説明

搬送コンベア

【課題】コンベアユニット間のワークの乗移りを円滑に行うことができる搬送コンベアを提供する。
【解決手段】互いに離れて配置される少なくとも2つのローラにベルトが架け渡されており、ローラの駆動に伴ってベルトを回転させることにより、ベルトの表面上のワークを吸着させつつ搬送させるコンベアユニットを複数備え、これらコンベアユニットを搬送方向に複数配列させて順次下流側のコンベアユニットに乗り移らせることによりベルトの表面上のワークを下流側に搬送させる搬送コンベアであって、前記コンベアユニットの下流側に配置され、搬送中のワークの下面側に入り込むことにより、ワークをベルトの表面から引き剥がすスクレーパーと、前記コンベアユニットの下流側ローラの手前に設けられ、前記ベルトの裏面側からワークの下面にエアを吹き付けるエア噴出部と、を備えるコンベアユニットとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ワークを搬送する搬送コンベアに関するものであり、特に、上流側のコンベアから下流側のコンベアへのワークの乗移りを確実に行う搬送コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりワークを所定の場所に搬送するために搬送コンベアが多く用いられている。搬送コンベアは、2つのローラにベルトが架け渡されて構成されるコンベアユニットが所定間隔で複数配置されて構成されており、各ローラを駆動させることにより、ベルト上のワークが上流側のコンベアユニットから下流側のコンベアユニットに順次乗移りつつ、所定の場所まで搬送されるようになっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
また、コンベアユニット100には、図4(a)に示すように、ワーク101をベルト102の表面に吸着させる吸引装置103が設けられている。具体的には、ベルト102には、複数の貫通孔が全周に亘って形成されており、コンベアユニット100内に設置された吸引装置103がこのベルト102を通じて吸引力を発生させる。これにより、ベルト102の表面上に載置されたワーク101は、貫通孔に発生する吸引力によりベルト102表面上に吸着されるため、搬送中のワーク101がベルト102から落下するのを防止したり、搬送中のワーク101に直接表面処理を施したりできるようになっている。
【0004】
このような搬送コンベアは、例えば太陽電池モジュールの製造にも用いられる。具体的には、一連のコンベアユニット100上に太陽電池モジュールの形成に必要な処理部が複数設置されている。そして、上流側のコンベアユニット100から薄板で短冊状の太陽電池セル101aを搬送し、各処理部で停止させて所定の処理を行った後、下流側のコンベアユニット100に搬送する。このような動作が各処理部で順次行われることにより、最終的にスラット構造の太陽電池モジュールが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−85955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記搬送コンベアで薄板状のワーク101を搬送する場合、コンベアユニット100間のワーク101の乗移りの際、下流側のコンベアユニット104にうまく乗移りができないという問題があった。すなわち、太陽電池セル101aは、短冊状の金属材料上に発電層等が積層されて形成されているため、全体として薄板状に形成されている。この太陽電池セル101aをコンベアユニット100のベルト102に吸着させて搬送すると、太陽電池セル101aがベルト102に密着して固定されてしまう。その結果、そのままコンベアユニット100を駆動させると、太陽電池セル101aがベルト102に密着したまま搬送中のコンベアユニット100の下流側ローラ105に沿って巻き付いてしまう場合がある(図4(b)参照)。すなわち搬送中の太陽電池セル101aは、上流側のコンベアユニット100と下流側のコンベアユニット100の間の隙間に入り込み、下流側のコンベアユニット100に乗移りができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、コンベアユニット100間のワーク101の乗移りを円滑に行うことができる搬送コンベアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の搬送コンベアは、互いに離れて配置される少なくとも2つのローラにベルトが架け渡されており、ローラの駆動に伴ってベルトを回転させることにより、ベルトの表面上のワークを吸着させつつ搬送させるコンベアユニットを複数備え、これらコンベアユニットを搬送方向に複数配列させて順次下流側のコンベアユニットに乗り移らせることによりベルトの表面上のワークを下流側に搬送させる搬送コンベアであって、前記コンベアユニットの下流側に配置され、搬送中のワークの下面側に入り込むことにより、ワークをベルトの表面から引き剥がすスクレーパーと、前記コンベアユニットの下流側ローラの手前に設けられ、前記ベルトの裏面側からワークの下面にエアを吹き付けるエア噴出部と、を備え、搬送中のワークが一のコンベアユニットの下流側ローラに差しかかると、前記エア噴出部からエアが吹き付けられることにより、ベルト表面とワークとの密着を解放させることを特徴としている。
【0009】
上記搬送コンベアによれば、ベルトの裏面側からエアを吹き付けるエア噴出部が設けられているため、ベルトの表面に吸引された状態のワークが搬送中のコンベアユニットの下流側ローラに差しかかると、そのワークの下面にエアが吹き付けられるため、吸引によりベルトに密着していたワークは、ベルトとの密着が解放される。そして、コンベアユニットの下流側に配置されたスクレーパがワークの下面側に入り込むことにより、ワークとベルトとが完全に引き剥がされ、ワークはそのまま下流側コンベアユニットで搬送される。したがって、ワークに薄板状のものを使用し搬送の際ベルトに吸着させた場合であっても、従来のようにワークがベルトに密着したまま搬送中のコンベアユニットの下流側ローラに沿って巻き付き下流側のコンベアユニットに乗移りができないという問題を解消することができる。
【0010】
また、前記ベルトには貫通孔が形成されており、この貫通孔を通じて前記コンベアユニットに設けられた吸引装置により吸引力を発生させてワークをベルトの表面に吸着させているとともに、前記エア噴出部からのエアが前記貫通孔を通じてベルト表面上のワークに吹き付けられる構成にしてもよい。
【0011】
この構成によれば、ベルトに形成された吸着用の貫通孔を利用して、ワークの下面に容易にエアを吹き付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の搬送コンベアによれば、コンベアユニット間のワークの乗移りを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の搬送コンベアを用いた太陽電池モジュールの製造システムを示す図である。
【図2】コンベアユニットを示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【図3】コンベアユニット間を示す図である。
【図4】従来のコンベアユニットを示す図であり、(a)はワークが搬送されている状態を示す図、(b)はワークが下流側ローラに沿って巻き付いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の搬送コンベアに係る実施の形態を図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の搬送コンベアを用いた太陽電池モジュールの製造システムを示す図である。
【0016】
図1において、搬送コンベア3は、ワーク2としての太陽電池セル2aを所定の位置に搬送するものであり、上流側の供給リール91から供給された太陽電池セル2aを下流側の組付装置92に搬送する。具体的には、搬送コンベア3には、太陽電池セル2aに所定の処理を行う処理部が設けられており、搬送中に太陽電池セル2aに所定の処理が行われるようになっている。そして、搬送された太陽電池セル2aを組付装置92で一方向に並べて接合されることにより太陽電池モジュールが形成されるようになっている。
【0017】
ここで、太陽電池モジュールとは、図1の製造システム1によって太陽電池セル2aが一方向に並んだ状態で電気的に接合されて形成されたものである。すなわち、太陽電池セル2a同士の一部を重ね合わせて一方向に配列した状態で、その重ね合わせた部分で電気的に接合し、1枚のシート状の太陽電池としたものである。なお、この一部重ね合わせる構造をスラット構造という。また、太陽電池セル2aは、太陽電池モジュールを構成する最小単位ユニットの短冊状部材であり、例えば、SUS等の金属製の薄板基板上に光を電気に変換する光電変換層が形成されたものである。
【0018】
搬送コンベア3は、複数のコンベアユニット30を有しており、このコンベアユニット30上をワーク2である太陽電池セル2aが下流側に搬送されるようになっている。コンベアユニット30は、互いに離れた2つのローラ31にベルト32が架け渡されて構成されている。そして、コンベアユニット30は、ローラ31が離れる方向と搬送方向とが一致するように、供給リール91から組付装置92まで所定間隔で配置されている。すなわち、各コンベアユニット30は、ローラ31が上流側と下流側に離れた姿勢で、所定の間隔で配置されている。したがって、ワーク2である太陽電池セル2aは、上流側のコンベアユニット30から下流側のコンベアユニット30まで順次乗移りを繰り返すことにより搬送される。
【0019】
コンベアユニット30には、ワーク2に対して処理する処理部が設けられている。本実施形態では、長尺状の太陽電池セル2aを切断する切断処理部93と、太陽電池セル2aに接合材料を付着させる接合材処理部94と、太陽電池セル2aの通電状態を検査する検査処理部95とが設けられている。
【0020】
切断処理部93は、2つのコンベアユニット30間に配置された切断部93aを有しており、この切断部93aにより供給された長尺状の太陽電池セル2aが短冊状に切断される。具体的には、供給リール91から長尺状の太陽電池セル2aがコンベアユニット30上に供給されるとコンベアユニット30が駆動することにより太陽電池セル2aが切断部93aを跨ぐ状態に引き出される。そして、所定長さの太陽電池セル2aが引き出されると、コンベアユニット30が停止し切断部93aにより切断される。この処理が行われることにより、長尺状の太陽電池セル2aから一定長さの太陽電池セル2aを次々と得られるようになっている。
【0021】
接合材処理部94は、接合材料を供給するノズル94aを複数有しており、切断された太陽電池セル2aに接合材料を付着させるものである。具体的には、上述の切断処理の後、コンベアユニット30により搬送中の太陽電池セル2aが所定の位置に到達するとコンベアユニット30が停止する。そして、各ノズル94aから接合材料が吐出されることにより、太陽電池セル2aの端部に長手方向(搬送方向)に亘って接合材料が付着される。この処理が行われることにより、切断された太陽電池セル2aに次々と接合材料が供給され、短尺方向端部に長手方向に亘って接合材料が付着した太陽電池セル2aを次々と得られるようになっている。
【0022】
また、検査処理部95は、太陽電池セル2aの電池としての特性(I−V特性)の検査を、セル毎に行うものである。具体的には、太陽電池セル2aの特性を計測する一組の端子95aが上下方向に配置されており、コンベアユニット30上の太陽電池セル2aに対して接離可能に設けられている。この一組の端子95aは、搬送中の太陽電池セル2aが所定の位置に到達するとコンベアユニット30が停止し、その太陽電池セル2aを挟持する。そして、太陽電池セル2aに光を照射することにより、太陽電池セル2aから出力される電圧(電流)を測定する。この太陽電池セル2aの出力電圧が閾値以上であれば良品と判断し、コンベアユニット30を駆動させてその太陽電池セル2aを下流側の組付装置92に搬送する。仮に閾値に満たない場合には、その太陽電池セル2aは不良品と判断し図外の排出部に排出されるようになっている。このような動作が繰り返し行われることにより、次々と太陽電池セル2aが検査される。
【0023】
組付装置92は、太陽電池セル2aを一方向に並べて配列させるものである。組付装置92は、太陽電池セル2aを載置するステージ92aと、太陽電池セル2aを保持してステージ92a上に供給する供給アーム92bとを有している。ステージ92aには吸引孔が形成されており、載置された太陽電池セル2aを吸着保持できるようになっている。供給アーム92bは、太陽電池セル2aの一部を保持し、コンベアユニット30上の太陽電池セル2aを保持した後、太陽電池セル2aをステージ92a上の所定位置に配置させる。本実施形態では、太陽電池セル2aの長手方向と直交する方向に太陽電池セル2a同士の一部が重なり合う状態で配置される。すなわち、太陽電池セル2aの接合材料が付着した部分が他の太陽電池セル2aに重なり合う状態で配置される。このような動作が繰り返し行われることにより、ステージ92a上には太陽電池セル2aが他の太陽電池セル2aと一部重なり合う状態で一方向に配置され、全体としてシート状の太陽電池モジュールが形成されるようになっている。
コンベアユニット30は、図2に示すように、2つのローラ31と、環状のベルト32とを有しており、互いに離れて固定された2つのローラ31にベルト32が架け渡されている。そして、ローラ31に取付けられた駆動装置を作動させるとローラ31が回転し、これに伴ってベルト32がローラ31に架け渡された状態で回転するようになっている。すなわち、ローラ31に接続された駆動装置(不図示)を駆動制御することにより、ベルト32の回転数が制御され、ベルト32上に載置されたワーク2を搬送及び停止させることができるようになっている。そして、それぞれのコンベアユニット30のローラ31の回転数は同調させて制御できるようになっている。したがって、上流側のコンベアユニット30から下流側のコンベアユニット30にワーク2が乗移る際に、速度変動によりワーク2の搬送状態(搬送姿勢等)が変化するのを抑えるようになっている。
【0024】
また、コンベアユニット30には、吸引装置33が設けられている。具体的には、吸引装置33は、図2に示すように、2つのローラ31間に設けられており、ボックス形状を有している。この吸引装置33は、ベルト32の裏面に対向する上面部がローラ31間の寸法とほぼ同等の寸法を有するように形成されており、この上面部には長手方向に沿って吸引部33aが形成されている。そして、吸引装置33は、図示しない真空ポンプに接続されており、真空ポンプを作動させると吸引部33aに吸引力が発生するようになっている。また、ベルト32には、貫通孔32aが形成されており、本実施形態では、円形の貫通孔32aが吸引装置33の吸引部33aに対向する位置に、ベルト32の長手方向に沿って全周に亘って一列に形成されている。したがって、真空ポンプを作動させると吸引部33aの吸引力がベルト32の貫通孔32aを通じて発生し、ベルト32の表面に載置されたワーク2をベルト32の表面に吸着できるようになっている。
【0025】
また、コンベアユニット30には、エア噴出部34が設けられており、このエア噴出部34によってベルト32に密着したワーク2を解放できるようになっている。このエア噴出部34は、下流側のローラ31の手前に設けられている。具体的には、エアを噴出するエアノズル34aが吸引装置33よりも下流側であって、下流側ローラ31よりも上流側に配置されている。そして、エアノズル34aの先端部分は、貫通孔32aよりも小径に形成されており、ベルト32の貫通孔32aが通過する範囲であってその先端部分が下流側上方に向く姿勢で配置されている。このエアノズル34aにはコンプレッサが接続されており、先端部分からエアが下流側上方に向かって噴出される。すなわち、コンベアユニット30上のワーク2の先端部分がそのコンベアユニット30の下流側のローラ31に差しかかると、言い換えれば、ワーク2の下流側先端部分がエアノズル34aの先端部分を通過すると、エアノズル34aから貫通孔32aを通じてエアが噴出されることにより、ベルト32に密着したワーク2がその密着状態から解放される。このように、ワーク2の少なくとも下流側先端部分の密着状態が解放されるため、後述のスクレーパによりベルト32からワーク2を確実に引き剥がすことができる。
【0026】
なお、ワーク2の下流側先端部分は、遮光センサー等を利用してワーク2の下流側先端位置を検出し、コンベアユニット30の回転数からエアノズル34aの先端部分が通過するタイミングを得ることにより、ワーク2の下流側先端部分にエアを噴出させることができる。また、本実施形態のように、エアノズル34aからのエアの噴出について、ワーク2の下流側先端部分が通過する際に行ってもよいが、エアノズル34aからのエアの噴出を継続的に行うことにより、センサーを利用した位置検出機構を省くようにしてもよい。
【0027】
また、各コンベアユニット30間には、図3に示すように、スクレーパーユニット40が設けられている。スクレーパーユニット40は、上流側コンベアユニット30のベルト32からワーク2を完全に引き剥がすことにより、上流側のコンベアユニット30から下流側のコンベアユニット30にワーク2をスムーズに乗り移らせるためのものである。スクレーパーユニット40は、ワーク2をベルト32から引き剥がすスクレーパー41と、ワーク2を下流側のコンベアユニット30に受け渡す際に摺動抵抗を少なくするための搬送コロ42とを有している。
【0028】
スクレーパー41は、上流側コンベアユニット30の下流側ローラ31に接近した状態で設けられている。スクレーパー41は、薄い平板状部材であり、下流側ローラ31に近接する部分は、その上面部41aが下面部41bよりも下流側ローラ31に延びる形状の先鋭形状を有している。そして、上面部41aの高さ位置は、上流側コンベアユニット30のベルト32の表面高さ位置と同じか、それよりも低い高さ位置に設定されている。これにより、ベルト32上に載置されたワーク2が搬送されてきた場合に、ワーク2の下側にスクレーパー41が入り込み易くなり、スクレーパー41の上面部41aにワーク2の乗移りが行いやすくなっている。
【0029】
また、搬送コロ42は、複数のコロ42aを有しており、スクレーパー41の下流側に配置されている。これらのコロ42aは、円盤形状に形成されており、その回転軸が搬送方向とほぼ直交する姿勢で搬送方向に並んで配置されている。また、これらのコロ42aは、少なくともその円周部分42bが低抵抗部材で形成されている。そして、コロ42aの円周部分42bの高さ位置は、スクレーパー41の上面部41aの高さ位置とほぼ同じ高さ位置に配置されている。したがって、スクレーパー41によりワーク2がベルト32から引き剥がされた状態で、さらにワーク2が下流側に搬送されると、ワーク2がコロ42aに載置される。そして、さらにワーク2が下流側に搬送されることにより、ワーク2の下面がコロ42aの円周部分42bに当接しつつコロ42aが回転することにより、上流側コンベアユニット30から下流側コンベアユニット30へのワーク2の乗移りがワーク2下面に生ずる摺動抵抗を極力抑えた状態で行うことができる。
【0030】
このように、本発明の搬送コンベア3は、太陽電池セル2aのような薄い平板状のワーク2であっても、ワーク2の乗り移りを確実に行って、ワーク2を目的位置までスムーズに搬送することができる。すなわち、供給リール91に巻回された長尺状の太陽電池セル2aが切断処理部93により所定長さで切断された後、コンベアユニット30に載置されると、吸引装置33により吸引されることにより、ベルト32の表面上に吸着される。そして、コンベアユニット30を駆動させて太陽電池セル2aを搬送し、太陽電池セル2aの下流側先端部分がエアノズル34aの先端部分を通過する際、エア噴出部34のエアノズル34aからエアが噴出されることにより、太陽電池セル2aの下流側先端部分とベルト32との密着状体が解放される。そして、さらに下流側に搬送されると、スクレーパーユニット40のスクレーパー41がワーク2の下側に入り込むことにより、ベルト32からワーク2が引き剥がされ、続いて搬送コロ42上をワーク2が搬送されることにより、ワーク2は下流側コンベアユニット30に完全に乗移る。
【0031】
したがって、上記本実施形態の搬送コンベア3によれば、ワーク2に薄板状のものを使用し搬送の際、ベルト32に吸着させた場合であっても、従来のようにワーク2がベルト32に密着したまま搬送中のコンベアユニット30の下流側ローラ31に沿って巻き付き下流側のコンベアユニット30に乗移りができないという問題を解消することができる。
【0032】
上記実施形態では、ベルト32に貫通孔32aが形成される例について説明したが、ベルト32に目視できない程度の無数の穴が形成されたものであってもよい。この場合であっても、吸引部33aに発生する吸引力がベルト32の表面に発生するとともに、エアノズル34aから噴出されるエアがベルト32の表面側に噴出するため、ベルト32に貫通孔32aが形成されたものと同じ効果を生じさせることができる。
【符号の説明】
【0033】
2 ワーク
3 搬送コンベア
30 コンベアユニット
31 ローラ
32 ベルト
33 吸引装置
34 エア噴出部
40 スクレーパーユニット
41 スクレーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離れて配置される少なくとも2つのローラにベルトが架け渡されており、ローラの駆動に伴ってベルトを回転させることにより、ベルトの表面上のワークを吸着させつつ搬送させるコンベアユニットを複数備え、これらコンベアユニットを搬送方向に複数配列させて順次下流側のコンベアユニットに乗り移らせることによりベルトの表面上のワークを下流側に搬送させる搬送コンベアであって、
前記コンベアユニットの下流側に配置され、搬送中のワークの下面側に入り込むことにより、ワークをベルトの表面から引き剥がすスクレーパーと、
前記コンベアユニットの下流側ローラの手前に設けられ、前記ベルトの裏面側からワークの下面にエアを吹き付けるエア噴出部と、
を備え、
搬送中のワークが一のコンベアユニットの下流側ローラに差しかかると、前記エア噴出部からエアが吹き付けられることにより、ベルト表面とワークとの密着を解放させることを特徴とする搬送コンベア。
【請求項2】
前記ベルトには貫通孔が形成されており、この貫通孔を通じて前記コンベアユニットに設けられた吸引装置により吸引力を発生させてワークをベルトの表面に吸着させているとともに、前記エア噴出部からのエアが前記貫通孔を通じてベルト表面上のワークに吹き付けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−40007(P2013−40007A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177812(P2011−177812)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】