説明

搬送位置決め装置、トレー、及びトレーの支持構造

【課題】物品を搬送する速度を高くするのに有利であり、しかも複数のトレーの姿勢を迅速に揃えることのできる搬送位置決め装置、トレー、及びトレーの支持構造を提供する。
【解決手段】搬送位置決め装置5は、第1搬送手段15の第1支持部材13と第2搬送手段19の第2支持部材17とがトレー1の下面を支持し、第1支持部材13と第2支持部材17との動作する速度の差に基づきトレー1を矢印αの向きに回動させる。第3搬送手段23の第3支持部材21の動作する速度[V3]は、第1搬送手段15の第1支持部材13と第2搬送手段19の第2支持部材17との動作する速度[V1,V2]の平均速度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の載せられる複数のトレーを搬送し、複数のトレーの姿勢を一様に揃える搬送位置決め装置、それに使用するトレー、及びコンベヤにトレーを支持させるためのトレーの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の載せられる複数のトレーをコンベヤにより搬送する過程で、個々のトレーを回転させ、これらトレーの搬送される搬送方向に対して、複数のトレーの姿勢を揃える装置が、特許文献1に開示されている。また、トレーに載せられる物品が青果物である場合、物品の糖度を測定するのに利用する光線を物品に透過させるために、この光線をトレーに載せられた物品の下側に導入することが、特許文献2に開示されている。以上に述べたトレーの回転、及び糖度の測定に要する時間を短縮し、所定の時間当たりに搬送できる物品の個数を増加することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−290797号公報
【特許文献2】特開平11−101749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、物品を搬送する速度を高くするのに有利であり、しかも複数のトレーの姿勢を迅速に揃えることのできる搬送位置決め装置、トレー、及びトレーの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、物品の載せられる複数のトレーをコンベヤにより搬送する過程で、前記複数のトレーの搬送される搬送方向に対して、前記複数のトレーの姿勢を揃える搬送位置決め装置であって、前記トレーが、下面と、前記下面の縁部と、前記下面の縁部に偏り下向きに開放した凹状の係合部とを備え、前記コンベヤが、前記搬送方向に第1支持部材を動作させる第1搬送手段と、前記トレーの係合部に没入できる第2支持部材を有し、前記第1搬送手段に並列する位置に、前記第1搬送手段の第1支持部材よりも高く前記第2支持部材を配置し、前記搬送方向に前記第2支持部材を前記第1支持部材よりも速い速度で動作させる第2搬送手段と、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間に、前記第1搬送手段の第1支持部材と同じ高さ以下の第3支持部材を配置し、前記搬送方向に前記第3支持部材を動作させる第3搬送手段とを備え、前記第1搬送手段の第1支持部材と前記第2搬送手段の第2支持部材とが前記トレーの下面を支持し、前記第1支持部材と前記第2支持部材との動作する速度の差に基づき前記トレーを回動させることにより、前記トレーの係合部の位置を前記第2支持部材に合致させ、前記トレーの係合部に前記第2支持部材が没入することにより前記トレーが下降し、前記第3搬送手段の第3支持部材が前記トレーの下面を支持することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記第3搬送手段の第3支持部材の動作する速度が、前記第1搬送手段の第1支持部材と前記第2搬送手段の第2支持部材との動作の平均速度であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、物品の載せられる複数のトレーをコンベヤにより搬送する過程で、前記複数のトレーの搬送される搬送方向に対して、前記複数のトレーの姿勢を揃える搬送位置決め装置であって、前記トレーが、下面と、前記下面の縁部と、前記下面の縁部に偏り下向きに開放した凹状の係合部とを備え、前記コンベヤが、前記搬送方向に第1支持部材を動作させる第1搬送手段と、前記トレーの係合部に没入できる第2支持部材を有し、前記第1搬送手段に並列する位置に、前記第1搬送手段の第1支持部材よりも高く前記第2支持部材を配置し、前記搬送方向に前記第2支持部材を前記第1支持部材よりも速い速度で動作させる第2搬送手段とを備え、前記第1搬送手段の第1支持部材と前記第2搬送手段の第2支持部材とが前記トレーの下面を支持し、前記第1支持部材と前記第2支持部材との動作する速度の差に基づき前記トレーを回動させることにより、前記トレーの係合部の位置を前記第2支持部材に合致させ、前記トレーの係合部に前記第2支持部材を没入させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、下面、及び前記下面の縁部を有し、前記下面を支持するコンベヤにより搬送される基台と、前記基台の下面の縁部に偏り、下方、及び前記基台の搬送される搬送方向に開放した凹状の係合部と、前記基台の上方に配置され、物品を受け止める載置部材と、前記載置部材を前記基台に支持する前支柱、及び2つの後支柱とを備え、前記前支柱、及び前記2つの後支柱が、互いに前記搬送方向に隔たることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記載置部材が前記基台の上方に中心を位置する環形であり、前記前支柱に対して前記2つの後支柱のそれぞれの位置を、前記載置部材の周方向に150°以上の角度で割り付けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、下面、及び前記下面の縁部を有し、前記下面の縁部に偏り下向きに開放した凹状の係合部を形成した基台と、前記基台の上方に配置され、物品を受け止める載置部材と、前記載置部材を前記基台の上方に支持し、互いに基台に対して水平方向の反対側に配置された前支柱、及び2つの後支柱とを備え、前記基台の係合部に請求項1に記載の第2支持部材が没入したとき、前記基台が前記前支柱を前記搬送方向の前方に向けた姿勢をとることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記載置部材が前記基台の上方に中心を位置する環形であり、前記前支柱に対して前記2つの後支柱のそれぞれの位置を、前記載置部材の周方向に150°以上の角度で割り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る搬送位置決め装置によれば、トレーをコンベヤにより搬送する過程で、トレーの係合部の位置が第2支持部材に合致するようにトレーを回動させ、トレーの係合部に第2支持部材を没入させることができる。これによりトレーの回転が規制され、個々のトレーの搬送方向に対する姿勢が定まることになる。また、トレーの係合部に第2支持部材が没入した時点で、直ちに第3搬送手段の第3支持部材に支持される。このため、以上の工程に要する時間を最小限に短くできるので、本発明に係る搬送位置決め装置は、物品を搬送する速度を速くし、又はその行程を短縮するのに有利である。
【0013】
また、3搬送手段の第3支持部材の動作する速度が、第1搬送手段の第1支持部材と第2搬送手段の第2支持部材との動作の平均速度であることが好ましい。この場合、第1搬送手段、及び第2搬送手段がトレーを回動させながら搬送する速度と、第3搬送手段がトレーを搬送する速度とが略等しくなるので、第3搬送手段により搬送されるトレーに、これに後続する別のトレーが追いつくことがなく、個々のトレーに載せられた物品が衝突するのを未然に防止することができる。
【0014】
また、第3搬送手段を省略し、トレーの係合部に第2支持部材が没入した時点で、第2搬送手段の第2支持部材にトレーが支持されるようにしても良い。この場合、本発明に係る搬送位置決め装置の部品点数を減らし、その構造を簡素化することができる。
【0015】
本発明に係るトレー、及びトレーの支持構造は、基台の下面の縁部に偏る部位に、下向きに開放した凹状の係合部を形成し、この係合部に第2支持部材が没入した状態で、前支柱が搬送方向の前方に向けられるように、トレーを第2支持部材に位置決めすることができる。このため、例えば青果物である物品の糖度を測定するために、コンベヤの側方に光源を設置した場合、前支柱、及び2つの後支柱が光源の光を遮ることなく光源の光を載置部材の下側に導入できるように、前支柱、及び2つの後支柱を光源に対して位置決めすることができる。また、本発明に係るトレーは、載置部材を前支柱、及び2つの後支柱によって3箇所で支持する構造であるので、前支柱、及び2つの後支柱を余計に厚肉化、又は大型化することなく、物品を安定に支持するための十分な強度を得ることができる。
【0016】
特に、前支柱に対して2つの後支柱の位置を、それぞれ150°以上の角度で載置部材の周方向に割り付けた場合、光源の光を搬送方向の斜め前方から載置部材の下側に導入できるので、トレーの搬送される過程で、載置部材に載置された物品に光を透過させる時間を比較的長くできる。このため、本発明に係るトレー、及びトレーの支持構造は、物品の糖度を測定する精度を高くし、コンベヤにより物品を搬送する速度を速く設定するのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る搬送位置決め装置がトレーを搬送する動作を説明する平面図。
【図2】(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図。
【図3】(a)は本発明の実施形態に係る搬送位置決め装置の第1搬送手段として適用したベルトコンベヤがトレーを支持する例を示す斜視図、(b)は同手段として適用したローラコンベヤがトレーを支持する例を示す斜視図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る搬送位置決め装置がトレーを搬送する動作を説明する平面図。
【図5】本発明の実施形態に係るトレーの平面図。
【図6】本発明の実施形態に係るトレーの後面図。
【図7】本発明の実施形態に係るトレーの使用例を示す図5のC−C線断面図。
【図8】本発明の実施形態に係るトレーを示す図6のD−D線断面図。
【図9】(a)は本発明の実施形態に係るトレーの前面図、(b)はその下面図。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係るトレーの変形例前面図、(b)はその下面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る搬送位置決め装置の形態を実施例1,2として説明し、トレーの形態、及びその支持構造を実施例3として説明する。図1は、複数の円盤形のトレー1をコンベヤ3により搬送する過程で、複数のトレー1の搬送される搬送方向に対して、複数のトレー1の姿勢を一様に揃える搬送位置決め装置5を示している。矢印fは搬送方向の前方を指している。
【実施例1】
【0019】
図1,2(a)に示すように、トレー1は、下面7と、下面7の縁部9と、下面7の縁部9に偏る部位に形成された溝形の係合部11とを備え、何らかの物品を載せられるものであれば良い。コンベヤ3は、第1支持部材13を搬送方向に動作させる第1搬送手段15と、第2支持部材17を第1支持部材13よりも速い速度で搬送方向に動作させる第2搬送手段19と、第3支持部材21を搬送方向に動作させる第3搬送手段23とを備える。
【0020】
第1搬送手段15はベルトコンベヤであっても良い。この場合、図3(a)に示すように、第1支持部材13は回転機により回転するプーリ27に巻掛したエンドレスベルト29であり、第1支持部材13の動作は、エンドレスベルト29が矢印fの向きに走行することを意味する。或いは、第1搬送手段15はローラコンベヤであっても良い。この場合、図3(b)に示すように、第1支持部材13は、互いに搬送方向に並列した複数のローラ25であり、第1支持部材13の動作は、複数のローラ25がトレー1の下面7に矢印fの向きの推進力を作用させるように、複数のローラ25を回転機により駆動させることを意味する。第1支持部材13の幅は係合部11よりも広いので、第1支持部材13に係合部11が没入することはない。図1の符号31は、上記のプーリ、又はローラを軸受けする筐体、又はトレー1の下面を第1支持部材13と略同じ高さで支持する底板を指している。
【0021】
第2搬送手段19は、第1搬送手段15に並列する位置、言い換えると第1搬送手段15から搬送方向に交差する方向に離れた位置に設けられたベルトコンベヤである。図2(a),(b)に示すように、第2支持部材17は、トレー1の係合部11に没入できる円形断面のエンドレスベルト33を、これが下方へ撓むのを予防する溝形ライナー34によって支持し、第1搬送手段15と同様の回転機により回転するプーリにエンドレスベルト33を巻掛したものである。第2支持部材17の動作は、エンドレスベルト33が矢印fの向きに走行することを意味する。第3搬送手段23は、第1搬送手段15と第2搬送手段19との間に配置されている点を除き、第1搬送手段15と同様のベルトコンベヤ、又はローラコンベヤである。第3支持部材21は、複数のローラ25、又はエンドレスベルト29と同様の要素である。
【0022】
図1,2(a)に示すように、コンベヤ3により矢印fの向きに搬送されるトレー1は、その下面7を第1搬送手段15の第1支持部材13と第2搬送手段19の第2支持部材17とによって支持される。この状態で、トレー1は、第1支持部材13よりも高く第2支持部材17に下面7を持ち上げられた傾斜姿勢をとる。また、第1支持部材13の動作する速度よりも第2支持部材17の動作する速度が速い分、両者の速度の差に基づきトレー1に回転力が発生し、トレー1が矢印αの向きに回動する。このように傾斜したトレー1が回動するとき、トレー1の下面7の周縁は一点で第1支持部材13に接するので、トレー1の下面7と第1支持部材13との間にトレー1の回動を妨げるような余計な摩擦力の生じることがなく、トレー1は比較的速い角速度で円滑に回動することができる。点Pは、トレー1の回動する過程を表すためにトレー1に付されている。
【0023】
上記の矢印αの向きに回動するトレー1は、その係合部11の位置を第2支持部材17の真上に合致させる。この時点で、図2(b)に示すように、第2支持部材17が係合部11に没入することにより、トレー1の回動が規制される。同時に、トレー1の下面7が第2支持部材17よりも低くなり、トレー1は、その下面7を第3搬送手段23の第3支持部材21に受け止められた水平姿勢となる。この状態で、トレー1は第3搬送手段23の第3支持部材21の動作に従い矢印fの向きに搬送される。
【0024】
以上に述べた搬送位置決め装置5、トレー1、及びトレーの支持構造によれば、トレー1を回動させることによりトレー1を所望の姿勢にして搬送できるので、例えばトレー1に付されたバーコードをコンベヤ3の側方に設置されたバーコードリーダで読み取るとき、総てのトレー1のバーコードをバーコードリーダの正面に向けることができる。或いは、トレー1に載せられた青果物の糖度を計測するための光線に対して総てのトレー1の姿勢を一様に揃えることができる。
【0025】
また、トレー1の係合部11に第2支持部材17が没入した時点で、直ちに第3搬送手段23の第3支持部材21にトレー1の下面7を支持されることができる。このため、トレー1を回動させてからトレー1が所望の姿勢になったところでトレー1の回動を規制するまでの工程に要する時間を最小限に短くできるので、搬送位置決め装置5、トレー1、及びトレーの支持構造は、物品を搬送する速度を速くし、又はその行程を短縮するのに有利である。
【0026】
第3搬送手段23の第3支持部材21の動作する速度が、第1搬送手段15の第1支持部材13と第2搬送手段19の第2支持部材17との動作の平均速度であることが好ましい。言い換えると、第1搬送手段15の第1支持部材13、第2搬送手段19の第2支持部材17、及び第3搬送手段23の第3支持部材21の動作する速度が、それぞれ図1に記したV1,V2,V3であるとき、(V1+V2)/2=V3であることが好ましい。この場合、第1搬送手段15、及び第2搬送手段19がトレー1を回動させながら搬送する速度と、第3搬送手段23がトレー1を搬送する速度を略等しくできるので、第3搬送手段23により搬送されるトレー1に、これに後続する別のトレー1が追いつくことがなく、個々のトレー1に載せられた物品が衝突するのを未然に防止することができる。
【実施例2】
【0027】
以下の文中において、既述の要素にはその図示に関わらず、引き続き同じ符号を記すものとする。図4に示すように、本発明の他の実施形態に係る搬送位置決め装置35のコンベヤ37は、第1搬送手段16と、第2搬送手段19と、駆動案内手段39と、ガイドレール41とを備える。
【0028】
第1搬送手段16は、トレー1の直径の7割程度の幅の複数のローラ、又はエンドレスベルトから成る第1支持部材14を備える点を除き、既述の第1搬送手段15と同様のベルトコンベヤ、又はローラコンベヤである。駆動案内手段39は、トレー1の側面に対向するエンドレスベルト43をプーリ45に巻掛し、駆動源によるプーリ45の回転に従わせエンドレスベルト43を矢印fの向きに走行させるものである。ガイドレール41は、トレー1がコンベヤ3からエンドレスベルト43と反対の向きに逸れるのを予防するものである。
【0029】
コンベヤ37により矢印fの向きに搬送されるトレー1は、第1支持部材14、及び第2支持部材17に支持され、第1支持部材14よりも高く第2支持部材17に下面7を持ち上げられた傾斜姿勢をとる。また、第1支持部材14の動作する速度よりも第2支持部材17の動作する速度が速い分、両者の速度の差に基づきトレー1が矢印αの向きに回動する。これにより、トレー1の係合部11の位置が第2支持部材17の真上に合致するに至り、第2支持部材17が係合部11に没入する。同時に、トレー1の下面7が第2支持部材17よりも低くなり、トレー1は、その下面7を第1搬送手段16の第1支持部材14に受け止められた水平姿勢で、第1支持部材14の動作に従い矢印fの向きに搬送される。
【0030】
以上に述べた搬送位置決め装置35は、既述の第3搬送手段23を省略しているので、搬送位置決め装置5に比較して部品点数が少なく、その構造が簡素である。この他の搬送位置決め装置35の構成、及び効果は搬送位置決め装置5と同様である。
【実施例3】
【0031】
図5〜図9(b)に示すように、本発明の実施形態に係るトレー1は、下面7、及び下面7の縁部9を有する円盤形の基台47と、基台47に形成された凹状の係合部11と、基台47の上方に配置され青果物である物品48を受け止める載置部材49と、載置部材49を基台47に支持する前支柱51、及び2つの後支柱53とを備える。
【0032】
基台47は、その下面7を第1支持部材13,14、第2支持部材17、又は第3支持部材21に受け止められる。基台48の内側に埃等の塵が溜まらないように、基台47の下面7に塵抜き用の底孔50が貫かれている。底孔50に十字形の補強材52を掛け渡しても良い。係合部11は、その長手方向に直線状に延び長方形断面を有する溝形の凹部である。載置部材49は、その中心を基台47の上方に位置する環形枠55に、物品48を受け止める舌片57を取り付けたものである。舌片57は、弾性材料から成る円板59を放射状に切り込むことにより形成されている。
【0033】
以上に述べたトレー1によれば、図8に示すように係合部11に第2支持部材17が没入した状態で、基部が第2支持部材17に位置決めることになり、前支柱51が搬送方向の前方に向けられる。前支柱51の位置は概ね図1のP点に相当する。
【0034】
物品48の糖度を測定するためにコンベヤ3の側方に糖度測定装置の光源を設置した場合、前支柱51、及び2つの後支柱53が光源の光を遮ることなく光源の光を載置部材49の下側に導入できるように、前支柱51、及び2つの後支柱53を光源に対して位置決めすることができる。また、トレー1は、載置部材49を前支柱51、及び2つの後支柱53によって3箇所で支持する構造であるので、前支柱51、及び2つの後支柱53を余計に厚肉化、又は大型化することなく、物品48を安定に支持するための十分な強度を得ることができる。
【0035】
図8に示すように、前支柱51に対して2つの後支柱53の位置を、それぞれ150°以上の角度で、載置部材49の周方向に割り付けた場合、上記の光源の光を搬送方向の側方、又は斜め前方から載置部材49の下側に導入するときに、2つの後支柱53が光を遮らないので、トレー1の搬送される過程で、載置部材49に載置された物品48に光を透過させる時間を比較的長く稼ぐことができる。このため、物品48の糖度を測定する精度を高くし、コンベヤ3により物品を搬送する速度を速く設定するのに有利である。
【0036】
図8の矢印Fは、トレー1の斜め前方からトレー1の内側へ光を前支柱51に遮られることなく導入できる光の向きの前方の限度を示し、矢印Rは、トレー1の側方からトレー1の内側へ光を後支柱53に遮られることなく導入できる光の向きの後方の限度を示している。このように広い範囲からトレー1の内側に導入することのできる光は物品48を透過し、その上方に設置された図に表れていない糖度測定装置の受光部によって受光される。
【0037】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。図2(a),(b)は、第1搬送手段15の第1支持部材13と第3搬送手段23の第3支持部材21とがトレー1の下面7を同じ高さで支持する例を示しているが、第1支持部材13よりも第3支持部材21を少し低く配置して良い。この場合、第2支持部材17が係合部11に没入したときに、トレー1の姿勢が同図の右側へ下がるよう傾けば、トレー1の下面7を第3支持部材21に受け止めさせることができる。
【0038】
トレー1はその平面図において外形が円形である形態を例示したが、トレー1の外形は多角形、長円、又は楕円形であっても良い。トレー1の係合部11は、係合部11は溝形の凹部である必要はなく、図10(a),(b)に示すように、少なくとも基台47の下方、及び搬送方向に開放した段部、又は切欠部であれば良い。また、トレー1は基台47の底孔50を塞いだ様態であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、あらゆる物品の搬送、又はコンベヤ3により搬送される物品の検査等に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1...トレー、3,37...コンベヤ、5,35...搬送位置決め装置、7...下面、9...縁部、11...係合部、13,14...第1支持部材、15,16...第1搬送手段、17...第2支持部材、19...第2搬送手段、21...第3支持部材、23...第3搬送手段、25...ローラ、27,45...プーリ、29,33,43...エンドレスベルト、31...筐体、34...溝形ライナー、39...駆動案内手段、41...ガイドレール、47...基台、48...物品、49...載置部材、50...底孔、51...前支柱、52...補強材、53...後支柱、55...環形枠、57...舌片、59...円板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の載せられる複数のトレーをコンベヤにより搬送する過程で、前記複数のトレーの搬送される搬送方向に対して、前記複数のトレーの姿勢を揃える搬送位置決め装置であって、
前記トレーが、下面と、前記下面の縁部と、前記下面の縁部に偏り下向きに開放した凹状の係合部とを備え、
前記コンベヤが、前記搬送方向に第1支持部材を動作させる第1搬送手段と、
前記トレーの係合部に没入できる第2支持部材を有し、前記第1搬送手段に並列する位置に、前記第1搬送手段の第1支持部材よりも高く前記第2支持部材を配置し、前記搬送方向に前記第2支持部材を前記第1支持部材よりも速い速度で動作させる第2搬送手段と、
前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間に、前記第1搬送手段の第1支持部材と同じ高さ以下の第3支持部材を配置し、前記搬送方向に前記第3支持部材を動作させる第3搬送手段とを備え、
前記第1搬送手段の第1支持部材と前記第2搬送手段の第2支持部材とが前記トレーの下面を支持し、前記第1支持部材と前記第2支持部材との動作する速度の差に基づき前記トレーを回動させることにより、前記トレーの係合部の位置を前記第2支持部材に合致させ、前記トレーの係合部に前記第2支持部材が没入することにより前記トレーが下降し、前記第3搬送手段の第3支持部材が前記トレーの下面を支持することを特徴とする搬送位置決め装置。
【請求項2】
前記第3搬送手段の第3支持部材の動作する速度が、前記第1搬送手段の第1支持部材と前記第2搬送手段の第2支持部材との動作の平均速度であることを特徴とする請求項1に記載の搬送位置決め装置。
【請求項3】
物品の載せられる複数のトレーをコンベヤにより搬送する過程で、前記複数のトレーの搬送される搬送方向に対して、前記複数のトレーの姿勢を揃える搬送位置決め装置であって、
前記トレーが、下面と、前記下面の縁部と、前記下面の縁部に偏り下向きに開放した凹状の係合部とを備え、
前記コンベヤが、前記搬送方向に第1支持部材を動作させる第1搬送手段と、
前記トレーの係合部に没入できる第2支持部材を有し、前記第1搬送手段に並列する位置に、前記第1搬送手段の第1支持部材よりも高く前記第2支持部材を配置し、前記搬送方向に前記第2支持部材を前記第1支持部材よりも速い速度で動作させる第2搬送手段とを備え、
前記第1搬送手段の第1支持部材と前記第2搬送手段の第2支持部材とが前記トレーの下面を支持し、前記第1支持部材と前記第2支持部材との動作する速度の差に基づき前記トレーを回動させることにより、前記トレーの係合部の位置を前記第2支持部材に合致させ、前記トレーの係合部に前記第2支持部材を没入させることを特徴とする搬送位置決め装置。
【請求項4】
下面、及び前記下面の縁部を有し、前記下面を支持するコンベヤにより搬送される基台と、
前記基台の下面の縁部に偏り、下方、及び前記基台の搬送される搬送方向に開放した凹状の係合部と、
前記基台の上方に配置され、物品を受け止める載置部材と、
前記載置部材を前記基台に支持する前支柱、及び2つの後支柱とを備え、
前記前支柱、及び前記2つの後支柱が、互いに前記搬送方向に隔たることを特徴とするトレー。
【請求項5】
前記載置部材が前記基台の上方に中心を位置する環形であり、前記前支柱に対して前記2つの後支柱のそれぞれの位置を、前記載置部材の周方向に150°以上の角度で割り付けたことを特徴とする請求項4に記載のトレー。
【請求項6】
下面、及び前記下面の縁部を有し、前記下面の縁部に偏り下向きに開放した凹状の係合部を形成した基台と、
前記基台の上方に配置され、物品を受け止める載置部材と、
前記載置部材を前記基台の上方に支持し、互いに基台に対して水平方向の反対側に配置された前支柱、及び2つの後支柱とを備え、
前記基台の係合部に請求項1に記載の第2支持部材が没入したとき、前記基台が前記前支柱を前記搬送方向の前方に向けた姿勢をとることを特徴とするトレーの支持構造。
【請求項7】
前記載置部材が前記基台の上方に中心を位置する環形であり、前記前支柱に対して前記2つの後支柱のそれぞれの位置を、前記載置部材の周方向に150°以上の角度で割り付けたことを特徴とする請求項6に記載のトレーの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−10625(P2013−10625A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145673(P2011−145673)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】