説明

搬送システム及びコンピュータプログラム

【課題】例えば半導体素子製造用の各種基板を収容するFOUP等の被搬送物を搬送する搬送システムにおいて、収容装置における入出庫作業を含めて被搬送物を効率良く搬送する。
【解決手段】搬送システム100は、搬送手段3と、収容装置31に対応する積み降し用箇所に隣接して配置され、積み降し用箇所に位置する搬送手段との間で被搬送物2の積み降しが夫々行われる複数のポート11と、複数のポートの各々と、収容装置における被搬送物を出し入れ可能な出入口との間で、被搬送物を移載可能な移載手段21と、複数のポートのうち被搬送物が載置されていない一の未載置ポートを特定する特定手段と、特定された一の未載置ポートまで被搬送物を搬送すると共に特定された一の未載置ポートに被搬送物が載置されるように、搬送手段を制御する載置制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体素子製造用の各種基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物を搬送する搬送システム、及びコンピュータをこのようなシステムとして機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送システムは、例えば複数の貯蔵容器を有する縦型回転コンベヤストッカを備え、オーバーヘッドホイスト搬送車等の搬送手段が、複数の貯蔵容器の一つにアクセスすることにより、仕掛品パーツ等の被搬送物を、該縦型回転ストッカから直接に取り上げたり配置したりする(言い換えれば、入出庫する)ものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特表2005−530361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の搬送システムによれば、搬送手段は一の貯蔵容器にしかアクセスできないために、多数の被搬送物の入出庫が一度に要求されると、搬送効率が著しく低下してしまいかねないという技術的問題点がある。
【0005】
また、上述した貯蔵容器、言い換えれば、被搬送物を入出庫するためのポートが複数設定されたとしても、本発明者の研究したところによれば、次の問題点がある。例えば、入出庫(例えば、入出庫動作として、搬送先への移動、及び被搬送物の移載)等の搬送指示は、例えば当該搬送システムの上位にある製造システムのコントローラ(以下、単に「上位コントローラ」と言う)から、搬送手段に直接に送られる。この場合に、上位コントローラからの搬送指示は、ポートの数と同数の搬送手段に同時に送られる。即ち、ポートの数分の入出庫が一回に実行可能である。一方で、一回の搬送指示による入出庫が終了するまで、次の搬送指示を送ることができず、時間的にランダムな搬送が要求されると、搬送効率が、特許文献1に記載の搬送システムと同様にして、著しく低下してしまいかねないという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、収容装置における入出庫作業を含めて被搬送物を効率良く搬送可能な搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送システムは上記課題を解決するために、収容装置に対応する積み降し用箇所を含む経路に沿って被搬送物を搬送する搬送手段と、前記積み降し用箇所に隣接して配置され、前記被搬送物を夫々載置可能であると共に前記積み降し用箇所に位置する前記搬送手段との間で前記被搬送物の積み降しが夫々行われる複数のポートと、前記複数のポートの各々と、前記収容装置における前記被搬送物を出し入れ可能な出入口との間で、前記被搬送物を移載可能な移載手段と、前記複数のポートのうち前記被搬送物が載置されていない一又は複数の未載置ポートを特定する特定手段と、前記特定された一の未載置ポートまで前記被搬送物を搬送すると共に前記特定された一の未載置ポートに前記被搬送物が載置されるように、前記搬送手段を制御する載置制御手段とを備える。
【0008】
本発明の搬送システムによれば、例えばFOUP等の被搬送物は、例えばOHT(Overhead Hoist Transport)、ビークル等の搬送手段によって、例えばカルーセルリフタ、ストッカ(或いはスタッカ)等の収容装置間で搬送される。その搬送時には、搬送手段は、例えば半導体素子製造の工場内において、例えば天井又は床面に敷設されたレール等の経路における積み降し用箇所に停止される。ここに「積み降し用箇所」は、複数のポートの各々に対応しており、予め設定されている。このような積み降し用箇所で停止された搬送手段は、例えばグリップ機構により保持している被搬送物を、例えばホイスト機構により下方にあるポートに降す。逆に、積み降し用箇所で停止された搬送手段は、例えばグリップ機構により、ポートから被搬送物を積むことも可能である。尚、このような積み降しは、専ら搬送手段側に設けられたホイスト機構やグリップ機構により行われてもよいが、積み降し用の機構を少なくとも部分的にポート側に設けてもよい。
【0009】
本発明では、例えば積み降し用箇所での停止時に、その積み降しに先立って、搬送手段又は当該搬送システムに備えられたコントローラ等の特定手段によって、複数のポートのうち一又は複数の未載置ポートが特定される。具体的には、例えば、コントローラが各ポートと接続されており、ポートに被搬送物が在るか否かを特定する。このような未載置ポートについての「特定」とは、例えば、センサ等の検知結果に基づいて判定、搬送工程のスケジュール等から推定等すればよく、何らかの形で未載置ポートを特定できればよい趣旨である。一又は複数の未載置ポートが特定されると、搬送手段又は当該搬送システムに備えられたコントローラ等の載置制御手段によって、一の未載置ポートに被搬送物が載置されるように、搬送手段が制御される。例えば各搬送手段で、このような特定及び制御を行う場合に、例えば、上位コントローラは、単に載置位置へ移動する旨の搬送指示を、搬送手段に送ってもよい。この場合に、上位コントローラは、載置すべきポートの特定、及び被搬送物の載置が終了するまで待機する必要がなく、少なくとも載置位置に到着した時点で次の搬送指示を送るようにしてもよい。これにより、ポートの数以上の入庫を同時に行うことが可能となる。
【0010】
本発明では、一の未載置ポートに被搬送物が降されると、例えばコンベア、ロボットアーム等の移載手段によって、被搬送物が、ポートから収容装置の出入口へと移載される。この移載により、被搬送物が収容装置に入庫される。
【0011】
このように、当該搬送システム内で、複数のポートのうち未載置ポートを特定し、搬送手段を予め特定された未載置ポートに呼び込むことによって、複数のポートのうち利用可能な未載置ポート及び移載手段を介して、収容装置へ入庫される被搬送物の数が増大される。よって、収容装置での出庫又は入庫作業における空き時間を効率良く短縮できる。
【0012】
本発明の搬送システムの一態様では、前記載置制御手段は、前記被搬送物を前記収容装置から前記移載手段を介して前記ポートに移載する旨の命令又は更に前記ポートから前記搬送手段に積む旨の命令が発行されるのに先立って、前記特定された一の未載置ポートに、前記被搬送物を搬送するように前記搬送手段を制御する。
【0013】
この態様によれば、例えば上位コントローラから、被搬送物を収容装置からポートに移載する旨の命令又は更に搬送手段に積む旨の命令が発行されるのに先立って、特定手段により特定された一の未載置ポートに、搬送手段が呼び込まれる。すると、搬送手段から未載置ポート及び移載手段を介して収容装置への収容を行うことが可能となる。よって、収容装置での出庫又は入庫作業における空き時間を効率良く短縮できる。
【0014】
この態様では、前記載置制御手段は、前記命令が発行されるのに先立って、前記被搬送物を搬送するように前記搬送手段を制御するのに並行して、前記ポート又は前記移載手段上に既に存在する被搬送物を前記収容装置に移載するように前記移載手段を制御してもよい。
【0015】
このように構成すれば、特定された一の未載置ポートに、搬送手段が呼び込まれるのと並行して或いは同時に、ポート又は移載手段上に既に存在する被搬送物については、収容装置に移載される。よって、収容装置での出庫又は入庫作業における空き時間を、より一層効率良く短縮できる。
【0016】
本発明の搬送車の他の態様では、前記特定手段は、前記複数のポートの各々と通信を行い、前記複数のポートのうち前記経路の最も上流側に位置する第1のポートから前記経路の下流側に向かって順番に、前記一又は複数の未載置ポートの特定を行う。
【0017】
この態様によれば、ポートへの載置に先立って、特定手段によって、第1のポートについて未載置ポートの特定が行われる。特定方法として、具体的には、例えば、特定手段と、第1のポートとの間で無線又は有線の通信が行われる。この通信の状態で、第1のポートの載置面に取り付けられたセンサが、載置面に支持される物体を検知しない場合に、第1のポートに被搬送物が載置されていないとして、第1のポートを未載置ポートとして特定する。このような特定が、第1のポートより下流側にある他のポートについても順番に行われる。これにより、搬送手段が載置位置に到着する前に、未載置ポートを把握しておけば、載置時間が短時間で済み、被搬送物を効率良く搬送することが可能となる。
【0018】
この態様では、前記特定手段は、前記一の未載置ポートを特定した場合に、前記特定された一の未載置ポートより下流側に配置される前記複数のポートの全てについて、前記特定を停止してもよい。
【0019】
このように構成すれば、複数のポートについて未載置ポートの特定中に、特定手段によって、一の未載置ポートが特定されると、他のポートについて特定が停止される。これにより、より上流側にある未載置ポートに被搬送物を載置するように搬送手段を制御すれば、載置位置への到着時間が最短となり、被搬送物を効率良く搬送することが可能となる。
【0020】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記特定手段及び前記載置制御手段は、前記搬送手段に備えられている。
【0021】
この態様によれば、各搬送手段に備えられた特定手段によって、未載置ポートの特定が行われた後、各搬送手段に備えられた載置制御手段によって、特定された未載置ポートに被搬送物が載置される。このような特定及び載置動作が、各搬送手段自身で制御されることによって、入庫される被搬送物の数が増大され、被搬送物を効率良く搬送することが可能となる。
【0022】
本発明の搬送システムの他の態様では、前記複数のポートの各々は、前記移載手段との間で前記被搬送物を水平移動可能に構成されている。
【0023】
この態様によれば、各ポートに被搬送物が載置されると、例えばスライダ機構、ロボットアーム等の水平移動手段によって、被搬送物が、例えば、搬送手段の走行方向と直交する方向に水平移動され、移載手段に載置される。これにより、各ポートに被搬送物が載置されると、即座に各ポートを未載置の状態とすれば、未載置ポートとして特定される時間が長くなり、被搬送物を効率よく搬送することが可能となる。尚、ロボットアームは、被搬送物を底面から支持する又は上部を把持可能とする。この場合に、ロボットアームの数は一又は複数である。
【0024】
この態様では、前記移載手段は、前記複数のポート及び前記収容装置間に配置され、前記経路と並行に延びるコンベアであって、前記コンベアは、前記出入口に隣接するコンベア部分を備えており、前記複数のポートの各々から前記水平移動された被搬送物を前記コンベア部分に搬送してもよい。
【0025】
このように構成すれば、各ポートの各々からコンベアに被搬送物が水平移動されると、コンベアが一方向に回動され、コンベアの上面に支持される被搬送物がコンベア部分に向かって水平移動される。これにより、複数のポートからコンベアに水平移動される被搬送物が複数であっても、複数の被搬送物を、一度にして簡単に効率よく搬送することが可能となる。
【0026】
この態様によれば、前記収容装置の少なくとも一部は、前記出入口が設けられている本体部と、前記本体部内に環状に配列されており、該環状の軌道に沿って回動可能であると共に、前記被搬送物を夫々収容又は載置可能である複数の載置部とを備え、前記複数の載置部は、前記出入口に隣接する一の載置部と、前記一の載置部及び前記コンベア部分間で前記出入口を介して前記被搬送物を水平移動してもよい。
【0027】
このように構成すれば、収容装置の少なくとも一部は、環状の軌道に沿って回動可能な多数の載置部を備える例えばカルーセルリフタである。ここに「環状」は、閉じた路であれば足りる趣旨であり、曲線をなす、即ち、円環状や楕円環状の他、一部に角や直線を含む環状であってもよい。被搬送物がコンベア部分に搬送されると、例えばスライダ機構、ロボットアーム等の水平移動手段によって、被搬送物が、例えば、移載手段の搬送方向と直交する方向に水平移動され、一の載置部に載置される。これにより、例えばカルーセルリフタの複数の載置部の各々に、一定間隔で、一の載置部にある被搬送物が、カルーセルリフタ内に収容(又は載置)され、被搬送物を効率良く入庫することが可能となる。
【0028】
本発明のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、収容装置に対応する積み降し用箇所を含む経路に沿って被搬送物を搬送する搬送手段と、前記積み降し用箇所に隣接して配置され、前記被搬送物を夫々載置可能であると共に前記積み降し用箇所に位置する前記搬送手段との間で前記被搬送物の積み降しが夫々行われる複数のポートと、前記複数のポートの各々と、前記収容装置における前記被搬送物を出し入れ可能な出入口との間で、前記被搬送物を移載可能な移載手段とを備えた搬送システムに備えられるコンピュータを、前記複数のポートのうち前記被搬送物が載置されていない一又は複数の未載置ポートを特定する特定手段と、前記特定された一の未載置ポートまで前記被搬送物を搬送すると共に前記特定された一の未載置ポートに前記被搬送物が移載されるように、前記搬送手段を制御する載置制御手段ととして機能させる。
【0029】
本実施形態のコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムを、搬送システムに備えられたコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを通信手段を介してダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明に係る搬送システムを比較的簡単に構築できる。これにより、上述した本発明に係る搬送システムの場合と同様に、複数のポートのうち未載置ポートを特定し、特定された未載置ポートに被搬送物を載置することによって、入庫される被搬送物の数が増大され、収容装置での出庫又は入庫作業における空き時間を効率良く短縮できる。
【0030】
尚、本発明のコンピュータプログラムにおいても、上述した本発明の搬送システムにおける各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0031】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0033】
実施形態に係る搬送システムの構成について説明する。ここに図1は、実施形態に係る搬送システムの外観を示し、図2は、図1の搬送システムの一の階を模式的に示し、図3は、図1の搬送システムを機能的に示す。
【0034】
図1において、搬送システム100は、複数のレール1、複数のビークル3、複数のポート11、コンベア21、及びカルーセルリフタ31を備える。
【0035】
複数のレール1の各々は、本発明に係る「経路」の一例として、ビークル3が走行するための軌道の役割を果たす。本実施形態では、複数のレール1は、3つのレール1a〜1cから成っている。各レール1a〜1cは夫々、3つのフロアF1〜F3の天井に敷設されている。
【0036】
複数のビークル3の各々は、本発明に係る「搬送手段」の一例として、リニアモータにより駆動される。各ビークル3は、レール1に沿って走行すると共に、不図示のストッカや製造装置、及びカルーセルリフタ31の相互間で、本発明に係る「被搬送物」の一例であるFOUP2を搬送する。各ビークル3は、不図示のグリップ機構及びホイスト機構を備えており、グリップ機構によりFOUP2を保持可能であると共に、ホイスト機構によりグリップ機構を昇降させることでFOUP2を昇降可能である。本実施形態では、各ビークル3は、ホイスト機構による縦移載により、複数のポート11との間で、FOUP2を移載する。
【0037】
複数のポート11は、レール1の下方に配置され、ビークル3との間でFOUP2を積み降し可能である。図2において、複数のポート11は、5つのポート11a〜11eから成っており、走行方向D1における上流側から順に、ポート11a,11b,11c・・として配置されている。本実施形態では、各ポート11は、一対のローラ12、及び不図示の回転機構を備える。一対のローラ12は、ビークル3から載置されたFOUP2を支持すると共に、回転機構により右回りに回動され、支持しているFOUP2を方向D2へ水平移動させる。
【0038】
図3において、各ポート11は、光センサ13、及び通信部14を備える。センサ13は、一対のローラ12の間に取り付けられており、一対のローラ12がFOUP2を支持しているのを検知する。通信部14は、各ポート11に対応するレール1上の載置位置(即ち、本発明に係る「積み降し用箇所」の一例)にビークル3が停止すると、そのビークル3との間で赤外線通信を行う通信状態となる。通信部14は、光センサ13の検知結果を、通信状態のビークル3に送る。
【0039】
図2において、コンベア21は、本発明に係る「移載手段」の一例として、複数のポート11とカルーセルリフタ31との間でFOUP2を移載する。本実施形態では、コンベア21は、複数のポート11と並行に延びており、複数のポート11に対応して、5つのコンベア部分22から成っている。各コンベア部分22は夫々、一対のローラ23、及び不図示の回転機構を備える。一対のローラ23は、各ポート11から水平移動されたFOUP2を支持すると共に、回転機構により同じ又は異なるタイミングで右回りに回動され、支持しているFOUP2を方向D3又はD4へ水平移動させる。
【0040】
5つのコンベア部分22のうち、方向D3の最も下流側にある第5のコンベア部分22eは、カルーセルリフタ31の出入口H1に隣接しており、他の4つのコンベア部分22より90度傾けられて配置されている。このような第5のコンベア部分22eは、他の4つのコンベア部分22、又は対応するポート11aから水平移動されたFOUP2を支持すると共に、方向D4へ水平移動させる。
【0041】
図1において、カルーセルリフタ31は、本発明に係る「収容装置」の一例として、3つのフロアF1〜F3間でFOUP2を搬送可能とする。カルーセルリフタ31は、本体部31a、複数の載置部32、及び不図示の回転機構を備える。本体部31aには、FOUP2の出入口H1が設けられている。複数の載置部32は、本体部31a内に、上下方向に環状に配列されている。各載置部32は、FOUP2を収容(載置)可能であって、回転機構により、連帯して上下方向へ移動される。例えば、図2に示すように、一の載置部32aは、下方向に移動され、一の載置部32aに隣り合う載置部32bは、上方向に移動される。
【0042】
複数の載置部32のうち、出入口H1に対応する位置、具体的には、第5のコンベア部分22eと同じ水平位置に移動された一の載置部32aには、第5のコンベア部分22eから、出入口H1を介して、FOUP2が水平移動される。
【0043】
図3において、搬送システム100は、制御系として、複数のビークル3を総括的に制御する搬送コントローラ10、コンベア21を総括的に制御する移載装置コントローラ30、及びカルーセルリフタ31を総括的に制御する収容装置コントローラ40を備える。搬送システム100は、これらコントローラ10,30,40を総括的に制御して、半導体素子の製造を行う。このような搬送システム100は、製造システム200に組み込まれている。
【0044】
製造システム200は、製造コントローラ50を備える。製造コントローラ50は、製造工程のスケジューリングに従って、搬送コントローラ10に対して、製造指示を送る。
【0045】
搬送コントローラ10は、製造コントローラ50からの製造指示を受けて、搬送工程のスケジューリングを行い、スケジューリングの結果に従って、搬送指示を複数のビークル3に送る。本実施形態では、搬送指示の内容として、搬送元への走行、搬送元からのFOUP2の積載、及び搬送先への走行が含まれている。特に、搬送先への走行として、5つのポート11のうち、最も上流側にある第1ポート11aに対応する載置位置まで走行することが設定されている。
【0046】
各ビークル3は、制御系として、ポート特定部8、及び制御部9を備えており、カルーセルリフタ31への入庫前に、ポート特定処理を行う。
【0047】
ポート特定部8は、本発明に係る「特定手段」の一例として、カルーセルリフタ31に、積載しているFOUP2を入庫するために、5つのポート11のうちの一の未載置ポートを特定する。詳細には、ポート特定部8は、第1ポート11aに対応する載置位置で、第1ポート11aの通信部14との間で通信を行う。この通信状態で、光センサ13による検知の結果が取得可能となる。ポート特定部8は、光センサ13の検知結果に従って、既に第1ポート11aにFOUP2が載置されている場合に、第1ポート11aより下流側にある第2ポート11bについて、未載置ポートの特定を行う。また、既に第2ポート11bにFOUP2が載置されている場合に、第2ポート11bより下流側にある第3ポート11cについて特定を行う。このように、一の未載置ポートを特定するまで、下流側にある他のポート11d,11eについて順番に特定を行っていく。一方、第1ポート11aにFOUP2が載置されていない場合に、第1ポート11aを未載置ポートとして特定する。
【0048】
制御部9は、本発明に係る「載置制御手段」の一例として、ポート特定部8により特定された未載置ポートに、積載しているFOUP2を載置するように、グリップ機構及びホイスト機構を制御する。この制御により、カルーセルリフタ31への入庫時に、より上流側にあるポートに、入庫すべきFOUP2が載置される。
(ポート特定処理)
【0049】
次に、本実施形態の特定手段及び載置制御手段によるポート特定処理について図4から図6を参照して説明する。ここに図4は、本実施形態のポート特定処理を示し、図5は、図4のポート特定処理において、第1ポートへの載置が成功する場合の三者(即ち、製造システム、搬送システム、及び搬送手段)の動作を示し、図6は、第1ポートへの載置が失敗する場合の三者の動作を示す。
【0050】
図4において、先ず、製造コントローラ50によって、搬送コントローラ10に対して製造指示が送られる(ステップS51)。すると、搬送コントローラ10によって、ビークル3に対して搬送指示が送られる(ステップS52)。この際、搬送指示の内容として、カルーセルリフタ31との間の積み降ろしに対応するポート11まで走行する旨が含まれている。すると、ビークル3の制御部9によって、ビークル3本体が搬送元へ移動され、搬送元からFOUP2が積載される(ステップS53)。続いて、搬送先であるカルーセルリフタ31へ向けて移動され、第1ポート11aに対応する載置位置で停止される(ステップS54)。すると、定数nが「1」とされ(ステップS55)、ポート特定部8によって、第nポート、即ち、第1ポート11aにFOUP2が載置可能か否かが判定される(ステップS56)。この判定の結果、既に第1ポート11aに他のFOUP2が載置されており、載置不可能であれば(ステップS56:NO)、図6に示すように、ビークル3によって、搬送システム100に対して、指示された搬送が失敗した旨を示す信号が送られ、搬送コントローラ10によって、ビークル3に対して新たな搬送指示が送られた後に、ポート特定部8によって、定数nが「n+1」とされる(ステップS57)。この場合に、ポート特定部8によって、第1ポート11aの場合と同様に、第n+1ポート、即ち、第2ポート11bにFOUP2が載置可能か否かが判定される(ステップS56)。この判定の結果に従って、載置可能である未載置ポートが見つかるまでステップS56及びS57の処理が繰り返される。
【0051】
一方、ステップS56の判定の結果、FOUP2が第1ポート11aに載置可能であれば(ステップS56:YES)、制御部9によって、ホイスト機構及びグリップ機構が駆動され、第1ポート11aにFOUP2が移載される(ステップS58)。すると、定数nが「0」とされ(ステップS59)、一連のポート特定処理が終了される。
【0052】
この後、図5及び図6において、ビークル3によって、搬送システム100に対して、指示された搬送が成功した旨を示す信号が送られる。すると、搬送システム100によって、製造システム200に対して、該信号が送られる。
【0053】
このように、本実施形態のポート特定処理によれば、当該搬送システム100内で、未載置ポートを特定することによって、未載置ポート及びコンベア21を介して、カルーセルリフタ31へ入庫されるFOUP2の数が増大される。よって、カルーセルリフタ31での入庫作業における空き時間を効率良く短縮できる。
【0054】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る搬送システムの外観を示す斜視図である。
【図2】図1の搬送システムの一の階を模式的に示す平面図である。
【図3】図1の搬送システムを機能的に示すブロック図である。
【図4】本発明のポート特定処理を示すフローチャートである。
【図5】図4のポート特定処理を行うシステム及び搬送手段の動作の一例を示すシークエンスチャートである。
【図6】図4のポート特定処理を行うシステム及び搬送手段の動作の他の例を示すシークエンスチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…レール、2…FOUP、3…ビークル、8…ポート特定部、9…制御部、10…搬送コントローラ、11…ポート、21…コンベア、31…カルーセルリフタ、100…搬送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容装置に対応する積み降し用箇所を含む経路に沿って被搬送物を搬送する搬送手段と、
前記積み降し用箇所に隣接して配置され、前記被搬送物を夫々載置可能であると共に前記積み降し用箇所に位置する前記搬送手段との間で前記被搬送物の積み降しが夫々行われる複数のポートと、
前記複数のポートの各々と、前記収容装置における前記被搬送物を出し入れ可能な出入口との間で、前記被搬送物を移載可能な移載手段と、
前記複数のポートのうち前記被搬送物が載置されていない一又は複数の未載置ポートを特定する特定手段と、
前記特定された一の未載置ポートまで前記被搬送物を搬送すると共に前記特定された一の未載置ポートに前記被搬送物が載置されるように、前記搬送手段を制御する載置制御手段と
を備えることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記載置制御手段は、前記被搬送物を前記収容装置から前記移載手段を介して前記ポートに移載する旨の命令又は更に前記ポートから前記搬送手段に積む旨の命令が発行されるのに先立って、前記特定された一の未載置ポートに、前記被搬送物を搬送するように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記載置制御手段は、前記命令が発行されるのに先立って、前記被搬送物を搬送するように前記搬送手段を制御するのに並行して、前記ポート又は前記移載手段上に既に存在する被搬送物を前記収容装置に移載するように前記移載手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記特定手段は、前記複数のポートの各々と通信を行い、前記複数のポートのうち前記経路の最も上流側に位置する第1のポートから前記経路の下流側に向かって順番に、前記一又は複数の未載置ポートの特定を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記特定手段は、前記一の未載置ポートを特定した場合に、前記特定された一の未載置ポートより下流側に配置される前記複数のポートの全てについて、前記特定を停止することを特徴とする請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記特定手段及び前記載置制御手段は、前記搬送手段に備えられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記複数のポートの各々は、前記移載手段との間で前記被搬送物を水平移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記移載手段は、前記複数のポート及び前記収容装置間に配置され、前記経路と並行に延びるコンベアであって、
前記コンベアは、前記出入口に隣接するコンベア部分を備えており、前記複数のポートの各々から水平移動された被搬送物を前記コンベア部分に搬送する
ことを特徴とする請求項7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記収容装置の少なくとも一部は、
前記出入口が設けられている本体部と、前記本体部内に環状に配列されており、該環状の軌道に沿って回動可能であると共に、前記被搬送物を夫々収容又は載置可能である複数の載置部とを備え、
前記複数の載置部は、前記出入口に隣接する一の載置部と、前記一の載置部及び前記コンベア部分間で前記出入口を介して前記被搬送物を水平移動する
ことを特徴とする請求項8に記載の搬送システム。
【請求項10】
収容装置に対応する積み降し用箇所を含む経路に沿って被搬送物を搬送する搬送手段と、前記積み降し用箇所に隣接して配置され、前記被搬送物を夫々載置可能であると共に前記積み降し用箇所に位置する前記搬送手段との間で前記被搬送物の積み降しが夫々行われる複数のポートと、前記複数のポートの各々と、前記収容装置における前記被搬送物を出し入れ可能な出入口との間で、前記被搬送物を移載可能な移載手段とを備えた搬送システムに備えられるコンピュータを、
前記複数のポートのうち前記被搬送物が載置されていない一又は複数の未載置ポートを特定する特定手段と、
前記特定された一の未載置ポートまで前記被搬送物を搬送すると共に前記特定された一の未載置ポートに前記被搬送物が移載されるように、前記搬送手段を制御する載置制御手段と
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−13250(P2010−13250A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175984(P2008−175984)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】