説明

揺動支持構造

【課題】 シビアな寸法管理をしなくても、滑りを確実に防止することができる揺動支持構造を提供する。
【解決手段】 先端に金属製の球状部が形成される第一支持体と、前記球状部を挟持して前記第一支持体を揺動可能に固定する一対の金属製の受部が形成される第二支持体と、前記受部同士を接近させるように前記第二支持体を締め付ける締付体と、を備えてなり、前記球状部及び/又は前記受部の表面に軟質樹脂コーティング層が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、照明器具等を固定部に揺動可能に支持するための揺動支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示されるように、固定具を備えた作業用照明器具において、固定具1により照明器具本体2を角度調整可能に支持するための揺動支持構造3が採用されている。揺動支持構造3は、クリップ形状の固定具1に固定される第一支持体4と、照明器具本体2に固定される第二支持体5と、第二支持体5を締め付ける締付体6を備えてなる。
【0003】
第一支持体4は、図4に示されるように、金属製の軸体であって、基端4aが固定具1に固着されており、先端4bに球状部41が一体形成される。第二支持体5は、図4に示されるように、プレス加工された一対の金属製の支持片7,7からなり、それらの基端7a,7aには、照明器具本体2のソケット部21(図3)を挟持固定する挟持部71,71が形成され、先端7b,7bには、球状部41を挟持して第一支持体4を揺動可能に固定する受部72,72が形成されている。なお、受部72の内側表面には、球状部41に対応する球面状の凹曲面が形成されている。
【0004】
締付体6は、ボルト61とこれに組み合わされるナット62からなり、ボルト61を支持片7,7の長手方向の中間部(基端7aと先端7bの中間部)に形成される貫通穴73,73に挿通し、これをナット62で締め付けて、支持片7の挟持部71同士及び受部72同士を接近させることができるようになっている。すなわち、締付体6で第二支持体5を締め付けることにより、図5に示されるように、ソケット部21を一対の挟持部71,71で挟持固定するとともに、球状部41を一対の受部72,72で挟持固定することを可能としている。そして、照明器具の角度調整は、ナット62を緩めて第一支持体4を第二支持体5に対して揺動させ、固定具1に対する照明器具本体2の固定角度を決定した後で、ナット62を再度締め付けることにより行う。
【0005】
ところで、かかる揺動支持構造により支持される照明器具本体が大きい場合には、その重みで球状部41と受部72,72の間にすべりが生じて、照明器具の支持角度を一定に維持することができないという問題がある。これへの対応手段として、球状部の表面や受部の内側面をサンドブラスト処理で荒らしたり、球状部と受部の嵌合をきつく設定したりすることにより、両者の接触抵抗を大きくして滑りを防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−191689号公報(段落0013)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記揺動支持構造のように支持片7,7が板金プレスしたものである等の理由で、受部72の凹曲面の加工精度を確保できない場合には、図5に示されるように、球状部41と受部72間の沿いが悪く、両者の接触面積が小さくなるため、サンドブラスト処理や嵌合の程度を強く設定しても大した効果が得られない。球状部41と受部72の沿いを良くするために、加工精度を上げるには、シビアな寸法管理が必要となり、生産性が悪くなるという問題がある。また、単品の加工精度を上げても、上記揺動支持構造のように第二支持体5が別々の支持片7,7で構成される場合には、組立状態における支持片7どうしの相互位置関係により、球状部41と受部72の沿いを確保できないことがある。
【0007】
さらに、球状部41と受部72の沿いを良くしてサンドブラスト処理を施しても、球状部41と受部72の間の接触面積は小さくなることから、接触抵抗を期待したほど大きくすることはできず、滑り対策としては十分でなかった。しかも、サンドブラスト処理する方法は、相応の設備が必要となる。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、シビアな寸法管理をしなくても、滑りを確実に防止することができる揺動支持構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、先端に金属製の球状部が形成される第一支持体と、前記球状部を挟持して前記第一支持体を揺動可能に固定する一対の金属製の受部が形成される第二支持体と、前記受部同士を接近させるように前記第二支持体を締め付ける締付体と、を備えてなり、前記球状部及び/又は前記受部の表面に軟質樹脂コーティング層が形成されていることを特徴とする揺動支持構造を提供する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の揺動支持構造において、前記軟質樹脂コーティング層は、前記第一支持体又は前記第二支持体を溶融樹脂に浸すことにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の揺動支持構造を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1記載の揺動支持構造によれば、以下の優れた効果を奏する。締付体で第二支持体を締め付けることにより、球状部及び/又は受部の表面に形成される軟質樹脂コーティング層が弾性変形して、球状部と受部の双方に密着することになる。その結果、球状部と受部の接触抵抗が増大して、両者の相対的な滑りを防止することができる。特に、球状部と受部の双方が金属製であるため、軟質樹脂コーティング層を押し潰すようにして確実に弾性変形させることができるものである。
【0012】
本発明の請求項2記載の揺動支持構造によれば、請求項1に記載の揺動支持構造が奏する効果に加えて、以下の優れた効果を奏する。軟質樹脂コーティング層は、第一支持体又は第二支持体を溶融樹脂に浸すことにより形成されるので、きわめて容易に加工処理できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1〜2は本発明を実施する形態の一例であって、基本的な構成は図3〜5に示す従来のものと同じである。そこで、従来のものと同一の部分については、同一の符号を付すとともに、詳細な説明を省略する。
【0015】
本実施形態に係る揺動支持構造3は、図1に示されるように、固定具1に固定される第一支持体4と、照明器具本体2に固定される第二支持体8と、第二支持体5を締め付けるための締付体6を備えてなる。第一支持体4は、金属製の軸体であって、基端4aが固定具1に固着され、先端4bに球状部41が一体形成される。
【0016】
第二支持体5は、表面全体を軟質樹脂でコーティングされた一対の金属製の支持片9,9からなる。軟質樹脂コーティング層94は、溶融した軟質樹脂に支持片9を浸すことにより形成される。各支持片9は、その基端9aに、照明器具本体2の筒状のソケット部21を挟持固定する挟持部91,91が形成され、先端9b,9bには、球状部41を挟持して第一支持体4を揺動可能に固定する受部92,92が形成されている。なお、受部92の内側表面には、球状部41に対応する球面状の凹曲面が形成されている。
【0017】
締付体6は、ボルト61を各支持片9の長手方向の中間部に形成される各貫通穴93に挿通してナット62で第二支持体8を締め付ける。これによって、図2に示されるように、ソケット部21を一対の挟持部91,91で挟持固定するとともに、球状部41を一対の受部92,92で挟持固定することができる。したがって、照明器具の角度調整は、ナット62を緩めて第一支持体4を第二支持体8に対して揺動させ、照明器具本体2の固定角度を決定し、ナット62を再度締め付けることにより行う。
【0018】
本実施形態に係る揺動支持構造3は、上記のように構成されるので、球状部41を第二支持体8で挟持固定し、締付体6で締め付けることにより、受部92の表面に形成される軟質樹脂コーティング層94が球状部41と受部92で押し潰されるように弾性変形する。これにより、軟質樹脂コーティング層94は、図2に示されるように、球状部41と受部92の双方に密着することとなり、その結果、両者は接触抵抗を増大させ、相対的な滑りが生じにくくなるものである。なお、球状部41と受部92は、ともに金属製で硬いため、軟質樹脂コーティング層94を確実に弾性変形させることができるものである。
【0019】
なお、第二支持体8(支持片9)は金属製部品であり、この表面に軟質樹脂コーティング層94を形成するだけで良いから、成形型を準備したり、接着剤を塗布したりする必要がなく、安価に製作することができるものである。特に、本実施形態に係る揺動支持構造3のように、軟質樹脂を溶融させて、これに支持片9を浸すようにした場合には、複雑な設備を使用することなく、きわめて容易に加工処理することができるものである。
【0020】
〔上記実施形態の変形例〕
上記実施形態では、第二支持体8の表面全体に軟質樹脂コーティング層94を形成することとしたが、少なくとも受部92の内側表面に形成されていれば良い。また、受部92ではなく、球状部41側に軟質樹脂コーティング層を形成するようにしても同様の効果を得ることができる。もちろん、受部92と球状部41の双方に軟質樹脂コーティング層を形成しても良い。
【0021】
上記実施形態では、軟質樹脂コーティング層94を形成するために、支持片9を溶融樹脂槽に浸す方法を用いたが、例えば、熱を加えることにより収縮する樹脂で形成されるチューブを支持片9にかぶせて、ヒーター等で加熱することにより、支持片9とチューブを密着させるようにしても良い。このようにすれば、製造設備として、チューブをかぶせた金属部品を加熱するヒーターを追加するだけで済むという利点がある。
【0022】
その他、本発明の揺動支持構造は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る揺動支持構造の分解斜視図。
【図2】本実施形態に係る揺動支持構造であって、従来技術における図5に相当する断面図。
【図3】従来の揺動支持構造が取り付けられた照明器具。
【図4】従来の揺動支持構造の分解斜視図。
【図5】図3のA−A断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 固定具
2 照明器具本体
3 揺動支持構造
4 第一支持体
4a 基端
4b 先端
8 第二支持体
9 支持片
9a 基端
9b 先端
21 ソケット部
41 球状部
61 ボルト
62 ナット
91 挟持部
92 受部
93 貫通穴
94 軟質樹脂コーティング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に金属製の球状部が形成される第一支持体と、前記球状部を挟持して前記第一支持体を揺動可能に固定する一対の金属製の受部が形成される第二支持体と、前記受部同士を接近させるように前記第二支持体を締め付ける締付体と、を備えてなり、前記球状部及び/又は前記受部の表面に軟質樹脂コーティング層が形成されていることを特徴とする揺動支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動支持構造において、
前記軟質樹脂コーティング層は、前記第一支持体又は前記第二支持体を溶融樹脂に浸すことにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の揺動支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−194278(P2006−194278A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4248(P2005−4248)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(591022243)株式会社フジマック (5)
【Fターム(参考)】