説明

搬送コンベヤ

【課題】搬送面をデッキプレートで構成した搬送コンベヤのデッキプレートを簡単に取り外せるようにしてコンベヤと周辺領域の洗浄の容易化を図り、かつ、死角の無い洗浄を可能ならしめることを課題としている。
【解決手段】左右2組の駆動スプロケット2と従動スプロケット3間にコンベヤチェーン6を掛け渡し、可動フレームにデッキプレートを着脱自在に連結して成るデッキユニット9を、2条のコンベヤチェーン6間にピボット軸8dを支点にして回動可能に取り付け、そのデッキユニット9を搬送始端において反転機構10などで水平又はそれに近い姿勢に回転させ、回転後の姿勢を維持して往路の搬送面を作り出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜、肉に代表される食品類などの洗浄、殺菌、加熱、冷却と言った処理を流れ作業で連続的に行うときの搬送ラインとして好適な搬送コンベヤ、詳しくは、2条の平行配置の無端コンベヤチェーン間に、デッキプレートを定ピッチで取り付けてそのデッキプレートで搬送面を構成する搬送コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、野菜などを搬送しながら洗浄する場合、搬送装置としてベルトコンベヤ、ネットコンベヤ、エプロンコンベヤなどの搬送コンベヤが従来から用いられている。
【0003】
また、ネットコンベヤについては、ネット受けレールを死角の無い状態で洗浄可能としたものが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−115142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品の搬送に利用されるコンベヤは、常に清潔さを保つことが要求され、その要求に応えるために周辺設備も含めた洗浄が定期的に行われる。その洗浄は、例えば、水槽の内部に設置される野菜などの洗浄ラインのコンベヤの場合、全体を水槽外に取り出して行っている。
【0006】
このような面倒な方法を採っているのは、洗浄の死角となる箇所を減少させるためである。コンベヤが水槽内にあると、洗浄不可能な箇所や洗浄し難い箇所ができて全域の洗浄が行えず、また、コンベヤが障害物になって水槽の底や内側側面と言った周辺領域の洗浄も不十分になるので、その不具合を少しでも減少させるために、コンベヤの全体を水槽から取り出している。
【0007】
しかしながら、この方法は作業が大掛りになり、コンベヤを吊上げるクレーンなどの設備も必要になる。また、コンベヤの全体を吊上げる必要があるので、作業の安全性にも問題が生じる。
【0008】
また、作業が大掛りになるため、頻繁な洗浄も行い難い。加えて、搬送面がベルトやデッキプレートで構成されたコンベヤ(ネットコンベヤに比べて搬送物が傷付き難く、網目に対する引っかかりも起こり難い)であると、水槽外に取り出しても搬送面の裏側の洗浄が行い難く、全域を十分に洗浄するのが難しい。
【0009】
なお、前記特許文献1のネットコンベヤは、ネット受けレールをコンベヤフレームに着脱自在に取り付け、それを取り外すことでネット受けレールの死角のない洗浄と、周辺機器やコンベヤフレームの洗浄の容易化を可能となしている。
【0010】
このように、コンベヤを分解可能となす(一部の要素を着脱自在となす)ことで死角のない洗浄を行えるようになるが、ベルトコンベヤは分解洗浄ができず、また、搬送面が多数のデッキプレートで構成されるコンベヤは、デッキプレートを全て取り外さなければ要求に応える洗浄が行えない。
【0011】
多数のデッキプレートで無端の搬送面を構成するコンベヤは、通常、プレート取り付け用のアタッチメントを有する専用のコンベヤチェーンを用い、平行配置の2条の無端のコンベヤチェーンに各デッキプレートの両端をボルト・ナットなどで取り付けている。従って、デッキプレートを全て取り外す方法は、大変な手間と労力が必要になる。
【0012】
この発明は、搬送面をデッキプレートで構成したコンベヤのデッキプレートを簡単に取り外せるようにしてコンベヤと周辺領域の洗浄の容易化を図り、かつ、死角の無い洗浄を可能ならしめることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明においては、搬送コンベヤを以下の通りに構成した。
即ち、左右2組の駆動スプロケット及び従動スプロケットと、各々が前記左右の駆動スプロケットと従動スプロケット間に個別に掛け渡される平行配置の2条の無端のコンベヤチェーンと、搬送面を構成するデッキプレート及び各デッキプレートを個別に保持する可動フレームで構成されるデッキユニットと、搬送始端において前記デッキユニットを一端が搬送方向の前になるように回転させる反転機構を有し、
前記可動フレームは、左右の縦フレームと、各縦フレームの他端を連結する横フレームと、前記縦フレームの各々にそれぞれの縦フレームの一端及び互いに対向した内面に開放して設けるプレート挿入溝と、各縦フレームの側面に相反する方向に突出して設けて前記左右のコンベヤチェーンのチェーンリンクに定ピッチで設けられた軸孔に挿入するピボット軸とで構成され、
前記可動フレームが、前記2条のコンベヤチェーンに前記ピボット軸を支点にして回動可能に支持され、
前記デッキユニットは、前記デッキプレートを前記プレート挿入溝に挿入して前記可動フレームに連結具で取り外し可能に連結して構成され、
そのデッキユニットは、前記ピボット軸を境にした一端側の重量と他端側の重量が異なっており、その一端側と他端側の重量差と前記反転機構による回転で後続デッキユニットの前縁が先行デッキユニットの後部に上から重なって往路の搬送面が作り出されるようにした(以下ではこれを第1形態と言う)。
【0014】
また、往路に長手方向に連続して配置されて前記デッキユニットを搬送始端において水平向きに回転させて下から支えるガイドレールを設置し、そのガイドレールによる案内作用や必要に応じて搬送始端に設ける前記反転機構でデッキユニットが往路の始端において水平姿勢に回転させられ、回転後のデッキユニットが搬送方向に並んで前記ガイドレールに支持されて往路の搬送面が作り出されるようにした搬送コンベヤも併せて提供する(これを第2形態と言う)。この第2形態の搬送コンベヤは、デッキユニットの前記ピボット軸を境にした一端側の重量と他端側の重量が等しくてもよい。
【0015】
なお、ここで言う往路は、搬送始端から搬送終端に向って搬送が行われる側である。
【0016】
前記可動フレームは、単独では、前記ピボット軸を境にした一端側の重量よりも他端側の重量を大きくしたものが好ましい。
【0017】
また、第1形態の搬送コンベヤの反転機構は、ピボット軸と位置が固定された部材の相対移動と重力を利用してデッキプレートを移動中に反転させるものなどが考えられる。
【0018】
さらに、前記連結具は、前記縦フレームとデッキプレートに、前記プレート挿入溝へのデッキプレート挿入終点で位置の一致するピン孔を対応させて設け、その2者のピン孔に連結ピンを1本通して2者の連結状態を維持するものが好ましい。勿論、これ以外の連結具も採用できる。
【0019】
例えば、ばねで付勢した係止ピンを可動フレームに設け、その係止ピンを、前記デッキプレートが前記プレート挿入溝に挿入終点まで挿入された位置でデッキプレートに設けられたピン孔に抜き取り可能に係合させて2者を連結するものや、前記デッキプレートが前記プレート挿入溝に挿入終点まで挿入された位置で溝に係合するラッチなども考えられる。
【0020】
この搬送コンベヤは、デッキプレートに、搬送物を押し動かす羽根や桟を設けることができる。また、そのデッキプレートに側板をつけてエプロンコンベヤを構成することもでき、必要に応じてデッキプレートに水切り孔などを付加することもできる。
【0021】
なお、この発明の搬送コンベヤは、復路のデッキユニットを水平姿勢に近い状態に倒して案内する移動ガイドを設けると好ましい。
【0022】
また、洗浄ラインのコンベヤは、搬送始端側でデッキプレートとコンベヤチェーンを水槽に導入し、次に、搬送コンベヤの搬送終端側を前上がりに傾斜させて水面上に引き出し、その後、前記移動ガイドで復路のデッキユニットをそのデッキユニットの一端側が戻り方向の後ろになる向きに倒して搬送始端に案内する構造にすると好ましい。
【0023】
この発明は、そのように構成された洗浄設備も併せて提供する。この洗浄設備は、転がりやすい搬送物の洗浄に利用するときには、デッキプレートに搬送物を押し動かす羽根や桟を設けると好ましい。
【発明の効果】
【0024】
この発明の搬送コンベヤは、デッキプレートを連結具で可動フレームに着脱自在に連結しており、前記連結具による連結を解くことで、デッキプレートを可動フレームから取り外すことができる。その取り外しは、デッキプレートを例えば1本の連結ピンで可動フレームに連結するものは、連結ピンを1本抜き取るだけでよい。ばねに付勢された係止ピンやラッチを用いるものも、係止ピンやラッチの係合を解くだけでよく、作業が簡単である。
【0025】
これにより、従来洗浄がしづらかった搬送面の裏側(デッキプレートの裏側)も容易に確実に洗浄することが可能になる。また、デッキプレートを取り外すとコンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域の面が表に表れるので、周辺領域も容易に確実に洗浄することができ、洗浄の容易化と死角の無い洗浄の目的が達成される。
【0026】
また、第1形態の搬送コンベヤは、デッキユニットの前記ピボット軸を境にした一端側の重量と他端側の重量に差をつけたことと、搬送始端でデッキユニットを回転させる反転機構を設けたことにより、往路において後続デッキユニットの前縁が先行デッキユニットの他端側に上から重なり、安定した搬送面が形成される。
【0027】
このような重なり方をすると、各デッキユニットの前後の重量差によって先行デッキユニットには他端側が上向きに回転しようとする力が、後続デッキユニットには一端側が下向きに回転しようとする力がそれぞれ働いてそれらの力が互いに打ち消し合うため、形成される搬送面が安定したものになる。また、その重なりによって搬送終端で先行デッキユニットが急激に回転することも防止され、デッキユニットの急回転によって搬送物が跳ね飛ばされる不具合も回避される。
【0028】
第2形態の搬送コンベヤは、デッキユニットが搬送始端においてガイドレールによる案内効果などで水平姿勢になってガイドレールに下から支えられる。そして、そのデッキユニットが前記ガイドレールに支持されて搬送方向に並んで往路の搬送面が作り出される。
【0029】
このほか、デッキユニットを構成する可動フレームを、単独では、前記ピボット軸よりも他端側の重量が一端側の重量よりも大きいものにすることで、デッキプレートのプレート挿入溝に対する再挿入が容易になる。デッキプレートを取り外したときに可動フレームが一端側と他端側の重量差で回転し、垂直姿勢になってプレート挿入溝のプレート差し込み口が上を向くからである。
【0030】
なお、デッキプレートに羽根や桟を設けたコンベヤは、羽根や桟で搬送物を押し動かすことができるため、転がり易い搬送物も安定して搬送でき、搬送面を前上がりに傾斜させることも可能になる。
【0031】
また、上記移動ガイドを備えるものは、その移動ガイドの働きによって復路のデッキユニットが傾くように倒れて移動する。そのために、復路の高さ寸法を無駄に大きくする必要がなく、コンベヤとそれを採用した洗浄設備などの小型化が図れる。
【0032】
また、復路のデッキユニットがコンベヤチェーンに引き動かされることになるので、デッキユニットを押し動かす形態に比べて、復路でのデッキユニットの移動も安定する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の搬送コンベヤの一例を簡略化して示す側面図
【図2】コンベヤチェーンの一例を示す斜視図
【図3】(a):デッキユニットの一例を示す分解斜視図,(b):デッキプレートと可動フレームの連結の一例を示す断面図
【図4】デッキユニットの反転機構による反転原理の説明図
【図5】反転したデッキユニットが往路に作り出す搬送面の斜視図
【図6】(a),(b):デッキプレートの変形例を示す斜視図
【図7】反転機構の他の例を示す側面図
【図8】反転機構のさらに他の例を示す側面図
【図9】移動ガイドを追設した搬送コンベヤの一例の側面図
【図10】(a):第2形態の搬送コンベヤの要部の概要を示す斜視図、(b):第2形態の搬送コンベヤの要部の概要を示す側面図
【図11】この発明の搬送コンベヤを用いた洗浄設備の一例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面の図1〜図11に基づいて、この発明の搬送コンベヤとそれを用いた洗浄設備の実施の形態を説明する。
【0035】
図1〜図6は、第1形態の搬送コンベヤを示している。この第1形態の搬送コンベヤ1は、水平な搬送ラインを構成するものである。
【0036】
この搬送コンベヤ1は、駆動スプロケット2、従動スプロケット3、アイドルスプロケット4,5、このアイドルスプロケット4,5を経由して駆動スプロケット2と従動スプロケット3間に掛け渡すコンベヤチェーン6、搬送面を構成するデッキプレート7、各デッキプレート7を個別に保持する可動フレーム8、及び、デッキプレート7と可動フレーム8によって構成されたデッキユニット9を搬送始端において一端側が搬送方向の前になるように回転させる反転機構10を組み合わせて構成されている。
【0037】
駆動スプロケット2は、減速機付きモータ(図示せず)などの駆動源によって回転駆動される。この駆動スプロケット2と従動スプロケット3は、左右対称に2組設けられ、各組の駆動スプロケット2と従動スプロケット3間にそれぞれ無端のコンベヤチェーン6が平行配置にして掛け渡されている。
【0038】
例示のコンベヤチェーン6は、図2に示すように、チェーンリンク6aに軸孔11を設けたローラチェーンが用いられている。軸孔11は、チェーンリンク6aに一体の起立したアタッチメントを設けてそのアタッチメントに形成しても構わない。軸孔11は、コンベヤチェーン6の長手方向に一定ピッチで設けられる。
【0039】
その軸孔11は、コンベヤチェーンの軸間ピッチの偶数倍の設置ピッチで、スプロケットの歯が内側に入り込まない箇所(例示のコンベヤチェーンは内リンクの内側にスプロケットの歯を入り込ませるようにしているのでチェーンリンクの外リンクが歯の入り込まない箇所になる)に設けると好ましい。
【0040】
デッキプレート7と可動フレーム8は、一定ピッチで多数個設けられる。デッキプレート7は、方形の平坦なベース部7aのみで形成されるもの{図3(a)参照}、ベース部7aの上面(搬送面となる面)に起立した羽根7bを設けたもの{図6(a)参照}、或いは、ベース部7aの両側部に起立した側板7cを設けたもの{図6(b)参照}などをコンベヤの使用目的に応じて選択する。
【0041】
このデッキプレート7は、洗浄用途のコンベヤでは、水切りがなされるようにしたものが好ましい。素材がパンチングプレートやエキスパンドメタルなどであると、素材の目孔が水切り孔になる。樹脂や硬質ゴムなどで成形したデッキプレートであってもよく、これも、水切り孔を成形によってつけることができる。
【0042】
羽根7bに代えて搬送物を引っ掛ける桟(図示せず)を設けることもできる。なお、羽根7bと側板7cは、可動フレーム8のプレート挿入溝8c(図3参照)に対するベース部7aの挿入が妨げられない位置に設置する。
【0043】
可動フレーム8は、デッキプレート数と同数設けられ、各デッキプレート7を個別に保持する。この可動フレーム8は、図3(a)に示すように、左右の縦フレーム8a,8aと、各縦フレームの他端を連結する横フレーム8bと、左右の縦フレーム8a,8aの各々に、それぞれの縦フレームの一端と互いに対向した内面に開放して設けるプレート挿入溝8cと、各縦フレーム8a,8aの側面に相反する方向に突出して設けるピボット軸8dとで構成されている。
【0044】
縦フレーム8aと横フレーム8bは共にチャンネル材で形成されている。横フレーム8bは、洗浄ラインのコンベヤに用いるときには、適当な位置に水切り孔8e{図3(b)参照}を設けて溝に水が溜まらないようにしておくのがよい。
【0045】
この可動フレーム8は、左右のコンベヤチェーンのチェーンリンク6aに形成されている軸孔11にピボット軸8dを挿入し、そのピボット軸8dを支点にして回動可能に支持される。なお、ここで用いた可動フレーム8は、ピボット軸8dを境にした他端側の重量が一端側の重量よりも大きい。
【0046】
デッキユニット9は、デッキプレート7を可動フレーム8のプレート挿入溝8cに挿入し、連結具12で可動フレーム8に取り外し可能に連結して構成されている。そのデッキユニット9は、ピボット軸8dを境にした一端側の重量が他端側の重量よりも大きい。
【0047】
また、そのデッキユニット9は、既述の反転機構10を用いるときには、ピボット軸8dから一端までの図4に示した長さLが、従動スプロケット3を通過したピボット軸8dがアイドルスプロケット4によって搬送始端側(図4のQ点よりも搬送方向後方)に戻された位置で支軸13に対するデッキユニット9の一端側の接触状態が維持される範囲に設定される。図示のデッキユニット9は、一端側が往路で搬送方向の前になる。
【0048】
反転機構10は、両端が軸受(図示せず)に支えられた支軸13と、従動スプロケット3に近接させた図中上側のアイドルスプロケット4を用い、デッキユニット9を搬送方向への移動を利用して反転させるものを例示した。
【0049】
支軸13は、搬送路を横切っており、この支軸13に左右の従動スプロケット3,3が固定されている。また、反転機構10のアイドルスプロケット4は、従動スプロケット3よりも下側、かつ、従動スプロケット3がターンさせたコンベヤチェーン6を搬送始端側に戻す位置に配置されている。
【0050】
そのアイドルスプロケット4の支軸は、片持ち支持の軸にしており、デッキユニット9の移動路を遮らない。
【0051】
この反転機構10は、搬送始端においてデッキユニット9のピボット軸8dがコンベヤチェーン6と共に移動するのに対して、デッキユニット9の一端側は他端側との重量差で下向きに垂れ下がって、支軸13による移動規制を受ける。
【0052】
そのために、従動スプロケット3を通過したピボット軸8dがアイドルスプロケット4に向うときに、デッキユニット9がピボット軸8dを中心にした前後の重量差で自然に回転し、その回転により先行デッキユニットの他端側に後続デッキユニットの前縁が上から重なって所期の搬送面が往路に形成される。
なお、デッキユニット9は、一端側の重量を他端側の重量よりも小さくしてもよい。その場合には、往路のデッキユニット9は、図1で搬送方向の後ろにある側が搬送方向の前にきて可動フレーム8が先行デッキユニットのデッキプレート上に重なる。このようにデッキユニット9は、一端側と他端側のどちらが搬送方向の前になっても構わない。
【0053】
図示の連結具12は、デッキプレート7のプレート挿入溝8cへの挿入方向先端にプレート幅方向に貫通したピン孔12aを設け、さらに、プレート挿入溝8cへのデッキプレート挿入終点でピン孔12aと位置の一致するピン孔12bを可動フレーム8に設け、それらのピン孔と1本の連結ピン12cを組み合わせたものを例示した。
【0054】
連結ピン12cは、ピン孔12a、12bに挿通され、このピンが可動フレーム8とデッキプレート7の連結状態を維持する。その連結ピン12cは、ピン孔から抜け止めされるもの、例えば、一端に頭部を形成し、他端にかんぬき12dを設けたものや割りピンなどを係止させるものを用いる。図示のかんぬき12dは、連結ピン12cの先端に設けたスリットに挿入してピンで回動可能に連結ピンに取り付けている。
【0055】
この連結具12は、ばねで係止方向に付勢した係止ピンやラッチ爪を可動フレーム8に設け、その係止ピンやラッチ爪を、プレート挿入溝8cに対するデッキプレート挿入終点でデッキプレートに設けられたピン孔や溝に抜き取り可能に係合させて2者を連結するものなどで代替してもよい。
【0056】
なお、図示のデッキユニット9は、ピボット軸8dを境にした一端側の重量が他端側の重量よりも大きい。また、可動フレーム8は、ピボット軸8dを境にした他端側の重量が一端側の重量よりも大きい。
【0057】
これにより、従動スプロケット3を通過したピボット軸8dが支軸13へのデッキユニット接触点よりも搬送方向前方に戻されたときに、デッキユニット9の一端側が前後の重量差で図4において時計回りに回転し、先行デッキユニットの他端側に後続デッキユニットの前縁が上から重なって所期の搬送面が往路に形成される。
【0058】
反転機構10は、図7や図8に示すようなものでもよい。図7の反転機構10は、支軸13の周囲にガイド10aを設けたものであって、デッキユニット9の一端側の移動規制が、そのガイド10aによってなされる。そのガイド10aの支軸13の中心からの距離は支軸13の半径よりも大きく、従って、支軸13を利用してデッキユニット9を反転させるものよりも反転を早めることができる。
【0059】
また、図8の反転機構10は、ピボット軸8dに固定されたピニオン14が搬送始端において、位置固定のラック15と噛合い、そのピニオン14の転動によりピボット軸8dが回転してデッキユニット9が同図において時計回りに反転する。
【0060】
以上の如く構成した第1形態の搬送コンベヤ1は、搬送始端に反転機構10を設けたことによって、往路では、後続デッキユニットの搬送方向前縁が先行デッキユニットの他端側に上から重なり、その重なり状態が搬送方向に連なって一連の搬送面が作り出される。その搬送面は、先行デッキユニットと後続デッキユニットの重なり部に回転力が相反する向きに働くため、野菜などを安定して搬送することができる。
【0061】
また、復路では、デッキユニット9が、ピボット軸8dを境にした前後の重量バランスの崩れによって一端側が下になる向きに回転して垂れ下がり、この状態で、搬送始端に戻される。
【0062】
この第1形態の搬送コンベヤ1は、連結ピン12cを引き抜くだけの簡単な作業でデッキプレート7を取り外すことができ、そのために、搬送面の裏側(デッキプレート7の裏面)も支障なく洗浄することが可能になる。また、デッキプレート7を外すとコンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域の面が表に表れるので、周辺領域も容易に確実に洗浄することが可能になる。
【0063】
なお、この発明の搬送コンベヤには、図9に示した移動ガイド16を併設することができる。この移動ガイド16は、コンベヤの搬送終端でターンして一端側を下にして垂れ下がる復路のデッキユニット9を一端側が戻り方向の後ろになる向きに倒し、その状態を搬送始端まで維持する働きをする。この移動ガイド16のガイド面には、必要に応じて、デッキユニット9の移動抵抗を低減するローラやボールなどのキャリアを設置することができる。
【0064】
図10は、第2形態の搬送コンベヤの要部を表している。この第2形態の搬送コンベヤ1は、先行デッキユニットと後続デッキユニットを重ねずに往路の搬送面を作り出すようにしたものである。デッキユニット9の設置ピッチは、デッキユニット9の搬送方向の長さ寸法よりも大きい。また、往路の長手方向に連続したガイドレール17を追設し、そのガイドレール17で往路のデッキユニット9を支持することでデッキユニット9の搬送姿勢(コンベヤの進行方向と平行な姿勢)を保持するようにしている。
【0065】
この第2形態の搬送コンベヤ1に用いるデッキユニット9は、ピボット軸8dを境にした一端側の重量と他端側の重量が等しいもの、一端側の重量が他端側の重量よりも大きいもの、一端側の重量が他端側の重量よりも小さいもののいずれであってもよい。一端側の重量が大きいものと他端側の重量が大きいものを混在させなければよい。
【0066】
また、ガイドレール17の始端を屈曲させることで、そのガイドレール17による案内作用を利用してデッキユニット9を水平姿勢にすることができるので、上記の反転機構10は、必須の要素にならない。ただし、その反転機構を必要に応じて設置することは自由に行ってよい。その他の構成は第1形態の搬送コンベヤと同じであるので、説明を省く。
【0067】
この第2形態の搬送コンベヤ1も、デッキユニットのデッキプレートを取り外して死角の無い洗浄を行うことができる。
【0068】
次に、この発明の搬送コンベヤを用いて構成した洗浄設備の一例を、図11に基づいて説明する。図示の洗浄設備20は、上述した第1形態の搬送コンベヤ1と、水槽21と、その水槽の下側に設置する移動ガイド16を組み合わせて構成されている。
【0069】
この洗浄設備20には、搬送コンベヤ1の各駆動スプロケット2と従動スプロケット3間にアイドルスプロケット4,5が計4個設けられ、そのうちの2個のアイドルスプロケット4が洗浄ラインの入口側と出口側において水槽21の内部に設置され、他の2個のアイドルスプロケット5が洗浄ラインの入口側と出口側において水槽21と移動ガイド16との間に設置されている。
【0070】
対をなす左右のコンベヤチェーン6は、その4個のアイドルスプロケット4を経由して駆動スプロケット2と従動スプロケット3間に掛け渡され、その左右のコンベヤチェーン6に多数のデッキユニット9が、搬送方向に定ピッチで回動可能に軸支されている。
【0071】
このコンベヤチェーン6とデッキユニット9を搬送始端側で水槽21に導入して搬送始端側と搬送終端側を除く部分を水面下に引き入れている。また、コンベヤの搬送終端側は前上がりの方向に傾斜させて水槽の水面上に引き出し、駆動スプロケット2の位置を通過したデッキプレート7を移動ガイド16で一端側が戻り方向の後ろになる向きに倒して搬送始端に案内するようにしている。
【0072】
搬送始端に戻ったデッキプレート7は、反転機構10によって一端側が搬送方向の前側にくるように反転させられ、このようにして形成された搬送面が水槽21に導入されて水洗対象の野菜などが搬送され、その搬送の間に水洗が行われる。
【0073】
搬送コンベヤ1は第2形態のコンベヤであってもよい。この洗浄設備20は、搬送物を確実に水槽から搬出するために、搬送面を構成するデッキプレートのベース部7a上に搬送物を押し動かす羽根7bを設けたが、転がる心配の無い、ほうれん草などの葉野菜類などの搬送物は、羽根や桟が無くても水槽から搬出することができる。
【0074】
また、この洗浄設備20は、水槽21を移動ガイド16として併用することができる。このときには、コンベヤチェーン6とデッキユニット9が、復路でも水槽内に引き込まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 搬送コンベヤ
2 駆動スプロケット
3 従動スプロケット
4 アイドルスプロケット
6 コンベヤチェーン
6a チェーンリンク
7 デッキプレート
7a ベース部
7b 羽根
7c 側板
8 可動フレーム
8a 縦フレーム
8b 横フレーム
8c プレート挿入溝
8d ピボット軸
8e 水切り孔
9 デッキユニット
10 反転機構
10a ガイド
11 軸孔
12 連結具
12a、12b ピン孔
12c 連結ピン
12d かんぬき
13 支軸
14 ピニオン
15 ラック
16 移動ガイド
17 ガイドレール
20 洗浄設備
21 水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右2組の駆動スプロケット(2)及び従動スプロケット(3)と、各々が左右の前記駆動スプロケット(2)と従動スプロケット(3)間に個別に掛け渡される平行配置の2条の無端のコンベヤチェーン(6)と、搬送面を構成するデッキプレート(7)及び各デッキプレートを個別に保持する可動フレーム(8)で構成されるデッキユニット(9)と、搬送始端において前記デッキユニット(9)をそのユニットの一端側が搬送方向の前になるように回転させる反転機構(10)を有し、
前記可動フレーム(8)は、左右の縦フレーム(8a,8a)と、各縦フレームの他端を連結する横フレーム(8b)と、前記縦フレーム(8a,8a)の各々にそれぞれの縦フレームの一端及び互いに対向した内面に開放して設けるプレート挿入溝(8c)と、各縦フレーム(8a)の側面に相反する方向に突出して設けて前記左右のコンベヤチェーンのチェーンリンク(6a)に定ピッチで設けられた軸孔(11)に挿入するピボット軸(8d)とで構成され、
前記可動フレーム(8)が、前記2条のコンベヤチェーン(6)に前記ピボット軸(8d)を支点にして回動可能に支持され、
前記デッキユニット(9)は、前記デッキプレート(7)を前記プレート挿入溝(8c)に挿入して前記可動フレーム(8)に連結具(12)で取り外し可能に連結して構成され、
そのデッキユニット(9)は、前記ピボット軸(8d)を境にした一端側の重量と他端側の重量が異なっており、その前後の重量差と前記反転機構(10)による回転で後続デッキユニットの前縁が先行デッキユニットの他端側に上から重なって往路の搬送面が作り出されるようにした搬送コンベヤ。
【請求項2】
左右2組の駆動スプロケット(2)及び従動スプロケット(3)と、各々が左右の前記駆動スプロケット(2)と従動スプロケット(3)間に個別に掛け渡される平行配置の2条の無端のコンベヤチェーン(6)と、搬送面を構成するデッキプレート(7)及び各デッキプレートを個別に保持する可動フレーム(8)で構成されるデッキユニット(9)と、往路に長手方向に連続して配置されて前記デッキユニット(9)を搬送始端において水平向きに回転させて下から支えるガイドレール(17)を有し、
前記可動フレーム(8)は、左右の縦フレーム(8a,8a)と、各縦フレームの他端を連結する横フレーム(8b)と、前記縦フレーム(8a,8a)の各々にそれぞれの縦フレームの一端及び互いに対向した内面に開放して設けるプレート挿入溝(8c)と、各縦フレーム(8a)の側面に相反する方向に突出して設けて前記左右のコンベヤチェーンのチェーンリンク(6a)に定ピッチで設けられた軸孔(11)に挿入するピボット軸(8d)とで構成され、
前記可動フレーム(8)が、前記2条のコンベヤチェーン(6)に前記ピボット軸(8d)を支点にして回動可能に支持され、
前記デッキユニット(9)は、前記デッキプレート(7)を前記プレート挿入溝(8c)に挿入して前記可動フレーム(8)に連結具(12)で取り外し可能に連結して構成され、
そのデッキユニット(9)が前記ガイドレール(17)、又は、搬送始端に設ける反転機構(10)により往路の始端において水平姿勢に回転させられ、回転後のデッキユニット(9)が前記ガイドレール(17)に支持されて搬送方向に並んで往路の搬送面が作り出されるようにした搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記可動フレーム(8)の前記ピボット軸(8d)を境にした一端側の重量よりも他端側の重量を大きくした請求項1又は2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記連結具(12)を、前記縦フレーム(8a)とデッキプレート(7)に前記プレート挿入溝(8c)へのデッキプレート挿入終点で位置の一致するピン孔(12a,12b)対応させて設け、その2者のピン孔(12a,12b)とそれらのピン孔に通す1本の連結ピン(12c)とで構成した請求項1〜3のいずれかに記載の搬送コンベヤ。
【請求項5】
復路のデッキユニット(9)を、一端側が戻り方向の後ろになる向きに倒して案内する移動ガイド(16)を具備させた請求項1〜4のいずれかに記載の搬送コンベヤ。
【請求項6】
前記デッキプレート(7)を、平板のベース部(7a)上に搬送物を押し動かす羽根(7b)もしくは桟を有するものにした請求項1〜5のいずれかに記載の搬送コンベヤ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の搬送コンベヤ(1)と、水槽(21)と、移動ガイド(16)を有し、前記搬送コンベヤ(1)の前記デッキプレート(7)とコンベヤチェーン(6)を搬送始端側において前記水槽(21)内に導入し、さらに、この搬送コンベヤ(1)の搬送終端側を前上がりに傾斜させて水面上に引き出し、前記移動ガイド(16)で復路のデッキユニット(9)をそのデッキユニットの一端側が戻り方向の後ろになる向きに倒して搬送始端に案内するように構成された洗浄設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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