説明

搬送ベルト設置治具、および、搬送ベルト設置治具を用いた搬送ベルトの設置方法

【課題】紙幣搬送装置に紙幣搬送用の搬送ベルトを手際よく設置することを可能にする搬送ベルト設置治具、および、この搬送ベルト設置治具を用いた搬送ベルトの設置方法を提供すること。
【解決手段】搬送ベルト設置治具79は、紙幣搬送装置7の搬送レール20に取り付け可能で搬送レール20の長さ方向(所定方向X)に一定長さを有する本体80と、本体80に設けられる第1挟持部81、第2挟持部82および第3挟持部83とを含んでいる。第1挟持部81は、無端状に連結される前の搬送ベルト22の一端側22Cを挟持する。第2挟持部82は、搬送ベルト22の他端側22Dを挟持し、所定方向Xに移動可能である。第3挟持部83は、第1挟持部81に対して積層的に設けられていて、第1挟持部81で挟持された一端側22Cに対して長さ方向に重なるように他端側22Dを挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙幣搬送装置に紙幣搬送用の搬送ベルトを設置する際に用いる搬送ベルト設置治具、および、この搬送ベルト設置治具を用いた搬送ベルトの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技店には、複数の遊技台を並べて配置することで構成された遊技島が存在し、遊技島における遊技台の背面側の空間には、紙幣搬送装置が設けられている。紙幣搬送装置は、遊技台で遊技をするために入金された紙幣を、紙幣の回収庫まで搬送する。
紙幣搬送装置の一例として、下記特許文献1では、搬送装置が、複数の遊技台の並び方向における遊技島の両端に設けられた1対のプーリと、これらのプーリに巻き掛けられた1本のエンドレス(無端状)の丸ベルトと、丸ベルトを挟持する押えプーリの対とを含んでいる。丸ベルトは、横から見て環状をなす軌跡で周回する。遊技島において各遊技台の左隣または右隣には、紙幣識別機が設けられている。紙幣識別機に入金された紙幣は、搬送装置において、周回移動する丸ベルトと押えプーリとに挟持された状態で、遊技島の端の料金収納箱まで搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2753567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の搬送装置の丸ベルトは、遊技島の両端を結ぶように設けられているから、数m〜数十mの全長を有していて、比較的長い。搬送装置を完成させる際において、このような長いベルトを設置する場合には、既製品の状態で無端状のベルトを準備するのではなく、無端状になる前のベルトを遊技店に持ち込んで、その場で、ベルトにテンションをかけつつ、ベルトの両端を接合してベルトを無端状にすることが考えられる。この場合、手際よくベルトを設置することを可能にする治具が望まれる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、紙幣搬送装置に紙幣搬送用の搬送ベルトを手際よく設置することを可能にする搬送ベルト設置治具、および、この搬送ベルト設置治具を用いた搬送ベルトの設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、紙幣搬送装置に紙幣搬送用の搬送ベルトを設置する際に用いる搬送ベルト設置治具であって、紙幣搬送装置に備えられたベルト案内用の搬送レールに対して取り付け可能で、前記搬送レールの長さ方向に一定長さを有する本体と、前記本体の前記一定長さ方向の一端側に設けられ、前記搬送レールに沿って配置される無端状に連結される前の搬送ベルトの一端側を挟持するための第1挟持部と、前記本体に設けられ、前記一定長さ方向に移動可能で、前記搬送レールに沿って配置される前記搬送ベルトの他端側を挟持するための第2挟持部と、前記第1挟持部に対して積層的に設けられ、前記第1挟持部で挟持された前記搬送ベルトの一端側に対して長さ方向に重なるように前記搬送ベルトの他端側を挟持するための第3挟持部と、を含むことを特徴とする、搬送ベルト設置治具である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記搬送レールに取り付けられた前記本体が前記搬送レールの長さ方向にずれないように、前記本体を前記搬送レールに一時的に固定するための固定手段を含むことを特徴とする、請求項1記載の搬送ベルト設置治具である。
請求項3記載の発明は、前記第2挟持部は、前記本体に設けられ、前記一定長さ方向に前記本体の一端から他端へと延びるスライドガイドレールと、前記スライドガイドレールに係合され、前記一定長さ方向に任意の位置へスライド移動可能で、移動した位置で停止する挟持部を有するスライドブロックと、を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の搬送ベルト設置治具である。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記スライドガイドレールは、軸線回りに回転可能に設けられたねじ軸と、前記本体に固定されたガイドレールとを含み、前記スライドブロックは、前記ねじ軸が螺合して貫通するねじ孔と、前記ガイドレールと係合する被案内部とを含むことを特徴とする、請求項3記載の搬送ベルト設置治具である。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の搬送ベルト設置治具を用いた搬送ベルトの設置方法であって、無端状に連結される前の搬送ベルトの一端側を前記第1挟持部に挟持させる第1の工程と、前記搬送ベルトの他端側を前記第2挟持部に挟持させる第2の工程と、前記第2挟持部を前記第3挟持部へ接近させて前記搬送ベルトを伸張させる第3の工程と、前記搬送ベルトの他端側を、前記第3挟持部に挟持させる第4の工程と、前記第2挟持部による前記搬送ベルトの他端側の挟持を解除して、前記第2挟持部を前記第3挟持部から離間する方向へ移動させる第5の工程と、前記第3挟持部から離間した位置にある前記第2挟持部に、当該位置に張設されている搬送ベルトを挟持させる第6の工程と、前記搬送ベルトに所定のテンションがかかるまで、前記第3〜第6の工程を繰り返す工程と、前記搬送ベルトに所定のテンションがかかってから、前記搬送ベルトの一端と他端とを接合する接合工程と、を含むことを特徴とする、搬送ベルトの設置方法である。
【0009】
請求項6記載の発明は、前記第1の工程の前に、紙幣搬送装置を位置決めし、前記紙幣搬送装置の搬送レールに前記搬送ベルト設置治具を取り付ける工程と、前記接合工程の後、前記紙幣搬送装置から前記搬送ベルト設置治具を取り外す工程と、を含むことを特徴とする、請求項5記載の搬送ベルトの設置方法である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、搬送ベルト設置治具は、その本体の一定長さ方向(搬送ベルトの長さ方向でもある)の一端側に固定された第1挟持部と、当該一定長さ方向に移動可能な第2挟持部と、搬送ベルトにおける伸び代部分を仮留めするための第3挟持部とを含んでいる。
この場合、請求項5および6記載の発明のように、位置決めした紙幣搬送装置の搬送レールに搬送ベルト設置治具を取り付けてから、無端状に連結される前の搬送ベルトの一端側を第1挟持部に挟持させ(第1の工程)、搬送ベルトの他端側を第2挟持部に挟持させる(第2の工程)。
【0011】
そして、第2挟持部を第3挟持部へ接近させることで搬送ベルトを伸張させる第3の工程の後、搬送ベルトの他端側(伸び代部分)を、第3挟持部に挟持させる(第4の工程)。次いで、第2挟持部による搬送ベルトの他端側の挟持を解除して、第2挟持部を第3挟持部から離間する方向へ移動させてから(第5の工程)、第3挟持部から離間した位置にある第2挟持部に、当該位置に張設されている搬送ベルトを挟持させる(第6の工程)。
【0012】
その後、搬送ベルトに所定のテンションがかかるまで第3〜第6の工程を繰り返してから、搬送ベルトの一端と他端とを接合し、紙幣搬送装置から搬送ベルト設置治具を取り外せば、搬送ベルトの設置が完了する。
つまり、搬送ベルトにおいて所定のテンションがかかるまでの伸び代が大きくても、この搬送ベルト設置治具を用いれば、第3〜第6の工程を繰り返すことによって、容易かつ円滑に、搬送ベルトに所定のテンションをかけるとともに、搬送ベルトの一端と他端とを接合することで搬送ベルトを無端状に連結して紙幣搬送装置に組み込むことができる。よって、搬送ベルトを手際よく設置することが可能になる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、固定手段によって本体が搬送レールに一時的に固定されるので、搬送ベルトの設置中に搬送ベルト設置治具の位置が不意にずれることを防止できる。
請求項3記載の発明によれば、第2挟持部では、スライドガイドレールに係合されたスライドブロックを、前記一定長さ方向における任意の位置へスライド移動させて所定の位置で停止させるといった簡単な作業によって、スライドブロックの挟持部に挟持された搬送ベルトを伸張させることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、スライドガイドレールのねじ軸が回転することによって、スライドブロックがスライド移動でき、その際、スライドブロックの被案内部がスライドガイドレールのガイドレールと係合しているので、スライドブロックがねじ軸と共回りすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、遊技店における1つの遊技島Aの模式的な平断面図である。
【図2】図2は、紙幣搬送装置7の模式的な斜視図である。
【図3】図3は、紙幣搬送装置7の要部の模式的な分解斜視図である。
【図4A】図4Aは、調整ユニット24の模式的な側面図である。
【図4B】図4Bは、調整ユニット24の模式的な側面図である。
【図5A】図5Aは、搬送ベルト設置治具79の斜視図である。
【図5B】図5Bは、搬送ベルト設置治具79の要部断面図である。
【図6A】図6Aは、搬送レール20の一部の斜視図である。
【図6B】図6Bは、搬送ベルト22の設置方法を示すための紙幣搬送装置7の図解的な平面図であって、搬送ベルト22を設置する前の状態を示している。
【図7】図7は、図6Bの次の工程を示す図解的な平面図である。
【図8】図8は、図7の次の工程を示す図解的な平面図である。
【図9】図9は、図8の次の工程を示す図解的な平面図である。
【図10】図10は、図9の次の工程を示す図解的な平面図である。
【図11A】図11Aは、図10の次の工程を示すための紙幣搬送装置7の斜視図であって、搬送ベルト設置治具79が取り付けられた直後の状態を示している。
【図11B】図11Bは、図11Aの状態における紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部断面図である。
【図12】図12は、図11Aの次の工程を示すための紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部平断面図である。
【図13】図13は、図12の次の工程を示すための紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部平断面図である。
【図14A】図14Aは、図13の次の工程を示すための紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部平断面図である。
【図14B】図14Bは、図14Aの次の工程を示すための紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部平断面図である。
【図14C】図14Cは、図14Bの次の工程を示すための紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部平断面図である。
【図15A】図15Aは、図14Cの次の工程を示すための紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部平断面図である。
【図15B】図15Bは、図15Aの状態における紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、遊技店における1つの遊技島Aの模式的な平断面図である。
図1を参照して、パチンコ店等の遊技店内には、パチンコ台などの遊技台1が複数配置されている。複数の遊技台1は、所定数毎にまとまっていて、所定数の遊技台1のまとまりは、1つの遊技島Aを構成している。遊技店内には、遊技島Aが複数設けられている。
【0017】
1つの遊技島Aにおいて、この遊技島Aを構成する複数の遊技台1は、それぞれの正面1A(遊技客に臨む面)が略面一になるように所定方向X(図1では左右方向)に並べて配置されている。そのため、複数の遊技台1では、それぞれの背面1Bが所定方向Xに沿って並んでいる。
遊技島Aには、遊技店の壁際に位置する遊技島Aと、遊技店の壁際から離れた位置にある遊技島Aとがある。図1は、遊技店の壁際から離れた位置にある遊技島Aを示している。
【0018】
遊技店の壁際に位置する遊技島Aでは、全ての遊技台1は、遊技店の壁に背を向けた状態で所定方向Xに並んでいる。一方、遊技店の壁際から離れた位置にある遊技島Aでは、図1に示すように、2台の遊技台1が背中合わせで配置されて1つの組をなし、複数の組が、所定方向Xに並んでいる。
各遊技島Aの所定方向Xにおける両端面は、妻板2(図1でハッチングを付した部分)で覆われている。
【0019】
そして、各遊技台1の左隣または右隣(図1では、遊技客が遊技台1を正面から見たときにおける遊技台1の左隣)には、所定方向Xにおいて薄い板状の台間機3が配置されている。各台間機3は、その隣(図1では、正面から見て右隣)の遊技台1に対する専用機であり、遊技客から紙幣を受け付けることによって、対応する遊技台1で遊技するための遊技媒体(パチンコ玉等)を遊技客に貸し出す。各台間機3は、所定方向Xにおいて隣り合う遊技台1の間、または、所定方向Xにおける遊技島Aの端に位置する遊技台1と妻板2との間に配置されている。各台間機3の正面3Aは、隣り合う遊技台1の正面1Aと略面一になっている。台間機3は、遊技台1とともに、遊技島Aを構成している。
【0020】
台間機3の正面3Aには、紙幣投入口4が形成されている。紙幣投入口4は、正面から見て縦長のスリットである。台間機3の内部には、紙幣投入口4から連続して台間機3の背面3B側へ延びる受入路5が形成されている。受入路5は、台間機3の背面3Bから露出されている。台間機3の内部において、たとえば紙幣投入口4の近傍には、1対の受入ローラ6が互いに接触した状態で配置されている。1対の受入ローラ6のそれぞれは、受入路5内に臨んでいて、これらの受入ローラ6の接触部分は、受入路5内に位置している。
【0021】
遊技台1で遊技をしたい遊技客は、遊技をするために必要な紙幣Sを紙幣投入口4に投入することで入金する。紙幣投入口4に投入された紙幣Sは、1対の受入ローラ6の接触部分に進入する。これに伴い、1対の受入ローラ6が回転して紙幣Sを受入路5内に受け入れる。すると、台間機3は、受け入れられた紙幣Sの金額の範囲内で貸し出し可能な数の遊技媒体を遊技客に貸し出す。具体的には、台間機3は、貸し出す数の遊技媒体を遊技客に直接払い出したり、貸し出す数の遊技媒体を払い出すように遊技台1に対して指令を出したりする。
【0022】
遊技島Aには、遊技台1および台間機3の他に、紙幣搬送装置7および回収庫8が設けられている。
紙幣搬送装置7は、遊技台1で遊技するために台間機3に入金された紙幣Sを搬送する装置である。紙幣搬送装置7は、所定方向Xにおいて長手である。紙幣搬送装置7の所定方向Xにおける寸法は、遊技島Aの所定方向Xにおける寸法と大体同じである。紙幣搬送装置7は、遊技島Aにおいて所定方向Xに並ぶ複数の遊技台1の背面1Bに沿って配置されている。図1のように、遊技島Aにおいて背中合わせに配置された2つの遊技台1の組が所定方向Xに並んでいる場合、紙幣搬送装置7は、背中合わせに配置された2つの遊技台1の間に配置されている。
【0023】
紙幣搬送装置7は、搬送レール20と、1対の支持ローラ21と、1本の搬送ベルト22と、カバー23と、調整ユニット24とを含んでいる。
搬送レール20は、所定方向Xにおいて長手である。搬送レール20全体の所定方向Xにおける寸法は、遊技島Aの所定方向Xにおける寸法と大体同じである。搬送レール20は、所定方向Xにおいて、複数の分割レール25に分割されている。この実施形態では、搬送レール20は、2つの分割レール25に分割されている。2つの分割レール25は、所定方向Xに沿って並んでいて、図1における左側の分割レール25Aが、搬送レール20のほぼ全体を占めていて、図1における右側の分割レール25Bが搬送レール20の右端部をなしている。分割レール25Aと分割レール25Bとは、所定方向Xにおいて間隔を隔てており、この間隔を埋めるように調整ユニット24が配置されている。
【0024】
1対の支持ローラ21は、縦に延びる円筒状または円柱状であり、その円中心を中心として回転可能である。1対の支持ローラ21のうち、一方の支持ローラ21Aは、分割レール25Aにおいて図1における左端部に設けられていて、他方の支持ローラ21Bは、分割レール25Bに設けられている。搬送レール20全体で見ると、分割レール25A,25Bに設けられた1対の支持ローラ21は、所定方向Xにおける搬送レール20の両端(換言すれば、遊技島Aの両端)に設けられている。搬送レール20には、モータ33(駆動機構)が設けられていて、このモータ33が駆動力を発生させると、分割レール25A側の支持ローラ21Aが回転する。
【0025】
搬送ベルト22は、無端状の平ベルト(エンドレスベルト)であり、1対の支持ローラ21間に掛け回されている。搬送ベルト22は、図1に示す平面視において、所定方向Xに沿って細長い環状をなしている。所定方向Xは、搬送ベルト22の長さ方向でもある。1対の支持ローラ21間に掛け回された状態にある搬送ベルト22は、1対の支持ローラ21間で所定方向Xに沿って平行に延びる1対の直線部分22Aを含んでいる。紙幣搬送装置7では、丸ベルト等に比べて小プーリ径で駆動を伝達し易い平ベルトを搬送ベルト22として用いることによって、小径の支持ローラ21を用いることができる。これにより、紙幣搬送装置7全体の小型化を図ることができる。
【0026】
そして、1対の直線部分22Aの間に、搬送レール20が位置している。つまり、搬送ベルト22における1対の直線部分22Aは、搬送レール20の外側に露出された状態で、搬送レール20に沿って配置されている。前述したようにモータ33が駆動力を発生させることで一方の支持ローラ21Aが回転すると、当該一方の支持ローラ21Aが駆動ローラとなって他方の支持ローラ21Bが従動ローラとなることで、搬送ベルト22が周回移動する。つまり、モータ33は、搬送ベルト22を周回移動させる。搬送ベルト22の周回方向は、一方向であり、平面視で反時計回りの方向である。なお、搬送ベルト22の周回方向は、逆向きであっても構わない。
【0027】
カバー23は、板状であって、複数に分割可能である。カバー23は、搬送レール20の外側に露出された搬送ベルト22を全域に亘って外から覆うように搬送レール20に取り付けられている。搬送レール20とカバー23との間には、隙間が確保されている。この隙間は、平面視において、搬送レール20を縁取りつつ、図1の左端部の支持ローラ21A側において開放された略U字形状をなす搬送路26を構成している。搬送路26内には、搬送ベルト22の1対の直線部分22Aと、搬送ベルト22において図1における右端部の支持ローラ21Bに沿って湾曲している湾曲部分22Bとが配置されている。搬送ベルト22の周回方向が平面視で反時計回りの方向であることから、搬送路26では、図1における左下部分が、搬送ベルト22の周回方向における上流側であり、図1における左上部分が、搬送ベルト22の周回方向における下流側である。
【0028】
カバー23において搬送路26内の搬送ベルト22の外周面に対向する面には、複数のガイドローラ27が設けられている。ガイドローラ27は、平面視で円形状であって、その円中心を中心として回転自在である。ガイドローラ27は、搬送ベルト22の外周面に対向配置されており、ガイドローラ27の外周面が搬送ベルト22の外周面に接触している。複数のガイドローラ27は、搬送路26に沿う方向において、所定の間隔を隔てて並んで配置されている。当該所定の間隔は、紙幣Sの長手方向寸法よりも短い間隔である。なお、ガイドローラ27の代わりに、搬送ベルト22の外周面に接触する環状のエンドレスベルト等を用いることもできる。
【0029】
カバー23には、取込部材35が取り付けられている。取込部材35は、台間機3と同じ数だけ設けられている。取込部材35は、対応する台間機3の背面3Bに連結されている。カバー23には、搬送路26から各取込部材35側へ分岐する分岐路36が設けられている。分岐路36の数は、取込部材35の数と同じである。分岐路36は、対応する取込部材35から、搬送ベルト22の周回方向における下流側へ湾曲して搬送路26に合流していて、搬送路26内における搬送ベルト22の直線部分22Aに臨んでいる。取込部材35の内部には、対応する台間機3の受入路5と分岐路36とを連通させる取込路37が形成されている。取込部材35の内部には、1対の取込ローラ38が互いに接触した状態で配置されている。1対の取込ローラ38のそれぞれは、取込路37内に臨んでいて、これらの取込ローラ38の接触部分は、取込路37内に位置している。
【0030】
調整ユニット24は、前述したように分割レール25Aと分割レール25Bとの間に配置され、搬送レール20に連結されている。つまり、この実施形態では、調整ユニット24は、1つ設けられている。この状態で、調整ユニット24全体は、搬送ベルト22における1対の直線部分22Aの間に配置されており、搬送レール20の一部となっている。調整ユニット24は、所定方向Xに沿って伸縮することによって、搬送レール20の所定方向Xにおける寸法を調整する。調整ユニット24については、以降で詳説する。
【0031】
回収庫8は、所定方向Xにおける遊技島Aの端(図1では左端)の妻板2に設けられている。回収庫8は、この妻板2を貫通して、搬送レール20の端(図1では分割レール25A)に連結されている。回収庫8において搬送レール20に連結される部分には、搬送ベルト22の周回方向における搬送路26の下流側端部に連通する回収口28が形成されている。回収庫8の内部には、回収室29と、回収路30とが設けられている。回収室29は、多数の紙幣Sを収容し得る広さを有する空間である。回収路30は、回収口28と回収室29とを連通させている。回収庫8の内部において、たとえば回収口28の近傍には、1対の回収ローラ31が互いに接触した状態で配置されている。1対の回収ローラ31のそれぞれは、回収路30内に臨んでいて、これらの回収ローラ31の接触部分は、回収路30内に位置している。
【0032】
図1において下側で並ぶ台間機3における左から2番目の台間機3と、上側で並ぶ台間機3における右から3番目の台間機3とを参照して、遊技島Aにおける紙幣Sの流れを説明する。図1において、太い破線矢印が、紙幣Sの流れを示している。
まず、前述したように遊技客が紙幣Sを紙幣投入口4に投入(入金)すると、紙幣投入口4に投入された紙幣Sは、1対の受入ローラ6の接触部分に進入し、回転する1対の受入ローラ6によって受入路5内に受け入れられる。受入路5内に受け入れられた紙幣Sの先端は、取込部材35の取込路37内に取り込まれて、1対の取込ローラ38の接触部分に進入する。この状態で、紙幣Sの搬送が一時停止する。
【0033】
そして、遊技客への遊技媒体の貸し出しが完了したのに応じて、1対の取込ローラ38が回転する。これにより、1対の取込ローラ38の接触部分にあった紙幣Sが、取込路37を通過して、この取込路37に連通している分岐路36を経由した後に、搬送路26内に進入する。
搬送路26内に露出されている搬送ベルト22は、紙幣Sが搬送路26内に進入するときには、周回移動を開始している。搬送路26内に進入した紙幣Sは、周回移動する搬送ベルト22の直線部分22Aに引っ張られることで、搬送ベルト22の周回方向に沿って搬送路26内を搬送される。この際、紙幣Sは、周回移動する搬送ベルト22と、搬送ベルト22の外周面に対向する各ガイドローラ27とに挟持された状態で搬送される。なお、搬送ベルト22は、常に周回移動し続けていてもよい。
【0034】
ここで、図1において下側で並ぶ台間機3における左から2番目の台間機3で受け入られた紙幣Sは、搬送路26内に進入してから、図1における下側の直線部分22Aによって、所定方向Xに沿いながら、回収庫8から一旦離れる方向(図1における右側)へ搬送される。そして、搬送路26の右端まで到達した紙幣Sは、搬送ベルト22において、図1における下側の直線部分22Aから湾曲部分22Bへと受け渡され、略U字形状をなす搬送路26において湾曲した部分(図1における右端部)でUターンする。そして、この紙幣Sは、搬送ベルト22において、湾曲部分22Bから図1における上側の直線部分22Aへと受け渡され、この直線部分22Aによって、所定方向Xに沿いながら、回収庫8へ近付く方向(図1における左側)へ搬送される。
【0035】
一方、図1において上側で並ぶ台間機3における右から3番目の台間機3で受け入られた紙幣Sは、搬送路26内に進入してから、図1における上側の直線部分22Aによって、所定方向Xに沿いながら、回収庫8へ近づく方向へ直ちに搬送される。
そして、図1における上側の直線部分22Aによって、搬送路26内を所定方向Xに沿って搬送された紙幣Sは、搬送路26の下流側端部(図1における左端部)において、回収庫8の回収口28に進入する。そして、この紙幣Sは、1対の回収ローラ31の接触部分に進入し、回転する1対の回収ローラ31によって回収路30内に受け入れられる。回収路30内を通過した紙幣Sは、回収室29内に溜められる。
【0036】
回収室29内に溜められた紙幣Sは、所定のタイミングに遊技店の店員によって取り出されて、遊技店の事務所等に配置された金庫に保管される。
このように、この紙幣搬送装置7では、1本の搬送ベルト22を1対の支持ローラ21に掛け回し、搬送ベルト22とガイドローラ27との間で紙幣Sを挟持しながら搬送する。この場合、遊技島Aにおいて紙幣Sを搬送するために必要なベルトは、1本の搬送ベルト22だけで済み、この搬送ベルト22を周回移動させるモータ33も1つで済む。そのため、紙幣搬送装置7をシンプルに構成でき、少ない工数で容易に組立および設置することができる。これにより、紙幣搬送装置7にかかるコストの低減を図ることができる。
【0037】
次に、調整ユニット24に関連する構成について説明する。
図2は、紙幣搬送装置7の模式的な斜視図である。図3は、紙幣搬送装置7の要部の模式的な分解斜視図である。図4Aおよび図4Bは、調整ユニット24の模式的な側面図である。
図2および図3では、紙幣搬送装置7の具体的な形状が示されている。なお、図2〜図4Bでは、前述したカバー23(図1参照)の図示が省略されている。
【0038】
図2では、搬送レール20における分割レール25Aが左手前側に位置していて、分割レール25Bが右奥側に位置している。分割レール25Aの左手前側の端面は、回収庫8(図1参照)に接続される部分であり、この端面には、搬送路26の下流側端部が出口39として現れている。
図3では、分割レール25AおよびBと、これらの間に配置される調整ユニット24とが示されている。図3を参照して、分割レール25AおよびBは、前述した所定方向Xにおける寸法が違うものの、所定方向Xに直交する切断面で切断したときの断面形状は同じである。それぞれの分割レール25は、板状フレーム45と、板状フレーム45の上下方向両端に設けられた管状フレーム46とを備えている。板状フレーム45と管状フレーム46とは互いに組み付けられることで一体化されている。なお、板状フレーム45および管状フレーム46は、元々から一体化されたものであってもよい。
【0039】
板状フレーム45は、所定方向Xに長手で高さ方向に延びていて、これらの方向(所定方向Xおよび高さ方向)に対して直交する方向(以下では、「直交方向」という)においてやや薄い板状である。板状フレーム45は、たとえばアルミニウム等の金属で形成されている。板状フレーム45において、当該直交方向における両側の外側面には、所定方向Xに沿って延びる配置溝47が形成されている。配置溝47は、板状フレーム45において所定方向Xにおける全域に亘って形成されている。配置溝47には、搬送ベルト22の直線部分22A(図2参照)が嵌っていて、これにより、周回移動中の搬送ベルト22が上下にずれることが防止される。つまり、搬送レール20は、配置溝47において、搬送ベルト22の周回移動を案内する。
【0040】
管状フレーム46は、上下に扁平な四角い額縁状の断面を有する中空体であり、所定方向Xにおいて長手である。管状フレーム46は、板状フレーム45と同様に、アルミニウム等の金属で形成されている。所定方向Xにおいて、管状フレーム46と板状フレーム45とは同じ大きさである。それぞれの分割レール25において、隣り合う分割レール25に対向する端面では、板状フレーム45の上下両側の各管状フレーム46の内部が、開口48として露出されている。
【0041】
次に、調整ユニット24について詳説する。
調整ユニット24は、上フレーム51と、下フレーム52と、固定カバー53と、スライドカバー54と、固定突起55と、スライド突起56と、ボルト57と、第1ナット58と、第2ナット59とを備えている。
上フレーム51および下フレーム52は、ともに、上下に扁平な四角い額縁状の断面を有する中空体であり、所定方向Xにおいて長手である。上フレーム51および下フレーム52は、管状フレーム46の内部(開口48)に挿通できる大きさを有している。上フレーム51および下フレーム52は、アルミニウム等の金属で形成されている。上フレーム51および下フレーム52は、間隔を隔てて下フレーム52の真上に上フレーム51が位置するように平行に配置されている。
【0042】
固定カバー53およびスライドカバー54は、所定方向Xに長手で高さ方向に延びていて、前記直交方向において薄い板状である。固定カバー53およびスライドカバー54は、当該直交方向から見て、所定方向Xに長手の長方形状をなしている。固定カバー53およびスライドカバー54は、たとえば樹脂で形成されている。固定カバー53およびスライドカバー54は、当該直交方向において互いにずれた位置に配置されていて、この状態で、上フレーム51および下フレーム52の間に架設されている。
【0043】
固定カバー53は、上フレーム51および下フレーム52において、所定方向Xにおける一方側へ偏った位置に配置されていて、スライドカバー54は、所定方向Xにおける他方側へ偏った位置に配置されている。図3では、固定カバー53が左手前側へ偏った位置に配置され、スライドカバー54が右奥側へ偏った位置に配置されているが、逆でも構わない。固定カバー53は、上フレーム51および下フレーム52に対して相対移動不能に固定されているが、スライドカバー54は、上フレーム51および下フレーム52に対して所定方向Xに沿ってスライド可能である。スライドカバー54は、図3では、固定カバー53の後に隠れた位置と、固定カバー53から右側へはみ出た位置との間でスライド可能である。スライドカバー54には、所定方向Xに沿って目盛60が刻まれており、固定カバー53から右側へはみ出た目盛60の数に応じて、所定方向Xにおけるスライドカバー54の位置を特定できる。なお、固定カバー53およびスライドカバー54は、1つずつ設けられていてもよく、2つずつ設けられていてもよい。2つずつ設けられた場合の固定カバー53およびスライドカバー54は、前記直交方向において交互に配置される。
【0044】
図3に示すようにスライドカバー54が固定カバー53から右側へ目一杯はみ出た状態において、固定カバー53およびスライドカバー54のまとまりは、上フレーム51および下フレーム52の所定方向Xにおける両端の内側に位置している。図3において、固定カバー53の左端面を第1規制面53Aといい、固定カバー53の右端面を第2規制面53Bといい、スライドカバー54の右端面を規制面54Aという。固定カバー53の第1規制面53Aは、固定カバー53およびスライドカバー54において上フレーム51および下フレーム52の左端面に最も近い面であり、スライドカバー54の規制面54Aは、固定カバー53およびスライドカバー54において上フレーム51および下フレーム52の右端面に最も近い面である。
【0045】
固定突起55は、上フレーム51および下フレーム52のそれぞれにおいて、所定方向Xにおいて固定カバー53の第1規制面53Aと一致する位置に設けられている。
上フレーム51の固定突起55は、上フレーム51の上面に固定されている。下フレーム52の固定突起55は、下フレーム52の下面に固定されている。
固定突起55は、上下に薄い板状のベース部61と、所定方向Xにおいて薄くベース部61の一端(図3における右端)から上方(下フレーム52の固定突起55の場合は、下方)ヘ突出して延びる突出部62と、上下方向(高さ方向)および所定方向Xの両方に対する直交方向における突出部62の両端部からベース部61側(図3における左側)へ延びる1対の延設部63とを一体的に備えている。突出部62には、突出部62を所定方向Xにおいて貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。1対の延設部63のそれぞれとベース部61との間には、所定方向Xに延びる隙間Yが確保されている。隙間Yでは、所定方向Xにおいて、一端(図3における右端)が突出部62に区画されていて、他端(図3における左端)が開放されている。上フレーム51および下フレーム52の各固定突起55の突出部62において、隙間Yの前記一端を区画している端面62Aは、所定方向Xにおいて固定カバー53の第1規制面53Aと一致し、面一になっている。
【0046】
スライド突起56は、上フレーム51および下フレーム52のそれぞれにおいて、所定方向Xにおいて固定突起55とは反対側に設けられている。
スライド突起56は、上下に薄い板状のベース部71と、所定方向Xにおいて薄くベース部71の一端(図3における左端)から上方(下フレーム52のスライド突起56の場合は、下方)ヘ突出して延びる突出部72と、上下方向および所定方向Xの両方に対する直交方向における突出部72の両端部からベース部71側(図3における右側)へ延びる1対の延設部73とを一体的に備えている。突出部72には、突出部72を所定方向Xにおいて貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。1対の延設部73のそれぞれとベース部71との間には、所定方向Xに延びる隙間Zが確保されている。隙間Zでは、所定方向Xにおいて、一端(図3における左端)が突出部72に区画されていて、他端(図3における右端)が開放されている。上フレーム51および下フレーム52の各スライド突起56の突出部72において、隙間Zの前記一端を区画している端面には、符号72Aが付されている。
【0047】
図4Aを参照して、上フレーム51側のスライド突起56のベース部71の下面、および、下フレーム52側のスライド突起56のベース部71の上面には、下方(下フレーム52側のスライド突起56の場合、上方)へ突出する係合部74が設けられている。係合部74に関連して、上フレーム51の上面および下フレーム52の下面のそれぞれには、所定方向Xに沿って延びるスライド溝75が形成されている(図3参照)。各スライド溝75は、上フレーム51または下フレーム52の内部に連通している。
【0048】
上フレーム51側のスライド突起56の係合部74は、上フレーム51の上面のスライド溝75に対して外れ不能に嵌り込んで、上フレーム51内に配置されている。これにより、上フレーム51側のスライド突起56は、係合部74がスライド溝75にガイドされることで、上フレーム51によって所定方向Xに沿ってスライド可能に支持されている。下フレーム52側のスライド突起56の係合部74は、下フレーム52の下面のスライド溝75に対して外れ不能に嵌り込んで、下フレーム52内に配置されている。これにより、下フレーム52側のスライド突起56は、係合部74がスライド溝75にガイドされることで、下フレーム52によって所定方向Xに沿ってスライド可能に支持されている。
【0049】
この状態で、上フレーム51側および下フレーム52側のそれぞれにおいて、固定突起55の突出部62と、スライド突起56の突出部72とが所定方向Xにおいて対向している。
ボルト57は、上フレーム51および下フレーム52に応じて、合計で2本ある。それぞれのボルト57は、所定方向Xに延びる円柱状であって外周面に螺旋溝が形成されたねじ部57Aと、ねじ部57Aの一端につながった頭部57Bとを一体的に有している。ボルト57では、ねじ部57Aが各固定突起55の突出部62の前述した貫通孔(図示せず)に対して、スライド突起56とは反対側から挿通され、頭部57Bが当該反対側から突出部62に当接している。
【0050】
上フレーム51側の固定突起55の突出部62の貫通孔(図示せず)に挿通されたねじ部57Aの先端は、上フレーム51側のスライド突起56の突出部72の貫通孔(図示せず)に対して遊びを持って挿通されている。下フレーム52側の固定突起55の突出部62の貫通孔(図示せず)に挿通されたねじ部57Aの先端は、下フレーム52側のスライド突起56の突出部72の貫通孔(図示せず)に対して遊びを持って挿通されている。
【0051】
第1ナット58は、スライド突起56の突出部72に対して固定突起55側に配置され、第2ナット59は、突出部72を挟んで第1ナット58に対向するように配置されている。第1ナット58および第2ナット59は、突出部72を挟んだ状態で、ねじ部57Aの先端に組み付けられている。そして、この状態で、第1ナット58および第2ナット59を互いに接近するように締め付けると、所定方向Xにおけるスライド突起56の位置が固定される。以下では、この状態を、通常状態とする。
【0052】
一方、第1ナット58および第2ナット59を緩めると、所定方向Xにおいてスライド突起56をスライドさせることができる。上フレーム51側のスライド突起56と、下フレーム52側のスライド突起56と、スライドカバー54(図3および図4B参照)とはそれぞれ独立して所定方向Xにおいてスライドさせることができる。ただし、上フレーム51側のスライド突起56および下フレーム52側のスライド突起56の所定方向Xにおける位置は、最終的に第1ナット58および第2ナット59を締め付けた通常状態では同じになるように調整される。
【0053】
また、前述したように、ボルト57のねじ部57Aは、下フレーム52側および上フレーム51側の各スライド突起56の突出部72の貫通孔(図示せず)に対して遊びを持って挿通されているので、各スライド突起56は、スライドする際に、ボルト57のねじ部57Aを中心に回転することはない。
図4Aでは、各スライド突起56を固定突起55側へ目一杯スライドさせた状態を示しており、図4Bでは、各スライド突起56を固定突起55から離れる側へ目一杯スライドさせた状態を示している。このようにスライド突起56をスライドさせることによって、固定突起55とスライド突起56との間隔を調整することができる。固定突起55およびスライド突起56のまとまりを調整機構76というと、スライド突起56をスライドさせることによって、調整機構76を所定方向Xにおいて伸縮させることができる。
【0054】
そして、図3を参照して、調整ユニット24では、上フレーム51が、互いに対向する2つの分割レール25(図3では、分割レール25Aおよび25B)のそれぞれにおける上側の管状フレーム46の開口48に挿通され、下フレーム52が、2つの分割レール25のそれぞれにおける下側の管状フレーム46の開口48に挿通されている。そのため、図4Aおよび図4Bに示すように、所定方向Xにおける上フレーム51の両側部分が、対向する2つの分割レール25のそれぞれにおける上側の管状フレーム46内に収容され、所定方向Xにおける下フレーム52の両側部分が、対向する2つの分割レール25のそれぞれにおける下側の管状フレーム46内に収容されている。
【0055】
このとき、互いに対向する2つの分割レール25のうち、一方の分割レール25(ここでは、分割レール25A)の上側の管状フレーム46における上側の周縁部が、上フレーム51の固定突起55の各隙間Yに嵌まり込んで当該固定突起55の突出部62の端面62Aに当接している。また、他方の分割レール25(ここでは、分割レール25B)の上側の管状フレーム46における上側の周縁部が、上フレーム51のスライド突起56の各隙間Zに嵌まり込んで当該スライド突起56の突出部72の端面72Aに当接している。
【0056】
同様に、一方の分割レール25(25A)の下側の管状フレーム46における下側の周縁部が、下フレーム52の固定突起55の各隙間Yに嵌まり込んで当該固定突起55の突出部62の端面62Aに当接している。また、他方の分割レール25(25B)の下側の管状フレーム46における下側の周縁部が、下フレーム52のスライド突起56の各隙間Zに嵌まり込んで当該スライド突起56の突出部72の端面72Aに当接している。
【0057】
これにより、前述した通常状態では、所定方向Xにおいて互いに対向する2つの分割レール25の対向間隔は、各固定突起55の突出部62において管状フレーム46に当接している端面62Aと、各スライド突起56の突出部72において管状フレーム46に当接している端面72Aとの間隔で維持されている。また、このとき、固定カバー53の前述した第1規制面53Aが、固定突起55の突出部62に当接している分割レール25(ここでは、分割レール25A)の板状フレーム45に当接している。この状態で、調整機構76(固定突起55およびスライド突起56のまとまり)は、所定方向Xにおいて互いに対向する2つの分割レール25の間に架設されている。
【0058】
図4Aでは、スライドカバー54が固定カバー53の後に隠れており、このとき、固定カバー53の前述した第2規制面53Bおよびスライドカバー54の規制面54Aが、スライド突起56の突出部72に当接している分割レール25(ここでは、分割レール25B)の板状フレーム45に当接している。これにより、対向する2つの分割レール25における板状フレーム45間の隙間が、固定カバー53およびスライドカバー54によって塞がれている。
【0059】
この状態(前述した通常状態)で、各スライド突起56における第1ナット58および第2ナット59を緩めて、図4Bに示すように、各スライド突起56を対応する固定突起55から離れる方向へスライドさせ、その後、第1ナット58および第2ナット59を締めて通常状態にして、各スライド突起56の位置を固定する。すると、所定方向Xにおいて、固定突起55の突出部62の端面62Aと、スライド突起56の突出部72の端面72Aとの間隔が広がって、調整機構76が所定方向Xにおいて伸びる。これにより、互いに対向する2つの分割レール25の間隔も、前述した端面62A、72A間の間隔に応じて広がり、搬送レール20全体が所定方向Xにおいて伸びる。これにより、所定方向Xにおける分割レール25Aの支持ローラ21Aと分割レール25Bの支持ローラ21Bとの間隔(1対の支持ローラ21間の距離であり、搬送ベルト22の所定方向Xにおける寸法)が大きくなるように調整される(図1および図2参照)。1対の支持ローラ21間の距離が広がるように調整することで、1対の支持ローラ21間に掛け回された搬送ベルト22のテンションを若干きつくすることができる。
【0060】
ここで、上フレーム51および下フレーム52のそれぞれにおけるスライド突起56と固定突起55との間隔が広がった直後の状態では、スライド突起56に接触している分割レール25の板状フレーム45と固定カバー53の第1規制面53Bとの間に隙間が生じている。そのため、スライドカバー54をスライド突起56側へ引き出して、図4Bに示すように、スライドカバー54によって当該隙間を塞ぐ。このとき、スライドカバー54において固定カバー53からはみ出た目盛60を見ることで、スライド突起56と固定突起55との間隔(前述した端面62A、72A間の間隔)がどれだけ広がったかを把握できる。
【0061】
そして、搬送ベルト22のテンションを緩めたければ、前述した通常状態の第1ナット58および第2ナット59を緩めて、図4Aに示すように、各スライド突起56を固定突起55側へスライドさせ、その後、第1ナット58および第2ナット59を締めて通常状態にして各スライド突起56の位置を固定する。すると、所定方向Xにおいて、スライド突起56と固定突起55との間隔が狭まり、調整機構76が縮む。このとき、調整ユニット24の上フレーム51および下フレーム52が、互いに対向する2つの分割レール25(図4Aでは、分割レール25Aおよび25B)のそれぞれにおいて対応する上下の管状フレーム46の開口48(図3参照)に圧入されていれば、互いに対向する2つの分割レール25の間隔も狭まり、搬送レール20全体が縮む。しかし、上フレーム51および下フレーム52が開口48に対して遊びを持って挿通されていれば、調整機構76が縮んでも、互いに対向する2つの分割レール25の間隔は狭まらない。この場合には、2つの分割レール25を近付くように押え付けて、2つの分割レール25の間隔を狭める必要がある。
【0062】
いずれにせよ、2つの分割レール25の間隔が狭まって搬送レール20全体が縮むと、1対の支持ローラ21間の距離が狭まるように調整される(図1および図2参照)。これにより、1対の支持ローラ21間に掛け回された搬送ベルト22のテンションを若干緩めることができる。
以上のように、搬送ベルト22における1対の直線部分22Aの間に調整ユニット24を配置して(図1および図2参照)、調整ユニット24の調整機構76を所定方向X(直線部分22A)に沿って伸縮させることによって所定方向Xにおける1対の支持ローラ21間の距離(換言すれば、搬送レール20の寸法)を調整できる。
【0063】
次に、紙幣搬送装置7に対する搬送ベルト22の設置方法について説明する。
搬送ベルト22を設置する際には、専用の搬送ベルト設置治具79が用いられる。
図5Aは、搬送ベルト設置治具79の斜視図である。図5Bは、搬送ベルト設置治具79の要部断面図である。図5Aにおける搬送ベルト設置治具79は、紙幣搬送装置7に取り付けられたときの実際の姿勢で示されている。
【0064】
図5Aを参照して、搬送ベルト設置治具79は、たとえば金属製であり、本体80と、第1挟持部81と、第2挟持部82と、第3挟持部83とを含んでいる。
本体80は、搬送レール20の長さ(長手)方向(前述した所定方向X)に一定長さを有していて、この方向において長手である。つまり、本体80の一定長さ方向と所定方向Xとは同じである。本体80は、縦に延びる平板状であり、所定方向Xおよび高さ方向の両方に直交する方向(前記直交方向)において薄く、直交方向から見て、所定方向Xに長手の長方形状をなしている。
【0065】
本体80の上端部は、所定方向Xにおけるほぼ全域に亘って図5Aの紙面奥側へ折り曲げられており、上下が逆の略U字の鉤状をなすフック部分80Aとなっている。本体80の上端部の所定方向Xにおける両端部には、蝶ボルト84(固定手段)が1つずつ取り付けられている。蝶ボルト84を時計回りにねじ込んで締め付けると、蝶ボルト84のねじ部84A(図11B参照)が、略U字のフック部分80Aの内部へ進入するようになっている。
【0066】
本体80の所定方向Xにおける両端部は、図5Aの紙面手前側へ略直角に折り曲げられた折曲部80Bとなっていて、所定方向Xから見て略L字状をなしている。
第1挟持部81は、本体80において図5Aの紙面手前側の側面に設けられている。第1挟持部81は、本体80の所定方向Xにおける一端側(図5Aにおける右端側)に位置している。詳しくは、第1挟持部81は、図5Aにおける右側の折曲部80Bの左隣に位置している。
【0067】
第1挟持部81は、本体80に一体化された固定ブロック85と、固定ブロック85に対して着脱可能な第1挟持プレート86とを含んでいる。固定ブロック85は、本体80の前記側面から図5Aの紙面手前側へ突出する直方体のブロックであり、上下方向に長手である。固定ブロック85において、図5Aの紙面手前側における端面は、上下方向に沿って平坦である。第1挟持プレート86は、前述した直交方向に薄く、上下方向に長手の矩形をなす板状である。
【0068】
第1挟持プレート86を図5Aの紙面手前側から固定ブロック85に対向させた状態で、第1挟持プレート86の四隅のそれぞれにねじ87を通して締め付け、固定ブロック85に組み付けると、第1挟持プレート86が固定ブロック85に対して圧接される。逆に、各ねじ87を緩めると、固定ブロック85と第1挟持プレート86との間隔が広がり、最終的に各ねじ87が外れると、固定ブロック85から第1挟持プレート86が離脱する。
【0069】
第1挟持プレート86において固定ブロック85に対向する面の上下方向略中央には、所定方向Xにおける全域に亘って、非常に浅い溝88が形成されている。第1挟持プレート86において固定ブロック85に対向する面とは反対側の面(図5Aにおける紙面手前側の面)の上下方向略中央には、溝88と同様の溝102が、所定方向Xにおける全域に亘って形成されている。溝88および溝102のそれぞれには、搬送ベルト22(図2参照)が嵌まり込むことができる。
【0070】
第2挟持部82は、本体80において図5Aの紙面手前側の側面に設けられている。第2挟持部82は、スライドガイドレール89と、スライドブロック90と、第2挟持プレート93(挟持部)とを含んでいる。
スライドガイドレール89は、ねじ軸91と、ガイドレール92とを含んでいる。
ねじ軸91は、所定方向Xに細長い円柱状であって、その外周面には、螺旋状のねじ部91Aが形成されている。ねじ軸91は、第1挟持部81よりも下方に位置している。ねじ軸91は、本体80の所定方向Xにおける両端部をなす1対の折曲部80Bの下端部間に架設されている。つまり、ねじ軸91は、所定方向Xにおいて本体80の一端から他端へと延びている。この状態で、ねじ軸91は、軸線回りに回転可能になっている。ねじ軸91の所定方向Xにおける一端部(図5Aにおける右端部)は、右側の折曲部80Bよりも右外側へはみ出た位置にあって、この一端部には、ナット91Bが一体的に設けられている。そのため、ナット91Bを回転させると、ねじ軸91がナット91Bを伴って軸線周りに回転する。
【0071】
ガイドレール92は、本体80の前記側面に一体的に設けられている。ガイドレール92は、高さ方向(上下方向)において第1挟持部81と同じ位置(ねじ軸91よりも高い位置)にある。ガイドレール92は、所定方向Xに沿って延びていて、図5Aにおける左側の折曲部80Bと第1挟持部81の固定ブロック85との間に架設されている。ガイドレール92は、ねじ軸91と同様に、所定方向Xにおいて本体80の一端から他端へと延びている。ガイドレール92を、所定方向Xに直交する平坦面で切断すると、ガイドレール92の切断面は、図5Aにおける紙面手前側が開放された略C状をなしている(図5Bも参照)。
【0072】
スライドブロック90は、前述した直交方向および所定方向Xのいずれから見てもL字状をなすブロックである。スライドブロック90は、上ブロック90A(挟持部)と、下ブロック90Bとに上下に分離可能である。上ブロック90Aと、下ブロック90Bとは、所定方向Xにおいて間隔を隔てて設けられたねじ94によって連結(一体化)されている。
【0073】
上ブロック90Aは、ガイドレール92に対して、図5Aの紙面手前側から対向している。上ブロック90Aにおいてガイドレール92に対向する面には、凹部95が形成されている。凹部95は、所定方向Xにおいて上ブロック90Aを貫通している。凹部95の上下方向略中央には、被案内部96が設けられている。被案内部96は、所定方向Xに沿って長手のブロック状であり、その上下の端部は、三角形状に尖っている(図5B参照)。被案内部96は、上ブロック90Aに対して一体化されており、凹部95では、被案内部96の上下にスペースがある。凹部95には、ガイドレール92において所定方向Xにおける一部が嵌まり込んでおり、この状態で、被案内部96が、断面が略C状のガイドレール92の内側に嵌まり込んで外れ不能に係合している(図5Bも参照)。
【0074】
上ブロック90Aにおいて、凹部95が形成された面とは反対側の面(図5Aにおける紙面手前側の面)の上下方向略中央には、所定方向Xにおける全域に亘って、非常に浅い溝97が形成されている。この溝97には、搬送ベルト22(図2参照)が嵌まり込むことができる。
下ブロック90Bは、L字状のスライドブロック90において横側へはみでた下端部をなしている。下ブロック90Bには、ねじ孔98が形成されている。ねじ孔98は、下ブロック90Bを所定方向Xに沿って貫通する丸穴であって、その周面(下ブロック90Bにおいてねじ孔98を区画する円周面)には、螺旋状のねじ部98A(図5B参照)が形成されている。ねじ孔98には、ねじ軸91が挿通されている。ねじ軸91は、ねじ孔98を貫通しており、ねじ軸91のねじ部91Aがねじ孔98のねじ部98Aに螺合している(図5B参照)。
【0075】
このようにスライドガイドレール89(ねじ軸91およびガイドレール92)に係合したスライドブロック90は、所定方向Xに任意の位置へスライド移動可能であり、移動した位置で停止できる。具体的には、前述したようにナット91Bを回転させてねじ軸91を軸線周りに回転させると、スライドブロック90が、ねじ軸91上を所定方向Xにスライド移動する。ねじ軸91の回転を止めると、そのときの位置でスライドブロック90が停止する。そして、今までとは逆向きにねじ軸91を回転させると、スライドブロック90が、今までとは逆向きに、ねじ軸91上をスライド移動する。スライドブロック90がスライド移動する際、スライドブロック90の被案内部96がスライドガイドレール89のガイドレール92と係合しているので(図5Bも参照)、スライドブロック90がねじ軸91と共回りすることを防止できる。
【0076】
スライドブロック90と第1挟持部81および第3挟持部83との所定方向Xにおける間隔は、スライドブロック90が第1挟持部81から最も離れたときに600mm〜700mm程度であり、スライドブロック90が第1挟持部81に最も接近したときにほぼ0mmであり、この範囲(約0mm〜600mm)でスライドブロック90は所定方向Xにスライドできる。
【0077】
第2挟持プレート93は、前述した直交方向において薄く、当該直交方向から見て矩形をなす板状である。第2挟持プレート93を図5Aの紙面手前側からスライドブロック90(詳しくは、上ブロック90Aの溝97)に対向させた状態で、第2挟持プレート93の四隅のそれぞれにねじ99を通して締め付け、スライドブロック90に組み付ける。すると、第2挟持プレート93が上ブロック90Aに対して圧接される。第2挟持プレート93は、スライドブロック90とともにスライド可能である。第2挟持プレート93をスライドブロック90の一部とみなしてもよい。一方、各ねじ99を緩めると、上ブロック90Aと第2挟持プレート93との間隔が広がり、最終的に各ねじ99が外れると、上ブロック90Aから第2挟持プレート93が離脱する。
【0078】
第3挟持部83は、前述した第1挟持プレート86と、第3挟持プレート100とを含んでいる。第3挟持プレート100は、直交方向において薄く、直交方向から見て矩形をなす板状である。第3挟持プレート100の上下方向寸法は、第1挟持プレート86の上下のねじ87の間隔よりも小さい。第3挟持プレート100を図5Aの紙面手前側から第1挟持プレート86(詳しくは、第1挟持プレート86の溝102)に対向させた状態で、第3挟持プレート100の四隅のそれぞれにねじ101を通して締め付け、第1挟持プレート86に組み付ける。すると、第3挟持プレート100が第1挟持プレート86に対して圧接される。一方、各ねじ101を緩めると、第1挟持プレート86と第3挟持プレート100との間隔が広がり、最終的に各ねじ101が外れると、第1挟持プレート86から第3挟持プレート100が離脱する。なお、第1挟持プレート86に第3挟持プレート100が取り付けられた状態で、前述したように各ねじ87を外して固定ブロック85から第1挟持プレート86を離脱させると、第1挟持プレート86は、第3挟持プレート100を伴って固定ブロック85から離脱する。
【0079】
以上より、第1挟持部81の第1挟持プレート86と、第1挟持プレート86に圧接される第3挟持プレート100とを含む第3挟持部83は、第1挟持部81に対して(前記直交方向において)積層的に設けられていることがわかる。
次に、搬送ベルト設置治具79を用いた搬送ベルト22の設置方法について具体的に説明する。
【0080】
図6Aは、搬送レール20の一部の斜視図である。図6Bは、搬送ベルト22の設置方法を示すための紙幣搬送装置7の図解的な平面図であって、搬送ベルト22を設置する前の状態を示している。
図6Aおよび図6Bを参照して、まず、搬送ベルト22が取り付けられていない状態の紙幣搬送装置7を遊技店内に位置決めして設置する。この際、搬送レール20は、所定の長さ(所定方向Xにおける寸法)となるように、その場で切断され、さらに、切断後の搬送レール20の長さに誤差があれば、前述したように調整ユニット24によって搬送レール20の長さが調整される。
【0081】
搬送レール20の長さ調整が済むと、搬送レール20の表面における配置溝47の近くに、ペン等で縦線等の印Pを1つだけ付ける。
図7〜図10は、図6Bの次の工程を示す図解的な平面図である。
次いで、無端状になっていない途切れた状態にある搬送ベルト22を、図7に示すように、1対の支持ローラ21間に掛け回して搬送レール20に沿わせ、搬送レール20の周りを1周させる。このとき、搬送ベルト22の一端側22Cが所定方向Xにおいて印Pと重なるようにし、かつ、搬送ベルト22の他端側22Dが、所定方向Xにおけるある程度の範囲で一端側22Cと重なる(オーバーラップする)ようにする。そして、他端側22Dを引っ張る等して、搬送ベルト22から弛みを無くす。この状態で、搬送ベルト22をテープ等で搬送レール20に位置決めして、搬送ベルト22が弛まないようにする。このとき、搬送ベルト22は、伸縮(テンション)の無い状態にある。
【0082】
次いで、図8に示すように、搬送ベルト22の一端側22Cにおいて所定方向Xで印Pと一致する部分に縦線等の印Aを付ける。
次いで、図9に示すように、他端側22Dにおいて所定方向Xで印Aおよび印Pに一致知る部分に縦線等の印Bを付ける。この時点での印A〜印B間の搬送ベルト22の長さを、自然長ということにする。自然長は、所定方向Xにおける搬送レール20(換言すれば、遊技島A)の全体長さの2倍とほぼ同じである。
【0083】
そして、搬送ベルト22の他端側22Dにおいて印Bよりも先端側の部分Qを、若干(400mm位)の余りRができるように切り取る。なお、このとき、搬送ベルト22の一端側22Cにおいて印Aよりも先端側の部分を全て切り取っておいてもよい。
次いで、搬送ベルト22に所定のテンションがかかるまで搬送ベルト22を伸張させる長さを決める。ここでは、搬送ベルト22に所定(所望)のテンションをかけるために、自然長の約1.5%分だけ搬送ベルト22を伸張させることにする。搬送ベルト22を伸張させる長さ(伸張長さ)は、所定方向Xにおける搬送レール20(遊技島A)の全体長さを2倍した値に当該1.5%を乗じることで得られる。
【0084】
このように伸張長さが決まると、図10に示すように、搬送ベルト22において、印Bから印A側へ当該伸張長さ分だけ離れた位置に、縦線等の印Cを付ける。また、搬送ベルト22において、印A〜Cとは別の位置に、2つの印DおよびEを、1mといった区切りの良い間隔を隔てて設ける。現時点では、印Aと印Bとが一致していることで、搬送ベルト22の長さは自然長になっているが、印Cが印Aに一致するまで搬送ベルト22の他端側22Dを引っ張ると、前述した伸張長さだけ搬送ベルト22が伸張したことになり、これに応じて、印D〜E間の距離が、1.5%程度広がる。搬送ベルト22の自然長を20m程度とした場合、伸張長さは、300mm〜400mmに設定される。
【0085】
なお、印B〜Eを搬送ベルト22に付ける順番は適宜前後しても構わない。
図11Aは、図10の次の工程を示すための紙幣搬送装置7の斜視図であって、搬送ベルト設置治具79が取り付けられた直後の状態を示している。図11Bは、図11Aの状態における紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部断面図である。図11Bは、図11Aの紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79を、所定方向Xに対して直交する切断面で切断したときの断面を示している。
【0086】
以上のように搬送ベルト22に印A〜Eを付け終わると、図11Aおよび図11Bに示すように、今度は、搬送ベルト設置治具79を紙幣搬送装置7の搬送レール20に取り付ける。ここで、搬送レール20の上側の管状フレーム46の上端には、図11Bにおける左右方向(前述した直交方向)の両端から上方ヘ張り出す1対のフランジ部46Aが一体的に設けられている。フランジ部46Aには、フランジ部46Aを直交方向に貫通する複数の貫通孔46Bが形成されている。搬送ベルト設置治具79の本体80におけるフック部分80Aを、いずれかのフランジ部46Aに上から引っ掛け、各蝶ボルト84を締め込んで蝶ボルト84のねじ部84Aをフランジ部46Aの貫通孔46Bに挿入する。これにより、搬送ベルト設置治具79が搬送レール20に取り付けられるとともに、本体80が、蝶ボルト84によって搬送レール20に一時的に固定されるので(図11A参照)、搬送ベルト22の設置中に搬送ベルト設置治具79の位置が(特に所定方向Xにおいて)不意にずれることを防止できる。
【0087】
図11Aを参照して、紙幣搬送装置7に取り付けられた搬送ベルト設置治具79は、搬送レール20において前記直交方向におけるいずれかの側面に配置されており、第1挟持部81、第2挟持部82(スライドブロック90)および第3挟持部83は、搬送レール20の配置溝47と高さ方向で同じ位置にある。
なお、搬送ベルト設置治具79が紙幣搬送装置7に取り付けられた直後では、第2挟持部82のスライドブロック90は、第1挟持部81から最も離れた位置にあるものとする。また、この時点では、固定ブロック85と第1挟持プレート86との間隔、スライドブロック90(上ブロック90A)と第2挟持プレート93との間隔、および、第1挟持プレート86と第3挟持プレート100との間隔は、いずれも、搬送ベルト22が遊びを持って通れる程度に広がっているものとする。
【0088】
図12〜図15Aは、図11Aの次の工程を示すための紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部平断面図である。図15Bは、図15Aの状態における紙幣搬送装置7および搬送ベルト設置治具79の要部斜視図である。
そして、図12を参照して、無端状に連結される前の搬送ベルト22の一端側22Cを、図12における右側から第1挟持部81の第1挟持プレート86の溝88(図5A参照)に嵌め込み、その後、ねじ87(図5A参照)を締め込んで、第1挟持プレート86と固定ブロック85との間で一端側22Cを挟み込む。このとき、第1挟持部81は、一端側22Cを挟持したことになり、搬送ベルト22では、一端側22Cの位置が固定される。なお、溝88は、搬送ベルト22が全部嵌まり込まない程度に浅くなっているので、第1挟持部81に挟持されたはずの一端側22Cが溝88から不意に抜けてしまうことはない(前述した溝97および102においても同様)。
【0089】
また、このとき、一端側22Cに付された印Aと、一端側22Cにおける搬送ベルト22の先端とは、所定方向Xにおいてスライドブロック90と第1挟持部81との間に位置している。搬送ベルト22において第1挟持部81による十分な掴み代を確保するために、第1挟持部81からの印Aまでの一端側22Cのはみ出し量は、250mm程度あることが好ましい。
【0090】
次いで、無端状に連結される前の搬送ベルト22の他端側22Dを、図12における左側から第2挟持部82のスライドブロック90の溝97(図5A参照)に嵌め込み、その後、ねじ99(図5A参照)を締め込んで、図13に示すように第2挟持プレート93とスライドブロック90との間で他端側22Dを挟み込む。このとき、第2挟持部82は、他端側22Dを挟持したことになる。また、他端側22Dに付された印Bと、他端側22Dにおける搬送ベルト22の先端とは、所定方向Xにおいてスライドブロック90と第1挟持部81との間に位置している。この状態では、搬送ベルト22の長さが自然長になっているので、所定方向Xにおいて、一端側22Cの印Aと他端側22Dの印Bとがほぼ一致している。
【0091】
次いで、電動ドライバー等を用いてねじ軸91のナット91B(図5A参照)を回転させることで、図14Aに示すように、第2挟持部82のスライドブロック90(第2挟持プレート93も含む)を第1挟持部81および第3挟持部83へ接近するように、太線矢印の方向へスライドさせる。
これにより、スライドブロック90がスライドした分だけ搬送ベルト22が伸張する。このとき、他端側22Dにおける搬送ベルト22の先端(前述した余りR)が、第3挟持部83の第1挟持プレート86と第3挟持プレート100との間に入り込むようにする。ここで、第2挟持部82では、スライドガイドレール89に係合されたスライドブロック90を、所定方向Xにおける任意の位置へスライド移動させて所定の位置で停止させるといった簡単な作業によって、スライドブロック90の挟持部(上ブロック90Aおよび第2挟持プレート93)に挟持された搬送ベルト22を伸張させることができる(図5A参照)。
【0092】
スライドブロック90がスライドを終えた状態で、他端側22Dにおける搬送ベルト22の余りRが第1挟持プレート86と第3挟持プレート100との間に入り込むと、ねじ101(図5A参照)を締め込む。すると、この余りR(他端側22D)は、第1挟持プレート86の溝102(図5A参照)に嵌まり込みつつ、図14Bに示すように、第1挟持プレート86および第3挟持プレート100(つまり、第3挟持部83)に挟持される。余りRが挟持された搬送ベルト22は、伸び代部分が第3挟持部83に仮留めされた状態になっている。また、このとき、搬送ベルト22では、第3挟持部83に挟持された他端側22Dが、第1挟持部81で挟持された一端側22Cに対して搬送ベルト22の長さ方向(所定方向Xと同じ)に重なっている。
【0093】
図14Bの状態では、他端側22Dの印Cが一端側22Cの印Aに一致していない。つまり、所望の伸張長さまで搬送ベルト22が伸張しきっていない。
そこで、図14Aを参照して、まず、ねじ99(図5A参照)を緩めて第2挟持プレート93とスライドブロック90との間を広げて、第2挟持部82による他端側22Dの挟持を解除する。そして、この状態のスライドブロック90を、図14Bに示すように、第3挟持部83から離間する方向(図14Bでは左側であり、太線矢印参照)へ移動させる。スライドブロック90の移動中、第2挟持プレート93とスライドブロック90との間には、搬送ベルト22が常に位置している。つまり、第2挟持プレート93およびスライドブロック90は、これらの間に搬送ベルト22が位置した状態で、第3挟持部83から離間する方向へ移動する。
【0094】
図14Bでは、第3挟持部83から離間する方向へのスライドブロック90(第2挟持部82)の移動が完了した状態で、スライドブロック90と第3挟持部83との間には、他端側22Dにおける印Cが位置している。
次いで、図14Bの状態で、ねじ99(図5A参照)を締め込んで、第2挟持プレート93とスライドブロック90との間で他端側22D(第3挟持部83から離間した位置に張設されている搬送ベルト22)を挟み込んで、当該位置における搬送ベルト22を第2挟持部82に挟持させる。その後、図14Cに示すように、第3挟持部83へ接近するようにスライドブロック90をスライド移動させる。このとき、第3挟持部83は、他端側22Dの余りRを挟持しているので、スライドブロック90のスライドに伴って、他端側22Dがスライドブロック90と第3挟持部83との間で弛む。
【0095】
図14Cでは、搬送ベルト22において、他端側22Dの印Cと、一端側22Cの印Aとが一致している。そのため、所望の伸張長さまで搬送ベルト22が伸張しきった状態(搬送ベルト22に所定のテンションがかかった状態)にある。このとき、印Cは、後述する搬送ベルト22の切断作業や接合作業の都合上、スライドブロック90から300mm程度離れていることが好ましい。
【0096】
この実施形態では、第3挟持部83へ接近するようにスライドブロック90をスライド移動させる動作を2回行った時点で、所望の伸張長さまで搬送ベルト22が伸張しきって、他端側22Dの印Cと一端側22Cの印Aとが一致した。しかし、この動作を2回行っても搬送ベルト22の伸張が不足しているのであれば、他端側22Dを第2挟持部82で挟持→スライドブロック90を第3挟持部83までスライド→他端側22Dを第3挟持部83で挟持→第2挟持部82による他端側22Dの挟持を解除してスライドブロック90を元の位置までスライドさせるという、一連の動作を、所望の伸張長さまで搬送ベルト22が伸張しきるまで繰り返すことになる。また、第3挟持部83へ接近するようにスライドブロック90をスライド移動させる動作を1回行っただけで、所望の伸張長さまで搬送ベルト22が伸張しきってしまえば、それ以降、スライドブロック90をスライド移動させる動作は不要である。
【0097】
搬送ベルト22が所望の伸張長さまで伸張しきった状態になると、搬送ベルト22の他端側22Dにおいて印Cよりも先端側(余りR側)を、図15Aに示すように全て切り取る。同様に、搬送ベルト22の一端側22Cにおいて印Aよりも先端側を全て切り取る。このとき、図15Bに示すように、印Aにおける搬送ベルト22の切断箇所(搬送ベルト22の一端)、および、印Cにおける搬送ベルト22の切断箇所(搬送ベルト22の他端)は、たとえば、ぎざぎざになっている。
【0098】
次いで、搬送ベルト22の一端のぎざぎざと他端のぎざぎざとを噛み合わせてから、これらの一端および他端をクリップ等で仮留めする。その後、これらの一端および他端に圧力および熱処理を加えて一端および他端を溶かす。その後、搬送ベルト22の一端と他端とが冷却によって接合され、搬送ベルト22が無端状になる。つまり、搬送ベルト22の一端と他端とは、溶着される。その後、第1挟持部81および第2挟持部82による搬送ベルト22の挟持を解除して、第1挟持プレート86および第3挟持プレート100を固定ブロック85から取り外すとともに、第2挟持プレート93をスライドブロック90から取り外すと、搬送ベルト設置治具79から搬送ベルト22が取り外される。
【0099】
最後に、蝶ボルト84を緩めて搬送レール20のフランジ部46Aの貫通孔46Bから外し(図11B参照)、搬送ベルト設置治具79の本体80におけるフック部分80Aをフランジ部46Aから外すと、紙幣搬送装置7から搬送ベルト設置治具79が取り外される。これにより、搬送ベルト22の設置が完了する。ここで、図15Aを参照して、前述した印D〜E間における搬送ベルト22の長さ(当初は、1m)が、目標の1.5%分伸びているか(1.015mになっているか)を確認する。若干の誤差があれば、調整ユニット24(図2参照)によって搬送レール20の長さ(換言すれば、搬送ベルト22のテンション)を微調整することで、当該誤差をなくす。
【0100】
以上のように、搬送ベルト22において所定のテンションがかかるまでの伸び代が大きくても、この搬送ベルト設置治具79を用いれば、前述した一連の動作を繰り返すことによって、容易かつ円滑に、搬送ベルト22に所定のテンションをかけるとともに、搬送ベルト22の一端と他端とを接合することで搬送ベルト22を無端状に連結して紙幣搬送装置7に組み込むことができる。よって、搬送ベルト22を手際よく設置することが可能になる。
【0101】
また、搬送ベルト22の設置が完了すると、搬送ベルト設置治具79が紙幣搬送装置7から取り外されるので、紙幣搬送装置7では、搬送ベルト設置治具79を常に配置しておくためのスペースを省略できる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0102】
たとえば、スライドブロック90は、ねじ軸91のナット91Bを回転させることでスライドしているが、ナット91Bの代わりに、ねじ軸91のねじ部91Aに噛合するはす歯歯車(図示せず)を設けてウォームギヤ構造を構成し、このはす歯歯車を回転させることでねじ軸91を回転させて、スライドブロック90をスライドさせてもよい。
また、この実施形態では、搬送ベルト22を設置する際に、搬送ベルト設置治具79を1台だけ用いたが、複数台の搬送ベルト設置治具79を所定方向に直列配置して用いてもよい。この場合、並び方向の両端に位置する2台の搬送ベルト設置治具79のうち、一方の搬送ベルト設置治具79の第1挟持部81に搬送ベルト22の一端側22Cを挟持させ、他方の搬送ベルト設置治具79の第2挟持部82に搬送ベルト22の一端側22Cを挟持させる。そして、当該他方の搬送ベルト設置治具79において、第2挟持部82を第1挟持部81側へスライドさせた後、この第2挟持部82に挟持された一端側22Cを、当該他方の搬送ベルト設置治具79に隣接する搬送ベルト設置治具79の第2挟持部82に挟持させる。そして、この隣接する搬送ベルト設置治具79において、第2挟持部82を第1挟持部81側へスライドさせる。
【0103】
このように、搬送ベルト22の一端側22Cを、隣り合う搬送ベルト設置治具79の第2挟持部82に順に受け渡していくことで、搬送ベルト22が、所定のテンションがかかるまで伸張する。所定のテンションがかかるまでの搬送ベルト22の伸張長さが非常に長い場合において、1つの搬送ベルト設置治具79で第2挟持部82を何度もスライド(往復)させずに済み、比較的短時間で、搬送ベルト22に所定のテンションをかけることができる。
【符号の説明】
【0104】
7 紙幣搬送装置
20 搬送レール
22 搬送ベルト
22C 一端側
22D 他端側
79 搬送ベルト設置治具
80 本体
81 第1挟持部
82 第2挟持部
83 第3挟持部
84 蝶ボルト
89 スライドガイドレール
90 スライドブロック
90A 上ブロック
91 ねじ軸
92 ガイドレール
93 第2挟持プレート
96 被案内部
98 ねじ孔
X 所定方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣搬送装置に紙幣搬送用の搬送ベルトを設置する際に用いる搬送ベルト設置治具であって、
紙幣搬送装置に備えられたベルト案内用の搬送レールに対して取り付け可能で、前記搬送レールの長さ方向に一定長さを有する本体と、
前記本体の前記一定長さ方向の一端側に設けられ、前記搬送レールに沿って配置される無端状に連結される前の搬送ベルトの一端側を挟持するための第1挟持部と、
前記本体に設けられ、前記一定長さ方向に移動可能で、前記搬送レールに沿って配置される前記搬送ベルトの他端側を挟持するための第2挟持部と、
前記第1挟持部に対して積層的に設けられ、前記第1挟持部で挟持された前記搬送ベルトの一端側に対して長さ方向に重なるように前記搬送ベルトの他端側を挟持するための第3挟持部と、
を含むことを特徴とする、搬送ベルト設置治具。
【請求項2】
前記搬送レールに取り付けられた前記本体が前記搬送レールの長さ方向にずれないように、前記本体を前記搬送レールに一時的に固定するための固定手段を含むことを特徴とする、請求項1記載の搬送ベルト設置治具。
【請求項3】
前記第2挟持部は、
前記本体に設けられ、前記一定長さ方向に前記本体の一端から他端へと延びるスライドガイドレールと、
前記スライドガイドレールに係合され、前記一定長さ方向に任意の位置へスライド移動可能で、移動した位置で停止する挟持部を有するスライドブロックと、
を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の搬送ベルト設置治具。
【請求項4】
前記スライドガイドレールは、軸線回りに回転可能に設けられたねじ軸と、前記本体に固定されたガイドレールとを含み、
前記スライドブロックは、前記ねじ軸が螺合して貫通するねじ孔と、前記ガイドレールと係合する被案内部とを含むことを特徴とする、請求項3記載の搬送ベルト設置治具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の搬送ベルト設置治具を用いた搬送ベルトの設置方法であって、
無端状に連結される前の搬送ベルトの一端側を前記第1挟持部に挟持させる第1の工程と、
前記搬送ベルトの他端側を前記第2挟持部に挟持させる第2の工程と、
前記第2挟持部を前記第3挟持部へ接近させて前記搬送ベルトを伸張させる第3の工程と、
前記搬送ベルトの他端側を、前記第3挟持部に挟持させる第4の工程と、
前記第2挟持部による前記搬送ベルトの他端側の挟持を解除して、前記第2挟持部を前記第3挟持部から離間する方向へ移動させる第5の工程と、
前記第3挟持部から離間した位置にある前記第2挟持部に、当該位置に張設されている搬送ベルトを挟持させる第6の工程と、
前記搬送ベルトに所定のテンションがかかるまで、前記第3〜第6の工程を繰り返す工程と、
前記搬送ベルトに所定のテンションがかかってから、前記搬送ベルトの一端と他端とを接合する接合工程と、
を含むことを特徴とする、搬送ベルトの設置方法。
【請求項6】
前記第1の工程の前に、紙幣搬送装置を位置決めし、前記紙幣搬送装置の搬送レールに前記搬送ベルト設置治具を取り付ける工程と、
前記接合工程の後、前記紙幣搬送装置から前記搬送ベルト設置治具を取り外す工程と、
を含むことを特徴とする、請求項5記載の搬送ベルトの設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2012−252598(P2012−252598A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125693(P2011−125693)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】