説明

搬送ベルトの駆動機構

【課題】 回転帯に対し磁石を埋設した磁石ホルダが着脱可能に取付けられた挟持搬送方式の駆動機構において、磁石ホルダを回転帯に対して定着保持する部材に負荷が作用しても、該部材が損傷し、脱落することのない駆動機構を提供する。
【解決手段】 無端状の搬送ベルト3を、挟持回動する上下一対の駆動ユニット4a,4bからなる搬送ベルトの駆動機構であって、各駆動ユニット4a,4bは無端状の回転帯8と、その回転帯の周方向に沿い所定間隔を置いて配置固定した磁石ホルダ10とで構成され、該磁石ホルダには前記回転帯に対して嵌着する差込み溝15a,15bを切欠した凸部14a,14bが対向して突出形成され、更に回転帯8の幅方向側端と各磁石ホルダ10の差込み溝15aとの間に生じる隙間Sに、屈曲性を有した帯状部材13を複数の磁石ホルダ10に亘って挿通配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無端状の搬送ベルトを駆動する駆動機構に関し、更に詳しくは搬送ベルトを上下より挟んで駆動する駆動ユニットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
無端状の搬送ベルトを駆動回転させる駆動機構として、該搬送ベルトを巻回支持する一方のテールローラ、或いは両方のテールローラ間に配置され搬送ベルトが掛け回されている駆動プーリを回転して、搬送ベルトを摩擦力で回動させる摩擦駆動方式が一般的である。
しかし、この摩擦駆動方式は搬送ベルトと、テールローラや駆動プーリとの接触面に粉末、液体等が付着した場合、スリップして駆動力の伝達にロスが生じるといった問題点を有する。
【0003】
そこで、本件出願人は摩擦駆動方式の問題点を解決する新しい駆動方式を開発し、提案した。
その新しい駆動方式は、無端回動する回転帯(歯付ベルト)に磁石を埋設固定した磁石ホルダを一定間隔で固定した駆動ユニットを、搬送ベルトの往路側(又は復路側或いは往路と復路の両方)を挟むように上下に配置し、上下の駆動ユニットの磁石ホルダに埋設固定した磁石同士の吸着作用で搬送ベルトを挾着し、その挾着した状態で回転帯が回動することで、搬送ベルトが回動する方式である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、この新しい駆動方式は、搬送ベルトの形状がストレートであるストレートコンベヤだけでなく、扇形をしたカーブコンベヤにも適用されている。
ところで、上記駆動ユニットを構成する回転帯に対する磁石ホルダの取付けは、例えば、特許文献1の他に本件出願人が先に出願した特願2006−336962号にあるように、磁石を埋設固定した合成樹脂製のホルダの搬送ベルトを挾着する面と反対側の面に相対向して凸部を突設し、その凸部の相対向する面に回転帯の幅方向の側縁が嵌入する差込み溝が形成されている。そして、磁石ホルダを前記差込み溝によって回転帯に対して着脱可能とするために、前記凸部に形成する差込み溝の深さは、一方を他方の略倍の深さに形成し、それにより最初深い差込み溝を回転帯の一方側縁に差し込んで該回転帯を凸部間に嵌め込み、次に磁石ホルダを回転帯の幅方向に沿いスライドさせて、該磁石ホルダの浅い差込み溝を回転帯の反対側側縁に嵌着する。それにより、磁石ホルダの両方の凸部の差込み溝が回転帯に嵌着される。そして、深い差込み溝側には回転帯の側端との間に隙間が生じるが、凸部の外側から固定ブラケットを差し込んで前記隙間を埋め、磁石ホルダが回転帯に対して幅方向に移動しないように構成されている。
【0005】
上記駆動ユニットで構成した駆動機構をカーブベルトコンベヤの駆動機構として用いる場合、該駆動ユニットは無端状カーブベルトの外周縁部寄りで、且つ該カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に配置される。そして、この状態で駆動ユニットを回動すると、カーブベルトを挟む上下の駆動ユニットの磁石ホルダが吸着作用により吸着し合い、回転帯の回動により無端状カーブベルトを挟持して移動し、結果、カーブベルトは回動される。そして、前記駆動ユニットによる挟持移動により、カーブベルトを径方向外側に付勢する力が発生し、カーブベルトは安定した走行が維持される。
【0006】
しかし、カーブベルトは回動すると、該カーブベルトは常に旋回中心(径方向内側)に向かって移動する力が発生する。それにより、該カーブベルトを挟持する駆動ユニットの磁石ホルダを取り付けた回転帯は、極端に言うと、カーブベルトの旋回中心方向へ移動する力によって弓なり(旋回中心方向に向かって引っ張られる)に変形され(図1の仮想線の状態)、その変形は回転帯を駆動するベルト進行方向下流側のスプロケット(又はローラ)と噛み合う位置で元の適正な軌道に戻される。この時、磁石ホルダが回転帯に対して幅方向に移動しないように凸部に挿入されている固定ブラケットに負荷が掛かり、それにより、固定ブラケットが損傷し、凸部から外れ、磁石ホルダが回転帯に対してぐらつき、カーブベルトの回動が不安定になるといった問題点を有する。尚、この問題点は、固定ブラケットが径方向外側を向くように回転帯を配置した場合も、カーブベルトには径方向外側への付勢力が作用するため、同じように発生する。
【0007】
【特許文献1】特開2007−106595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、回転帯に対し磁石を埋設した磁石ホルダが着脱可能に取付けられた挟持搬送方式の駆動機構において、磁石ホルダを回転帯に対して定着保持する部材に負荷が作用しても、該部材が損傷し、脱落することのない駆動機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に本発明の搬送ベルトの駆動機構は、回転帯の周方向に挟持部材を一定間隔で定着保持する部材を、回転帯に沿って配置される複数の挟持部材に亘って配置される帯状部材とした。
即ち、所定間隔をおいて配置された折り返し部材に亘り回転可能に巻回された無端状の搬送ベルトを、挟持回動する上下一対の駆動ユニットからなる搬送ベルトの駆動機構であって、
前記上下の各駆動ユニットは無端状の回転帯と、その回転帯の周方向に沿い所定間隔を置いて配置固定した挟持部材とで構成され、該挟持部材は搬送ベルトを挟持する面と反対側の面に前記回転帯を嵌着する差込み溝を切欠した凸部が対向して突出形成され、更に回転帯の幅方向側端と各挟持部材の差込み溝との間に生じる隙間に、屈曲性を有した帯状部材を前記回転帯に沿って挿通配置したことを特徴とする(請求項1)。
搬送ベルトを回転可能に支持する折り返し部材としては、ベルトコンベヤにおいて一般的に用いられているローラ(テールローラ)、平板(ナイフエッジ)等が挙げられる。
【0010】
前記挟持部材は、内部に磁石、或いは磁石と吸着作用を生じる金属板等を埋設した合成樹脂製の磁石ホルダで構成される。
前記帯状部材としては、回転帯と一緒に回動しても切断し難い部材、例えば搬送ベルト(材質:ポリウレタン)と略同じ構成のベルトを、前記隙間の寸法に合わせて裁断したもの、或いは内部に芯線等を埋設したケーブル、丸ベルト等が挙げられる。更に、前記隙間に挿通する帯状部材は1本とは限らず、幅が狭い帯状部材であれば複数本を束ねて挿通するなどしてもよい。
又、前記帯状部材は、回転帯に沿って取付けられる挟持部材の複数個に亘って挿通配置するが、その個数は2個以上であればよく、回転帯の周方向に沿って複数本の帯状部材を直列に配置する、或いは回転帯に取付ける全部の挟持部材に亘って1本の帯状部材を挿通配置する等、何れでもよい。
【0011】
上記手段によれば、回転帯に対して挟持部材は差込み溝に挿通された帯状部材によって回転帯の幅方向への移動が防止され、回転帯に対してぐらつきなく定着保持される。それにより、上下の回転帯の挟持部材の吸着作用で搬送ベルトを確実に挟持し、安定した回動が維持される。そして、回転帯の挟持部材に前記したような負荷が作用しても、該挟持部材の差込み溝の隙間を埋める帯状部材は複数の挟持部材に亘って挿通されている為、個々の挟持部材に夫々嵌着されていた固定ブラケットに生じた破損、脱落という現象は生じず、長期に亘って安定した駆動を確保することができる。
【0012】
又、前記帯状部材は回転帯の周方向に沿い複数の挟持部材に亘って挿通されるが、その挿通の一形態として、例えば帯状部材の長手方向を連結し無端状に形成する(請求項2)、或いは複数の挟持部材に亘って挿通した帯状部材が、回転帯の回動方向に対し抜けないように、後端部に抜止を形成する(請求項3)など、何れでもよい。
帯状部材の長手方向を連結する方法としては、接着剤による接着、熱溶着、縫着等、何れでもよい。又、抜止の処理としては、例えば、後端側に拡大頭部を一体に膨出形成する、或いは後端側を回転帯に接着、熱溶着等によって固定する等が挙げられる。
【0013】
前記手段によれば、帯状部材が無端状、或いは長手方向の後端側が抜止されていることで、該帯状部材が挟持部材単位で破損し、脱落するのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の搬送ベルトの駆動機構は、請求項1に記載の構成により、回転帯に対する挟持部材の定着を簡単に行うことができる。しかも、挟持部材の差込み溝内に生じる隙間を埋める帯状部材は、複数個の挟持部材に亘って挿通されているため、本駆動機構をカーブベルトの駆動機構として用いた場合に挟持部材に作用する負荷で、前記帯状部材が挟持部材単位で破損、脱落するのを確実に防止することができる。従って、従来構造の固定ブラケットの脱落による食品等への異物混入の問題を改善することが出来る。そして、長期に亘って安定した挟持搬送の駆動力を付与することができる駆動機構を提供できる。
又、回転帯に対し挟持部材を所定位置に定着する部材の取り付けも、従来の磁石ホルダ毎に取り付けていた構造に比較して、帯状部材を複数の挟持部材に亘って挿通するだけであるため、駆動ユニットの組み立てを手軽に行うことができる。
更に、従来の固定ブラケットを用いた構造に比べ、挿通した帯状部材の全側面で力を受けるので回転帯との接触範囲が増大し、力が分散され帯状部材が破損しにくくなる。また、回転帯の損傷も軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤAを示し、該カーブベルトコンベヤAは、平面略扇形状をした平板状のフレーム1の周方向両側部に、折り返し部材のテールローラ2,2’が平面視90°の開き角度をおいて回転自在に架設され、その両テールローラ2,2’に亘って無端状カーブベルト(搬送ベルト)3が巻装されて平面視略円弧形状の搬送路が構成されている。そして、前記フレーム1における周方向の中程位置には、該無端状カーブベルト3の旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lに対し直角に交差する線Y上に前記無端状カーブベルト3の復路側の外周縁部を上下より挟持する上下一対の駆動ユニット4a,4bとからなる駆動機構4が配置され、その駆動機構4を構成する駆動ユニット4aを駆動回転する動力源5が前記フレーム1の外周縁に沿って設置されている。
【0016】
フレーム1の周方向両側部に架設される折り返し部材のテールローラ2,2’は、短円筒状に形成した多数の小ローラ2aを、無端状カーブベルト3のベルト幅に対応してテールローラ軸2bの外側に回転自在に嵌装することにより、軸長に亘って同径の長軸状ローラとして構成されている。
そして、小ローラ2aを回転自在に支持したテールローラ軸2bは、それぞれフレーム1の両側部における内周部と外周部に設けた、フレーム1の軸受け部材6a,6b及び7a,7bの間に亘って水平に架設支持され、両テールローラ軸2bの軸芯相互は平面視90°の開き角で配置される。尚、上記両テールローラ軸2bの外径の延長線が交差する箇所に無端状カーブベルト3の旋回中心Oが位置するように設定してある。
【0017】
上記テールローラ2,2’間に巻装される無端状カーブベルト3は、略切頭円錐形をなしたドーナツ状のシートとして構成され、これを扁平に折畳んで平面扇形状態として、前記フレーム1の中心側から、外周部となる大径側を嵌装する。それにより、平面視略扇状の円弧形となる搬送路が構成される。尚、この無端状カーブベルト3としては、その肉厚内に、ベルト幅方向に向かって強靭な線材(芯材)を放射状に内設し、ベルト幅方向と回転方向とを均等に圧縮強度を増大したものを使用するのが好ましい。該ベルトの材質としては、例えばポリウレタン樹脂が挙げられる。
そして、テールローラ2,2’間に巻装された無端状カーブベルト3の往路側3aの略全面は、該テールローラ2,2’を支持する平板状のフレーム1で下側から支承されるように構成されている。尚、フレーム1の周方向の両端縁は、前記テールローラ2,2’の近傍まで延びている。
【0018】
上記無端状カーブベルト3を駆動回転する駆動機構4は、該無端状カーブベルト3の復路側3bの外周縁寄りのベルト内側(上側)に配置した無端回動する駆動ユニット4aと、前記駆動ユニット4aと対応させて復路側3bのベルト外側(下側)に配置した無端回動する従動タイプの駆動ユニット4bとで構成されている。
【0019】
以下、駆動機構4を構成する駆動ユニット4aと従動タイプの駆動ユニット4bについて説明する。尚、駆動ユニット4aと従動タイプの駆動ユニット4bは、同じ構造である為、以下、駆動ユニット4aについて説明する。
駆動ユニット4aは、内周面に歯部を突出形成した歯付ベルト(タイミングベルト)からなる回転帯8の平坦な外周面に、磁石9を埋め込んだ挟持部材(以下、磁石ホルダという)10が歯付ベルトの周方向に一定ピッチで取り付けられて構成されている。そして、この駆動ユニット4aは、フレーム1の周方向中程位置の外周縁に沿って鉛直に固着した取付板12に、所定の間隔をおいて回転自在に軸支した歯付プーリ11に亘って巻装されている。そして、一方の歯付プーリ11が動力源5によって駆動回転するように構成されている。尚、歯付プーリ11を動力源5で駆動する方式は、歯車伝達方式、ベルト伝達方式等、何れでもよい。
【0020】
回転帯8に対する磁石ホルダ10の取り付けは、矩形平板状の磁石9を埋め込み固定した磁石ホルダ10が帯状部材13を用いて回転帯8に定着固定されている。
磁石9を内蔵する磁石ホルダ10は、図4に示すように、合成樹脂材によって回転帯8の幅方向を跨ぐ長さのプレート状に形成され、その一側面の長さ方向両側部には前記回転帯8が挟入される差込み溝15a,15bを形成する凸部14a,14bが突出形成されている。そして、差込み溝15a,15bを形成する凸部14a,14bは、該磁石ホルダ10を回転帯8に対して着脱する為、一方の凸部14aの差込み溝15aが、他方の凸部14bの差込み溝15bの略倍の深さに形成されている。その為に、回転帯8を差込み溝15a,15b間に挟入した状態では、該回転帯8と磁石ホルダ10は相対して回転帯8の幅方向に移動自在となる。
【0021】
その為、回転帯8に対して磁石ホルダ10を移動しないように定着保持する為に、差込み溝15aと15bとによって磁石ホルダ10を回転帯8に嵌着後、磁石ホルダ10を溝の深さが浅い差込み溝15b側に移動させて、もう一方の溝の深い差込み溝15aの内面と回転帯8の側端面との間に隙間Sを作り、その隙間Sにその隙間寸法に相当する幅を有した屈曲可能な帯状部材13を挿通充填させて、回転帯8に対して磁石ホルダ10が幅方向に移動しないように構成されている。
【0022】
前記帯状部材13を磁石ホルダ10の凸部14aにおける差込み溝15aに生じた隙間Sに対する挿通は、回転帯8に対し周方向に一定間隔をおいて定着される各磁石ホルダ10の隙間Sに亘って帯状部材13を挿通する。
その帯状部材13の挿通形態としては、回転帯8に定着された各磁石ホルダ10の隙間Sに亘って長尺の帯状部材13を順次挿通し、回転帯に沿い1周した帯状部材13の先端と後端を連結して回転帯8と同様無端状(環状)に形成する。尚、帯状部材13の先端部と後端部を連結する方法は、接着剤による接着、熱溶着、或いは縫着等、帯状部材の材質や寸法等に応じて適宜選択する。
【0023】
また、帯状部材13の挿通は、無端状(環状)に限らず、回転帯8に定着された磁石ホルダ10の相隣れる複数(2個以上)の磁石ホルダの隙間Sに亘って挿通し、且つ抜け落ちないように処理する。その抜止の処理としては、図5に示すように帯状部材13を磁石ホルダ10の隙間に順次挿通し、その帯状部材13の一方端(回転帯8の回転方向に対し後端側)に隙間Sの寸法より大きい拡大頭部16を形成し、その拡大頭部16が磁石ホルダ10の差込み溝15aの溝縁に係着することで帯状部材の長手方向への移動が防止されるようにする。
【0024】
前記帯状部材13は、回転帯8に定着された磁石ホルダ10の複数個に亘って挿通されるため、回転帯の無端回動に追従し得るよう屈曲性を有し、且つ負荷(外力)を受けてもボリュームがほとんど変化しない材質、例えば、搬送ベルトを隙間Sに対応する幅で裁断したもの、或いは内部に芯線等を埋設したケーブル等が挙げられる。また、前記隙間Sに挿通充填する帯状部材13は、該隙間Sを1本の帯状部材で埋める形態に限定されず、例えば複数本を束ねる等して前記隙間Sを埋めるようにしてもよい。
【0025】
上記構成とした駆動機構4における駆動ユニット4aを動力源5で駆動すると、無端状カーブベルト3を挟んで反対側に配置された駆動ユニット4bは、駆動ユニット4aの回転帯8に定着された磁石ホルダ10と、駆動ユニット4bの回転帯8に定着された磁石ホルダ10が前記無端状カーブベルト3を挟んで吸着し合い、駆動ユニット4aの駆動回動によって駆動ユニット4bは従動回転される。
そして、無端状カーブベルト3を挟持する上下の磁石ホルダ10が回転帯8の回動で周方向に移動することで、前記挟持箇所も周方向に順次移動され、無端状カーブベルト3は駆動回転される。
【0026】
無端状カーブベルト3は、駆動回転時、旋回中心Oに向けて移動する力が作用し、それによって該無端状カーブベルト3の復路側3bを挟持する駆動ユニット4a、4bの挟持面側は図1に仮想線で示すように平面視略弓なり状に引っ張られ変形される。そして、変形した回転帯8は該回転帯8を巻装保持するベルト進行方向下流側の歯付プーリ(又は歯無プーリ/ローラ)の箇所で適正な軌道に戻される。この時、回転帯8に定着された磁石ホルダ10の凸部14a、14bが前記歯付プーリ(又は歯無プーリ/ローラ)の端面に衝突し、凸部に負荷が作用する。しかし、回転帯8に対して着脱可能な磁石ホルダ10を所定位置に定着するために凸部14aに生じた隙間Sが他物によって埋められている。そして、その隙間Sを埋めるものが相隣れる複数の磁石ホルダ10に亘って挿通される帯状部材13であるため、前記負荷が作用しても各磁石ホルダ単位で帯状部材13が損傷し、脱落することはない。仮に任意の磁石ホルダ部分で帯状部材が切断しても、その切断された帯状部材の他端側は夫々となりの磁石ホルダに挿通保持されている為、切断片が分離脱落することはない。
従って、磁石ホルダ毎に固定ブラケットが挿入されていた従来構造において問題とされた該固定ブラケットの損傷、脱落、及びそれに伴い生じていた回転帯8に対する磁石ホルダのぐらつき、それによる無端状カーブベルト(搬送ベルト)3の不安定な回転等を解消することができる。又、損傷、脱落した部材が食品等に異物として混入する問題も解消することが出来る。
【0027】
本発明は図示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)帯状部材を無端状に形成する場合、長尺の1本の帯状部材で構成する形態に限定されず、複数本を繋いで長尺1本ものとし、これで無端状に構成してもよい。
(2)磁石ホルダの隙間に挿通する帯状部材は、全長に亘って同じ幅でもよいが、駆動ユニットの回動方向に対して後端側の幅を漸次幅広となるテーパ形状とし、そのテーパによって緊密な差込み状態を確立し、抜止が行われるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る駆動機構をカーブベルトコンベヤに装着した状態を示す概略図。
【図2】駆動機構の概略を示す斜視図。
【図3】駆動機構による搬送ベルトの挟持状態を示す拡大断面図。
【図4】駆動ユニットを構成する回転帯と磁石ホルダ、及び帯状部材の分解斜視図。
【図5】帯状部材の抜止形態の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0029】
3…無端状カーブベルト(搬送ベルト) 4…駆動機構
4a,4b…駆動ユニット 8…回転帯
9…磁石 10…挟持部材(磁石ホルダ)
13…帯状部材 14a,14b…凸部
15a,15b…差込み溝 16…拡大頭部(抜止)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔をおいて配置された折り返し部材に亘り回転可能に巻回された無端状の搬送ベルトを、挟持回動する上下一対の駆動ユニットからなる搬送ベルトの駆動機構であって、
前記上下の各駆動ユニットは無端状の回転帯と、その回転帯の周方向に沿い所定間隔を置いて配置固定した挟持部材とで構成され、該挟持部材は搬送ベルトを挟持する面と反対側の面に前記回転帯を嵌着する差込み溝を切欠した凸部が対向して突出形成され、更に回転帯の幅方向側端と各挟持部材の差込み溝との間に生じる隙間に、屈曲性を有した帯状部材を前記回転帯に沿って挿通配置したことを特徴とする搬送ベルトの駆動機構。
【請求項2】
前記帯状部材は、長手方向が連結されて無端状を呈していることを特徴とする請求項1記載の搬送ベルトの駆動機構。
【請求項3】
前記帯状部材は、回転帯の回動方向に対し後端部に、回動方向への抜止が形成されていることを特徴とする請求項1記載の搬送ベルトの駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−46281(P2009−46281A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215901(P2007−215901)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)