説明

搬送システム

【構成】 スチールコンベヤ4の下側のベルトで封書等を仕分け、上側のベルトで一般物品を仕分ける。未仕分けメールボックス24から封書を取り出し、下側のベルトにセットし、仕分け装置14で仕分け済みメールボックス26へ仕分ける。仕分け済みメールボックス26を上側のベルトに投入し、ダイバータ9で仕分けて、コンベヤ8へ搬出する。
【効果】 省スペースに、一般物品と封書類を仕分けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、封書等の小物品と一般荷物とを搬送するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スチールベルトを用いたベルトコンベヤを開示している。発明者はこのようなコンベヤを用いて、一般の物品と封書などの小物品の双方を仕分けることを検討した。通常この仕分けでは、最初に一般物品と封書などを分離し、それぞれの仕分けラインで仕分けを行う。しかしながらこれでは、一般物品用と封書用とに2つの仕分けラインが必要で、また仕分け済みの物品を合流させる必要もある。このため広いスペースを設けて、一般物品用と小物品用の2つのラインを平行に配置するか、上下のフロアを用いて2つの仕分けラインを配置する必要がある。
【特許文献1】特開2000−211729
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、設置面積の点でも設置高さの点でも省スペースな、搬送システムを提供することにある。
請求項2の発明での追加の課題は、高さの増加を最小限にしながら仕分けを行うことにある。
請求項3の発明での追加の課題は、下側のベルトで小物品を仕分けて容器に収納し、上側のベルトで容器を仕分けて、省スペースに小物品を仕分けられるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、ベルトコンベヤを用いた搬送システムにおいて、該コンベヤの上下のベルトの上側のベルトと下側のベルトとで、各々逆方向に物品を搬送すると共に、前記下側のベルトでは上側のベルトで搬送される物品よりも背の低い物品を搬送するようにしたことを特徴とする。
【0005】
好ましくは、下側のベルトで搬送される物品を、前記下側のベルトと上側のベルトとの間で仕分けて、ベルトコンベヤ外へ排出するための、仕分け手段を設ける。
【0006】
特に好ましくは、前記下側のベルトに小物品を投入するためのエリアと、前記仕分け手段により排出された小物品を受けるための容器とを設けて、該容器を前記上側のベルトで搬送し、かつ前記上側のベルト上の物品を仕分けるための第2の仕分け手段を設けて、前記容器を前記第2の仕分け手段で仕分ける。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、ベルトコンベヤの上側のベルトと下側のベルトを共に物品の搬送に利用するので、設置面積を小さくできる。また下側のベルトでは背の低い物品を搬送するので、上下のベルト間に大きな高低差を設ける必要が無く、高さの点でも省スペースにできる。
【0008】
請求項2の発明ではさらに、下側のベルトを仕分けラインとして使用し、しかも仕分け手段は上下のベルト間で動作するので、高さ方向に大きなスペースを必要とせずに仕分けを行うことができる。
【0009】
請求項3の発明では、下側のベルトで小物品を容器へ仕分けて、これを上側のベルトで搬送して、容器単位で仕分けることができる。このため小物品を容器へ仕分ける段階と、仕分けられた容器を行き先毎に仕分ける段階を、1つのベルトコンベヤで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0011】
図1〜図6に、実施例とその変形とを示す。図1〜図3の実施例で、2は搬送システムで、ここでは段ボール箱程度のサイズの一般物品と、葉書や封書あるいは薄い雑誌などの小物品とを同時に仕分けることを目的とする。4はスチールコンベヤで、エンドレスのスチールベルトを用いたコンベヤであり、スチールとゴムなどの複合ベルトでもよい。5はスチールコンベヤ4のプーリで、他に図示しないアイドラを配置する。6,7は投入コンベヤで、トラックなどから搬入された物品を投入する。
【0012】
スチールコンベヤ4は上下一対のベルトから成り、上側のベルトに沿って仕分け先毎のコンベヤ8を例えば複数配置し、ダイバータ9で物品を仕分ける。上側のベルトの終点側に、あるいは上側のコンベヤからダイバータ9で分岐させて、バッファコンベヤ10を接続する。12は、仕分け済みのメールボックスを搬送するための、メールボックスコンベヤで、その終点を投入コンベヤ7に接続する。またスチールコンベヤ4の下側のベルトに仕分け装置14を設けて、封書などの物品を仕分ける。
【0013】
16は投入コンベヤ7側に設けたIDリーダで、物品に付されたバーコードやRFIDなどのIDを読み取り、仕分け先を決定する。18は入力端末で、作業者が仕分け先を手入力で入力するためのものである。入力端末18はこれ以外に、搬送システム2全体の制御に用いることができる。トラックなどから着荷する物品には一般物品22と、未仕分けメールボックス24とがあり、ここには封書や葉書などが未仕分けの状態で収容してあり、未仕分けメールボックス24にもIDが付与されているが、IDを付与しなくても良い。26は仕分け済みメールボックスで、仕分け装置14で仕分けられた封書などを収容し、メールボックスコンベヤ12で投入コンベヤ7へ搬送される。
【0014】
一般物品22やメールボックス24,26のIDをIDリーダ16で読み取り、一般物品22や仕分け済みメールボックス26をいずれかのコンベヤ8へとダイバータ9で仕分ける。未仕分けメールボックス24は、例えばダイバータ9による仕分けを受けずに、スチールコンベヤ4の上側のベルトの終点から、バッファコンベヤ10へ入り、ここで開梱し、封書などを1通ずつセットエリア27で下側のベルトへセットする。
【0015】
図2,図3に、上側のベルト28と下側のベルト30との関係を示すと、これらの間には高さ方向にプーリ5の直径に相当する間隔があり、一般物品22と封書32等では搬送方向が逆である。また下側のベルト30では封書32や葉書あるいは雑誌33などを搬送する。搬送される封書32あるいは雑誌33は、そのIDをIDリーダ20で読み取られ、仕分け装置14で仕分けられる。仕分け装置14は、例えばブラシ34などをスチールコンベヤ4の搬送方向とほぼ直角な方向に往復させるようにしてあり、ブラシ34の先端は下側のベルト30の上面に接触して、薄い封筒などでもすくい上げて仕分けられるようにする。図2,図3に示すように、仕分け装置14ではブラシ34が上下のベルト28,30内を往復し、その基部などはスチールコンベヤ4の外部にある。
【0016】
図4,図5に変形例の仕分け装置36を示すと、42はノズルで、封書32などと下側のベルト30との間にエアを吹き付けて、吹き飛ばし、もしくは持ち上げる。そして持ち上げられた封書32を、ブラシ44で仕分け済みメールボックス26へと仕分ける。45はノズル42やブラシ44を往復動させるためのチェーンである。
【0017】
ここで変形例の場合も実施例の場合も、ベルト28,30はスチールのみの単層でも良いが、例えばスチールベルト30とゴムベルト40とを積層した複合ベルトでもよい。この場合、ゴムベルト40が下側のベルトの上面に表れて、封書32などの搬送に用いられるようにし、ゴムベルト40には例えば搬送方向にほぼ直角な溝41を設けて、ノズル42からのエアが溝41を介して封書32の下側に入り込んで、浮き上がらせやすくする。またブラシ34,44の先端が溝41に入り込んで、薄い葉書や封書でも確実に仕分けられるようにする。
【0018】
図6に実施例と変形例に共通の全体動作を示す。トラックから一般物品や未仕分けメールボックスなどの物品が着荷すると、投入コンベヤ6へ投入し、仕分け済みのメールボックスと合流させて、IDリーダ16によりIDを読み取る。次いでこれらの物品を上部のベルト28に投入し、読み取ったIDに従い、あるいはバーコードやRFIDなどに記載の行き先に従い、ダイバータ9で選別する。そして未仕分けメールボックス24をバッファライン10へ排出し、開梱した後に、例えば手作業で封書などを1通ずつセットエリア27で下側のベルト30上にセットする。次に下側のベルト30に対して設けたIDリーダ20で封書32などのIDを読み取り、これに従って仕分け装置14を動作させて仕分けを行い、仕分け済みメールボックス26に収容する。仕分け済みメールボックス26に封書などが蓄積されると、メールボックスコンベヤ12へ搬出し、投入コンベヤ7で着荷物品に合流させ、仕分け済みメールボックスに記載のIDにより、ダイバータ9により仕分けて、仕分け先毎のコンベヤ8へ排出する。
【0019】
実施例では以下の効果が得られる。
(1) スチールコンベヤ4の上側のベルトと下側のベルトを、共に搬送に用いることができる。
(2) 下側のベルトでは封書などの背の低い物品を搬送するので、上下のベルト間の高さを大きくする必要がない。
(3) 封書などの小物品を仕分けるための仕分け装置14,36は比較的小さなもので良く、上下のベルトの間にブラシなどの仕分け部を収容できる。
(4) ベルトを複合ベルトとし、例えば上側のベルトでの搬送面には摩擦係数の小さなスチールベルト38を用いるので、小さな力で一般物品を仕分けることができる。また下側のベルトの搬送面には、溝付きのゴムベルト40などの溝のあるものを用いるので、仕分け用のブラシの先端やエアなどが、ベルトと封書などの間に入り込むことができる。
(5) 一般物品と未仕分けの封書などを、1つのスチールコンベヤ4を中心とするシステムで仕分けることができる。この場合、未仕分けの封書については、未仕分けメールボックス24単位でバッファコンベヤ10まで搬送し、下側のベルトで仕分け済みメールボックス26へと仕分ける。このメールボックス26を上側のベルトで仕分け先毎に仕分ける。
(6) 上側のベルトでは、未仕分けメールボックスの単位で封書を搬送するので、一般物品などと接触して封書が汚損することがない。
【0020】
なお、実施例では、一般物品の仕分けにダイバータ9を用いたが、一般の物品を確実に仕分けることができれば、ダイバータに限定されるものではなく、物品が比較的小型であれば、例えば、仕分け装置14と同様の機構でブラシの代わりに硬質樹脂を用いたもの等でもよい。
封書等の仕分け装置14も封書等の背の低い物品を確実に仕分けることができれば、実施例の仕分け装置に限定されるものではなく、スチールコンベヤの搬送方向に沿って物品が通過可能な間隔を開けて一対のパドルを設け、パドルが搬送方向とほぼ直角な方向に往復動するようにしてもよい。パドルの材質は、封書等の物品が仕分けられる程度の硬さを有している例えば、ブラシや耐摩耗性に優れた柔らかい樹脂とする。
【0021】
実施例では、一般物品と未仕分けの封書などの双方の仕分けを示したが、封書のみの仕分けを行うようにしても良い。この場合は、投入コンベヤ6は不要で、トラックなどから到着した封書は、バッファコンベヤ10へ搬入して開梱し、セットエリア27から封書を投入すると良い。

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例の搬送システムのレイアウトを示す平面図
【図2】実施例をコンベヤ上部を切り欠いて示す要部平面図
【図3】実施例の要部側面図
【図4】変形例の要部鉛直方向断面図
【図5】実施例で用いたスチールベルトの側面図
【図6】実施例での仕分アルゴリズムを示すフローチャート
【符号の説明】
【0023】
2 搬送システム
4 スチールコンベヤ
5 プーリ
6,7 投入コンベヤ
8 仕分け先毎のコンベヤ
9 ダイバータ
10 バッファコンベヤ
12 メールボックスコンベヤ
14,36 仕分け装置
16,20 IDリーダ
18 入力端末
22 一般物品
24 未仕分けメールボックス
26 仕分け済みメールボックス
27 セットエリア
28 上側のベルト
30 下側のベルト
32 封書
33 雑誌
34,44 ブラシ
38 スチールベルト
40 ゴムベルト
41 溝
42 ノズル
45 チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤを用いた搬送システムにおいて、
該コンベヤの上下のベルトの上側のベルトと下側のベルトとで、各々逆方向に物品を搬送すると共に、前記下側のベルトでは上側のベルトで搬送される物品よりも背の低い物品を搬送するようにしたことを特徴とする、搬送システム。
【請求項2】
下側のベルトで搬送される物品を、前記下側のベルトと上側のベルトとの間で仕分けて、ベルトコンベヤ外へ排出するための、仕分け手段を設けたことを特徴とする、請求項1の搬送システム。
【請求項3】
前記下側のベルトに小物品を投入するためのエリアと、前記仕分け手段により排出された小物品を受けるための容器とを設けて、該容器を前記上側のベルトで搬送し、
かつ前記上側のベルト上の物品を仕分けるための第2の仕分け手段を設けて、前記容器を前記第2の仕分け手段で仕分けるようにしたことを特徴とする、請求項2の搬送システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−248642(P2006−248642A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65115(P2005−65115)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】