説明

揺動椅子

【課題】使用者の身体のより広い範囲を揺動させることのできる揺動椅子を提供する。
【解決手段】揺動椅子1は、臀部を支持する座部21と、脚を支持するオットマン22と、背中を支持する背もたれ23とを備えている。オットマン22には、第1揺動機構50が設けられ、かつ座部21には、第1揺動機構50の揺動に連動して本体フレーム11に対して揺動する第2揺動機構60が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臀部を支持する座部と、脚を支持するオットマンと、背中を支持する背もたれとが設けられる本体部を含み、座部とオットマンとが個別に形成されている揺動椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
上記揺動椅子として、例えば特許文献1のように使用者の脚が載せられるオットマンを揺動させる機能を備えるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−328262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、揺動椅子において使用者の身体をほぐす効果を高めるには、身体のより広い範囲を揺動させることが好ましい。しかし、特許文献1の揺動椅子は揺動可能な部位が脚に限られているため、身体をほぐす効果が高いものとは言い難い。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の身体のより広い範囲を揺動させることのできる揺動椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段を以下に記載する。
・本発明の揺動椅子は、臀部を支持する座部と、脚を支持するオットマンと、背中を支持する背もたれとが設けられた本体部を含み、前記座部と前記オットマンとが個別に形成され、前記オットマンおよび前記背もたれの少なくとも一方をアクチュエータにより前記本体部に対して揺動させる第1揺動機構が前記本体部に設けられていること、前記第1揺動機構の揺動に連動して前記座部および前記オットマンおよび前記背もたれの少なくとも1つを前記本体部に対して揺動させる第2揺動機構が設けられていること、ならびに下記(条件A)、(条件B)および(条件C)のいずれか1つに該当することを要旨とする。
(条件A)「前記第1揺動機構が前記オットマンおよび前記背もたれのうちの前記オットマンのみを揺動させるものとして設けられ、かつ前記第2揺動機構が前記座部および前記背もたれの少なくとも一方を揺動させるものとして設けられている」
(条件B)「前記第1揺動機構が前記オットマンおよび前記背もたれのうちの前記背もたれのみを揺動させるものとして設けられ、かつ前記第2揺動機構が前記座部および前記オットマンの少なくとも一方を揺動させるものとして設けられている」
(条件C)「前記第1揺動機構が前記オットマンおよび前記背もたれの両方を揺動させるものとして設けられ、かつ前記第2揺動機構が前記座部を揺動させるものとして設けられている」
・この揺動椅子においては、前記座部および前記背もたれおよび前記オットマンの少なくとも1つには、前記本体部に対する傾斜角度を変更する角度調整機構が設けられていることが好ましい。
【0007】
・この揺動椅子においては、使用者を施療するための施療子を含むことが好ましい。
・この揺動椅子においては、前記本体部に接続されて前記第2揺動機構の揺動方向に伸縮するばねが前記第2揺動機構に設けられていることが好ましい。
【0008】
・この揺動椅子においては、前記第1揺動機構が左右方向に揺動することが好ましい。
・この揺動椅子においては、前記第2揺動機構の揺動方向を一方向に規定する方向規定機構が設けられていることが好ましい。
【0009】
・この揺動椅子においては、前記第2揺動機構が中立位置を基準として前記本体部に対して揺動すること、ならびに、前記中立位置以外の位置にある前記第2揺動機構を前記中立位置に移動させる力を同第2揺動機構に付与する復帰機構が設けられていることが好ましい。
【0010】
・この揺動椅子においては、前記座部および前記背もたれおよび前記オットマンのうちの前記第2揺動機構が設けられているものには、前記本体部に対する前記第2揺動機構の揺動が可能な状態と前記本体部に対する前記第2揺動機構の揺動が不能な状態とを切り替えるロック機構が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の揺動椅子によれば、使用者の身体のより広い範囲を揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の揺動椅子の第1実施形態について、その側面構造を模式的に示す側面図。
【図2】同実施形態の揺動椅子について、第1揺動機構の分解斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態の揺動椅子について、第1揺動機構の平面構造を示す平面図。
【図4】同実施形態の揺動椅子について、第2揺動機構を背面側から見た分解斜視構造を示す斜視図。
【図5】同実施形態の揺動椅子について、第2揺動機構の分解斜視構造を示す斜視図。
【図6】同実施形態の揺動椅子について、第2揺動機構およびその周辺の平面構造を示す平面図。
【図7】同実施形態の揺動椅子について、ロック機構の断面構造を示す断面図。
【図8】同実施形態の揺動椅子について、使用者が揺動椅子を使用した状態を模式的に示す模式図。
【図9】本発明の揺動椅子の第2実施形態について、背もたれの分解斜視構造を示す斜視図。
【図10】同実施形態の揺動椅子について、第2揺動機構を背面側から見た分解斜視構造を示す斜視図。
【図11】本発明の揺動椅子の第3実施形態について、第2揺動機構およびその周辺の正面構造を示す正面図。
【図12】本発明の揺動椅子のその他の実施形態について、第2揺動機構およびその周辺の正面構造を示す正面図。
【図13】本発明の揺動椅子のその他の実施形態について、第2揺動機構およびその周辺の正面構造を示す正面図。
【図14】本発明の揺動椅子のその他の実施形態について、第2揺動機構およびその周辺の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、揺動椅子1は、床面2に載せられる本体フレーム11と、この本体フレーム11に接続される脚フレーム12および背フレーム13とを備えている。
【0014】
本体フレーム11には、使用者の臀部を支持する座部21が設けられている。脚フレーム12には、使用者の脚を支持するオットマン22が設けられている。背フレーム13には、使用者の背中を支持する背もたれ23が設けられている。
【0015】
座部21、オットマン22および背もたれ23には、クッション材とこのクッション材を覆うカバーとが設けられている。オットマン22は、脚フレーム12を介して本体フレーム11に設けられている。背もたれ23は、背フレーム13を介して本体フレーム11に設けられている。なお、本体フレーム11は「揺動椅子の本体部」に相当する。
【0016】
脚フレーム12とオットマン22との間には、オットマン22を脚フレーム12に対して左右方向に揺動させる第1揺動機構50が設けられている。本体フレーム11と座部21との間には、座部21を本体フレーム11に対して左右方向に揺動させる第2揺動機構60が設けられている。
【0017】
以下では、床面2に直交する方向を「上下方向」とし、上下方向のうちの床面2から離れる方向を「上方」とし、上下方向のうちの床面2に近づく方向を「下方」とする。また、揺動椅子1の幅方向に沿う方向を「左右方向」とし、揺動椅子1に使用者が座した状態の使用者から見て左側に向かう方向を「左方」とし、右側に向かう方向を「右方」とする。また、上下方向および左右方向に直交する方向を「前後方向」とし、前後方向のうちの背もたれ23からオットマン22に向かう方向を「前方」とし、前後方向のうちのオットマン22から背もたれ23に向かう方向を「後方」とする。
【0018】
本体フレーム11には、枠形状の本体部31が設けられている。本体部31の四隅には、本体部31から下方に向けて延びる脚部32が設けられている。また、本体部31の四隅のうちの前方の2箇所には、本体部31から前方に向けて突出する一対の第1接続部33が設けられている。本体部31の四隅のうちの後方の2箇所には、本体部31から後方に向けて突出する一対の第2接続部34が設けられている。また、本体部31の前後方向の中央の部分には、下方に向かい延びる固定フレーム35が設けられている。
【0019】
第1接続部33には、左右方向に沿うように回転軸11Aが設けられている。回転軸11Aには、同軸11Aに対する回転が可能な状態で脚フレーム12が取り付けられている。脚フレーム12が回転軸11Aまわりで回転することにより、本体フレーム11に対する脚フレーム12の姿勢が変化する。
【0020】
第2接続部34には、左右方向に沿うように回転軸11Bが設けられている。回転軸11Bには、同軸11Bに対する回転が可能な状態で背フレーム13が取り付けられている。背フレーム13が回転軸11Bまわりで回転することにより、本体フレーム11に対する背フレーム13の姿勢が変化する。
【0021】
以下では、上下方向および前後方向をそれぞれ縦軸および横軸とする仮想の平面を基準面とし、揺動椅子1において基準面と平行な断面を基準断面とする。
また、基準断面において、第1接続部33の中心線と脚フレーム12の中心線とが成す角を「脚フレーム回転角TA」とし、第2接続部34の中心線と背フレーム13の中心線とが成す角を「背フレーム回転角TB」とする。脚フレーム回転角TAは、本体フレーム11に対する脚フレーム12の回転位置を示すパラメータに相当する。背フレーム回転角TBは、本体フレーム11に対する背フレーム13の回転位置を示すパラメータに相当する。
【0022】
座面21Aに対する脚フレーム12の姿勢は、「平行姿勢」および「下方傾斜姿勢」および「上方傾斜姿勢」の3つに分類される。平行姿勢は、脚フレーム12の中心線が第1接続部33の中心線に平行しているときの脚フレーム12の姿勢を示す。下方傾斜姿勢は、脚フレーム12の中心線が第1接続部33の中心線に対して後方から前方に向かうにつれて上方から下方に向けて傾斜した脚フレーム12の姿勢を示す。上方傾斜姿勢は、脚フレーム12の中心線が第1接続部33の中心線に対して後方から前方に向かうにつれて下方から上方に向けて傾斜した脚フレーム12の姿勢を示す。
【0023】
脚フレーム12が平行姿勢のとき、脚フレーム回転角TAは「0°」となる。脚フレーム12が下方傾斜姿勢のとき、脚フレーム回転角TAは正の角度となる。脚フレーム12が上方傾斜姿勢のとき、脚フレーム回転角TAは負の角度となる。
【0024】
脚フレーム回転角TAは、正の角度のうちの最も大きい角度を「正の最大回転角度TAP」とし、負の角度のうちの最も大きい角度を「負の最大回転角度TAN」として、正の最大回転角度TAPから負の最大回転角度TANまでの範囲で変更することができる。揺動椅子1においては、正の最大回転角度TAPの絶対値が負の最大回転角度TANの絶対値よりも大きく設定されている。
【0025】
座面21Aに対する背フレーム13の姿勢は、「直立姿勢」および「後方傾斜姿勢」および「平行姿勢」の3つに分類される。直立姿勢は、背フレーム13の中心線が第2接続部34の中心線に対して直交しているときの背フレーム13の姿勢を示す。後方傾斜姿勢は、背フレーム13の中心線が第2接続部34の中心線に対して下方から上方に向かうにつれて前方から後方に向けて傾斜した背フレーム13の姿勢を示す。平行姿勢は、背フレーム13の中心線が第2接続部34の中心線に平行しているときの背フレーム13の姿勢を示す。
【0026】
背フレーム13が直立姿勢のとき、背フレーム回転角TBは「90°」となる。背フレーム13が後方傾斜姿勢のとき、背フレーム回転角TBは正の角度となる。背フレーム13が平行姿勢のとき、背フレーム回転角TBは「0°」となる。背フレーム回転角TBは、「0°」から「90°」までの範囲で変更することができる。
【0027】
以下では、揺動椅子1の右側面視において、回転軸11Aまわりの脚フレーム12の時計方向への回転を「脚フレーム12の上昇方向への回転」とし、回転軸11Aまわりの脚フレーム12の反時計回りの回転を「脚フレーム12の下降方向への回転」とする。また、回転軸11Bまわりの背フレーム13の時計回りへの回転を「背フレーム13の下降方向への回転」とし、回転軸11Bまわりの背フレーム13の反時計回りの回転を「背フレーム13の上昇方向への回転」とする。
【0028】
本体フレーム11の本体部31の下方には、脚フレーム回転角TAを変更する第1角度調整機構41と、背フレーム回転角TBを変更する第2角度調整機構45とが設けられている。
【0029】
第1角度調整機構41には、駆動源となる第1モータ42と、第1モータ42の出力軸に接続される第1ボールねじ43と、第1ボールねじ43および脚フレーム12に接続される第1移動フレーム44とが設けられている。第1移動フレーム44は、第1ボールねじ43の回転にともない同ボールねじ43の軸方向に移動する。
【0030】
第2角度調整機構45には、駆動源となる第2モータ46と、第2モータ46の出力軸に接続される第2ボールねじ47と、第2ボールねじ47および背フレーム13に接続される第2移動フレーム48とが設けられている。第2移動フレーム48は、第2ボールねじ47の回転にともない同ボールねじ47の軸方向に移動する。
【0031】
背もたれ23には、腰、背中、肩および首を施療する施療機構24が設けられている。施療機構24は、身体に接触する施療子25と、施療子25を駆動させる駆動部26とを備えている。
【0032】
揺動椅子1には、第1角度調整機構41、第2角度調整機構45、第1揺動機構50および施療機構24を制御するためのコントローラ70が設けられている。すなわち、使用者はコントローラ70を操作することにより、第1モータ42、第2モータ46、第1揺動機構50のモータ51および駆動部26を駆動させることができる。
【0033】
第1角度調整機構41による脚フレーム12の角度調整について説明する。
第1モータ42の正方向の回転にともない第1ボールねじ43が正方向に回転するとき、第1移動フレーム44が第1ボールねじ43の軸方向において前方に向けて移動する。第1移動フレーム44が前方に移動することにより、第1移動フレーム44と脚フレーム12との接続部分が前方に移動するため、脚フレーム12が回転軸11Aまわりにおいて上昇方向に回転する。このため、脚フレーム回転角TAが次第に小さくなる。
【0034】
第1モータ42の正方向とは反対の方向(以下、「逆方向」)の回転にともない第1ボールねじ43が逆方向に回転するとき、第1移動フレーム44が第1ボールねじ43の軸方向において後方に向けて移動する。第1移動フレーム44が後方に移動することにより、第1移動フレーム44と脚フレーム12との接続部分が後方に移動するため、脚フレーム12が回転軸11Aまわりにおいて下降方向に回転する。このため、脚フレーム回転角TAが次第に大きくなる。
【0035】
第2角度調整機構45による背フレーム13の角度調整について説明する。
第2モータ46の正方向の回転にともない第2ボールねじ47が正方向に回転するとき、第2移動フレーム48が第2ボールねじ47の軸方向において前方に向けて移動する。第2移動フレーム48が前方に移動することにより、第2移動フレーム48と背フレーム13との接続部分が前方に移動するため、背フレーム13が回転軸11Bまわりにおいて下降方向に回転する。このため、背フレーム回転角TBが次第に小さくなる。
【0036】
第2モータ46の逆方向の回転にともない第2ボールねじ47が逆方向に回転するとき、第2移動フレーム48が第2ボールねじ47の軸方向において後方に向けて移動する。第2移動フレーム48が後方に移動することにより、第2移動フレーム48と背フレーム13との接続部分が後方に移動するため、背フレーム13が回転軸11Bまわりにおいて上昇方向に回転する。このため、背フレーム回転角TBが次第に大きくなる。
【0037】
図2を参照して、第1揺動機構50の構成および動作について説明する。以下では、図1に示されるオットマン22において、本体フレーム11と脚フレーム12との接続部分から脚フレーム12の先端部に向かう方向を「第1揺動機構50の高さ方向」とし、高さ方向および左右方向に直交する方向を「第1揺動機構50の奥行方向」とする。また、高さ方向において脚フレーム12の先端部から本体フレーム11と脚フレーム12との接続部分に向かう方向を「基端方向」とし、高さ方向において本体フレーム11と脚フレーム12との接続部分から脚フレーム12の先端部に向かう方向を「先端方向」とする。また、奥行方向において、脚フレーム12からオットマン22に向かう方向を「表方向」とし、奥行方向において同表方向とは反対の方向を「裏方向」とする。
【0038】
第1揺動機構50には、駆動源となるモータ51と、モータ51の出力軸に固定された小プーリ52と、小プーリ52とベルト53を介して連結される大プーリ54と、大プーリ54に接続される第1クランク55および第2クランク56とが設けられている。なお、モータ51は「アクチュエータ」に相当する。
【0039】
モータ51の出力軸は、基端方向に向けて延びている。小プーリ52および大プーリ54は左右方向に並べられている。ベルト53は、左右方向において小プーリ52と大プーリ54と互いに連結している。第1クランク55は、大プーリ54よりも先端方向に設けられている。第2クランク56は、大プーリ54よりも基端方向に設けられている。
【0040】
第1クランク55には、大プーリ54の中心から先端方向に向けて延びるシャフト55Aと、シャフト55Aの先端部に設けられた円盤状のクランクアーム55Bと、クランクアーム55Bの中心に対して偏心した位置に接続されたアーム55Cとが設けられている。アーム55Cは、クランクアーム55Bとの接続部分から右方に向けて延びている。
【0041】
第2クランク56には、大プーリ54の中心から基端方向に向けて延びるシャフト56Aと、シャフト56Aの基端部に設けられた円盤状のクランクアーム56Bと、クランクアーム56Bの中心に対して偏心した位置に接続されたアーム56Cとが設けられている。アーム56Cは、クランクアーム56Bとの接続部分から左方に向けて延びている。
【0042】
脚フレーム12には、第1揺動機構50が取り付けられる支持板80が設けられている。支持板80には、脚フレーム12に取り付けられる平板状の取付部81が設けられている。取付部81の左右方向の中央の部分には、取付部81から表方向に向けて突出する第1支持部84および第2支持部85が設けられている。取付部81の左右方向の両端の部分には、表方向に向けて突出する保持部82が設けられている。各保持部82は、左右方向に対向して設けられた一対の平板により構成されている。各保持部82には、一対の平板を左右方向に連結するシャフト83が設けられている。
【0043】
第1支持部84には、モータ51が取り付けられている。第2支持部85は、玉軸受86を介して大プーリ54、第1クランク55および第2クランク56のそれぞれを回転可能に支持している。
【0044】
オットマン22の左右方向の両端の部分には、往復部材57が取り付けられている。各往復部材57は、シャフト83に対して摺動可能に取り付けられている。各往復部材57には、アーム55Cまたはアーム56Cに連結された連結部57Aが設けられている。
【0045】
図3を参照して、第1揺動機構50の動作について説明する。なお、第2クランク56は第1クランク55と同様に動作するため、ここでは第2クランク56の動作の説明を省略する。
【0046】
以下では、左右方向においてのオットマン22の位置を次のように示す。
・図3(a)に示されるオットマン22の位置を「中立位置」とする。
・図3(b)に示されるオットマン22の位置を「右方限界位置」とする。
・図3(c)に示されるオットマン22の位置を「左方限界位置」とする。
【0047】
図3(a)に示されるように、オットマン22が中立位置にある状態においてモータ51が回転したとき、図2の小プーリ52がモータ51と一体に回転する。小プーリ52の回転は、ベルト53を介して大プーリ54に伝達されるため、小プーリ52の回転にともない大プーリ54が回転する。このとき、大プーリ54、シャフト55Aおよびクランクアーム55Bが一体に回転する。これらクランクアーム55Bの回転にともない、アーム55Cにおいてクランクアーム55Bに接続される部分がシャフト55Aを回転中心として公転する。
【0048】
クランクアーム55Bが図3(a)の位置から時計回りに回転したとき、各往復部材57が右方に移動する。また、オットマン22が往復部材57に固定されているため、往復部材57の右方への移動にともないオットマン22も右方に移動する。
【0049】
図3(b)に示されるように、クランクアーム55Bが図3(a)の位置から時計回りに90°回転したとき、各往復部材57が各保持部82の右端部まで移動するとともにオットマン22の位置が右方限界位置となる。この状態においてクランクアーム55Bが時計回りに回転したとき、各往復部材57が左方に移動する。
【0050】
図3(c)に示されるように、クランクアーム55Bが図3(b)の位置から時計回りに180°回転したとき、各往復部材57が各保持部82の左端部まで移動するとともにオットマン22の位置が左方限界位置となる。この状態においてクランクアーム55Bが時計回りに回転したとき、各往復部材57が右方に移動する。
【0051】
以上のように、第1揺動機構50においてはモータ51の回転にともないオットマン22が左方限界位置と右方限界位置との間で往復運動する。このため、脚がオットマン22に支持された状態でモータ51が回転したときには、オットマン22とともに脚が左右方向に揺動する。
【0052】
図4および図5を参照して、第2揺動機構60の構成について説明する。
図4に示されるように、第2揺動機構60には、座部21に取り付けられる取付板61と、この取付板61に取り付けられる4個のころ62と、取付板61の左右方向の両端のそれぞれに取り付けられるばね63と、ロック機構90とが設けられている。
【0053】
ロック機構90は、図5の本体フレーム11に対する座部21の左右方向の揺動が可能な状態と、本体フレーム11に対する座部21の左右方向の揺動が不能な状態とを切り替えるものとして設けられている。
【0054】
取付板61には、同板61から下方に向けて突出する4個の第1支持部65が設けられている。各第1支持部65は、前後方向に対向して設けられた一対の平板により構成されている。各第1支持部65には、ころ62が取り付けられている。
【0055】
取付板61の左右方向の両端のそれぞれには、同板61から下方に向けて突出する平板状の第2支持部66が設けられている。各第2支持部66には、ばね63が取り付けられている。取付板61の前端の下面には、L字型の固定部94が取り付けられている。固定部94には、この固定部94を前後方向に貫通する貫通孔94Aが設けられている。
【0056】
図5に示されるように、本体フレーム11の本体部31には、前後方向に離間した一対の規制フレーム64が設けられている。各規制フレーム64には、ころ62の下部を収容する凹部64Aが設けられている。各規制フレーム64は、本体部31の左右方向の両端を左右方向に連結している。凹部64Aは左右方向に延びるように形成されている。なお、図5では、回転軸11A,11Bおよび固定フレーム35を省略して示している。
【0057】
図6に示されるように、各ころ62は、本体フレーム11に対する左右方向の移動が許容されている。一方、本体フレーム11に対する各ころ62の前後方向の移動は不能とされている。なお、規制フレーム64および各ころ62は「方向規定機構」に相当する。
【0058】
第2揺動機構60の動作について説明する。
図6(a)に示されるように、図1等のオットマン22が右方に移動したとき、使用者の臀部を介して座部21に加えられる力により規制フレーム64の凹部64A内においてころ62が右方に向けて回転移動する。これにより、右方のばね63が縮むとともに左方のばね63が伸びる。各ばね63の力は、座部21を右方に移動させる力とは反対方向に作用するため、座部21の右方への移動量が大きくなるにつれて座部21を右方に移動させる力が減少する。また、座部21を右方に移動させる力と2つのばね63の力とが釣り合うとき、座部21の右方への移動が停止する。以下では、このときの座部21の位置を「座部21の右方限界位置」とする。
【0059】
図6(b)に示されるように、オットマン22が左方に移動したとき、規制フレーム64の凹部64A内をころ62が左方に向けて回転移動するため、左方のばね63が縮むとともに右方のばね63が伸びる。このため、各ばね63の力は、座部21を左方に移動させる力とは反対方向に作用するため、座部21の左方への移動量が大きくなるにつれて座部21を左方に移動させる力が減少する。座部21を左方に移動させる力と2つのばね63の力とが釣り合うとき、座部21の左方への移動が停止する。以下では、このときの座部21の位置を「座部21の左方限界位置」とする。
【0060】
第2揺動機構60においては、オットマン22の左右方向の往復運動の繰り返しにともない、座部21が右方限界位置と左方限界位置との左右方向の間を往復運動する。これにより、臀部が座部21により支持された状態かつ脚がオットマン22により支持された状態でオットマン22が往復運動するとき、座部21とともに臀部が左右方向に揺動する。
【0061】
図7を参照して、ロック機構90の構成および動作について説明する。
ロック機構90は、前後方向に往復運動する磁性体のピン91と、ピン91を前方に向けて移動させるソレノイド92と、ピン91を後方に押すコイルばね93とを備えている。コイルばね93は、ピン91の前端部に取り付けられている。
【0062】
図6の座部21が中立位置にあるとき、左右方向においてピン91と固定部94の貫通孔94Aとが同位置となる。すなわち、座部21が中立位置にあるときのみ、ピン91は貫通孔94Aに挿入可能となる。
【0063】
ロック機構90の動作について説明する。
図7(a)に示されるように、ソレノイド92に電流が供給されていない状態である停止状態では、ピン91がコイルばね93により後方に向けて押されている。このとき、ピン91が固定部94の貫通孔94Aに挿入される。このため、本体フレーム11と図1の座部21とがピン91により接続されるため、本体フレーム11に対する座部21の左右方向の位置が固定される。
【0064】
図7(b)に示されるように、ソレノイド92に電流が供給されている状態である駆動状態では、ソレノイド92がピン91を吸引することによりコイルばね93の後方へピン91を押す力に抗してピン91が前方に移動する。このとき、ピン91の後端部は、固定部94の貫通孔94Aよりも前方に位置する。このため、本体フレーム11に対して座部21が左右方向に揺動することが許容される。
【0065】
図8を参照して、揺動椅子1の動作について説明する。なお、同図には、オットマン22の揺動が繰り返されることにより、脚の揺動方向と臀部の揺動方向とが互いに反対となる状態が示されている。
【0066】
使用者が揺動椅子1に着座した状態にあり、かつ図5のロック機構90が駆動状態にあるとき、図1の第1揺動機構50によりオットマン22が右方に揺動することにより脚が右方に揺動する。このとき、脚の右方の揺動が臀部に伝えられるため、脚の右方への揺動から少し遅れて座部21とともに臀部が右方に揺動する。また、オットマン22が左方に揺動するときには、脚の左方への揺動に対して臀部が座部21とともに少し遅れて左方に揺動する。そして、このような揺動が繰り返されることにより脚および臀部が揺動する。
【0067】
使用者が揺動椅子1に着座した状態にあり、かつロック機構90が停止状態にあるとき、座部21は図1の本体フレーム11に固定されているため、オットマン22が揺動しても座部21は本体フレーム11に対して揺動しない。このため、使用者の脚の揺動が上半身に伝えられない。
【0068】
次に、揺動椅子1の動作モードについて説明する。
揺動椅子1の動作モードとしては、以下の第1モード〜第8モードが予め用意されている。揺動椅子1の制御装置は、図1のコントローラ70の操作に応じて揺動椅子1の動作モードを選択し、選択した動作モードに応じて各機構を制御する。
【0069】
なお、以下の各動作モードの説明に記載の各用語はそれぞれ次のものを示している。「オットマン揺動」は、第1揺動機構50によりオットマン22の左右方向への駆動が行われる状態を示す。「オットマン停止」は、第1揺動機構50によるオットマン22の左右方向への駆動が行われない状態を示す。「座部移動」は、座部21がロック機構90によりロックされていない状態を示す。「座部固定」は、座部21がロック機構90によりロックされている状態を示す。「施療実行」は、駆動部26により図1の施療子25の駆動が行われる状態を示す。「施療停止」は、駆動部26による施療子25の駆動が行われない状態を示す。
【0070】
各動作モードにおいては以下のように各機構が制御される。
(A)第1モードでは、「オットマン揺動」、「座部移動」かつ「施療停止」となる。
(B)第2モードでは、「オットマン揺動」、「座部移動」かつ「施療実行」となる。
(C)第3モードでは、「オットマン揺動」、「座部固定」かつ「施療停止」となる。
(D)第4モードでは、「オットマン揺動」、「座部固定」かつ「施療実行」となる。
(E)第5モードでは、「オットマン停止」、「座部移動」かつ「施療停止」となる。
(F)第6モードでは、「オットマン停止」、「座部移動」かつ「施療実行」となる。
(G)第7モードでは、「オットマン停止」、「座部固定」かつ「施療停止」となる。
(H)第8モードでは、「オットマン停止」、「座部固定」かつ「施療実行」となる。
【0071】
(効果)
本実施形態の揺動椅子1によれば、以下の効果が得られる。
(1)揺動椅子1には、オットマン22を左右方向に揺動させる第1揺動機構50が設けられている。また、本体フレーム11と座部21との間に第2揺動機構60が設けられている。この構成によれば、使用者の脚の揺動に加え、使用者の臀部にも第1揺動機構50による揺動を伝えることができる。
【0072】
(2)揺動椅子1には、脚フレーム回転角TAを調整する第1角度調整機構41が設けられている。この構成によれば、脚フレーム回転角TAに応じて第1揺動機構50によって使用者の脚に与えられる揺れ感を異ならせることができる。
【0073】
また背もたれ23には背フレーム回転角TBを調整する第2角度調整機構45が設けられている。この構成によれば、使用者がリラックスすることができる姿勢で使用者の脚および臀部を揺動させることができる。
【0074】
また、第1角度調整機構41および第2角度調整機構45により脚フレーム回転角TAおよび背フレーム回転角TBがそれぞれ変更されるため、使用者の脚を揺動させるときの使用者の姿勢を調整することができる。したがって、使用者にとって望ましい姿勢で使用者の脚および臀部を揺動させることができる。
【0075】
(3)第2揺動機構60には、座部21の揺動方向に伸縮可能なばね63が設けられている。この構成によれば、第1揺動機構50の揺動方向の反転にともない第2揺動機構60が設けられた部位が連動して反転するとき、ばね63により揺動方向が反転するときの衝撃を緩和することができる。
【0076】
(4)規制フレーム64の凹部64Aにころ62の下部が収容されている。この構成によれば、本体フレーム11に対して前後方向へのころ62の移動が不能とされ、かつ左右方向への移動が許容される。これにより、第2揺動機構60が左右方向のみの揺動となるため、第1揺動機構50による揺動を使用者の上半身に効果的に伝えることができる。
【0077】
(5)第2揺動機構60には、ロック機構90が設けられている。この構成によれば、ロック機構90により本体フレーム11に対する座部21の揺動が不能な状態のときには、揺動椅子1を通常のリクライニングチェアまたはマッサージ椅子として用いることができる。
【0078】
(6)第2揺動機構60には、前後方向においてころ62の下部と、ころ62の下部に対向する規制フレーム64の凹部64Aとの間に間隙が形成されている。この構成によれば、凹部64Aを構成する規制フレーム64の左右方向に沿う面と、ころ62の側面とが常に接触した状態で規制フレーム64に対してころ62が移動する場合と比較して、規制フレーム64に対するころ62の摩擦抵抗を低減することができる。したがって、本体フレーム11に対して座部21が円滑に揺動する。
【0079】
(第2実施形態)
図9および図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点についての詳細を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
以下では、背フレーム13の長手方向に沿う方向を「背フレーム13の高さ方向」とし、高さ方向と左右方向とに直交する方向を「背フレーム13の奥行方向」とする。また、同高さ方向において、背フレーム13の先端部から第2接続部34と背フレーム13との接続部分に向かう方向を「基端方向」とし、高さ方向において第2接続部34と背フレーム13との接続部分から背フレーム13の先端部に向かう方向を「先端方向」とする。また、背フレーム13の奥行方向において、背フレーム13から背もたれ23に向かう方向を「表方向」とし、奥行方向において表方向の反対方向を「裏方向」とする。
【0081】
第1実施形態では、背もたれ23は背フレーム13に固定されている。すなわち、背フレーム13に対して背もたれ23は揺動することはない。これに対して、第2実施形態では、背フレーム13と背もたれ23との間に第2揺動機構100を設けることにより、背フレーム13に対して背もたれ23を揺動可能にしている。
【0082】
図9に示されるように、第2揺動機構100は、施療機構24が収容される収容フレーム101と、収容フレーム101に取り付けられる4個のころ102(図10参照)と、収容フレーム101の左右方向の両端に取り付けられるばね103とを備えている。
【0083】
背フレーム13と背もたれ23との間には、図1の本体フレーム11に対する背もたれ23の左右方向の揺動が可能な状態と、本体フレーム11に対する背もたれ23の左右方向の揺動が不能な状態とを切り替えるロック機構110が設けられている。
【0084】
ロック機構110は、第1実施形態のロック機構90と同様に、収容フレーム101の基端部に設けられた固定部114と、固定部114に設けられた貫通孔114Aに挿通されるピン111と、ソレノイドおよびコイルばね(いずれも図示略)とを備えている。なお、ロック機構110はロック機構90と同様に動作する。
【0085】
収容フレーム101の表面には、揺動板107が取り付けられている。揺動板107には、施療子25が挿通される開口部107Aが設けられている。この揺動板107は、使用者の背中に直接接触する部材であり、その表面がクッション材とこのクッション材を覆うカバーとにより構成されている。
【0086】
ばね103は、収容フレーム101の右端および左端にそれぞれ2個ずつ設けられている。各ばね103は、左右方向に伸縮可能となるように設けられている。なお、各ばね103のばね定数は、第1実施形態のばね63のばね定数と同じである。
【0087】
背フレーム13には、高さ方向に離間した一対の規制フレーム104が設けられている。各規制フレーム104には、ころ102の裏方向の一部を収容する凹部104Aが設けられている。各規制フレーム104は、背フレーム13の左右方向の両端を左右方向に連結している。各ころ102は、背フレーム13に対する左右方向の移動が許容されている。一方、背フレーム13に対する高さ方向の移動が不能とされている。なお、規制フレーム104および各ころ102は、「方向規定機構」に相当する。
【0088】
背もたれ23には、揺動板107および収容フレーム101を収容する開口部23Aが設けられている。揺動板107の表面は、背もたれ23の表面と面一となるように配置されている。施療子25は、背もたれ23の表面よりも表方向に配置されている。そして、背もたれ23は、図示しないカバーにより揺動板107および施療子25が表方向から覆われている。
【0089】
図10に示されるように、収容フレーム101の裏面には、同フレーム101から裏方向に向けて突出する4個の第1支持部105が設けられている。各第1支持部105は、高さ方向に対向して設けられた一対の平板により構成されている。各第1支持部105には、ころ102が取り付けられている。
【0090】
収容フレーム101の裏面の左右方向の両端のそれぞれには、同裏面から裏方向に向けて突出する平板状の第2支持部106が設けられている。各第2支持部106には、ばね103が取り付けられている。
【0091】
第2揺動機構100は、第2揺動機構60と同様に動作する。すなわち、図1のオットマン22の左右方向の往復運動にともない、背もたれ23が左右方向に往復運動する。
このため、使用者が揺動椅子1に着座した状態でオットマン22が往復運動することにより、座部21および背もたれ23とともに臀部および背中が左右方向に揺動する。このとき、背もたれ23の左右方向の揺動量は、座部21の左右方向の揺動量よりも小さい。また、背もたれ23が座部21の往復運動に対して少し遅れて往復運動する。
【0092】
次に、揺動椅子1の動作モードについて説明する。
揺動椅子1の動作モードとしては、オットマン揺動モードおよびオットマン停止モードが予め用意されている。オットマン揺動モードには、以下の第11モード〜第18モードが含まれる。オットマン停止モードには、以下の第21モード〜第28モードが含まれる。揺動椅子1の制御装置は、図1のコントローラ70の操作に応じて揺動椅子1の動作モードを選択し、選択した動作モードに応じて各機構を制御する。
【0093】
なお、以下の各動作モードの説明に記載の各用語はそれぞれ次のものを示している。「背もたれ移動」は、背もたれ23が図9のロック機構110によりロックされていない状態を示す。「背もたれ固定」は、背もたれ23がロック機構110によりロックされている状態を示す。
【0094】
(オットマン揺動モード)
(A)第11モードでは、「座部移動」、「背もたれ移動」かつ「施療停止」となる。
(B)第12モードでは、「座部移動」、「背もたれ移動」かつ「施療実行」となる。
(C)第13モードでは、「座部移動」、「背もたれ固定」かつ「施療停止」となる。
(D)第14モードでは、「座部移動」、「背もたれ固定」かつ「施療実行」となる。
(E)第15モードでは、「座部固定」、「背もたれ移動」かつ「施療停止」となる。
(F)第16モードでは、「座部固定」、「背もたれ移動」かつ「施療実行」となる。
(G)第17モードでは、「座部固定」、「背もたれ固定」かつ「施療停止」となる。
(H)第18モードでは、「座部固定」、「背もたれ固定」かつ「施療実行」となる。
【0095】
(オットマン停止モード)
(I)第21モードでは、「座部移動」、「背もたれ移動」かつ「施療停止」となる。
(J)第22モードでは、「座部移動」、「背もたれ移動」かつ「施療実行」となる。
(K)第23モードでは、「座部移動」、「背もたれ固定」かつ「施療停止」となる。
(L)第24モードでは、「座部移動」、「背もたれ固定」かつ「施療実行」となる。
(M)第25モードでは、「座部固定」、「背もたれ移動」かつ「施療停止」となる。
(N)第26モードでは、「座部固定」、「背もたれ移動」かつ「施療実行」となる。
(O)第27モードでは、「座部固定」、「背もたれ固定」かつ「施療停止」となる。
(P)第28モードでは、「座部固定」、「背もたれ固定」かつ「施療実行」となる。
【0096】
(効果)
本実施形態の揺動椅子1によれば、第1実施形態の(1)〜(6)の効果、および以下の(7)〜(9)の効果が得られる。
【0097】
(7)背もたれ23には、第2揺動機構100が設けられている。この構成によれば、第1揺動機構50による脚の揺動を臀部に加えて背中にも伝えることができる。また、第1実施形態と比較して揺動椅子1の使用態様の種類を増やすことができる。このため、使用者が望む揺動椅子1の動作モードをより正確に実現することができる。
【0098】
(8)背もたれ23には、第2揺動機構100に加えて施療機構24が設けられている。この構成によれば、施療子25による施療動作時に第1揺動機構50によって身体を揺動させる場合、第1揺動機構50によって身体がほぐされた状態において施療されるため、身体の凝りを効果的に解消することができる。
【0099】
(9)背フレーム13と収容フレーム101との間には、ばね103が4個設けられている。この構成によれば、ばね103の復元力によって揺動板107の揺動方向とは反対方向に引っ張る力が大きくなる。このため、座部21により使用者の臀部を揺動する力よりも揺動板107により使用者の背中を揺動する力を小さくすることができる。すなわち、使用者の臀部の揺動量よりも背中の揺動量を小さくすることができる。したがって、使用者の内臓等が過度に揺動することを抑制することができる。
【0100】
(第3実施形態)
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点についての詳細を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図9では、ロック機構90を省略して示している。
【0101】
第1実施形態では、第2揺動機構60により揺動した後の座部21の左右方向の位置は、2つのばね63の力によって決められていた。これに対して、本実施形態では、規制フレーム120の形状を変更することにより、座部21が中立位置以外に位置しているときに座部21を中立位置に復帰させる。
【0102】
本体フレーム11の本体部31において各ころ62に対応する位置には、規制フレーム120がそれぞれ取り付けられている。各規制フレーム120には、左右方向に湾曲状に形成された湾曲部121が設けられている。この湾曲部121には、ころ62が載せられている。ころ62は、座部21が中立位置にあるとき、湾曲部121の底部122にそれぞれ位置している。なお、ころ62および規制フレーム120の湾曲部121は、「復帰機構」に相当する。
【0103】
第2揺動機構60により座部21が左右方向に揺動するとき、ころ62が湾曲部121内を左右方向に移動する。そして、座部21の揺動が終了した後において、ころ62の位置が湾曲部121の左端または右端にあるとき、使用者の自重および座部21の自重によりころ62が湾曲部121の底部122に移動する。これにより、座部21が中立位置に復帰する。
【0104】
(効果)
本実施形態の揺動椅子1によれば、第1実施形態の(1)〜(6)の効果、第2実施形態の(7)〜(9)の効果、および以下の(10)の効果が得られる。
【0105】
(10)揺動椅子1には、ころ62および規制フレーム120の湾曲部121により構成される復帰機構が設けられている。この構成によれば、座部21が中立位置以外の位置にあるとき、座部21の自重によりころ62が規制フレーム120の湾曲部121の底部122に移動するため、使用者が座部21を中立位置に復帰させるための動作をしなくとも座部21が中立位置に復帰する。このため、揺動椅子1の使い勝手が向上する。
【0106】
(その他の実施形態)
本発明の揺動椅子の具体的な構成は、上記各実施形態の内容に限定されるものではなく、例えば以下のように変更することができる。また、以下の変形例は上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0107】
・第1実施形態において、座部21と背もたれ23とを一体に設けることもできる。この場合、第2角度調整機構45は省略される。
・第1実施形態において、背フレーム13と背もたれ23との間に第1揺動機構50を追加することもできる。この場合、オットマン22、座部21および背もたれ23のうちの座部21のみに第2揺動機構60が設けられる。
【0108】
・第1実施形態において、脚フレーム12とオットマン22との間に設けられた第1揺動機構50を省略し、かつ背フレーム13と背もたれ23との間に第1揺動機構50を設けることもできる。この場合、オットマン22および座部21の少なくとも一方に第2揺動機構60が設けられる。
【0109】
・第1実施形態において、本体フレーム11と座部21との間に設けられた第2揺動機構60を省略し、かつ背フレーム13と背もたれ23との間に第2揺動機構60を設けることもできる。
【0110】
・第2実施形態において、ロック機構110を省略することもできる。
・第2実施形態において、第2揺動機構100のばね103の個数を2個とすることもできる。この場合、ばね103は収容フレーム101の左右方向の両側面と本体フレーム11の本体部31とを接続するように設けられる。またこの場合、ばね103のばね定数を第2揺動機構60のばね63のばね定数よりも大きくすることもできる。これにより、座部21の左右方向の揺動量よりも背もたれ23の左右方向の揺動量が小さくなる。
【0111】
・上記各実施形態において、第2揺動機構60のばね63に代えて、伸縮可能な蛇腹状の空気袋と、この空気袋に空気を供給するためのポンプとを設けることもできる。この場合には、空気袋がばね63と同様に伸縮するようにポンプからの空気量が制御される。なお、第2実施形態の第2揺動機構60についても同様に変更することができる。
【0112】
・上記各実施形態において、施療機構24を座部21またはオットマン22に設けることもできる。要するに、施療機構24を設ける部分は、座部21、オットマン22および背もたれ23の少なくとも一つから選択することができる。
【0113】
・上記各実施形態において、施療機構24を省略することもできる。
・上記各実施形態において、本体フレーム11の本体部31に対する座面21Aの傾斜角度を変更する角度調整機構を追加することもできる。
【0114】
・上記各実施形態において、第1角度調整機構41および第2角度調整機構45の少なくとも一方を省略することもできる。
・上記各実施形態において、ロック機構90として、ソレノイド92により磁性体のピン91を前後方向に往復運動させるものを用いたが、ロック機構90の構成はこれに限られない。例えば、モータと、モータの出力軸に噛み合うラック軸と、ラック軸に設けられるピンとによりロック機構を構成することもできる。この場合、モータの回転がラック軸の前後方向の直線運動に変換されるとともに、ピンが前後方向に直線運動する。すなわち、モータが正方向に回転するときには、ピンが前方に移動する。一方、モータが正方向とは反対方向に回転するときには、ピンが後方に移動する。このため、ピンを固定部94の貫通孔94Aに挿入することにより座部21の揺動を規制することができる。また、ピンを貫通孔94Aから抜き去ることにより座部21の揺動を許容することができる。なお、第2実施形態のロック機構110についても同様に変更することができる。
【0115】
・上記各実施形態において、ロック機構90を省略することもできる。
・上記各実施形態において、第2揺動機構60に代えて、図12に示される第2揺動機構130を用いることもできる。具体的には、第2揺動機構130は、座部21が固定される支持台131と、支持台131の四隅と本体フレーム11の本体部31とをそれぞれ接続するリンク機構132とを備えている。リンク機構132および支持台131のそれぞれは、本体部31に対して回転可能に接続されている。
【0116】
第2揺動機構130を備えた揺動椅子1において、図1の第1揺動機構50により図1のオットマン22が揺動するとき、リンク機構132が本体部31との接続部分133を中心として左右方向に回動する。そして、リンク機構132の回動にともない支持台131が左右方向に揺動するため、座部21が左右方向に揺動する。
【0117】
・上記各実施形態において、第2揺動機構60に代えて、図13に示される第2揺動機構140を用いることもできる。具体的には、第2揺動機構140は、本体フレーム11の前後方向および左右方向の中央部において、本体フレーム11に固定される半球状の支持部141を備えている。座部21の前後方向および左右方向の中央部には、上方に向けて凹む湾曲状の凹部21Bが設けられている。支持部141の上面は、座部21の凹部21Bに接触している。座部21の四隅と本体フレーム11との間のそれぞれには、ばね142が設けられている。ばね142は、上下方向に伸縮可能な状態で設けられている。
【0118】
第2揺動機構140を備えた揺動椅子1において、図1の第1揺動機構50により図1のオットマン22が揺動したとき、座部21が支持部141に対して摺動する。これにともない、座部21が前後方向および左右方向に揺動する。ばね142は、座部21の揺動により、座部21と本体フレーム11の本体部31とが接触することを抑制している。
【0119】
・上記各実施形態において、第2揺動機構60に代えて、図14に示されるような第2揺動機構150を用いることもできる。具体的には、第2揺動機構150は、前後方向から見て略L字形状の一対の取付フレーム151と、取付フレーム151と本体フレーム11の本体部31とを左右方向に接続するばね152とを備えている。取付フレーム151は、座部21の下面に取り付けられている。ばね152は、左右方向に伸縮可能な状態で設けられている。
【0120】
第2揺動機構150を備えた揺動椅子1において、図1の第1揺動機構50により図1のオットマン22が揺動したとき、座部21が取付フレーム151とばね152との接続部分153を中心として、座部21の左右方向の端部が上下方向に回動する。同時に、座部21が左右方向に往復運動する。座部21の左右方向の往復運動の移動量はばね152により調整されている。
【0121】
・上記各実施形態では、左右方向に沿う直線運動として揺動する座部21を用いたが、座部21の揺動方向はこれに限定されない。例えば、座部21の揺動方向を次の(A)〜(C)のいずれかに変更することもできる。
(A)前後方向に沿う直線運動としての揺動。
(B)前後方向に沿う回転軸を中心とした回転運動としての揺動。
(C)上下方向に沿う回転軸を中心とした回転運動としての揺動。
【0122】
・上記実施形態の座部21の揺動、上記(A)の揺動、上記(B)の揺動、および上記(C)の揺動の少なくとも2つを組み合わせ、座部21を揺動させることもできる。
・座部21の揺動として上記(A)の揺動を採用した場合、座部21を揺動させるための機構は次のように構成される。すなわち、本体部31の前後方向の両端が規制フレーム64により連結される。また、ころ62が前後方向に移動可能な状態で設けられる。この構成においては、ころ62の左右方向の移動が規制フレーム64の凹部64Aにより規制される。
【0123】
・座部21の揺動として上記(B)の揺動を採用した場合、座部21を揺動させるための機構は次のように構成される。すなわち、回転軸は本体部31に対して回転可能に接続される。また座部21に対して回転不能に接続される。座部21と本体部31との間において、回転軸を挟んだ左右方向の両側には、ばねが上下方向に伸縮可能な状態で設けられる。ばねは、座部21および本体部31にそれぞれ接続される。この場合、ころ62および規制フレーム64は省略される。
【0124】
・座部21の揺動として上記(C)の揺動を採用した場合、座部21を揺動させるための機構は次のように構成される。すなわち、回転軸は本体部31に対して回転可能に接続される。また座部21に対して回転不能に接続される。すなわち本体部31に対して回転軸は座部21と一体に回転する。この場合、ころ62および規制フレーム64は省略される。
【0125】
・上記各実施形態では、オットマン22として使用者の脚および足を左右方向に揺動させるものを用いたが、使用者の足のみを揺動させるオットマンを用いることもできる。また、使用者の脚のみを揺動させるオットマンを用いることもできる。
【符号の説明】
【0126】
1…揺動椅子、11…本体フレーム(本体部)、21…座部、22…オットマン、23…背もたれ、25…施療子、41…第1角度調整機構(角度調整機構)、45…第2角度調整機構(角度調整機構)、50…第1揺動機構、51…モータ(アクチュエータ)、60…第2揺動機構、61…取付フレーム、62…ころ、63…ばね、64…規制フレーム、64A…凹部、90…ロック機構、100…第2揺動機構、101…収容フレーム、102B…ころ、103…ばね、104…規制フレーム、104A…凹部、110…ロック機構、120…規制フレーム、121…湾曲部、130…第2揺動機構、140…第2揺動機構、141…支持部、142…ばね、150…第2揺動機構、151…取付フレーム、152…ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臀部を支持する座部と、脚を支持するオットマンと、背中を支持する背もたれとが設けられた本体部を含み、前記座部と前記オットマンとが個別に形成されている揺動椅子において、
前記オットマンおよび前記背もたれの少なくとも一方をアクチュエータにより前記本体部に対して揺動させる第1揺動機構が前記本体部に設けられていること、
前記第1揺動機構の揺動に連動して前記座部および前記オットマンおよび前記背もたれの少なくとも1つを前記本体部に対して揺動させる第2揺動機構が設けられていること、
ならびに、下記(条件A)、(条件B)および(条件C)のいずれか1つに該当すること、
(条件A)「前記第1揺動機構が前記オットマンおよび前記背もたれのうちの前記オットマンのみを揺動させるものとして設けられ、かつ前記第2揺動機構が前記座部および前記背もたれの少なくとも一方を揺動させるものとして設けられている」
(条件B)「前記第1揺動機構が前記オットマンおよび前記背もたれのうちの前記背もたれのみを揺動させるものとして設けられ、かつ前記第2揺動機構が前記座部および前記オットマンの少なくとも一方を揺動させるものとして設けられている」
(条件C)「前記第1揺動機構が前記オットマンおよび前記背もたれの両方を揺動させるものとして設けられ、かつ前記第2揺動機構が前記座部を揺動させるものとして設けられている」
を特徴とする揺動椅子。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動椅子において、
前記座部および前記背もたれおよび前記オットマンの少なくとも1つには、前記本体部に対する傾斜角度を変更する角度調整機構が設けられていること
を特徴とする揺動椅子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の揺動椅子において、
使用者を施療するための施療子を含むこと
を特徴とする揺動椅子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の揺動椅子において、
前記本体部に接続されて前記第2揺動機構の揺動方向に伸縮するばねが前記第2揺動機構に設けられていること
を特徴とする揺動椅子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の揺動椅子において、
前記第1揺動機構が左右方向に揺動すること
を特徴とする揺動椅子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の揺動椅子において、
前記第2揺動機構の揺動方向を一方向に規定する方向規定機構が設けられていること
を特徴とする揺動椅子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の揺動椅子において、
前記第2揺動機構が中立位置を基準として前記本体部に対して揺動すること、
ならびに、前記中立位置以外の位置にある前記第2揺動機構を前記中立位置に移動させる力を同第2揺動機構に付与する復帰機構が設けられていること
を特徴とする揺動椅子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の揺動椅子において、
前記座部および前記背もたれおよび前記オットマンのうちの前記第2揺動機構が設けられているものには、前記本体部に対する前記第2揺動機構の揺動が可能な状態と前記本体部に対する前記第2揺動機構の揺動が不能な状態とを切り替えるロック機構が設けられていること
を特徴とする揺動椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−152293(P2012−152293A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12273(P2011−12273)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】