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相中に含まれる揮発性芳香族化合物を速やかに分解し得る揮発性芳香族化合物分解用光触媒体と、該光触媒体を用いた光触媒機能製品とに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体にバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射すると、価電子帯の電子が伝導帯に励起されるとともに、価電子帯に正孔が生成する。かかる励起電子および正孔は、それぞれ強い還元力と酸化力とを有することから、半導体に接触した分子種に酸化還元作用を及ぼす。この酸化還元作用は光触媒作用と呼ばれており、かかる光触媒作用を示し得る半導体は、光触媒体と呼ばれている。
【0003】
このような光触媒体としては、従来、酸化タングステン粒子や酸化チタン粒子が知られており、これらの光触媒作用は、気相中の有害物質である揮発性有機化合物を二酸化炭素などに分解し除去するのに利用されている。例えば、これまでに、酸化タングステン粒子および酸化チタン粒子からなる光触媒体を分散させたコーティング液が提案されており(特許文献1参照)、このコーティング液を基材の表面に塗布することにより形成される光触媒体層に、気相中の揮発性有機化合物を光照射下で接触させることによって、該揮発性有機化合物を分解させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−231935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光触媒作用により分解しようとする化合物がトルエン、キシレン等の揮発性芳香族化合物である場合、従来の光触媒体を用いると、芳香族化合物が分解される過程で光触媒体の表面に芳香族化合物由来の分解生成物などが吸着して活性点が覆われてしまい、光触媒活性が経時的に低下して、気相中の芳香族化合物を完全に二酸化炭素に分解するまでに長時間を要することがある。
一方、上記揮発性芳香族化合物は、建材、内装材、電気製品などに使用される塗料や接着剤の溶剤などに広く使用されているが、揮発性芳香族化合物の人体に対する影響が問題視されており、シックハウス症候群の原因物質の1つであるといわれている。
【0006】
すなわち、本発明の課題は、気相中の揮発性芳香族化合物を速やかに分解し得る揮発性芳香族化合物分解用光触媒体と、該光触媒体を用いた光触媒機能製品とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、酸化タングステン粒子を主成分として含有し、前記酸化タングステン粒子の表面を酸化チタン粒子で被覆されており、前記酸化チタン粒子の含有量が、酸化タングステン粒子100質量部に対してチタン換算で3〜45質量部である光触媒体が、顕著な効果を発揮することを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)気相中の揮発性芳香族化合物を分解するための光触媒体であって、酸化タングステン粒子を主成分として含有し、前記酸化タングステン粒子の表面を酸化チタン粒子で被覆されており、前記酸化チタン粒子の被覆量が、前記酸化タングステン粒子100質量部に対して、チタン換算で3〜45質量部であることを特徴とする揮発性芳香族化合物分解用光触媒体。
(2)前記酸化タングステン粒子および前記酸化チタン粒子の少なくとも一方に電子吸引性物質およびその前駆体の少なくとも一方が担持されていることを特徴とする前記(1)に記載の揮発性芳香族化合物分解用光触媒体。
(3)前記電子吸引性物質またはその前駆体が、Cu、Pt、Au、Pd、Ag、Fe、Nb、Ru、Ir、RhおよびCoから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含有してなるものである前記(2)に記載の揮発性芳香族化合物分解用光触媒体。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の光触媒体と分散媒とを少なくとも含む揮発性芳香族化合物分解用光触媒体分散液。
(5)基材の表面に前記(1)〜(3)のいずれかに記載の光触媒体で形成された光触媒体層を備えていることを特徴とする光触媒機能製品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、気相中の揮発性芳香族化合物を光の照射下で速やかに分解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の揮発性芳香族化合物分解用光触媒体(以下、単に「本発明の光触媒体」と称する)は、酸化タングステン粒子の表面が酸化チタン粒子で被覆された光触媒体であり、酸化チタン粒子の被覆量が所定量であるものである。
【0011】
本発明における酸化タングステン粒子は、光触媒作用を示す粒子状の酸化タングステンであれば、特に制限はされないが、例えば、三酸化タングステン〔WO3〕粒子等が挙げられる。なお、酸化タングステン粒子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0012】
三酸化タングステン粒子は、例えば、(1−i)タングステン酸塩の水溶液に酸を加えることにより、沈殿物としてタングステン酸を得、得られたタングステン酸を焼成する方法、(1−ii)メタタングステン酸アンモニウムやパラタングステン酸アンモニウムを加熱することにより熱分解する方法、(1−iii)金属状のタングステン粒子を焼成する方法などによって得ることができる。
本発明における酸化タングステン粒子のBET比表面積は、特に制限されないが、光触媒作用の観点から、通常5〜100m2/g、好ましくは8〜50m2/gであるのがよい。
【0013】
本発明の光触媒体は、酸化タングステン粒子の表面が、酸化チタン粒子で被覆されている。これにより、光触媒体は、例えば、表面に酸化チタン粒子を被覆していない酸化タングステン粒子より、可視光が照射された後、高い光触媒作用を持続する。
ここで、被覆とは、酸化タングステン粒子の表面の少なくとも一部に酸化チタン粒子が存在し、かつ該表面に酸化チタン粒子が存在していない部分が存在することを意味する。「酸化タングステン粒子の表面に酸化チタン粒子が存在していない部分が存在する」とは、例えば、酸化タングステン粒子の表面全面に酸化チタン粒子が被覆されておらず、酸化タングステン粒子が受光表面を有することである。これは、酸化タングステン粒子の表面全面に酸化チタン粒子が被覆されていると、可視光照射下において、本発明の光触媒体より極端に低い光触媒作用を示すためである。
【0014】
酸化チタン粒子におけるチタンの原料としては、例えば、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタンなどのチタンのアルコキシドや、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテートアンモニウム、チタンラクテートや、特開2006-182616号公報に記載されているチタン化合物が挙げられる。
【0015】
酸化タングステン粒子の表面に酸化チタン粒子を被覆させる方法としては、例えば、チタンラクテートなどの上述したチタンの原料を含む溶液中に酸化タングステン粒子を分散させ、これを乾燥して溶媒を除去した後、得られた粉末を空気中で焼成する方法などが挙げられる。
【0016】
空気中での焼成は、280〜580℃の範囲で行うのが好ましい。焼成温度が280℃よりも低い場合、酸化チタン粒子中にチタンの原料由来の不純物(例えば炭素)が残留し、得られる光触媒体は十分な光触媒活性を発現しないおそれがある。一方、焼成温度が580℃を越えると、酸化チタン粒子及び酸化タングステン粒子の焼結が進み、表面積が低下する為、得られる光触媒体は十分な光触媒活性を発現しないおそれがある。
【0017】
酸化チタン粒子の被覆量(含有量)は、酸化タングステン粒子100質量部に対して、チタン(Ti)換算で3〜45質量部の範囲である。酸化チタン粒子の被覆量が3質量部未満の場合、得られる光触媒体は揮発性芳香族化合物に対して十分な光触媒活性を発現せず、一方、被覆量が45質量部を越えると、酸化タングステンの表面を被覆する酸化チタン粒子の量が多くなり、酸化タングステンが吸収する可視光線の量が少なくなる為、得られる光触媒体は特に可視光線照射下で十分な光触媒活性を発現しないおそれがある。
なお、酸化チタン粒子の含有量は上記範囲内であるため、本発明の光触媒体において酸化タングステン粒子が主成分となる。
【0018】
本発明の光触媒体は、その表面に、すなわち酸化タングステン粒子および酸化チタン粒子の表面の少なくとも一方に、電子吸引性物質およびその前駆体の少なくとも一方が担持されるのが好ましい。これにより、光照射によって伝導帯に励起された電子と価電子帯に生成した正孔との再結合が抑制され、酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性をより高めることができる。
なお、電子吸引性物質とは、光触媒体(すなわち、酸化チタン粒子および酸化タングステン粒子)の表面に担持されて電子吸引性を発揮しうる化合物であり、電子吸引性物質の前駆体とは、光触媒体の表面で電子吸引性物質に遷移しうる化合物(例えば、光照射により電子吸引性物質に還元されうる化合物)である。
【0019】
電子吸引性物質またはその前駆体は、Cu、Pt、Au、Pd、Ag、Fe、Nb、Ru、Ir、RhおよびCoから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含有してなるものであることが好ましい。より好ましくは、Cu、Pt、AuおよびPdのうちの1種以上の金属原子を含有してなるものである。
【0020】
電子吸引性物質としては、例えば、前記金属原子からなる金属が挙げられ、その具体例としては、Cu、Pt、Au、Pd、Ag、Fe、Nb、Ru、Ir、RhおよびCoが挙げられる。
【0021】
電子吸引性物質の前駆体としては、例えば、前記金属原子からなる金属の水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、有機酸塩、炭酸塩、りん酸塩等が挙げられ、その具体例としては、Cuを含む前駆体として、硝酸銅〔Cu(NO3)2〕、硫酸銅〔Cu(SO4)2〕、塩化銅〔CuCl2、CuCl〕、臭化銅〔CuBr2、CuBr〕、沃化銅〔CuI〕、沃素酸銅〔CuI26〕、塩化アンモニウム銅〔Cu(NH4)2Cl4〕、オキシ塩化銅〔Cu2Cl(OH)3〕、酢酸銅〔CH3COOCu、(CH3COO)2Cu〕、蟻酸銅〔(HCOO)2Cu〕、炭酸銅〔CuCO3〕、蓚酸銅〔CuC24〕、クエン酸銅〔Cu2647〕、リン酸銅〔CuPO4〕等;Ptを含む前駆体として、塩化白金〔PtCl2、PtCl4〕、臭化白金〔PtBr2、PtBr4〕、沃化白金〔PtI2、PtI4〕、テトラクロロ白金酸カリウム〔K2(PtCl4)〕、ヘキサクロロ白金酸〔H2PtCl6〕、亜硫酸白金〔H3Pt(SO3)2OH〕、酸化白金〔PtO2〕、塩化テトラアンミン白金〔Pt(NH3)4Cl2〕、炭酸水素テトラアンミン白金〔C21446Pt〕、テトラアンミン白金リン酸水素〔Pt(NH3)4HPO4〕、水酸化テトラアンミン白金〔Pt(NH3)4(OH)2〕、硝酸テトラアンミン白金〔Pt(NO3)2(NH3)4〕、テトラアンミン白金テトラクロロ白金〔(Pt(NH3)4)(PtCl4)〕、ジニトロジアミン白金〔Pt(NO2)2(NH3)2〕等;Auを含む前駆体として、塩化金〔AuCl〕、臭化金〔AuBr〕、沃化金〔AuI〕、水酸化金〔Au(OH)2〕、テトラクロロ金酸〔HAuCl4〕、テトラクロロ金酸カリウム〔KAuCl4〕、テトラブロモ金酸カリウム〔KAuBr4〕、酸化金〔Au23〕等;Pdを含む前駆体として、酢酸パラジウム〔(CH3COO)2Pd〕、塩化パラジウム〔PdCl2〕、臭化パラジウム〔PdBr2〕、沃化パラジウム〔PdI2〕、水酸化パラジウム〔Pd(OH)2〕、硝酸パラジウム〔Pd(NO3)2〕、酸化パラジウム〔PdO〕、硫酸パラジウム〔PdSO4〕、テトラクロロパラジウム酸カリウム〔K2(PdCl4)〕、テトラブロモパラジウム酸カリウム〔K2(PdBr4)〕等がそれぞれ挙げられる。なお、電子吸引性物質またはその前駆体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、1種以上の電子吸引性物質と1種以上の前駆体とを併用してもよいことは勿論である。
【0022】
電子吸引性物質およびその前駆体の少なくとも一方を担持させるにあたり、その担持量(使用量)は、金属原子換算で、酸化タングステン粒子100質量部に対して、通常0.005〜0.6質量部、好ましくは0.01〜0.4質量部であるのがよい。担持量が0.005質量部未満であると、得られる光触媒体の電子吸引性物質による光触媒活性の向上効果が充分に得られないおそれがあり、一方、担持量が0.6質量部を超えると、却って得られる光触媒体の光触媒作用が、担持する前のそれより低下するおそれがある。
【0023】
電子吸引性物質およびその前駆体の少なくとも一方を酸化タングステン粒子および酸化チタン粒子の表面の少なくとも一方に担持させるには、例えば、酸化チタンで被覆した酸化タングステン粒子を水やアルコール等の適当な分散媒に分散させた後、得られた分散液の中に電子吸引性物質および/またはその前駆体を加えればよい。
また、その際、電子吸引性物質の前駆体を添加する場合には、該前駆体を電子吸引性物質に変換するために、必要に応じてその添加後に光照射を行ってもよい。
酸化タングステン粒子や酸化チタン粒子に光励起できる波長の光を照射することにより、光励起によって生成した電子によって前駆体が還元されて電子吸引性物質となり、酸化タングステン粒子および/または酸化チタン粒子の表面に担持される。
このとき、光照射で照射する光は、酸化タングステン粒子や酸化チタン粒子を光励起できる波長を有するものであれば、特に制限はなく、可視光線でもよいし、紫外線でもよい。この光照射は、前記前駆体の添加後であれば、どの段階で行なってもよい。なお、前記前駆体を添加し、その添加後に光照射を行わない場合であっても、得られる光触媒体を実際に使用する際に(光触媒体に光触媒作用を発現させる際に)光が照射されると、その時点で電子吸引性物質へ変換されることになる。
また、電子吸引性物質の前駆体を添加する場合には、より効率よく電子吸引性物質を得る目的で、光照射の前に、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、メタノールやエタノールや蓚酸等を加えることもできる。
【0024】
本発明の光触媒体は、例えば、本発明の光触媒体を微粒子状の粉末の形態で使用してもよいし、分散媒中に本発明の光触媒体を分散させて、光触媒体分散液の形態で使用してもよい。
粉末を混合する際の混合方法や、分散媒中に本発明の光触媒体を分散させる際の分散方法は、それぞれ従来公知の方法から適宜採用すればよく、例えば、分散方法としては、媒体撹拌式分散機を用いる方法などが挙げられる。
【0025】
本発明における分散媒としては通常、水を主成分とする水性溶媒が用いられる。具体的には、水性溶媒は、水溶性有機溶媒単独であってもよいし、水単独であってもよい。また水と水溶性有機溶媒などとの混合媒体であってもよい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの水溶性アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、ジエチルエーテル等が挙げられる。なお、水溶性有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
水溶性アルコールとしては通常、メタノール、エタノールまたはプロパノールが使用され、好ましくはエタノールが使用される。また、水溶性アルコールを使用する場合は、混合媒体中の水溶性アルコールの含有量が、光触媒体分散液100質量部に対して10〜70質量部(質量%)であることが好ましい。また、光触媒体分散液の乾燥特性などを考慮して、好ましくは25〜60質量部(質量%)であることが好ましい。
【0026】
光触媒体分散液は、本発明の光触媒体と分散媒とを少なくとも含み、本発明の光触媒体の光触媒活性を大幅に損なわない範囲で、従来公知の各種添加剤を含んでいてもよい。なお、添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
添加剤としては、例えば、光触媒作用を向上させる目的で添加されるものが挙げられる。このような光触媒作用向上効果を目的とした添加剤としては、具体的には、非晶質シリカ、シリカゾル、水ガラス、オルガノポリシロキサンなどの珪素化合物;非晶質アルミナ、アルミナゾル、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物;ゼオライト、カオリナイトのようなアルミノ珪酸塩;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物;リン酸カルシウム、モレキュラーシーブ、活性炭、有機ポリシロキサン化合物の重縮合物、リン酸塩、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。
【0027】
また、添加剤としては、本発明の光触媒体を用いて基材の表面に光触媒体層を形成する際に、酸化タングステン粒子および酸化チタン粒子をより強固に基材の表面に保持させるためのバインダー等を用いることもできる(例えば、特開平8−67835号公報、特開平9−25437号公報、特開平10−183061号公報、特開平10−183062号公報、特開平10−168349号公報、特開平10−225658号公報、特開平11−1620号公報、特開平11−1661号公報、特開2004−059686号公報、特開2004−107381号公報、特開2004−256590号公報、特開2004−359902号公報、特開2005−113028号公報、特開2005−230661号公報、特開2007−161824号公報など参照)。
本発明の光触媒体に前述した添加剤を含有させる際には、例えば、酸化タングステン粒子と酸化チタン粒子とを適当な分散媒に分散させてなる分散液に対して、添加剤を加えればよい。
【0028】
本発明の光触媒体は、気相中の揮発性芳香族化合物を分解するための光触媒体である。ここで、揮発性芳香族化合物の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クレゾール、アニリン等が挙げられる。なお、揮発性芳香族化合物を含む気相は、通常、大気である。
【0029】
本発明の光触媒機能製品は、基材の表面に、上述した本発明の光触媒体で形成された光触媒体層を備えたものである。この光触媒体層は、上述した表面を酸化チタン粒子で被覆した酸化タングステン粒子で形成され、特に揮発性芳香族化合物に対して高い光触媒活性を示すものである。
光触媒体層を形成する方法は、例えば、上述した光触媒体分散液(水やアルコール等の分散媒に表面を酸化チタン粒子で被覆した酸化タングステン粒子を分散させた分散液)を、基材(製品)の表面に塗布した後、分散媒を揮発させる方法;上述した光触媒体を真空蒸着法、スパッタリング法などの物理気相蒸着法によって基材(製品)の表面に膜を形成する方法など従来公知の成膜方法によって形成することができる。
光触媒体層を形成するにあたり、光触媒体分散液の塗布は、従来公知の方法を適宜採用して行えばよい。
光触媒体層の膜厚は、特に制限されるものではなく、通常、その用途等に応じて、数百nm〜数mmまで適宜設定すればよい。また、塗布後に分散媒を揮発させる方法についても、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。
【0030】
本発明の光触媒機能製品において、光触媒体層は、基材(製品)の内表面または外表面であれば、どの部分に形成されていてもよいが、例えば、光(可視光線)が照射される面であって、かつ分解対象とする揮発性芳香族化合物が発生もしくは存在する箇所と連続または断続して空間的につながる面に形成されていることが好ましい。
なお、基材(製品)の材質は、形成される光触媒体層を実用に耐えうる強度で保持できる限り、特に制限されるものではなく、例えば、プラスチック、金属、セラミックス、木材、コンクリート、紙など、あらゆる材料からなる製品を対象にすることができる。
【0031】
本発明の光触媒機能製品は、屋外においては勿論のこと、蛍光灯やナトリウムランプのような可視光源からの光しか受けない屋内環境においても、光の照射によって高い光触媒作用を示す。つまり、本発明において、光触媒作用を発揮させる際に必要とされる光は、酸化タングステン粒子や酸化チタン粒子を光励起できる波長を有するものであれば、特に制限はなく、可視光線でもよいし、紫外線でもよい。
そのときの光源としては、例えば、蛍光灯、白熱電球、ハロゲンランプ、発光ダイオード、ナトリウムランプ、太陽光などを用いることができる。したがって、光触媒体層を、例えば病院の天井材、タイル、ガラスなどに形成すると、かかる光触媒体層と接触する気相中の揮発性芳香族化合物は速やかに分解されることとなる。
【0032】
本発明の光触媒機能製品の具体例としては、天井材、タイル、ガラス、壁紙、壁材、床等の建築資材;自動車内装材(自動車用インストルメントパネル、自動車用シート、自動車用天井材);冷蔵庫やエアコン等の家電製品;衣類やカーテン等の繊維製品などが挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における各種物性の測定および得られた光触媒体の評価は以下の方法で行った。
【0034】
<BET比表面積>
比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製「モノソーブ」)を用いて窒素吸着法にて測定した。
【0035】
<揮発性芳香族化合物に対する光触媒活性(トルエン分解能)>
揮発性芳香族化合物に対する光触媒活性は、可視光照射下でPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子またはPt担酸化タングステン粒子(以下、光触媒体粒子と称する)の光触媒作用によるトルエンの分解反応を行い、トルエンの完全分解生成物である二酸化炭素(CO2)の生成速度を求めることにより評価した。
具体的には、内容積330mLの密閉可能なガラス製容器の中に、15mm×15mmの正方形に広げた光触媒体粒子50mgを設置し、上方よりキセノンランプ(Perkin Elmer社製「Cermax」:300W)を用いて紫外線と可視光線の両方を含む光を30分間照射して、光触媒体粒子表面の残存有機物を除去した。その後、ガラス製容器を密閉して、その中にシリンジを用いて9.4マイクロモルのトルエンを注入し、遮光下で2時間放置した。
次いで、紫外線カットフィルター(旭テクノガラス(株)製「Y−44」)を装着したキセノンランプを光源として可視光を照射し、光(可視光)の照射開始時から10分間隔でガラス製容器内のガスの一部をサンプリングして、トルエンとCO2の濃度をガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー(株)製「Agilent3000 マイクロGC」)にて測定した。
そして、光(可視光)の照射開始時から4時間におけるトルエンの完全分解生成物であるCO2の生成速度を求めた。CO2の生成速度が速いほど、トルエン分解能が高いと言える。
【0036】
(製造例1−ポリメタクリル酸メチル粒子の合成)
5Lガラス製反応容器に、水250質量部、炭酸ナトリウム1.5質量部、濃度15質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液4.7質量部、およびペルオキソ二硫酸ナトリウム0.06質量部を仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気下80℃にてメタクリル酸メチル61.5質量部を60分間かけて連続的に添加した後、さらに攪拌しながら同温度で60分間熟成した。次いで、水12質量部とペルオキソ二硫酸ナトリウム0.06質量部とからなる水溶液を添加して攪拌し、その後、攪拌しながら80℃にてメタクリル酸メチル61.5質量部を60分間かけて連続的に添加した後、さらに攪拌しながら同温度で60分間熟成して、重合体のラテックスを得た。このラテックスの固形分濃度は31質量%であった。
次に、得られた重合体のラテックスを−20℃の冷凍庫内で24時間凍結させた後、融解させる処理を施すことにより重合体粒子を凝集させた。得られた凝集スラリーを遠心分離機を用いて1500rpm(470G)の条件で10分間脱水した後、得られた重合体のウエットケーキを80℃の真空乾燥機にて24時間乾燥させて、球状のポリメタクリル酸メチル粒子を得た。
得られたポリメタクリル酸メチル粒子の粒径を光散乱光度計(大塚電子(株)製「DLS−7000」)を用いて動的散乱法により測定したところ、平均粒径は145nmであった。
【0037】
(製造例2−酸化タングステン粒子の合成)
WO3換算での濃度50質量%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液(日本無機化学工業(株)製「MW−2」;比重:1.8g/mL)8mLにメタノール4.4mLを加えてスパチュラでかるく撹拌した溶液に、製造例1で得たポリメタクリル酸メチル粒子6gを加えて混合した。
その後、得られた混合物を室温で3時間静置した後、吸引ろ過により固液分離し、得られた固形物をシャーレに移してドラフト内に放置することにより自然乾燥させた。得られた乾燥後の固形物2gを焼成炉にて5℃/分で420℃まで昇温し、空気中420℃で5時間焼成して、炭素分を燃焼除去し、酸化タングステン粒子を得た。得られた酸化タングステン粒子のBET比表面積は23m2/gであった。
【0038】
(実施例1)
製造例2で得られた酸化タングステン粒子1gを水50mLに分散し、1時間超音波処理を施した後、チタンラクテート(マツモトファインケミカル(株)製「オルガチックス TC−310」)を添加して30分撹拌した後に、ロータリーエバポレーターを用いて、およそ50℃に加熱しながら溶媒を除去した後、チタンラクテートで被覆した酸化タングステン粒子を得た。尚、チタンラクテートの添加量は、酸化タングステン(WO3)100質量部に対してチタン(Ti)として5質量部であった。
その後、前記チタンラクテートで被覆した酸化タングステン粒子を420℃で空気中で焼成して、炭素分を燃焼除去し、酸化チタン粒子で被覆した酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。
【0039】
次に、得られた酸化チタン被覆酸化タングステン粒子0.5gを水50mLに分散し、そこに白金(Pt)が酸化タングステン粒子100質量部に対して0.5質量部となるように濃度0.019mol/Lのヘキサクロロ白金酸水溶液(H2PtCl6)を入れて酸化チタン被覆酸化タングステン粒子分散液を得、アルゴンガスをこの分散液に30分間吹き込んだ後、密閉条件下で1時間光照射を行った。光源には青色の発光ダイオード(OptoSupply Limited製、 5mmΦ Blue LED 「OSUB5111A-ST」(輝度:7000 mcd、波長:470 nm))を28個用いた。
光照射後、得られた分散液にメタノール5mLを加えて、アルゴンガスを再度1時間吹き込んだ後、攪拌しながら上記と同様にして光の照射を1時間行った。
その後、得られた分散液を濾過、水洗浄、120℃で乾燥することにより、Pt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。
【0040】
このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は0.91μmol/hであった。
【0041】
(実施例2)
チタンラクテートの添加量を、酸化タングステン(WO3)100質量部に対してチタン(Ti)として10質量部とした以外は、実施例1と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は1.25μmol/hであった。
【0042】
(実施例3)
チタンラクテートの添加量を、酸化タングステン(WO3)100質量部に対してチタン(Ti)として20質量部とした以外は、実施例1と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は1.17μmol/hであった。
【0043】
(実施例4)
チタンラクテートの添加量を、酸化タングステン(WO3)100質量部に対してチタン(Ti)として30質量部とした以外は、実施例1と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は0.94μmol/hであった。
【0044】
(実施例5)
チタンラクテートの添加量を、酸化タングステン(WO3)100質量部に対してチタン(Ti)として40質量部とした以外は、実施例1と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は1.01μmol/hであった。
【0045】
(実施例6)
チタンラクテートで被覆された酸化タングステン粒子を、300℃で空気中で焼成した以外は実施例2と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は0.89μmol/hであった。
【0046】
(実施例7)
チタンラクテートで被覆された酸化タングステン粒子を、350℃で空気中で焼成した以外は実施例2と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は0.96μmol/hであった。
【0047】
(実施例8)
チタンラクテートで被覆された酸化タングステン粒子を、500℃で空気中で焼成した以外は実施例2と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は1.04μmol/hであった。
【0048】
(実施例9)
チタンラクテートで被覆された酸化タングステン粒子を、550℃で空気中で焼成した以外は実施例2と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は1.08μmol/hであった。
【0049】
(比較例1)
製造例2で得られた酸化タングステン粒子0.5gを水50mLに分散し、そこに白金(Pt)が酸化タングステン粒子100質量部に対して0.5質量部となるように濃度0.019mol/Lのヘキサクロロ白金酸水溶液(H2PtCl6)を入れて酸化タングステン粒子分散液を得、アルゴンガスをこの分散液に30分間吹き込んだ後、密閉条件下で1時間光照射を行った。光源には紫色の発光ダイオード(OptoSupply Limited製、5mmΦ Blue LED 「OSUB5111A-ST」(輝度:7000mcd、波長:470nm))を28個用いた。
光照射後、得られた分散液にメタノール5mLを加えて、アルゴンガスを再度1時間吹き込んだ後、攪拌しながら上記と同様にして光の照射を1時間行った。
その後、得られた分散液を濾過、水洗浄、120℃で乾燥することにより、Pt担持酸化タングステン粒子を得た。
【0050】
このPt担酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は0.56μmol/hであった。
【0051】
(比較例2)
チタンラクテートの添加量を、酸化タングステン(WO3)100質量部に対してチタン(Ti)として50質量部とした以外は、実施例1と同様にしてPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子酸化タングステン粒子を得た。このPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子の光触媒活性を評価したところ、可視光照射下でのトルエンの分解反応における二酸化炭素の生成速度は0.71μmol/hであった。
【0052】
実施例1〜9と比較例1及び2を比べると、酸化タングステン粒子を単独で用いるよりも、酸化チタン粒子を最適量被覆した酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を用いる方が、優れたトルエン分解能を示すことが明らかである。
【0053】
(参考例1)
実施例1〜9で得たPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を水やアルコール等の有機溶媒中に分散させて分散液を得、この分散液を天井を構成する天井材の表面に塗布し乾燥させることにより、天井材の表面に光触媒体層を形成することができ、これによって、屋内照明による光照射により屋内の空気中に含まれるトルエンなどの揮発性芳香族化合物濃度を低減することができる。
【0054】
(参考例2)
実施例1〜9で得たPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を水やアルコール等の有機溶媒中に分散させて分散液を得、この分散液を屋内の壁面に施工されたタイルに塗布し乾燥させることにより、このタイル表面に光触媒体層を形成することができ、これによって、屋内照明による光照射により屋内の空気中に含まれるトルエンなどの揮発性芳香族化合物濃度を低減することができる。
【0055】
(参考例3)
実施例1〜9で得たPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を水やアルコール等の有機溶媒中に分散させて分散液を得、この分散液を窓ガラスの屋内側表面に塗布し乾燥させることにより、このガラス表面に光触媒体層を形成することができ、これによって、屋内照明による光照射により屋内の空気中に含まれるトルエンなどの揮発性芳香族化合物濃度を低減することができる。
【0056】
(参考例4)
実施例1〜9で得たPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を水やアルコール等の有機溶媒中に分散させて分散液を得、この分散液を壁紙に塗布し乾燥させることにより、この壁紙の表面に光触媒体層を形成することができ、さらにこの壁紙を屋内の壁面に施工することによって、屋内照明による光照射により屋内の空気中に含まれるトルエンなどの揮発性芳香族化合物の濃度を低減することができる。
【0057】
(参考例5)
実施例1〜9で得たPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を水やアルコール等の有機溶媒中に分散させて分散液を得、この分散液を自動車用インストルメントパネル、自動車用シート、自動車の天井材などの自動車内装材の表面に塗布し乾燥させることにより、これら自動車内装材の表面に光触媒体層を形成することができ、これによって、車内照明による光照射により車内の空気中に含まれるトルエンなどの揮発性芳香族化合物の濃度を低減することができる。
【0058】
(参考例6)
実施例1〜9で得たPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を水やアルコール等の有機溶媒中に分散させて分散液を得、この分散液を屋内の床面に塗布し乾燥させることにより、この床面に光触媒体層を形成することができ、これによって、屋内照明による光照射により屋内の空気中に含まれるトルエンなどの揮発性芳香族化合物の濃度を低減することができる。
【0059】
(参考例7)
実施例1〜9で得たPt担持酸化チタン被覆酸化タングステン粒子を水やアルコール等の有機溶媒中に分散させて分散液を得、この分散液を衣類やカーテン等の繊維製品に塗布し乾燥させることにより、この繊維製品に光触媒体層を形成することができ、これによって、屋内照明による光照射により屋内の空気中に含まれるトルエンなどの揮発性芳香族化合物の濃度を低減することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相中の揮発性芳香族化合物を分解するための光触媒体であって、酸化タングステン粒子を主成分として含有し、前記酸化タングステン粒子の表面を酸化チタン粒子で被覆されており、前記酸化チタン粒子の被覆量が、前記酸化タングステン粒子100質量部に対して、チタン換算で3〜45質量部であることを特徴とする揮発性芳香族化合物分解用光触媒体。
【請求項2】
前記酸化タングステン粒子および前記酸化チタン粒子の少なくとも一方に電子吸引性物質およびその前駆体の少なくとも一方が担持されていることを特徴とする請求項1に記載の揮発性芳香族化合物分解用光触媒体。
【請求項3】
前記電子吸引性物質またはその前駆体が、Cu、Pt、Au、Pd、Ag、Fe、Nb、Ru、Ir、RhおよびCoから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含有してなるものである請求項2に記載の揮発性芳香族化合物分解用光触媒体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒体と分散媒とを少なくとも含む揮発性芳香族化合物分解用光触媒体分散液。
【請求項5】
基材の表面に請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒体で形成された光触媒体層を備えていることを特徴とする光触媒機能製品。

【公開番号】特開2012−110831(P2012−110831A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261667(P2010−261667)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】