説明

搬送中のディスクによって間隔が広げられる摺動部材を有するディスク装置

【課題】 「搬送中のディスクによって間隔が広げられる摺動部材を有するディスク装置」であって、ディスクが搬出された後や搬入された後に前記摺動部材が常に初期位置に設定できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 挿入されるディスクDの外周縁によって移動させられる検知ピン203A,203Bと、これと共に移動するスイッチ押圧部材204A,204Bが設けられている。検知ピン203A,203Bは間隔が最も狭い初期位置に向けて付勢されておりスイッチ押圧部材204A,204Bによって初期位置検知部材である検知スイッチR1,L1が検知状態とされている。筐体に設けられた挿入口23を閉鎖したシャッタ部材が設けられ、シャッタ部材が閉鎖位置にあるとき、このシャッタ部材によって、スイッチ押圧部材204A,204Bが初期位置に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入口から挿入されるディスクと摺動して間隔が広げられる一対の摺動部材が設けられ、前記摺動部材の動作によって、ディスクが正常に搬送されているか、または正常な形状および大きさのディスクであるかなどの判断を可能にしたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のディスク装置などのように筐体に形成された挿入口からディスクが挿入されるいわゆるスロットインタイプのディスク装置では、挿入口から挿入されたディスクが、筐体の内部に向けて正常に搬入されているかまたは筐体の内部のディスクが挿入口に向けて正常に搬入されているかを監視することが必要である。また、挿入口から挿入されて搬入されているディスクが正常な形状および大きさのディスクであるかを判断することも必要とされる。
【0003】
以下の特許文献1に記載されているディスク装置は、筐体の挿入口の内側に、複数の光センサが設けられ、どの光センサがディスクを検知しているかに応じて、ディスクの搬送状態やディスクの大きさを判断できるようにしている。
【0004】
以下の特許文献2に記載されているディスク装置は、挿入口の内側に一対のピンが設けられ、このピンがばねの力によってディスクの直径より短い間隔の初期位置に設定されているとともに、ピンが初期位置に有ることを検知するスイッチが設けられている。ディスクが挿入口から挿入されて搬入されるときに、ピンがディスクの外周縁と摺動してピンの間隔が広げられる。このピンの動きが前記スイッチなどの出力に基づいて監視されて、ディスクの搬送状態やディスクの大きさを判断できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−348424号公報
【特許文献2】特開2007−066353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載されているように、光センサを使用したディスク装置は、光センサに常に通電している必要があるために消費電力が大きく、また埃やゴミの付着によって誤動作を生じやすい課題がある。
【0007】
その点、特許文献2に記載されているように、ディスクの外周縁と摺動する一対のピンを設けたディスク装置は、ピンがディスクの外周縁に実際に当たって動作する構造であるため、誤動作が生じにくく信頼性が高くなり、また消費電力が少なくてすむ利点がある。
【0008】
ただし、一対のピンを初期位置に復帰させるばねの力が弱くなったり、ピンの移動負荷が大きくなると、ディスクが挿入されていないのにもかかわらずピンが初期位置に復帰できないことが有りえる。この場合に、ピンが初期位置に復帰したことがスイッチで確認できなくなり、ディスク装置に設けられた制御部では、筐体の内部でディスクが搬送中であるとの誤った判断が行われることになり、その後に、挿入口へディスクを挿入しても、搬入動作が始動しなくなるなどの問題が生じる。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ディスクの外周縁と摺動する摺動部材が設けられたディスク装置であって、前記摺動部材を常に初期位置に復帰させることができるディスク装置を提供することを目的としている。
【0010】
また本発明は、挿入口を開閉するシャッタ部材の動作を利用して、前記摺動部材を常に初期位置に復帰させることができるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、挿入口を有する筐体と、前記挿入口から挿入されたディスクを前記筐体内に搬入する搬入動作および前記筐体内から前記挿入口へディスクを排出する排出動作を行う搬送機構を有するディスク装置において、
初期位置でディスクの直径よりも短い対向間隔に設定され、搬入動作および搬出動作の際にディスクの外周縁と摺動して対向間隔が広げられる一対の摺動部材と、前記摺動部材が初期位置に移動したことを検知する初期位置検知部材と、前記摺動部材を初期位置へ付勢する付勢部材と、
前記摺動部材を初期位置で保持する保持位置とその保持を解除する保持解除位置との間で移動する保持部材と、
前記筐体内へディスクの搬入が完了したときと筐体の内部からディスクが排出されたときの少なくとも一方において、前記保持部材を保持位置へ移動させる切換え部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のディスク装置は、ディスクの外周縁と摺動する一対の摺動部材の動作によって、ディスクの搬送状態やディスクの形状と大きさが判断される。ディスクの搬入が完了したとき、またはディスクの排出が完了したときに、保持部材によって摺動部材が保持位置に強制的に保持される。そのため、摺動部材が初期位置に確実に戻されて、初期位置検知部材によって摺動部材が初期位置に復帰していることが検知され、その後の制御動作に正常に移行できるようになる。
【0013】
本発明は、前記保持部材が前記挿入口を開閉するシャッタ部材であり、前記シャッタ部材が保持位置にあるときに前記挿入口が塞がれ、保持解除位置にあるときに前記挿入口が開放されるものが好ましい。
【0014】
シャッタ部材を保持部材として兼用することで、ディスク装置を構成している部品数を削減できる。
【0015】
本発明は、前記切換え部材の移動力が前記保持部材に直接作用して、前記保持部材が保持位置に移動させられるものが好ましい。
【0016】
保持部材がばねの力で動かされるのではなく、切換え部材の移動力が直接に保持部材に作用して保持部材が保持位置に移動させられる構造にすると、一対の摺動部材を常に強制的に初期位置に保持できるため、摺動部材が初期位置に復帰できないという誤動作を高い確率で阻止できるようになる。
【0017】
本発明は、少なくとも一方の前記摺動部材が初期位置から所定距離移動したことを検知する移動検知部材が設けられているものである。
【0018】
前記初期位置検知部材の他に、移動部材が移動したことを検知する移動検知部材が設けられていると、初期位置検知部材の検知出力と移動検知部材の検知出力を組み合わせて判断することで、搬入中のディスクの形状や大きさが正常なものであるか否かを判別できるようになる。
【0019】
本発明は、前記摺動部材が初期位置にあることが前記初期位置検知部材で検知されているときに、ディスクの挿入が可能とされまたはディスクの搬出が可能とされる。
【0020】
本発明は、摺動部材が初期位置に確実に復帰できる構造であるため、誤動作によってディスクの搬入動作ができないという不都合が生じにくくなる。
【0021】
例えば、本発明は、前記挿入口からのディスクの挿入を検知する挿入検知部材が設けられており、前記摺動部材が初期位置にあることが前記初期位置検知部材で検知され、且つ前記挿入検知部材がディスクを検知したときに、ディスクの搬入動作が始動するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明のディスク装置は、ディスクの搬送状態を監視しまたはディスクの形状や大きさを監視する一対の摺動部材を確実に初期位置に戻せるようになる。そのため、ディスクの装填が完了しているときやディスクが排出されているときに、ディスクの搬送中であるとの誤った判断が行われるのを防止できる。
【0023】
また、シャッタ部材を利用して摺動部材を初期位置に保持することで、部品点数を削減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、
【図2】ディスク装置の平面図、
【図3】挿入口の内側に設けられている検知機構を、ディスク装置の下方側から見た部分底面図、
【図4】ディスク装置の回路構成を示すブロック図、
【図5】シャッタ部材の動作を正面側から示す斜視図であり、(A)がシャッタ部材が保持位置で且つ閉鎖位置にある状態を示し、(B)がシャッタ部材が保持解除位置で且つ開放位置にある状態を示す、
【図6】シャッタ部材が保持位置で且つ閉鎖位置ときの切換え部材の動作を示す平面図、
【図7】シャッタ部材が保持解除位置で且つ開放位置ときの切換え部材の動作を示す平面図、
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に示すディスク装置1は箱型の筐体2を有している。図1において、筐体2の基準方向は、図示Z1側が下側、Z2側が上側、X1側が左側、X2側が右側、Y1側が手前側、Y2側が奥側である。また、図示X1−X2方向が横方向、Y1−Y2方向が奥行き方向である。
【0026】
このディスク装置1に装填されるディスクDは、直径が12cmであって、例えばCD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などであり、中心穴D1を有している。
【0027】
筐体2は、下側から上側に向けて、下部筐体3、中間筐体4および上部筐体5が順に重ねられて組み立てられている。下部筐体3は筐体2の底面6を有し、中間筐体4は、筐体2の前面7と右側面8を有しており、前面7にディスクDが挿入され排出される挿入口23が開口している。上部筐体5は、筐体2の左側面9と後面10および天井面11を有している。
【0028】
図1に示すように、下部筐体3の底面6の上面には第1の切換え機構12が設けられている。第1の切換え機構12には、図示しない切換えモータの動力によって図示Y1−Y2方向へ駆動されるラック部材30が設けられている。
【0029】
下部筐体3では、第1の切換え機構12の上にユニット支持ベース13が設けられ、ユニット支持ベース13は、下部筐体3の底面6に設けられた複数のダンパー18によって弾性支持されている。ユニット支持ベース13には図示Y2方向へ突出する規制軸13aと図示Y1方向へ突出する規制軸13b,13bが設けられている。
【0030】
下部筐体3では、Y2側の側板の内側にロック部材54が設けられ、このロック部材54に制御穴56が形成されている。ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13aは制御穴56内に挿入されている。下部筐体3のY1側の側板の内側にもロック部材(図示せず)が設けられ、このロック部材に2つの制御穴が形成されて、ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13b,13bが前記2つの制御穴のそれぞれに挿入されている。
【0031】
第1の切換え機構12では、ラック部材30の移動力が回動アーム35を介してロック切換えスライダ36に与えられる。このロック切換えスライダ36によって、ロック部材54および、Y1側の側板の内側に設けられた他のロック部材がX1方向またはX2方向へ移動させられる。
【0032】
ユニット支持ベース13上には、駆動ユニット14が設置されている。駆動ユニット14には、回転駆動部であるターンテーブル82とターンテーブル82を駆動するスピンドルモータが設けられている。また、駆動ユニット14は光ヘッド83を有しており、光ヘッド83は、駆動ユニット14に搭載されたスレッド機構によって、ターンテーブル82に接近する方向、及びターンテーブル82から離れる方向へ向けて移動する。このとき、光ヘッド83に設けられた対物レンズ83aが、ターンテーブル82にクランプされたディスクDの記録面に沿って移動する。
【0033】
ユニット支持ベース13には、図示Y2側の端部に垂直に立ち上がる支持軸80が設けられ、駆動ユニット14は、支持軸80を中心として水平方向へ回動できるように支持されている。図1では、駆動ユニット14が退避位置にあるが、この退避位置から矢印(a)方向へ回動すると、図2および図4に示すように、ターンテーブル82が下部筐体3のほぼ中心部へ移動して、駆動ユニット14が、選択されたディスクDを回転駆動可能な駆動位置に設定される。
【0034】
駆動ユニット14は、第1の切換え機構12によって、前記退避位置から前記駆動位置へ向けて回動させられる。図1に示すように、第1の切換え機構12には、ラック部材30と共に図示Y1−Y2方向へ移動する切換えスライダ34が設けられ、この切換えスライダ34に駆動ピン33が固定されている。ラック部材30が図示Y2方向へ移動していると、切換えスライダ34が図示Y2方向へ移動し、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が、図1に示す退避位置へ回動させられる。ラック部材30が図示Y1方向へ移動し、これと共に切換えスライダ34が図示Y1方向へ移動すると、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が矢印(a)方向へ回動させられて駆動位置へ移動する。
【0035】
ターンテーブル82には、ディスクDの中心穴D1をクランプするクランプ機構(クランプ手段)が搭載されている。このクランプ機構は、いわゆるセルフクランプ機構である。ターンテーブル82の中心部にはZ2方向へ突出する凸部82aが設けられており、ディスクDの中心穴D1が凸部82aに嵌合する。凸部82a内には3つのクランプ爪が設けられており、このクランプ爪が凸部82aの外周から半径方向へ突出する。このクランプ爪は、ターンテーブル82の回転中心に対して120度の角度配置で設けられている。
【0036】
駆動ユニット14内には、クランプ動力を伝達する伝達機構が設けられ、支持軸80には前記伝達機構に連結された伝達リンクが回動自在に支持されている。切換えスライダ34がY1方向へ移動し、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が図2または図4に示す駆動位置へ回動させられた後に、さらに、ラック部材30の駆動力で切換えスライダ34がY1方向へ移動すると、駆動ユニット14が前記駆動位置に停止した状態で、駆動ピン33により前記伝達リンクが回動させられる。この伝達リンクの回動力が前記伝達機構によりターンテーブル82の内部に伝達され、前記クランプ爪が凸部82aの外周から突出してクランプ動作完了状態となる。
【0037】
ディスクDの中心穴D1が凸部82aに嵌合している状態で、前記クランプ爪がクランプ動作完了状態になると、ディスクDの中心穴D1にクランプ爪が圧接し、ディスクDがターンテーブル82に一緒に回転できる状態にクランプされる。
【0038】
図1に示すように、中間筐体4の上部には、底面6と平行な機構ベース15が設けられ、機構ベース15の上に第2の切換え機構16が設けられている。図6と図7には、第2の切換え機構16の詳細が示されている。図1ならびに図6と図7に示すように、機構ベース15の下側で且つ前面7の内側に移送ユニット17が設けられている。
【0039】
図2と図4に示すように、移送ユニット17には、移送ローラ112,113が設けられている。移送ローラ112,113は単一のローラ軸114の外周に設けられている。移送ユニット17には、移送ローラ112,113と対向する合成樹脂製の挟持部材が固定されており、移送ローラ112,113が、ばねの力で前記挟持部材に圧接されている。挿入口23から挿入されたディスクDは移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持される。
【0040】
図1ならびに図6と図7に示すように、下部筐体3の底面には支持軸17aが垂直に固定されており、移送ユニット17のX1側の端部は、支持軸17aに回動自在に支持されている。
【0041】
図6と図7に示すように、第2の切換え機構16には、円弧状の切換え部材91が設けられている。切換え部材91には、円弧軌跡に沿って延びる一対の案内長穴91a,91aが形成され、機構ベース15上には一対の案内軸92,92が上向きに突出して固定されている。それぞれの案内軸92が前記案内長穴91a内に挿入されて、切換え部材91が円弧軌跡に沿って(d)方向および(e)方向へ摺動自在に案内されている。また、切換え部材91の外周側の縁部には円弧軌跡に沿ってラック歯91bが形成されている。
【0042】
機構ベース15上には、切換えモータM2が設けられている。切換えモータM2の回転力は、減速歯車群93を介してラック歯91bに伝達され、切換え部材91が(d)−(e)方向へ移動させられる。
【0043】
図6と図7に示すように、機構ベース15に円弧状の案内穴15cが開口し、この案内穴15cは、支持軸17aを曲率中心とした円弧軌跡に沿って延びている。移送ユニット17のX2側の端部には上方に延びる駆動軸133が固定され、駆動軸133が案内穴15c内に下から上方に向けて挿通されている。機構ベース15の上には、駆動レバー135が設けられている。この駆動レバー135の基部は、軸136を介して機構ベース15に回動自在に支持されている。駆動レバー135には、駆動長穴135aが開口しており、前記駆動軸133の外周に設けられた前記回動リング134が、この駆動長穴135aの内部に挿入されている。
【0044】
前記切換え部材91には、ユニット制御長穴137が開口している。前記駆動レバー135の上面には伝達軸138が垂直に突出しており、この伝達軸138が、ユニット制御長穴137に下から上方へ向けて挿入されている。
【0045】
図6に示すように、切換え部材91が(d)方向に移動しているときは、前記ユニット制御長穴137によって、駆動レバー135が時計方向へ回動させられており、駆動レバー135によって、移送ユニット17が筐体2の前面7の内側に沿う待機位置に停止させられている。図2に示すように、待機位置にある移送ユニット17は、筐体2内に収納されているディスクDの外周縁の外側に位置している。
【0046】
切換え部材91が図6の位置から(e)方向へ移動して図7の位置に至ると、ユニット制御長穴137によって駆動レバー135が反時計方向へ回動させられ、駆動レバー135の駆動長穴135aにより駆動軸133が反時計方向へ押され、移送ユニット17が、支持軸17aを支点として反時計方向へ回動させられて、移送動作位置に至る。
【0047】
図1に示すように、下部筐体3内固定された前記支持軸17aに伝達歯車17bが回転自在に支持されている。図4のブロック図に示されている移送モータM1の動力が伝達歯車17bに与えられ、伝達歯車17bの回転力が、移送ユニット17内のローラ軸114に伝達されて、移送ローラ112,113が回転駆動される。移送ユニット17は図2と図6に示す待機位置から図4と図7に示す移送動作位置まで回動するが、この回動動作とは独立して、前記移送モータM1によってローラ軸114が回転駆動される。
【0048】
図1に示すように、上部筐体5の左側面9と後面10および天井面11で囲まれた領域がディスク収納領域20となっており、ディスク収納領域20には、複数の支持体21が、その厚み方向であるZ1−Z2方向に並べられて設けられている。
【0049】
上部筐体5には支持体選択手段22が設けられている。支持体選択手段22は3箇所に設けられたスクリュー軸であり、それぞれが天井面11に回動自在に支持されている。複数の支持体21のそれぞれは、支持体選択手段22のスクリュー溝に摺動自在に嵌合している。図示しない選択モータによって各支持体選択手段22が同期して回転駆動されると、前記スクリュー溝によって、それぞれの支持体21が図示Z1−Z2方向へ移動して支持体21の選択動作が行われる。選択された支持体21は、挿入口23とほぼ同じ高さの選択位置に設定され、選択位置にある支持体21とその下に位置する支持体21との間に大きな隙間が形成される。
【0050】
挿入口23から挿入されて筐体2内に搬入されたディスクDは、選択位置にある支持体21の下面に設置される。図2と図4に示すように、それぞれの支持体21の下面には保持爪41,42,43が設けられている。保持爪41,42,43は、支持体21に回動自在に支持されており、その回転中心は、それぞれの支持体選択手段22の回転中心に一致している。それぞれの保持爪41,42,43はばねにより支持体21の中心部に向かって突出するように付勢されており、ディスクDは、支持体21の下面と保持爪41,42,43とで保持される。筐体2内には、図示しない保持解除機構が設けられており、選択位置に移動した支持体21の保持爪41,42,43が保持解除機構に対向する。選択位置に移動した支持体21の下面のディスクDがターンテーブル82にクランプされると、前記保持解除機構により保持爪41,42,43が回動させられ、保持爪41,42,43がディスクDと重ならない位置に退避し、ディスクDと支持体21とが分離される。
【0051】
図2および図4に示すように、移送ユニット17には、挿入検知部材を構成する光学検知器F1とF2が設けられている。光学検知器F1,F2は、移送ユニット17のユニット枠に搭載されており、移送ユニット17の内部を通過するディスクDを挟んで、一方の側に発光素子が、他方の側に受光素子が互いに対向して構成されている。図2に示すように、光学検知器F1,F2は、ディスクDが挿入されるときおよび排出されるときのディスク中心の軌跡である中心線Oaに対して、左右に等距離を開けて配置されている。光学検知器F1,F2は、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113との間に位置し、ローラ軸114よりも挿入口23側に設けられている。それぞれの光学検知器F1,F2の検知出力は、図4に示す検知部303に与えられる。
【0052】
図3に示すように、筐体2の前面7の内側で且つ移送ユニット17の下側に移送検知基板201が固定されている。移送検知基板201は、表面にフレキシブルプリント基板が取り付けられた金属板である。移送検知基板201には、X2側の端部に固定部201Aが直角に折り曲げられて、中央部に固定部201Bが直角に折り曲げられ、固定部201Aと固定部201Bが前面7にねじで固定されている。
【0053】
図3と図4に示すように、移送検知基板201には、機構式の検知スイッチL1,R1,R2,R3が固定されている。検知スイッチL1,R1,R2,R3は、それぞれ接触動作部L11,R11,R21,R31を有している。それぞれの検知スイッチの端子は、移送検知基板201の表面に固定されたフレキシブルプリント基板の配線パターンに接続されており、それぞれの検知スイッチの検知出力は、前記配線パターンを介して図4に示す検知部303に与えられる。
【0054】
検知スイッチL1とR1は、中心線Oaに近い位置に設けられており、初期位置検知部材として機能する。検知スイッチR2は、検知スイッチR1よりも中心線Oaから離れており、第1の移動検知部材として機能する。検知スイッチR2は、中心線Oaから最も離れており、第2の移動検知部材として機能する。
【0055】
図3に示すように、中心線Oaを挟んでX2側に右側移動部材202Aが設けられ、X1側に左側移動部材202Bが設けられている。右側移動部材202Aと左側移動部材202Bは共に金属板で形成されており、筐体2の前面7の内側に設けられている。
【0056】
図5(A)(B)に示すように、筐体2の前面7には、中心線Oaよりも右側(X2側)に、一対の案内長穴7a,7aがX1−X2方向に直線的に延びて形成され、中心線Oaよりも左側(X1側)に、一対の案内長穴7b,7bがX1−X2方向に直線的に延びて形成されている。
【0057】
右側移動部材202Aには、一対の摺動ピン205A,205Aが固定され、それぞれの摺動ピン205A,205Aが案内長穴7a,7aに摺動自在に挿入されている。右側移動部材202Aは、中心線Oaよりも右側においてX1−X2方向へ摺動自在に支持されている。左側移動部材202Bには、一対の摺動ピン205B,205Bが固定され、それぞれの摺動ピン205B,205Bが案内長穴7b,7bに摺動自在に挿入されている。右側移動部材202Aは、中心線Oaよりも右側においてX1−X2方向へ摺動自在に支持されている。
【0058】
図3に示すように、右側移動部材202Aには、摺動部材である摺動ピン203Aが固定されており、左側移動部材202Bには、摺動部材である摺動ピン203Bが固定されている。摺動ピン203Aと摺動ピン203Bは、上下方向(Z1−Z2方向)に延びており、筐体2の内部において挿入口23を上下に横断して配置されている。
【0059】
図3に示すように、右側移動部材202Aは復帰付勢部材である復帰ばね部材206AによってX1方向へ付勢され、左側移動部材202Bは復帰付勢部材である復帰ばね部材206BによってX2方向へ付勢されている。
【0060】
図3と図4に示すように、右側移動部材202Aにはスイッチ押圧部材204Aが固定され、左側移動部材202Bにスイッチ押圧部材204Bが固定されている。スイッチ押圧部材204Aとスイッチ押圧部材204Bは金属板で形成されている。右側のスイッチ押圧部材204Aにより、中心線Oaよりも右側(X2側)に位置している検知スイッチR1,R2,R3の接触動作部R11,R21,R31が押圧されて、検知スイッチR1,R2,R3の出力が切換えられる。左側のスイッチ押圧部材204Bにより、中心線OaよりもX1側に位置している検知スイッチL1の接触動作部L11が押圧されて、検知スイッチL1の出力が切換えられる。
【0061】
図3に示すように、復帰ばね部材206Aによって右側移動部材202AがX1方向へ移動させられて、摺動ピン203Aが最も中心線Oaに近づいているときが、摺動ピン203Aの初期位置である。このとき、スイッチ押圧部材204Aによって、初期位置検知部材である検知スイッチR1の接触作動部R11が押されて、検知スイッチR1が検知状態となる。同様に、復帰ばね部材206Bによって左側移動部材202BがX2方向へ移動させられて、摺動ピン203Bが最も中心線Oaに近づいているときが、摺動ピン203Bの初期位置である。このとき、スイッチ押圧部材204Bによって、初期位置検知部材である検知スイッチL1の接触作動部L11が押されて、検知スイッチL1が検知状態となる。
【0062】
摺動ピン203Aと摺動ピン203Bが初期位置のときに両摺動ピン203A,203Bの対向距離が最短になる。初期位置では、摺動ピン203Aと中心線Oaとの距離と、摺動ピン203Bと中心線Oaとの距離が等しい。初期位置の摺動ピン203Aと摺動ピン203Bの対向距離は、ディスクDの直径(12cm)よりも十分に短い。
【0063】
図5(A)(B)に示すように、筐体2の前面7にはシャッタ開閉機構150が設けられている。
【0064】
シャッタ部材151は薄い金属板で形成されて筐体2の前面7の外側に配置されている。シャッタ部材151は、X1−X2方向に細長い長方形状であり、前面7に形成された挿入口23を覆うことのできる面積を有している。
【0065】
図5(A)(B)に示すように、筐体2の前面7の上部に、上下に延びる垂直案内長穴7c,7cが形成されている。シャッタ部材151のY2側に向く内面には一対の摺動ピン154,154が固定され、摺動ピン154,154が垂直案内長穴7c,7c内に摺動自在に挿入されている。その結果、シャッタ部材151は、前面7において上下動作自在に支持されている。
【0066】
シャッタ部材151には、中心線Oaよりも右側(X2側)において、下向きに一体に延びる一対の右側保持片152,152が形成されている。右側保持片152,152のX1方向に向く縁部は、下方(Z1方向)に向かうにしたがって中心線Oaから徐々に離れる傾斜保持部152a,152aとなっている。またシャッタ部材151には、中心線Oaよりも左側(X1側)において、下方に向けて一体に延びる一対の左側保持片153,153が形成されている。左側保持片153,153のX2方向に向く縁部は、下方に向かうにしたがって中心線Oaから徐々に離れる傾斜保持部153a,153aとなっている。
【0067】
図5および図6と図7に示すように、筐体2の前面7の内側にはシャッタ開閉部材126が設けられている。シャッタ開閉部材126は、筐体2の内部に設けられた図示しない案内機構で案内されて左右方向(X1−X2方向)へ摺動自在に支持されている。
【0068】
シャッタ開閉部材126には、開閉カム129,129が形成されている。開閉カム129,129は、シャッタ開閉部材126を貫通するカム長穴である。それぞれの開閉カム129は、X2方向に直線状に延びる閉鎖部129aと、この閉鎖部129aよりも上方に位置してX1方向へ直線状に延びる開放部129b、および閉鎖部129aと開放部129bとを繋ぐ傾斜切換え部129cとを有している。シャッタ部材151に固定されていた摺動ピン154,154は、前記開閉カム129,129に摺動自在に挿入されている。
【0069】
図6と図7に示すように、筐体2の内部には、開放付勢ばね128が設けられており、この開放付勢ばね128によって、シャッタ開閉部材126がX2方向へ付勢されている。図5(B)に示すように、開放付勢ばね128によって、シャッタ開閉部材126がX2方向へ移動させられると、開閉カム129,129によってシャッタ部材151が持ち上げられて、挿入口23が開放される。
【0070】
図6と図7に示すように、シャッタ開閉部材126には、筐体2の内方に延びる係合凹部126aが設けられている。一方、機構ベース15上に設けられた前記切換え部材91には駆動突起127が設けられている。図6に示すように、切換え部材91が(d)方向へ移動すると、駆動突起127が係合凹部126aに係合し、シャッタ開閉部材126が強制的にX1方向へ移動させられる。このとき、開閉カム129,129によってシャッタ部材151が下降させられて、挿入口23が閉鎖される。
【0071】
次に、このディスク装置の動作を説明する。
ディスク装置1へのディスクDの挿入を待機する待機モードでは、図3に示すように、筐体2の前面7の内側に設けられている右側移動部材202Aが復帰ばね部材206Aの付勢力によってX1方向へ移動させられ、左側移動部材202Bが復帰ばね部材206BによってX2方向へ移動させられている。右側移動部材202Aに設けられた摺動ピン203Aと、左側移動部材202Bに設けられた摺動ピン203Bとの間隔が、ディスクDの直径よりも短い初期位置に設定されている。右側移動部材202Aに設けられたスイッチ押圧部材204Aによって、初期位置検知部材である検知スイッチR1が検知状態に切換えられ、左側移動部材202Bに設けられたスイッチ押圧部材204Bによって、初期位置検知部材である検知スイッチL1が検知状態に切換えられている。
【0072】
待機モードでは、図6に示すように、第2の切換え機構16の切換えモータM2によって切換え部材91が(d)方向へ移動させられており、切換え部材91に固定された駆動突起127が係合凹部126aに係合して、係合凹部126aと一体のシャッタ開閉部材126が強制的にX1方向へ移動させられている。
【0073】
図5(A)に示すように、シャッタ開閉部材126がX1方向へ移動すると、シャッタ部材151に固定されている摺動ピン154,154が、シャッタ開閉部材126に形成された開閉カム129,129の閉鎖部129a,129aに導かれてシャッタ部材151がZ1方向へ下降させられて、閉鎖保持位置に至る。閉鎖保持位置に下降したシャッタ部材151によって、筐体2の前面7に開口している挿入口23が閉鎖させられる。
【0074】
図5(A)に示すように、シャッタ部材151が下降すると、シャッタ部材151から下向きに突出する右側保持片152,152の傾斜保持部152a,152aが、右側移動部材202Aに固定されている摺動ピン205A,205Aに当たり、傾斜保持部152a,152aによって摺動ピン205A,205AがX1方向へ押される。同様に、シャッタ部材151に設けられた左側保持片153,153の傾斜保持部153a,153aによって、左側移動部材202Bに固定されている摺動ピン205B,205BがX2方向へ押される。
【0075】
その結果、右側移動部材202Aと左側移動部材202Bは、初期位置に確実に移動させられて保持され、初期位置検知部材であり検知スイッチR1とL1がスイッチ押圧部材204Aと204Bによって確実に検知状態に切換えられる。また、摺動ピン203Aと摺動ピン203Bは、その対向距離が最短の初期位置に確実に設定される。
【0076】
すなわち、長期間の使用によって、復帰ばね部材206Aまたは206Bの弾性力が低下したり、埃やゴミの付着によって、右側移動部材202Aまたは左側移動部材202BのX1−X2方向への移動負荷が増大したようなときであっても、シャッタ部材151を閉鎖させているときに、右側移動部材202Aと左側移動部材202Bを初期位置に移動させることができ、初期位置検知部材である検知スイッチR1とL1を検知状態に設定できる。
【0077】
シャッタ部材151によって挿入口23が閉鎖させられているときに、検知スイッチR1とL1を必ず初期状態にできるため、この初期状態から制御動作を開始することができる。その結果、例えば、シャッタ部材151が閉鎖しているのにも拘わらず、検知スイッチR1またはL1が検知状態とならずに、制御部302でその後の正常な制御動作ができなくなるなどの問題が生じにくくなる。
【0078】
また、図6に示すように、切換え部材91の(d)方向への移動力によって、シャッタ開閉部材126が直接にX1方向へ移動させられ、その移動力が開閉カム129,129を介してシャッタ部材151に伝達される。シャッタ部材151が切換え部材91の移動力によって図5(A)に示す閉鎖保持位置へ下降させられるため、シャッタ部材151に設けられた右側保持片152,152と左側保持片153,153によって、右側移動部材202Aと左側移動部材202Bを確実に初期位置に移動させて保持することが可能である。
【0079】
待機モードでは、図6に示すように、切換え部材91が(d)方向へ移動させられているため、切換え部材91に形成されたユニット制御長穴137によって伝達軸138および駆動レバー135が時計方向へ回動させられ、移送ユニット17が筐体2の前面7の内側に沿う待機位置に設定されている。
【0080】
図4に示す制御部302では、ディスクDが挿入口23から排出された後に、初期位置検知部材である検知スイッチR1とL1が検知状態になっていれば、ディスク装置1が待機モードであると判断して新たなディスクDの挿入操作を受け付ける。
【0081】
挿入操作では、操作部やリモートコントローラに設けられた操作釦などを操作して、図1に示すディスク収納領域20の複数の支持体21のうちのいずれかの空の支持体21を指定する。この操作により、駆動ユニット14が図2に破線で示す退避位置に移動している状態で、スクリュー軸である支持体選択手段22が回転する。複数の支持体21が支持体選択手段22によって、Z1−Z2方向へ移動させられて、指定されたひとつの支持体21が挿入口23と同じ高さの選択位置に移動して停止する。
【0082】
その後、図1に示す第1の切換え機構12が動作し、駆動ユニット14が(a)方向へ回動して、駆動ユニット14が図2において実線で示す駆動位置に至る。
【0083】
その後に、第2の切換え機構16の切換えモータM2が始動し、切換え部材91が、図6の位置から(e)方向へわずかに動き、駆動突起127が係合凹部126aから外れる。このときの切換え部材91の移動量は、駆動突起127が係合凹部126aから外れる距離で、且つ移送ユニット17が図6に示す待機位置から反時計方向への回動を開始しない距離である。
【0084】
係合凹部126aが駆動突起127から離れると、シャッタ開閉部材126が開放付勢ばね128によってX2方向へ移動する。このとき、図5(B)に示すように、シャッタ部材151に設けられた摺動ピン154,154が、シャッタ開閉部材126に設けられた開閉カム129,129の開放部129a,129aから傾斜切換え部129c,129cを通過して開放部129b,129bに導かれて、シャッタ部材151が上方へ持ち上げられて開放保持解除位置に至る。
【0085】
図5(B)に示すように、シャッタ部材151が上昇すると、挿入口23が開放される。また右側保持片152,152が摺動ピン205A,205Aから離れ、左側保持片153,153が摺動ピン205B,205Bから離れて、右側移動部材202Aと左側移動部材202Bの保持が解除される。
【0086】
図2に示すように、挿入口23からディスクDが挿入されて、待機位置の移送ユニット17に設けられた光学検知器F1と光学検知器F2が、共にディスクを検知して検知状態になると、図4に示す制御部302から駆動部301に対して移送モータM1を始動する制御指令が出され、ローラ軸114がディスクを搬入する搬入方向へ回転し始める。ディスクDは、回転する移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持されて筐体2の内部に向けて搬入される。
【0087】
図2に示すように、ディスクDの搬入動作が開始されると、ディスクDの外周縁によって摺動ピン203A,203Bが押し開かれて、右側移動部材202Aおよびスイッチ押圧部材204AがX2方向へ移動し、左側移動部材202Bおよびスイッチ押圧部材204BがX1方向へ移動する。スイッチ押圧部材204Aは初期位置検知部材である検知スイッチR1から離れて、検知スイッチR1が非検知状態に切換えられ、スイッチ押圧部材204Bは検知スイッチL1から離れて検知スイッチL1が非検知状態に切換えられる。
【0088】
正常な大きさで正常な形状のディスクDが搬入されると、その後の右側移動部材202Aおよびスイッチ押圧部材204AのX2方向への移動によって、第1の移動検知部材である検知スイッチR2が検知状態に切換えられ、さらに第2の移動検知部材である検知スイッチR3が検知状態に切換えられる。図4に示す制御部302は、検知スイッチL1,R1が非検知状態となった後に、検知スイッチR2と検知スイッチR3が順に検知状態に切り替わることを確認して、正常なディスクDが正常に搬入されていると判断する。
【0089】
前記検知スイッチR3が検知状態になると、制御部302から駆動部301に指令が与えられて切換えモータM2が始動し、図7に示すように、切換え部材91が(e)方向へ大きく移動し、切換え部材91に形成されたユニット制御長穴137によって伝達軸138および駆動レバー135が反時計方向へ回動させられる。よって、図4および図7に示すように移送ユニット17が(b)方向へ回動させられる。ディスクDは、移送ローラ112,113の自転力と、移送ユニット17の(b)方向への回動力の双方の力によって筐体2の内部に向けて送り込まれ、ディスクDが選択位置に停止している支持体21の下面と保持爪41,42,43との間で保持される。
【0090】
その後、移送ローラ112,113と挟持部材とでディスクDを挟持したまま、駆動ユニット14がやや上昇して、ディスクDの中心穴がターンテーブル82にクランプされる。
【0091】
その後に、第2の切換え機構16の切換えモータM2が始動し、切換え部材91が(d)方向へ移動させられ、移送ユニット17が図6に示す待機位置へ向けて回動する。この間、ローラ軸114がディスクDをY2方向へ搬入する向きに回転し続けるため、移送ローラ112,113は、ターンテーブル82にクランプされているディスクDの表面を転動しながらディスクDから外れる。
【0092】
切換え部材91は、(d)方向へ回動させられて図6に示す位置まで移動させられる。この間に、切換え部材91に設けられた駆動突起127が係合凹部126aに係合し、係合凹部126aおよびからシャッタ開閉部材126がX1方向へ移動させられる。よって、図5(A)に示すように、シャッタ開閉部材126に設けられた開閉カム129,129によってシャッタ部材151が下降させられて閉鎖保持位置に至る。
【0093】
ディスクDが筐体2の内部においてターンテーブル82にクランプされた状態で、挿入口23がシャッタ部材151によって閉鎖させられるために、新たなディスクなどが誤って筐体2の内部に挿入されるのを防止できる。また、シャッタ部材151に設けられた右側保持片152,152で摺動ピン205A,205Aが保持され、左側保持片153,153で摺動ピン205B,205Bが保持されて、右側移動部材202Aと左側移動部材202Bが、図3に示す初期位置で保持され、初期位置検知部材である検知スイッチR1とL1が共に検知状態となる。右側移動部材202Aと左側移動部材202Bが初期位置で保持されて検知スイッチR1,L1が確実に検知状態となるため、その後のディスクの排出時などに、図3に示す検知機構による検知動作を、必ず初期位置から開始できる。
【0094】
シャッタ部材151で挿入口23が閉鎖されると、図2に示す保持爪41,42,43が回動して、支持体21の下面でのディスクDの保持が解除される。そして、ターンテーブル82が回転させられて、ディスクDが回転駆動され、光ヘッド83によってディスクDに記録されている信号が読み取られ、またはディスクDに信号が記録される。
【0095】
ディスクDを排出するときは、ターンテーブル82でディスクDをクランプした状態で、第2の切換え機構16の切換えモータM2が始動し、切換え部材91が図6の位置から(e)方向へ移動させられる。このとき駆動レバー135が反時計方向へ回動させられ、図7に示すように、移送ユニット17が(b)方向へ回動させられる。このとき、ローラ軸114がY1方向へ移送力を与える方向へ回転しながら、移送ユニット17が(b)方向へ回動し、ターンテーブル82にクランプされているディスクDが、移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持される。
【0096】
切換え部材91が(e)方向へ移動するときに、図7に示すように駆動突起127が係合凹部126aから離れるため、開放付勢ばね128によってシャッタ開閉部材126がX2方向へ移動させられる。よって、図5(B)に示すように、シャッタ部材151が上昇して開放保持解除位置に至り、挿入口23が開放されるとともに、摺動ピン205A,205Aおよび摺動ピン205B,205Bに対する保持が解除される。
【0097】
シャッタ部材151が開放されると、ターンテーブル82によるディスクDのクランプが解除される。そして、移送ローラ112,113が搬出方向へ自転し、さらに切換えモータM2が始動して、切換え部材91が(d)方向へ移動させられ、移送ユニット17が図2に示す待機位置へ向けて回動する。移送ユニット17が待機位置に戻るときの切換え部材91の移動量は、駆動突起127が係合凹部126aに係合する直前までであり、ディスクが排出されている途中は、シャッタ部材151が図5(A)に示すように開放されたままである。
【0098】
ディスクDが、移送ローラ112,113の回転力と移送ユニット17の回動力との双方の力によって挿入口23から排出されると、排出中のディスクDの外周縁によって、摺動ピン203Aと203Bが互いに離れる方向へ移動させられる。右側移動部材202Aとスイッチ押圧部材204AがX2方向へ移動させられ、左側移動部材202Bとスイッチ押圧部材204BがX1方向へ移動させられるために、初期位置において、検知状態であった検知スイッチR1からスイッチ押圧部材204Aから離れ、検知スイッチL1からスイッチ押圧部材204Bが離れ、スイッチR1,L1が共に非検知状態になる。
【0099】
ディスクDの排出力によって、右側移動部材202AがX2方向へ、左側移動部材202BがX1側へさらに移動させられ、第1の移動検知部材である検知スイッチR2が検知状態になり、さらに第2の移動検知部材である検知スイッチR3が検知状態になる。図4に示す制御部302は、検知スイッチR1,L1が非検知状態になり、その後に、検知スイッチR2と検知スイッチR3が順に検知状態になると、ディスクが正常に搬出されていると判断する。
【0100】
さらにディスクDが排出されるにしたがって、ディスクDの外周縁を摺動する摺動ピン203Aと203Bが、図3に示す復帰ばね部材206A,206Bの付勢力によって中心線Oaに接近する方向へ移動する。よって、検知スイッチR3が検知状態になった直後にその検知スイッチR3が非検知状態になり、さらにX1方向へ移動するスイッチ押圧部材204Aが検知スイッチR2から外れ、検知スイッチR2が非検知状態になる。このときに、移送ローラM1が停止し、ローラ軸114の回転が停止する。その結果、ディスクDは、Y2側の端部が図2に示す待機位置で停止している移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持された状態で停止する。よって、挿入口23から外部にディスクDが突出している状態で、このディスクDが、筐体2から簡単に脱落することを防止できる。
【0101】
挿入口23から筐体2の外部に突出しているディスクDが手で引き抜かれると、光学検知器F1,F2が非検知状態となり、これにより、制御部302は、ディスクDの排出が完了したと判断する。光学検知器F1,F2が非検知状態になると、第2の切換え機構16の切換えモータM2が始動し、切換え部材91が(d)方向へ移動させられて図6に示す位置に至る。駆動突起127が係合凹部126aに係合し、シャッタ開閉部材126がX1方向へ移動させられ、図5(A)に示すようにシャッタ部材151が下降させられる。そして、シャッタ部材151によって挿入口23が閉鎖され、また右側保持突起152,152で摺動ピン205A,205Bが保持され、左側保持片153,153で摺動ピン205B,205Bが保持される。右側移動部材202Aと左側移動部材202Bが初期位置で保持され、検知スイッチL1,R1が検知状態となる。
【0102】
このとき、制御部302は、ディスク装置1の動作状態が初期状態、すなわち待機モードに復帰したと判断する。
【0103】
なお、図1に示すように、ディスク収納領域20のいずれかの支持体21に支持されているディスクを駆動するときは、図5(A)に示すようにシャッタ部材151が閉鎖された状態のままで、駆動ユニット14が図2において破線で示す退避位置に移動し、支持体選択手段22が駆動される。支持体選択手段22によっていずれかの支持体21が選択位置に移動すると、駆動ユニット14が図2において実線で示す駆動位置へ移動し、ディスクDがターンテーブル82にクランプされて駆動される。
【0104】
上記においては、筐体の内部に複数の支持体21が設けられたディスク収納型のディスク装置について説明したが、本発明はそれには限定されず、支持体が設けられておらず、筐体内の回転駆動部に、ディスクを1枚ずつ搬入して搬出する、1枚のみのディスクを受け付けるディスク装置にも適用される。
【0105】
また、搬送手段は、それ自体が待機位置と移送動作位置で回動する移送ユニット17を有するものに限られず、筐体の挿入口の内側に移送ローラが配置されているものであってもよい。
【0106】
前記実施の形態では、シャッタ部材151が、右側移動部材202Aと左側移動部材202Bを初期位置で保持する保持部材として機能しているが、前記シャッタ部材151とは別個に保持部材が設けられていてもよい。または図6と図7に示す切換え部材91によって直接に保持部材またはシャッタ部材が動作させられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 ディスク装置
2 筐体
14 駆動ユニット
17 移送ユニット
21 支持体
22 支持体選択手段
23 挿入口
82 ターンテーブル
91 切換え部材
112,113 移送ローラ
114 ローラ軸
126 シャッタ開閉部材
126a 係合凹部
127 駆動突起
128 開放付勢ばね
129 開閉カム
151 シャッタ部材
152 右側保持片
152a 傾斜保持部
153 左側保持片
153a 傾斜保持部
202A 右側移動部材
202B 左側移動部材
203A,203B 摺動ピン
204A,204B スイッチ押圧部材
205A,205B 摺動ピン
206A,206B 復帰ばね部材
D ディスク
F1,F2 挿入検知部材である光学検知器
R1,L1 初期位置検知部材である検知スイッチ
R2,R3 移動検知部材である検知スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口を有する筐体と、前記挿入口から挿入されたディスクを前記筐体内に搬入する搬入動作および前記筐体内から前記挿入口へディスクを排出する排出動作を行う搬送機構を有するディスク装置において、
初期位置でディスクの直径よりも短い対向間隔に設定され、搬入動作および搬出動作の際にディスクの外周縁と摺動して対向間隔が広げられる一対の摺動部材と、前記摺動部材が初期位置に移動したことを検知する初期位置検知部材と、前記摺動部材を初期位置へ付勢する付勢部材と、
前記摺動部材を初期位置で保持する保持位置とその保持を解除する保持解除位置との間で移動する保持部材と、
前記筐体内へディスクの搬入が完了したときと筐体の内部からディスクが排出されたときの少なくとも一方において、前記保持部材を保持位置へ移動させる切換え部材が設けられていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記保持部材が前記挿入口を開閉するシャッタ部材であり、前記シャッタ部材が保持位置にあるときに前記挿入口が塞がれ、保持解除位置にあるときに前記挿入口が開放される請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記切換え部材の移動力が前記保持部材に直接作用して、前記保持部材が保持位置に移動させられる請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
少なくとも一方の前記摺動部材が初期位置から所定距離移動したことを検知する移動検知部材が設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
前記摺動部材が初期位置にあることが前記初期位置検知部材で検知されているときに、ディスクの挿入が可能とされまたはディスクの搬出が可能とされる請求項1ないし4のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項6】
前記挿入口からのディスクの挿入を検知する挿入検知部材が設けられており、前記摺動部材が初期位置にあることが前記初期位置検知部材で検知され、且つ前記挿入検知部材がディスクを検知したときに、ディスクの搬入動作が始動する請求項5記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−48891(P2011−48891A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198607(P2009−198607)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】