説明

揺動装置

【課題】使用者に不快感を与えることを回避しつつ、揺動動作時に使用者に対して多様な動作感を付与することができる揺動装置を提供する。
【解決手段】使用者の脚部を支持する脚部支持部18を有し、モータ34から伝達される駆動力に基づいて脚部支持部18を左右方向に揺動可能なマッサージ機であって、脚部支持部18が左右方向に揺動した状態で、使用者の身体の一部を押圧して身体を体軸方向に延びる軸線を中心として回旋させるように膨張するエアバッグ26,33を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を揺動させることで身体をほぐす効果を付与する揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着座状態の使用者に対してマッサージ動作を実行可能な椅子型マッサージ機が知られている。こうした椅子型マッサージ機の中には、使用者の脚部を載置可能なオットマンに対して使用者の両足首を受けるための足受け部材が左右方向への揺動可能に設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の椅子型マッサージ機には、足受け部材を取り付けた取付板が左右方向へのスライド移動可能に設けられている。この取付板は、駆動源としてのモータの回転軸に対して動力伝達可能に連結されているため、モータの回転軸が回転駆動されると、モータから伝達される駆動力に基づき、足受け部材を取り付けた状態で左右方向にスライドする。その結果、使用者の足首部分を受けている足受け部材が左右方向に往復移動することに伴って、使用者の両脚部等の下半身(脚部全体)が使用者の腰部を中心として揺動運動することにより、使用者の脚部の緊張状態が緩和されるようになっている。
【0004】
また、特許文献1に記載の椅子型マッサージ機の背もたれ部には、左右一対の偏心ローラが設けられている。そして、これら一対の偏心ローラのうち、左側の偏心ローラが背もたれ部の表面側に突出するように回転すると足受け部材が左方に移動する一方で、右側の偏心ローラが背もたれ部の表面側に突出するように回転すると足受け部材が右方に移動するようになっている。
【0005】
その結果、使用者の下半身が左側に揺動すると使用者の上半身が右側に回旋される一方で、使用者の下半身が右側に揺動すると使用者の上半身が左側に回旋されるようになる。すなわち、偏心ローラの回転動作と足受け部材の揺動動作とを同期させることに伴って、使用者の身体に対してひねり動作が大きく作用するため、より大きな身体をほぐす効果を有する動作感の異なる揺動動作が実行されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−328262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の椅子型マッサージ機においては、脚部の揺動動作に合わせて上半身を回旋させる場合、背もたれ部の表面側に突出した偏心ローラから使用者に対して局所的に押圧刺激が作用することになる。そのため、局所的な押圧刺激が使用者に不快感を与えてしまう虞があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者に不快感を与えることを回避しつつ、揺動動作時に使用者に対して多様な動作感を付与することができる揺動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の揺動装置は、使用者の脚部を支持した状態でモータから伝達される駆動力に基づき左右方向に揺動可能な脚部支持部と、前記使用者の身体の一部を押圧して前記身体を体軸方向に延びる軸線を中心として回旋させるように膨張する膨張手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の揺動装置において、前記膨張手段は、前記使用者の身体における体軸の左右両側に配設されることを特徴とする。
また、本発明の揺動装置は、前記使用者の身体の一部を支持した状態で回動する回動部材を更に備え、前記膨張手段は、前記回動部材を押圧して回動させるように膨張することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の揺動装置において、前記回動部材は、前記使用者の体軸方向に延びる回動軸を中心として回動自在に構成されることを特徴とする。
また、本発明の揺動装置において、前記膨張手段は、前記回動部材の左右両側に配設されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の揺動装置において、前記膨張手段の膨張動作を制御する制御手段は、前記膨張手段の膨張動作時における最大膨張量を変化させることを特徴とする。
また、本発明の揺動装置において、前記膨張手段の膨張動作を制御する制御手段は、前記膨張手段の膨張状態を維持させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の揺動装置は、前記使用者の背部を押圧して施療を行う施療子を更に備え、前記膨張手段は、前記施療子が前記使用者の背部を押圧した状態で膨張することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の揺動装置において、前記使用者が着座する座部、前記脚部支持部、及び、前記使用者の背部を支持する背もたれ部のうち少なくとも一つには、傾斜角度を調整する角度調整機構が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の揺動装置において、前記膨張手段は、前記使用者が着座する座部及び前記脚部支持部の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の揺動装置において、前記モータは、前記脚部の筋肉を震わせるような周波数で前記脚部支持部を揺動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用者に不快感を与えることを回避しつつ、揺動動作時に使用者に対して多様な動作感を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る第1実施形態のマッサージ機の斜視図。
【図2】(a)は座部及び脚部支持部を正面から見た模式図、(b)は図2(a)の2b−2b線矢視図。
【図3】マッサージ機の制御構成を示すブロック図。
【図4】(a)は座部回旋部が左側に回旋した状態を示す模式図、(b)は座部回旋部が右側に回旋した状態を示す模式図。
【図5】(a)は脚部回旋部が左側に回旋した状態を示す模式図、(b)は脚部回旋部が右側に回旋した状態を示す模式図。
【図6】本発明に係る第2実施形態のマッサージ機であって、(a)は脚部回旋部が回旋動作を行う前の状態を示す模式図、(b)は脚部回旋部が回旋動作を行っている状態を示す模式図。
【図7】本発明に係る第3実施形態のマッサージ機であって、(a)は脚部回旋部が回旋動作を行う前の状態を示す模式図、(b)は脚部回旋部が左側に回旋した状態を示す模式図、(c)は脚部回旋部が右側に回旋した状態を示す模式図。
【図8】本発明に係る第4実施形態のマッサージ機であって、(a)は脚部回旋部が回旋動作を行う前の状態を示す模式図、(b)は脚部回旋部が左側に回旋した状態を示す模式図、(c)は脚部回旋部が右側に回旋した状態を示す模式図。
【図9】本発明に係る第5実施形態のマッサージ機であって、(a)は座部回旋部が回旋動作を行う前の状態を示す模式図、(b)は座部回旋部が右側に回旋した状態を示す模式図、(c)は座部回旋部が左側に回旋した状態を示す模式図。
【図10】本発明に係る第6実施形態のマッサージ機を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を椅子型のマッサージ機に具体化した第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のマッサージ機10は、図示しない床面に載置される脚部11を備え、その脚部11の上方には使用者が着座可能な座部12が固定されている。この座部12の後側には、使用者が背中をもたせ掛けさせるための背もたれ部13が角度調整機構としての傾動機構14(図3参照)によって傾動可能に設けられている。また、座部12の前側には、使用者の脚部を載せることができるオットマン15が同じく傾動機構14によって傾動可能に設けられている。また、座部12の左右両側には、使用者の腕を置くための肘掛け部16が背もたれ部13から座部12の両側前方にかけて設けられている。そして、図3に示すように、制御部17からの制御指令に基づいて傾動機構14が駆動制御されることにより、背もたれ部13及びオットマン15の傾斜角度が調整される。
【0019】
なお、オットマン15には、使用者の脚部を挿入可能な凹状をなす脚部支持部18が左右に計2つ配置されている。そして、図3に示すように、制御部17からの制御指令に基づいて揺動駆動部19が駆動制御されることにより、各脚部支持部18が左右方向に揺動する。
【0020】
また、図1及び図2(a)に示すように、背もたれ部13、座部12、及び左右一対の脚部支持部18には、使用者の身体の一部を押圧して身体を体軸周りに回旋させる背部回旋部20、腰部回旋部21、座部回旋部22、及び脚部回旋部23が各々設けられている。なお、これらの回旋部20〜23の構成はほぼ同じであるため、以下の説明においては、座部12に設けられた座部回旋部22、及び、脚部支持部18に設けられた脚部回旋部23の構成について説明する。
【0021】
図2(a)に示すように、座部回旋部22は、使用者の臀部が着座する凹湾曲面状の座面を上側に有する回動部材24を備えている。この回動部材24の左右方向の略中央部は、背もたれ部13の下端部を前後に挿通する回動軸25によって回動自在に軸支されている。また、座部12の上面には、回動部材24の下面において使用者の体軸を基準として左右両側となる面部位との間に介在するように膨張手段としてのエアバッグ26が設けられている。エアバッグ26は上下に二重に重ね合わされた状態で配置されている。そして、これらのエアバッグ26は、制御部17からの制御指令に基づいてエアポンプ28(図3参照)が駆動制御されることにより膨縮動作を行う。
【0022】
また、図2(b)に示すように、脚部回旋部23は、使用者の脹脛を支持可能な凹湾曲面状の支持面を前側に有する回動部材30を備えている。この回動部材30の左右方向の略中央部は、脚部支持部18における両側壁間の内奥に位置する内底面18aから前方に延出された延出部材31の先端部を上下に挿通する回動軸32によって回動自在に軸支されている。また、脚部支持部18の内底面18aには、回動部材30の後面において左右両側となる各面部位との間に介在するように膨張手段としてのエアバッグ33がそれぞれ設けられている。エアバッグ33は、前後に二重に重ね合わされた状態で配置されている。そして、これらのエアバッグ33は、制御部17からの制御指令に基づいてエアポンプ28が駆動制御されることにより膨縮動作を行う。
【0023】
また、図2(b)に示すように、揺動駆動部19は、制御部17にてその駆動が制御されるモータ34と、このモータ34の回転駆動力を左右方向への移動力(直線運動)に変換する直動変換機構35とを有している。
【0024】
直動変換機構35は、座部12の下側に左右方向に沿って架設されたガイドレール36と、このガイドレール36に後面側の一部が摺動自在に支持されると共に両脚部支持部18が前面側に取付けられる連結ベース部37と、連結ベース部37の後面側の一部に先端が回動自在に連結されるリンク部材38とを有している。このリンク部材38は、モータ34の回転軸(図示略)の先端に同軸配置で設けられる回転部材34aにおける周方向の一部と基端側が回動自在に接続されている。このため、モータ34の回転軸が回転することで、リンク部材38の基端側が回転運動されるとともに、その先端側が左右方向に移動することによって、ガイドレール36に沿って連結ベース部37が左右方向に移動するようになっている。このようにガイドレール36に沿って連結ベース部37が左右方向に移動することで、オットマン15の脚部支持部18が一体的に揺動する。
【0025】
次に、上記のように構成されたマッサージ機10の作用について、特に、使用者の脚部の揺動動作時に、使用者の着座姿勢が変更される場合の作用に着目して以下説明する。
さて、本実施形態のマッサージ機10では、座部12に着座した使用者の身体に対して揺動動作による揺動刺激を与える場合、まず、制御部17が揺動駆動部19を駆動制御する。すると、各脚部支持部18が左右に揺動することにより、これらの脚部支持部18に支持されている使用者の脚部Kも各脚部支持部18と連動して左右に揺動する。なお、本実施形態では、揺動駆動部19は、モータ34から伝達される駆動力に基づいて、各脚部支持部18は1〜10Hz(1秒間に1〜10往復)程度の周波数の揺動運動を行う。そのため、使用者の脚部Kには筋肉を震わせるような揺動刺激が作用する。
【0026】
そして、使用者の身体に対する揺動刺激の伝達態様を変更する場合、制御部17は、背部回旋部20、腰部回旋部21、座部回旋部22、及び、脚部回旋部23のうち、何れか一つを駆動制御する。
【0027】
ここで、制御部17が座部回旋部22を駆動制御したとする。すると、図4(a)に示すように、座部回旋部22は、回動部材30の左右両側に設けられたエアバッグ26のうち、一方側(図4(a)では右側)のエアバッグ26が膨張動作を開始すると共に、他方側(図4(a)では左側)のエアバッグ26が収縮動作を開始する。そして、回動部材24は、膨張しつつある一方側のエアバッグ26によって上方に押圧されることにより、回動軸25を中心として正面から見て右回り方向に回動する。その結果、回動部材30に着座した使用者の臀部が体軸を中心として同方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0028】
また、座部回旋部22は、一方側のエアバッグ26の膨張量が使用者の身体に対する最大押圧量に対応する最大膨張量まで達すると、その膨張状態を所定時間の間維持した後に収縮動作に移行する。すると、収縮した状態にある他方側のエアバッグ26が膨張動作を開始する。そして、図4(b)に示すように、回動部材24は、膨張しつつある他方側のエアバッグ26によって上方に押圧されることにより、回動軸25を中心として正面から見て左周り方向に回動する。その結果、回動部材24に着座した使用者の臀部が体軸を中心として同方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0029】
すなわち、脚部Kの揺動動作時における使用者の着座姿勢が使用者の臀部の左右への回旋角度に応じて多様に変化する。そのため、使用者の脚部Kから上半身への揺動の伝達態様が多様に変化する。そして、座部回旋部22の回旋動作を実行する前とは異なる動作感の揺動刺激が使用者の身体に対して身体をほぐす効果として付与される。
【0030】
特に、本実施形態では、制御部17は、エアバッグ26の膨張量が予め設定した目標膨張量(この場合、最大膨張量)に達した時点で、エアポンプの駆動を停止させてエアバッグ26の膨張形状を所定の大きさで維持する。すなわち、使用者の着座姿勢は、脚部K全体が前方から見て左右に回旋した状態で維持される。そのため、座部回旋部22の回旋動作を実行する前とは異なる動作感の揺動刺激が使用者の身体に対して一定の時間内に継続して身体をほぐす効果として付与される。
【0031】
また、制御部17が脚部回旋部23を駆動制御したとする。すると、図5(a)に示すように、左右一対の脚部支持部18に設けられた各脚部回旋部23は、回動部材30の左右両側に設けられたエアバッグ33のうち、一方側(図5(a)では右側)のエアバッグ33が膨張動作を開始すると共に、他方側(図5(a)では左側)のエアバッグ33が収縮動作を開始する。そして、回動部材30は、膨張しつつある一方側のエアバッグ33によって前方に押圧されることにより、回動軸32を中心として上方から見て左周り方向に回動する。その結果、回動部材30に支持された使用者の脚部Kが体軸を中心として同方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0032】
また、脚部回旋部23は、一方側のエアバッグ33の膨張量が最大膨張量まで達すると、その膨張状態を所定時間の間維持した後に収縮動作に移行する。すると、収縮した状態にある他方側のエアバッグ33が膨張動作を開始する。そして、図5(b)に示すように、回動部材30は、膨張しつつある他方側のエアバッグ33によって前方に押圧されることにより、上方から見て右周り方向に回動する。その結果、回動部材30に支持された使用者の脚部Kが体軸を中心として同方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0033】
すなわち、脚部Kの揺動動作時における使用者の着座姿勢が使用者の脚部Kの左右への回旋する角度に応じてより多様に変化する。そのため、使用者の脚部Kから上半身への揺動の伝達態様が多様に変化する。そして、脚部回旋部23を回旋させない場合、又は、座部回旋部22を回旋させる場合とは異なる動作感の揺動刺激が使用者の身体に対して身体をほぐす効果として付与される。
【0034】
上記第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)エアバッグ26,33の膨張動作に伴って、使用者の姿勢が変化するように使用者の身体が体軸方向に延びる軸線を中心として緩やかに回旋する。そのため、使用者に不快感を与えることを回避しつつ、脚部Kの揺動動作時に使用者の身体に作用する揺動動作の動作感を多様に変化させることができる。
【0035】
(2)エアバッグ26,33は、使用者の身体における体軸の左右両側に配設されているため、エアバッグ33の膨張動作に伴って、使用者の身体を左右両方向に円滑に回旋させることができる。
【0036】
(3)回動部材24,30が使用者の身体の一部に密着しつつ回動するため、使用者の身体の回旋をより円滑に行うことができる。
(4)回動部材24,30は、使用者の体軸方向に延びる回動軸25,32を中心として回動自在に構成されている。そのため、回動部材24,30の回動動作が円滑に行われるため、使用者の身体の回旋をより円滑に行うことができる。
【0037】
(5)エアバッグ26,33は、回動部材24,30の左右両側に配設されている。そのため、エアバッグ26,33の膨張動作に伴って、使用者の身体を支持する回動部材24,30を左右に円滑に回動させることができるため、使用者の身体の回旋をより円滑に行うことができる。
【0038】
(6)制御部17は、エアバッグ26,33の膨張状態を維持させて使用者の身体の回旋状態を維持することにより、使用者の身体に対して十分な刺激を付与することができる。
【0039】
(7)エアバッグ26,33が座部12及び脚部支持部18に設けられているため、脚部Kの揺動動作に伴って使用者の下半身に作用する動作感を、使用者の下半身部位に対応して設けられたエアバッグ26,33を膨張させることにより多様に変化させることができる。
【0040】
(8)揺動駆動部19は、モータ34から脚部支持部18に駆動力を伝達させることにより、脚部Kの筋肉を震わせるような比較的短い周期で脚部支持部を揺動させる。そのため、脚部Kの揺動動作に伴って、脚部Kの筋肉の緊張をほぐすような刺激を付与することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づき説明する。なお、第2実施形態は、エアバッグ33が回動部材30の左右片側に設けられた点が第1実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0042】
図6(a)に示すように、本実施形態のマッサージ機10の脚部回旋部23は、脚部支持部18の内底面18aにおける右方寄りの位置から延出部材31が前方に延出されている。そして、回動部材30の基端部は、延出部材31の先端部を上下方向に挿通する回動軸32によって回動自在に軸支されている。また、脚部支持部18の内底面18aには、回動部材30の後面において左端側となる面部位との間に介在するようにエアバッグ33が設けられている。そして、エアバッグ33が収縮した状態では、回動部材30は脚部支持部18の内底面18aと対向して左右に平行に延びるように配置される。
【0043】
ここで、本実施形態のマッサージ機10において、使用者の脚部Kの揺動動作時に、制御部17が脚部回旋部23を駆動制御することにより、脚部回旋部23のエアバッグ33を膨張動作させたとする。すると、図6(b)に示すように、膨張しつつあるエアバッグ33が回動部材30を前方に押圧することにより、回動部材30が回動軸32を中心として上方から見て右回り方向に回動する。その結果、回動部材30に支持された使用者の脚部Kが体軸を中心として同方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0044】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1),(3),(4),(6),(7),(8)と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図7に基づき説明する。なお、第3実施形態は、回動部材30を軸支する回動軸32が設けられていない点が上記各実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、上記各実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、上記各実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0045】
図7(a)に示すように、本実施形態のマッサージ機10の脚部回旋部23は、脚部支持部18の内底面18aにおける左右両側となる位置にエアバッグ33が左右で対をなすように設けられている。そして、エアバッグ33の前面に回動部材30が固定されている。
【0046】
ここで、本実施形態のマッサージ機10において、使用者の脚部Kの揺動動作時に、制御部17が脚部回旋部23を駆動制御することにより、左右両側に設けられた各エアバッグ33のうち、一方側(図7(a)では右側)のエアバッグ33が膨張動作を開始したとする。すると、図7(b)に示すように、回動部材30は、膨張しつつある一方側のエアバッグ33によって前方に押圧されることにより、上方から見て左周り方向に回動しつつ前方に変位する。その結果、回動部材30に支持された使用者の脚部Kが体軸を中心として同方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0047】
また、脚部回旋部23は、一方側のエアバッグ33の膨張量が最大膨張量まで達すると、その膨張状態を所定時間の間維持した後に収縮動作に移行する。すると、収縮した状態にある他方側のエアバッグ33が膨張動作を開始する。そして、図7(c)に示すように、回動部材30は、膨張しつつある他方側(図7(c)では左側)のエアバッグ33によって前方に押圧されることにより、上方から見て右周り方向に回動する。その結果、回動部材30に支持された使用者の脚部Kが体軸を中心として同方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0048】
上記第3実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1),(2),(3),(5),(6),(7),(8)と同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図8に基づき説明する。なお、第4実施形態は、使用者の身体の一部を支持する回動部材30が設けられていない点が上記各実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、上記各実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、上記各実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0049】
図8(a)に示すように、本実施形態のマッサージ機10の脚部回旋部23は、脚部支持部18の底部の前面において使用者の体軸を基準として左右両側となる位置に設けられたエアバッグ33が使用者の脚部を支持している。
【0050】
ここで、本実施形態のマッサージ機10において、使用者の脚部Kの揺動動作時に、制御部17が脚部回旋部23を駆動制御することにより、左右両側に設けられたエアバッグ33のうち、一方側(図8(a)では右側)のエアバッグ33が膨張動作を開始したとする。すると、図8(b)に示すように、使用者の脚部Kのうち、体軸に対して一方側(図8(b)では右側)となる部位が、膨張しつつある一方側のエアバッグ33によって前方に押圧される。そして、使用者の脚部Kが体軸を中心として上方から見て左周り方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0051】
また、脚部回旋部23は、一方側のエアバッグ33の膨張量が最大膨張量まで達すると、その膨張状態を所定時間の間維持した後に収縮動作に移行する。すると、収縮した状態にある他方側のエアバッグ33が膨張動作を開始する。そして、図8(c)に示すように、使用者の脚部Kのうち、体軸に対して他方側(図8(c)では左側)となる部位が、膨張しつつある他方側のエアバッグ33によって前方に押圧される。そして、使用者の脚部Kが体軸を中心として上方から見て右周り方向に回旋するように使用者の着座姿勢が変化する。
【0052】
上記第4実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1),(2),(6),(7),(8)と同様の効果が得られる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を図9に基づき説明する。なお、第5実施形態は、使用者の臀部の回旋動作と使用者の腰部の回旋動作が同期して行われる点が上記各実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、上記各実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、上記各実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0053】
図9(a)に示すように、本実施形態のマッサージ機10の腰部回旋部21は、背もたれ部13の下方寄りの位置における左右両側に膨張手段としてのエアバッグ40が各々設けられている。そして、これらのエアバッグ40は、制御部17からの制御指令に基づいてエアポンプ28が駆動制御されることにより膨縮動作を行う。
【0054】
ここで、本実施形態のマッサージ機10において、図9(b)に示すように、使用者の脚部Kの揺動動作時に、座部回旋部22が使用者の臀部を正面から見て右回り方向に回旋させると、腰部回旋部21では一方側(図9(b)では右側)のエアバッグ40が膨張する。すると、膨張しつつある腰部回旋部21の一方側のエアバッグ40が使用者の腰部の背面側右側部分を押圧し、その腰部を上方から見て体軸を中心として左周り方向に回旋させる。
【0055】
また、図9(c)に示すように、座部回旋部22が使用者の臀部を正面から見て左回り方向に回旋させると、腰部回旋部21では一方側(図9(c)では右側)のエアバッグ40が収縮動作を開始すると共に、他方側(図9(c)では左側)のエアバッグ40が膨張動作を開始する。すると、膨張しつつある腰部回旋部21の他方側のエアバッグ40が使用者の腰部を上方から見て体軸を中心として右周り方向に回旋させる。
【0056】
すなわち、座部回旋部22による使用者の臀部の回旋動作に同期して、腰部回旋部21による使用者の腰部の回旋動作が行われる。そして、使用者の身体における複数の部位に同時に回旋動作が行われることにより、使用者の身体における単一の部位に回旋動作を行う場合よりも使用者の身体がより大きく捻られるように使用者の着座姿勢が変化する。
【0057】
上記第5実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1)〜(8)の効果と同様の効果が得られる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を図10に基づき説明する。なお、第6実施形態は、使用者の脚部Kの揺動動作時に、使用者の背部を施療する施療子が使用者の背面を押圧した状態で、使用者の身体の回旋動作が行われる点が上記各実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、上記各実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、上記各実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0058】
図10に示すように、本実施形態のマッサージ機10は、背もたれ部13の上方寄りの位置における左右方向の略中央位置に、施療子50を有するマッサージ機構51が内装されている。マッサージ機構51は、モータ(図示略)により背もたれ部13の上下方向に移動可能に備えられ、施療子50に施療動作を行わせるモータ(図示略)も内蔵されている。そして、マッサージ機構51は、各種モータの駆動に基づく施療子50の施療動作により、使用者の背中に対して施療を行うようになっている。
【0059】
ここで、本実施形態のマッサージ機10は、使用者の脚部Kの揺動動作時に、マッサージ機構51の施療子50が使用者の背面に対して押圧による施療動作を行いつつ、座部回旋部22が使用者の臀部を左右に回旋させる。そのため、使用者の背部が施療子50によって後方から押圧されて支持されることにより使用者の着座姿勢が安定した状態で、座部回旋部22の回旋動作に伴って使用者の着座姿勢が変化する。
【0060】
上記第8実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1)〜(8)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(9)施療子50が使用者の背部を押圧して使用者の姿勢を安定させることにより、エアバッグ26の膨張動作に伴った使用者の身体の回旋動作を安定して行うことができる。
【0061】
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記各実施形態において、傾動機構14は、座部12の傾斜角度を変化させる構成としてもよい。そして、使用者の脚部の揺動動作時に、使用者の身体を回旋させた状態で、傾動機構14が、背もたれ部13、脚部支持部18、及び座部12のうち少なくとも一つの傾斜角度を変化させて使用者の着座姿勢を変化させるようにしてもよい。
【0062】
この構成によれば、脚部の揺動動作時に使用者の身体に作用する動作感を多様に変化させることができる。
・上記各実施形態において、脚部の揺動動作時に、各回旋部20,21,22,23に設けられたエアバッグ26,33,40の最大膨張量を変化させるようにしてもよい。
【0063】
この構成によれば、エアバッグ26,33,40の最大膨張量を変化させることにより、使用者の姿勢を多様に変化させることができるため、脚部Kの揺動動作時に使用者の身体に作用する動作感をより多様に変化させることができる。
【0064】
・上記各実施形態において、エアバッグ26,33,40の膨張状態を一定の時間維持させることなく、エアバッグ26,33,40の膨縮動作を連続的に繰り返すようにしてもよい。
【0065】
・上記第5実施形態において、使用者の脚部Kの揺動動作時に、背部回旋部20、腰部回旋部21、座部回旋部22、及び、脚部回旋部23のうち、同期して回旋させる回旋部の組み合わせとして任意の組み合わせを採用してもよい。また、これらの回旋部20,21,22,23のうち、3つ以上の回旋部を同期して回旋させるようにしてもよい。
【0066】
・上記第6実施形態において、使用者の脚部Kの揺動動作時に、マッサージ機構51の施療子50が使用者の背面に対して押圧による施療動作を行いつつ回旋動作を行う回旋部として、背部回旋部20、腰部回旋部21、脚部回旋部23を採用してもよい。また、使用者の背面に対する施療動作を行いつつ複数の回旋部が回旋動作を行うようにしてもよい。また、施療子50の施療動作と回旋部20,21,22,23の回旋動作を同時に開始するようにしてもよいし、回旋部20,21,22,23の回旋動作を開始した後に、施療子50の施療動作を開始するようにしてもよい。
【0067】
・上記各実施形態において、左右一対の脚部回旋部23は、使用者の左右両側の脚部Kに対して互いに異なる動作態様で回旋動作を実行するようにしてもよい。
・上記各実施形態において、使用者の脚部Kを左右方向に捻りつつ揺動させる構成としてもよい。
【0068】
・上記各実施形態において、各回旋部20,21,22,23が使用者の身体の一部を押圧して使用者の身体を回旋させた状態で、使用者の脚部Kの揺動動作を開始するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…揺動装置としてのマッサージ機、12…座部、13…背もたれ部、14…角度調整機構としての傾動機構、17…制御部(制御手段)、18…脚部支持部、24…回動部材、25…回動軸、26…膨張手段としてのエアバッグ、30…回動部材、32…回動軸、33…膨張手段としてのエアバッグ、34…モータ、40…膨張手段としてのエアバッグ、50…施療子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の脚部を支持した状態でモータから伝達される駆動力に基づき左右方向に揺動可能な脚部支持部と、
前記使用者の身体の一部を押圧して前記身体を体軸方向に延びる軸線を中心として回旋させるように膨張する膨張手段と、を備えたことを特徴とする揺動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動装置において、
前記膨張手段は、前記使用者の身体における体軸の左右両側に配設されることを特徴とする揺動装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の揺動装置において、
前記使用者の身体の一部を支持した状態で回動する回動部材を更に備え、
前記膨張手段は、前記回動部材を押圧して回動させるように膨張することを特徴とする揺動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の揺動装置において、
前記回動部材は、前記使用者の体軸方向に延びる回動軸を中心として回動自在に構成されることを特徴とする揺動装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の揺動装置において、
前記膨張手段は、前記回動部材の左右両側に配設されることを特徴とする揺動装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の揺動装置において、
前記膨張手段の膨張動作を制御する制御手段は、前記膨張手段の膨張動作時における最大膨張量を変化させることを特徴とする揺動装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の揺動装置において、
前記膨張手段の膨張動作を制御する制御手段は、前記膨張手段の膨張状態を維持させることを特徴とする揺動装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の揺動装置において、
前記使用者の背部を押圧して施療を行う施療子を更に備え、
前記膨張手段は、前記施療子が前記使用者の背部を押圧した状態で膨張することを特徴とする揺動装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載の揺動装置において、
前記使用者が着座する座部、前記脚部支持部、及び、前記使用者の背部を支持する背もたれ部のうち少なくとも一つには、傾斜角度を調整する角度調整機構が設けられていることを特徴とする揺動装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のうち何れか一項に記載の揺動装置において、
前記膨張手段は、前記使用者が着座する座部及び前記脚部支持部の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする揺動装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のうち何れか一項に記載の揺動装置において、
前記モータは、前記脚部の筋肉を震わせるような周波数で前記脚部支持部を揺動させることを特徴とする揺動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−469(P2013−469A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136669(P2011−136669)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】