説明

搬送コンベヤ

【課題】無端の搬送面を有する搬送コンベヤを、そのコンベヤの各部と周辺領域の洗浄が容易に、死角の無い状態で行えるものにすることを課題としている。
【解決手段】同期駆動される左右の無端のコンベヤチェーン4に、デッキモジュール10を所定ピッチで複数個取り付けて無端の搬送面を構成する。デッキモジュール10は、コンベヤの始端と終端でコンベヤチェーン4と一緒に屈曲可能に構成し、そのデッキモジュール10の搬送方向前部の左右又は搬送方向前後部の左右をコンベヤチェーン4に着脱自在に取り付け、コンベヤの往路で、そのデッキモジュールが前記コンベヤチェーンの各々によって受け支えられるものにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜や肉などの洗浄、殺菌、加熱、冷却と言った処理を流れ作業で連続的に行うときの搬送ラインとして好適な搬送コンベヤ、詳しくは、搬送面を構成する部材を簡易に取り外せるようにしてコンベヤの全域と周辺領域の洗浄を支障なく行えるようにした搬送コンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、野菜を搬送しながら洗浄する場合、搬送装置としてベルトコンベヤ、ネットコンベヤ、エプロンコンベヤなどの搬送コンベヤが従来から用いられている。
【0003】
また、ネットコンベヤについては、ネット受けレールを死角の無い状態で洗浄可能としたものが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−115142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品の搬送に利用されるコンベヤは、常に清潔さを保つことが要求され、その要求に応えるために周辺設備も含めた洗浄が定期的に行われる。その洗浄は、例えば、水槽の内部に設置される野菜などの洗浄ラインのコンベヤの場合、全体を水槽外に取り出して行っている。
【0006】
このような面倒な方法を採っているのは、洗浄の死角となる箇所を減少させるためである。コンベヤが水槽内にあると、洗浄不可能な箇所や洗浄し難い箇所ができて全域の洗浄が行えず、また、コンベヤが障害物になって水槽の底や内側側面と言った周辺領域の洗浄も不十分になるので、その不具合を少しでも減少させるために、コンベヤの全体を水槽から取り出している。
【0007】
しかしながら、この方法は作業が大掛りになり、コンベヤを吊上げるクレーンなどの設備も必要になる。また、コンベヤの全体を吊上げる必要があるので、作業の安全性にも問題が生じる。
【0008】
また、作業が大掛りになるため、頻繁な洗浄も行い難い。加えて、搬送面がベルトやスラットバーで構成されたコンベヤであると、水槽外に取り出しても搬送面の裏側の洗浄が行い難く、全域を十分に洗浄するのが難しい。
【0009】
なお、前記特許文献1のネットコンベヤは、ネット受けレールをコンベヤフレームに着脱自在に取り付け、それを取り外すことでネット受けレールの死角のない洗浄と、周辺機器やコンベヤフレームの洗浄の容易化を可能となしている。
【0010】
このように、コンベヤを分解可能となす(一部の要素を着脱自在となす)ことで死角のない洗浄を行えるようになるが、ベルトコンベヤは分解洗浄ができない。また、多数のスラットバーを左右のコンベヤチェーンに定ピッチで取り付けて無端の搬送面を構成するコンベヤは、スラットバーを全て取り外さなければ要求に応えた洗浄が行えない。
【0011】
スラットバーで搬送面を構成するコンベヤは、通常、バー取り付け用のアタッチメントを有する専用のコンベヤチェーンを用い、各スラットバーをコンベヤチェーンにボルト・ナットなどで個別に取り付けている。従って、洗浄はスラットバーを全て取り外して行う必要があり、大変な時間と労力を費やす。
【0012】
この発明は、無端の搬送面を有する搬送コンベヤを、そのコンベヤの各部と周辺領域の洗浄が容易に、死角の無い状態で行えるものにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明においては、搬送コンベヤを以下の通りに構成した。即ち、各々が駆動スプロケットと従動スプロケット間に個別に掛け渡されて同期駆動される平行配置の複数条の無端のコンベヤチェーンと、そのコンベヤチェーンに所定ピッチで複数個取り付けて無端の搬送面を構成するデッキモジュールを有し、
前記デッキモジュールが、コンベヤの始端と終端で前記コンベヤチェーンと一緒に屈曲可能に構成され、そのデッキモジュールの搬送方向前部の左右又は搬送方向前後部の左右が前記コンベヤチェーンに着脱自在に取り付けられ、コンベヤの往路で、このデッキモジュールが前記コンベヤチェーンの各々によって受け支えられるものにした。
【0014】
前記デッキモジュールは、複数個のデッキピースを順次ヒンジ結合させて一方向に連ならせたものが好ましいが、ネットコンベヤのネットを所定長さに切断し、そのネットの必要箇所、例えば、搬送方向の前部と後部を補強して補強部位をコンベヤチェーンに取り付けるものであっても差し支えない。要は、コンベヤの方向転換がなされる始端と終端でコンベヤチェーンと一緒に屈曲できるものであればよい。
【0015】
ここで言うデッキピースとは、順次ヒンジ結合されて無端の搬送面を形成する横長の履板状の部材であって、履板に似た特殊形状のチェーンリンクも含まれる。
【0016】
複数個のデッキピースで構成されるデッキモジュール、ネットコンベヤのネットで構成されるデッキモジュールのどちらも、搬送方向前部の左右(幅方向両端近傍)をコンベヤチェーンに着脱自在に取り付ける。また、必要に応じて、搬送方向後部の左右端近傍もコンベヤチェーンに着脱自在に取り付ける。
【0017】
コンベヤチェーンに対するデッキモジュールの取り付けは、デッキモジュールの必要箇所にコンベヤチェーンのリンクプレートの内側や外側に沿わせる連結片を垂下して設け、その連結片とリンクプレートに連結ピンを挿通して行うと好ましい。
【0018】
このときに用いる連結ピンには、ピン孔からの抜け止めを施す。その抜け止めは、連結ピンの抜き取り方向への移動をストッパなどで規制する方法で行える。その方法の具体例として、例えば、下記(1)〜(4)が考えられる。
【0019】
(1)連結ピンの外周にキーを、前記ピン孔に前記キーを通過させるキー溝をそれぞれ設け、前記キー溝を通り抜けたキーを、連結ピンとピン孔を相対回転させてキー溝の無い位置でリンクプレート又は前記連結片に係止させる。
(2)連結ピンの差し込み方向後部にクリップ部を形成し、そのクリップ部でデッキモジュールを挟みつけて連結ピンの戻り方向移動に抵抗を加える。
(3)連結ピンの差し込み方向後部に曲げ戻し部を形成し、その曲げ戻し部を、ピンの抜き差し方向移動が許容されるようにデッキモジュールに組み付けてばねで差し込み方向に付勢し、そのばねの力で差し込み状態を保持する。
(4)コンベヤチェーンを支持するレールに連結ピンの後面(差し込み方向後方の端面)に対向するストッパを形成し、そのストッパで連結ピンの抜き取り方向への移動を規制する。
【0020】
上記(1)の方法では、より好ましい態様として、前記キーを、係止相手(リンクプレート又は前記連結片)に形成された溝に係合させて係止状態を維持することや、連結ピンの差し込み方向前後のピン孔にそれぞれ形成されるキー溝の位相をずらして前記キーと連結ピン差し込み方向前後のキー溝の位相が同時に揃わないようにすることが考えられる。
【0021】
なお、デッキモジュールの前部のみをコンベヤチェーンに取り付ける搬送コンベヤは、往路ではデッキモジュールの後部もコンベヤチェーンに支持されるが、復路ではデッキモジュールの後部がコンベヤチェーンから離れて垂れ下がるので、復路のデッキモジュールを水平姿勢に近い状態に傾けて案内する移動ガイドを設けると好ましい。
【0022】
ここで言う往路は、搬送始端から搬送終端に向って搬送が行われる側、復路は搬送終端でターンして搬送始端に向って戻る側である。
【0023】
このほか、傾斜配置にして使用する搬送コンベヤは、デッキピースを組み合わせたデッキモジュールを採用し、そのデッキモジュールの中のいくつかのデッキピースに搬送物を押し動かす羽根や桟を設けると好ましい。
【発明の効果】
【0024】
この発明の搬送コンベヤは、コンベヤチェーンに対するデッキモジュールの連結を解くことでそのデッキモジュールを取り外すことができる。その取り外しは、デッキモジュールを1単位にしてコンベヤチェーンに取り付けているため、単体のスラットバーを個別にコンベヤチェーンに取り付けるコンベヤに比べて取り付け箇所を大幅に削減することができ、これにより作業の簡単化と迅速化が図れる。特に、デッキモジュールを連結ピンでコンベヤチェーンに取り付けるものは、連結と連結の解除が簡単で、作業の簡易化と迅速化の効果が大きい。
【0025】
また、搬送面を構成するデッキモジュールを取り外すことで、搬送面の裏側(デッキモジュールの裏側)と、コンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域の面を容易に確実に洗浄することが可能になり、洗浄の容易化と死角の無い洗浄の目的が達成される。
【0026】
なお、デッキモジュールの搬送方向前部のみをコンベヤチェーンに取り付ける搬送コンベヤは、デッキモジュールの着脱の手間の削減効果が大きい。
【0027】
また、デッキモジュールの搬送方向前後部を共にコンベヤチェーンに着脱自在に取り付ける搬送コンベヤは、着脱の手間は前者よりも増えるが、復路でのデッキモジュールの垂れ下がりが起こらない利点がある。
【0028】
さらに、デッキモジュールを複数個のデッキピースで構成する搬送コンベヤは、ネットのデッキモジュールを用いるコンベヤに比べて安定性のよい搬送面を作り出すことができる。
【0029】
デッキモジュールのコンベヤチェーンに対する取り付けを連結ピンで行うコンベヤで前記(1)〜(4)の方法を採用して連結ピンを抜け止めするものは、コンベヤチェーンに対するデッキモジュールの取り付けが安定する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の搬送コンベヤの一例を簡略化して示す側面図
【図2】図1の一部を拡大して示す側面図
【図3】コンベヤチェーンの一例を示す斜視図
【図4】図1のIV−IV線に沿った位置の拡大断面図
【図5】デッキピースの一例を示す斜視図
【図6】図5のデッキピースで構成されたデッキモジュールの斜視図
【図7】図6のデッキモジュールの側面図
【図8】(a):デッキモジュールの他の例を示す平面図、(b):同デッキモジュールの側面図
【図9】デッキモジュールのさらに他の例を示す斜視図
【図10】連結ピンの抜け止め処理の一例を示す斜視図
【図11】図10の抜け止め処理で連結ピン差し込み方向前後のピン孔に形成されるキー溝の位相を異ならせた例を示す斜視図
【図12】回転操作用のレバーを設けた連結ピンの斜視図
【図13】連結ピンの抜け止め処理の他の例を示す断面図
【図14】連結ピンの抜け止め処理のさらに他の例を示す断面図
【図15】連結ピンの抜け止め処理のさらに他の例を示す断面図
【図16】デッキモジュールの前部のみをコンベヤチェーンに取り付けた搬送コンベヤの一例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面の図1〜図16に基づいて、この発明の搬送コンベヤの実施の形態を説明する。図1〜図7は、この発明の搬送コンベヤの第1形態を示している。
【0032】
この搬送コンベヤ1は、駆動スプロケット2、従動スプロケット3、これ等のスプロケット2,3間に掛け渡すコンベヤチェーン4、往路のコンベヤチェーン4を支持するレール5及び複数のデッキピース6を組み合わせたデッキモジュール10を有している。そのデッキモジュール10をコンベヤチェーン4に着脱自在に取り付けて搬送面を構成している。
【0033】
駆動スプロケット2は、減速機付きモータ(図示せず)などの駆動源によって回転駆動される。この駆動スプロケット2と従動スプロケット3を、左右対称に2組設け、各組の駆動スプロケット2と従動スプロケット3間にそれぞれ無端のコンベヤチェーン4を平行配置にして掛け渡している。
【0034】
例示のコンベヤチェーン4は、図3に示すように、摺動抵抗を低減する転動ローラ4aを備える。リンクプレート4bには、垂直に起立したアタッチメント4cを数ピッチおきに形成しており、そのアタッチメント4cに設けたピン孔4dを利用してデッキモジュール10をコンベヤチェーン4に取り付けている。
【0035】
ピン孔4dは、スプロケットの歯が噛み合わないリンクがあれば、アタッチメント4cを省いてそのリンクに直接形成しても構わない。
【0036】
例示のデッキモジュール10は、図5に示すようなデッキピース、即ち、偏平横長の本体部6aの前後にヒンジ部6b、6cを形成したデッキピース6を採用している。ヒンジ部6b、6cは、一方のヒンジ部が他方のヒンジ部間の凹部に入り込むように互いの位置をずらしている。
【0037】
これ等のヒンジ部には、貫通したピン孔6dが設けられている。そのピン孔6dの一方は、後述する連結ピンが遊嵌される孔になっており、その遊嵌により、後述するデッキモジュールに前後方向の伸縮代が付与されてデッキモジュールが搬送路のターン部で支障なく屈曲できるようになっている。
【0038】
そのデッキピース6を図6に示すように縦列に並べ、前後のデッキピース6のヒンジ部6b、6cを互いに噛み合わせて図7に示すように、ピン孔6dにヒンジピン7を挿入し、それを繰り返して所要数のデッキピース6を連結する。そして、先頭および後尾のデッキピース6の両端下部に、取り付け要素となす連結片11を設けて図示のデッキモジュール10を形成している。このデッキモジュール10をコンベヤチェーン4に取り付け、一方向に並べたデッキモジュール10で搬送面を構成する。このとき、搬送方向前後のデッキモジュール同士は連結しない。従って、各デッキモジュール10の最前部のデッキピースは前側のヒンジ部が、最後部のデッキピースは後側のヒンジ部がともに省かれたものでよい。
【0039】
連結片11は、垂下した板状部品であり、リンクプレート4bの内側や外側に沿う位置に設けている。この連結片11には、アタッチメントのピン孔4dに対応させたピン孔11aが形成される。そのピン孔11aとアタッチメントのピン孔4dに連結ピン12を通して図4に示すように、デッキモジュール10をコンベヤチェーン4に取り付ける。
【0040】
デッキモジュール10は、図8に示すようなものであってもよい。図8のデッキモジュール10は、ネットコンベヤ用のネット8を所定長さに切断し、そのネット8の必要箇所(図のそれは搬送方向の前部と後部)に補強材9を取り付け、その補強材9の下部にピン孔11aを有する取り付け用の連結片11を設けている。
【0041】
この図8のデッキモジュール10も、前後の両端の計4箇所をコンベヤチェーン4に取り付ければ、安定した搬送面を形成することができる。
【0042】
デッキピースで構成されるデッキモジュールについては、図9に示すように、必要に応じていくつかのデッキピース6に、搬送物を押し動かす起立した羽根6eを設けることができる。また、洗浄用途のコンベヤでは、デッキピース6に水切り用の孔や溝(図示せず)を設けることができる。
【0043】
デッキモジュール10をコンベヤチェーン4に取り付ける連結ピン12には、抜け止めを施す。その抜け止めの具体例を図10〜図15に示す。
【0044】
図10の抜け止め処理は、連結ピン12の外周にキー13を設け、ピン孔4d,11aには、キー13を通過させるキー溝14を設け、そのキー溝14を通り抜けたキー13を、連結ピン12を回転させてキー13が最後に通り抜けたリンクプレート4b又は連結片11に係止させる。
【0045】
この方法では、ピン孔4dと11aのいずれか一方を連結ピン12の差し込み方向前後にそれぞれ設け、図11に示すように、連結ピン差し込み方向前後のピン孔にそれぞれ形成されるキー溝14の位相を異ならせるのがよい。
【0046】
図12に示す回転操作用のレバー12aを設けた連結ピン12は、レバー12aが重みで垂れ下がることから往路、復路で同一姿勢を保つ。これに対し、連結ピン12を通したピン孔4dと11aは、復路から往路に、或いは復路から往路に移るときに180度回転し、これが原因でキー13とキー溝14の位相が一致することが考えられる。
【0047】
この問題に対して、上述したように、連結ピン差し込み方向前後のキー溝の位相を異ならせたものは、キー13と連結ピン差し込み方向前後のキー溝14の位相が同時に揃うことがなくなり、連結ピン12の不測の回転によりキーとキー溝の位相が一致して連結ピンが一気に抜けると言う不具合が起こらない。
【0048】
連結ピンに設けた凸部を係止相手に形成された溝に係合させてその位置で連結ピンの回転を止めるのも連結ピンの抜け防止に有効である。この方法は、キー13を前記凸部として利用することができる。
【0049】
図13の抜け止め処理は、連結ピン12の後部にクリップ部12bを形成し、そのクリップ部12bでデッキモジュール10を挟みつけて連結ピンの戻り方向移動に抵抗を加える。
【0050】
また、図14の抜け止め処理は、連結ピン12の後部に曲げ戻し部12cを形成し、その曲げ戻し部12cをデッキモジュール10の上面に固定したスリーブ12dにスライド可能に組み込み、スリーブ12dに内蔵したばね12eで連結ピン12を差し込み方向に付勢する。この方法でも、ピン孔に対する連結ピン12の差し込み状態を維持することができる。
【0051】
図15の抜け止め処理は、レール支持部15に、連結ピン12の後面に対向するストッパ15aを形成し、そのストッパ15aで連結ピンの抜き取り方向への移動を規制する。ストッパ15aは、レール支持部15をL型鋼(アングル)で形成してそのL型鋼の一部で作り出すことができる。なお、この方法を採用するコンベヤは、ストッパ15aを有するレール支持部15を、復路と始端、終端のターン部にも配置し、適当な位置でレール支持部15を切り欠いてその位置で連結ピンを抜き差しする。
【0052】
図16は、デッキモジュール10の前部のみをコンベヤチェーン4に取り付けた搬送コンベヤの一例である。このコンベヤは、往路では、デッキモジュール10の後部もコンベヤチェーン4によって受け支えられる。
【0053】
しかしながら、復路においては、コンベヤチェーン4によるデッキモジュール10の搬送方向後部の支持が解かれる。そこで、復路にデッキモジュール10を水平姿勢に近い態に傾けて案内する移動ガイド16を代替の支持要素として設けている。その移動ガイド16の働きで、コンベヤチェーン4に固定されていないデッキモジュール10の後部がコンベヤチェーンから大きく離れて垂れ下がることが防止される。
【0054】
以上述べたように、この発明の搬送コンベヤは、複数個のデッキピースを順次ヒンジ結合させたデッキモジュールや所定長さのネットで構成されるデッキモジュールを連続的に連ならせて無端の搬送面を形成している。そして、1つのデッキモジュールを一単位にしてそのデッキモジュールの数箇所をコンベヤチェーンに取り付け、そのことで、スラットバーを個々にコンベヤチェーンに取り付ける形態に比べて取り付け箇所を大幅に削減している。
【0055】
そのために、時間と労力を無駄に費やさずにデッキモジュールを取り外すことができ、デッキモジュールを外すことで搬送面の裏側と、コンベヤの下や側部に隠れていた周辺領域を容易に確実に死角の無い状態に洗浄することが可能になる。
【0056】
特に、デッキモジュールの取り付けを、ピン孔に対して抜き差し自在の連結ピンを用いて行うものは、連結と連結の解除が簡単であり、頻繁な清掃が要求されるときに有利となる。
【符号の説明】
【0057】
1 搬送コンベヤ
2 駆動スプロケット
3 従動スプロケット
4 コンベヤチェーン
4a 転動ローラ
4b リンクプレート
4c アタッチメント
4d ピン孔
5 レール
6 デッキピース
6a 本体部
6b,6c ヒンジ部
6d ピン孔
6e 羽根
7 ヒンジピン
8 ネット
9 補強材
10 デッキモジュール
11 連結片
11a ピン孔
12 連結ピン
12a レバー
12b クリップ部
12c 曲げ戻し部
12d スリーブ
12e ばね
13 キー
14 キー溝
15 レール支持部
15a ストッパ
16 移動ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が駆動スプロケット(2)と従動スプロケット(3)間に個別に掛け渡されて同期駆動される平行配置の複数条の無端のコンベヤチェーン(4)と、そのコンベヤチェーン(4)に所定ピッチで複数個取り付けて無端の搬送面を構成するデッキモジュール(10)を有し、
前記デッキモジュール(10)がコンベヤの始端と終端で前記コンベヤチェーン(4)と一緒に屈曲可能に構成され、そのデッキモジュール(10)の搬送方向前部の左右又は搬送方向前後部の左右が前記コンベヤチェーン(4)に着脱自在に取り付けられ、コンベヤの往路で、このデッキモジュール(10)が前記コンベヤチェーン(4)の各々によって受け支えられるようにした搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記デッキモジュール(10)として、複数個のデッキピース(6)を順次ヒンジ結合させて一方向に連ならせたものを用いた請求項1に記載の搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記デッキモジュール(10)に、前記コンベヤチェーン(4)のリンクプレート(4b)の内側又は外側に沿わせる連結片(11)を垂下して設け、その連結片(11)と前記リンクプレート(4b)に対応させて形成されたピン孔(11a,4d)に連結ピン(12)を挿通して当該デッキモジュール(10)をコンベチェーン(4)に取り付けた請求項1又は2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記連結ピン(12)の外周にキー(13)を設け、前記ピン孔(11a,4d)に前記キーを通過させるキー溝(14)を設け、前記キー溝(14)を通り抜けた前記キー(13)を、前記連結ピン(12)と前記ピン孔(11a,4d)の相対回転により前記キー溝(14)の無い位置で前記ピン孔(11a,4d)を有する前記リンクプレート(4b)又は前記連結片(11)に係止させるようにした請求項3に記載の搬送コンベヤ。
【請求項5】
前記連結ピン(12)の差し込み方向後部にクリップ部(12b)を設け、そのクリップ部(12b)で前記デッキモジュール(10)を挟みつけて当該連結ピンの戻り方向移動に抵抗を加えた請求項3に記載の搬送コンベヤ。
【請求項6】
前記連結ピン(12)の差し込み方向後部に曲げ戻し部(12c)を形成し、その曲げ戻し部(12c)を、ピンの抜き差し方向移動が許容されるように前記デッキモジュール(10)に組み付けてばねで差し込み方向に付勢した請求項3に記載の搬送コンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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