説明

搬送ベルトおよび搬送装置

【課題】搬送ベルト表面をフラット状に維持しつつベルト基材を支持部材に固定し、搬送物の傷つきや滞留・引掛りの無いベルトを提供する。
【解決手段】線材がらせん状に加工されたらせん1と、該らせん1を連結するロッド2とから構成されたベルト基材14と、その両端に位置して該ベルト基材14を搬送するための搬送チェン7と、両端のチェン7との間に縣架されて該ベルト基材14に掛かる荷重を支持して,かつ搬送チェン7の動力を該基材ベルト14に伝達する支持部材5とからなる搬送ベルト15において、その搬送面裏側に位置する部分が他の周辺らせん1よりも大きく形成されたリンクらせん3が組み込まれていて、ベルト基材14の裏面に形成されるリンクスペースにリンクロッド4が通され、該リンクロッド4と係合して該支持部材5を該ベルト基材14に締結する締結部材6としてベルト基材14の一部を使用するなどの手段で解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を搬送する搬送ベルト、および搬送装置に関する。
さらに詳しくは、搬送ベルトの表面に従来突出していた、搬送ベルトを支持する支持部材を搬送ベルトと締結するための押さえ金具・ボルトなどをなくし、コンベア表面をフラットに形成した搬送ベルト、および搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品の搬送、熱処理などのために各分野の製造業で、さまざまな搬送ベルト、搬送装置が利用されている。特に熱処理や乾燥などを行いながら搬送する場合には、その熱効率を向上させるために線材をコイル状に加工したものを連結し、開口部(隙間)のあるベルトが利用されている。図5に示されるように、従来はベルト基材14を支持する支持部材5をベルト基材14と締結するための手段として、当該ベルト基材14の表面に押さえ金具9を使用し、ベルト基材14を挟んで該押さえ金具9と支持部材5を押さえ金具取り付けボルト10などで締結し、支持部材5をチェン7に懸架させてチェン7により搬送ベルト15を駆動させていた。しかし、この場合には搬送ベルト15の表面に突出する押さえ金具9や押さえ金具取り付けボルト10の頭などによって搬送物が傷ついたり、押さえ金具9に搬送物が引っかかってしまうなどの問題が指摘されていた。
【0003】
上記背景技術として記載した技術を請求した特許文献は見当たらないが、本発明と一部が類似する従来特許文献として以下のものがある。
【特許文献1】:特許平7−223713
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、背景技術として記載したような、搬送物を傷つける要因となるベルト表面に突出する押さえ金具やボルト等を除去して搬送ベルト表面をフラット状に維持しつつベルト基材を支持部材に固定し、搬送物の傷つきや滞留・引掛りの無いベルトを開発するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
搬送ベルト表面に異物を突出させることなくベルト支持部材をベルト基材に固定することを目指し、さまざまな固定方法を検討した。その結果、線材がらせん状に加工されたらせんと、該らせんを連結するロッドとから構成されたベルト基材と、その両端に位置して該ベルト基材を搬送するための搬送チェンと、両端のチェンとの間に縣架されて該ベルト基材に掛かる荷重を支持して,かつ搬送チェンの動力を該基材ベルトに伝達する支持部材とからなる搬送ベルトにおいて、その搬送面裏側に位置する部分が他の周辺らせんよりも大きく形成されたリンクらせんが組み込まれていて、その結果、組み立てられたベルト基材の裏面において形成されるリンクスペースにリンクロッドが通され、該リンクロッドと係合して該支持部材を該ベルト基材に締結する締結部材を用い、該締結部材としてベルト基材の一部を使用したりするなどの手段で目的を達成した。
【0006】
本発明は線材がらせん状に加工され、該らせん同士を絡めて連結されたベルト基材を用いた搬送ベルトに関しても同様に適用可能であることは当該分野の同業者においては自明のことである。
【発明の効果】
【0007】
従来の搬送ベルトにおいて搬送物を傷つける要因となっていた、ベルト表面に突出する押さえ金具やボルト等を使用することなく搬送ベルト表面をフラット状に維持しつつ支持部材をベルト基材に固定した搬送ベルトの出現により、
1) 搬送物への処理が均一になり、効率が高まる
2) 搬送ベルトの搬送面に突起や部材などが存在しないため、搬送物の傷つきや滞留を防ぐことが出来る
3) 搬送ベルトの汚れが減少し、洗浄回数が減少し、製品への悪影響が減少する
などの大きな効果が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一例を図1に示す。らせん状に加工されたらせん1とらせんの一部が大きく膨らんだリンクらせん3とを締結するロッド2によって連結構成されたベルト基材14が構成され、該ベルト基材14の一部として組みこまれるリンクらせん3のベルト裏面に構成される空間にリンクロッド4が通され、該ベルト基材14の荷重を支持する支持部材5を該ベルト基材14に締結させる締結部材6をリンクロッド4を介して該ベルト基材14に連結固定させ、さらに該支持部材5に動力を伝えるチェン7に装備されているチェン締結部材11に、該支持部材5は支持部材取り付けボルト8により固着される。
リンクらせん3と係合する締結部材6には、ベルト基材14の一部を使うことで支持部材5に巻きつける事ができ、支持部材5の形状に左右されずに締結しやすくなる。また、リンクらせん3、ベルト基材14と同じ幅の締結部材6を用いる事によってリンクらせん3と締結部材6に掛かる力を均一に分散できる。
【0009】
本発明の他の一例を図2に示す。らせん状に加工されたらせん1とらせんの一部が大きく膨らんだリンクらせん3とを締結するロッド2によって連結構成されたベルト基材14が構成され、該ベルト基材14の一部として組みこまれるリンクらせん3のベルト裏面に構成される空間にリンクロッド4が通され、該ベルト基材14の荷重を支持する支持部材5を該ベルト基材14に締結させる締結部材6をリンクロッド4を介して該ベルト基材14に連結固定させ、さらに該支持部材5に動力を伝えるチェン7に装備されているチェン締結部材11に、該支持部材5は支持部材取り付けボルト8により固着される。
リンクらせんと3係合する締結部材6には金属板の加工品を用いている。金属板の加工品の締結部材6を使用した場合、搬送物の荷重が大きく搬送ベルト下面に受けレールが必要なときに締結部材6を受けレールに乗せるようにする事で、ベルト基材14が直接磨耗しないため、磨耗に強い構造とする事ができる。
【0010】
本発明に関する他の一例を図6に示す。らせん状に加工されたらせん1とらせんの一部が大きく膨らんだリンクらせん3とを直接絡めて連結構成されたベルト基材14が構成され、該ベルト基材14の一部として組みこまれるリンクらせん3のベルト裏面に構成される空間にリンクロッド4が通され、該ベルト基材14の荷重を支持する支持部材5を該ベルト基材14に締結させる締結部材6をリンクロッド4を介して該ベルト基材14に連結固定させ、さらに該支持部材5に動力を伝えるチェン7に装備されているチェン締結部材11に、該支持部材5は支持部材取り付けボルト8により固着される。
リンクらせん3と係合する締結部材6には、ベルト基材14の一部を使うことで支持部材5に巻きつける事ができ、支持部材5の形状に左右されずに締結しやすくなる。また、リンクらせん3、ベルト基材14と同じ幅の締結部材6を用いる事によってリンクらせん3と締結部材6に掛かる力を均一に分散できる。
【0011】
本発明に関する他の一例を図7に示す。らせん状に加工されたらせん1とらせんの一部が大きく膨らんだリンクらせん3とを直接絡めて連結構成されたベルト基材14が構成され、該ベルト基材14の一部として組みこまれるリンクらせん3のベルト裏面に構成される空間にリンクロッド4が通され、該ベルト基材14の荷重を支持する支持部材5を該ベルト基材14に締結させる締結部材6をリンクロッド4を介して該ベルト基材14に連結固定させ、さらに該支持部材5に動力を伝えるチェン7に装備されているチェン締結部材11に、該支持部材5は支持部材取り付けボルト8により固着される。
リンクらせんと3係合する締結部材6には金属板の加工品を用いている。金属板の加工品の締結部材6を使用した場合、搬送物の荷重が大きく搬送ベルト下面に受けレールが必要なときに締結部材6を受けレールに乗せるようにする事で、ベルト基材14が直接磨耗しないため、磨耗に強い構造とする事ができる。
【0012】
好ましくはリンクらせん3は、進行方向の長さをらせん1と同一とする事で、搬送面から見たときにリンクらせん3と他のらせん1は同様に見え、搬送面の平滑性と均一性がリンクらせん3の無い搬送ベルトと同等に保たれる。また、リンクらせん3は搬送ベルト真横から見て搬送面が水平となるような三角形とする事で、リンクロッド4がリンクらせん3の下側頂点の内周側に掛かって安定しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
傷の付きやすい搬送物を搬送する搬送装置、搬送面の均一性を要求する搬送物を搬送する搬送装置として有効であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を説明する図面
【図2】本発明の他の実施例を説明する図面
【図3】らせん
【図4】リンクらせん
【図5】従来の締結方法
【図6】本発明に関する他の実施例
【図7】本発明に関する他の実施例
【符号の説明】
【0015】
1.らせん
2.ロッド
3.リンクらせん
4.リンクロッド
5.支持部材
6.締結部材
7.チェン
8.支持部材取り付けボルト
9.押さえ金具
10.押さえ金具取り付けボルト
11.チェン締結部材
14.ベルト基材
15.搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材がらせん状に加工されたらせんと、該らせんを連結するロッドとから構成されたベルト基材と、該ベルト基材の両端に位置して該ベルト基材を搬送するための搬送チェンと、両端のチェンの間に縣架されて該ベルト基材に掛かる荷重を支持して、かつ搬送チェンの動力を該基材ベルトに伝達する支持部材とからなる搬送ベルトにおいて、該ベルト基材の搬送面裏側に位置する一部分が他の周辺らせんよりも大きく膨らんで形成されたリンクらせんが組み込まれていて、その結果、組み立てられたベルト基材の裏面において形成されるリンクスペースにリンクロッドが通され、該リンクロッドと係合して当該支持部材を当該ベルト基材に締結する締結部材からなることを特徴とする搬送ベルト。
【請求項2】
線材がらせん状に加工され、該らせん同士を絡めて連結されたベルト基材と、その両端に位置して該ベルト基材を搬送するための搬送チェンと、両端のチェンの間に縣架されて該ベルト基材に掛かる荷重を支持して,かつ搬送チェンの動力を該基材ベルトに伝達する支持部材とからなる搬送ベルトにおいて、その搬送面裏側に位置する部分の一部が他の周辺らせんよりも大きく膨らんで形成されたリンクらせんが組み込まれていて、その結果、組み立てられたベルト基材の裏面において形成されるリンクスペースにリンクロッドが通され、該リンクロッドと係合して当該支持部材を当該ベルト基材に締結する締結部材からなることを特徴とする搬送ベルト。
【請求項3】
請求項1、請求項2において、締結部材として必要長さ分のベルト基材の一部を用いた搬送ベルト。
【請求項4】
請求項1、請求項2において、金属板を加工した締結部材を用いた搬送ベルト。
【請求項5】
請求項1、または請求項2、または請求項3、または請求項4に記載の搬送ベルトを用いた搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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