説明

搬送ローラ、搬送ローラ用回転軸、及び基板用搬送装置

【課題】結合部材を用いずにシャフトからの脱落を防止することができる分割式の搬送ローラを提供する。
【解決手段】被搬送物と接触可能な外周面407A、407Bと、シャフト330の外周面に嵌合する中心孔と、を備える円板状の搬送ローラであって、中心孔を横切る割り面により略半分に分割される分割ローラ412A、412Bからなる。各分割ローラは、中心孔を規定する縁の一部であってシャフト330の外周面の一部に当接する部分曲面と、割り面において部分曲面に沿って他方の分割ローラ側に突出する凸部428Aと、該他方の分割ローラの凸部426Bと符合し中心孔を挟んで対向する位置に配置された凹部426Aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料基板等を搬送する搬送ローラに関し、特に、略半分に分割される2片の分割ローラからなる搬送ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶基板・太陽電池基板等の電子材料基板の製造装置や、いわゆるプリンタ等において板状の製品や紙類を搬送する際に使用される搬送ローラは、円板状若しくは円柱状のローラの中心に軸孔を設けた形状であった。従って、搬送装置の組立の際には、回転軸の軸端をローラの軸孔に挿通させて該ローラを取り付けてから、該回転軸を装置に取り付けていた。また、ローラのメンテナンスの際にも、回転軸を装置から取り外してから、該回転軸の軸端からローラを取り外す必要があったため、作業効率が悪かった。
【0003】
そこで、ローラを分割可能とすることで回転軸を搬送装置に取り付けたままローラの取り外しを可能とし、作業効率の向上を図った搬送ローラが開示されている。例えば、特許文献1では、ローラが中心軸と平行に2分割され、ローラに凸部が設けられ、中心軸に凹部が設けられ、この凹凸部の結合によりローラと中心軸とを組立てる搬送ローラが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、ローラ等を形成する部材を複数個に分割し、各分割部材の分割端面に対向する分割部材の分割端面に係止部を設けて分割部材を連結してリング状のローラ等に形成する分割ローラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−227700号公報
【特許文献2】特開平9−165121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の搬送ローラにおいては、単にローラが中心軸と平行に2分割(断面視すると2つの半円に分割)されているにすぎないため、分割されたローラ同士のみでは中心軸上に合体した状態で保持することは困難である。そのため弾性部材からなる爪形状部1a,2a,3aを設けることにより、また、分割されたローラの結合面に設けられた凸形部と凹形部とにより、分割されたローラ同士を結合している。しかし、この方式では、部品点数が増加するだけでなく、係合様式が複雑になってしまう。また、結合部材にはもっぱら引っ張り応力やせん断応力が作用し易く、結合の安定性が十分とは言い難い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上述する課題に鑑み、分割されたローラ同士は好ましい形状の割り面を備えるので、いわゆる結合部材を設けることなく、シャフトに装着されて合体状態保持可能な搬送ローラを提供する。
【0008】
より具体的には、以下のようなものを提供することができる。
【0009】
(1)被搬送物に接触可能な外周面と、シャフトの外周面に嵌合可能な中心孔を備える円板状の搬送ローラにおいて、該搬送ローラは、前記中心孔を横切る割り面により略半分に分割される第1及び第2の分割ローラからなり、前記第1の分割ローラは、前記中心孔を規定する縁の一部であって前記シャフトの外周面の少なくとも一部に当接する第1の部分曲面と、前記割り面の側面視において、前記第1の部分曲面に沿って前記第2の分割ローラ側に突出する第1の凸部と、前記第1の凸部を前記第1の部分曲面と共に規定するものであって、外周側を向き、前記第2の分割ローラとの割り面を形成する第1の外向部分曲面と、を備え、前記第2の分割ローラは、前記第1の部分曲面に前記中心孔を挟んで対向する位置に前記第1の部分曲面に対応する第2の部分曲面と、前記第1の凸部と符合し、外周側から前記第1の外向部分曲面に当接して前記第1の凸部が伝える半径方向外向きの力に対抗する第2の内向部分曲面と、を備えることを特徴とする搬送ローラを提供することができる。
【0010】
ここで、被搬送物とは、特に限定されることなく、如何なるものを含むことができるが、例えば基板のような薄板を含んでよい。また、接触可能とは、該被搬送物と物理的に接触可能であればよく、実際に接触することを要件としない。例えば、被搬送物との間に気体、液体、又は固体状態のものが介在してもよい。外周面は、一般に搬送ローラの外面を規定してよい。搬送ローラの側面視においてほぼ円となる形状を含んでよい。シャフトは、当該搬送ローラの回転軸として機能できるものであってよい。シャフトの外周面に嵌合可能な中心孔は、かかるシャフトの断面形状がこの中心孔の開口形状とほぼ同一形状を備えてもよい。嵌合は、一般には圧入等を意味する場合があるが、ここでは組立による装着や、シャフトがこの中心孔内でほとんど空転しないことを意味してもよい。シャフトはいわゆる丸棒を含んでよく、また、丸棒を変形したものを含んでよい。例えば、シャフトの断面形状は、円形、又は、楕円形を含んでもよい。また、円を構成する曲線を含み、かつ、直線部分を含んでもよい。搬送ローラは、所定の厚みを有する円板形状をしており、かかる厚みが前記外周面の幅に相当してよい。この厚みが特に厚い場合は、円柱形状ということもできる。
【0011】
また、割り面は、円板状のローラの両側面を通過する面であって、分割ローラを離間させる面を意味することができる。従って、分割ローラが合体され搬送ローラとなる場合は、この割り面は結合面を含んでよい。また、この割り面には、平面及び/又は曲面が含まれてよい。中心孔を横切るとは、この割り面が中心孔を通ることを意味してよい。搬送ローラを3分割以上する場合を含んでもよいが、2分割(若しくは実質的に2分割)の方が好ましい。分割された分割ローラは、中心孔を規定する縁の少なくとも一部を含んでよい。この縁の内周面は、搬送ローラに合体する場合、シャフトの外周面と少なくとも部分的に接触することができ、この接触によりシャフトの空転を防ぐことができてもよい。特に、シャフトの半径方向からの近接により各分割ローラの中心孔を規定する縁の内周面がシャフトの外周面に当接可能になるように、中心孔を規定する縁が分割された各分割ローラに分配されることが好ましい。これにより、分割ローラの合体をシャフト周りに円滑に行うことができる。また、好ましくは実質的に2等分されることがより好ましい。各分割ローラが、それぞれ略同一の側面面積及び/又は形状を有してもよい。ローラの回転中心を中心とする略点対称体であってもよい。前記割り面に対して面対称である場合を含んでもよい。前記中心孔を規定する縁の一部は、各分割ローラに配置されて、シャフトの外周面の少なくとも一部に当接可能な部分曲面を備えてよい。この部分曲面は、シャフトの凸向きの曲面(膨出曲面、第1の嵌合面)を受ける凹部を構成してもよい。ここで、各分割ローラを第1及び第2の分割ローラと呼ぶが、1及び2は便宜上の呼び名であり、これらは交換可能であることはいうまでもない。
【0012】
また、この部分曲面に沿って突出する凸部は、該部分曲面を備える前記中心孔を規定する縁の一部が、搬送ローラの側面視において上記割り面を他方の分割ローラ側に膨出させるように、延びる半円(又は半楕円)形状部を意味してもよい。例えば、この凸部は、側面視において、前記中心孔を規定する縁の一部を下にした鼻のような形状をしてもよい。また、割り面が側面視でいわゆるS字状を呈してもよい。
【0013】
例えば、第1の分割ローラが、第1の凸部を備える場合、前記中心孔を挟んで、第2の分割ローラの第2の凸部に符合する(例えば、第2の凸部が、ジグゾーパズルのピースのように第1の凹部の受け形状に一致しそのまま嵌め込まれる)第1の内向部分曲面を含む第1の凹部を備える。この第1の凹部を規定する割り面の少なくとも一部は、分割ローラの合体時に、前記第2の凸部を規定する割り面の少なくとも一部(第2の外向部分曲面)と当接し結合面を形成する。一方、第1の分割ローラの中心孔を規定する縁の一部が備える第1の部分曲面は、前記中心孔に嵌合されるシャフトの外周面の一部となる凸向きの曲面の少なくとも一部に当接して当該シャフトを受け、当該第1の分割ローラをシャフトからその半径方向に装脱する力を、この当接面において前記第1の部分曲面を当該シャフトの凸向きに押し上げる力に変換可能となっている。従って、当該第1の分割ローラをシャフトからその半径方向に装脱する力は、前記凸向きの曲面の少なくとも一部に当接し反作用により、当該第1の分割ローラを前記凸向きの曲面に沿って持ち上げる力に変換される。この当該第1の分割ローラを持ち上げる力は、前記第1の凸部を持ち上げる力であり、合体時に、前記第2の分割ローラとの結合面(若しくは嵌合面)でこの第2の分割ローラを持ち上げる力として働いてよい。
【0014】
一方、前記第2の分割ローラは、前記第1の部分曲面に前記中心孔を挟んで対向する位置に前記第1の部分曲面に対応する第2の部分曲面を備え、同様に、前記中心孔に嵌合されるシャフトの外周面の一部となる凸向きの曲面の少なくとも一部に当接して当該シャフトを受け、前記第2の分割ローラを持ち上げる力に対向することができる。従って、前記第2の分割ローラには、当該第1の分割ローラをシャフトからその半径方向に装脱する力に起因する持ち上げる力と、シャフトを挟んでその力に対抗する抗力とが働くが、第2の分割ローラという大きな部材で受けるため、部材の破壊は起こり難い。また、シャフトもこれにより圧縮応力を受けるが、対向する位置の第1及び第2の部分曲面から受けるため、応力集中が生じ難く、シャフト部材の破壊は起こり難い。
【0015】
上述では、第1の分割ローラをシャフトからその半径方向に装脱する場合を考慮したが、全く同じことが、第2の分割ローラをシャフトからその半径方向に装脱する場合について当てはまる。具体的には、上述において、第1を第2に、第2を第1に置き換えることにより同様に説明することができる。
【0016】
上述するように、分割ローラを組合せ、シャフトに装着すると、分割ローラを引き離そうと半径方向の力で引っ張っても、分割ローラを離間させることは非常に困難である。従って、特に結合部材を設けることなく、分割ローラの割り面の形状を上述のようにすることにより、強固に結合された搬送ローラを組立てることができ、それを搬送に用いることができる。
【0017】
(2)前記第2の分割ローラは、前記割り面の側面視において、前記第2の部分曲面に沿って前記第1の分割ローラ側に突出する第2の凸部と、前記第2の凸部を前記第2の部分曲面と共に規定するものであって、外周側を向き、前記第1の分割ローラとの割り面を形成する第2の外向部分曲面と、を備え、前記第1の分割ローラは、前記第2の凸部と符合し、外周側から前記第2の外向部分曲面に当接して前記第2の凸部が伝える半径方向外向きの力に対抗する第1の内向部分曲面と、を備えることを特徴とする上記(1)に記載の搬送ローラを提供することができる。
【0018】
(3)前記第1及び第2の分割ローラは、前記外周面において、当該搬送ローラの回転方向に対して所定の角度で傾斜する傾斜割り線により分割されることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の搬送ローラを提供することができる。
【0019】
ここで、傾斜割り線は、前記第1及び第2の分割ローラの割り面が搬送ローラの外周近傍で傾斜して形成された傾斜割り面が、結合されて外周面に現れた傾斜線(分割ローラの繋ぎ目)である。このような傾斜割り面は、第1の凸部を規定する割り面に連設されてよい。この傾斜割り線は、搬送ローラの回転方向に対して所定の角度で傾斜してよく、0度より大きく90度未満の所定の角度で傾斜する。この角度が小さすぎると、傾斜割り面が大きくなりすぎ、生産性の低下や分割ローラの作り易さを損なうので好ましくない。従って、例えば、30度以上が好ましく、40度以上がより好ましく、44度以上が更に好ましい。一方、この角度が大きすぎると、以下に述べる傾斜角の効果が少なくなり、あまり好ましくない。例えば、60度以下が好ましく、50度以下がより好ましく、46度以下が更に好ましい。この第1及び第2の分割ローラの傾斜割り面は、シャフトの軸方向の移動のみで合体時に互いに当接し、また、分離時に離隔することができる。
【0020】
前記分割ローラの繋ぎ目は、上述するように該外周面の幅方向(或いは、シャフトの軸方向)に対して所定の角度で傾斜してよい。一般に、これらの分割ローラを係合して1個の搬送ローラを構成した場合、分割ローラの結合面は完全に接触するわけではなく、僅かなギャップ(例えば、隙間や段差)が生じ易く、例えば、搬送ローラの外周部にはシャフトの軸方向にほぼ平行若しくは所定の角度で傾斜する繋ぎ目を構成する。この繋ぎ目のギャップは、上述のようにシャフトの軸方向にほぼ平行(即ち、搬送ローラの回転方向にほぼ垂直)な繋ぎ目は、被搬送物に一時に接触することがあり、かかるギャップによる衝撃を一時に被搬送物に与えるおそれがある。しかし、この繋ぎ目が回転方向に対して所定の角度で傾斜している場合、この繋ぎ目は、被搬送物に一時に接触するのではなく、搬送ローラの回転に従って、搬送ローラの一方の側面側から他方の側面側へと連続的に幅方向の位置を変えながら被搬送物に接触することができる。これにより被搬送物への一時の衝撃を防止することができる。尚、前記回転方向に対する所定の角度は、搬送ローラの側面に対する第1の傾斜面の傾斜角度により決めることができる。
【0021】
(4)前記シャフトの軸方向において前記第1及び第2の分割ローラを少なくとも相対的に固定可能な規制部材を更に備え、前記規制部材は、前記第1及び第2の分割ローラの前記中心孔を規定する縁の両側面に当接することにより固定することを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の搬送ローラを提供することができる。
【0022】
前記第1及び第2の部分曲面は、前記シャフトの外周面に沿って備えられてよいが、これらは前記シャフトの前記中心孔内での空転を防止できない場合がある。前記シャフトの外周面に部分的な平面を設けることにより、かかる空転を効果的に防止可能である。このような平面以外に、キー溝を設けてもよい。より安定した状態を得るために、部分的な平面は、前記シャフトを挟むように設けることが好ましい。
【0023】
(5)前記第1及び第2の分割ローラは合体して前記シャフトに装着され、前記シャフトの軸方向の移動が制限されて固定されることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の搬送ローラを提供することができる。
【0024】
上述のように、シャフトと共に合体した前記第1及び第2の分割ローラを半径方向に引っ張って分離することは困難であるが、これらの分割ローラは、シャフトの軸方向の移動は比較的自由に行うことができる。従って、この軸方向の移動を制限することで、搬送ローラをシャフトに固定することができる。また、搬送ローラを分割する割り面は、搬送ローラの側面に対して垂直であってもよい。或いは、シャフトの軸方向に平行であってもよい。また、傾斜割り線は、外周面で2以上ある場合、何れも同一方向に傾斜することが好ましい。このようにすれば、外周面で傾斜割り線を作る傾斜割り面の向きが、シャフトの軸方向に対して統一されるので、各分割ローラをシャフトに載せて、シャフトの軸方向であって何れかの向き(合体する向き)に移動することにより、搬送ローラとして組付けることができる。そして、その逆向き(離間する向き)に移動することにより、搬送ローラを各分割ローラに分けることができる。
【0025】
(6)前記シャフトと、前記シャフトに装着される上記(1)から(5)の何れかの搬送ローラの1つ又は2以上と、装着された前記搬送ローラの各々の前記シャフトの軸方向の移動を規制する規制部材と、を備える搬送装置を提供することができる。
【0026】
ここで、規制部材は、前記分割ローラの軸方向の移動を制限可能な部材であり、例えば、楔、かんぬき、その他の小片を含んでよい。
【0027】
(7)シャフトと、被搬送物に接触可能な外周面と、前記シャフトの外周面に嵌合可能な中心孔を合体により備える円板状の搬送ローラを前記中心孔を横切る割り面により略半分に分割される第1及び第2の分割ローラと、からなる分割ローラ組立体における組立方法であって、前記第1の分割ローラの前記中心孔の少なくとも一部を規定する縁の内面に前記シャフトの外周面の少なくとも一部を当接させて、前記第1の分割ローラを前記シャフトに装着する工程と、前記第2の分割ローラの前記中心孔の少なくとも一部を規定する縁の内面に前記シャフトの外周面の少なくとも一部を当接させて、前記第2の分割ローラを前記シャフトであって、前記シャフトの軸方向においてずれた位置に装着する工程と、前記第1及び/又は前記第2の分割ローラを前記シャフトの軸方向にスライドさせて前記第1及び第2の分割ローラを合体する工程と、前記第1及び/又は前記第2の分割ローラの前記シャフトの軸方向の移動を制限する分割ローラ組立体の組立方法を提供することができる。
【0028】
(8)上記(1)から(4)の何れかに記載の搬送ローラに用いられるシャフトであって、当該シャフトと軸中心を共通する軸中心孔と、該軸中心孔を規定する角柱部材と、該角柱部材の断面の対角線方向に延びるリブ部と、当該シャフトの外周面を規定する外殻部材と、前記角柱部材、前記リブ部、及び、前記外殻部材により規定される空間部を備えることを特徴とするシャフトを提供することができる。
【0029】
(9)ガラス基板搬送装置の搬送ローラを支持する回転軸であって、搬送ローラに接触し軸支する外周面を規定する外殻部材と、該外殻部材と軸中心を共通する軸中心孔と、該軸中心孔を規定し前記外殻部材内に軸方向に延びる角柱部材と、該角柱部材の断面の対角線方向に延びるリブ部と、前記角柱部材、前記リブ部、及び、前記外殻部材により規定される空間部を備え、前記外殻部材の少なくとも一部は、フラット面を備えることを特徴とする回転軸を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ローラが分割可能であるため、シャフトを搬送装置に取り付けたままでローラをシャフトから取り外すことができると共に、該分割可能なローラを連結部材無しでシャフトに合体・装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例の全体的な構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1の実施例において、組み立てた状態を表す斜視図である。
【図3】図1の実施例において組み立てた状態のローラを示す図であり、(a)は側面図、(b)はその正面図、(c)は所定角度回転させたときの正面図である。
【図4】本発明の別の実施例の全体的な構成を示す分解斜視図である。
【図5A】本発明の更に別の実施例にかかる分割ローラ組立体の側面図である。
【図5B】分割ローラの角度による構成を説明する側面図である。
【図6A】分割ローラの機能を説明する側面図である。
【図6B】別のタイプの分割ローラを交え、更に機能を説明する側面図である。
【図6C】更に別のタイプの分割ローラの機能を説明する側面図である。
【図6D】別の実施例の分割ローラの角度による構成を説明する側面図である。
【図6E】また更に別のタイプの分割ローラの機能を説明する側面図である。
【図7】本発明のまた別の実施例の全体的な構成を示す組立斜視図である。
【図8】図7の実施例の搬送ローラの側面図である。
【図9】図7の実施例の分割ローラについて、分離した状態を示す側面図である。
【図10】図7の実施例の一方の分割ローラを示す斜視図である。
【図11】図7の実施例について、一方の分割ローラがシャフトに取り付けられる様子を示す斜視図である。
【図12】図7の実施例について、他方の分割ローラも、シャフトに取り付けられ、軸方向の移動を矢印で示す斜視図である。
【図13】図12の移動の結果、搬送ローラがシャフトに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】図7の実施例について、合体された分割ローラの繋ぎ目が外周面に現れる様子を示す平面図である。
【図15】ストッパーが付けられたシャフトの拡大側面図である。
【図16】ストッパーの正面図である。
【図17】シャフトに取り付けられた搬送ローラがストッパーにより固定されている状態を示す平面図である。
【図18】図7の実施例について、シャフトに異なる種類のストッパーが付けられた状態を示す側面図である。
【図19】図18の実施例のストッパーが付けられた組立搬送ローラの断面図である。
【図20】図17の実施例のストッパーの側面図である。
【図21】本発明の搬送ローラを組み込んだ搬送装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について詳しく説明するが、以下の記載は、本発明の実施例を説明するためになされたもので、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。また、同一若しくは同種類の要素については、同一若しくは関連性のある符号を用い、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0033】
図1から図3は、本発明の1つの実施例を示し、図1は、全体的な構成を示す分解斜視図で、図2は組立斜視図で、図3は(a)組立側面図、(b)正面図、(c)繋ぎ目を正面に見えるようになるまで回転したときの正面図である。搬送ローラ組立体410は、分割ローラ412A、412Bの主要部材である円板部414A、414Bと、その中心に位置する中心孔を規定する筒状の孔縁リブ部416A、416Bと、を備える。ここで、中心孔409は、断面が円形から両側を切り落としてフラット面を両側に備える小判型形状をしており、以下ダブルDシェイプと呼ぶ断面形状を呈するシャフト330が嵌合される。この中心孔にシャフト330が嵌合することで分割ローラ412A、412Bがシャフト330に装着される。孔縁リブ部416A、416Bは、かかる中心孔を補強し分割ローラ412A、412Bがシャフト330に確実に固定されるように、分割ローラ412A、412Bの主要平面部材である円板部414A、414Bの両側面に突出するように設けられている。また、これにより軸心に対する分割ローラ412A、412Bが合体した搬送ローラのフレを小さくすることができる。
【0034】
また、分割ローラ412A、412Bは、被搬送物(例えば、液晶基板、太陽電池基板等の電子材料基板)と接触する外周面407A、407Bを外周リブ部418A、418Bの外周に備える。外周面407A、407Bは、シャフト330の軸方向に幅を持ち、いわば高さ(図2では、分割ローラ412A、412Bが合体したローラの幅方向)の低い円筒の側面により形成される。図示しない被搬送物との接触を考慮してその表面性状(形状及び材質等)は適宜選択される。また、上記孔縁リブ部416A、416Bと同様、ローラの幅方向に突出するように備えられている。これにより、被搬送物との接触面積が増え、搬送を安定的に行うことができる。
【0035】
分割ローラ412A、412Bは、互いに割り面を構成する結合面をそれぞれ備え、例えば、分割ローラ412Aは、側面視S字状の結合面420A、421A及び外周部の傾斜面422A、424Aを備える。一方、分割ローラ412Bは、分割ローラ412Aの結合面に符合するように、側面視S字状の結合面420B、421B及び外周部の傾斜面422B、424Bを備える。分割ローラ412Aは、中心孔を規定する孔縁リブ部416Aの内周面に沿って、割り面421に対し他方の分割ローラ412B側に突出する凸部428Aを結合面421Aにより規定されて備え、他方の分割ローラ412Bは、これと符合するように凹部428Bをやはり結合面421Bにより規定されて備える。また、この凸部428Aと中心孔を挟んだ対向位置に、分割ローラ412Aは、凹部426Aを結合面420Aに規定されて備える。この凹部426Aは、割り面420に対し分割ローラ412A側に突出する凸部426B(結合面420Bにより規定)に符合する。このような分割ローラ412A、412Bは、まず、シャフト330の外周面に装着され、そのまま軸方向に移動し、図2のように合体した搬送ローラとなる。このとき、外周リブ部418A、418Bは、結合面422A及び422B並びに424A及び424Bが当接することによりその位置が決定される。このときそれぞれの結合面の繋ぎ目422、424が外周面に形成される。この実施例では、繋ぎ目422、424はそれぞれ約45度で組立てた搬送ローラの回転方向に対して傾斜し、後述するような傾斜効果を備えている。
【0036】
ここで、シャフト330は、例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製であり、丸棒を床に寝かせ両側を切り落として設けたフラット面342を備える断面小判型形状をしている。このシャフト330の外周を規定する筒状の殻部材340と軸心を共通する軸中心孔332を備え、殻部材340の内側にこの軸中心孔332を形成する四角柱形状の部材を、その四角柱断面対角線方向に延びるリブ部336により支持する構造となっている。そして、殻部材340と四角柱の間には、4つのリブ部336により仕切られた空間334及び後述するスロット(若しくは、Tスロット)335のT字部分が設けられる。このような構造とするため、シャフト(回転軸)330は、軽量でありながら、断面2次モーメントが大きく、曲げに対する抵抗力が大きい。また、このような構造は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の押し出し成形で比較的容易に成形することが可能であるが、ステンレスを始め鉄系の合金を用いた場合は、機械加工で成形することになる場合が多く、生産性も低い。
【0037】
図1に示すように、ダブルDシェイプのシャフト330は、その外側の殻部材340の表面が、分割ローラ412A、412Bの孔縁リブ部416A、416Bの内周面に当接する。具体的には、図1において、フラット面342にフラットな内周面417A、417Bが割り面422、424を挟んで当接し、湾曲面341、341に湾曲する内周面415A、415Bが当接する。このフラット面同士の当接により、結合された搬送ローラの回転方向の位置とシャフト330の回転方向の位置が同期し、搬送ローラの中心孔409内のシャフト330の空転を防止することができる。
【0038】
上記フラット面342には、軸方向に沿ってスロット(若しくは、Tスロット)335が延設されている。スロット335には、後述するが、組立てた搬送ローラが固定されるシャフト330の軸方向の移動を制限するためのストッパーが装着される。詳細は、後述するが、これらの分割ローラ412A及び412Bは、シャフト330に装着され、シャフト330の軸方向の移動がないように固定すれば、これらの分割ローラ412A及び412Bが分離し、シャフト330から装脱されることはない。
【0039】
このようなシャフト330に装着した状態での分割ローラ412A、412Bのシャフトの軸方向の移動による搬送ローラの合体は、分割ローラ412A、412Bの外周リブ部418A、418Bの傾斜した結合面422A、422B、424A、424Bにより精度よく行うことができる。これらの傾斜結合面は、結合する結合面同士422A及び422B、並びに、424A及び424Bが符合するようにそれぞれ実質的に同じ角度で傾斜する。一方、合体した搬送ローラにおいて間に円板部414A、414Bを挟んで対向する位置にある傾斜結合面は、それぞれ同じ向きに傾斜する。例えば、図1において、結合面422A及び422Bは、対向する位置にある結合面424A及び424Bと同様に、右肩下がりに傾斜する。ここでは、この状態を正面視で同じ向きに傾斜すると呼ぶことにする。このように同じ向きに傾斜することにより、例えば、図1において、分割ローラ412Aは、シャフト330上を奥側から手前へ(若しくは右から左へ)と移動することにより、相手の分割ローラ412Bと合体することができる。ところで、図示しないが、正面視で平行に傾斜しない場合(この状態を、ここでは、平面視でクロスして傾斜すると呼ぶことにする)は、分割ローラの合体をシャフト上の軸方向の移動により行うことは容易ではない。より具体的には、図3(c)に示すように、割り面424が外周面に線となって現れ、回転方向に対する傾斜角θが約45度となるように、右肩下がりに傾斜している。ここで、結合面424A、424Bは符合するように整形され、必ずしも回転対称となる必要はない。また、この外周面407A、407Bに現れる割り面424に対向する位置の割り面422は、同様な向きに傾いている。本実施例では、同じ傾斜角θであるので、図3(c)の割り面424に重なる。しかしながら、傾斜角は、外周面に現れる2つの割り面において同一である必要はないが、実質的に同一である方が好ましい。
【実施例2】
【0040】
図4は、本発明の別の実施例の全体的な構成を示す分解斜視図である。搬送ローラ組立体10は、分割ローラ12A、12Bの主要部材である円板部14A、14Bと、その中心に筒状の孔縁リブ部16A、16Bにより規定される中心孔とを備える。この中心孔にシャフト30が嵌合することで分割ローラ12A、12Bがシャフト30に装着される。これらの部材は、図1の前の実施例と同様な構造、形状、機能を備えるため、同様な説明は割愛する。
【0041】
また、分割ローラ12A、12Bは、被搬送物と接触する外周面17A、17Bを外周リブ部18A、18Bの外周に備える。分割ローラ12A、12Bは、互いに割り面を構成する結合面をそれぞれ備え、例えば、分割ローラ12Aは、S字状の結合面20A、21A及び外周部の傾斜面22A、24Aを備える。一方、分割ローラ12Bは、分割ローラ12Aの結合面に符合するように、S字状の結合面20B、21B及び外周部の傾斜面22B、24Bを備える。分割ローラ12Aは、中心孔を規定する孔縁リブ部16Aの内周面に沿って、割り面に対し他方の分割ローラ12B側に突出する凸部28Aを結合面21Aにより規定されて備え、他方の分割ローラ12Bは、これと符合するように凹部28Bをやはり結合面21Bにより規定されて備える。また、それと中心孔を挟んで対向する位置に、分割ローラ12Aは、割り面に対しこの分割ローラ12A側に突出する結合面20Bにより規定される凸部26Bに符合する凹部26Aをやはり結合面20Aに規定されて備える。このような分割ローラ12A、12Bは、まず、シャフト30に軸方向に移動可能にクリアランスを備える移動スリーブ部材60の外周面に合体して取り付けられ、そのまま軸方向に移動し、シャフト30に固定された固定スリーブ部材50のテーパー面54に、移動スリーブ部材60の内周面が嵌合する。そして、固定スリーブ部材50の端壁56が分割ローラを軸方向に固定する。
【0042】
ここで、シャフト30は、例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製であり、外周を規定する筒状の殻部材40と軸心を共通する軸中心孔32を備え、殻部材40の内側にこの軸中心孔32を規定する四角柱形状の部材を、その断面対角線方向に延びるリブ部36により支持する。そして、殻部材40と上記四角柱形状の部材との間には空洞34が設けられる。空洞34の上記四角柱形状の部材側には溝38が設けられる。このような構造とするため、シャフト(回転軸)30は、軽量でありながら、断面2次モーメントが大きく、曲げに対する抵抗力が大きい。また、嵌合部において、フラット面がないため空転のおそれもあるが、搬送するものが軽い等、低負荷においては空転は生じ難い。もちろん、シャフト30にキー溝を設けたり、フラット面を設け、分割ローラの嵌合部の形状をそれに符合させることにより空転を防止できることは言うまでもない。
【実施例3】
【0043】
図5Aは、更に別の実施例を示す側面図である。上述の実施例と同様な構造をしており、搬送ローラ112は、分割ローラ112A、112Bの主要部材である円板部と、その中心に筒状の孔縁リブ部116A、116Bにより規定される中心孔とを備える。この中心孔にシャフト130が嵌合することで分割ローラ112A、112Bがシャフト130に装着される。孔縁リブ部116A、116Bは、かかる中心孔を補強し分割ローラ112A、112Bがシャフト130に確実に固定されるように、分割ローラ112A、112Bの両側面に突出するように設けられている。
【0044】
分割ローラ112A、112Bは、互いに割り面を構成する結合面をそれぞれ備え、例えば、S字状の繋ぎ目線128により分割される。前の実施例と異なり、外周部近傍に、傾斜部はなく、割り面が外周面に現れる繋ぎ目は、分割ローラ112A、112Bの結合体である搬送ローラの回転方向に対してほぼ90度である。しかしながら、S字状に側面視される割り面により、凸部128A及び符合する凹部128B、並びに、凹部126A及び符合する凸部126Bを分割ローラ112A、112Bがそれぞれ備える。このため以下に考察する機能が達成され得る。本実施例の搬送ローラ112では、上述する傾斜面は設けられていない。分割ローラ112A及び112Bは同一の形状である。このため、生産効率を高くすることができる。
【0045】
図5Bに、分割ローラの構成を中心角を用いて説明する側面図を示す。図5Aと異なり、中心孔及び外周を規定するリブ部が省略された機能構成図である。割り面により分割される分割ローラを結合したローラにおいて、該割り面は側面視でS字状の繋ぎ目線として表される。図中、繋ぎ目線が、中心孔の周縁部に交わる点1bからローラの側面において上に凸の半円を描くように湾曲し、外周に交わる(交点:1a)。中心孔の周縁部に交わる点1bから、ローラの側面を構成する円の中心を通る仮想線に沿って、該中心孔の反対側の周縁部に達し、その周縁部との交点1b’を起点として、再び繋ぎ目線(即ち割り面)が始まり、下に凸の半円を描くように湾曲して、外周に交わる点1a’において終わる。本実施例においては、各分割ローラは、全くの同形となるように割り面が形成される。この実施例では、ローラの半径がr1で、中心孔の半径がr2である。このようなr1及びr2の組合せでは、繋ぎ目線の外周との交点(1a)、そして、中心孔の周縁の交点(1b)を中心とそれぞれ結ぶ線により規定される中心角は、73.87度であった。この角度についても後述する。
【0046】
図6Aは、分割ローラ212A、212Bが合体したものを側面視した図である。孔縁リブ部219A、219Bにより中心孔が規定され、側面視でS字状の繋ぎ目線228を呈する割り面により、分割される。中心孔から起点Pより、右半分の割り面が開始されるが、この位置での中心孔を規定する側面視で円の接線L2を、側面視で繋ぎ目線228に対して認識できる。繋ぎ目線228は図中下方に湾曲しながら進むが、この曲線の接線は、何れもL2よりも、半径方向に立っていることがわかる。しかしながら、その接線の傾きは、徐々にL2に近づき、ついにポイントQにおいて接線L3の傾きは、L2の傾きとほぼ等しくなる。それ以降も接線の傾きは、徐々に寝る。このように繋ぎ目線228は、起点PからポイントQまでのより立った傾き部分227と、ポイントQ以降のより寝た傾き部分229から構成される。また、繋ぎ目線228は、接線L2に対して90度以下の角度(図6Eにおいて示すようにより高い角度でもよい)で、起点Pを出発し、徐々にその角度を小さくし、ポイントQにおいて接線L2との角度が0度(平行)となる。更に、同じ方向に角度が変化(一方向に回転)し、ついには接線L2との角度が90度近くまで延びて外周に到達する。一方、起点Pに、中心孔を挟んで対向する位置Rに、分割ローラ212Bの、内周面(部分曲面)があり、中心孔に嵌合されたシャフトの外周面に当接することにより、その移動が規制される。このように、第1の分割ローラ212Aは中心孔を規定する縁の一部である第1の部分曲面と、この第1の部分曲面に沿って第2の分割ローラ212Bの側に突出する第1の凸部126Bと、これを第1の部分曲面と共に規定する、外周側を向く第1の外向部分曲面(繋ぎ目線228)とを備える。一方、第2の分割ローラ212Bは、第1の部分曲面に中心孔を挟んで対向する位置に対応する第2の部分曲面(位置Rの内周面)と、第1の凸部126Bが第1の外向部分曲面を介して伝える半径方向外向きの力に当接して対抗する第2の内向部分曲面とを備える。このように搬送ローラを分離しようとする半径方向の力は、第1及び第2の分割ローラ全体と言えるような主要部で規制し対抗することができる。また、当接(又は対向)する各面の押付力を利用して規制するので、シャフトや分割ローラ等の各部材の圧縮強度や、比較的大きな部材のせん断強度を活用することができる。従って、ボルト等の締結部材等のような小部品の引張り強度に依存するような分割ローラの締結に比べ、より高い強度や耐久力が期待できる。
【0047】
ここで、分割ローラ212A、212Bを分離するために離間させる力を図の矢印T1、T2のように働かせる。この力は、直線L1に平行であるので、起点Pにおいて、分割ローラ212Bの移動を妨げるものはない。また、Rにおいても、接線方向はL2よりも寝ており、分割ローラ212Bの移動を妨げない。しかし、ポイントQを超えた繋ぎ目線229では、接線方向の傾きが、L2よりも寝ているため、分割ローラ212Bの移動を規制する。即ち、移動に伴い、繋ぎ目線228の傾き部分229を押し(図中では押し下げ)、分割ローラ212Aを図中下方に押し下げようとする。しかるに、R位置における分割ローラ212Aの内周面(部分曲面)がシャフトの外周面に当接して引っかかり、この動きを規制する。従って、分割ローラ212BのT1方向の移動が妨げられる。
【0048】
ここで、引っ張り方向(L1方向)をより寝かせれば、起点Pにおいてシャフトと内周面での干渉が生じ、L1方向をより立たせると、今度は、ポイントQを超えた繋ぎ目線228の傾き部分229での結合面同士の当接による干渉が生じる。このように、分割ローラ212A、212Bは、特に結合部材を用いることなく、分離できないように合体される。ここで、図1から3に示すような、ダブルDシェイプのシャフトを用いた場合であっても同様である。嵌合させる中心孔409のフラット面から、割り面が始まるが、このフラット面の向きが、図6Aにおける接線の向きに相当する。引っ張り力がそれよりも寝た方向に作用し合うとすれば、シャフト330と中心孔409の内周面との干渉により、その力では分割ローラの分割が困難であり、引っ張り力がそれよりも立った方向に作用し合うとすれば、外側の結合面同士の干渉により、分割を妨げる。
【0049】
図6Bは、図6Aの構成を更に説明する図であり、図5Bと同様、ローラの半径がr1で、中心孔の半径がr2とする。この図では、接線L2を延長し、外周と交差する点をSとし、繋ぎ目線228が外周へ延びる方向であって、中心線となる直線L1が外周と延び交差する点をTとし、上述する線L1、L2、L3に直交し中心を通る線をL4として、上記メカニズムをより詳しく説明する。点Qを超えると線L2に平行な分割ローラ212Bの移動が繋ぎ目線228により規制されるとしたが、その規制力は、その点Qにおける割り面間の摩擦によるため、それほど大きいものではない。一方、線L2がローラの外周と交差する点Sを越えて、繋ぎ目線228が外周と交差する場合は、この外周側に分割ローラ212Aの外殻が存在するため、T1、T2方向に力が働いても、分割ローラ212Bがこの外殻に当接してその力を受け止めることとなる。多少は割り面での滑り方向の力に分力されるが、このr1、r2の半径比ではその分力は少ないと考えられる。この点Sと中心を結ぶ線及びL4との間の中心角φは、計算により、φ=cos−1(r2/r1)として求めることができる。図5Bの実施例では、r2/r1=0.29、であったので、φ=73度、である。つまり、図5Bの実施例では、このような角度が採用されたものである。このとき、力はL2に沿ってかけられるので、このような機構は、中心孔内にシャフトが嵌合されていなくても生じる。
【0050】
更に、別の実施例となるべき分割ローラを形成する割り面による繋ぎ目線228’を破線で示す。繋ぎ目線228’の中心孔の周縁との交点Pから外周へと渦巻き状に延び外周に達し、点Vにおいて交わる。交点Pにおける繋ぎ目線228’の接線(即ち、滑り面となる割り面がこの線に沿う)をL5とし、この線に平行であって、点Uにおいて繋ぎ目線228’に接する線をL6とする。ここでは、中心孔にシャフトが挿入されておらず、点Pにおいて、線L4やL5に沿ってシャフトを挟み込む力が働いたとしてもシャフトによる対抗がされない。しかしながら、繋ぎ目線228の場合と同様に側面視でS字状の繋ぎ目線228’を呈する割り面により、分割され、線L5に沿って割り面での滑りが生じ得る。しかるに、点Uにおいて接線L6の傾きは、L5の傾きとほぼ等しくなる。それ以降も接線の傾きは、徐々に寝る。このように繋ぎ目線228’は、起点Pの割り面の傾きからほぼ180度回転した接線L6を持つ点Uまでの傾き部分と、点U以降の割り面を離す力が逆に割り面を押し付ける力に変わる傾きの反転部分とから構成される。特に、点Vを超えて繋ぎ目線228’が外周に交わる場合、繋ぎ目線228における線L2と外周と交差する点Sを超える場合と同様、外周側に分割ローラ212Aの外殻が存在するため、L5方向に力が働いても、分割ローラ212Bがこの外殻に割り面で当接してその力を受け止めることとなる。
【0051】
図6Cは、図5Bと同様に、分割ローラの構成を中心角を用いて説明する側面図を示す。割り面により分割される分割ローラを結合したローラにおいて、該割り面は側面視でS字状の繋ぎ目線として表される。図中、繋ぎ目線が、中心孔の周縁部に交わる点2bからローラの側面において左に凸の半円を描くように湾曲し、外周に交わる(交点:2a)。中心孔の周縁部に交わる点2bから、ローラの側面を構成する円の中心を通る仮想線に沿って、該中心孔の反対側の周縁部に達し、その周縁部との交点2b’を起点として、再び繋ぎ目線(即ち割り面)が始まり、右に凸の半円を描くように湾曲して、外周に交わる点2a’において終わる。本実施例においては、各分割ローラは、全くの同形となるように割り面が形成される。繋ぎ目線の外周との交点(2a)、そして、中心孔の周縁の交点(2b)を中心とそれぞれ結ぶ線により規定される中心角は、61.03度であった。この角度が、上述する角度より小さいのは、中心孔の大きさの関係及び長円における直線部での滑りが大きく規制されるためである。
【0052】
図6Dは、分割ローラ712A、712Bが合体したものを側面視した図である。図6Aと異なり、図1のように中心孔が円ではなく長円形に類似するものとなっている。孔縁リブ部719A、719Bにより中心孔が規定され、側面視でS字状の繋ぎ目線728を呈する割り面により、分割される。中心孔から起点PPより、割り面が開始されるが、この位置での中心孔を規定する側面視で円の接線L22を、側面視で繋ぎ目線728に対して認識できる。繋ぎ目線728は図中下方に湾曲しながら進むが、この曲線の接線は、何れもL2よりも、半径方向に立っていることがわかる。しかしながら、その接線の傾きは、徐々にL22に近づき、ついにポイントQQにおいて接線L33の傾きは、L22の傾きとほぼ等しくなる。それ以降も接線の傾きは、徐々に寝る。このように繋ぎ目線728は、起点PPからポイントQQまでのより立った傾き部分727と、ポイントQQ以降のより寝た傾き部分729から構成される。一方、起点PPに、中心孔を挟んで対向する位置RRに、分割ローラ712Bの、内周面(部分曲面)があり、中心孔に嵌合されたシャフトにより、その移動が規制される。
【0053】
ここで、分割ローラ712A、712Bを分離するために離間させる力を図の矢印T11、T22のように働かせる。この力は、直線L11に平行であるので、起点PPにおいて、分割ローラ712Bの移動を妨げるものはない。また、RRにおいても、接線方向はL22よりも寝ており、分割ローラ712Bの移動を妨げない。しかし、ポイントQQを超えた繋ぎ目線729では、接線方向の傾きが、L22よりも寝ているため、分割ローラ712Bの移動を規制する。即ち、移動に伴い、繋ぎ目線728の傾き部分729を押し(図中では押し下げ)、分割ローラ712Aを図中下方に押し下げようとする。しかるに、RR位置における分割ローラ712Aの内周面(部分曲面)がシャフトに引っかかり、この動きを規制する。従って、分割ローラ712Bの移動が妨げられる。
【0054】
ここで、引っ張り方向(L11方向)をより寝かせれば、起点PPにおいてシャフトと内周面での干渉が生じ、L11方向をより立たせると、今度は、ポイントQQを超えた繋ぎ目線728の傾き部分729での結合面同士の当接による干渉が生じる。このように、分割ローラ712A、712Bは、特に結合部材を用いることなく、分離できないように合体される。ここで、L22が外周と交わる点を超えて繋ぎ目線728が外周と交わる場合、上述と同様に分割ローラ712Aの外殻が分割ローラ712Bと当接することにより動きを規制することができる。
【0055】
図6Eは、少し異なる実施例におけるメカニズムを説明する概略側面図である。図5Bと同様に、分割ローラの構成を中心角を用いてを説明する。割り面により分割される分割ローラを結合したローラにおいて、該割り面は側面視でS字状の繋ぎ目線として表される。図中、繋ぎ目線が、中心孔の周縁部に交わる点3bからローラの側面において左に凸の半円を描くように湾曲し、外周に交わる(交点:3a)。中心孔の周縁部に交わる点3bから、ローラの側面を構成する円の中心を通る仮想線に沿って、該中心孔の反対側の周縁部に達し、その周縁部との交点3b’を起点として、再び繋ぎ目線(即ち割り面)が始まり、右に凸の半円を描くように湾曲して、外周に交わる点3a’において終わる。本実施例においては、各分割ローラは、全くの同形となるように割り面が形成される。繋ぎ目線の中心孔の周縁の交点(3b、3b’)における接線を3La、3La’とすれば、繋ぎ目線における接線は、周縁の交点3b、3b’において、図6A等の場合と異なり、直角よりも大きな角度をもって割り面が規定されるので、その角度はかなり立った角度となる。この角度が次第に寝るようになり、左側に頂部を持ち(このときの接線であって中心点からの中心線により所定の中心角Xの一辺が規定される)、更に寝て行き、点3cにおいて接線3Laに平行な接線3Lcを引くことができる(同様に接線3Lc’を引くことができる)。そして更に、外周に到達する(点:3a)。この点と中心を結ぶ線と前記中心線とによって規定される中心角Xは、図6Bのものより小さくできる可能性がある。また、点3b及び中心を結ぶ線は、接線3Lcの接点より右側にあり、正の中心角Yを規定する。この場合であっても、割り面の該接点を超える部分において強い摩擦力が働き、分割ローラを分離する力に対抗することができる。
【0056】
これまでは、外周部の傾斜面22A、22B、24A、24B、422A、422B、424A、424Bを除き、割り面はローラの側面に対して実質的に垂直であった。このようにすることで、分割ローラの組立を、シャフトに沿って移動させることにより、分割ローラの組付けが容易に行われるようにしている。しかしながら、外周部の傾斜面22A、24A、422A、424Aだけでなく、前記割り面の一部若しくは全部をこのような傾斜面と同様に傾斜させることができる。このとき、組み付けは、一方向からのみ可能となる。
【実施例4】
【0057】
図7から14は、本発明の更に別の実施例を示し、図7は全体的な構成を示す斜視図で、図8は合体したときの側面図で、図9は分割ローラを分離したときの側面図で、図10はそのうち一方の分割ローラを示す斜視図で、図11から13は分割ローラのシャフトへの組立方法を図解したもので、図14は分割ローラからなる搬送ローラ組立体の正面図である。搬送ローラ組立体310は、中心に筒状の中心孔を備え、該中心孔の周縁には孔縁リブ部316A、316Bが形成される。この中心孔にシャフト330が嵌合することで分割ローラ312A、312Bがシャフト330に装着される。孔縁リブ部316Aは、かかる中心孔を補強し分割ローラ312A、312Bがシャフト30に確実に固定されるように、分割ローラ312A、312Bの両側面に突出するように設けられている。また、これにより軸心に対する組立てた搬送ローラのフレを小さくすることができる。
【0058】
また、組立てた搬送ローラは、被搬送物(例えば、液晶基板、太陽電池基板等の電子材料基板)と接触する外周面307Aを備える。外周面307Aは、シャフト330の軸方向に幅を持ち、いわば高さ(図7では組立てた搬送ローラの幅方向)の低い円筒の側面により形成される。図示しない被搬送物との接触を考慮してその表面性状(形状及び材質等)は適宜選択される。また、上記孔縁リブ部316A、316Bと同様、組立てた搬送ローラの両側面に突出するように備えられている。これにより、被搬送物との接触面積が増え、搬送を安定的に行うことができる。
【0059】
シャフト330は、丸棒を床に寝かせたときにその両側面を切り落とすようにして設けることができるフラット面342を備えるような断面小判型形状をしており、上記孔縁リブ部316A、316Bの内面にあるフラット面317A、317Bと嵌合し、シャフト330及び組立てた搬送ローラが同期して回転可能となっている。上記フラット面342には、軸方向に沿ってスロット335が延設されている。スロット335には、後述するが、組立てた搬送ローラが固定されるシャフト330の軸方向の移動を制限するためのストッパーが装着される。尚、シャフト330は、中心の円筒状の空洞332を備える角柱の各コーナーから対角線上に延びるリブ336により支えられる上記フラット面342以外の丸い外周面を形成する外周殻340を備え、外周殻340と角柱の間には空洞334が設けられる。このようにシャフト330内には空洞が多く、シャフトの軽量化に貢献している。
【0060】
上述のように、立てた搬送ローラの孔縁リブ部316A、316Bの内周面は、シャフト330の外周面に嵌合し、その形状から立てた搬送ローラの空転を効果的に防止することができる。また、立てた搬送ローラは、中心孔を横切って側面視で略S字状に延びる割り面320によって分割ローラ312A及び312Bに分割される。詳細は、後述するが、これらの分割ローラ312A及び312Bは、シャフト330に装着され、シャフト330の軸方向の移動がないように固定すれば、これらの分割ローラ312A及び312Bが分離し、シャフト330から装脱されることはない。
【0061】
図9は、立てた搬送ローラが分割ローラ312A及び312Bに離れて分割された状態を示す側面図である。図中右側のローラ片が分割ローラ312A、左側のローラ片が分割ローラ312Bである。これらの分割ローラは略同一の形状をしているため、ここでは主に分割ローラ312Aについて説明する。尚、特に注記がない場合、両分割ローラの各部位の符号の数字が共通するものについては形状・機能も共通するものとする。
【0062】
分割ローラ312Aは、中心孔の上に、該孔を規定する下向きに凹形となる曲面315Aを備えて鼻のように分割ローラ312B側に突出する凸部326Aを備えている。そして、分割ローラ312Aの凸部326Aに対応する分割ローラ312Bの凸部328Bに対して、分割ローラ312Aは符合する凹部を規定する結合面320Aを中心孔の下側に備える。分割ローラ312Bと合体している状態では、分割ローラ312Aの凸部326Aは分割ローラ312Bの結合面321Bにより規定される凹部に嵌合する。また、分割ローラ312Aは、詳しくは後述するが、凸部326Aの半径方向略外側の面に連設される第1の傾斜面325Aを備えていると共に、結合面320Aで規定される凹部の内壁面に連設される第3の傾斜面323Aを備えている。
【0063】
図8は、本発明の搬送ローラがシャフトに取り付けられている状態を示す側面図である。図8に示すように、分割ローラ312A及び312Bが合体した状態でシャフト330の外周面に嵌合している。このとき、分割ローラ312Aは、凸部326Aの中心孔側に該孔を規定する縁の一部の内周面(第1の部分曲面)315Aをシャフト330の外周面に当接させ、凸部326Aの半径方向外側の割り面の一部を分割ローラ312Bの凹部326Bの割り面の一部に符合するように当接させている。従って、両ローラが合体してシャフト330に装着している状態では、一方の分割ローラに半径方向外向きの力(例えば、分割ローラ自体の重さによる力や、各分割ローラを半径方向に引っ張る力)が加えられても、凸部326Aがシャフト330の凸向きの曲面(膨出曲面、第1の嵌合面)により押し上げられ、該凸部326Aは、分割ローラ312Bの凹部326Bの符合する面により移動が規制されるため、シャフトの330の凸向きの曲面(膨出曲面、第1の嵌合面)との係合が解かれず、分割ローラが合体した搬送ローラは脱落しない。また、図中下辺に注目すれば、同様に、分割ローラ312Bは、凸部328Bの中心孔側に該孔を規定する縁の一部の内周面(第2の部分曲面313B)をシャフト330の外周面に当接させ、凸部328Bの半径方向外側の割り面の一部を分割ローラ312Aの凹部328Aの割り面の一部320に符合するように当接させている。従って、両ローラが合体してシャフト330に装着している状態では、一方の分割ローラに半径方向外向きの力(例えば、分割ローラ自体の重さによる力や、各分割ローラを半径方向に引っ張る力)が加えられても、凸部328Bがシャフト330のシャフトの凸向きの曲面(膨出曲面、第3の嵌合面)により押し下げられ、該凸部328Bは、分割ローラ312Aの凹部328Aの符合する面により移動が規制されるため、シャフトの330のシャフトの凸向きの曲面(膨出曲面、第3の嵌合面)との係合が解かれず、分割ローラが合体した搬送ローラは脱落しない。また、分割ローラ312A及び312Bをそれぞれ上下に離間するように引っ張ってもそれぞれ第1及び第2の部分曲面がシャフトの外周面と係合するので、分割ローラの合体は解かれない。よって、結合部材等を用いずに組立搬送ローラをシャフト330に装着させておくことができ、搬送装置の組立時やローラ交換時における作業効率を向上させることができる。
【0064】
図10は、分割ローラ10Aの傾斜面を示す斜視図である。図10に示すように、分割ローラ312Aは、凸部326Aの半径方向略外側の面に連設される第1の傾斜面325Aを備えていると共に、凹部328Aの内壁面(第2の嵌合面320A)に連設される第3の傾斜面323Aを備えている。凸部326Aの半径方向略外側の面は軸方向と平行に形成されているが、さらに半径方向外側に位置する第1の傾斜面325Aは、軸方向に対して所定の角度(本実施例では45°)で傾斜している。同様に、凹部328Aの内壁面は軸方向と平行に形成され、さらに半径方向外側に位置する第3の傾斜面323Aは、軸方向に対して所定の角度(本実施例では45°)で傾斜している。
【0065】
尚、図示しないが、分割ローラ312Bの第2の傾斜面325B及び第4の323Bも、合体時に分割ローラ312Aの各傾斜面と対向するように傾斜している。
【0066】
例えば、側面に垂直な面で直径に沿って割ったローラのように、軸方向と平行な平面が軸方向と平行なローラの外周面と交差する場合には、該交差する直線(繋ぎ目)は外周面幅方向と平行に形成される。分割ローラの繋ぎ目は外周面の幅方向に対して傾斜する。
【0067】
図14は、分割ローラの繋ぎ目を示す正面図である。分割ローラ312A及び312Bからなる組立搬送ローラがシャフト330に装着されている。上述のように、本実施例の割り面は外周面近傍ではシャフト330の軸方向に対して所定の角度(45°)傾斜しているため、組立搬送ローラの外周面に形成される繋ぎ目324は外周面307Aの幅方向に対して所定の角度(θ=45°)で傾斜している。これにより、被搬送物が繋ぎ目324を通過する際には、被搬送物は、搬送ローラの回転に従って、この繋ぎ目324に沿って連続的に搬送ローラの外周面と点接触するので、搬送時に被搬送物に生じる衝撃を軽減することができる。また、対向する位置にある繋ぎ目も同様に所定の角度(θ=45°)で傾斜している。
【0068】
図11から13は、本発明の搬送ローラがシャフトに取り付けられる様子を示す斜視図である。尚、シャフト330は既に搬送装置に取り付けられているものとする。図11に示すように、まず、一方の分割ローラ(本実施例では312Aとする)の孔縁リブ部316Aを、シャフト330の外周面に係合させる。次に、図12に示すように、分割ローラ312Bの孔縁リブ部316Bを、同様にシャフト330の外周面に係合させる。そして、各分割ローラをシャフト330に沿って相互に近づけるように(矢印方向に)スライドさせ、両者を合体させる(図13参照)。
【0069】
このとき、分割ローラ312Aの傾斜面325A及び323Aが、分割ローラ312Bの傾斜面325B及び323Bと対向しているため、これらの傾斜面同士が当接するところまでスライドさせればよい。このような傾斜面同士は当接するので、合体後には各分割ローラの軸方向の移動がそれぞれ一方向(離反する方向)に制限される。従って、例えば分割ローラ312Aに対して矢印X方向の力を加えても、シャフト330から脱落しない。また、上述のように、半径方向外向き(矢印Y方向)の力を加えても脱落しない。以上のように、本実施例では、固定治具等を用いずに組立搬送ローラをシャフト330上に保持することができる。
【0070】
図15及び16は、本発明の搬送ローラの位置決めのための規制部材であるストッパーを示す拡大側面図及び平面図である。ストッパー360は、断面凸字状の幅広のベース部材364を含む本体362を備え、該本体362を貫通する雌ネジ部(図示せず)にネジ部材370が螺合される。このストッパー370は、シャフト330の外周面軸方向に延設される断面T字状のスロット335に装着され、ネジ部材370を締め付け、ネジ部材370の先端がシャフト330のスロット335の底部346に当接することでシャフト330上に固定される。そして、ネジ部材370の締め付けを緩めることで、ストッパー360はシャフト330上を軸方向に移動可能となる。
【0071】
上述のように分割ローラ312A及び312Bをシャフト330に合体・装着した後に(図11から図13参照)、予めシャフト330のスロット335に、1組の組立搬送ローラにつき2個装着されているストッパー360を、シャフトの軸方向両側から組立搬送ローラを挟む方向に移動させ、組立搬送ローラを挟んだ位置(ストッパー360が組立搬送ローラの孔縁リブ部316A、316Bに当接する位置)でネジ部材370で締め付けてストッパー360を固定する。このような手順で、シャフト330に順次組立搬送ローラを取り付ける。
【実施例5】
【0072】
図17は、シャフトに取り付けられた複数の組立搬送ローラがストッパー360により固定されている組立体311を示す平面図である。本実施例では、1本のシャフト330に4セットの分割ローラ312A、312Bからなる組立搬送ローラを取り付けているが、1セットの組立搬送ローラに対して、一方のスロット335に2個ずつ、計4個のストッパー360が取り付けられている。これにより、組立搬送ローラの軸方向への位置ずれを防止することができる。また、ストッパー360が両分割ローラ312A及び312Bの孔縁リブ部316A、316Bを両側から挟んで固定しているため、各分割ローラが離反するような軸方向の力が加えられても、合体形成された組立搬送ローラは分割されずにシャフト330上に固定されることができる。
【0073】
尚、メンテナンス等のために組立搬送ローラをシャフトから取り外す場合には、ストッパー360のネジ部材370の締め付けを緩めた上で、分割ローラ312A及び312Bを軸方向で反対方向に離反させる力を加えればよい。このため、容易に組立搬送ローラをシャフト330から取り外すことができる。
【0074】
図18から図20は、本発明の実施例について、規制部材であるストッパーの別の実施例について説明する。図18は、このストッパーを組付けた側面図であり、図19はこのストッパーを組付けた仮想透過図で、図20はこのストッパーの側面図である。ストッパー380は、シャフト330のスロット335に挿入される基本部材381に、分割ローラの一方の側面を規制する凸形状の係止部382と、分割ローラの中心孔の内周面に当接・摺動する当接面384と、楔形状に隆起する突起部386と、その斜面部388とを備え、前記突起部386が図20の矢印に示すように変形可能に、基底部390との間にスリット392を設ける。
【実施例6】
【0075】
図21は、本発明の搬送ローラを組み込んだ搬送装置の全体的な構成を示す斜視図である。シャフト430に複数のセットの分割ローラからなる搬送ローラ412が装着されてなる搬送ローラユニット411が搬送装置400に複数取り付けられる。図示しない駆動源によりシャフト430が周方向に回転するのに伴って搬送ローラ412が回転し、その外周面と摩擦係合する液晶基板等が搬送される。
【0076】
以上のように、分割式の搬送ローラについて説明したが、搬送ローラを分割する割り面の形状や、シャフトの断面形状等は本発明の範囲内で適宜設計を変更してよい。例えば、以下のような形状に変更してよい。
【符号の説明】
【0077】
12A、12B、112A、112B、212A、212B、312A、312B、412A、412B 分割ローラ
16A、16B、116A、116B、316A、316B、416A、416B 孔縁リブ部
26B、28A、126B、128A、326A、328B、426A、428B、 凸部
26A、28B、126A、128B、326B、328A、426A、428B 凹部
30、130、330、430 シャフト
335 スロット
360、380 ストッパー
400 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物に接触可能な外周面と、シャフトの外周面に嵌合可能な中心孔を備える円板状の搬送ローラにおいて、
該搬送ローラは、前記中心孔を横切る割り面により略半分に分割される第1及び第2の分割ローラからなり、
前記第1の分割ローラは、
前記中心孔を規定する縁の一部であって前記シャフトの外周面の少なくとも一部に当接する第1の部分曲面と、
前記割り面の側面視において、前記第1の部分曲面に沿って前記第2の分割ローラ側に突出する第1の凸部と、
前記第1の凸部を前記第1の部分曲面と共に規定するものであって、外周側を向き、前記第2の分割ローラとの割り面を形成する第1の外向部分曲面と、を備え、
前記第2の分割ローラは、
前記第1の部分曲面に前記中心孔を挟んで対向する位置に前記第1の部分曲面に対応する第2の部分曲面と、
前記第1の凸部と符合し、外周側から前記第1の外向部分曲面に当接して前記第1の凸部が伝える半径方向外向きの力に対抗する第2の内向部分曲面と、を備えることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項2】
前記第2の分割ローラは、
前記割り面の側面視において、前記第2の部分曲面に沿って前記第1の分割ローラ側に突出する第2の凸部と、
前記第2の凸部を前記第2の部分曲面と共に規定するものであって、外周側を向き、前記第1の分割ローラとの割り面を形成する第2の外向部分曲面と、を備え、
前記第1の分割ローラは、
前記第2の凸部と符合し、外周側から前記第2の外向部分曲面に当接して前記第2の凸部が伝える半径方向外向きの力に対抗する第1の内向部分曲面と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送ローラ。
【請求項3】
前記第1及び第2の分割ローラは、前記外周面において、当該搬送ローラの回転方向に対して所定の角度で傾斜する傾斜割り線により分割されることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送ローラ。
【請求項4】
前記シャフトの軸方向において前記第1及び第2の分割ローラを少なくとも相対的に固定可能な規制部材を更に備え、
前記規制部材は、前記第1及び第2の分割ローラの前記中心孔を規定する縁の両側面に当接することにより固定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項5】
前記第1及び第2の分割ローラは合体して前記シャフトに装着され、前記シャフトの軸方向の移動が制限されて固定されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の搬送ローラ。
【請求項6】
前記シャフトと、
前記シャフトに装着される請求項1から5の何れかの搬送ローラの1つ又は2以上と、
装着された前記搬送ローラの各々の前記シャフトの軸方向の移動を規制する規制部材と、を備える搬送装置。
【請求項7】
シャフトと、被搬送物に接触可能な外周面と、前記シャフトの外周面に嵌合可能な中心孔を合体により備える円板状の搬送ローラを前記中心孔を横切る割り面により略半分に分割される第1及び第2の分割ローラと、からなる分割ローラ組立体における組立方法であって、
前記第1の分割ローラの前記中心孔の少なくとも一部を規定する縁の内面に前記シャフトの外周面の少なくとも一部を当接させて、前記第1の分割ローラを前記シャフトに装着する工程と、
前記第2の分割ローラの前記中心孔の少なくとも一部を規定する縁の内面に前記シャフトの外周面の少なくとも一部を当接させて、前記第2の分割ローラを前記シャフトであって、前記シャフトの軸方向においてずれた位置に装着する工程と、
前記第1及び/又は前記第2の分割ローラを前記シャフトの軸方向にスライドさせて前記第1及び第2の分割ローラを合体する工程と、
前記第1及び/又は前記第2の分割ローラの前記シャフトの軸方向の移動を制限する工程と、を備えることを特徴とする分割ローラ組立体の組立方法。
【請求項8】
請求項1から4の何れかに記載の搬送ローラに用いられるシャフトであって、
当該シャフトと軸中心を共通する軸中心孔と、
該軸中心孔を規定する角柱部材と、
該角柱部材の断面の対角線方向に延びるリブ部と、
当該シャフトの外周面を規定する外殻部材と、
前記角柱部材、前記リブ部、及び、前記外殻部材により規定される空間部を備えることを特徴とするシャフト。
【請求項9】
ガラス基板搬送装置の搬送ローラを支持する回転軸であって、
搬送ローラに接触し軸支する外周面を規定する外殻部材と、
該外殻部材と軸中心を共通する軸中心孔と、
該中心孔を規定し前記外殻部材内に軸方向に延びる角柱部材と、
該角柱部材の断面の対角線方向に延びるリブ部と、
前記角柱部材、前記リブ部、及び、前記外殻部材により規定される空間部を備え、
前記外殻部材の少なくとも一部は、フラット面を備えることを特徴とする回転軸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−202408(P2010−202408A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141562(P2009−141562)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(509035532)株式会社スリーダイン (1)
【Fターム(参考)】