説明

損傷を受けた肺組織のターゲティング

本発明は、損傷を受けた肺組織をターゲティングするための方法及び組成物に関する。提供する組成物は、例えば架橋可能部分、画像化部分、及び/又は1以上の他のターゲティング部分を含む、1以上の他の部分にカップリングした、ターゲティング部分を特徴とする。本発明の方法及び組成物は、例えば気腫などの肺の状態を検出し、そして治療する際に使用を見出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願:
本出願は、各々、本明細書に全体として援用される、仮出願U.S.60/580,444、表題“Targeting Damaged Lung Tissue”、2004年6月16日出願;U.S.60/586,932、表題“Targeting Damaged Lung Tissue Using Various Formulations”、2004年7月8日出願;及びU.S.60/586,950、表題“Lung Volume Reduction Using Glue Composition”、2004年7月8日出願に優先権の利益を請求する。本出願は、各々、本明細書に全体として援用される、非仮出願U.S.11/008,577、表題“Targeting Damaged Lung Tissue Using Compositions”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,092、表題“Targeting Damaged Lung Tissue”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,094、表題“Targeting Sites of Damaged Lung Tissue Using Composition”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,578、表題“Targeting Sites of Damaged Lung Tissue”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,649、表題“Imaging Damaged Lung Tissue Using Compositions”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,777、表題“Imaging Damaged Lung Tissue”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,087、表題“Glue Compositions for Lung Volume Reduction”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,093、表題“Lung Volume Reduction Using Glue Compositions”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,580、表題“Glue Composition for Lung Volume Reduction”、2004年12月8日出願;及びU.S.11/008,782、表題“Lung Volume Reduction Using Glue Composition”、2004年12月8日出願に優先権の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】

発明の背景:
肺の状態は、何百万人のアメリカ人、及び世界中の多くのさらなる個体に影響を及ぼす。例えば、気腫、喘息、気管支拡張症(bronchiectais)及び慢性気管支炎を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、米国における最も一般的な慢性状態の1つであり、そして主な死因の第四位である。多様な環境要因及び遺伝的要因がCOPDに寄与しうるが、喫煙が主な原因である。タバコの煙は、肺内の炎症性応答を誘発し、エラスターゼ、カテプシンG、及びマトリックス・メタロプロテイナーゼ(MMP)を活性化しうる。これらの酵素はプロテアーゼであり、肺の伸縮性(elastic)組織の進行性の破壊を生じ、伸縮性及び呼気に必要な肺の反跳(recoil)を減少させる。損傷を受けた肺胞壁は、最終的に破裂して、伸縮性がない「小気泡(bleb)」を形成する。気腫は、例えば、末端細気管支より遠位の肺胞気腔の異常な拡張、及びこうした「小気泡」を生じる気腔実質の破壊によって特徴付けられる。
【0003】
現在の診断は、病歴、肺機能、及び放射線学画像(例えばCT画像)を含む、要因の組み合わせによる推定を伴うが、肺機能データと気腫の度合いの相関は劣っている。例えば、レントゲン写真は、穏やかな気腫には感度が低く、そして中程度に重症である気腫のわずか約40%、及び重症である気腫の約66%が、胸部x線に際して、疾患の徴候を示す。したがって、気腫などの肺の状態を検出し、そして診断するための、改善法に対する必要性が依然としてある。
【0004】
現在の治療にもまた、欠点がある。肺の状態の治療は、しばしば、疾患の治癒でなく、制御及び管理を伴う。気腫では、例えば、治療は、禁煙、運動プログラム、収縮した気道の開放を補助する投薬、抗炎症投薬、酸素療法、一方向バルブの配置、及び肺体積減少術(LVRS)を伴いうる。LVRSは、損傷を受け、過剰に膨張した肺組織を外科的に除去して、残りの損傷を受けていない組織が拡大するための空間を確保することを伴う。しかし、この技術は侵襲性の処置を必要とし、そして時間と共に利点が減少する傾向がある。さらに、一方向バルブを用いた治療は、満足できるものであると証明されていない。したがって、よりよい検出法に対する必要性とともに、気腫などの肺の状態を治療するための改善法に対する必要性もまた依然としてある。
【0005】
本発明は、これに向けられる方法及び組成物を提供する。これに向けられる他の方法及び組成物が、各々、本明細書に全体として援用される、非仮出願U.S.11/008,577、表題“Targeting Damaged Lung Tissue Using Compositions”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,092、表題“Targeting Damaged Lung Tissue”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,094、表題“Targeting Sites of Damaged Lung Tissue Using Composition”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,578、表題“Targeting Sites of Damaged Lung Tissue”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,649、表題“Imaging Damaged Lung Tissue Using Compositions”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,777、表題“Imaging Damaged Lung Tissue”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,087、表題“Glue Compositions for Lung Volume Reduction”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,093、表題“Lung Volume Reduction Using Glue Compositions”、2004年12月8日出願;U.S.11/008,580、表題“Glue Composition for Lung Volume Reduction”、2004年12月8日出願;及びU.S.11/008,782、表題“Lung Volume Reduction Using Glue Composition”、2004年12月8日出願に提供される。
【発明の開示】
【0006】
発明の簡単な概要:
本発明の1つの側面は、架橋可能部分及びターゲティング部分を含む組成物であって、該部分がカップリングしており、そして該ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織をターゲティングする、前記組成物に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液(epithelial lining fluid)を含む。いくつかの態様において、組成物は多糖又は炭水化物部分を含まない。いくつかの態様において、組成物は突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない。
【0007】
いくつかの態様において、ターゲティング部分は損傷相関部分をターゲティングする。いくつかの態様において、損傷相関部分は細胞表面マーカーを含む。いくつかの態様において、損傷相関部分はECM構成要素を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分はエラスターゼをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分は好中球エラスターゼをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分はプロテアーゼ阻害剤部分を含む。例えば、いくつかの態様において、ターゲティング部分はアルファ−1アンチトリプシン部分、例えば組換えアルファ−1アンチトリプシン部分を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分はエラフィン部分、例えば組換えエラフィン部分を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分はセルピン部分、例えば組換えセルピン部分、分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分、及び/又は組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする。いくつかの態様において、組成物はヒアルロン酸又はその塩を含まない。いくつかの態様において、ターゲティング部分はデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分はCD8及び/又はCD4をターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分はタバコ関連部分をターゲティングする。
【0008】
いくつかの態様において、架橋可能部分はヒドロキシル基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はカルボキシル基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はエステル基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はシアノ基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はチオール基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はシステイン基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はカルボニル基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はアルデヒド基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はケトン基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分は一級アミン基及び/又は二級アミン基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はリジン基を含む。いくつかの態様において、架橋可能部分はフィブリノーゲン及び/又はフィブリンを含む。
【0009】
いくつかの態様において、組成物は10ミクロン未満である。いくつかの態様において、組成物は5ミクロン未満である。いくつかの態様において、組成物は1ミクロン未満である。本発明の別の側面において、組成物は、ターゲティング部分及び/又は架橋可能部分にカップリングした画像化部分をさらに含む。
【0010】
本発明の別の側面は、被験者に、架橋可能部分及びターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで該部分はカップリングしており、そして該ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして損傷を受けた肺組織を架橋し、それによって肺体積を減少させる工程によって、肺体積を減少させる方法に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、損傷を受けた肺組織をあらかじめ同定せずに、該方法を行う。いくつかの態様において、方法は、肺組織内の上皮細胞に損傷を与えない。いくつかの態様において、方法は、硬化剤の使用によって、肺組織内の上皮細胞に損傷を与える。いくつかの態様において、硬化剤は、ドキシサイクリン、ブレオマイシン、ミノサイクリン、ドキソルビシン、シスプラチン+シタラビン、ミトキサントロン、コリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium Parvum)、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼから選択される、少なくとも1つの化合物である。いくつかの態様において、組成物は多糖又は炭水化物部分を含まない。いくつかの態様において、組成物は、突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない。
【0011】
いくつかの態様において、投与は吸入を介して行われ、例えば吸入は口を介して行われる。いくつかの態様において、投与は経胸腔投与を介して行われる。
いくつかの態様において、方法は、架橋活性化部分を含む第二の部分を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、架橋活性化部分は、ジオール、ポリオール、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、ジエステル、ポリエステル、ジアミン、及びポリアミンから選択される少なくとも1つの基を含む。いくつかの態様において、架橋活性化部分は、アルキルビス(2−シアノアクリレート)、トリアリルイソシアヌレート、アルキレンジアクリレート、アルキレンジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートから選択される少なくとも1つの基を含む。いくつかの態様において、架橋活性化部分は、ジスルフィド、カルボジイミド、及びヒドラジンから選択される少なくとも1つの基を含む。いくつかの態様において、架橋活性化部分はフィブリン活性化因子及び/又はフィブリノーゲン活性化因子を含む。
【0012】
いくつかの態様において、方法は、増殖因子を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、抗界面活性剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、抗生物質を投与する工程をさらに含む。
【0013】
いくつかの態様において、方法は、被験者の肺の第一の部分又はすべてを虚脱させる工程をさらに含む。いくつかの態様において、虚脱は、被験者の肺内部からの陰圧の使用を含む。いくつかの態様において、虚脱は、被験者の肺外部からの陽圧の使用を含む。いくつかの態様において、方法は、被験者の肺の第二の部分を再膨張させる工程をさらに含み、ここで第二の部分は前記の損傷を受けた肺組織を含まない。
【0014】
いくつかの態様において、組成物は、ターゲティング部分及び/又は架橋可能部分にカップリングした画像化部分をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、損傷を受けた肺組織を画像化する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は洗浄部分を投与する工程をさらに含む。
【0015】
本発明の別の側面は、被験者に、架橋可能部分及びターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで該部分はカップリングしており、そして該ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして損傷を受けた肺組織を架橋し、それによって肺の状態を治療する工程によって、肺の状態を治療する方法に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、肺の状態は気腫である。いくつかの態様において、肺の状態はCOPDである。
【0016】
本発明の別の側面は、第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物であって、該ターゲティング部分がカップリングしており、そして該ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングする、前記組成物に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、異なる部位は、拡張した気腔内の異なる部位を含む。いくつかの態様において、第一のターゲティング部分は第一の損傷相関部分をターゲティングし、そして第二のターゲティング部分は第二の損傷相関部分をターゲティングし、第一及び第二の損傷相関部分は異なる部位に存在する。いくつかの態様において、第一及び第二の損傷相関部分は同一である。いくつかの態様において、第一及び第二の損傷相関部分は異なる。
【0017】
いくつかの態様において、ターゲティング部分は化学的リンカーを介してカップリングしている。いくつかの態様において、化学的リンカーは2つの官能基を含む。いくつかの態様において、官能基の少なくとも一方は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アミン基、又はリジン基である。いくつかの態様において、官能基の少なくとも一方は、シアノ基、チオール基、システイン基、カルボニル基、アルデヒド基、又はケトン基である。いくつかの態様において、ターゲティング部分は融合ポリペプチドとしてカップリングしている。いくつかの態様において、ターゲティング部分はタンパク質を介してカップリングしている。いくつかの態様において、ターゲティング部分は抗体を介してカップリングしている。いくつかの態様において、組成物は多糖又は炭水化物部分を含まない。いくつかの態様において、組成物は突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない。
【0018】
いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分は、損傷相関部分をターゲティングする。いくつかの態様において、損傷相関部分は細胞表面マーカーを含む。いくつかの態様において、損傷相関部分はECM構成要素を含む。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分はエラスターゼをターゲティングする。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分は好中球エラスターゼをターゲティングする。いくつかの態様において、前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分はプロテアーゼ阻害剤部分を含む。例えば、いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分はアルファ−1アンチトリプシン部分、例えば組換えアルファ−1アンチトリプシン部分を含む。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分はエラフィン部分、例えば組換えエラフィン部分を含む。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分はセルピン部分、例えば組換えセルピン部分、分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分、及び/又は組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分を含む。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分は、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする。いくつかの態様において、組成物はヒアルロン酸又はその塩を含まない。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分はデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分はCD8及び/又はCD4をターゲティングする。いくつかの態様において、第一及び/又は第二のターゲティング部分はタバコ関連部分をターゲティングする。
【0019】
いくつかの態様において、組成物は10ミクロン未満である。いくつかの態様において、組成物は5ミクロン未満である。いくつかの態様において、組成物は1ミクロン未満である。
【0020】
本発明の別の側面において、組成物は、第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした架橋可能部分をさらに含む。本発明のさらに別の側面において、組成物は、第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした画像化部分をさらに含む。
【0021】
本発明の別の側面は、被験者に、第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで該ターゲティング部分はカップリングしており、そして該ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そしてターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングするのを可能にし、それによって肺体積を減少させる工程によって、肺体積を減少させる方法に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、異なる部位は、拡張した気腔内の異なる部位を含む。いくつかの態様において、第一のターゲティング部分は第一の損傷相関部分をターゲティングし、そして第二のターゲティング部分は第二の損傷相関部分をターゲティングし、第一及び第二の損傷相関部分は異なる部位に存在する。いくつかの態様において、第一及び第二の損傷相関部分は同一である。いくつかの態様において、第一及び第二の損傷相関部分は異なる。
【0022】
いくつかの態様において、損傷を受けた肺組織をあらかじめ同定せずに、該方法を行う。いくつかの態様において、方法は、肺組織内の上皮細胞に損傷を与えない。いくつかの態様において、方法は、硬化剤の使用によって、肺組織内の上皮細胞に損傷を与える。いくつかの態様において、硬化剤は、ドキシサイクリン、ブレオマイシン、ミノサイクリン、ドキソルビシン、シスプラチン+シタラビン、ミトキサントロン、コリネバクテリウム・パルブム、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼから選択される、少なくとも1つの化合物である。いくつかの態様において、組成物は多糖又は炭水化物部分を含まない。いくつかの態様において、組成物は、突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない。
【0023】
いくつかの態様において、投与は吸入を介して行われ、例えば吸入は口を介して行われる。いくつかの態様において、投与は経胸腔投与を介して行われる。
いくつかの態様において、方法は、増殖因子を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、抗界面活性剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、抗生物質を投与する工程をさらに含む。
【0024】
いくつかの態様において、方法は、被験者の肺の第一の部分又はすべてを虚脱させる工程をさらに含む。いくつかの態様において、虚脱は、被験者の肺内部からの陰圧の使用を含む。いくつかの態様において、虚脱は、被験者の肺外部からの陽圧の使用を含む。いくつかの態様において、方法は、被験者の肺の第二の部分を再膨張させる工程をさらに含み、ここで第二の部分は前記の損傷を受けた肺組織を含まない。
【0025】
いくつかの態様において、組成物は、第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした架橋可能部分をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、損傷を受けた肺組織を架橋する工程をさらに含む。
【0026】
いくつかの態様において、組成物は、第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした画像化部分をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、損傷を受けた肺組織を画像化する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、洗浄部分を投与する工程をさらに含む。
【0027】
本発明の別の側面は、被験者に、第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで該ターゲティング部分はカップリングしており、そして該ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そしてターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングするのを可能にし、それによって肺の状態を治療する工程によって、肺の状態を治療する方法に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、肺の状態は気腫である。いくつかの態様において、肺の状態はCOPDである。
【0028】
本発明の別の側面は、画像化部分及びターゲティング部分を含む組成物であって、該部分がカップリングしており、そして該ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織をターゲティングする、前記組成物に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、組成物は多糖又は炭水化物部分を含まない。いくつかの態様において、組成物は抗体を含まない。いくつかの態様において、組成物は突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない。いくつかの態様において、組成物は肺膜ジペプチダーゼ結合性分子を含まない。いくつかの態様において、ターゲティング部分は肺膜ジペプチダーゼをターゲティングしない。
【0029】
いくつかの態様において、ターゲティング部分は、損傷相関部分をターゲティングする。いくつかの態様において、損傷相関部分は細胞表面マーカーを含む。いくつかの態様において、損傷相関部分はECM構成要素を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分はエラスターゼをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分は好中球エラスターゼをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分はプロテアーゼ阻害剤部分を含む。例えば、いくつかの態様において、ターゲティング部分はアルファ−1アンチトリプシン部分、例えば組換えアルファ−1アンチトリプシン部分を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分はエラフィン部分、例えば組換えエラフィン部分を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分はセルピン部分、例えば組換えセルピン部分、分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分、及び/又は組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分を含む。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする。いくつかの態様において、組成物はヒアルロン酸又はその塩を含まない。いくつかの態様において、ターゲティング部分はデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分はCD8及び/又はCD4をターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分はタバコ関連部分をターゲティングする。
【0030】
いくつかの態様において、画像化部分は造影剤を含む。いくつかの態様において、造影剤は非イオン性である。いくつかの態様において、造影剤はイオン性である。いくつかの態様において、画像化部分は、タンタル化合物及びバリウム化合物から選択される、少なくとも1つの金属化合物を含む。いくつかの態様において、画像化部分はヨウ素を含む。いくつかの態様において、画像化部分は、ヨードカルボン酸、トリヨードフェノール、ヨードホルム及びテトラヨードエチレンから選択される、少なくとも1つの有機ヨード酸を含む。いくつかの態様において、画像化部分は非放射性部分を含む。いくつかの態様において、画像化部分はプロトン放出部分を含む。いくつかの態様において、画像化部分は放射線不透過性部分及び/又は放射性部分を含む。いくつかの態様において、画像化部分は磁気部分を含む。いくつかの態様において、画像化部分は放射性薬剤を含む。いくつかの態様において、画像化部分はIn−111部分を含む。いくつかの態様において、画像化部分はTc−99m部分を含む。いくつかの態様において、画像化部分はXe−133部分を含む。
【0031】
いくつかの態様において、組成物は10ミクロン未満である。いくつかの態様において、組成物は5ミクロン未満である。いくつかの態様において、組成物は1ミクロン未満である。本発明の別の側面において、組成物は、カップリングした架橋可能部分及び/又はカップリングした別のターゲティング部分をさらに含む。
【0032】
本発明の別の側面は、被験者に、画像化部分及びターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで該部分はカップリングしており、そして該ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして損傷を受けた肺組織を画像化する工程によって、損傷を受けた肺組織を画像化する方法に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、組成物は多糖又は炭水化物部分を含まない。いくつかの態様において、組成物は抗体を含まない。いくつかの態様において、組成物は突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない。いくつかの態様において、組成物は肺膜ジペプチダーゼ結合性分子を含まない。いくつかの態様において、ターゲティング部分は肺膜ジペプチダーゼをターゲティングしない。
【0033】
いくつかの態様において、投与は吸入を介して行われ、例えば吸入は口を介して行われる。いくつかの態様において、投与は経胸腔投与を介して行われる。いくつかの態様において、投与は静脈内投与を介して行われる。
【0034】
いくつかの態様において、損傷を受けた肺組織の画像化は、放射線学的技術を介して行われる。いくつかの態様において、放射線学的技術は、X線、CTスキャン、PETスキャン、核スキャン、SPECT、及びシンチグラフィーから選択される少なくとも1つである。
【0035】
いくつかの態様において、組成物は、カップリングした架橋可能部分及び/又はカップリングした別のターゲティング部分をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、損傷を受けた肺組織を架橋し、そして/又はシーリングする工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、洗浄部分を投与する工程をさらに含む。
【0036】
本発明の別の側面は、被験者に、画像化部分及びターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで該部分はカップリングしており、そして該ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして損傷を受けた肺組織を画像化する工程によって、肺の状態を診断する方法に関する。いくつかの態様において、肺組織は肺胞上皮粘液を含む。いくつかの態様において、肺の状態は気腫である。いくつかの態様において、肺の状態はCOPDである。
【0037】
本発明の新規の特徴を、付随する請求項に詳細に示す。本発明の特徴及び利点のよりよい理解は、本発明の原理を利用した例示的態様を示す、以下の詳細な説明、及び付随する図を参照することによって得られるであろう。
【0038】
発明の詳細な説明:
本発明の1つの側面は、肺液、例えば肺胞上皮粘液を含む、損傷を受けた肺組織をターゲティングするターゲティング部分を含む組成物を提供する。ターゲティング部分は、損傷を受けた肺組織、例えば、肺の状態に影響を受けることが可能であるか、影響を受けたことがあるか、又は影響を受ける可能性がある、病的及び/又は非正常肺組織の部位を、優先的に又は選択的にターゲティングする。好ましい態様において、ターゲティング部分は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、より多量に存在しうる、損傷相関部分を認識し、そして/又は該部分に結合する。損傷を受けた肺組織をターゲティングする、及びその多様な文法的活用は、本明細書において、こうした損傷相関部分、例えば本明細書に開示し、そして/又は援用される、損傷相関部分のいずれか及びすべてをターゲティングすることを含む。損傷を受けた肺組織の、影響を受けた領域はまた、肺液、例えば肺胞上皮粘液を含むことも可能である。こうした損傷相関部分は、例えば疾患進行のため、被験者の肺に存在し、そして例えばターゲティング部分を含む組成物の投与前に、被験者に投与する必要はない。
【0039】
優先的及び/又は選択的ターゲティングを含むターゲティングは、ターゲティング部分が、肺の正常及び/又は非損傷領域のいずれにも、あるいは他の非肺組織いずれにも結合しないことを意味しない。いくつかの態様において、ターゲティングは、例えば、他の肺組織構成要素よりも、相対的Kiの観点で、対応する損傷相関部分に対して、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約150倍、又は少なくとも約200倍選択的であることを意味する。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、対応する損傷相関部分に対して、少なくとも約50倍の選択性、少なくとも約100倍の選択性、少なくとも約200倍の選択性、少なくとも約300倍の選択性、少なくとも約400倍の選択性、少なくとも約500倍の選択性、少なくとも約600倍の選択性、少なくとも約700倍の選択性、少なくとも約800倍の選択性、少なくとも約1000倍の選択性、又は少なくとも約1500倍の選択性を有する。例えば、いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、約200nM未満、約150nM未満、約100nM未満、又は約75nM未満の、損傷相関部分に対するKi値を有する。いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、約50nMを超える、約25nMを超える、約20nMを超える、約15nMを超える、約10nMを超える、約5nMを超える、約3nMを超える、又は約1nMを超える、損傷相関部分に対するKi値を有する。いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、約10−8M未満、約10−9M未満、約10−10M未満、約10−11M未満、約10−12M未満、約10−13M未満、又は約10−14M未満のKDで、ターゲットである損傷相関部分に結合する。
【0040】
ターゲットである損傷相関部分を認識し、そして/又は該部分に結合するターゲティング部分と関連した結合は、共有結合及び非共有結合両方を指すことも可能であり、例えばターゲティング部分は、共有結合及び/又は非共有結合によって、ターゲットである損傷相関部分に結合するか、付着するか、又は別の方式でカップリングすることも可能である。結合は、高親和性又は低親和性のいずれであってもよく、好ましくは高親和性である。本発明で有用でありうる結合力の例には、限定されるわけではないが、共有結合、双極子相互作用、静電気力、水素結合、疎水性相互作用、イオン結合、及び/又はファンデルワールス力が含まれる。
【0041】
「損傷相関部分」には、例えば、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺組織で、より高い濃度で見られる物質が含まれる。本明細書において、用語「領域」、「区域」及び「部位」は、損傷を受けた肺組織の区域、部位及び/又は領域を指す場合、交換可能に用いられる。例えば、損傷相関部分は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺組織に、より高い濃度で付着し、結合し、カップリングし、複合体化し、そして/又は別の方式で会合して見られうる。結合、付着、カップリング、複合体化、及び/又は会合は、例えば双極子相互作用、静電力、水素結合、疎水性相互作用、イオン結合、及び/又はファンデルワールス力を含む、共有及び/又は非共有相互作用を伴うことも可能である。
【0042】
いくつかの態様において、損傷相関部分は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺組織の細胞表面に、より高い濃度で結合し、付着し、カップリングし、複合体化し、そして/又は別の方式で会合する。いくつかの態様において、損傷相関部分は、細胞壁に結合していることも可能である。いくつかの態様において、損傷相関部分は、それ自体が細胞壁に結合している部分と複合体化することも可能である。いくつかの態様において、損傷相関部分は、細胞表面マーカーを含むことも可能であり、例えばこの場合、細胞表面マーカーは、肺の状態によって影響を受けている肺組織と会合し、例えばこの場合、細胞表面マーカーは、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺組織の領域に、より高い濃度で見られる。
【0043】
さらにいくつかの態様において、損傷相関部分は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺組織の領域で、より高い濃度で、細胞外マトリックス(ECM)と会合して見られうる。例えば、損傷相関部分は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺組織のEMC構成要素をより高い濃度で含むことも可能であるし、又はこうしたEMC構成要素と会合していることも可能である。
【0044】
いくつかの態様において、損傷相関部分は、タンパク質部分、糖タンパク質部分、リポタンパク質部分、脂質部分、リン脂質部分、炭水化物部分、核酸部分、修飾核酸部分、及び/又は小分子部分から選択される少なくとも1つの部分を含み、これらには、例えば、糖タンパク質部分を含む細胞表面マーカー及び/又はタンパク質部分を含むECM構成要素が含まれる。
【0045】
いくつかの態様において、損傷相関部分は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺の領域に、より高い濃度で見られるプロテアーゼを含む。例えば、いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分はエラスターゼをターゲティングする。エラスターゼは、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域におけるよりも、影響を受けている肺組織の細胞壁に、より高い濃度で結合し、そして/又はその細胞外マトリックスと会合しうる。例えば、エラスターゼは、いくつかの肺の状態、例えば気腫において、肺組織の伸縮性線維の進行性の破壊を引き起こし、膨張した肺胞の拡張及び破裂を生じて、特徴的な「小気泡」を形成する。Sukiら,“On the Progressive Nature of Emphysema,Pulmonary Perspective”,American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine,Vol.168 516−520ページ(2003);Janoffら,Am. Rev. Respir. Dis.,Vol.132 417−433ページ(1985);Senior及びKuhn,Fishman(監修),Pulmonary Diseases and Disorders,第2版中 New York,McGraw−Hill,p.1209−1218(1988)。いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、好中球エラスターゼ及び/又は好中球をターゲティングする。いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、膵臓エラスターゼ及び/又はマクロファージ・エラスターゼをターゲティングする。いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、好中球プロテイナーゼ3(Pr3)をターゲティングする。Pr3は、例えば、Durantonら,“Inhibition of proteinase 3 by alpha−1 antitrypsin in vitro predicts very fast inhibition in vivo”,Am J Respir Cell Mol Biol.,Vol.29 No.1 57−61ページ(2003)に記載される。
【0046】
例えば、ターゲティング部分は、アルファ−1アンチトリプシン、エラフィン、サイピン(thypin)(例えば国際公報第WO 02/072769号を参照されたい)、及び/又は他のセルピン、例えばPAI−1、PAI−2、SCCA−1、SCCA−2、分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤SLP−1、HMCIS41(例えば米国特許第6,753,164号を参照されたい)、及び/又は他のセルピン関連タンパク質(例えば米国公報第2004/0126777号に開示されるようなもの);そのターゲットを認識しそして/又はターゲットに結合する能力を保持する、これらのいずれかの組換え型及び/又はこれらのいずれかの部分を含んでもよい(又は含まなくてもよい)。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、エラスターゼに結合する高親和性を示す、粘液プロテイナーゼ阻害剤(MPI)を含んでもよい(又は含まなくてもよい)。Belorgeyら,“Effect of polynuclotides on the inhibition of neutrophil elastase by mucus proteinase inhibitor and alpha−1 proteinase inhibitor”,Biochemistry,Vol.37 No.46 16416−22ページ(1998)。当該技術分野に知られるエラスターゼの阻害剤など、エラスターゼをターゲティングすることが可能な他のターゲティング部分もまた使用可能である。例えば、Janoffら,Am. Rev. Respir. Dis. Vol.132 417−433ページ(1985);Zimmerman及びPowers(1989),Hornebeck(監修),Elastin and Elastases,Vol II中,Boca Raton,CRC Press,109−123ページ;ならびにLaurell及びEriksson Scand. J. Clin. Lab. Invest.,Vol.15 132−140ページ(1963)を参照されたい。他のターゲティング部分は、インター−アルファ・トリプシン阻害剤(ITI)ファミリーのプロテアーゼ阻害剤を含んでもよいし、又は含まなくてもよい。ITIタンパク質ファミリーは、Cuvelierら,“Proteins of the inter−alpha trypsin inhibitor(ITI) family. A major role in the biology of the extracellular matrix”,Rev Mal Respir,Vol.17 No.2 437−46ページ(2000)に記載されるように、ポリペプチドHC1、HC2、HC3及びビクニンの異なる組み合わせから構築可能である。
【0047】
本発明のターゲティング部分を調製するのに有用なアルファ−1アンチトリプシンを、当該技術分野に知られ、そして/又は本明細書に開示するいかなる技術によって得ることも可能である。例えば、アルファ−1アンチトリプシンは、当該技術分野に知られるような、組換え法によって得ることも可能である(例えば、Novartisの組換えアルファ−1アンチトリプシン)。例えば生物学的に天然の供給源及び/又は組換え供給源から、アルファ−1アンチトリプシンを精製するための技術もまた、当該技術分野に知られる。例えば、血漿からのアルファ−1アンチトリプシン分離を記載する、国際公報第WO 00/17227号及び米国特許第4,656,254号を参照されたい。
【0048】
いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、デスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする。デスモシン及び/又はイソデスモシンは、肺組織への損傷、特にエラスチンの破壊を伴う損傷の結果として産生されるアミノ酸である。例えば、断片化されたエラスチンは、遊離デスモシン又は小ペプチドに代謝され、これは被験者の尿中に回収されうる。例えば、Starcher B. C.,“Lung Elastin and Matrix”,Chest,Vol.117 229S−234Sページ(2000)を参照されたい。気腫の動物モデルにおいて、例えば、デスモシン尿回収は、肺損傷の尺度として役立ちうる。デスモシンを測定するためのいくつかの微量法があり、例えば酵素連結免疫吸着アッセイ(例えばOsakabe T.ら “Comparison of ELISA and HPLC for the determination of desmosine and isodesmosine in aortic tissue elastin”,J. Clin Lab Anal Vol.9 293−296ページ(1995)を参照されたい);同位体希釈(例えばStone P.J.ら “Measurement of urinary desmosine by isotope dilution and high performance liquid chromatography”,Am Rev Respir Dis Vol.144 284−290ページ(1991)を参照されたい);高性能液体クロマトグラフィー(例えばCovault H.P.ら “Liquid−chromatographic measurement of elastin”,Clin Chem Vol.28 1465−1468ページ(1982)を参照されたい);及び/又はラジオイムノアッセイ(例えばStarcher B. “A role for neutrophil elastase in the progression of solar elastosis”,Connect Tissue Res Vol.31 133−140ページ(1995)を参照されたい)が含まれる。例えばデスモシン及び/又はイソデスモシンは、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、より多量に見られうるため、肺においてデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングすると、肺損傷の部位にターゲティング部分を導くことも可能である。
【0049】
いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、COPDの病因形成において、炎症性細胞によって産生されうるカテプシン、例えばカテプシンGをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、他のシステイン・プロテイナーゼをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、カテプシンL、S、及びKをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、例えば気腫を含む活性化マクロファージ関連障害において、マクロファージ活性化の部位に集積する、RGS2をターゲティングする。例えば、EP 1378518を参照されたい。いくつかの態様において、ターゲティング部分は肺胞マクロファージをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分は好酸球をターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分は腫瘍壊死因子−αをターゲティングする。いくつかの態様において、ターゲティング部分はカリクレインをターゲティングする。
【0050】
いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分はコラゲナーゼをターゲティングする。コラゲナーゼ活性の存在は、例えば放出される構成要素、例えばコラーゲンに存在することが知られるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン及び/又はヒドロキシリジンによって検出可能である。こうした構成要素は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、より多量に存在する可能性もあり、そして本発明の組成物の損傷相関部分として役立ちうる。
【0051】
コラゲナーゼの例には、例えば、1以上のメタロプロテイナーゼが含まれる。メタロプロテイナーゼには、例えば、MMP−1(間質コラゲナーゼ又はコラゲナーゼ−1)、MMP−2(ゼラチナーゼ−A又は72kDゼラチナーゼ)、MMP−3(トランジン、ヒト線維芽細胞ストロメライシン、又はストロメライシン−1)、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7(マトリライシン)、MMP−8(コラゲナーゼ−2又は好中球コラゲナーゼ)、MMP−9(ゼラチナーゼB又は92kDゼラチナーゼ)、MMP−10(ストロメライシンII)、MMP−11(ストロメライシンIII)、MMP−12(マクロファージ(macrophase)・メタロエラスターゼ)、及び/又はMMP−13(コラゲナーゼ−3)、ならびにまたメタロプロテイナーゼADAM22(例えば米国公報第2003/0194797号を参照されたい)が含まれる。メタロプロテイナーゼ(当該技術分野において、メタロプロテアーゼとも称される)は、例えば、米国公報第2003/0199440号;米国公報第2004/0048302号;米国公報第2004/0043407号;米国公報第2004/019479号;及び国際公報第WO 02/072751号に記載されている。例えば、イロマスタット(ilomastat)部分を含むターゲティング部分が使用可能である。例えば国際公報第WO 2004/052236号を参照されたい。
【0052】
いくつかの態様において、組成物は多糖又は炭水化物部分を含まず、例えばいくつかの態様において、組成物はヒアルロン酸又はその塩を含まず;そしていくつかの態様において、組成物はデキストラン又はグリコサミノグリカンを含まない。いくつかの態様において、組成物は、伸縮性線維に結合する多糖又は炭水化物部分を含まない。いくつかの態様において、組成物は抗体を含まない。いくつかの態様において、組成物は肺膜ジペプチダーゼ結合性分子を含まず、例えばいくつかの態様において、組成物は、肺膜ジペプチダーゼをターゲティングしなくてもよく、そしていくつかの態様において、組成物はGFE−1ペプチドを含まなくてもよい。例えば、Ruoslahtiら,“Membrane dipeptidase is the receptor for a lung−targeting peptide identified by in vivo phage display”,J Biol Chem Vol.274 No.17 11593−8ページ(1999)及び米国特許第6,784,153号を参照されたい。
【0053】
また、いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、CD8及び/又はCD4、CD8リンパ球及び/又はCD4リンパ球、ならびに/あるいはインターロイキン8をターゲティングする(例えば米国公報第2003/0232048号を参照されたい)。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼをターゲティングする(例えば国際公報第WO 03/064639号を参照されたい)。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、CIRL−2相同体をターゲティングしてもよい(又はしなくてもよい)(例えば国際公報第WO 2004/031235号を参照されたい)。さらにいくつかの態様において、ターゲティング部分は、損傷相関部分をターゲティングする抗体及び/又はその結合性断片を含んでもよい(又は含まなくてもよい)。例えば、ターゲティング部分は、例えば国際公報第WO 02/072788号及び/又は米国公報第2003/0017150号に論じられる、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、より多量に見られる、COPD関連タンパク質を認識し、そして/又は該タンパク質に結合可能である、COPD関連ヒトIg由来タンパク質を含むことも可能である。さらに別の例において、ターゲティング部分は、分泌タンパク質HCEJQ69に対する抗体を含むことも可能である(例えば米国特許第6,774,216号を参照されたい)。
【0054】
本発明の好ましいターゲティング部分は、肺における損傷相関部分を認識し、そして/又は該部分に結合する生物学的部分、例えばタンパク質又はポリペプチドを含み、そして損傷相関部分の天然存在阻害剤、例えばアルファ−1アンチトリプシン及び/又はその突然変異体及び/又はその断片、ならびに他のプロテアーゼ阻害剤部分を含むことも可能である。アルファ−1アンチトリプシン同様、エラスターゼの他の天然存在阻害剤もまた、本発明の好ましいターゲティング部分として使用可能であり、例えば単球エラスターゼ阻害剤及びその変異体(例えば国際公報第WO 96/10418号;米国特許第5,827,672号;米国特許第5,663,299号を参照されたい);ならびにメタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)、例えばTIMP−1、TIMP−2、TIMP−3、及びTIMP−4が含まれる。より好ましい態様において、ターゲティング部分は、不可逆的に、実質的に不可逆的に、又は少なくとも高い結合定数で、そのターゲットである損傷相関部分に結合して、例えば所望の期間、解離に抵抗するように、修飾される。ターゲットである損傷相関部分に対する結合親和性が増加するように、ターゲティング部分を選択し、そして/又は発展させてもよい。例えば、アルファ−1アンチトリプシンを、ランダム及び/又は指定された合成によって突然変異させ、そのターゲットであるエラスターゼに対して、より高い結合定数を持つ突然変異体を設計することも可能である。
【0055】
本発明のターゲティング部分として使用してもよい(又は使用しなくてもよい)損傷相関部分の他の非天然存在阻害剤には、好中球エラスターゼの阻害剤(たとえばメチルケトン誘導体);マクロファージ・メタロプロテイナーゼの阻害剤(例えばRSl13456及び米国公報第2003/0199440号に論じられる阻害剤);カテプシンG阻害剤(例えばLEX−032(Sparta));多様なエラスターゼ阻害剤(例えばABT−491(Abbot));阻害性組成物(例えば米国公報第2003/0199440号及び国際公報第WO 03/090682号に開示されるようなもの、リパーゼ阻害剤及びホスホリパーゼ阻害剤を含む);プロテアーゼ阻害剤組成物(例えば国際公報WO 2004/045634号に開示されるようなもの);エルドステイン(Erdosteine)(Edmond Pharma);FK−706(藤沢薬品)、GW−311616(Glaxo−Wellcome)、ミデステイン(Midesteine)(Medea);好中球エラスターゼを阻害可能な、突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(例えば米国公報第2003/0216321号);N置換アゼチジノン(例えばEP 0529719);ペプチジル・カルバメート(例えば米国特許第5,008,245号及び/又はEP 0367415)、SR−268794(Sanoti)、及び/又はSYN−1134(Syn. Pharm.);他のプロテイナーゼ阻害剤(例えばCMP−777(Dupont));ならびにベンズアミド及びスルホンアミド置換アミノグアニジン及びアルコキシグアニジン(例えばU.S.2004/0106633及びEP 1070049を参照されたい);ならびにON−エラスターゼ阻害剤(例えばNX−21909(Gilead));及びいくつかのHNE阻害剤(例えばCE−1037(Cortech/United Ther)、CE−2000シリーズ(Cortech/Ono)、EPI−HNE−4(Dyax)、EPI−HNE−1(Protein Engineer)、MDL−101146(HMR)、Ono−5046(小野薬品)、SPAAT(UAB Res. Found.)、WIN−63759(Sterling Winthrop)、ZD−8321(AstraZeneca)、及び/又はZD−0892(AstraZeneca))が含まれる。ターゲティング部分はまた、本明細書記載の損傷相関部分いずれかの阻害剤及び/又は抗体、ならびに国際公報第WO 03/010327号記載のタンパク質の阻害剤及び/又は抗体;ならびに米国公報第2003/0224430号記載の好酸球セリンプロテアーゼ1様酵素及び/又は例えば国際公報第WO 2004/053117号記載の他のセリンプロテアーゼ阻害剤及び/又は抗体;ならびに例えば米国特許第6,734,006号に論じられるような膜貫通セリンプロテアーゼの阻害剤及び/又は抗体;ならびに国際公報第WO 04/020620号記載のエステラーゼの阻害剤及び/又は抗体を含んでもよい(又は含まなくてもよい)。本明細書において、「抗体」にはその結合性断片も含まれる。
【0056】
いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、損傷相関部分をターゲティングする化合物、例えば小分子化合物を含む。こうした化合物は、損傷相関部分をターゲットとして用いて、例えば、当該技術分野に知られるようなリガンドスクリーニング法を介して、得られうる。例えば、生物学的試料又は定義される候補部分を、損傷相関部分、例えば精製及び/又は組換えエラスターゼ、又はその断片、ならびに肺胞上皮粘液から単離され、そして/又は精製された損傷相関部分と接触させてもよい。候補部分を検出可能標識、例えば蛍光、放射性、及び/又は酵素性タグで標識して、そして例えば結合、例えば選択的結合及び/又は優先的結合を可能にする条件下で、固定されていてもよい損傷相関部分との接触を可能にすることも可能である。未結合部分を取り除いた後、当該技術分野に知られる適切な方法を用いて、結合した部分を検出してもよい。
【0057】
本発明で使用するため、損傷相関部分をターゲティングするためにアッセイ可能な候補部分は限定されない。例えば、こうした候補部分を、合成、半合成及び/又は天然物質のライブラリーを含む、非常に多様な供給源から得ることも可能である。ランダム及び/又は指定された合成を用いて、例えばランダム化オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドを含む、非常に多様な有機化合物及び生体分子を生成することも可能である。天然化合物に関しては、細菌、真菌、植物及び動物抽出物由来のライブラリーが入手可能であり、そして/又は容易に産生可能である。さらに、天然、半合成、及び/又は合成で産生されるライブラリーを、慣用的な化学的、物理的、組換え的、及び/又は生化学的技術を通じて修飾して、コンビナトリアルライブラリーを産生してもよい。また、例えばアシル化、アミド化(amidification)、アルキル化、及び/又はエステル化を含む、指定されたか又はランダムな化学修飾によって既知の薬剤又は薬理学的剤を修飾して、構造的類似体(analog)を産生してもよい。
【0058】
候補部分には、天然、合成及び/又は半合成有機化合物、生物学的起源の巨大分子、例えばポリペプチド、ペプチド、多糖、糖タンパク質、リポタンパク質、脂肪酸、及び/又はその断片;ならびに/あるいは薬剤又は小分子、例えばコンビナトリアル化学アプローチを通じて生成される分子が含まれてもよい。さらに、候補部分がペプチド又はポリペプチドを含む場合、候補部分は、ファージに基づくランダムペプチドライブラリーに属するファージ・クローンによって発現されてもよいし(例えば、Parmley及びSmith,Gene Vol.73 305−318ページ(1988);Oldenburgら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol.89 5393−5397ページ(1992);Valadonら,J. Mol. Biol.,Vol.261 11−22ページ(1996);Westerink,Proc. Natl. Acad. Sci USA.,Vol.92 4021−4025ページ(1995);及びFeliciら,J. Mol. Biol.,Vol.222 301−310ページ(1991)を参照されたい);そして/又は候補部分は、2ハイブリッド・スクリーニングアッセイを行うためのベクターにクローニングされたcDNAから発現されてもよい(米国特許第5,667,973号及び第5,283,173号;Harperら,Cell,Vol.75 805−816ページ(1993);Choら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,Vol.95(7)3752−3757ページ(1998);及びFromont−Racineら,Nature Genetics,Vol.16(3)277−282ページ(1997))。
【0059】
さらに、ターゲティング部分は、本明細書開示の損傷相関部分のいずれかの組み合わせ、例えば以下に記載するような1以上のプロテアーゼ及び/又は1以上のタバコ関連部分を含む、1以上の種類の損傷相関部分をターゲティングすることも可能であることが理解されるものとする。
【0060】
「損傷相関部分」はまた、タバコ関連部分を含むことも可能である。例えば、ターゲティング部分は、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域で、より多量に見られうる、タバコの煙の粒子、タール、タバコ、及び/又は他のタバコ関連残渣、例えばカドミウムを認識し、そして/又はこれに結合することも可能である。
【0061】
さらに他の損傷相関部分はまた、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、より多量に修飾が存在する、修飾ポリペプチドを含むことも可能である。例えば、Gプロテイン共役型受容体(GPCR)ファミリーのメンバー、例えばRAI−3が、タバコの煙に曝露された後、修飾され、例えばリン酸化され、そして/又はチロシンリン酸化された活性化複合体と会合する。例えば、国際公報第WO 04/001060号及び/又は米国公報第2004/0121362号を参照されたい。本発明のいくつかの態様において、こうした修飾タンパク質及び/又はタンパク質複合体をターゲティングする、ターゲティング部分を用いてもよい。こうしたターゲティング部分は、米国公報第2004/0121362号に記載されるような、RAI−3の調節因子を含んでもよい(又は含まなくてもよい)。さらにいくつかの態様において、例えば米国公報第2004/0086896号に記載されるように、肺組織で見られる、NFκB経路に関連するポリペプチドをターゲティングする、ターゲティング部分を用いてもよい(又は用いなくてもよい)。
【0062】
他の損傷相関部分は、伸縮性組織及び/又は結合組織タンパク質の産生を阻害する部分を含んでもよい。こうした部分は、例えば、線維芽細胞増殖を阻害する部分及び/又はプロコラーゲン産生を阻害する部分及び/又はプロテオグリカン合成を阻害する部分、好ましくは主要なマトリックス会合プロテオグリカン、例えばバーシカン、デコリン、及び/又は巨大ヘパラン硫酸プロテオグリカンの合成を阻害する部分を含んでもよい。「阻害する」及びその多様な文法的活用は、損傷相関部分の非存在下(又はより低いレベルでの存在下)でのプロセスの発生と比較した量で、生物学的プロセスを減少させる、例えば結合組織構成要素の合成を減少させることを意味することも可能である。いくつかの態様において、量は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%減少することも可能である。いくつかの態様において、量は、約60%未満、約70%未満、約80%未満、約90%未満、又は約99%未満、減少することも可能である。「阻害する」及びその多様な文法的活用は、生物学的プロセスを完全に阻害することを意味する必要はなく、例えば、無視できる、及び/又は検出不能レベルに、結合組織構成要素の合成を阻害することを意味する必要はない。プロテオグリカン合成を阻害可能な損傷相関部分には、例えばカドミウムが含まれる。例えば、Chambersら,Cadmium inhibits proteoglycan and procollagen production by cultures human lung fibroblasts,” Am. J. Respir. Cell Mol. Biol.,Vol.19 No.3 498−506ページ(1998)を参照されたい。他の損傷相関部分には、鉛、アルデヒド及び/又はシリケートが含まれてもよい。Fujiwara,Cell biological study on abnormal proteoglycan synthesis in vascular cell exposed to heavy metals,” Journal of Health Science,Vol.50 No.3 197−204ページ(2004)。さらに他の損傷相関部分には、肺の伸縮性組織及び/又は結合組織の修復を損なう部分が含まれてもよい。
【0063】
本発明のいくつかの側面において、ターゲティング部分を含む組成物はまた、該部分にカップリングした架橋可能部分も含む。架橋可能部分は、1より多い架橋可能部分間、好ましくは、損傷を受けた肺組織の異なる部位で、損傷相関部分に結合したターゲティング部分にカップリングした架橋可能部分間の連結を促進するいかなる部分であってもよい。架橋可能部分には、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、チオール基(例えばシステイン基を含む)、カルボニル基、アルデヒド基、ケトン基、一級アミン基、及び/又は二級アミン基、ならびにリジン基が含まれてもよい。
【0064】
いくつかの態様において、架橋可能部分は、他のいずれかのアミン基、スルフィド基、カルボニル基(例えばα−ハロカルボニル基及び/又はα,β−不飽和カルボニル基)、シアネート基(例えばイソチオシアネート基)、カルボキシレート基(例えばα−ハロアセテート基などのアセテート基)、ヒドラジン基、及び/又はビオチン基を含む。例えば米国公報第2002/0071843号を参照されたい。
【0065】
いくつかの態様において、架橋可能部分は、フィブリノーゲン及び/又はフィブリンを含むことも可能である。フィブリノーゲンはフィブリンに変換可能であり、フィブリンは架橋反応において重合される。いくつかの態様において、架橋可能部分は、他のタンパク質及び/又はタンパク質性物質、例えばアルブミン(ウシ又はヒト)、コラーゲン、PEI、オレイン酸、キチン及び/又はキトサンを含むタンパク質性物質、ならびに米国特許第5,385,606号、米国特許第5,583,114号、米国特許第6,310,036号、米国特許第6,329,337号及び/又は米国特許第6,372,229号に記載されるもののいずれかを含んでもよい。いくつかの態様において、1より多い種類の架橋可能部分を、所定のターゲティング部分にカップリングさせてもよいし、あるいは例えば1回の投与又は何回かの連続投与において、組み合わせて用いる、いくつかのターゲティング部分にカップリングさせてもよい。当業者は、本発明の実施に使用可能な他の適切な架橋可能部分を認識するであろうし、これらには、例えば生体適合性架橋産物を形成可能な、いかなる生体適合性架橋可能部分も含まれる。
【0066】
ターゲティング部分を、当該技術分野に知られ、本明細書に記載し、そして/又は当業者によって開発されうる、いかなる技術及び/又はアプローチによって、架橋可能部分にカップリングさせてもよい。例えば、カップリング法には、限定されるわけではないが、二官能性リンカー、アミド形成、イミン形成、カルボジイミド縮合、ジスルフィド結合形成の使用、及び/又は例えばビオチン−アビジン相互作用を用いた特異的結合対の使用が含まれる。これらの方法及び当該技術分野に知られる他の方法を、例えばHermanson,“Bioconjugate Techniques,” Academic Press New York,1996、及びS.S. Wong,“Chemistry of Protein Conjugation and Cross−linking,” CRC Press,1993に見出すことも可能である。
【0067】
好ましい態様において、ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織をターゲティングする能力に干渉しないように、架橋可能部分をターゲティング部分にカップリングさせる。例えば、アルファ−1アンチトリプシンのコンホメーション又はフォールディングを修飾しないか、あるいは損傷相関部分、例えばエラスターゼに対する認識及び/又は結合に必要な、そして/又はこれらに関与するアルファ−1アンチトリプシンの領域のコンホメーション又はフォールディングを修飾しない、1以上の部位で、架橋可能部分をアルファ−1アンチトリプシン部分に付着させてもよい。例えば、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、アルファ−1アンチトリプシンの活性阻害性部位は、該ポリペプチドのSer358周囲に見られ、例えば好中球エラスターゼとの擬似不可逆的等モル複合体を形成する。例えばSifersら,“Genetic Control of Human Alpha−1 Antitrypsin”,Mol. Biol. Med.,Vol.6 127−135ページ(1989)を参照されたい。いくつかの好ましい態様において、架橋可能部分を、Ser358阻害性部位周囲以外の部位で、アルファ−1アンチトリプシン部分に付着させてもよい。同様に、いくつかの態様において、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、架橋可能部分を、ターゲットであるプロテアーゼへの付着に関与することが知られる特定の領域、例えばセルピンのヒンジ、裂け目(breach)、シャッター、及びゲート領域を含む領域以外の部位で、セルピン部分に付着させてもよい。Irvingら,Genome Res Vol.10 1845−64ページ(2000)。いくつかのセルピンは、例えば、安定な複合体がプロテアーゼ及びセルピンの切断型間に形成可能である、阻害に関与する反応性中央ループ(RCL)を含有する。セルピン部分のRCL領域以外の部位への付着が、いくつかの態様において好ましい。同様に、いくつかの態様において、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、ターゲットであるエラスターゼ及び/又はプロテイナーゼ3及び/又はカテプシンGとの相互作用に関与する単球エラスターゼ阻害剤のシステイン残基以外の部位で、該阻害剤部分に、架橋可能部分を付着させてもよい。例えば、国際公報第WO96/10418号;及び米国特許第5,827,672号を参照されたい。
【0068】
いくつかの態様において、架橋可能部分を、ターゲティング部分に化学的に結合させてもよく、例えばアルファ−1アンチトリプシンの1以上の部位にカルボキシル基を共有結合させてもよい。いくつかの態様において、それ自体がターゲティング部分に化学的に結合した部分に、架橋可能部分を化学的に結合させて、架橋可能部分及びターゲティング部分を間接的にカップリングさせてもよい。
【0069】
好ましい態様において、架橋可能部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物のサイズは、損傷相関部分、例えば、末端細気管支より遠位の拡張した肺胞内の損傷相関部分への組成物のアクセスを妨げるほど大きくない。例えば、架橋可能部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物のサイズは、好ましくは、約10ミクロン未満、約8ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、又は約1ミクロン未満である。「拡張した肺胞」は、本明細書において、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている平均的な肺胞より大きい肺胞を指す。例えば、拡張した肺胞は、平均的な肺胞のサイズの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、又は少なくとも約150%であってもよい。
【0070】
さらに、架橋可能部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物は、例えば組成物の意図される使用に応じて、カップリングしたか又はカップリングしていない画像化部分をさらに含んでもよい。
【0071】
本発明の別の側面は、第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物であって、前記ターゲティング部分がカップリングしており、そして前記ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングすることが可能な、前記組成物に関する。好ましい態様において、異なる部位は、拡張した気腔内、例えば気腫を含むいくつかの肺の状態に特徴的な末端細気管支より遠位の過剰膨張肺胞の肺胞壁内の、異なる部位を含む。例えば、第一のターゲティング部分は、第一の損傷相関部分をターゲティングすることが可能であり、一方、第二のターゲティング部分は、第二の損傷相関部分をターゲティングすることが可能であり、ここで第一及び第二の損傷相関部分は、異なる部位に存在する。第一及び第二のターゲティング部分は、同一であるか又は異なることも可能であり、そして第一及び第二の損傷相関部分は、同一であるか又は異なることも可能である。
【0072】
さらに、いかなる複数のターゲティング部分を使用してもよいことが理解されるものとし、すなわち、本発明はまた、各々、同一であっても又は異なってもよく、あるいはいくつかが同一であり、一方、他のものが異なってもよい、複数のカップリングしたターゲティング部分いずれかを含む組成物もまた意図する。例えば、3つのカップリングしたターゲティング部分を含む組成物において、第一のターゲティング部分は、第二のターゲティング部分にカップリングしており、これが第三のターゲティング部分にカップリングしてもよい。第一及び第三の部分は、互いに直接カップリングしても又はしなくてもよい。いくつかの態様において、3つのターゲティング部分は、互いに直接カップリングすることなく、1つの部分にカップリングしていてもよい。3つの部分はすべて同じであってもまた異なってもよく、あるいは2つが同じであり、第三の部分が異なってもよい。各ターゲティング部分は、同一種の損傷相関部分をターゲティングしてもよく、各々、異なる種類の損傷相関部分をターゲティングしてもよく、又は2つが同一種の損傷相関部分をターゲティングする一方、第三のターゲティング部分が異なる種類の損傷相関部分をターゲティングしてもよい。ターゲティング部分によってターゲティングされる損傷相関部分は、損傷を受けた肺組織の2以上の異なる部位、好ましくは例えば拡張した気腔内、例えば末端細気管支より遠位の過剰膨張肺胞の肺胞壁内の異なる部位に存在することも可能である。
【0073】
ターゲティング部分を、当該技術分野に知られ、本明細書に記載し、そして/又は当業者によって開発されうる、いかなる技術及び/又はアプローチによってカップリングさせてもよい。いくつかの態様において、カップリングは、共有結合、双極子相互作用、静電気力、水素結合、疎水性相互作用、イオン結合、ファンデルワールス力、及び/又はターゲティング部分をカップリング可能な他の結合を伴ってもよい。例えば、いくつかの態様において、ターゲティング部分は、カップリング部分、例えば化学的リンカーを介してカップリングする。例えば、ターゲティング部分を共有的に連結する、脂肪族基を含む、いかなる化学的リンカーを使用してもよい。例えば、本発明で有用な化学的リンカーは、2つ(以上)の官能基を含んでもよく、ここで官能基の各々は、ターゲティング部分に化学的に結合して、ターゲティング部分をカップリングさせるように働くことが可能である。官能基の例には、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、チオール基、システイン基、カルボニル基、アルデヒド基、ケトン基、及び/又はアミン基、ならびにリジン基が含まれる。他の官能基には、シアネート基(例えばイソチオシアネート)及び/又はカルボキシレート基(例えばα−ハロアセテート基などのアセテート基)が含まれる。
【0074】
他のカップリング技術もまた使用可能である。例えば、ターゲティング部分があらかじめ架橋され、例えばペプチド及び/又はポリペプチド・ターゲティング部分のシステイン残基間に1以上の架橋が形成されるように、架橋技術を用いて、ターゲティング部分の二量体及び/又は多量体を調製してもよい。本発明で使用するため、リンカー長最適化技術もまた使用してもよい(例えば米国特許第5,478,925号を参照されたい)。
【0075】
いくつかの態様において、ターゲティング部分は融合ポリペプチドとしてカップリングする。例えば、ターゲティング部分がペプチド及び/又はポリペプチドである場合、カップリング部分としてのポリペプチドリンカーによって2以上のターゲティング部分を連結して、融合ポリペプチド又は融合タンパク質を形成してもよい。例えば化学的カップリング及び同時翻訳を含む多様な方法で、融合タンパク質を生成してもよい。いくつかの好ましい態様において、組換え核酸分子から、融合産物として、ターゲティング部分を組換え的に発現させ、この場合、当該技術分野に知られる技術にしたがって、ターゲティング部分は、例えば1以上の介在アミノ酸によって、連結される。例えば、Francis,“Focus on Growth Factors”,Vol.3 4−10ページ(Mediscript,London)(1992)を参照されたい。当該技術分野に知られる他の技術、例えば触媒性ドメインにコンジュゲート化されたアドレス結合性部位を含む、アドザイム(adzyme)を生成するのに用いられる技術(例えば米国公報第2004/0081648号及び米国公報第2004/0081648号に記載されるようなもの);及び/又はカップリングした各ターゲティング部分の少なくとも1つのアミノ酸間の共有結合(例えばジスルフィド結合を介したもの)による技術(例えば、米国公報第2004/0087778号に記載されるようなもの)を用いて、融合タンパク質を作成することもまた可能である。
【0076】
いくつかの態様において、ターゲティング部分は、タンパク質を介して、例えば抗体及び/又はその結合性断片を介して、カップリングする。いくつかの態様において、複数のターゲティング部分を含むリポソームを調製することも可能である。
【0077】
いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分は、損傷を受けた肺組織をターゲティング部分がターゲティングする能力に干渉しないような方式で、カップリングする。例えば、2つ(以上)のアルファ−1アンチトリプシン部分を、アルファ−1アンチトリプシンのコンホメーション又はフォールディングを修飾しないか、あるいは損傷相関部分、例えばエラスターゼに対する認識及び/又は結合に必要な、そして/又はこれらに関与するアルファ−1アンチトリプシン部分の領域のコンホメーション又はフォールディングを修飾しない部位で互いにカップリングさせてもよい。例えば、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、アルファ−1アンチトリプシンの活性阻害性部位は、該ポリペプチドのSer358周囲に見られ、例えば好中球エラスターゼとの擬似不可逆的等モル複合体を形成する。例えばSifersら,“Genetic Control of Human Alpha−1 Antitrypsin”,Mol. Biol. Med.,Vol.6 127−135ページ(1989)を参照されたい。いくつかの好ましい態様において、アルファ−1アンチトリプシン部分を、Ser358阻害性部位周囲以外の部位で、互いに、又は他のターゲティング部分に、カップリングさせてもよい。同様に、いくつかの態様において、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、セルピン部分を、ターゲットであるプロテアーゼへの付着に関与することが知られる特定の領域、例えばセルピンのヒンジ、裂け目、シャッター、及びゲート領域を含む領域以外の部位で、互いに、又は他のターゲティング部分に、カップリングさせてもよい。Irvingら,Genome Res Vol.10 1845−64ページ(2000)。いくつかのセルピンは、例えば、安定な複合体がプロテアーゼ及びセルピンの切断型間に形成可能である、阻害に関与する反応性中央ループ(RCL)を含有する。セルピン部分のRCL領域以外の部位を介した付着が、いくつかの態様において好ましい。同様に、いくつかの態様において、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、ターゲットであるエラスターゼ及び/又はプロテイナーゼ3及び/又はカテプシンGとの相互作用に関与する単球エラスターゼ阻害剤のシステイン残基以外の部位で、該阻害剤部分を、互いに、又は他のターゲティング部分に、カップリングさせてもよい。例えば、国際公報第WO96/10418号、及び米国特許第5,827,672号を参照されたい。
【0078】
好ましい態様において、2つ(以上)のカップリングしたターゲティング部分を含む組成物のサイズは、損傷相関部分、例えば、末端細気管支より遠位の拡張した気腔内の損傷相関部分への組成物のアクセスを妨げるほど大きくない。例えば、2つ(以上)のターゲティング部分を含む組成物のサイズは、好ましくは、約10ミクロン未満、約8ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、又は約1ミクロン未満である。
【0079】
ターゲティング部分のカップリングは、ターゲティング部分を緊密な又は比較的緊密な物理的近傍に維持することも可能である。例えば、いくつかの好ましい態様において、少なくとも約2炭素原子、少なくとも約5炭素原子、少なくとも約10炭素原子、又は少なくとも約12炭素原子の脂肪族基を含む化学的リンカーを用いてもよい。いくつかの好ましい態様において、約30炭素原子未満、約20炭素原子未満、又は約15炭素原子未満の脂肪族基を含む化学的リンカーを用いてもよい。いくつかの好ましい態様において、少なくとも約1アミノ酸、少なくとも約3アミノ酸、又は少なくとも約5アミノ酸を含むポリペプチド・リンカーを用いてもよい。いくつかの好ましい態様において、約12アミノ酸未満、約10アミノ酸未満、又は約5アミノ酸未満を含むポリペプチド・リンカーを用いてもよい。
【0080】
さらに、2つ(以上)のカップリングしたターゲティング部分を含む組成物は、例えば組成物の意図される使用に応じて、カップリングしたか又はカップリングしていない架橋可能部分及び/又はカップリングしたか又はカップリングしていない画像化部分をさらに含んでもよい。
【0081】
本発明の他の側面において、ターゲティング部分を含む組成物は、これにカップリングした画像化部分もまた含む。画像化部分は、好ましくは、非侵襲性及び/又はin vivo視覚化技術によって、直接又は間接的のいずれかで、検出を促進するいかなる部分であることも可能である。例えば、画像化部分は、例えば放射線学的技術を含む、既知の画像化技術いずれによって検出可能であってもよい。画像化部分は、例えば、造影剤を含んでもよく、例えばこの場合、造影剤はイオン性又は非イオン性である。いくつかの態様において、例えば、画像化部分は、タンタル化合物及び/又はバリウム化合物、例えば硫酸バリウムを含む。いくつかの態様において、画像化部分は、放射性ヨウ素などのヨウ素を含む。いくつかの態様において、例えば、画像化部分は、有機ヨード酸、例えばヨードカルボン酸、トリヨードフェノール、ヨードホルム、及び/又はテトラヨードエチレンを含む。いくつかの態様において、画像化部分は、非放射性画像化部分、例えば非放射性同位体を含む。例えば、特定の態様において、Gdを非放射性画像化部分として用いてもよい。
【0082】
画像化部分の他の例には、検出可能放射線(例えば蛍光励起、放射性デコイ、スピン共鳴励起等)を放出するか、又は放出するようにすることが可能な部分、局所電磁場に影響を与える部分(例えば磁気、強磁性、強磁性、常磁性、及び/又は超常磁性種)、放射性エネルギーを吸収するか又は散乱させる部分(例えば発色団及び/又はフルオロフォア)、量子ドット、重元素及び/又はその化合物が含まれる。例えば、米国公報第2004/0009122号に記載される画像化部分を参照されたい。画像化部分の他の例には、プロトン放出部分、放射線不透過性部分、及び/又は放射性部分、例えばTc−99m及び/又はXe−13などの放射性核酸が含まれる。こうした部分を放射性薬剤として用いてもよい。さらに他の態様において、本発明の組成物は、1以上の異なる種類の画像化部分を含んでもよく、本明細書に開示する画像化部分のいかなる組み合わせも含まれる。
【0083】
放射性画像化部分のさらなる例には、ガンマ放出因子、例えばガンマ放出因子、In−111、I−125及びI−131、レニウム−186及び188、ならびにBr−77(例えばThakur,M.L.ら,Throm Res. Vol.9 345ページ(1976);Powersら,Neurology Vol.32 938ページ(1982);及び米国特許第5,011,686号を参照されたい);ポジトロン放出因子、例えばCu−64、C−11、及びO−15、ならびにCo−57、Cu−67、Ga−67、Ga−68、Ru−97、Tc−99m、In−113m、Hg−197、Au−198、及びPb−203が含まれる。他の放射性画像化部分には、例えばトリチウム、C−14及び/又はタリウム、ならびにRh−105、I−123、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171及び/又はTl−201が含まれる。
【0084】
テクネチウム(Technitium)−99m(Tc−99m)が好ましく、そしてこれは他の出願に記載されてきており、例えば、米国特許第4,418,052号及び米国特許第5,024,829号を参照されたい。Tc−99mは、140 keVの単一光子エネルギー及び約6時間の半減期を持つガンマ放出因子であり、そしてMo−99/Tc−99生成装置から容易に得られうる。
【0085】
いくつかの態様において、検出に適した放射性同位体とターゲティング部分をカップリングさせることによって、放射性画像化部分を含む組成物を調製することも可能である。カップリングは、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N”,N’”−テトラ酢酸(DOTA)及び/又はメタロチオネインなどのキレート剤を介して起こることも可能であり、これらのいずれも、ターゲティング部分に共有結合可能である。いくつかの態様において、テクネチウム−99m、還元剤、及び水溶性リガンドの水性混合物を調製し、そして次いで、本発明のターゲティング部分との反応を可能にしてもよい。こうした方法が当該技術分野に知られ、例えば国際公報第WO 99/64446号を参照されたい。いくつかの態様において、交換反応を用いて、放射性ヨウ素を含む組成物を調製してもよい。例えば、非放射性ヨウ素に対する放射性ヨウ素の交換が、当該技術分野に周知である。あるいは、トリブチルスタンニル中間体を介して、対応するブロモ化合物から、放射性ヨウ素標識化合物を調製してもよい。
【0086】
磁気画像化部分には、常磁性造影剤、例えば磁気共鳴画像法(MRI)で用いる、例えばガドリニウム・ジエチレントリアミン五酢酸が含まれる(例えばDe Roos,A.ら,Int. J. Card. Imaging Vol.7 133ページ(1991)を参照されたい)。いくつかの好ましい態様は、画像化部分として、原子番号21、22、23、24、25、26、27、28、29、42、44、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70の元素の二価又は三価イオンである常磁性原子を用いる。適切なイオンには、限定されるわけではないが、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)及びイッテルビウム(III)、ならびにガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(dysoprosium)(III)、ホルミウム(III)、及びエルビウム(III)が含まれる。いくつかの好ましい態様は、強い磁性モーメントを持つ原子、例えばガドリニウム(III)を用いる。
【0087】
いくつかの態様において、常磁性原子を持つターゲティング部分をカップリングさせることによって、磁気画像化部分を含む組成物を調製することも可能である。例えば、適切な常磁性原子の酸化金属又は金属塩、例えば硝酸塩、塩化物塩又は硫酸塩を、水/アルコール媒体、例えばメチル、エチル、及び/又はイソプロピルアルコールに溶解するか又は懸濁してもよい。混合物を、類似の水/アルコール媒体中の等モル量のターゲティング部分の溶液に添加して、そして攪拌してもよい。反応が完了するか又はほぼ完了するまで、混合物を穏やかに加熱してもよい。形成された不溶性組成物をろ過によって得ることも可能であり、一方、溶媒を蒸発させることによって可溶性組成物を得ることも可能である。キレート部分上の酸基が、本発明の組成物中に残る場合、無機塩基(例えばナトリウム、カリウム及び/又はリチウムの水酸化物、炭酸塩、及び/又は重炭酸塩)、有機塩基、及び/又は塩基性アミノ酸を用いて、酸性基を中和して、例えば組成物の単離又は精製を容易にしてもよい。
【0088】
好ましい態様において、損傷を受けた肺組織をターゲティング部分がターゲティングする能力に干渉しないように、画像化部分をターゲティング部分にカップリングさせる。例えば、アルファ−1アンチトリプシンのコンホメーション又はフォールディングを修飾しないか、あるいは損傷相関部分、例えばエラスターゼに対する認識及び/又は結合に必要な、そして/又はこれらに関与するアルファ−1アンチトリプシン部分の領域のコンホメーション又はフォールディングを修飾しない、1以上の部位で、画像化部分をアルファ−1アンチトリプシン部分に付着させてもよい。例えば、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、アルファ−1アンチトリプシンの活性阻害性部位は、該ポリペプチドのSer358周囲に見られ、そして好中球エラスターゼとの擬似不可逆的等モル複合体を形成することも可能である。例えばSifersら,“Genetic Control of Human Alpha−1 Antitrypsin”,Mol. Biol. Med.,Vol.6 127−135ページ(1989)を参照されたい。いくつかの好ましい態様において、画像化部分を、Ser358阻害性部位周囲以外の部位で、アルファ−1アンチトリプシン部分に付着させてもよい。同様に、いくつかの態様において、所定の仮説又は作用様式に限定されず、画像化部分を、ターゲットであるプロテアーゼへの付着に関与することが知られる特定の領域、例えばセルピンのヒンジ、裂け目、シャッター、及びゲート領域を含む領域以外の部位で、セルピン部分に付着させてもよい。Irvingら,Genome Res Vol.10 1845−64ページ(2000)。いくつかのセルピンは、例えば、安定な複合体がプロテアーゼ及びセルピンの切断型間に形成可能である、阻害に関与する反応性中央ループ(RCL)を含有する。セルピン部分のRCL領域以外の部位への付着が、いくつかの態様において好ましい。同様に、いくつかの態様において、所定の仮説又は作用様式に限定されることなく、ターゲットであるエラスターゼ及び/又はプロテイナーゼ3及び/又はカテプシンGとの相互作用に関与する単球エラスターゼ阻害剤のシステイン残基以外の部位で、該阻害剤部分に、画像化部分を付着させてもよい。例えば、国際公報第WO96/10418号;米国特許第5,827,672号を参照されたい。
【0089】
いくつかの態様において、画像化部分を、ターゲティング部分に化学的に結合させてもよく、例えばアルファ−1アンチトリプシンの1以上の部位にヨウ素部分を共有結合させてもよい。いくつかの態様において、それ自体がターゲティング部分に化学的に結合した部分に、画像化部分を化学的に結合させて、画像化部分及びターゲティング部分を間接的にカップリングしてもよい。
【0090】
好ましい態様において、画像化部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物のサイズは、損傷相関部分、例えば、末端細気管支より遠位の拡張した気腔内の損傷相関部分への組成物のアクセスを妨げるほど大きくない。例えば、ターゲティング部分及び画像化部分を含む組成物のサイズは、好ましくは、約10ミクロン未満、約8ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、又は約1ミクロン未満である。
【0091】
本発明のさらに他の側面において、ターゲティング部分及び該部分にカップリングした画像化部分を含む組成物はまた、カップリングした架橋可能部分及び/又はカップリングした別のターゲティング部分も含み、この場合、組成物のサイズは、好ましくは、約10ミクロン未満、約8ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、又は約1ミクロン未満であり、そして少なくとも末端細気管支より遠位の拡張した気腔内の損傷相関部分などの損傷相関部分への組成物のアクセスを妨げるほど大きくない。好ましい態様において、架橋可能部分、他のターゲティング部分及び/又は画像化部分は、損傷を受けた肺組織をターゲティング部分がターゲティングする能力に干渉しないような方式で、直接又は間接的のいずれかで、各々、ターゲティング部分にカップリングする。いくつかの態様において、架橋可能部分及び画像化部分は、各々、ターゲティング部分に化学的に結合していてもよい。いくつかの態様において、それ自体がターゲティング部分に化学的に結合し、架橋可能部分、画像化部分及びターゲティング部分を間接的に連結する部分に、架橋可能部分及び画像化部分が、各々、化学的に結合していてもよい。さらに他の態様において、架橋可能部分が、ターゲティング部分に化学的に結合し、一方、それ自体ターゲティング部分に化学的に結合している部分に、画像化部分が化学的に結合していてもよいし、又はその逆でもよい。1より多いカップリングしたターゲティング部分を含む、好ましい態様において、1以上の画像化部分を、直接又は間接的に、1以上のターゲティング部分にカップリングすることも可能である。
【0092】
肺の状態を検出し、そして/又は治療する方法:
本発明は、損傷を受けた肺組織をターゲティングする組成物を用いて、肺の状態を検出し、そして/又は治療する方法を提供する。用語「肺の状態」は、本明細書において、肺及び/又は肺組織の正常でない状態、例えば損傷を受けた肺組織がある場合を指す。この用語には、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域における、より多量の1以上の損傷相関部分によって特徴付けられる状態が含まれる。こうした肺の状態の例には、気腫(不均質な気腫及び均質な気腫の両方が含まれ、好ましくは不均質な気腫である)、喘息、気管支拡張症、及び慢性気管支炎が含まれる、COPDが含まれる。肺の状態にはまた、他の慢性肺障害、サルコイドーシス、肺線維症、気胸、瘻、気管支胸膜瘻、嚢胞性線維症、炎症状態、及び/又は他の呼吸器障害も含まれうる。肺の状態にはまた、肺に対するタバコ関連及び/又は年齢関連変化、ならびに外傷を伴う事象、感染性病原体(例えば細菌、ウイルス、真菌、ツベルクリン及び/又はウイルス性病原体)、毒素(例えば化学療法剤、環境汚染物質、排ガス、及び/又は殺虫剤)に対する曝露、及び/又は遺伝的要因(例えばアルファ−1アンチトリプシン不全症、ならびに肺の伸縮性組織及び/又は結合組織の分解、ならびに/あるいは伸縮性組織及び/又は結合組織の損なわれた合成、ならびに/あるいは伸縮性組織及び/又は結合組織の損なわれた修復を伴う、他の種類の遺伝的障害)によって引き起こされる肺損傷も含まれうる。
【0093】
本発明の1つの側面は、損傷を受けた肺組織をターゲティングするターゲティング部分にカップリングした架橋可能部分を含む組成物を、必要がある被験者に投与し、そして損傷を受けた肺組織を架橋する工程によって、肺体積を減少させる方法を提供する。いくつかの好ましい態様において、損傷を受けた肺組織をあらかじめ同定することなく、該方法を行うことも可能である。例えば、被験者の肺を画像化するため、被験者に本発明の組成物を投与する前に、損傷を受けた組織の区域又は部位を同定する必要はない可能性もある。好ましくは、ターゲティング部分は、例えば肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、損傷相関部分がより多量であるため、損傷を受けた肺組織の部位に、投与された組成物を導くように作用する。例えば、アルファ−1アンチトリプシン部分をターゲティング部分として用いる場合、アルファ−1アンチトリプシン部分は、特定の肺の状態、例えば気腫において、損傷を受けた肺組織の部位により高い濃度で見られるエラスターゼを認識可能であり、そしてこれに結合可能である。
【0094】
次いで、損傷を受けた肺組織の架橋は、例えば、過剰膨張した肺組織の虚脱した区域をシーリングし、そして/又は保つことによって、肺体積の減少を引き起こすことも可能であり、好ましくは、残りの損傷を受けていないか又はより健康である組織の拡大のための空間を確保する。例えば、気腫において、呼気に必要な伸縮性を喪失した肺の区域を、本明細書に記載する方法によって、虚脱させ、そして/又はシーリングすることも可能である。架橋された組織は、例えば損傷を受けた組織の部位の拡張した肺胞よりも、小さい体積を占めるため、本発明の方法は、全体として肺体積を減少させうる。したがって、本発明は、肺体積減少術の利点のいくつかを達成するための、非外科的な、より侵襲性でない、そして/又はより安全なアプローチを提供することも可能である。さらに、損傷を受けた肺組織の部位をターゲティングすると、体積減少を局在化させることが可能になり、これは次に、V/Q不均衡の悪化、動脈酸化の変化、又は急性低酸素血症の誘発などの、肺体積減少の厄介な副作用を最小限にすることも可能である。Ingenitoら,(2002) Bronchoscopic Lung Volume Reduction Using tissue engineering principles,American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine,Vol.167 771−778ページ。本発明の方法を、LVRS及びメスを使わないステープラーの使用などの外科的処置(例えばSwansonら,“No−cut thoracoscopic lung plication: A new technique for lung volume reduction surgery”,J Am Coll Surg Vol.185 25−32ページ(1997)を参照されたい)、ならびに本明細書記載のカップリングしたターゲティング部分及び/又は画像化法の使用を含めて、肺の状態を治療するための他のアプローチと組み合わせて使用してもよいこともまた、理解されるものとする。
【0095】
当該技術分野に知られ、そして/又は本明細書に記載する方法いずれによって、架橋可能部分の架橋を達成してもよい。例えば、架橋活性化部分を含む第二の組成物を投与してもよい。「架橋活性化部分」は、本明細書において、1より多い架橋可能部分間の架橋を引き起こすことが可能であり、そして/又は損傷を受けた肺組織の構成要素(例えばタンパク質)と1より多い結合を形成可能であるいかなる部分も指す。好ましくは、架橋活性化部分は、二官能性又は多官能性基を含む。例えば、架橋可能部分が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、チオール基(例えばシステイン基)、カルボニル基、アルデヒド基、ケトン基、一級アミン基、二級アミン基、及び/又はリジン基の少なくとも1つである場合、架橋活性化部分は、ジオール、ポリオール、ジカルボン酸(例えばフマル酸、マレイン酸、フタル酸又はテレフタル酸)、ポリカルボン酸、ジエステル、ポリエステル、ジアミン及び/又はポリアミンを含むことも可能である。二官能性又はポリ官能性基は、1より多い架橋可能部分と、好ましくは、損傷を受けた肺組織の異なる部位、例えば拡張した肺胞内の異なる部位で、損傷相関部分に結合するターゲティング部分にカップリングした架橋可能部分間で、共有結合を形成可能である。連結には、例えば、アミド形成(例えばアミノ基と活性化エステル、例えばNHS又はスルホ−NHSエステルの縮合を通じて)、イミン形成、カルボジイミド縮合、ジスルフィド結合形成、及び/又は特異的結合対の使用、例えばビオチン−アビジン相互作用の使用が含まれてもよい。したがって、架橋は、損傷を受けた肺組織の部位で、例えば気腫を含む特定の肺の状態に特徴的であるような、過剰膨張した肺胞の領域において、虚脱した気腔をシーリングし、そして/又は保つように働くことも可能である。
【0096】
本発明の実施に使用可能なジアミン及び/又はポリアミンには、脂肪族及び/又は芳香族ジアミン及び/又はポリアミン、ならびに適切に一緒に連結された2以上の脂肪族及び/又は芳香族モノアミンが含まれる。例えば、本発明の実施に使用可能な、単量体性のジアミン及び/又はポリアミンは、アミノピリミジン、アニリン、ベンジジン、ジアミノジフェニルアミン、ジフェニルアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、トルエン−ジアミン、及び/又はトリエチレンジアミンを含むことも可能である。やはり使用可能なジアミン及び/又はポリアミンは、例えば、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、シアナミド、及び/又は尿素を含むことも可能である。使用可能なジアルコール及び/又はポリアルコールには、芳香族アルコール及び/又は脂肪族アルコールが含まれ、例えば1,4−ブタンジオール、フェノール、ポリビニルアルコール、及び/又はd−ソルビトールが含まれる。本発明の実施に使用可能なジカルボニルの例には、アセテートを含むジカルボニル、例えばα−ハロアセテート誘導体、アセチルアセトン、ジエチルマロネート、エチルアセトン、マロンアミド、マロン酸及び/又はマロン酸エステル又はその塩が含まれる。使用可能な他のカルボニル基には、α,β−不飽和カルボニル基(例えばマレイミド)及び/又はα−ハロカルボニル基(例えばヨードアセトアミド誘導体)が含まれる。二官能性ケトン及び/又は多官能性ケトンもまた使用可能であり、例えば2,5−ヘキサンジオン、ならびに/あるいは2以上の連結された単官能性ケトン、例えばシクロヘキサン及び/又はシクロペンタノンを含む二官能性ケトン及び/又は多官能性ケトンが含まれる。二官能性アルデヒド及び/又は多官能性アルデヒドもまた、使用可能であり、例えば米国特許第6,329,337号及び/又は米国特許第6,372,229号を参照されたい。例えば、ゼラチン−レゾルシン−アルデヒド、グリオキサル、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、マレアルデヒド、デキストランジアルデヒド、及びm−ぺリオデートによって酸化されたサッカリドから選択される少なくとも1つのアルデヒドが使用可能である。
【0097】
当業者に認識されるであろうように、本明細書記載のアルデヒド及び/又はケトンは、水性溶液中の水和物として存在することも可能であり、例えば水性溶液中のヘミアセタール及び/又はヘミケタールとして存在する。好ましい態様において、こうした水和物は、架橋のため、対応するアルデヒド及び/又はケトンに復帰可能である。いくつかの態様において、アルデヒド及び/又はケトンの水和物、ならびに/あるいは他の架橋活性化部分の水和物は、それ自体、1より多い架橋可能部分間の架橋を引き起こし、そして/又は損傷を受けた肺組織の構成要素(例えばタンパク質)と1より多い結合を形成することも可能である。
【0098】
本発明の実施に使用してもよい(又はしなくてもよい)他の架橋活性化部分には、タンパク質又はタンパク質の混合物(合成ペプチド及び/又は組換えタンパク質を含む)、例えば他の少量の添加物を伴う、コラーゲン及び/又はアルブミン及び/又はリポタンパク質、ならびに場合によってヒドロゲル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリカプロラクトン(polycarprolactone)、及び/又はグルタルアルデヒド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ジスクシンイミドイル・スクシネート、ならびに重合可能単量体、例えば1,1−二置換エチレン単量体又はアセテート、例えばα−ハロアセテート、アクリレート、アクリレート・グルー、ポリオールで架橋された無水物、シアノ基、例えばシアノアクリレート、エポキシ、ゼラチン・レゾルシノール・ホルムアルデヒド、ゼラチン・レゾルシノール・グルタルアルデヒド、ヒドラジンで架橋されたヒアルロン酸、光重合可能単量体、シリコーン、シリコーンラバー、デンプン、ウレタン、ビニル末端単量体、及び/又はこれらの組み合わせいずれかが含まれる。本発明の実施に使用可能な他の架橋活性化部分には、アルキルビス(2−シアノアクリレート)、トリアリルイソシアヌレート、アルキレンジアクリレート、アルキレンジメタクリレート、及び/又はトリメチロールプロパントリアクリレートが含まれる。本発明の実施に使用可能な他の架橋活性化部分には、ジスルフィド、カルボジイミド及びヒドラジンが含まれる。他の適切な架橋活性化部分が当該技術分野に、例えば、各々、本明細書に援用される、米国特許第3,940,362号;米国特許第5,328,687号;米国特許第3,527,841号;米国特許第3,722,599号;米国特許第3,995,641号;及び/又は米国特許第5,583,114号に見出されうる。使用可能なさらに別の架橋活性化部分には、米国特許第6,310,036号に記載されるように、グルタルアルデヒドとアミノ酸及び/又はペプチドを反応させることによって形成される産物が含まれる。架橋可能及び/又は架橋活性化部分にはまた、米国公報第2002/0147462号に開示されるような適切な単量体、例えば単量体性n−ブチル−2−シアノアクリレート(Engら,“Successful closure of bronchopleural fistula with adhesive tissue”,Scand J Thor Cardiovasc Surg,Vol.24 157−59ページ(1990)及びInaspettatoら,“Endoscopic treatment of bronchopleural fistulas using n−butyl−2−cyanoacrylate”,Surgical Laparoscopy & Endoscopy,Vol.4 No.1 62−64ページ(1994))もまた含まれてもよい。
【0099】
架橋活性化部分の選択は、少なくとも部分的に、用いる架橋可能部分に応じる可能性もある。架橋可能部分がフィブリン及び/又はフィブリノーゲンである場合、架橋活性化部分は、フィブリン活性化因子及び/又はフィブリノーゲン活性化因子を含んでもよい。例えば、トロンビン、トロンビン受容体アゴニスト、バトロキソビン、及び/又はカルシウムを用いて、フィブリノーゲンの架橋を開始することも可能である。例えば投与する架橋可能部分の組み合わせに応じて、架橋活性化部分のいかなる組み合わせを用いてもよいこともまた理解されるものとする。さらに、いくつかの態様は、架橋活性化部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物を提供して、例えば損傷を受けた肺組織の部位への架橋活性化部分の移動及び/又は分布を促進する。例えば用いる架橋可能部分と生体適合性架橋産物を形成可能な、生体適合性架橋活性化部分のいずれをも含めて、当業者は、本発明の実施に使用可能な他の適切な架橋活性化部分を認識するであろう。さらにより好ましい態様において、用いる架橋可能部分及び架橋活性化部分は、医学的に許容可能であり、そして医学的に許容可能な架橋を形成する。
【0100】
いくつかの態様において、架橋可能部分、ターゲティング部分及び/又は架橋活性化部分の1以上は、熱的に安定している。すなわち、部分を修飾し、適応させ、そして/又は別の方式で操作して、熱、例えば被験者の肺組織内での架橋反応によって生成される熱に耐えるようにすることも可能である。例えば、水性キャリアー中で熱安定性グルタルアルデヒドを用いることも可能であり、そしていくつかの態様において、タンパク質ターゲティング部分のアミノ酸修飾は、増加した熱安定性を与えることも可能である。
【0101】
架橋可能部分及び架橋活性化部分を、適切な比で添加して、架橋を促進することも可能である。用いる比は、用いる架橋可能部分及び/又は架橋活性化部分、望ましい架橋速度、ならびに/あるいは当業者に認識される他の反応条件に応じる可能性がある。例えば、少なくとも約1:1、少なくとも約1:2、少なくとも約1:5、少なくとも約1:10、少なくとも約1:15、又は少なくとも約1:20の比を用いてもよい。
【0102】
特定のこれらの架橋活性化部分は、単独で、すなわち対応する架橋可能部分を伴わずに使用に適切でありうることが当業者に認識されるであろう。例えば、ビオチン基、アミン基、カルボン酸基、シアネート基(例えばイソチオシアネート基)、チオール基、ジスルフィド基、シアノ基(例えばα−ハロカルボニル基、α,β−不飽和カルボニル基)、アセテート基(例えばα−ハロアセテート基)、ヒドラジン基、シアノアクリレート、アクリル性グルー、及び/又はシリコーン部分、ならびに二官能性リンカーを使用して、別個の架橋可能部分の使用を伴わずに、損傷を受けた肺組織の架橋を引き起こすことも可能である。さらに、多様な組み合わせの架橋活性化部分を使用して、同時に共投与するか、又は異なる投与時点で別個に投与してもよい。例えば、ジポリアルデヒド及び/又はポリアルデヒドを、タンパク質混合物、例えばアルブミン及び/又はコラーゲン、ならびに場合によって他の少量の添加剤と組み合わせてもよい。また、上述のように、架橋活性化部分を、いくつかの態様において、ターゲティング部分、例えばアルファ−1アンチトリプシン分子、その断片、及び/又はその誘導体に;又は例えば本明細書に提供する種類のターゲティング部分のいかなる組み合わせも含む、ターゲティング部分の組み合わせに、架橋活性化部分をカップリングさせてもよい。
【0103】
いくつかの態様は、架橋の開始のため、架橋活性化部分を必要としないこともまた、理解されるものとする。例えば、架橋可能部分としてフィブリン、例えばフィブリン単量体、例えばフィブリンI単量体、フィブリンII単量体及び/又はデスBBフィブリン単量体を用いる場合、単量体は自発的に架橋可能である。例えば、フィブリンI単量体は、トロンビン及び因子XIIを含有する、被験者の血液と接触すると、架橋可能である。
【0104】
多様な種類の架橋反応が本発明の実施に使用可能であり、例えばフリーラジカル反応、双性イオン及び/又はイオン対、アニオン及び/又はカチオンによる架橋が含まれる。例えば、米国特許第6,010,714号;第5,582,834号;第5,575,997号;第5,514,372号;第5,514,371号;第5,328,687号;及び第5,981,621号を参照されたい。本発明の架橋反応はまた、アミド形成、イミン形成、カルボジイミド縮重、ジスルフィド結合形成、及び特異的結合対の使用、例えばビオチン−アビジン相互作用の使用を伴うことも可能である。
【0105】
いくつかの好ましい態様において、肺体積を減少させる方法は、肺組織内の上皮細胞に損傷を与えず、例えば瘢痕組織形成を引き起こさないことも可能であり、そして/又は線維芽細胞増殖を引き起こさないことも可能であり、そして/又はコラーゲン合成を引き起こさないことも可能である。いくつかの好ましい態様において、該方法は、肺胞内、より好ましくは、末端細気管支より遠位の拡張した肺胞内の、損傷を受けた肺組織の部位を架橋し、そして/又はシーリングする。いくつかの好ましい態様において、本発明の方法は、被験者の肺の気管支内腔の閉塞を引き起こさない。特定の機構に限定されることなく、本発明の方法は、損傷を受けた肺組織への空気の流れを(機械的に)遮断しようと試みることによってではなく、拡張した気腔の架橋及び/又はシーリングを保つことによって、肺体積を減少させることが可能である。すなわち、好ましい態様において、架橋は、架橋部位より遠位で、肺組織の何らかの量又は何らかの実質的な量があるのではなく、出口がない末端嚢の虚脱及び/又はシーリングを保つよう働く。
【0106】
いくつかの好ましい態様において、肺体積を減少させるための方法は、肺組織への損傷を伴うことも可能である。例えば、いくつかの態様において、投与する組成物の一部として硬化剤を用いてもよく、例えば硬化剤を本発明のターゲティング部分にカップリングしてもよい。いくつかの態様において、硬化剤を単独で投与してもよいし;又は本発明のターゲティング部分、架橋可能部分、及び/又は架橋活性化部分の投与と同時に、それより前に、又はそれより後に、別個に投与してもよい。硬化剤は、瘢痕組織形成、及び/又は線維芽細胞増殖、及び/又はコラーゲン合成を引き起こすように働き、損傷を受けた肺組織の区域のシーリングを促進することが可能である。本発明で使用可能な硬化剤には、ドキシサイクリン、ブレオマイシン、ミノサイクリン、ドキソルビシン、シスプラチン+シタラビン、ミトキサントロン、コリネバクテリウム・パルブム、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ等が含まれる。肺組織に損傷を与えるための他の剤及び/又は方法もまた、場合によって細胞外マトリックス構成要素、例えばヒアルロン酸と一緒に、本発明の実施において使用可能である。例えば、米国公報第2004/0047855号を参照されたい。
【0107】
さらに好ましい態様において、カテーテルの使用を伴わず、そして/又は気管内アプリケーターの使用を伴わず、そして/又は気管支鏡法の使用を伴わず(例えば気管支鏡の使用を伴わず)、そして/又は腹腔鏡法(laproscopy)の使用を伴わず、そして/又は観血療法、例えば開胸術(thractomy)の使用を伴わず、本発明の架橋法を実施可能である。
【0108】
いくつかの態様において、損傷を受けた肺組織の部位への、投与した架橋可能部分のターゲティングに十分な時間を与えた後、架橋活性化部分を投与する。好ましい態様において、ターゲティング部分は、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約3分、又は少なくとも約5分で、その損傷相関部分を認識しそして該部分に結合する。好ましい態様において、ターゲティング部分は、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、約45分未満、約30分未満、約20分未満、又は約10分未満で、その損傷相関部分を認識しそして該部分に結合する。また、いくつかの態様において、結合していないターゲティング部分を、例えば洗浄液及び/又は洗浄(例えば生理食塩水で)によって、及び/又は虚脱によって、架橋活性化部分の投与前に、肺から取り除くことも可能である。
【0109】
被験者の肺の第一の部分又はすべてを収縮させ、そして/又は虚脱させることによって、架橋を容易にすることも可能である。こうした収縮及び/又は虚脱は、当該技術分野に知られるか、又は本明細書に開示するいかなる技術によって達成してもよい。例えば、虚脱は、肺内部からの陰圧及び/又は肺外部からの陽圧の使用を伴うことも可能である。また、いくつかの態様において、虚脱を誘導し、そして/又は促進する調製物を使用してもよく、例えば抗界面活性剤、例えば肺胞被覆液の表面張力を増加させうる剤を含有する生理学的に許容しうる溶液がある。例えば、抗界面活性剤を、架橋可能部分及び/又は架橋活性化部分を含む組成物の投与前、投与中、及び/又は投与後に投与してもよい。例えば、抗界面活性剤、ならびに架橋補助剤の両方として作用可能な、フィブリン及び/又はフィブリノーゲンを用いてもよい。
【0110】
架橋を促進するのに使用可能な他の適切な界面活性剤には、Triton x−100、ベラクタント、コルフォセリル、及び/又はパルミテート;テトラデシル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;臭化テトラブチルアンモニウム及び/又は塩化ブチリルコリンなどのカチオン性界面活性剤;ポリソルベート20(例えばTween20)、ポリソルベート80(例えばTween80)、及び/又はポロキサマーなどの非イオン性界面活性剤;ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウム・ヒドロキシド、不活性塩などの、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤;アミン、イミン及び/又はアミド、例えばアルギニン、イミダゾール、ポビジン、トリプタミン、及び/又は尿素;アスコルビン酸、エチレングリコール、没食子酸メチル、タンニン及び/又はタンニン酸などのアルコール;ホスフィン、ホスファイト及びホスホニウム塩、例えばトリフェニルホスフィン及び/又はトリエチルホスファイト;無機塩基及び/又は塩、例えば硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、及び/又は重亜硫酸ナトリウム;イオウ化合物、例えばポリスルフィド及び/又はチオ尿素;ポリマー性環状エーテル、例えばカリックスアレーン、クラウン・エーテル、モネンシン、ノナクチン、及び/又はポリマー性エポキシド;環状及び非環状カーボネート;有機金属(例えばナフテネート及びアセチルアセトン酸マンガン);相間移動触媒(例えばAliquat 336);ならびにラジカル開始剤及びラジカル(例えば過酸化ジ−t−ブチル及び/又はアゾビスイソブチロニトリル)が含まれる。
【0111】
架橋はまた、酸素などの吸収可能気体で、肺又はその一部を満たして、例えば肺拡張不全を促進することによって、促進することも可能である。Ingenitoら,“Bronchoscope volume reduction − A safe and effective alternative to surgical therapy for emphysema,”American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine,Vol.164 295−301ページ(2001)。
【0112】
いくつかの態様において、生理食塩水洗浄を用いて、肺に天然に存在する界面活性剤の量を減少させることも可能である。架橋はまた、例えばターゲティングを妨げ、減少させ、そして/又は別の方式でターゲティングに干渉することも可能な他の部分いずれかを取り除くことが可能な洗浄液の使用によってもまた、促進されうる。例えば、いくつかの態様において、肺又はその一部において粘液分泌を妨害し、そして/又は妨げる、抗分泌剤の使用によって、架橋を促進することも可能である。例えば、抗分泌剤を、架橋可能部分、架橋活性化部分、ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤を含む組成物の投与前、投与中、及び/又は投与後に、投与してもよい。使用可能な抗分泌剤の例には、例えば、抗コリン作用剤部分、アトロニー(atronie)、及び/又はアトロピン様部分が含まれる。肺からの、好ましくは末端細気管支より遠位の拡張した肺胞からの、例えば洗浄による、粘液又は過剰な粘液の除去もまた、ターゲティング部分の損傷相関部分への架橋及び/又は結合を促進可能である。本発明のターゲティング部分が、それぞれの損傷相関部分に結合し、そして例えば滑るのを減少させ、そして又は回避するため、気管支、細気管支、又は肺胞内の粘液でコーティングされた壁への本発明の組成物の接着が促進されうる。
【0113】
いくつかの態様において、機械力を外部から用いて、肺の1つの領域を押して別の領域に近くして、例えば拡張した気腔の虚脱及び/又は収縮を補助してもよい。例えばバルーン、空気圧、手での圧、及び/又はパドル、ネット、同調(synched up)可能なストラップ、又はマグネットなどの機器を用いて、肺の葉の一部を外部からプレスしてもよい。いくつかの態様において、こうした圧を、肺の葉の2以上の側に、同時に適用する。例えば、内視鏡及び/又は磁気プローブを用いて、1より多い側に、局所圧(applenate)を適用してもよい。
【0114】
いくつかの態様において、組織をつかみそして引っ張る、例えばケーブル及びフックを用いて、例えば使用者の方に向かって、肺の第一の部分又はすべてを内部から一緒に引き出すことも可能である。使用可能な他のデバイスには、捕捉装置(grasper)、例えば層状である(sheathed)ことが可能な拡大する捕捉装置アセンブリ;及び/又は例えば肺組織が一緒に引っ張られた後に、ケーブル又はワイヤから離されることによって、後に残ることが可能なアンカーが含まれる。いくつかの態様において、肺内部の異なる位置に、磁気プローブを配置することも可能であり、この場合、プローブが互いに引き付け合い、それによって肺の1つの区域を他方の区域に、例えば1つの気管支を別の気管支に引き付けることも可能である。さらに機械力を用いて、例えば心線を用いるか、又は配置後に、NiTiデバイスを活性化することによって、挿入後にこうしたデバイスの形状を変化させることも可能である。さらに他の態様において、肺又はその第一の部分を経胸腔的に収縮させる。肺収縮及び/又は虚脱を促進することが当該技術分野に知られる他の方法及び/又はデバイスもまた、使用可能であり、例えば米国公報第2003/0070682号を参照されたい。
【0115】
好ましくは、投与した架橋活性化部分が、損傷を受けた肺組織の領域に分布するのに十分な時間を与えた後、こうした収縮及び/又は虚脱を行う。いくつかの態様において、例えば、架橋活性化部分を投与したおよそ2〜およそ3分後に、収縮及び/又は虚脱を行う。また、肺又はその第一の部分は、好ましくは、架橋が行われるのを可能にするのに十分な時間、虚脱及び/又は収縮状態に留まるのを可能にされる。用いる組成物に応じて、例えば用いるターゲティング部分に応じて、肺又はその第一の部分は、少なくともおよそ3日間、少なくともおよそ2日間(48時間)、少なくともおよそ24時間、少なくともおよそ12時間、少なくともおよそ5時間、少なくともおよそ1時間、少なくともおよそ45分間、少なくともおよそ20分間、少なくともおよそ10分間、少なくともおよそ5分間、少なくともおよそ2分間、少なくともおよそ1分間、少なくともおよそ30秒間、又は少なくともおよそ15秒間、収縮及び/又は虚脱して保たれることも可能である。いくつかの態様において、肺又はその第一の部分は、約30分未満、約20分未満、約10分未満、又は約8分未満、収縮及び/又は虚脱して保たれることも可能である。
【0116】
いくつかの態様において、触媒量の速度修飾剤を添加して、架橋反応速度を修飾してもよい。例えば、多様な設定時間又は回復時間を用いることも可能であり、この場合、架橋反応は、少なくとも約20秒間、少なくとも約30秒間、少なくとも約1分間、少なくとも約90秒間、少なくとも約2分間、少なくとも約150秒間、少なくとも約3分間、少なくとも約4分間、少なくとも約5分間、少なくとも約6分間、少なくとも約10分間、少なくとも約15分間、起こる。架橋反応は、約20分間未満、約25分間未満、約30分間未満、約1時間未満、約2時間未満、又は約3時間未満、起こることも可能である。当該技術分野に知られる多様な技術を使用することによって、例えば異なるpH値を有する緩衝液を使用することによって、回復時間を最適化してもよい。
【0117】
次いで、肺の第二の部分を再膨張させてもよく、この場合、第二の部分は、収縮及び/又は虚脱した肺の第一の部分又はすべての一部を含むが、好ましくはすべては含まない。好ましい態様において、この第二の部分は、損傷を受けた肺組織の少なくともある程度を含まず、これは架橋のために虚脱しそして/又はシーリングされたままである。架橋は、好ましくは、虚脱区域が再膨張しないようにしておく、安定なメッシュを形成する。より好ましい態様において、損傷を受けた肺組織の大部分は、架橋され、そして/又は虚脱したままであり、一方、損傷を受けていない肺組織の大部分は、機能する状態に残されている。例えば、損傷を受けた肺組織の少なくとも約60%、少なくとも約80%、そして最も好ましくは少なくとも約90%が架橋され;一方、損傷を受けていない肺組織の約40%未満、約20%未満、そして最も好ましくは約10%未満が架橋されないままである。全体の肺体積の減少は、機械的機能、例えばより健康で、そして/又はより伸縮性の組織の機械的機能を改善する。
【0118】
好ましい態様において、架橋は、少なくとも約0.5%の全体の肺体積の減少、少なくとも約1%の全体の肺体積の減少、少なくとも約1.5%の全体の肺体積の減少、少なくとも約2%の全体の肺体積の減少、少なくとも約3%の全体の肺体積の減少、少なくとも約4%の全体の肺体積の減少、少なくとも約5%の全体の肺体積の減少、又は少なくとも約10%の全体の肺体積の減少を生じる。好ましい態様において、架橋は、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、又は約15%未満の全体の肺体積の減少を生じる。本発明の組成物の単回又は多数回の投与に際して、こうした減少を達成することも可能である。約2%〜約3%の全体の肺体積の減少は、こうした治療を受けた被験者において、例えば、少なくともLVRSで生じるのと同じ度合いに、有益な効果を生じると期待することが可能である。
【0119】
やはり好ましい態様において、架橋は、永続的であるか、又は少なくとも半永続的であり、本明細書記載の連続治療の間の期間、例えば本発明の組成物の投与間の期間、生体分解(例えば加水分解)に抵抗性である。特定の態様において、架橋の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約98%が、ある期間に渡って損なわれないままである。いくつかの好ましい態様において、期間は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約5年、又は少なくとも約10年である。いくつかの好ましい態様において、期間は、約50年未満、約30年未満、約20年未満、又は約15年未満である。最も好ましい態様において、架橋は、被験者の一生の残りの間、損傷を受けたある程度の肺組織の虚脱及び/又はシーリングを保ち、例えば無期限に生体分解に抵抗する。
【0120】
当業者は、架橋の永続性及び/又は生体分解性は、架橋可能部分、架橋活性化部分、ならびに/あるいは架橋の状態、ならびに/あるいは用いた他の剤及び/又は部分に応じる可能性があり、そしてしたがって、例えば当該技術分野に知られ、そして/又は本明細書に開示する技術によって、制御可能であることを認識するであろう。
【0121】
好ましい態様において、架橋のいくつか又はすべては非常に強く、肺内で経験される機械的圧に抵抗する。例えば、正常呼吸中の機能的残気能に対応する緊張(strain)範囲は、いくつかの好ましい態様における架橋の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の破壊を生じない。
【0122】
いくつかの好ましい態様において、架橋は、少なくとも約50g/平方cm、少なくとも約100g/平方cm、少なくとも約200g/平方cm、又は少なくとも約300g/平方cmの引裂強度を示す。いくつかの好ましい態様において、架橋は、約5,000g/平方cm未満、約3,000g/平方cm未満、約1500g/平方cm未満、約1300g/平方cm未満、約1200g/平方cm未満、約1000g/平方cm未満、約800g/平方cm未満、約600g/平方cm未満、又は約400g/平方cm未満の引裂強度を示す。
【0123】
同様に、好ましい態様において、ターゲティング部分及びその対応する損傷相関部分間の結合相互作用は、永続的、又は少なくとも半永続的であり、本明細書記載の連続治療の間の期間、例えば不可逆的に、実質的に不可逆的に、又は少なくとも高い結合定数で結合し、例えば本発明の組成物の投与間の期間、解離に抵抗する。例えば、アルファ−1アンチトリプシン部分は、いくつかの態様において、好中球エラスターゼとの擬似不可逆的等モル複合体を形成可能である。例えばSifersら,“Genetic Control of Human Alpha−1 Antitrypsin”,Mol. Biol. Med.,Vol.6 127−135ページ(1989)を参照されたい。特定の理論又は作用様式に限定されることなく、アルファ−1アンチトリプシン部分は、そのターゲットとアシル−酵素複合体を形成可能である。いくつかの態様において、遺伝子修飾によって、又は既知の結合性ドメインをシャッフリングすることによって、結合をさらに増進することも可能である。別の例として、セルピン部分は、ターゲットであるプロテアーゼと反応して、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)安定性の等モル複合体を形成可能である。特定の理論又は作用様式に限定されることなく、セルピン及びターゲットであるプロテアーゼ間の複合体は、共有エステル結合連結を伴うことも可能であり、この場合、プロテアーゼの活性部位セリン残基は、セルピンの切断型のC末端残基に結合して、アシル−酵素複合体を形成する。例えば米国公報第2003/0216321号を参照されたい。さらに別の例として、単球エラスターゼ阻害剤部分は、エラスターゼと共有複合体及び/又は本質的に不可逆的な複合体を形成可能である。例えば国際公報WO 96/10418号及び米国特許第5,827,672号を参照されたい。
【0124】
特定の態様において、ターゲティング部分の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約98%が、ある期間に渡って、対応する損傷相関部分に結合したままである。いくつかの好ましい態様において、期間は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約5年、又は少なくとも約10年である。いくつかの好ましい態様において、期間は、約50年未満、約30年未満、約20年未満、又は約15年未満である。最も好ましい態様において、結合は、被験者の一生の残りの間、損傷を受けたある程度の肺組織の虚脱及び/又はシーリングを保ち、例えば無期限に生体分解に抵抗する。
【0125】
図1aは、損傷を受けた肺組織をターゲティングするターゲティング部分にカップリングした、架橋可能部分を含む組成物を用いて、肺体積を減少させる方法の1つの態様を例示する。この図は、概観のみを提供し、そしていかなる点でも、本発明に関する限定を意図しない。例えば当業者は、例示する図の変動及び修飾を容易に認識するであろう。図は、肺胞102の気腔で終わる、末端細気管支101を例示する。上述のように、気腔は、気腫などの特定の肺の状態において、過剰膨張及び/又は拡張しうる。気腔壁の内部で、例えば損傷を受けた肺組織の部位で、及び/又は肺胞上皮粘液内で、多量の損傷相関部分103が見られる。
【0126】
本発明の組成物を投与し、この場合、組成物は、例えばターゲットである損傷相関部分103を認識し、そして該部分に結合することによって、損傷を受けた肺組織をターゲティングする、ターゲティング部分104を含む。例示した態様において、組成物はまた、ターゲティング部分104にカップリングした架橋可能部分(X)105も含む。図1aは、異なるターゲティング部分が、どのようにして気腔内の多様な部位で、損傷相関部分を認識し、そして該部分に結合するかを例示する。
【0127】
架橋後、架橋可能部分105は、例えば架橋活性化部分106を介して架橋される。架橋活性化部分106は、図中に−Y−R−Y−(式中、Yは、架橋可能部分(X)105にカップリングして、例えば2つの架橋可能部分間の共有結合を形成可能な基に相当し、そしてRはY基間の連結部分、例えば限定されるわけではないが脂肪族鎖に相当する)と示す二官能性基を含むことも可能である。架橋活性化部分106は、架橋可能部分105とカップリングし、この105はそれ自体、気腔内の多様な部位で見られる損傷相関部分103に結合したターゲティング部分104にカップリングしている。図1aは、虚脱後、架橋がどのように気腔の壁を一緒により近く保ち、そしてそれによって肺体積を減少させることが可能であるかを例示する。
【0128】
本明細書に記載する、肺体積を減少させる方法は、動物被験者におけるいくつかの肺の状態の治療に使用を見出す。用語「動物被験者」には、本明細書において、ヒトならびに他の動物が含まれる。用語「治療する」は、本明細書において、療法的利益及び/又は予防的利益を達成することを含む。療法的利益によって、根底にある治療中の肺の状態の根絶又は改善を意味する。例えば、気腫患者において、療法的利点には、根底にある気腫の根絶又は改善が含まれ、肺機能、運動能力、生活の質の改善、及び入院の減少が含まれる。また、被験者がなお肺の状態に苦しんでいる可能性があるという事実にもかかわらず、被験者において改善が観察されるように、根底にある肺の状態と関連する1以上の生理学的症状の根絶又は改善に伴って、療法的利点が達成される。例えば、気腫に関しては、本発明の組成物の投与は、伸縮性が欠如した領域が虚脱した場合だけでなく、慢性肺感染などの、気腫に付随する他の障害に関して、被験者において改善が観察された場合にも、療法的利点を提供しうる。例えば、プロテアーゼ阻害剤を含むターゲティング部分の添加は、例えば当該技術分野に記載されるように、プロテアーゼ活性を減少させることによって、気腫を改善可能である。予防的利点に関しては、肺の状態、例えば気腫を発展させるリスクがある被験者に、又は診断がなされていない場合であっても、こうした状態の1以上の生理学的症状が報告されている被験者に、本発明の組成物を投与することも可能である。
【0129】
本発明の別の側面は、肺体積を減少させる方法であって、第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物を、必要がある被験者に投与し、ここで前記ターゲティング部分はカップリングしており、そして前記ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして前記ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングすることを可能にし、それによって肺体積を減少させる工程を含む、前記方法を提供する。好ましい態様において、異なる部位は、拡張した気腔内、例えば気腫を含むいくつかの肺の状態に特徴的な末端細気管支より遠位の過剰膨張肺胞の肺胞壁内の異なる部位を含む。例えば、第一のターゲティング部分は、第一の損傷相関部分をターゲティングし、一方、第二のターゲティング部分は、第二の損傷相関部分をターゲティングすることも可能であり、ここで第一及び第二の損傷相関部分は異なる部位に存在する。カップリングしたターゲティング部分が、収縮及び/又は虚脱後、気腔内の異なる部位に結合するにつれて、カップリングしたターゲティング部分は、異なる部位を一緒により近く保つように作用可能であり、それによって、気腔が虚脱しそして/又はシーリングされた状態を保つ。また、ターゲティング部分が、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、より多量に見られる損傷相関部分を認識し、そして/又は該部分に結合するにつれて、損傷を受けた肺組織の区域が、選択的にそして/又は優先的に虚脱しそして/又はシーリングされ、好ましくは残りの損傷を受けていないか又はより健康である組織の拡大のための空間を確保する。
【0130】
好ましい態様において、損傷を受けた肺組織をあらかじめ同定せずに、カップリングしたターゲティング部分を利用する方法を行うことも可能である。例えば、被験者に本発明の組成物を投与する前に、損傷を受けた組織の区域を同定するため、被験者の肺を画像化する必要はない可能性がある。例えば、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、損傷相関部分がより多量であるため、ターゲティング部分は、損傷を受けた肺組織の部位に、投与された組成物を導くように作用する。例えば、アルファ−1アンチトリプシン部分をターゲティング部分として用いる場合、アルファ−1アンチトリプシン部分は、特定の肺の状態、例えば気腫において、損傷を受けた肺組織の部位により高い濃度で見られるエラスターゼを認識可能であり、そしてこれに結合可能である。
【0131】
虚脱組織は、損傷を受けた組織の部位の拡張した肺胞よりも、小さい体積を占めるため、本発明の方法は、全体として肺体積を減少させうる。したがって、本発明は、肺体積減少術の利点の少なくともいくつかを達成するための、非外科的な、より侵襲性でない、そして/又はより安全なアプローチを提供することも可能である。さらに、損傷を受けた肺組織の部位をターゲティングすると、体積減少を局在化させることが可能になり、これは次に、V/Q不均衡の悪化、動脈酸化の変化、又は急性低酸素血症の誘発などの、厄介な副作用を最小限にすることも可能である。Ingenitoら,“Bronchoscopic Lung Volume Reduction Using tissue engineering principles”,American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine,Vol.167 771−778ページ(2002)。本発明の方法を、LVRSなどの外科的処置、ならびに肺の状態を治療するための他のアプローチと組み合わせて用いることも可能であり、これらには、本明細書記載の架橋法及び/又はグルー法、及び/又は各々、本明細書に全体として援用される、非仮出願U.S.11/008,577、表題”Targeting Damaged Lung Tissue Using Compositions“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,092、表題”Targeting Damaged Lung Tissue“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,094、表題”Targeting Sites of Damaged Lung Tissue Using Composition“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,578、表題”Targeting Sites of Damaged Lung Tissue“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,649、表題”Imaging Damaged Lung Tissue Using Compositions“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,777、表題”Imaging Damaged Lung Tissue“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,087、表題”Glue Compositions for Lung Volume Reduction“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,093、表題”Lung Volume Reduction Using Glue Compositions“、2004年12月8日出願;U.S.11/008,580、表題”Glue Composition for Lung Volume Reduction“、2004年12月8日出願;及びU.S.11/008,782、表題”Lung Volume Reduction Using Glue Composition“、2004年12月8日出願のいずれかに記載される他の方法も含まれる。
【0132】
さらに、いくつかの好ましい態様において、肺体積を減少させるための方法は、肺組織内の上皮細胞に損傷を与えず、そして例えば、瘢痕組織形成を引き起こさないことも可能であり、そして/又は線維芽細胞増殖を引き起こさないことも可能であり、そして/又はコラーゲン合成を引き起こさないことも可能である。いくつかの好ましい態様において、該方法は、肺胞内、より好ましくは、末端細気管支より遠位の拡張した肺胞内の、損傷を受けた肺組織の虚脱部位をシーリングしそして/又は保つ。いくつかの好ましい態様において、本発明の方法は、被験者の肺の気管支内腔の閉塞を引き起こさない。特定の機構に限定されることなく、本発明の方法は、損傷を受けた肺組織への空気の流れを(機械的に)遮断しようと試みることによってではなく、拡張した気腔をシーリングすることによって、肺体積を減少させることが可能である。すなわち、好ましい態様において、カップリングしたターゲティング部分による、損傷を受けた肺組織の異なる部分のターゲティングは、虚脱区域より遠位で、肺組織の何らかの量又は何らかの実質的な量があるのではなく、出口がない虚脱末端嚢をシーリングしそして/又は保つよう働く。さらに好ましい態様において、カテーテルの使用を伴わず、そして/又は気管内アプリケーターの使用を伴わず、そして/又は気管支鏡法の使用を伴わず(例えば気管支鏡の使用を伴わず)、そして/又は腹腔鏡法の使用を伴わず、そして/又は観血療法、例えば開胸術の使用を伴わず、本発明の肺体積減少法を実施可能である。
【0133】
いくつかの好ましい態様において、肺体積を減少させるための方法は、肺組織への損傷を伴うことも可能である。例えば、いくつかの態様において、投与する本発明の組成物の一部として硬化剤を用いてもよく、例えば硬化剤を本発明のターゲティング部分にカップリングしてもよい。いくつかの態様において、硬化剤を単独で投与してもよいし;又は本発明のターゲティング部分の投与と同時に、それより前に、又はそれより後に、別個に投与してもよい。硬化剤は、瘢痕組織形成、及び/又は線維芽細胞増殖、及び/又はコラーゲン合成を引き起こすように働き、損傷を受けた肺組織の区域のシーリングを促進することが可能である。本発明で使用可能な硬化剤には、ドキシサイクリン、ブレオマイシン、ミノサイクリン、ドキソルビシン、シスプラチン+シタラビン、ミトキサントロン、コリネバクテリウム・パルブム、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ等が含まれる。肺組織に損傷を与えるための他の剤及び/又は方法もまた、場合によって細胞外マトリックス構成要素、例えばヒアルロン酸と一緒に、本発明の実施において使用可能である。例えば、米国公報第2004/0047855号を参照されたい。
【0134】
肺組織の虚脱、例えばその内部に本発明の組成物が結合した、拡張した気腔の虚脱は、被験者の肺の第一の部分又はすべての収縮及び/又は虚脱を伴うことも可能である。こうした虚脱は、当該技術分野に知られるか、又は本明細書に開示する、いかなる技術によって達成することも可能である。例えば、収縮及び/又は虚脱は、肺内部からの陰圧及び/又は肺外部からの陽圧の使用を伴うことも可能である。また、いくつかの態様において、収縮及び/又は虚脱を誘導し、そして/又は促進する調製物を使用してもよく、例えば抗界面活性剤、例えば肺胞被覆液の表面張力を増加させうる剤を含有する生理学的に許容しうる溶液がある。例えば、抗界面活性剤を、カップリングしたターゲティング部分を含む組成物の投与前、投与中、及び/又は投与後に投与してもよい。例えば、フィブリン及び/又はフィブリノーゲンを用いてもよい。いくつかの態様において、生理食塩水の洗浄液を用いて、肺に天然に存在する界面活性剤の量を減少させてもよい。虚脱及び/又は収縮を促進するのに使用可能な他の適切な界面活性剤には、Triton x−100、ベラクタント、コルフォセリル、及び/又はパルミテート;テトラデシル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;臭化テトラブチルアンモニウム及び/又は塩化ブチリルコリンなどのカチオン性界面活性剤;ポリソルベート20(例えばTween20)、ポリソルベート80(例えばTween80)、及び/又はポロキサマーなどの非イオン性界面活性剤;ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウム・ヒドロキシド、不活性塩などの両性及び/又は双性イオン性界面活性剤;アミン、イミン及び/又はアミド、例えばアルギニン、イミダゾール、ポビジン、トリプタミン、及び/又は尿素;アスコルビン酸、エチレングリコール、没食子酸メチル、タンニン及び/又はタンニン酸などのアルコール;ホスフィン、ホスファイト及びホスホニウム塩、例えばトリフェニルホスフィン及び/又はトリエチルホスファイト;無機塩基及び/又は塩、例えば硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、及び/又は重亜硫酸ナトリウム;イオウ化合物、例えばポリスルフィド及び/又はチオ尿素;ポリマー性環状エーテル、例えばカリックスアレーン、クラウン・エーテル、モネンシン、ノナクチン、及び/又はポリマー性エポキシド;環状及び非環状カーボネート;有機金属(例えばナフテネート及びアセチルアセトン酸マンガン);相間移動触媒(例えばAliquat 336);ならびにラジカル開始剤及びラジカル(例えば過酸化ジ−t−ブチル及び/又はアゾビスイソブチロニトリル)が含まれる。
【0135】
収縮及び虚脱はまた、ターゲティングを妨げ、減少させ、そして/又は別の方式でターゲティングに干渉することも可能な他の部分いずれかを取り除くことが可能な洗浄液の使用によってもまた、促進されうる。例えば、いくつかの態様において、肺又はその一部において粘液分泌を妨害し、そして/又は妨げる、抗分泌剤の使用によって、架橋を促進することも可能である。例えば、カップリングしたターゲティング部分を含む組成物の投与前、投与中、及び/又は投与後に、抗分泌剤を投与してもよい。使用可能な抗分泌剤の例には、例えば、抗コリン作用剤部分、アトロニー、及び/又はアトロピン様部分が含まれる。肺からの、好ましくは末端細気管支より遠位の拡張した肺胞からの、例えば洗浄による、粘液又は過剰な粘液の除去もまた、カップリングしたターゲティング部分のそれぞれの損傷相関部分への結合を促進可能である。本発明のターゲティング部分が、それぞれの損傷相関部分に結合し、そして例えば滑るのを減少させ、そして又は回避するため、気管支、細気管支、又は肺胞内の粘液でコーティングされた壁への本発明の組成物の接着が促進されうる。
【0136】
いくつかの態様において、機械力を外部から用いて、肺の1つの領域を押して別の領域に近くして、例えば拡張した気腔の虚脱を補助してもよい。例えばバルーン、空気圧、手での圧、及び/又はパドル、ネット、同調可能なストラップ、又はマグネットなどの機器を用いて、肺の葉の一部を外部からプレスしてもよい。いくつかの態様において、こうした圧を、肺の葉の2以上の側に、同時に適用する。例えば、内視鏡及び/又は磁気プローブを用いて、1より多い側に、局所圧(applenate)を適用してもよい。
【0137】
いくつかの態様において、組織をつかみそして引っ張る、例えばケーブル及びフックを用いて、例えば使用者の方に向かって、肺の第一の部分又はすべてを内部から一緒に引き出すことも可能である。使用可能な他のデバイスには、捕捉装置、例えば層状であることが可能な拡大する捕捉装置アセンブリ;及び/又は例えば肺組織が一緒に引っ張られた後に、ケーブル又はワイヤから離されることによって、後に残ることが可能なアンカーが含まれる。いくつかの態様において、肺内部の異なる位置に、磁気プローブを配置することも可能であり、この場合、プローブが互いに引き付け合い、それによって肺の1つの区域を他方の区域に、例えば1つの気管支を別の気管支に引き付けることも可能である。さらに機械力を用いて、例えば心線を用いるか、又は配置後に、NiTiデバイスを活性化することによって、挿入後にこうしたデバイスの形状を変化させることも可能である。さらに他の態様において、肺又はその第一の部分を経胸腔的に収縮させる。肺虚脱を促進することが当該技術分野に知られる他の方法及び/又はデバイスもまた、使用可能であり、例えば米国公報第2003/0070682号を参照されたい。
【0138】
好ましくは、投与した、カップリングしたターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の部位に分布するのに十分な時間を与えた後、こうした収縮及び/又は虚脱を、行う。いくつかの態様において、例えば、本発明の組成物を投与したおよそ2〜およそ3分後に、収縮及び/又は虚脱を行う。また、肺又はその第一の部分は、好ましくは、損傷を受けた肺組織の異なる部位での、対応する損傷相関部分に対する、1より多いカップリングしたターゲティング部分の認識及び/又は結合を可能にするのに十分な時間、収縮及び/又は虚脱状態に留まるのを可能にされる。用いるターゲティング部分の単数又は複数の種類に応じて、肺又はその第一の部分は、少なくともおよそ3日間、少なくともおよそ2日間(48時間)、少なくともおよそ24時間、少なくともおよそ12時間、少なくともおよそ5時間、少なくともおよそ1時間、少なくともおよそ45分間、少なくともおよそ20分間、少なくともおよそ10分間、少なくともおよそ5分間、少なくともおよそ2分間、少なくともおよそ1分間、少なくともおよそ30秒間、又は少なくともおよそ15秒間、収縮及び/又は虚脱して保たれることも可能である。いくつかの態様において、肺又はその第一の部分は、約30分未満、約20分未満、約10分未満、又は約8分未満、収縮及び/又は虚脱して保たれることも可能である。
【0139】
次いで、肺の第二の部分を再膨張させてもよく、この場合、第二の部分は、収縮及び/又は虚脱した肺の第一の部分又はすべての一部を含むが、好ましくはすべては含まない。好ましい態様において、この第二の部分は、損傷を受けた肺組織の少なくともある程度を含まず、これは損傷を受けた肺組織の異なる部位に結合した、カップリングしたターゲティング部分のために、虚脱及び/又はシーリングされたままである。結合は、好ましくは、虚脱区域が再膨張しないようにしておく。より好ましい態様において、損傷を受けた肺組織の大部分は、虚脱しそして/又はシーリングされたままであり、一方、損傷を受けていない肺組織の大部分は、機能する状態に残されている。例えば、損傷を受けた肺組織の少なくとも約60%、少なくとも約80%、そして最も好ましくは少なくとも約90%が虚脱し;一方、損傷を受けていない肺組織の約40%未満、約20%未満、そして最も好ましくは約10%未満が虚脱しないか、そして/又は再膨張する。全体の肺体積の減少は、機械的機能、例えばより健康で、そして/又はより伸縮性の組織の機械的機能を改善する。
【0140】
好ましい態様において、カップリングしたターゲティング部分の結合は、少なくとも約0.5%の全体の肺体積の減少、少なくとも約1%の全体の肺体積の減少、少なくとも約1.5%の全体の肺体積の減少、少なくとも約2%の全体の肺体積の減少、少なくとも約3%の全体の肺体積の減少、少なくとも約4%の全体の肺体積の減少、少なくとも約5%の全体の肺体積の減少、少なくとも約10%の全体の肺体積の減少を生じる。好ましい態様において、カップリングしたターゲティング部分の結合は、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満の肺体積の減少、又は約15%未満の全体の肺体積の減少を生じる。本発明の組成物の単回又は多数回の投与に際して、こうした減少を達成することも可能である。約2%〜約3%の全体の肺体積の減少は、こうした治療を受けた被験者において、例えば、少なくともLVRSで生じるのと同様の度合いに、有益な効果を生じると期待することが可能である。
【0141】
やはり好ましい態様において、ターゲティング部分間のカップリングは、永続的であるか、又は少なくとも半永続的であり、本明細書記載の連続治療の間の期間、例えば本発明の組成物の投与間の期間、生体分解(例えば加水分解)に抵抗性である。特定の態様において、ターゲティング部分間のカップリングの少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約98%が、ある期間に渡って損なわれないままである。いくつかの好ましい態様において、期間は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約5年、又は少なくとも約10年である。いくつかの好ましい態様において、期間は、約50年未満、約30年未満、約20年未満、又は約15年未満である。最も好ましい態様において、カップリングしたターゲティング部分は、被験者の一生の残りの間、損傷を受けたある程度の肺組織の虚脱及び/又はシーリングを保ち、例えば無期限に生体分解に抵抗する。当業者は、ターゲティング部分間のカップリングの永続性及び/又は生体分解性は、選択したカップリング技術及び/又は用いたカップリング部分に応じる可能性があることを認識するであろう。
【0142】
好ましい態様において、カップリング部分のいくつか又はすべては非常に強く、肺内で経験される機械的圧に抵抗する。例えば、正常呼吸中の機能的残気能に対応する緊張範囲は、いくつかの好ましい態様におけるカップリング部分の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の破壊を生じない。
【0143】
いくつかの好ましい態様において、カップリング部分は、少なくとも約50g/平方cm、少なくとも約100g/平方cm、少なくとも約200g/平方cm、又は少なくとも約300g/平方cmの引裂強度を示す。いくつかの好ましい態様において、カップリング部分は、約5,000g/平方cm未満、約3,000g/平方cm未満、約1500g/平方cm未満、約1300g/平方cm未満、約1200g/平方cm未満、約1000g/平方cm未満、約800g/平方cm未満、約600g/平方cm未満、又は約400g/平方cm未満の引裂強度を示す。
【0144】
同様に、好ましい態様において、ターゲティング部分及びその対応する損傷相関部分間の結合相互作用は、永続的、又は少なくとも半永続的であり、本明細書記載の連続治療の間の期間、例えば不可逆的に、実質的に不可逆的に、又は少なくとも高い結合定数で結合し、本発明の組成物の投与間の期間、解離に抵抗する。例えば、アルファ−1アンチトリプシン部分は、いくつかの態様において、好中球エラスターゼとの擬似不可逆的等モル複合体を形成可能である。例えばSifersら,“Genetic Control of Human Alpha−1 Antitrypsin”,Mol. Biol. Med.,Vol.6 127−135ページ(1989)を参照されたい。特定の理論又は作用様式に限定されることなく、アルファ−1アンチトリプシン部分は、そのターゲットとアシル−酵素複合体を形成可能である。いくつかの態様において、遺伝子修飾によって、又は既知の結合性ドメインをシャッフリングすることによって、結合をさらに増進することも可能である。別の例として、セルピン部分は、ターゲットであるプロテアーゼと反応して、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)安定性の等モル複合体を形成可能である。特定の理論又は作用様式に限定されることなく、セルピン及びターゲットであるプロテアーゼ間の複合体は、共有エステル結合連結を伴うことも可能であり、この場合、プロテアーゼの活性部位セリン残基は、セルピンの切断型のC末端残基に結合して、アシル−酵素複合体を形成する。例えば米国公報第2003/0216321号を参照されたい。さらに別の例として、単球エラスターゼ阻害剤部分は、エラスターゼと共有複合体及び/又は本質的に不可逆的な複合体を形成可能である。例えば国際公報WO 96/10418号及び米国特許第5,827,672号を参照されたい。
【0145】
特定の態様において、ターゲティング部分の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約98%が、ある期間に渡って、対応する損傷相関部分に結合したままである。いくつかの好ましい態様において、期間は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約5年、又は少なくとも約10年である。いくつかの好ましい態様において、期間は、約50年未満、約30年未満、約20年未満、又は約15年未満である。最も好ましい態様において、結合は、被験者の一生の残りの間、損傷を受けたある程度の肺組織の虚脱及び/又はシーリングを保ち、例えば無期限に生体分解に抵抗する。
【0146】
図1bは、ターゲティング部分がカップリングしている、第一のターゲティング部分104a及び第二のターゲティング部分104bを含む組成物を用いて、肺体積を減少させる方法の1つの態様を例示する。この図は、概観のみを提供し、そしていかなる点でも、本発明に関する限定を意図しない。例えば当業者は、例示する図の変動及び修飾を容易に認識するであろう。図は、肺胞102の気腔で終わる、末端細気管支101を例示する。上述のように、気腔は、気腫などの特定の肺の状態において、過剰膨張及び/又は拡張しうる。気腔壁の内部で、例えば損傷を受けた肺組織の異なる部位で、及び/又は肺胞上皮粘液内で、多量の損傷相関部分103、107が見られる。
【0147】
本発明の組成物を投与し、この場合、組成物は、第一のターゲティング部分104a及び第二のターゲティング部分104bを含み、ここでターゲティング部分は、例えばカップリング部分108を介してカップリングしている。図1bは、投与後、1つのターゲティング部分104aが、どのようにして、損傷相関部分107を認識し、そして該部分に結合するかを例示する。
【0148】
図1bはまた、2つのターゲティング部分が、どのようにして、気腔内の2つの異なる部位で、対応する損傷相関部分を認識し、そして該部分に結合するかも例示する。収縮後、肺胞壁102は、より近接するようにされ、第二のターゲティング部分104bが、損傷を受けた肺組織の異なる部位で、その損傷相関部分103を認識し、そして該部分に結合することが可能になる。カップリングしたターゲティング部分の、これまで遠く離れていた損傷相関部分への結合は、気腔の壁を一緒により近く保つように働く。以前には拡張しそして/又は膨張していた肺胞は、こうして、再膨張後、虚脱しそして/又はシーリングされた状態に保たれ、それによって肺体積を減少させることが可能である。
【0149】
本発明の別の側面は、損傷を受けた肺組織をターゲティングするターゲティング部分にカップリングした画像化部分を含む組成物を、必要がある被験者に投与し、そして損傷を受けた肺組織を画像化する工程によって、損傷を受けた肺組織を画像化する方法を提供する。ターゲティング部分は、例えば肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、損傷相関部分がより多量であるため、損傷を受けた肺組織の部位に、投与された組成物を導くように作用する。例えば、アルファ−1アンチトリプシン部分をターゲティング部分として用いる場合、アルファ−1アンチトリプシン部分は、特定の肺の状態、例えば気腫において、損傷を受けた肺組織の部位により高い濃度で見られるエラスターゼを認識可能であり、そしてこれに結合可能である。次いで、画像化部分は、損傷を受けた区域の検出、好ましくは非侵襲性及び/又はin vivo検出を可能にしうる。例えば、気腫において、本明細書記載の方法によって、多量のエラスターゼを有する、拡張した気腔がある肺区域を検出することも可能である。
【0150】
損傷を受けた肺組織の部位に画像化部分をターゲティングすると、例えば、肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域の未結合画像化部分による、「バックグラウンド」減少を補助することも可能である。いくつかの好ましい態様において、例えば、画像化部分を検出する前に、例えば収縮及び/又は虚脱によって、未結合ターゲティング部分を肺から取り除いてもよい。
【0151】
いくつかの態様において、損傷を受けた肺組織の領域への、投与した組成物のターゲティングに十分な時間を与えた後、画像化部分の検出を行う。好ましい態様において、ターゲティング部分は、少なくとも約30分、少なくとも約20分、少なくとも約10分、又は少なくとも約5分で、その損傷相関部分を認識しそして該部分に結合する。好ましい態様において、ターゲティング部分は、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、約45分未満、約30分未満、約15分未満、又は約10分未満で、その損傷相関部分を認識しそしてこれに結合する。
【0152】
当該技術分野に知られ、そして/又は本明細書に記載する方法のいずれによって、画像化部分を画像化してもよい。例えば、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)の使用を含む、伝統的放射線学的技術を介して、そして/又はポジトロン発光断層撮影(PET)スキャン、核スキャン、及び/又はシンチグラフィー、ならびに磁気共鳴画像法(MRI)、機能性磁気共鳴画像法(FMRI)、脳磁図(MEG)、及び単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)などのより進歩した技術の使用を介して、画像化を実行可能である。こうした画像化技術を用いて、in vitro又はin vivoで、好ましくはin vivoで、結合した画像化部分を検出してもよい。高分解能スキャン、例えば高分解能CTスキャンが好ましい。より好ましい態様において、こうした画像化法は、肺の詳細なマップを生じ、例えば肺内の多様な部位に結合した画像化部分の相対量によって、損傷を受けた組織の部位及び/又は損傷の度合いを示す。
【0153】
用いる検出法は、投与する画像化部分に応じる可能性もある。例えば、超音波画像化を用いて、エコー生成性画像化部分及び/又はエコー生成シグナルを生成可能な画像化部分及び/又は他の超音波画像化部分を検出することも可能である。X線を用いて、重原子画像化部分(例えば約38以上の原子量を有するもの)を検出することも可能である。光画像化を用いて、光を散乱させ、そして/又は吸収し、そして/又は放出することが可能な画像化部分を検出することも可能である。MR画像化を用いて、非ゼロ核スピン同位体(例えばF−19)を含む画像化部分及び/又は不対電子スピンを有する画像化部分を検出することも可能である。PET、シンチグラフィー、及び/又はSPECTを用いて、放射性核種画像化部分を検出することも可能である。
【0154】
例えば、いくつかの態様において、放射性ガンマ放出因子を含む画像化部分を用いることも可能であり、そしてガンマ・カメラ、シンチレーションカウンター、及び/又はガンマ放射線を検出可能な他のデバイスを介して検出することも可能である。放射線画像化カメラは、高エネルギーガンマ線を吸収し、そして電子を移動させる変換媒体を用いることも可能であり、電子は、より低い軌道状態に戻る際に光子を放出する。いくつかのカメラはまた、例えば放出された光子の位置を決定する、空間検出チャンバー中に配置された光電子検出装置、ならびにチャンバー中で検出された光子を分析して、画像を産生するのを補助する回路も用いる。
【0155】
磁気種、例えば常磁性原子を含む画像化部分を用いる態様において、MR画像法によって画像化部分を検出することも可能であり、例えば磁気共鳴画像化系を用いることも可能である。こうした系において、損傷を受けた肺組織の部位で、強い磁場を用いて、常磁性原子などの原子の核スピンベクターを並列させることも可能である。次いで、こうした部位で、常磁性原子によって、場を分配することも可能である。核が平衡並列に戻るにつれて、損傷を受けた肺組織の部位の画像が得られうる。
【0156】
図2は、損傷を受けた肺組織をターゲティングするターゲティング部分にカップリングした画像化部分を含む組成物を用いて、損傷を受けた肺組織を画像化する方法の1つの態様を例示する。この図は、概観のみを提供し、そしていかなる点でも、本発明に関する限定を意図しない。例えば当業者は、例示する図の変動及び修飾を容易に認識するであろう。図は、肺胞102の気腔で終わる、末端細気管支101を図式的に例示する。上述のように、気腔は、気腫などの特定の肺の状態において、過剰膨張及び/又は拡張しうる。気腔壁の内部で、例えば損傷を受けた肺組織の部位で、及び/又は肺胞上皮粘液内で、多量の損傷相関部分103が見られる。
【0157】
本発明の組成物を投与し、この場合、組成物は、例えばターゲットである損傷相関部分103を認識し、そして該部分に結合することによって、損傷を受けた肺組織をターゲティングする、ターゲティング部分104を含む。例示した態様において、組成物はまた、画像化部分(I)201も含む。図2は、ターゲティング部分が、どのようにして、損傷を受けた肺組織の多様な部位で、損傷相関部分を認識し、そして該部分に結合するかを例示する。適切な検出技術による画像化部分201の検出は、こうした損傷の画像を提供可能であり、好ましくは肺の状態の診断を促進する。
【0158】
本明細書記載の画像化法は、損傷を受けた肺組織の検出を提供し、そして好ましくは、肺の状態、例えば気腫の存在、度合い、改善及び/又は悪化の診断及び/又は監視を容易にする。本明細書記載の画像化法を、本明細書記載の治療法、現在知られる他の方法、及び開発されうる他の方法と組み合わせて用いることも可能である。例えば、損傷を受けた肺組織の区域の検出後、肺体積減少術を行ってもよい。あるいは、区域は、一方向バルブの設置に適した位置、及び/又は例えば本明細書記載の組成物及び/又は方法を用いて、損傷を受けた肺組織の区域をシーリングする必要性を指すことも可能である。
【0159】
本発明のいくつかの態様は、本明細書記載の本発明の画像化及び体積減少の側面の両方を使用する。例えば、ターゲティング部分にカップリングした画像化部分を含む組成物を用いて、損傷を受けた肺組織を画像化することも可能である。損傷の度合いは、さらなる治療が必要であり、そして/又は望ましいかどうかを示すことも可能である。こうしたさらなる治療は、架橋可能部分にカップリングしたターゲティング部分を含む架橋組成物による、そして/又はカップリングしたターゲティング部分を含む組成物を用いることによる、肺体積減少を含むことも可能である。いくつかの態様において、画像化部分をターゲティング部分にカップリングすることも可能であり、このターゲティング部分はそれ自体、架橋可能部分及び/又は1以上の他のターゲティング部分にカップリングしている。いくつかの態様において、架橋可能部分に、そして/又は1以上の他のターゲティング部分にカップリングしたターゲティング部分を含む第二の組成物を用いてもよい。さらにいくつかの態様において、例えば本明細書記載の組成物及び/又は方法を用いた肺体積減少は、例えば画像化に先行され、そして/又は画像化に先行することも可能であり、そして画像を比較して、例えば損傷を受けた肺組織の区域において、虚脱及び/又はシーリングが達成された度合いを決定し、好ましくは架橋及び/又はカップリング部分の存在、位置、度合い及び/又は分解、ならびに/あるいはターゲティング部分の解離の監視を容易にする。
【0160】
画像化部分、架橋可能部分、架橋活性化部分、他のターゲティング部分、ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤のいずれか又はすべてにカップリングしたターゲティング部分を含む組成物の投与に、洗浄が続くことも可能である。用語「洗浄」は、本明細書において、それぞれの損傷相関部分からターゲティング部分を除去して、例えば続いて添加されるターゲティング部分へのさらなる結合のために損傷相関部分が利用可能であるようにするのを促進可能な洗浄部分の投与を指す。例えば、洗浄工程が、画像化部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物の投与及び画像化に続き、ターゲット部位を自由にすることも可能である。洗浄後、架橋可能部分にカップリングした、そして/又は別のターゲティング部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物を、被験者に投与して、例えば本明細書記載の方法によって、肺体積減少を達成することも可能である。本発明の使用に適した洗浄部分には、例えばターゲティング部分との結合に関して、損傷を受けた肺組織の部位で、損傷相関部分と競合可能な可溶性損傷相関部分が含まれる。好ましくは、可溶性損傷相関部分は、被験者に投与する前に、望ましくない特性を減少させ、そして/又は除去するように、修飾されている。例えば、アルファ−1アンチトリプシンになお結合可能であるが、肺組織を分解不能であるか、又は非突然変異体エラスターゼよりも低い度合いで肺組織を分解させる、突然変異体エラスターゼ・ポリペプチドを用いてもよい。
配合、投与経路、及び有効用量
いくつかの投与経路又は投与様式を用いて、本発明の実施に有用なターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分、及び/又は画像化部分を被験者に送達することも可能である。部分をそれ自体送達してもよいし、又は薬学的に許容しうる塩として送達してもよい。用語「薬学的に許容しうる塩」は、本発明の部分及び/又は剤の生物学的有効性、選択されるコンホメーション及び他の望ましい特性を保持し、そして生物学的に又は別の点で望ましくないものでない塩を意味する。こうした塩には、無機酸又は有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸との塩が含まれる。さらに、部分がカルボキシル基又は他の酸性基を含有する場合、無機塩基又は有機塩基を用いて、これを薬学的に許容しうる付加塩に変換してもよい。適切な塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが含まれる。
【0161】
ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分、画像化部分、ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤、あるいはその薬学的に許容しうる塩を、必要がある被験者に投与するため、薬学的に許容しうるキャリアーと配合することも可能である。「薬学的に許容しうるキャリアー」は薬学業に周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro監修 1985)に記載される。適切なキャリアーには、例えば、アルコール、DMSO、生理食塩水溶液、及び/又は水のようなキャリアーが含まれる。活性部分を、薬学的に使用可能な調製物にプロセシングするのを容易にする、賦形剤及び/又は補助剤を含む、1以上の生理学的に許容しうるキャリアーを用いて、慣用的方式で、本発明にしたがった使用のための薬剤組成物を配合することも可能である。適切な配合は、選択した投与経路に応じる。
【0162】
いくつかの態様において、本発明の組成物を、適切な溶媒、例えば無菌水又はPBSに溶解して、そして次いで、乾燥させて溶媒を取り除き、そして粉末を産生する。組成物の所望の特性、例えばターゲティング部分が、ターゲットである損傷相関部分を認識し、そして/又は該部分に結合する能力を保持する方式で、乾燥を行うことも可能である。例えば、真空濃縮、スプレー乾燥、開放乾燥、凍結乾燥等が使用可能である。次いで、得た残渣を粉砕して、そして/又はさらに微粉にすることも可能である。
【0163】
いくつかの好ましい態様において、ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分、及び/又は画像化部分、あるいはその薬学的に許容しうる塩、ならびに他の部分及び/又は剤、ならびに/あるいはその薬学的に許容しうる塩を、被験者の肺に送達可能な乾燥粉末として、又は生理学的に許容しうるエアロゾル化した溶液として配合する。粉末及び/又は液体配合物を調製して、投与を容易にする、例えば、送達デバイスから、好ましくは末端細気管支より遠位の肺胞まで下って、呼吸管内への輸送を容易にすることも可能である。
【0164】
慣用的技術を用いて、粉末配合物を多様な方式で調製することも可能である。粉末配合物をプロセシングして、例えば吸入を介して、そして/又は経胸腔的に、被験者に送達される能力を改善することも可能である。例えば、乾式造粒プロセシングによって、球状凝集体を形成することによって、配合物が吸入デバイス又は他のデバイス中を流れ、そして/又は流れ出る方式を改善することも可能である。球状凝集体は、本発明の組成物に、優れた取り扱い特性を与えることも可能である。しかし、本発明は、球状及び非球状型両方を含む、すべての形状の凝集体及び/又は他の粒子の使用を意図することが理解されるものとする。粉末及び/又は液体配合物はまた、好ましくは、エアロゾル・デバイスの目詰まり及びエアロゾル化物質の凝集を回避するのを補助する、物理的特性を有する。例えば、アルコール、石けん、界面活性剤、及び/又はビタミンEなどの添加剤を用いて、凝集を減少させるのを補助し、そして小粒子及び/又は小滴の形成を促進することも可能である。
【0165】
ある量の粉末型又は液体型の本発明の無菌組成物に、ある体積の無菌送達溶媒を添加することによって、液体配合物を産生することも可能である。いくつかの態様において、少なくとも約0℃、少なくとも約4℃、少なくとも約5℃、少なくとも約10℃、又は少なくとも約15℃の配合温度を用いてもよい。いくつかの態様において、約100℃未満、約80℃未満、約60℃未満、約37℃未満、又は約30℃未満の配合温度を用いてもよい。
【0166】
例えば適切なpHを含めて、肺で使用するための他の適切な生理学的パラメーターを提供するように、本発明の配合物を調製することも可能である。例えば、少なくとも約4、少なくとも約5、又は少なくとも約6のpHを用いてもよい。いくつかの態様において、約11.0未満、約10.0未満、約9.0未満、約8未満、又は約7未満のpHを用いてもよい。
【0167】
好ましい態様において、配合は、ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分及び/又は画像化部分、ならびに他の部分及び/又は剤、ならびに/あるいはその薬学的に許容しうる塩の濃度、サイズ及び/又は粘性などのパラメーターを選択して、エアロゾル化し、そして/又は噴霧化した際に、肺に送達されることが可能な、ある範囲の粒子及び/又は小滴サイズが配合によって生じるように、例えばレオロジー・プロフィールを提供することを伴う。適切な製粉装置、例えばジェット製粉装置を用いて、末端細気管支より遠位の部位を含む、損傷を受けた肺組織の部位へのアクセスを容易にし、又は好ましくは最大にする範囲のサイズで、粒子を産生可能である。いくつかの態様において、先細りの孔を含むノズルを用いて、例えば生成されるエアロゾルの均一性を増加させることも可能である。例えば、米国公報第2004/0124185号を参照されたい。
【0168】
より好ましい態様において、呼吸ゾーン又は深部肺送達を可能にする配合物を調製する。こうした態様において、配合は、深部肺への送達に適応した範囲の粒子及び/又は小滴サイズを生じることが可能である。さらにより好ましい態様において、配合は、ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分及び/又は画像化部分、ならびに他の部分及び/又は剤、ならびに/あるいはその薬学的に許容しうる塩の濃度、サイズ及び/又は粘性などのパラメーターを選択して、エアロゾル化し、そして/又は噴霧化した際に、肺胞に、好ましくは末端細気管支より遠位の肺胞に送達されることが可能な、ある範囲の粒子及び/又は小滴サイズが配合によって生じるようにすることを伴う。
【0169】
当該技術分野に知られ、そして/又は本明細書に記載するような、適切な送達デバイス、分子量、濃度、及び/又は添加剤を選択することによって、適切なサイズ範囲の小滴及び/又は粒子を得ることも可能である。例えば米国公報第2002/0086842号を参照されたい。例えば、多様な配合物をスクリーニングして、所望の範囲の小滴及び/又は粒子サイズを生じるものを決定することも可能である。
【0170】
好ましい態様において、本発明の組成物を、呼吸管を介して、例えば吸入を介して投与する。用語「吸入」には、口、鼻、気管、又はその組み合わせいずれかを介した吸入が含まれる。吸入を介した投与のための薬剤配合物は、薬学業に知られる技術にしたがって作成し、そしてエアロゾル吸入、乾燥粉末吸入、液体吸入、及び/又は滴下を介して投与可能である。例えば、動物被験者による呼吸可能ミストの吸入によって、診断的に及び/又は療法的に有効な量の本発明の組成物を送達することも可能である。
【0171】
吸入可能配合物の調製は、当該技術分野に知られ、例えば米国公報第2003/0232019号及び国際公報第WO 2004/054556号を参照されたい。例えば、本発明の組成物を呼吸可能フルオロカーボン噴霧剤とともに配合することも可能である。吸入可能調製物は、好ましくは、少なくとも約0.1ミクロン、少なくとも約0.3ミクロン、少なくとも約0.5ミクロン、少なくとも約1ミクロン、又は少なくとも約2ミクロンの中央値質量分布サイズの小滴及び/又は粒子を提供する。吸入可能調製物は、好ましくは、約20ミクロン未満、約15ミクロン未満、約10ミクロン未満、約6ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、又は約2ミクロン未満の中央値質量分布サイズの小滴及び/又は粒子を提供する。粒子及び/又は小滴サイズは、好ましくは、約2ミクロン〜約5ミクロンの間である。
【0172】
サイズを選択して、本発明の組成物が、多様な肺区域内の損傷を受けた組織の部位にアクセスするのを可能にすることも可能である。呼吸系は、3つの区域に分けることが可能である:(i)気管/咽頭区域、(ii)気管支区域、及び(iii)肺胞区域。約10ミクロン〜約50ミクロンの小滴及び/又は粒子は、典型的には、気管/咽頭及び/又は肺の気管支区域に移動し;一方、約0.5ミクロン〜約5ミクロンの小滴及び/又は粒子、例えば約2ミクロンの小滴及び/又は粒子は、典型的には肺胞区域に移動する。より大きいサイズは、遠位細気管支を通って肺胞にはそれほど有効に到達しえない。より小さい小滴及び/又は粒子は、ターゲティング部分がその損傷相関部分に接触する前に、被験者によって吐き出される可能性がある。例えば本明細書に記載するものを含む、当該技術分野に知られる技術によって、本発明の組成物の小滴及び/又は粒子サイズを測定することも可能である。
【0173】
多様な物理的パラメーターを用いて、肺内の損傷を受けた組織の多様な部位への、本発明の組成物のアクセスを促進することも可能である。例えば、通常、ミクロンで表される、空気動力学的中央粒子径(MMAD)を用いて、肺において、小滴及び/又は粒子がどこに分布するかを予測することも可能である。本発明の組成物サイズに関する、カスケード・インパクターを用いて、空気動力学的中央粒子径を測定することも可能である。肺送達の状態をよりよく反映するため、好ましくは加湿カスケード・インパクターを用いる。さらに、例えばMalvernレーザーを用いて、粒子サイズ分布を測定することも可能である。幾何標準偏差(GSD)は、使用可能な別のパラメーターである。約1のGSDは、正規分布に相関する。約1未満のGSDは、狭いサイズ分散を示すことが可能であり、一方、約1より大きいGSDは、広いサイズ分散を示すことが可能である。こうしたパラメーターは、本発明の組成物のターゲティング部分が、そのターゲットである損傷相関部分を認識し、そして/又は該部分に結合する能力によって、さらに影響を受ける。
【0174】
電荷を用いて、エアロゾル形成を促進することもまた可能である。例えば、いくつかの態様において、陰性電荷を所持するように、小滴及び/又は粒子を作成することも可能である。同様の電荷は、互いに反発し、例えば静電力によって、粒子及び/又は小滴がエアロゾルの雲中に分散するのを補助する。粒子及び/又は小滴上の同様の陽性電荷もまた、同様の方式で使用可能である。
【0175】
動物モデルを用いて、損傷を受けた肺組織への、本発明の組成物の送達のための小滴及び/又は粒子サイズの適切な範囲を決定することもまた可能であり、例えばRaabeら,Ann. Occup. Hyg.,Vol.32 53−63ページ(1998)(実験動物において、肺の多様な領域への粒子サイズのアクセスを調査している)を参照されたい。
【0176】
溶液又は液体配合物をエアロゾル化して、例えば吸入装置、噴霧器、及び/又はアトマイザーなどのデバイスを介して、呼吸可能なミストを形成することも可能である。いくつかの態様において、配合物は乾燥粉末であり、これを、エアロゾル化前に、例えば生理食塩水又は水の溶液中で構成することも可能である。さらにいくつかの態様において、肺胞内デバイス(IAD)、空気銃を動力源としたエアロゾル・チャンバー、及び/又は例えばDura Delivery Systems及び/又はGlaxo Wellcomeの他の乾燥粉末送達デバイスなどのデバイスによって、乾燥粉末自体を送達することも可能である。
【0177】
当該技術分野に知られ、本明細書に記載し、そして/又は当業者によって開発されうる、いかなる技術によって、本発明の組成物をエアロゾル化することも可能である。例えば、微小孔を通じて組成物を加圧して、そして次いで、高圧ファン系などのインライン送風機を通じて吹き飛ばすことも可能である。ファン又はポンプは、好ましくは、吸気時又は吸気直前時と一致して時間調節される。いくつかの態様において、例えば、流入体積の関数として、組成物の送達を計量することも可能である。
【0178】
当該技術分野に知られ、そして/又は本明細書に記載するいかなる方法によって、エアロゾル化組成物を送達することも可能である。例えば、組成物を、加圧下で、直接、気管支に、そして/又は拡張した気腔に、吹き込むことも可能である。いくつかの態様において、カテーテルを用いて、別の経路を通じて、肺のより遠位でない内腔から空気を吸い出すことも可能である。いくつかの態様において、第一のカテーテルを用いて、拡張した気腔に組成物を吹き込み、一方、同じ気腔から別の経路を通じて、例えば別の気管支枝から、第二のカテーテルで空気を吸出して、循環流経路を得ることも可能である。さらに別のアプローチにおいて、バルーン、被覆ブレーズ構造、拡張性の泡、一方向バルブを作成するフラップ、及び/又は拡張性のひだ(corrugation)を用いて、カテーテル又は他の注入デバイス周囲の流れを遮断することも可能である。
【0179】
ポータブル(例えばハンドヘルド)吸入デバイス、例えば抗喘息剤又は抗炎症剤を送達するのに用いられるデバイスを用いて、吸入を介して、本発明の組成物を投与することもまた可能である。例えば、吸入装置内部の粉末内に空気を圧縮することによって、細かい乾燥粉末をエアロゾルとして送達してもよい。これは、好ましくは末端細気管支より遠位の肺胞へのアクセスを可能にするサイズ範囲の、粒子の雲として粉末を分散させることも可能である。
【0180】
いくつかの態様において、単回又は多数回用量を送達するように吸入デバイスを設計して、偶発的大用量のリスクを最小限にし、そして光、過剰な湿度、及び/又は他の混入物質から配合物を保護することも可能である。乾燥粉末及び計測用量吸入装置を用いて、必要がある被験者の肺空気通路に、本発明の組成物を投与することも可能である。計測用量吸入装置は、分散及び/又は可溶化型で、薬剤を送達可能である。これらの吸入装置は、比較的高い蒸気圧の噴霧剤を含むことも可能であり、こうした剤は、デバイスの活性化に際して、気道にエアロゾル化物質を押し入れる。
【0181】
いくつかの態様は、肺への噴霧化による送達を伴い、この場合、例えば送達デバイスは噴霧器であることも可能である。例えば、本発明の組成物を含有するエアロゾル、好ましくは約10ミクロン未満の小滴及び/又は粒子のエアロゾルを生成する噴霧器を用いることも可能である。噴霧器は当該技術分野に知られ、そして例えば空気又は液体ジェット噴霧器であることも可能なジェット噴霧器;超音波噴霧器;圧縮空気噴霧器(例えばAeroEclipse、Pari L.C.、Parijet;及び/又はWhisper Jet)及び/又は圧メッシュ噴霧器であることも可能である。圧縮空気噴霧器は、迅速に移動する空気を用いて液体流を粉砕することによって、小滴を生成可能である。超音波噴霧器は、超音波を用いて、例えば圧電変換器を用いて、電流を機械的振動に変換することによって、溶液を噴霧化可能であり;一方、圧メッシュ噴霧器は、圧下で、液体にメッシュ様表面を通過させる。噴霧器は、少なくとも約5psi、少なくとも約10psi、少なくとも約15psi、少なくとも約20psi、少なくとも約25psi、又は少なくとも約30psiの圧を使用可能である。噴霧器は、約60psi未満、約50psi未満、又は約40psi未満の圧を使用可能である。噴霧器を用いた投与のため、被験者は、例えばエアロゾル化気管支拡張剤を投与するのに用いられるのと類似の方式で、連続噴霧化を介して、本発明のエアロゾル化組成物を吸入可能である。例えば、口及び/又は鼻へのチュービング又はマスクを介して、ならびにAmbuバッグ、ブローバイマスク、気管内チューブ、鼻カニューレ、鼻カバー、及び/又はノンリブリーザーを用いることによって、エアロゾルを送達してもよい。
【0182】
噴霧器に適した体積流量(l/分)を選択可能である。平均吸気量が、各々、呼吸周期の約半分に相当する呼息及び吸息を伴う換気量の約二倍であるため、体積流量が被験者の換気量の2倍を超えないことが好ましい。例えば、約20l/分未満、約15l/分未満、又は約10l/分未満の体積流量の噴霧器が、使用可能である。所望の範囲の粒子サイズ及び/又は小滴サイズを生成するように、噴霧器を選択することもまた可能である。当業者に認識されるであろうように、体積流量とともに、多様な要因を考慮することも可能である。こうした要因には、エアロゾル質量出力(mg/l)及び/又は保持体積(ml)が含まれる。例えば、圧縮空気噴霧器に関して、空気流、穴の直径、及び/又は空気圧などの要因が、サイズ分布に影響を及ぼしうる。超音波噴霧器に関しては、要因には、空気流速度、穴の直径、及び/又は超音波振動数が含まれる。
【0183】
投与はまた、陽圧換気下で本発明のエアロゾル化小滴及び/又は粉末の送達を伴うことも可能である。例えば、持続的気道陽圧デバイスなどのデバイスを用いて、換気補助を提供することも可能である。この補助は、本発明の組成物が深部気道の肺胞における損傷を受けた組織の部位にアクセスするのを容易にしうる。さらに、呼吸終末陽圧を用いて、これに関して、さらなる補助を提供することも可能である。いくつかの態様において、被験者があるレベルの陰性吸気圧を、例えば吸気流速で生じた場合に、本発明の組成物を送達するデバイスを用いてもよい。
【0184】
使用可能な他のデバイスには、例えば、圧下で、本発明の組成物を含む調製物を含有するように適応された小型容器が含まれる。小型容器は、例えば調製物の送達を制御するためのバルブ;小型容器内部の加圧調製物を、バルブ作動に際して、吸入可能エアロゾルミストに変換するため、バルブに連結されたノズルを特徴とすることも可能である。例えば米国公報第2002/0086852号を参照されたい。必要がある被験者の肺に、本発明の組成物を送達するための他のデバイスには、スプレーアトマイザーが含まれる。
【0185】
本発明の組成物を、非エアロゾル化型で送達することもまた可能である。さらに、エアロゾル型及び/又は非エアロゾル型の組み合わせも使用可能である。
例えば、溶液、懸濁物、粘性液、液体フィルム、スラリー、泡、及び/又は揺変性(thicksotropiec)型(単数又は複数)を使用可能である。当該技術分野に知られ、開発される可能性があり、そして/又は本明細書に記載する、技術いずれかによって、こうした型のいずれも、肺に送達可能である。例えば、溶液、懸濁物、粘性液、液体フィルム、スラリー、泡、及び/又は揺変性型を、液体洗浄、液体換気、ボーラス液滴、及び/又は肺洗浄液によって投与してもよい。いくつかの態様において、フルオロケミカル媒体を使用してもよい。
【0186】
投与溶液には、例えば、本発明のターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分及び/又は画像化部分(ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤)の生理学的に許容しうる溶液が含まれてもよい。肺又はその第一の部分への送達後、ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分及び/又は画像化部分(ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤)が後に残るように、溶媒を蒸発させ、そして/又は消散させてもよい。
【0187】
さらにいくつかの態様において、組成物を固体、半固体、固体フィルム、ヒドロゲル、寒天、及び/又はゾル−ゲルとして送達してもよい。例えば、本発明の組成物を吸収可能スポンジとして、例えば吸収可能ゼラチンスポンジ(例えばGelfoaMTM)として、及び/又は吸収可能ワックスとして、投与してもよい。吸収不能ワックスもまた使用可能である。さらに、いくつかの態様において、本発明の組成物配合に際して、石油に基づく化合物(例えばワセリン)、ラテックス、天然又は合成ゴム、デンプン、及び/又はアルギン酸化合物を使用してもよい。
【0188】
いくつかの態様において、本発明の組成物を、滴下、例えば気道を通じた、例えば気道の前面を通じた直接滴下を通じて、肺に送達する。本発明の組成物を、例えば水又は緩衝生理学的溶液、例えば生理食塩水を含む水性溶液を含む、溶液として投与してもよい。少なくとも約2分間、少なくとも約5分間、又は少なくとも約10分間の期間に渡って、滴下投与を行ってもよい。滴下期間は、約30分未満、約20分未満、又は約15分未満であることも可能である。滴下時間の長さは、用いる組成物、損傷の度合い等を含む、いくつかの要因に基づいて、選択可能である。滴下は、気管支鏡法及び/又は内視鏡法を介した送達を伴うことも可能である。
【0189】
例えば含浸アプリケーターチップ、例えば米国特許第5,928,611号;ならびに/あるいは腹腔鏡法及び/又は内視鏡法を介して、液体及び/又は半液体組成物を送達するためのアプリケーター、例えば米国特許第6,494,896号の使用を含めて、本発明の組成物を、損傷を受けた肺組織に送達するための他の技術もまた、使用可能である。例えば構造が本発明の組成物でコーティングされている、ファイバー、マイクロファイバー、格子細工ステント、金線デザイン、及び/又は多孔構造もまた使用可能である。
【0190】
本発明の組成物を、経胸腔投与を介して送達することもまた可能である。例えば、いくつかの態様において、より調節された局在化のため、肋骨を通じて直接、気腔をターゲティングしてもよく、例えばスコープを通じて適用してもよい。経胸腔送達は、経皮的に、針を用いた、ならびに/あるいはカテーテル及び/又は胸腔チューブを用いた、胸膜腔への送達を伴うことも可能である。いくつかの態様において、気管支鏡法及び/又は気管内チューブの使用を介して、組成物を送達してもよい。しかし、こうした態様は、上に論じるように、より好ましくない。フルオロケミカル媒体を用いて、液体換気又は肺洗浄中に、本発明の組成物を肺に送達することもまた可能である。
【0191】
本発明の組成物を静脈内投与することもまた可能である。例えば、本発明の薬剤組成物及び/又は診断組成物を、薬学的に許容しうるキャリアーとともに配合して、注射を介して投与するための無菌溶液又は懸濁物を提供することも可能である。例えば溶液、懸濁物、及び/又は注射前に液体中で溶液又は懸濁物を作成するのに適した固体型として、そして/又はエマルジョンとして、慣用的な形で、注入可能物質を調製することも可能である。使用可能な適切な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン等が含まれる。いくつかの態様において、注射用の薬剤組成物は、補助物質、例えば湿潤剤、pH緩衝剤等を含有してもよい。例えば、炭酸/重炭酸緩衝系を用いてもよい。
【0192】
いくつかの態様において、送達ビヒクルを用いて、本発明の組成物を投与する。「送達ビヒクル」は、本明細書において、本発明の組成物を所持するのに使用可能ないかなる粒子も指す。送達ビヒクルの例には、限定されるわけではないが、リポソーム、ウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、及び真菌ベクター、ならびに当該技術分野で典型的に用いられる他の組換えビヒクルが含まれる。
【0193】
送達ビヒクルは、ポリヌクレオチド配列にコードされる本発明の組成物を所持してもよい。配列の発現は、組成物、例えば2以上のカップリングしたターゲティング部分の融合ポリペプチドを産生可能である。
【0194】
プロモーター、及びポリヌクレオチドを機能可能であるように連結可能なクローニング部位の両方を含有するベクターが当該技術分野に周知である。こうしたベクターは、RNAをin vitro又はin vivoで転写可能であり、そしてStratagene(カリフォルニア州ラホヤ)及びPromega Biotech(ウィスコンシン州マディソン)などの供給源から商業的に入手可能である。in vitro転写及び/又は発現を増進するため、5’及び/又は3’非翻訳部分を取り除き、付加し、そして/又は改変して、過剰な、潜在的に不適切な代替翻訳開始コドン、あるいは転写又は翻訳レベルいずれかで、発現に干渉するか又は発現を減少させうる他の配列を取り除くことが必要である可能性もある。いくつかの態様において、コンセンサス・リボソーム結合部位を、開始コドンのすぐ5’に挿入して、発現を増進させることも可能である。
【0195】
いくつかの態様において、ウイルスベクターを用いてもよい。ウイルスベクターには、in vivo、ex vivo又はin vitroのいずれかで、送達しようとするポリヌクレオチドを含む、天然又は組換え的に産生されたウイルス又はウイルス粒子が含まれることも可能である。ウイルスベクターの例には、バキュロウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター等が含まれる。ウイルスベクターは、その通常の感染機構を介して宿主細胞に進入可能であるし、又は例えば異なる表面受容体又はリガンドに結合して、異なる宿主細胞に進入することによって、異なる宿主細胞に結合するように修飾されることも可能である。
【0196】
送達ビヒクルはまた、リポソーム複合体を含む、非ウイルスベクターも含んでもよい。リポソームは、疎水性又は脂質性の層に接着した、水性の同心層を含むことも可能である。疎水性層は、例えばリン脂質、例えばレシチン及びスフィンゴミエリン、ステロイド、例えばコレステロール、ならびにイオン性表面活性物質、例えばジセチホスフェート、ホスファチジン酸、ステアリルアミン等を含むことも可能である。当該技術分野に知られる多様なリポソーム複合体を用いて、エアロゾル及び/又は非エアロゾル配合物中で、肺への本発明の組成物の送達を補助することも可能である。例えば、生体適合疎水性ドメインを有する化合物を、疎水性領域及び親水性領域を両方有するコンジュゲートと組み合わせた、微粒子配合物を用いてもよい。例えば、米国特許第6,500,461号を参照されたい。いくつかの態様において、例えば米国特許第6,352,716号に記載されるような、ステロールの有機酸誘導体の塩型を伴う二重層を含む、脂質小胞を用いてもよい。いくつかの態様において、リポソーム複合体の使用は、例えば、組成物を、損なわれずに、そして/又は損傷相関部分に対する認識及び/又は結合に必要であり、そして/又はこれらに関与する適切なコンホメーションに保つことによって、本発明の組成物の送達を促進可能である。
【0197】
さらにいくつかの態様において、本発明の組成物を含有するリポソームを、例えば親水性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)のような親水性ポリマー鎖でコーティングする。PEG−リポソームの例が当該技術分野に知られ、例えば米国公報第2003/0138481号及び米国公報第2003/0113369号を参照されたい。いくつかの態様において、ターゲティング部分を、暴露されたPEG鎖にカップリングして、損傷相関部分のターゲティングを促進することも可能である。いくつかの態様において、親水性鎖は、ターゲティング部分がそのターゲットである損傷相関部分と相互作用するのを一時的にシールドすることも可能である。こうしたリポソームは、例えば米国公報第2004/0009217号に記載される。
【0198】
いくつかの態様において、リポソーム複合体は、損傷を受けた肺組織の領域へのターゲティングされた送達を促進することも可能である。例えば、ペプチド−脂質コンジュゲートをリポソームに取り込んで、例えば損傷相関部分の近辺、例えば肺の状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域における、より高濃度のエラスターゼ又は他の損傷相関部分の近辺で、選択的にリポソームを不安定化させることも可能である。例えば、米国特許第6,087,325号に記載される、ペプチド−脂質コンジュゲートを参照されたい。
【0199】
送達ビヒクルにはまた、膜(例えば生体適合膜又は生体分解可能膜)と関連する他の送達系が含まれることも可能であり、これには、例えばデンドリマーに基づく方法及びターゲティング送達のための組成物が含まれる。例えば米国公報第2004/0120979号を参照されたい。また、例えば、薬剤送達系として有用な樹状ポリマー・コンジュゲートを記載する、米国公報第US2003/0064050号を参照されたい。例えば、本発明の実施において、送達系として有用な樹状ポリマー・コンジュゲートは、本明細書記載のターゲティング部分にカップリングした樹状ポリマーを含むことも可能である。
【0200】
いくつかの態様において、例えば疎水性を増進することによって、ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分及び/又は画像化部分、ならびに他の部分及び/又は剤の可溶性及び/又は薬理学的適合性を増加させる部分とともに、本発明の組成物を用いてもよい。例えば、いくつかの態様において、吸収増進調製物(例えば上述のリポソーム)を利用してもよい。こうした効果を達成するために同時投与可能な部分には、例えば、アンホテリシンB、吉草酸ベタメタゾン、ベクロメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、DPPC/DPPGリン脂質、ドキソルビシン、エストラジオール、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、プロスタグランジン、プロゲステロン、テストステロン、及び/又はビタミンE、及び/又はこれらのいずれかのエステルが含まれる。
【0201】
肺の状態を治療し、そして/又は検出する際に使用するための組成物は、好ましくは、使用可能期間中、低レベルの毒性を有し、そして好ましくは無菌である。滅菌は、当該技術分野に知られる技術によって達成可能であり、こうした技術には、例えば化学的方法、物理的方法、及び/又は放射線照射法が含まれる。物理的方法には、無菌充填、ろ過、熱(乾燥又は湿潤)の使用及び/又はレトルト缶詰化が含まれる。滅菌放射線照射法には、ガンマ線照射、電子線照射、及び/又はマイクロ波照射が含まれることも可能である。好ましい方法は、乾燥及び湿潤熱滅菌及び電子線照射である。例えばEP 1433486に記載されるように、本発明の異なる部分を、別個に滅菌して、例えば最終無菌組成物を形成することも可能である。
【0202】
好ましくは、本発明の組成物は、約2cfu/g未満、約1cfu/g未満、又は約0.1cfu/g未満の細菌数を有する。こうした予防策は、膿瘍の形成を減少させることが可能である。保存剤もまた、使用可能であり、これらには、限定されるわけではないが、ヒドロキノリン、ピロカテコール、レゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール、キャプタン(すなわち3α,4,7,7α−テトラヒドロ−2−((トリクロロメチル)チオ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム溶液、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、o−フェニルフェノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール、フェニル水銀化合物、例えばホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀及び酢酸フェニル水銀、ホルムアルデヒド、ならびに保存剤Germall II.RTM.及びGermall 115.TM.(イミダゾリジニル尿素、Sutton Laboratories、ニュージャージー州チャルタンから入手可能)などのホルムアルデヒド生成剤等が含まれる。さらに、好ましい調製物は、例えば吸入用のUPS水に関して確立された基準を用いて、非毒性濃度の毒素、例えば重金属を含有する。
【0203】
本発明はまた、投与前の貯蔵に備えた、診断組成物及び/又は薬剤組成物も含む。こうした組成物は、好ましくは、保存剤及び/又は安定化剤を含有する。例えば、ソルビン酸及び/又はヒドロキシ安息香酸(phydroxybenzoid acid)のエステルを添加してもよい。さらに、酸化防止剤及び懸濁剤を使用してもよい。
【0204】
本発明で有用な薬剤組成物及び/又は診断組成物はまた、例えば未成熟な架橋を減少させるため、安定化剤も含むことも可能である。安定化剤には、例えば気相安定化剤、例えばアニオン性気相安定化剤、及び/又は液相安定化剤、例えばアニオン性液相安定化剤が含まれることも可能である。こうした安定化剤にはまた、ラジカル安定化剤、及び/又は多様な安定化剤の混合物が含まれてもよく、好ましくはこの場合、混合物は、所望の反応に干渉せず、これを遅延させず、そして/又は妨げない。例えば、米国出願第09/099,457号を参照されたい。
【0205】
必要であるか又は所望である場合、本発明の組成物を1以上の他の療法剤と組み合わせて投与してもよい。本発明の組成物と同時投与可能な療法剤の選択は、部分的に、治療中の状態、及び達成しようとする所望の効果に応じるであろう。本発明のターゲティング部分へのこうした剤のカップリングは、例えば、損傷を受けた肺組織の部位に、薬剤をターゲティングすることによって、有効性を改善しうる。
【0206】
例えば、増殖因子、抗界面活性剤及び/又は抗生物質、あるいは小分子又はポリペプチド薬剤を含む他の療法剤とともに、組成物を投与することも可能である。使用可能な増殖因子の例には、線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子−β1、及び/又は血小板由来増殖因子(PDGF)、ならびにその機能性類似体が含まれる。投薬範囲の決定は、十分に当業者の知識及び/又は技術の範囲内であり、例えば約1〜約100nMのポリペプチド増殖因子を用いることも可能である。
【0207】
使用可能な抗生物質の例には、アンピシリン、シソマイシン、セフォタキシム、ゲンタマイシン、ペニシリン、ネバセチン等が含まれる。さらに、いくつかの態様において、抗微生物剤、抗ウイルス剤、防腐剤、バクテリオシン、殺菌剤、麻酔剤、防カビ剤、抗炎症剤、又は他の活性剤、あるいはその混合物を、本発明の組成物とともに、投与してもよい。こうした化合物には、酢酸、酢酸アルミニウム、バシトラシン、亜鉛バシトラシン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベタジン(betadine)、キャプタン(すなわち3α,4,7,7α−テトラヒドロ−2−((トリクロロメチル)チオ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム溶液、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブレオマイシン、クロロ白金酸カルシウム、セファロスポリン、セルトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、クロラミンT、クロルヘキシジン・ホスファニレート、クロルヘキシジン、硫酸クロルヘキシジン、クロロペニジン、クロロ白金酸、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クリオキノール、クレゾール、クロロクレゾール、シソスタフィン、デヒドロ酢酸、ドキソルビシン、ホルムアルデヒド、ゲンタマイシン、ヒドロキノン、過酸化水素、ヨウ素化ポリビニリドン、ヨウ素、ヨードフォア、イミダゾリジニル尿素、ミノサイクリン、ムピロシン、ネオマイシン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、非オニノール9、o−フェニルフェノール、フェニル水銀添加剤、例えばホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀及び/又は酢酸フェニル水銀、フェノール、フェニルエチルアルコール、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、過マンガン酸カリウム、ポリマイシン、ポリマイシンB、ポリミキシン、硫酸ポリミキシンB、ポリビニルピロリドンヨード、ポビドンヨード、8−ヒドロキシキノリン、保存剤(例えばアルキルパラベン及びその塩、例えばブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、及び/又はピロカテコール)、キノリン・チオ尿素、リファンピン、リファマイシン、レゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、塩化銀、クエン酸銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、硫酸銀、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、クロロ白金酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、スフィンゴ脂質、スルホンアミド、テトラサイクリン、スルファジアジン塩(例えば銀、ナトリウム、及び亜鉛)、チメロサール、チモール、臭化チオトロピウム、酸化亜鉛等、及びその組み合わせいずれかが含まれることも可能である。
【0208】
同時投与可能な他の薬剤部分には、例えば酸化防止剤、硝酸アトロピンメチル、硫酸アルブテロール(サルブタモール)、アセチルシステイン、抗コリン作用剤、心房性ナトリウム利尿ペプチド、メシル酸ビトルテロール、ベータアゴニスト、他の気管支拡張剤、例えばイソエタリン、メチルキサンチン、カプトプリル、カルシトニン、クロモリンナトリウム、シクロスポリン、硫酸エフェドリン、二酒石酸エフェドリン、上皮増殖因子、エトポシド、フルロイソリド(fluroisolide)、ヘパリン、イブプロフェン、インスリン、インターフェロン、塩酸イソエタリン、インスリン、インターロイキン−2、メシル酸イソエタリン、塩酸イソプロテラノール、硫酸イソプロテラノール、ロイコトリエン阻害剤、リパーゼ阻害剤、リポコルチン、肺界面活性剤タンパク質、マスト細胞安定化剤、硫酸メタプロテラノール、麻薬、n−アセチルシステイン、ペンタミジン、非ステロイド性抗炎症薬剤(NSAID)、ペプチド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ホスホリパーゼ阻害剤、血漿因子8、プロカテロール、プロプラノロール(propranalol)、プルモザイム(Genentech)、P2Y2受容体アゴニスト、ステロイド、スーパーオキシド・ジスムターゼ、テルブタリン、硫酸テルブタリン、テオフィリン、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、トベルマイシン(tobermycin)、腫瘍壊死因子、バソプレッシン、及び/又はベラパミルが含まれる。
【0209】
さらに、組成物はまた、核酸、例えばポリペプチド、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、又は干渉RNA(例えばsiRNA)をコードする核酸とともに投与可能である。本発明の組成物は、損傷を受けた肺組織の部位で、療法部分又は他の活性剤の緩慢な放出のための「デポ」としても働きうる。
【0210】
エアロゾル、経胸腔、滴下、静脈内及び/又は他の投与のためのすべての配合物は、投与に適した投薬型で配合可能である。本発明の使用に適した診断組成物及び/又は薬剤組成物には、有効量で、すなわち診断的及び/又は薬学的有効量で、部分が存在する組成物が含まれる。診断的有効量には、好ましくは損傷を受けた肺組織で、そしてより好ましくは非侵襲性及び/又はin vivo画像化技術によって、画像化部分の存在の検出を可能にする画像化部分を含む、組成物の十分量が含まれる。薬学的有効量には、ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分(ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤)を含む組成物の、治療中の少なくとも1つの肺の状態において、療法的及び/又は予防的利点を生じるのに十分な量が含まれる。有効量を単回用量で、又は適切な時間間隔、例えば分、時間、又は日で隔てられた一連の用量で、投与することも可能である。特定の適用に有効な実際の量は、検出し、そして/又は治療しようとする肺の状態、用いる投与経路、用いようとするターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分、画像化部分、ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤の同一性、ならびに当業者に認識されるであろうような他の検討材料に応じるであろう。有効量の決定は、特に本明細書の開示を踏まえて、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0211】
ターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分、画像化部分、ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤を含む組成物を指す際、有効量は、一般的に、医学業又は薬学業の多様な監督組織又は諮問組織(例えばFDA、AMA)によって、あるいは製造者又は供給者によって、推奨されているか又は認可されている、用量範囲、投与様式、配合等を意味するであろう。気腫などの肺の状態を治療する際の利点を生じることを指す際、有効量は、一般的に、内科業又は外科業の多様な監督組織又は諮問組織(例えばFDA、AMA)によって、あるいは製造者又は供給者によって、推奨されているか又は認可されている、臨床的肺体積減少を達成する量を意味するであろう。
【0212】
一般の当業者は、当該技術分野に知られる技術を用いて、投与しようとする組成物のターゲティング部分、架橋可能部分、架橋活性化部分、画像化部分、ならびに/あるいは他の部分及び/又は剤の有効量を決定可能である。有効量は、用いようとする部分及び/又は剤に応じる可能性もあり、そして既知のデータ、例えばターゲティング部分に関する結合定数、架橋可能部分及び架橋活性化部分が架橋を達成する濃度、ならびに検出を可能にするのに十分な画像化部分に関するデータから推定可能である。
【0213】
いくつかの態様において、投薬量は、少なくとも約0.001μg/kg/体重、少なくとも約0.005μg/kg/体重、少なくとも約0.01μg/kg/体重、少なくとも約0.05μg/kg/体重、又は少なくとも約0.1μg/kg/体重であることも可能である。いくつかの態様において、投薬量は、本発明の組成物の約0.05mg/kg/体重未満、約0.1mg/kg/体重未満、約0.5mg/kg/体重未満、約1mg/kg/体重未満、約2mg/kg/体重未満、約3mg/kg/体重未満、又は約5mg/kg/体重未満であることも可能である。いくつかの態様において、投薬量は、本発明の組成物の約10mg/kg/体重未満、約25mg/kg/体重未満、約50mg/kg/体重未満、約75mg/kg/体重未満、約100mg/kg/体重未満、約150mg/kg/体重未満、又は約200mg/kg/体重未満であることも可能である。
【0214】
投薬量は、用いる部分及び既知の生物学的特性に応じて多様でありうる。例えば、フィブリノーゲンは約2〜約4g/l血漿タンパク質を構成することが知られ、そしてフィブリノーゲンは、凝血カスケードの開始時に、トロンビンに曝露されるとフィブリンに切断される。肺体積減少に関連して、架橋可能部分としてフィブリノーゲン及び/又はフィブリンを、そして架橋活性化部分としてトロンビン、バトロキソビン、トロンビン受容体アゴニスト、及び/又はカルシウムの有用な濃度を含有する配合物を調製することも可能である。例えば、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約12%、又は少なくとも約15%のフィブリノーゲンを含む配合物が使用可能であり(例えば生理食塩水中、例えば約0.8%、約0.9%、約1%、又は約1.2%の生理食塩水中)、そしてフィブリノーゲン1ngあたり、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約5、少なくとも約10、又は少なくとも約12単位のトロンビン、及び/又は約1mMを超える、約1.5mMを超える、約3mMを超える、約5mMを超える、又は約8mMを超えるカルシウム(例えばCaCl2溶液中)を用いて、この配合物を活性化可能である。いくつかの態様は、約40mM未満、約30mM未満、又は約20mM未満のカルシウム(例えばCaCl2溶液中)の調製物を用いることも可能である。さらに、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、又は少なくとも約6%の因子XIIaトランスグルタミナーゼを用いて、架橋を促進することもまた可能である。架橋を達成するためのフィブリンに基づく組成物の配合物もまた当該技術分野に知られ、例えば、そして約10mg/mlより多く、約20mg/mlより多く、約25mg/mlより多く、又は約50mg/mlより多く、含有することも可能である。本発明の実施に有用な、フィブリンに基づく組成物はまた、約250mg/ml未満、約200mg/ml未満、約150mg/ml未満、約100mg/ml未満、又は約50mg/ml未満を含有することもまた可能である。例えば米国特許第5,739,288号に提供されるような、他のフィブリン・シーラント組成物を参照されたい。
【0215】
さらに、ヒトにおける使用のための有効量を、動物モデル、例えばマウス、ウサギ、イヌ、ヒツジ、又はブタから決定してもよい。例えば、気腫は、例えば、Ingenitoら,Tissue heterogeneity in the mouse lung: effects of elastase treatment,Press. J Appl Physiol (March 12,2004). 10.1152/japplphysiol.01246.2003中の論文に記載されるように、噴霧ブタ膵臓エラスターゼ(約30IU/日、約6日間)を投与することによって、C57BL/6マウスにおいて誘導可能である。同様に、パパイン(4週連続で、7,000単位/週の吸入)に曝露されたヒツジにおいて、気腫様の状態が誘導可能である。気腫はまた、塩化カドミウム、高濃度の酸素、及び/又はタバコの煙に曝露することによる動物モデルにおいても誘導可能である。Ingenitoら,“Bronchoscopic lung volume reduction using tissue engineering principles”,American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine,Vol.167 771−778ページ(2003)。動物モデルにおいて、肺体積を減少させ、そして残りの損傷を受けていないか又はより健康である組織の拡大のための空間を確保する際に、有効であることが見出された用量に基づいて、ヒトにおいて、損傷を受けた肺組織のシーリングに適した用量を配合することも可能である。他の技術は、一般の当業者に明らかであろう。さらに、高い局所静水圧を生じるほど多くないように、好ましくは膿瘍形成を導きうる、毛細管灌流圧を超える局所静水圧を回避するように、架橋可能部分及び/又はカップリングしたターゲティング部分を含む投与組成物の量を選択することも可能である。
【0216】
同様に、適切な動物モデルの肺において、画像化に用いる量に基づいて、ヒトにおいて、損傷を受けた組織を画像化するための用量を配合することも可能である。薬学的に許容しうるキャリアー及び診断的に有効な量の組成物を用いて、ターゲティング部分及び画像化部分を含む診断組成物を調製することも可能である。画像化を可能にする用量として必要な診断的に有効な量は、投与経路、治療中の状態、使用中のターゲティング部分、使用中の画像化部分、及び得ようとする診断の詳細、ならびに医学診断業の当業者に認識されるような他の要因に応じるであろう。医学診断業の当業者は、特に本明細書に提供する開示を踏まえて、適切な投薬量を容易に決定可能であろう。
【0217】
好ましい態様において、画像化のための用量は、損傷を受けた肺組織の部位で、画像化部分の存在を検出するのに十分である。例えば、いくつかの態様において、放射線学的画像化は、用量が少なくとも約3μC、少なくとも約5μC、又は少なくとも約10μCの画像化部分を提供することを必要としうる。いくつかの態様において、放射線学的画像化は、用量が約30μC未満、約20μC未満、又は約15μC未満の画像化部分を提供することを必要としうる。磁気共鳴画像化を用いるいくつかの態様は、被験者の体重に対して、少なくとも約0.0005mmol/kg、少なくとも約0.001mmol/kg、少なくとも約0.005mmol/kg、少なくとも約0.01mmol/kg、少なくとも約0.05mmol/kg、少なくとも約0.1mmol/kg、少なくとも約0.5mmol/kg、又は少なくとも約1mmol/kgの画像化部分の用量を必要としうる。いくつかの態様において、磁気画像化は、被験者の体重に対して、約10mmol/kg未満、約8mmol/kg未満、約5mmol/kg未満、約3mmol/kg未満、又は約2mmol/kg未満の画像化部分の用量を必要としうる。さらなる例として、投与組成物の少なくとも約2molパーセント、少なくとも約5molパーセント、少なくとも約7molパーセント、又は少なくとも約8molパーセントの用量で、画像化部分としてヨウ素を用いてもよい。ヨウ素画像化部分は、投与組成物の約20molパーセント未満、約15molパーセント未満、約12molパーセント未満、又は約10molパーセント未満の用量であることも可能である。
【0218】
正確な投薬量は、診断及び/又は治療が必要な被験者に関連する要因を踏まえて、実施者によって決定されるであろう。考慮に入れることが可能な要因には、肺の状態の重症度又は度合い、被験者の一般的な健康状態、被験者の年齢、体重、及び食餌、ならびに投与のタイミング及び頻度、被験者に利用可能であり、そして/又は望ましく、そして/又は被験者に用いられている、他の診断技術及び/又は療法技術、ならびに本発明の組成物(単数又は複数)に対する反応感受性、アレルギー、許容度及び/又は反応が含まれる。
実施例
本発明にしたがって、損傷を受けた肺組織を画像化し、そして/又は肺体積を減少させるための実験モデルにおいて、架橋可能部分にカップリングし、そして画像化部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物をウサギに投与することも可能である。この例では、ターゲティング部分は、フィブリノーゲン部分に共有的にカップリングし、そしてTc−99m部分に共有的にカップリングした、アルファ−1アンチトリプシン部分を含む。フィブリノーゲン及びTc−99m部分は、各々、アルファ−1アンチトリプシンのSer358阻害性部位周辺以外のアルファ−1アンチトリプシン部分の領域にカップリングし、そして架橋はトロンビン部分を用いて起こる。
【0219】
気腫様状態を、以下のようにウサギにおいて誘導可能である。軽い麻酔下、気管内チューブを通じ、噴霧器を介して、ウサギにブタ・エラスターゼを投与可能である。この処置を週1回、4週間反復する。4週処置の前及び後に、麻酔下で詳細な肺機能試験を行って、ベースラインを決定する。ウサギを2つの群、試験群及び対照群に分けることも可能である。
【0220】
肺胞内デバイス(IAD)を用いて、架橋可能部分及び画像化部分にカップリングしたターゲティング部分を含む組成物を、試験群の動物に投与することも可能である。損傷を受けた肺組織の領域をあらかじめ同定せずに、肺への気管内チューブを介して、組成物を動物に噴霧し、そして投与する。組成物が約5〜約7分間分布するのを可能にし、そしてエラスターゼをターゲティングするのを可能にする。この時間後、肺を生理食塩水で洗浄し、そして吸引して、未結合組成物を取り除く。アルファ−1アンチトリプシン部分は、ブタ・エラスターゼが誘導する状態によって影響を受けていないか、又はより低い度合いに影響を受けている肺の領域と比較して、影響を受けている肺の領域に、エラスターゼがより多量であるため、損傷を受けた肺組織をターゲティングする。処置中、オキシメータ及び舌プローブを用いて、動物の心拍及び動脈酸素飽和を監視することも可能である。
【0221】
次いで、肺のCTスキャンを取って、エラスターゼに結合したアルファ−1アンチトリプシン部分にカップリングしたTc−99m部分を画像化する。スキャンを用いて、損傷を受けた肺組織の領域への本発明の組成物の付着及び/又は誘導される損傷の度合いを示し、そして/又は確認することも可能である。
【0222】
次いで、トロンビンを投与することによって、架橋を活性化する。肺、又はCTスキャンによって損傷を受けたと同定された肺の領域に対して、気管内チューブを介して、トロンビンを動物に噴霧し、そして投与する。次いで、例えば約120〜140mmHgを約3〜約5分間用いて、再び肺を吸引して、虚脱を促進する。約7〜約10分間、架橋が癒されるのを可能にする。肺の第二のCTスキャンを取って、損傷を受けた肺組織の区域において達成された虚脱及び/又はシーリングの度合いを画像化することも可能である。次いで、肺を再膨張させ、そして動物が麻酔から回復するのを可能にし、その後、約1時間、周到に監視する。
【0223】
対照群の動物は、本発明の組成物がまったく投与されない以外、類似の処置を経ることも可能である。処置約1日後、試験群及び対照群の両方に対して、肺機能試験を反復して、試験群動物における肺体積減少の有効性を決定する。
【0224】
肺機能試験には、Ingenitoら,(2002) Bronchoscopic Lung Volume Reduction Using tissue engineering principles,American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine,Vol.167 771−778ページ及び/又はIngenitoら,“Bronchoscope volume reduction − A safe and effective alternative to surgical therapy for emphysema,” American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine,Vol.164 295−301ページ(2001)に記載されるような、静的及び動的肺生理学の評価が含まれる。
【0225】
対照群動物には、QSPVプロフィールの変化はほとんど期待されない。しかし試験群の動物は、RV/TLC比の有意な増加を伴う、RV及びTLCの有意な減少を示すと期待される。対照と比較した際、肺活量及び気道抵抗性の有意な減少もまた、試験群動物で期待される。さらに、処置の侵襲が最小限であることによって、処置後の合併症がほとんどないことも期待される。例えば、発熱、呼吸困難、創傷感染、及び/又は死亡の発生率及び重症度の低下もまた、期待されるであろう。
【0226】
本発明の好ましい態様が、本明細書に示され、そして記載されてきているが、当業者には、こうした態様が例示のためのみに提供されることが明らかであろう。ここで、本発明から逸脱することがない、多くの変動、変化、及び置換が、当業者には思い浮かぶであろうし、そして本明細書に記載する本発明の態様に対する多様な代替法が、本発明の実施に使用可能であることが、理解されるはずである。請求項が本発明の範囲を定義し、そしてその結果、これらの請求項の範囲内の方法及び組成物が、これらの同等物とともに含まれることが意図される。
【0227】
本明細書に言及するすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許又は特許出願が、具体的に、そして個々に、本明細書に援用されると示されたのと同じ度合いに、本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1a】図1aは、損傷を受けた肺組織をターゲティングするターゲティング部分にカップリングした、架橋可能部分を含む組成物を用いて、肺体積を減少させる方法の1つの態様を例示する。
【図1b】図1bは、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングする、カップリングしたターゲティング部分を含む組成物を用いて、肺体積を減少させる方法の1つの態様を例示する。
【図2】図2は、損傷を受けた肺組織をターゲティングするターゲティング部分にカップリングした、画像化部分を含む組成物を用いて、損傷を受けた肺組織を画像化する方法の1つの態様を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋可能部分及びターゲティング部分を含む組成物であって、前記部分がカップリングしており、そして前記ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織をターゲティングする、前記組成物。
【請求項2】
肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
多糖又は炭水化物部分を含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記ターゲティング部分が損傷相関部分をターゲティングする、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記損傷相関部分が細胞表面マーカーを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記損傷相関部分がECM構成要素を含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記ターゲティング部分がエラスターゼをターゲティングする、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記ターゲティング部分が好中球エラスターゼをターゲティングする、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記ターゲティング部分がプロテアーゼ阻害剤部分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記ターゲティング部分がアルファ−1アンチトリプシン部分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記アルファ−1アンチトリプシン部分が組換えアルファ−1アンチトリプシン部分である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記ターゲティング部分がエラフィン部分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記エラフィン部分が組換えエラフィン部分である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記ターゲティング部分がセルピン部分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
前記セルピン部分が組換えセルピン部分である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記セルピン部分が分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
前記分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分が組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記ターゲティング部分が、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物がヒアルロン酸又はその塩を含まない、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記ターゲティング部分がデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
前記ターゲティング部分がCD8及び/又はCD4をターゲティングする、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
前記ターゲティング部分がタバコ関連部分をターゲティングする、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
前記架橋可能部分がヒドロキシル基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
前記架橋可能部分がカルボキシル基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
前記架橋可能部分がエステル基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項27】
前記架橋可能部分がシアノ基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記架橋可能部分がチオール基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記架橋可能部分がシステイン基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記架橋可能部分がカルボニル基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記架橋可能部分がアルデヒド基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記架橋可能部分がケトン基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項33】
前記架橋可能部分が一級アミン基及び/又は二級アミン基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項34】
前記架橋可能部分がリジン基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項35】
前記架橋可能部分がフィブリノーゲン及び/又はフィブリンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項36】
10ミクロン未満である、請求項1記載の組成物。
【請求項37】
5ミクロン未満である、請求項1記載の組成物。
【請求項38】
1ミクロン未満である、請求項1記載の組成物。
【請求項39】
前記ターゲティング部分及び/又は前記架橋可能部分にカップリングした画像化部分をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項40】
肺体積を減少させる方法であって:
被験者に、架橋可能部分及びターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで前記部分はカップリングしており、そして前記ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして
前記の損傷を受けた肺組織を架橋し、それによって肺体積を減少させる
工程を含む、前記方法。
【請求項41】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記の損傷を受けた肺組織をあらかじめ同定せずに行う、請求項40記載の方法。
【請求項43】
肺組織内の上皮細胞に損傷を与えない、請求項40記載の方法。
【請求項44】
硬化剤の使用によって、肺組織内の上皮細胞に損傷を与える、請求項40記載の方法。
【請求項45】
前記硬化剤が、ドキシサイクリン、ブレオマイシン、ミノサイクリン、ドキソルビシン、シスプラチン+シタラビン、ミトキサントロン、コリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium Parvum)、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼから選択される、少なくとも1つの化合物である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記組成物が多糖又は炭水化物部分を含まない、請求項40記載の方法。
【請求項47】
前記組成物が突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない、請求項40記載の方法。
【請求項48】
前記ターゲティング部分が損傷相関部分をターゲティングする、請求項40記載の方法。
【請求項49】
前記損傷相関部分が細胞表面マーカーを含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記損傷相関部分がECM構成要素を含む、請求項48記載の方法。
【請求項51】
前記ターゲティング部分がエラスターゼをターゲティングする、請求項40記載の方法。
【請求項52】
前記ターゲティング部分が好中球エラスターゼをターゲティングする、請求項40記載の方法。
【請求項53】
前記ターゲティング部分がプロテアーゼ阻害剤部分を含む、請求項40記載の方法。
【請求項54】
前記ターゲティング部分がアルファ−1アンチトリプシン部分を含む、請求項40記載の方法。
【請求項55】
前記アルファ−1アンチトリプシン部分が組換えアルファ−1アンチトリプシン部分である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記ターゲティング部分がエラフィン部分を含む、請求項40記載の方法。
【請求項57】
前記エラフィン部分が組換えエラフィン部分である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記ターゲティング部分がセルピン部分を含む、請求項40記載の方法。
【請求項59】
前記セルピン部分が組換えセルピン部分である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記セルピン部分が分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項58記載の方法。
【請求項61】
前記分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分が組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記ターゲティング部分が、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする、請求項40記載の方法。
【請求項63】
前記組成物がヒアルロン酸又はその塩を含まない、請求項62記載の方法。
【請求項64】
前記ターゲティング部分がデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする、請求項40記載の方法。
【請求項65】
前記ターゲティング部分がCD8及び/又はCD4をターゲティングする、請求項40記載の方法。
【請求項66】
前記ターゲティング部分がタバコ関連部分をターゲティングする、請求項40記載の方法。
【請求項67】
前記架橋可能部分がヒドロキシル基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項68】
前記架橋可能部分がカルボキシル基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項69】
前記架橋可能部分がエステル基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項70】
前記架橋可能部分がシアノ基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項71】
前記架橋可能部分がチオール基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項72】
前記架橋可能部分がシステイン基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項73】
前記架橋可能部分がカルボニル基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項74】
前記架橋可能部分がアルデヒド基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項75】
前記架橋可能部分がケトン基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項76】
前記架橋可能部分が一級アミン基及び/又は二級アミン基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項77】
前記架橋可能部分がリジン基を含む、請求項40記載の方法。
【請求項78】
前記架橋可能部分がフィブリノーゲン及び/又はフィブリンを含む、請求項40記載の方法。
【請求項79】
前記組成物が10ミクロン未満である、請求項40記載の方法。
【請求項80】
前記組成物が5ミクロン未満である、請求項40記載の方法。
【請求項81】
前記組成物が1ミクロン未満である、請求項40記載の方法。
【請求項82】
前記投与が吸入を介して行われる、請求項40記載の方法。
【請求項83】
前記吸入が口を介して行われる、請求項82記載の方法。
【請求項84】
前記投与が経胸腔投与を介して行われる、請求項40記載の方法。
【請求項85】
架橋活性化部分を含む第二の組成物を投与する工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項86】
前記架橋活性化部分が、ジオール、ポリオール、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、ジエステル、ポリエステル、ジアミン、及びポリアミンから選択される少なくとも1つの基を含む、請求項85記載の方法。
【請求項87】
前記架橋活性化部分が、アルキルビス(2−シアノアクリレート)、トリアリルイソシアヌレート、アルキレンジアクリレート、アルキレンジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートから選択される少なくとも1つの基を含む、請求項85記載の方法。
【請求項88】
前記架橋活性化部分が、ジスルフィド、カルボジイミド、及びヒドラジンから選択される少なくとも1つの基を含む、請求項85記載の方法。
【請求項89】
前記架橋活性化部分がフィブリン活性化因子及び/又はフィブリノーゲン活性化因子を含む、請求項85記載の方法。
【請求項90】
増殖因子を投与する工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項91】
抗界面活性剤を投与する工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項92】
抗生物質を投与する工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項93】
前記被験者の肺の第一の部分又はすべてを虚脱させる工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項94】
前記虚脱が、前記被験者の肺内部からの陰圧の使用を含む、請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記虚脱が、前記被験者の肺外部からの陽圧の使用を含む、請求項93記載の方法。
【請求項96】
前記被験者の肺の第二の部分を再膨張させる工程をさらに含み、前記の第二の部分が前記の損傷を受けた肺組織を含まない、請求項93記載の方法。
【請求項97】
前記組成物が、前記ターゲティング部分及び/又は前記架橋可能部分にカップリングした、画像化部分をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項98】
前記の損傷を受けた肺組織を画像化する工程をさらに含む、請求項97記載の方法。
【請求項99】
洗浄部分を投与する工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
【請求項100】
肺の状態を治療する方法であって:
被験者に、架橋可能部分及びターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで前記部分はカップリングしており、そして前記ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして
前記の損傷を受けた肺組織を架橋し、それによって肺の状態を治療する
工程を含む、前記方法。
【請求項101】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項100記載の方法。
【請求項102】
前記の肺の状態が気腫である、請求項100記載の方法。
【請求項103】
前記の肺の状態がCOPDである、請求項100記載の方法。
【請求項104】
第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物であって、前記ターゲティング部分がカップリングしており、そして前記ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングする、前記組成物。
【請求項105】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項104記載の組成物。
【請求項106】
前記の異なる部位が、拡張した気腔内の異なる部位を含む、請求項104記載の組成物。
【請求項107】
前記の第一のターゲティング部分が第一の損傷相関部分をターゲティングし、そして前記の第二のターゲティング部分が第二の損傷相関部分をターゲティングし、前記の第一及び第二の損傷相関部分が前記の異なる部位に存在する、請求項104記載の組成物。
【請求項108】
前記の第一及び第二の損傷相関部分が同一である、請求項107記載の組成物。
【請求項109】
前記の第一及び第二の損傷相関部分が異なる、請求項107記載の組成物。
【請求項110】
前記ターゲティング部分が化学的リンカーを介してカップリングしている、請求項104記載の組成物。
【請求項111】
前記化学的リンカーが2つの官能基を含む、請求項110記載の組成物。
【請求項112】
前記官能基の少なくとも一方が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アミン基、又はリジン基である、請求項111記載の組成物。
【請求項113】
前記官能基の少なくとも一方が、シアノ基、チオール基、システイン基、カルボニル基、アルデヒド基、又はケトン基である、請求項111記載の組成物。
【請求項114】
前記ターゲティング部分が融合ポリペプチドとしてカップリングしている、請求項104記載の組成物。
【請求項115】
前記ターゲティング部分がタンパク質を介してカップリングしている、請求項104記載の組成物。
【請求項116】
前記ターゲティング部分が抗体を介してカップリングしている、請求項104記載の組成物。
【請求項117】
多糖又は炭水化物部分を含まない、請求項104記載の組成物。
【請求項118】
突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない、請求項104記載の組成物。
【請求項119】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分が損傷相関部分をターゲティングする、請求項104記載の組成物。
【請求項120】
前記損傷相関部分が細胞表面マーカーを含む、請求項119記載の方法。
【請求項121】
前記損傷相関部分がECM構成要素を含む、請求項119記載の方法。
【請求項122】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がエラスターゼをターゲティングする、請求項104記載の組成物。
【請求項123】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分が好中球エラスターゼをターゲティングする、請求項104記載の組成物。
【請求項124】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がプロテアーゼ阻害剤部分を含む、請求項104記載の組成物。
【請求項125】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がアルファ−1アンチトリプシン部分を含む、請求項104記載の組成物。
【請求項126】
前記アルファ−1アンチトリプシン部分が組換えアルファ−1アンチトリプシン部分である、請求項125記載の組成物。
【請求項127】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がエラフィン部分を含む、請求項104記載の組成物。
【請求項128】
前記エラフィン部分が組換えエラフィン部分である、請求項127記載の組成物。
【請求項129】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がセルピン部分を含む、請求項104記載の組成物。
【請求項130】
前記セルピン部分が組換えセルピン部分である、請求項129記載の組成物。
【請求項131】
前記セルピン部分が分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項129記載の組成物。
【請求項132】
前記分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分が組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項131記載の組成物。
【請求項133】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分が、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする、請求項104記載の組成物。
【請求項134】
ヒアルロン酸又はその塩を含まない、請求項133記載の組成物。
【請求項135】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする、請求項104記載の組成物。
【請求項136】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がCD8及び/又はCD4をターゲティングする、請求項104記載の組成物。
【請求項137】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がタバコ関連部分をターゲティングする、請求項104記載の組成物。
【請求項138】
10ミクロン未満である、請求項104記載の組成物。
【請求項139】
5ミクロン未満である、請求項104記載の組成物。
【請求項140】
1ミクロン未満である、請求項104記載の組成物。
【請求項141】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした架橋可能部分をさらに含む、請求項104記載の組成物。
【請求項142】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした画像化部分をさらに含む、請求項104記載の組成物。
【請求項143】
肺体積を減少させる方法であって:
被験者に、第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで前記ターゲティング部分はカップリングしており、そして前記ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして
前記ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングするのを可能にし、それによって肺体積を減少させる
工程を含む、前記方法。
【請求項144】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項143記載の方法。
【請求項145】
異なる部位が、拡張した気腔内の異なる部位を含む、請求項143記載の方法。
【請求項146】
前記の第一のターゲティング部分が第一の損傷相関部分をターゲティングし、そして前記の第二のターゲティング部分が第二の損傷相関部分をターゲティングし、前記の第一及び第二の損傷相関部分が前記の異なる部位に存在する、請求項143記載の方法。
【請求項147】
前記の第一及び第二の損傷相関部分が同一である、請求項146記載の方法。
【請求項148】
前記の第一及び第二の損傷相関部分が異なる、請求項146記載の方法。
【請求項149】
前記ターゲティング部分が化学的リンカーを介してカップリングしている、請求項143記載の方法。
【請求項150】
前記化学的リンカーが2つの官能基を含む、請求項149記載の方法。
【請求項151】
前記官能基の少なくとも一方が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アミン基、又はリジン基である、請求項150記載の方法。
【請求項152】
前記官能基の少なくとも一方が、シアノ基、チオール(thol)基、システイン基、カルボニル基、アルデヒド基、又はケトン基である、請求項150記載の方法。
【請求項153】
前記ターゲティング部分が融合ポリペプチドとしてカップリングしている、請求項143記載の方法。
【請求項154】
前記ターゲティング部分がタンパク質を介してカップリングしている、請求項143記載の方法。
【請求項155】
前記ターゲティング部分が抗体を介してカップリングしている、請求項143記載の方法。
【請求項156】
前記の損傷を受けた肺組織をあらかじめ同定せずに行う、請求項143記載の方法。
【請求項157】
肺組織内の上皮細胞に損傷を与えない、請求項143記載の方法。
【請求項158】
硬化剤の使用によって、肺組織内の上皮細胞に損傷を与える、請求項143記載の方法。
【請求項159】
前記硬化剤が、ドキシサイクリン、ブレオマイシン、ミノサイクリン、ドキソルビシン、シスプラチン+シタラビン、ミトキサントロン、コリネバクテリウム・パルブム、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼから選択される、少なくとも1つの化合物である、請求項158記載の方法。
【請求項160】
前記組成物が多糖又は炭水化物部分を含まない、請求項143記載の方法。
【請求項161】
前記組成物が突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない、請求項143記載の方法。
【請求項162】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分が損傷相関部分をターゲティングする、請求項143記載の方法。
【請求項163】
前記損傷相関部分が細胞表面マーカーを含む、請求項162記載の方法。
【請求項164】
前記損傷相関部分がECM構成要素を含む、請求項162記載の方法。
【請求項165】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がエラスターゼをターゲティングする、請求項143記載の方法。
【請求項166】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分が好中球エラスターゼをターゲティングする、請求項143記載の方法。
【請求項167】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がプロテアーゼ阻害剤部分を含む、請求項143記載の方法。
【請求項168】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がアルファ−1アンチトリプシン部分を含む、請求項143記載の方法。
【請求項169】
前記アルファ−1アンチトリプシン部分が組換えアルファ−1アンチトリプシン部分である、請求項168記載の方法。
【請求項170】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がエラフィン部分を含む、請求項143記載の方法。
【請求項171】
前記エラフィン部分が組換えエラフィン部分である、請求項170記載の方法。
【請求項172】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がセルピン部分を含む、請求項143記載の方法。
【請求項173】
前記セルピン部分が組換えセルピン部分である、請求項172記載の方法。
【請求項174】
前記セルピン部分が分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項172記載の方法。
【請求項175】
前記分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分が組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項174記載の方法。
【請求項176】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分が、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする、請求項143記載の方法。
【請求項177】
前記組成物がヒアルロン酸又はその塩を含まない、請求項176記載の方法。
【請求項178】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする、請求項143記載の方法。
【請求項179】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がCD8及び/又はCD4をターゲティングする、請求項143記載の方法。
【請求項180】
前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分がタバコ関連部分をターゲティングする、請求項143記載の方法。
【請求項181】
前記組成物が10ミクロン未満である、請求項143記載の方法。
【請求項182】
前記組成物が5ミクロン未満である、請求項143記載の方法。
【請求項183】
前記組成物が1ミクロン未満である、請求項143記載の方法。
【請求項184】
前記投与が吸入を介して行われる、請求項143記載の方法。
【請求項185】
前記吸入が口を介して行われる、請求項184記載の方法。
【請求項186】
前記投与が経胸腔投与を介して行われる、請求項143記載の方法。
【請求項187】
増殖因子を投与する工程をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項188】
抗界面活性剤を投与する工程をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項189】
抗生物質を投与する工程をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項190】
前記被験者の肺の第一の部分又はすべてを虚脱させる工程をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項191】
前記虚脱が、前記被験者の肺内部からの陰圧の使用を含む、請求項190記載の方法。
【請求項192】
前記虚脱が、前記被験者の肺外部からの陽圧の使用を含む、請求項190記載の方法。
【請求項193】
前記被験者の肺の第二の部分を再膨張させる工程をさらに含み、前記の第二の部分が前記の損傷を受けた肺組織を含まない、請求項190記載の方法。
【請求項194】
前記組成物が、前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした架橋可能部分をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項195】
前記の損傷を受けた肺組織を架橋する工程をさらに含む、請求項194記載の方法。
【請求項196】
前記組成物が、前記の第一及び/又は第二のターゲティング部分にカップリングした画像化部分をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項197】
前記の損傷を受けた肺組織を画像化する工程をさらに含む、請求項196記載の方法。
【請求項198】
洗浄部分を投与する工程をさらに含む、請求項143記載の方法。
【請求項199】
肺の状態を治療する方法であって:
被験者に、第一のターゲティング部分及び第二のターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで前記ターゲティング部分はカップリングしており、そして前記ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして
前記ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織の異なる部位をターゲティングするのを可能にし、それによって前記の肺の状態を治療する
工程を含む、前記方法。
【請求項200】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項199記載の方法。
【請求項201】
前記の肺の状態が気腫である、請求項199記載の方法。
【請求項202】
前記の肺の状態がCOPDである、請求項199記載の方法。
【請求項203】
画像化部分及びターゲティング部分を含む組成物であって、前記部分がカップリングしており、そして前記ターゲティング部分が、損傷を受けた肺組織をターゲティングする、前記組成物。
【請求項204】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項205】
多糖又は炭水化物部分を含まない、請求項203記載の組成物。
【請求項206】
抗体を含まない、請求項203記載の組成物。
【請求項207】
突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない、請求項203記載の組成物。
【請求項208】
肺膜ジペプチダーゼ結合性分子を含まない、請求項203記載の組成物。
【請求項209】
前記ターゲティング部分が肺膜ジペプチダーゼをターゲティングしない、請求項203記載の組成物。
【請求項210】
前記ターゲティング部分が損傷相関部分をターゲティングする、請求項203記載の組成物。
【請求項211】
前記損傷相関部分が細胞表面マーカーを含む、請求項210記載の組成物。
【請求項212】
前記損傷相関部分がECM構成要素を含む、請求項210記載の組成物。
【請求項213】
前記ターゲティング部分がエラスターゼをターゲティングする、請求項203記載の組成物。
【請求項214】
前記ターゲティング部分が好中球エラスターゼをターゲティングする、請求項203記載の組成物。
【請求項215】
前記ターゲティング部分がプロテアーゼ阻害剤部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項216】
前記ターゲティング部分がアルファ−1アンチトリプシン部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項217】
前記アルファ−1アンチトリプシン部分が組換えアルファ−1アンチトリプシン部分である、請求項216記載の組成物。
【請求項218】
前記ターゲティング部分がエラフィン部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項219】
前記エラフィン部分が組換えエラフィン部分である、請求項218記載の組成物。
【請求項220】
前記ターゲティング部分がセルピン部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項221】
前記セルピン部分が組換えセルピン部分である、請求項220記載の組成物。
【請求項222】
前記セルピン部分が分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項220記載の組成物。
【請求項223】
前記分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分が組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項222記載の組成物。
【請求項224】
前記ターゲティング部分が、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする、請求項203記載の組成物。
【請求項225】
ヒアルロン酸又はその塩を含まない、請求項224記載の組成物。
【請求項226】
前記ターゲティング部分がデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする、請求項203記載の組成物。
【請求項227】
前記ターゲティング部分がCD8及び/又はCD4をターゲティングする、請求項203記載の組成物。
【請求項228】
前記ターゲティング部分がタバコ関連部分をターゲティングする、請求項203記載の組成物。
【請求項229】
前記画像化部分が造影剤を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項230】
前記造影剤が非イオン性である、請求項229記載の組成物。
【請求項231】
前記造影剤がイオン性である、請求項229記載の組成物。
【請求項232】
前記画像化部分が、タンタル化合物及びバリウム化合物から選択される、少なくとも1つの金属化合物を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項233】
前記画像化部分がヨウ素を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項234】
前記画像化部分が、ヨードカルボン酸、トリヨードフェノール、ヨードホルム及びテトラヨードエチレンから選択される、少なくとも1つの有機ヨード酸を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項235】
前記画像化部分が非放射性部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項236】
前記画像化部分がプロトン放出部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項237】
前記画像化部分が放射線不透過性部分及び/又は放射性部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項238】
前記画像化部分が磁気部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項239】
前記画像化部分が放射性薬剤を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項240】
前記画像化部分がIn−111部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項241】
前記画像化部分がTc−99m部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項242】
前記画像化部分がXe−133部分を含む、請求項203記載の組成物。
【請求項243】
10ミクロン未満である、請求項203記載の組成物。
【請求項244】
5ミクロン未満である、請求項203記載の組成物。
【請求項245】
1ミクロン未満である、請求項203記載の組成物。
【請求項246】
カップリングした架橋可能部分及び/又はカップリングした別のターゲティング部分をさらに含む、請求項203記載の組成物。
【請求項247】
損傷を受けた肺組織を画像化する方法であって:
画像化部分及びターゲティング部分を含む組成物を、必要がある被験者に投与し、ここで前記部分はカップリングしており、そして前記ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして
前記の損傷を受けた肺組織を画像化する
工程を含む、前記方法。
【請求項248】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項247記載の方法。
【請求項249】
前記組成物が多糖又は炭水化物部分を含まない、請求項247記載の方法。
【請求項250】
前記組成物が抗体を含まない、請求項247記載の方法。
【請求項251】
前記組成物が突然変異体1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤を含まない、請求項247記載の方法。
【請求項252】
前記組成物が肺膜ジペプチダーゼ結合性分子を含まない、請求項247記載の方法。
【請求項253】
前記ターゲティング部分が肺膜ジペプチダーゼをターゲティングしない、請求項247記載の方法。
【請求項254】
前記ターゲティング部分が損傷相関部分をターゲティングする、請求項247記載の方法。
【請求項255】
前記損傷相関部分が細胞表面マーカーを含む、請求項254記載の方法。
【請求項256】
前記損傷相関部分がECM構成要素を含む、請求項254記載の方法。
【請求項257】
前記ターゲティング部分がエラスターゼをターゲティングする、請求項247記載の方法。
【請求項258】
前記ターゲティング部分が好中球エラスターゼをターゲティングする、請求項247記載の方法。
【請求項259】
前記ターゲティング部分がプロテアーゼ阻害剤部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項260】
前記ターゲティング部分がアルファ−1アンチトリプシン部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項261】
前記アルファ−1アンチトリプシン部分が組換えアルファ−1アンチトリプシン部分である、請求項260記載の方法。
【請求項262】
前記ターゲティング部分がエラフィン部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項263】
エラフィン部分が組換えエラフィン部分である、請求項262記載の方法。
【請求項264】
前記ターゲティング部分がセルピン部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項265】
前記セルピン部分が組換えセルピン部分である、請求項264記載の方法。
【請求項266】
前記セルピン部分が分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項264記載の方法。
【請求項267】
前記分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分が組換え分泌性ロイコプロテアーゼ阻害剤(SLP1)部分である、請求項266記載の方法。
【請求項268】
前記ターゲティング部分が、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、及びMMP−9から選択される、少なくとも1つのマトリックス・メタロプロテイナーゼをターゲティングする、請求項247記載の方法。
【請求項269】
前記組成物がヒアルロン酸又はその塩を含まない、請求項268記載の方法。
【請求項270】
前記ターゲティング部分がデスモシン及び/又はイソデスモシンをターゲティングする、請求項247記載の方法。
【請求項271】
前記ターゲティング部分がCD8及び/又はCD4をターゲティングする、請求項247記載の方法。
【請求項272】
前記ターゲティング部分がタバコ関連部分をターゲティングする、請求項247記載の方法。
【請求項273】
前記画像化部分が造影剤を含む、請求項247記載の方法。
【請求項274】
前記造影剤が非イオン性である、請求項273記載の方法。
【請求項275】
前記造影剤がイオン性である、請求項273記載の方法。
【請求項276】
前記画像化部分が、タンタル化合物及びバリウム化合物から選択される、少なくとも1つの金属化合物を含む、請求項247記載の方法。
【請求項277】
前記画像化部分がヨウ素を含む、請求項247記載の方法。
【請求項278】
前記画像化部分が、ヨードカルボン酸、トリヨードフェノール、ヨードホルム及びテトラヨードエチレンから選択される、少なくとも1つの有機ヨード酸を含む、請求項247記載の方法。
【請求項279】
前記画像化部分が非放射性部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項280】
前記画像化部分がプロトン放出部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項281】
前記画像化部分が放射線不透過性部分及び/又は放射性部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項282】
前記画像化部分が磁気部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項283】
前記画像化部分が放射性薬剤を含む、請求項247記載の方法。
【請求項284】
前記画像化部分がIn−111部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項285】
前記画像化部分がTc−99m部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項286】
前記画像化部分がXe−133部分を含む、請求項247記載の方法。
【請求項287】
前記組成物が10ミクロン未満である、請求項247記載の方法。
【請求項288】
前記組成物が5ミクロン未満である、請求項247記載の方法。
【請求項289】
前記組成物が1ミクロン未満である、請求項247記載の方法。
【請求項290】
前記投与が吸入を介して行われる、請求項247記載の方法。
【請求項291】
前記吸入が口を介して行われる、請求項290記載の方法。
【請求項292】
前記投与が経胸腔投与を介して行われる、請求項247記載の方法。
【請求項293】
前記投与が静脈内投与を介して行われる、請求項247記載の方法。
【請求項294】
前記の損傷を受けた肺組織の前記画像化が、放射線学的技術を介して行われる、請求項247記載の方法。
【請求項295】
前記の放射線学的技術が、X線、CTスキャン、PETスキャン、核スキャン、SPECT、及びシンチグラフィーから選択される少なくとも1つである、請求項294記載の方法。
【請求項296】
カップリングした架橋可能部分及び/又はカップリングした別のターゲティング部分をさらに含む、請求項247記載の方法。
【請求項297】
前記の損傷を受けた肺組織を架橋し、そして/又はシーリングする工程をさらに含む、請求項296記載の方法。
【請求項298】
洗浄部分を投与する工程をさらに含む、請求項247記載の方法。
【請求項299】
肺の状態を診断する方法であって:
被験者に、画像化部分及びターゲティング部分を含む組成物を投与し、ここで前記部分はカップリングしており、そして前記ターゲティング部分は損傷を受けた肺組織をターゲティングする;そして
前記の損傷を受けた肺組織を画像化する
工程を含む、前記方法。
【請求項300】
前記肺組織が肺胞上皮粘液を含む、請求項299の方法。
【請求項301】
前記の肺の状態が気腫である、請求項299記載の方法。
【請求項302】
前記の肺の状態がCOPDである、請求項299記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−503465(P2008−503465A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516650(P2007−516650)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/020993
【国際公開番号】WO2006/009699
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506413203)ヌームアールエックス・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】