説明

揺動回転試験装置

【課題】供試体を揺動させる動作と供試体を回転させる動作を同時に行うとともに、供試体を動かす可動部を所定位置に戻して保持する揺動回転試験装置を提供する。
【解決手段】揺動回転試験装置1として、架台9に対して揺動中心軸まわりに揺動するスイングアーム10と、このスイングアーム10に対して回転するスピンドル30と、このスピンドル30に対して供試体2を連結する可動治具50と、架台9に対して供試体2を連結する固定治具49とを備え、供試体2をスイングアーム10の揺動中心軸まわりに揺動させるとともに供試体2をスピンドル30の回転中心軸まわりに回転させる構成とし、スイングアーム10とスピンドル30の作動停止時にスイングアーム10とスピンドル30とをそれぞれ所定位置に保持するストッパ機構80を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばボールジョイント(機械部品)等の供試体を揺動させるとともに回転させる揺動回転試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機械部品の耐久性を試験するため、機械部品の供試体に繰り返し動作させる試験装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に開示された転がり滑り試験装置は、供試体の揺動運動を繰り返し行い、その耐久性や潤滑性能の評価を行うようになっている。
【特許文献1】特開2003−247915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の試験装置では、例えばボールジョイント等の供試体を揺動させる動作と供試体を回転させる動作を同時に行うことができない。
【0005】
また、試験装置が行う供試体の動作が複雑になると、作動停止時に供試体を動かす可動部を所定位置に戻すことが難しく、可動部が所定位置に戻されない場合、例えば供試体の取り付け取り外し作業をスムーズに行えない。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、供試体を揺動させる動作と供試体を回転させる動作を同時に行うとともに、供試体を動かす可動部を所定位置に戻して保持する揺動回転試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、揺動回転試験装置として、架台に対して揺動中心軸まわりに揺動するスイングアームと、このスイングアームに対して回転するスピンドルと、このスピンドルに対して供試体を連結する可動治具と、架台に対して供試体を連結する固定治具とを備え、供試体をスイングアームの揺動中心軸まわりに揺動させるとともに供試体をスピンドルの回転中心軸まわりに回転させる構成とし、スイングアームとスピンドルの作動停止時にスイングアームとスピンドルとをそれぞれ所定位置に保持するストッパ機構を備えたことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、揺動回転試験装置は、例えばボールジョイント等の供試体を揺動させる動作と供試体を回転させる動作を同時に行うことができる。
【0009】
そして、ストッパ機構は、供試体を動かす可動部としてスイングアームとスピンドルを所定位置に戻して保持することが可能であり、例えば供試体の取り付け取り外し作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は揺動回転試験装置1の側面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。揺動回転試験装置1は、例えばボールジョイント等の供試体2の揺動と回転作動を繰り返して行う耐久試験を行うとともに、この耐久試験の前後で供試体2のフリクション等を測定する性能試験を行うものである。
【0012】
図1に示すように、2台の揺動回転試験装置1が対称的に並んで設けられており、両者がそれぞれ独立して作動するようになっている。2台の揺動回転試験装置1は同一構造である。
【0013】
図1において、3は動作する供試体2を収容する恒温槽であり、2台の揺動回転試験装置1は共通の恒温槽3の内側で供試体2の耐久試験と性能試験をそれぞれ行うようになっている。
【0014】
図2において、6は空調ダクトであり、図示しない空調システムから供給される所定温度の空気がこの空調ダクト6を介して恒温槽3に導入され、恒温槽3の内部温度が例えば−40℃〜70℃の範囲で略一定に保たれる。
【0015】
ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が略垂直方向に延びるものとし、以下、図1において右側の揺動回転試験装置1の構成について説明する。
【0016】
揺動回転試験装置1は、架台9に対してY軸方向に延びる揺動中心軸まわりに揺動するスイングアーム10と、このスイングアーム10に対して回転するスピンドル30と、このスピンドル30に対して供試体2を連結する可動治具50と、架台9に対して供試体2を連結する固定治具49とを備え、供試体2をスイングアーム10の揺動中心軸まわりに揺動させるとともに、供試体2をスピンドル30の回転中心軸まわりに回転させるようになっている。
【0017】
図3に示すように、スイングアーム10の基端部にはロータ11が連結され、このロータ11が架台9にベアリングボックス13を介して回転可能に支持される。
【0018】
ロータ11はカップリング14を介してモータ15のモータシャフト16に連結される。モータ15の回転作動によってスイングアーム10がY軸まわりに揺動するように駆動される。
【0019】
スイングアーム10はクランク状をしており、その先端部にスピンドル30が対のベアリング31、32を介して回転可能に支持される。
【0020】
スイングアーム10、ロータ11、モータシャフト16は、それぞれ中空構造をしており、これらの内側には、図示しないモータの回転をスピンドル30に伝達する動力伝達機構として、第一シャフト35、第一ベベルギア36、第二ベベルギア37、第二シャフト38が設けられる。第一シャフト35の一端にはプーリ34が連結され、このプーリ34に掛け回されるタイミングベルトを介して図示しないモータの回転が第一シャフト35に伝達され、第一シャフト35の回転が第一ベベルギア36、第二ベベルギア37を介して第二シャフト68に伝達される。
【0021】
第二シャフト38の回転は、スパギア39、スパギア33、スパギア41を経てスピンドル30に伝達される。スパギア39は第二シャフト38の一端に連結され、スパギア41はスピンドル30に連結される。スパギア39とスパギア41は、バックラッシュレスタイプのものが用いられる。
【0022】
図5に示すように、ボールジョイントである供試体2は、互いに回動可能に嵌合する嵌合部材(ボール)4と相手部材(ケージ)5とを備え、二つの部材を回動可能に連結する自在継ぎ手として機能するものである。
【0023】
供試体2はその嵌合部材4が可動治具50に締結され、その相手部材5が固定治具49に締結される。
【0024】
図2に示すように、固定治具49に対してZ軸方向の荷重を付与するサーボアクチュエータ48と、X軸方向の荷重を付与するサーボアクチュエータ47とが設けられる。耐久試験時に、このサーボアクチュエータ48、47によって供試体2にZ軸方向とX軸方向の荷重が付与された状態で、供試体2をスイングアーム10の揺動中心軸まわりに揺動させるとともに、供試体2をスピンドル30の回転中心軸まわりに回転させる作動が繰り返し行われる。
【0025】
図5に示すように、スピンドル30と可動治具50との間には供試体2の抵抗力を計測する抵抗力計測手段として、分力センサ51とトルクセンサ52とが設けられる。性能試験時に、供試体2に負荷をかけた状態で分力センサ51、トルクセンサ52の計測値に基づいて供試体2のフリクションを測定するようになっている。
【0026】
スピンドル30と可動治具50を締結するコネクティングロッド54が設けられ、このコネクティングロッド54にリング状の分力センサ51とトルクセンサ52とが並んで嵌合して設けられる。分力センサ51は、スイングアーム10を揺動させたときに供試体2のフリクションにより発生するX、Yの2軸方向の分力を計測するものである。トルクセンサ52はスピンドル30により供試体2を回転させたときに供試体2のフリクションにより発生するZ軸まわりの抵抗をトルクとして計測するものである。
【0027】
耐久試験時に、分力センサ51とトルクセンサ52を保護するため、可動治具50とスピンドル30との相対変位を規制するロック部材53と、このロック部材53を規制位置と解除位置とに切り換えて保持するロック切り換え機構55とが設けられる。
【0028】
コネクティングロッド54はその一端がスピンドル30に螺合して締結され、その他端に螺合するセンサ締め付け用ナット79を介してガイドブロック56が締結される。このガイドブロック56にはスペーサ57が締結され、このスペーサ57に可動治具50が締結される。
【0029】
円環状のロック部材53は円柱状のガイドブロック56の外周面に摺動可能に嵌合される。ガイドブロック56にはキー58が締結され、ロック部材53にはこのキー58に係合する溝59が形成され、ガイドブロック56に対するロック部材53の回転が係止される。これにより、ガイドブロック56はロック部材53をスピンドル30の回転軸方向にのみ移動可能に支持する。
【0030】
ロック部材53は円錐面状のカム面60が形成され、スピンドル30にはこのカム面60が嵌合する円錐面状の支持面61が形成される。ロック部材53が図5に示すように規制位置にある状態ではカム面60が支持面61に嵌合し、可動治具50とスピンドル30の相対変位を規制する。ロック部材53がこの規制位置から下降して解除位置に切り換えられると、カム面60が支持面61から離れ、可動治具50とスピンドル30の相対変位が規制されない。
【0031】
ロック切り換え機構55は、ロック部材53の外周に螺合する螺旋リング65と、この螺旋リング65をガイドブロック56に対して回転可能に支持する切り換えリング62と、この切り換えリング62を介して螺旋リング65を正逆両方向に回動させるロック切り換えアクチュエータ70(図2参照)とを備える。
【0032】
ロック部材53の外周面には2条の螺旋溝66が形成され、螺旋リング65の内周面には2条の螺旋突起67が形成され、各螺旋溝66に各螺旋突起67が摺動可能に嵌合している。
【0033】
円盤状をした切り換えリング62の内周面には環状突起63が形成され、この環状突起63がガイドブロック56とスペーサ57との間に形成される環状溝に摺動可能に嵌合している。
【0034】
切り換えリング62はその外周部から突出する一対の肩部64を有し、ロック切り換えアクチュエータ70がいずれか一方の肩部64を押すことにより切り換えリング62が回動するようになっている。
【0035】
なお、螺旋リング65と切り換えリング62とを一体形成してもよい。
【0036】
図2に示すように、ロック切り換えアクチュエータ70は恒温槽3の外側に設けられ、恒温槽3の隔壁3aを貫通するロッド71を介して切り換えリング62の肩部64をX軸方向に押すようになっている。一対のロック切り換えアクチュエータ70と一対のロッド71がY軸方向に並んで設けられ、一方のロック切り換えアクチュエータ70がロッド71を介して一方の肩部64を押すことにより切り換えリング62が正方向に回動し、他方のロック切り換えアクチュエータ70がロッド71を介して他方の肩部64を押すことにより切り換えリング62が逆方向に回動し、ロック部材53が規制位置と解除位置に切り換えられる。この切り換え作動時は、スイングアーム10が中立位置にあり、スピンドル30の回転が止められた状態で行われる。
【0037】
ロック部材53をガイドブロック56に対して規制位置と解除位置とにて係止する複数のディテント機構72が設けられる。このディテント機構72は、スプリングの付勢力により突出するボールをガイドブロック56の外周面に形成された凹部に係合させるものである。
【0038】
耐久試験時に、図5に示すように、ロック部材53はそのカム面60がスピンドル30の支持面61に嵌合する規制位置に保持され、可動治具50とスピンドル30の相対変位を規制する。この状態で、耐久試験時に供試体2にかかる荷重は、可動治具50とロック部材53とスピンドル30によって支持されるため、分力センサ51とトルクセンサ52に曲げモーメントがかからないように保護される。
【0039】
性能試験時に、ロック部材53がこの規制位置から下降して解除位置に切り換えられ、カム面60が支持面61から離れ、可動治具50とスピンドル30の相対変位が規制されない。この状態で、性能試験時に供試体2の摩擦抵抗力によって、分力センサ51に水平方向(X、Y軸方向)の力がかかり、そしてトルクセンサ52にZ軸まわりの回転トルクがかかり、分力センサ51、トルクセンサ52との計測値に基づいて供試体2のフリクションを測定するようになっている。
【0040】
ロック部材53の位置が切り換えられるロック切り換え機構55の作動時に、スイングアーム10とスピンドル30の動きを係止するストッパ機構80が設けられる。
【0041】
ストッパ機構80は、スイングアーム10の揺動を係止する揺動ストッパピン81と、スピンドル30の回転を係止する回転ストッパピン91と、揺動ストッパピン81と回転ストッパピン91とをそれぞれX軸方向に移動させる移動フレーム98と、この移動フレーム98を駆動するストッパ切り換えアクチュエータ99とを備える。
【0042】
図4に示すように、揺動ストッパピン81はその基端部が移動フレーム98に締結され、その中程が軸受82を介して架台9に摺動可能に支持される。揺動ストッパピン81のまわりにはコイル状のリターンスプリング78が介装され、揺動ストッパピン81はリターンスプリング78の付勢力により図4に実線で示す待避位置に付勢されている。
【0043】
スイングアーム10にはストッパ穴85が開口したストッパプレート84が締結される。
【0044】
揺動ストッパピン81は、恒温槽3の隔壁3aを貫通して設けられ、図4に2点鎖線で示すように、係止位置に移動すると、その先端部がストッパ穴85に嵌合し、スイングアーム10の揺動を係止し、スイングアーム10が図2に実線で示す中立位置に保持される。
【0045】
回転ストッパピン91はスイングアーム10に一対の軸受92、93を介して摺動可能に支持される。回転ストッパピン91のまわりにはコイル状のリターンスプリング94が介装され、回転ストッパピン91はリターンスプリング94の付勢力により図4に実線で示す待避位置に付勢されている。
【0046】
スピンドル30の先端軸部にはストッパ穴95が開口したストッパプレート96が締結される。
【0047】
回転ストッパピン91は、図4に2点鎖線で示すように、係止位置に移動すると、その先端部がストッパ穴95に嵌合し、スピンドル30の回転を係止する。
【0048】
図3に示すように、ストッパ切り換えアクチュエータ99はそのモータ100の回転がロッド101がY軸方向に移動する動きに変換される電動シリンダが用いられる。ストッパ切り換えアクチュエータ99のロッド101にロッド104を介して移動フレーム98が連結される。ロッド104はその中程が軸受105を介して架台9に摺動可能に支持される。
【0049】
移動フレーム98には中継ピン102が締結され、この中継ピン102が回転ストッパピン91の基端部を押すようになっている。中継ピン102は恒温槽3の隔壁3aを貫通して設けられ、その中程が軸受103を介して架台9に摺動可能に支持されている。
【0050】
図4において、移動フレーム98が実線で示す待避位置から所定の揺動係止ストロークSt1だけ左方向に移動すると、揺動ストッパピン81の先端部がストッパ穴85に嵌合してスイングアーム10の揺動を係止する。
【0051】
図4において、移動フレーム98が実線で示す待避位置から所定の回転係止ストロークSt2だけ左方向に移動すると、中継ピン102が回転ストッパピン91の基端部を押して回転ストッパピン91の先端部がストッパ穴95に嵌合し、スピンドル30の回転を係止する。
【0052】
揺動係止ストロークSt1は回転係止ストロークSt2より所定長さだけ短く設定され、移動フレーム98が図4において左方向に移動する過程で、揺動ストッパピン81の先端部がストッパ穴85に嵌合してスイングアーム10の揺動を係止した後、回転ストッパピン91の先端部がストッパ穴95に嵌合し、スピンドル30の回転を係止するように構成される。
【0053】
揺動回転試験装置1は、供試体2をスイングアーム10の揺動中心軸まわりに揺動させるとともに、供試体2をスピンドル30の回転中心軸まわりに回転させる試験時、ストッパ機構80の揺動ストッパピン81と回転ストッパピン91が待避位置にあり、スイングアーム10とスピンドル30の動作に干渉しない。
【0054】
ロック切り換え機構55の作動時に、図示しないコントローラがモータ15の作動を制御してスイングアーム10を中立位置に停止させるとともに、図示しないモータの作動を制御してスピンドル30を中立位置に停止させた後、モータ100の作動を制御してストッパ機構80を作動させ、揺動ストッパピン81がスイングアーム10の揺動を係止するとともに、回転ストッパピン91がスピンドル30の回転を係止する。これにより、ロック切り換えアクチュエータ70がロッド71を押し出すことにより、ロッド71が切り換えリング62の肩部64を押し、切り換えリング62を回動させ、ロック部材53の位置が切り換えられる。
【0055】
揺動回転試験装置1の作動を停止する時、図示しないコントローラがモータ15の作動を制御してスイングアーム10を中立位置に停止させるとともに、図示しないモータの作動を制御してスピンドル30を中立位置に停止させた後、モータ100の作動を制御してストッパ機構80を作動させ、揺動ストッパピン81がスイングアーム10の揺動を係止するとともに、回転ストッパピン91がスピンドル30の回転を係止する。これにより、揺動回転試験装置1の電源を切っても、ストッパ機構80によってスイングアーム10とスピンドル30とがそれぞれ中立位置に保持され、供試体2を可動治具50と固定治具49に取り付けたり、取り外す作業を所定の手順で行うことができる。
【0056】
また、揺動回転試験装置1は、固定治具49に対してZ軸方向の荷重を付与するサーボアクチュエータ48と、このサーボアクチュエータ48のストローク量を計測する微少変位センサ(図示省略)とを備え、供試体2が有するZ軸方向のガタ量を計測するようになっており、このガタ量の計測を供試体2の耐久試験に続いて行うことができる。なお、このガタ量を計測する微少変位センサは、供試体2の耐久試験時にサーボアクチュエータ48の可動部から離されて保護されるようになっている。
【0057】
さらに、揺動回転試験装置1は、固定治具49に対してX軸方向の荷重を付与するサーボアクチュエータ47と、このサーボアクチュエータ47のストローク量を計測する微少変位センサ(図示省略)とを備え、供試体2が有するX軸方向のガタ量を計測するようになっており、このガタ量の計測を供試体2の耐久試験に続いて行うことができる。なお、このガタ量を計測する微少変位センサは、供試体2の耐久試験時にサーボアクチュエータ47の可動部から離されて保護されるようになっている。
【0058】
本実施の形態では、揺動回転試験装置1として、架台9に対して揺動中心軸まわりに揺動するスイングアーム10と、このスイングアーム10に対して回転するスピンドル30と、このスピンドル30に対して供試体2を連結する可動治具50と、架台9に対して供試体2を連結する固定治具49とを備え、供試体2をスイングアーム10の揺動中心軸まわりに揺動させるとともに供試体2をスピンドル30の回転中心軸まわりに回転させる構成とし、スイングアーム10とスピンドル30の作動停止時にスイングアーム10とスピンドル30とをそれぞれ所定位置に保持するストッパ機構80を備える。
【0059】
これにより、揺動回転試験装置1は、供試体2を揺動させる動作と供試体2を回転させる動作を同時に行うことができる。
【0060】
そして、ストッパ機構80は、スイングアーム10とスピンドル30の作動停止時にスイングアーム10とスピンドル30とをそれぞれ所定位置に保持する。このため、供試体2の取り付け取り外し作業が容易に行われるとともに、可動治具50とスピンドル30との相対変位を規制するロック部材53の作動を切り換える動作を自動的に行うことが可能となる。
【0061】
本実施の形態では、ストッパ機構80は、スイングアーム10の揺動を係止する揺動ストッパピン81と、スピンドル30の回転を係止する回転ストッパピン91と、揺動ストッパピン81と回転ストッパピン91とをそれぞれ同一軸方向に移動させてスイングアーム10とスピンドル30の動きをそれぞれ係止する移動フレーム98と、この移動フレーム98を駆動するストッパ切り換えアクチュエータ99とを備える。
【0062】
これにより、単一のストッパ切り換えアクチュエータ99の作動によってスイングアーム10とスピンドル30とをそれぞれ所定位置に保持することが可能となり、揺動回転試験装置1におけるアクチュエータの使用数が削減されるとともに、揺動回転試験装置1の省スペース化がはかれる。
【0063】
本実施の形態では、揺動ストッパピン81がスイングアーム10の揺動を係止する揺動係止ストロークSt1を、中継ピン102がスピンドル30の回転を係止する回転係止ストロークSt2より短く設定する。
【0064】
これにより、移動フレーム98が待避位置から係止位置へて移動する過程で、揺動ストッパピン81がスイングアーム10の揺動を係止した後、回転ストッパピン91がスピンドル30の回転を係止し、これらの作動が円滑に行われる。
【0065】
本実施の形態では、動作する供試体2を収容する恒温槽3を備え、ストッパ切り換えアクチュエータ99と移動フレーム98とを恒温槽3の外側に設け、揺動ストッパピン81が恒温槽3の隔壁3aを貫通して設けられ、回転ストッパピン91は恒温槽3の内側にてスイングアーム10に摺動可能に支持され、移動フレーム98の動きを回転ストッパピン91に伝える中継ピン102が恒温槽3の隔壁3aを貫通して設けられる。
【0066】
これにより、恒温槽3の外側に設けられるストッパ切り換えアクチュエータ99は、恒温槽3の高温ないしは極低温の雰囲気にさらされることがなく、揺動ストッパピン81と恒温槽3の内側に設けられる回転ストッパピン91とをそれぞれ作動させることができる。
【0067】
本実施の形態では、動作する供試体2を収容する恒温槽3と、スピンドル30の回転とスイングアーム10の揺動により供試体2に発生する抵抗力を計測する抵抗力計測手段(分力センサ51、トルクセンサ52)と、可動治具50とスピンドル30との相対変位を規制するロック部材53と、このロック部材53を規制位置と解除位置とに切り換えて保持するロック切り換え機構55と、このロック切り換え機構55を作動させるロック切り換えアクチュエータ70とを備え、ロック切り換えアクチュエータ70を恒温槽3の外側に設け、ストッパ機構80がスイングアーム10とスピンドル30とをそれぞれ所定位置に保持した状態でロック切り換えアクチュエータ70がロック切り換え機構55を作動させる構成とした。
【0068】
これにより、恒温槽3の外側に設けられるロック切り換えアクチュエータ70は、恒温槽3の高温ないしは極低温の雰囲気にさらされることがなく、可動治具50とスピンドル30との相対変位を規制するロック部材53の作動を切り換えることができる。
【0069】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態を示す揺動回転試験装置の側面図。
【図2】同じく図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】同じくスイングアーム等の断面図。
【図4】同じくストッパ機構の側面図。
【図5】同じくロック切り換え機構の側面図。
【符号の説明】
【0071】
1 揺動回転試験装置
2 供試体
3 恒温槽
3a 隔壁
9 架台
10 スイングアーム
30 スピンドル
49 固定治具
50 可動治具
51 分力センサ
52 トルクセンサ
53 ロック部材
55 ロック切り換え機構
80 ストッパ機構
81 揺動ストッパピン
91 回転ストッパピン
98 移動フレーム
99 ストッパ切り換えアクチュエータ
102 中継ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に対して揺動中心軸まわりに揺動するスイングアームと、
このスイングアームに対して回転するスピンドルと、
このスピンドルに対して供試体を連結する可動治具と、
前記架台に対して前記供試体を連結する固定治具とを備え、
前記供試体を前記スイングアームの揺動中心軸まわりに揺動させるとともに前記供試体を前記スピンドルの回転中心軸まわりに回転させる構成とし、
前記スイングアームと前記スピンドルの作動停止時に前記スイングアームと前記スピンドルとをそれぞれ所定位置に保持するストッパ機構を備えたことを特徴とする揺動回転試験装置。
【請求項2】
前記ストッパ機構は、
前記スイングアームの揺動を係止する揺動ストッパピンと、
前記スピンドルの回転を係止する回転ストッパピンと、
前記揺動ストッパピンと前記回転ストッパピンとをそれぞれ同一軸方向に移動させて前記スイングアームと前記スピンドルの動きをそれぞれ係止する移動フレームと、
この移動フレームを駆動するストッパ切り換えアクチュエータとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の揺動回転試験装置。
【請求項3】
前記揺動ストッパピンが前記スイングアームの揺動を係止する揺動係止ストロークを、前記中継ピンが前記スピンドルの回転を係止する回転係止ストロークより短く設定したことを特徴とする請求項2に記載の揺動回転試験装置。
【請求項4】
前記供試体を収容する恒温槽を備え、
前記ストッパ切り換えアクチュエータと前記移動フレームとを前記恒温槽の外側に設け、
前記揺動ストッパピンを前記恒温槽の隔壁を貫通して設け、
前記回転ストッパピンを前記恒温槽の内側にて前記スイングアームに摺動可能に支持し、
前記移動フレームの動きを前記回転ストッパピンに伝える中継ピンを前記恒温槽の前記隔壁を貫通して設けたことを特徴とする請求項3に記載の揺動回転試験装置。
【請求項5】
前記供試体を収容する恒温槽と、
前記スピンドルの回転とスイングアームの揺動により供試体に発生する抵抗力を計測する抵抗力計測手段と、
前記可動治具と前記スピンドルとの相対変位を規制するロック部材と、
このロック部材を規制位置と解除位置とに切り換えて保持するロック切り換え機構と、
このロック切り換え機構を作動させるロック切り換えアクチュエータとを備え、
このロック切り換えアクチュエータを前記恒温槽の外側に設け、
前記ストッパ機構が前記スイングアームと前記スピンドルとをそれぞれ所定位置に保持した状態で前記ロック切り換えアクチュエータが前記ロック切り換え機構を作動させる構成としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の揺動回転試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−294075(P2009−294075A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147796(P2008−147796)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(304039065)カヤバ システム マシナリー株式会社 (185)
【Fターム(参考)】