説明

搬送台車、台盤及び搬送台車セット

【課題】 台盤に載置されるコンテナの大きさに拘わらず、それらコンテナを滑り止めすることが可能であると共に、台盤に載置された段ボール箱の過度の変形を防ぐことが可能な搬送台車、台盤及び搬送台車セットを提供する。
【解決手段】 本発明によれば、台盤11に備えた複数のリブ係合突起21と凹凸係合可能な格子形リブ31を下面30Aに備えたコンテナであれば、どのような大きさのコンテナであっても、台盤11に載置しただけで滑り止めを図ることができる。また、コンテナの下面に縦横の辺に対して±45度傾いた格子形リブ31が備えられている場合に、その格子形リブ31にリブ係合突起21が凹凸係合して、台盤11の縦横の辺とコンテナ30の縦横の辺とを平行にすることができる。しかも、段ボール箱を載置した場合に、その段ボール箱が過度に変形することもない。これにより、搬送作業の効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格子形リブを下面に有したコンテナその他の荷物を搬送可能な搬送台車及びそのような搬送台車に備えられた台盤及び搬送台車とコンテナとからなる搬送台車セットに関する。
【背景技術】
【0002】
図15に示した従来の搬送台車1は、台盤1Aの上面縁部から枠形突条2を突出して備え、コンテナ3を台盤1Aに載置すると、枠形突条2がコンテナ3の下縁部に係合して、コンテナ3が滑り止めされる構造になっている(例えば、特許文献1参照)。また、図16に示した別の従来の搬送台車4は、台盤4Aの上面に複数のリブ5Aとゴム部材5Bとを備えて荷物を滑り止めする構造になっている(例えば、特許文献2参照)。さらに、図17に示したさらに別の従来の搬送台車6は、台盤6Aの上面に複数の点状突起7を備えて荷物を滑り止めする構造になっている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−71955号公報(段落[0008]、第1図)
【特許文献2】特開平8−26120号公報(段落[0010]、第1図)
【特許文献3】特開平7−257385号公報(段落[0018]、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した搬送台車1では、コンテナ3が小さ過ぎると枠形突条2内でコンテナ3が滑る事態が生じ得る。一方、コンテナ3が大き過ぎると、枠形突条2上にコンテナ3が載置されて台盤1Aの上面から浮いた状態になる。このとき、枠形突条2が、合成樹脂で構成されたコンテナ3に食い込むことは考え難いので、枠形突条2が滑り止めの効果を奏しないばかりか、むしろ枠形突条2によってコンテナ3が滑り易くなる。これと同様に、上記した別の搬送台車4,6では、リブ5A又は点状突起7によって、コンテナが台盤4A,6Aの上面から浮き、コンテナの滑り止めを十分に図ることができない。また、従来の搬送台車4では、台盤4Aの全体の材質とは異なるゴム部材5Bを備えているため、製造コストが高くなるという問題も生じる。さらに、搬送台車1では、比較的大きな段ボール箱を搬送する場合に、その段ボール箱が枠形突条2上に載置されて、過度に撓み変形する問題も生じ得る。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、台盤に載置されるコンテナの大きさに拘わらず、それらコンテナを滑り止めすることが可能であると共に、台盤に載置された段ボール箱の過度の変形を防ぐことが可能な搬送台車、台盤及び搬送台車セットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る台盤は、格子形リブを下面に有したコンテナその他の荷物を上面に載置して搬送可能な搬送台車用の台盤において、格子形リブに囲まれた升目空間に突入して格子形リブと凹凸係合可能な複数のリブ係合突起を上面に備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の台盤において、リブ係合突起は、下端部から上端部に向かうに従って先細りになっているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の台盤において、台盤の平面形状を矩形とし、複数のリブ係合突起の少なくとも一部を、台盤の縦方向に対して±45度傾いた両方向で等間隔に配置したところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の台盤において、台盤の平面形状を矩形とし、複数のリブ係合突起の少なくとも一部を、台盤の縦横の両方向で等間隔に配置したところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の台盤において、複数のリブ係合突起を、台盤の縦横の両方向、又は、台盤の縦方向に対して±45度傾いた両方向で、等間隔に配置してなる突起集合体を、間隔を開けて複数設けたところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載の台盤において、突起集合体を台盤の外縁部に配置し、台盤の中央部に平坦面を設けたところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の台盤において、突起集合体を構成する各リブ係合突起は、突起集合体の中央部から側方に離れるに従って徐々に突出量が小さくなるように構成されたところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項5又は6に記載の台盤において、突起集合体を構成する各リブ係合突起は、平面形状が円形をなすと共に、突起集合体の中央部から側方に離れるに従って、平面形状の外径が徐々に大きくなりかつ突出量が小さくなるように構成されたところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載の台盤において、突起集合体の中央部に配置されたリブ係合突起は半球形状をなし、突起集合体の中央部から離れた位置に配置されたリブ係合突起は、半球形状のリブ係合突起における所定の水平面より上側部分を切除した形状であるところに特徴を有する。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかに記載の台盤において、台盤のうち荷物を載置可能な部分は、リブ係合突起以上に上方に突出した突出部を有しない略平坦形状になっているところに特徴を有する。
【0015】
請求項11の発明に係る搬送台車は、請求項1乃至10の何れかに記載の台盤の下面に、複数のキャスターを備えてなるところに特徴を有する。
【0016】
請求項12の発明に係る搬送台車セットは、請求項11に記載の搬送台車と、その搬送台車のリブ係合突起と凹凸係合可能な格子形リブを有したコンテナとからなるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
[請求項1,11,12の発明]
請求項1,11,12の構成によれば、コンテナを台盤に載置すると、台盤に備えた複数のリブ係合突起が、コンテナの下面に備えた格子形リブの升目空間に突入して凹凸係合する。従って、複数のリブ係合突起と凹凸係合可能な格子形リブを下面に備えたコンテナであれば、どのような大きさのコンテナであっても、台盤に載置しただけで滑り止めを図ることができる。これにより、搬送作業の効率が向上する。
【0018】
[請求項2の発明]
請求項2の台盤に備えたリブ係合突起は、下端部から上端部に向かうに従って先細りになっているので、コンテナの格子形リブに容易に凹凸係合させることができる。
【0019】
[請求項3の発明]
請求項3の台盤によれば、コンテナの縦横の辺に対して±45度傾いた格子形リブが備えられている場合に、その格子形リブにリブ係合突起が凹凸係合して、台盤の縦横の辺とコンテナの縦横の辺とを平行にすることができる。
【0020】
[請求項4の発明]
請求項4の台盤によれば、コンテナの縦横の辺に対して平行な格子形リブが備えられている場合に、その格子形リブにリブ係合突起が凹凸係合して、台盤の縦横の辺とコンテナの縦横の辺とを平行にすることができる。
【0021】
[請求項5の発明]
請求項5の台盤では、複数のリブ係合突起からなる突起集合体を間隔を開けて設けたので、コンテナがリブ係合突起に対応した格子形リブと、対応していない他のリブとの両方を有している場合に、他のリブを避けて、リブ係合突起を格子形リブに確実に凹凸係合させることができる。
【0022】
[請求項6の発明]
請求項6の台盤に段ボール箱を載置する場合には、台盤の中央部に設けた平坦面に載置することで、リブ係合突起を避けて段ボール箱の変形を防ぐことができる。
【0023】
[請求項7の発明]
請求項7の台盤では、突起集合体を構成する各リブ係合突起は、突起集合体の中央部から側方に離れるに従って徐々に突出量が小さくなるように構成されているので、突起集合体と突起集合体以外の部分との間の段差が抑えられる。これにより、段ボール箱を載置した場合に、その段ボール箱の変形を低減させることができる。
【0024】
[請求項8の発明]
請求項8の台盤に備えた突起集合体を構成する各リブ係合突起は、突起集合体の中央部から側方に離れるに従って突出量が小さくなるように構成されているので、格子形リブを備えたコンテナを載置すると、突起集合体の中央部から外側に向かう順番でリブ係合突起が格子形リブの升目空間に突入していく。ここで、リブ係合突起は、突起集合体の中央部から離れるに従って、平面形状の外径が徐々に大きくなっているので、突起集合体の中央部のリブ係合突起が格子形リブの升目空間に突入することで、コンテナが大まかに位置決めされ、外側のリブ係合突起が順に格子形リブの升目空間に突入していくに従って、コンテナが徐々に細かく位置決めされる。これにより、突起集合体と格子形リブとの凹凸係合のガタを低減することができる。
【0025】
[請求項9の発明]
請求項9の台盤では、突起集合体を構成するリブ係合突起を、半球形状、或いは、半球形状の上側部分を切除して平坦面にした形状としたので、段ボール箱を載置した場合に、その段ボール箱へのリブ係合突起の食い込みを低減させることができる。
【0026】
[請求項10の発明]
請求項10の台盤のうち荷物が載置される部分は、リブ係合突起以上に上方に突出した突出部を有しない略平坦形状になっているので、段ボール箱を載置した場合に、その段ボール箱への変形を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1に示すように本実施形態の搬送台車10は、台盤11の下面四隅にキャスター12を備えてなる。台盤11は、合成樹脂の射出成形品であって、荷物が載置される長方形の天板壁13の下面に補強リブ14(図2参照)を張り巡らした構造になっている。なお、台盤11は、縦方向と横方向の両中心線とに対して対称な形状になっている。
【0028】
台盤11のうち縦横の4つの外縁部寄り位置には、それぞれ把持孔15が形成されている。各把持孔15は、台盤11を上下方向に貫通し、各外縁部に沿った長孔形状になっている。そして、何れかの把持孔15に手を通して搬送台車10を容易に持ち上げることができるようになっている。
【0029】
台盤11の上面11A(詳細には、天板壁13の上面)の四隅には、キャスター受容凹所17が陥没形成されている。各キャスター受容凹所17は、平面形状が円形をなし、上端開口から下方に向かうに従って縮径した内側面17Aと、台盤11の上面11Aと平行な底面17Bとを有している。キャスター受容凹所17内は、4つの分割リブ17Lによって4つの領域に均等区分されている。これら各分割リブ17Lは、内側面17Aから底面17Bの中心近傍まで延び、また、分割リブ17Lの下端部は底面17Bに連続し、さらに、分割リブ17Lの上端部は、台盤11の上面と面一になっている。キャスター受容凹所17の底面17Bの中心からは中央凸部17Cが起立している。この中央凸部17Cは、各分割リブ17Lに向かって突出した4つの稜線を備え、それら隣り合った稜線の間に凹状湾曲面を有した略星形状をなすと共に、中央凸部17Cの上面は台盤11の上面11Aと面一になっている。そして、搬送台車10の上に重ねて搬送台車10を積み上げた場合に、下方の搬送台車10の各キャスター受容凹所17に、上方の搬送台車10の各キャスター12の車輪12Aが受容される。このとき、キャスター12の車輪12Aは、キャスター受容凹所17のうち分割リブ17Lによって区画された何れかの領域に収まり、車輪12Aの旋回が規制されると共に、台盤11の上面11Aとキャスター受容凹所17の底面17Bとの段差によって車輪12Aの転動が規制される。
【0030】
さて、図1に示すように、台盤11の上面11Aには、突起集合体20が4箇所に設けられている。具体的には、各突起集合体20は、台盤11の長手方向に並んだ1対のキャスター受容凹所17,17の間のうちそれら各キャスター受容凹所17と把持孔15とに挟まれた部分に配置されている。また、台盤11の上面11A全体は、リブ係合突起21以上に上方に突出した突出部を有しない略平坦形状になっている。特に台盤11の上面11Aにおける中央部は、突出部のみならず凹部も有しない平坦面11Bになっている。
【0031】
図3に示すように、突起集合体20は、複数のリブ係合突起21からなり、それらリブ係合突起21は、台盤11の縦方向Hに対して+45度傾いた第1の方向Xと、台盤11の縦方向に対して−45度傾いた第2の方向Yとの両方向で間隔L1毎に配置されている。また、それらリブ係合突起21の平面形状は、同じ外径の円形をなしている。さらに、突起集合体20を側方から見ると、図2に示すように、突起集合体20の中央部から側方に離れるに従って徐々にリブ係合突起21の突出量が小さくなっている。
【0032】
詳細には、図2及び図3に示すように、突起集合体20における第1の方向Xの中心を通過する中心線CL1と第2の方向Yの中心を通過する中心線CL2との交点に半球形状のリブ係合突起21が配置されている。そして、一方の中心線CL1に沿って半球形状のリブ係合突起21を中心にした両側に2つずつ計4つのリブ係合突起21が間隔L1毎に配置されると共に、他方の中心線CL2に沿って半球形状のリブ係合突起21を中心にした両側に2つずつ計4つのリブ係合突起21が間隔L1毎に配置されている。ここで、半球形状のリブ係合突起21から中心線CL1,CL2に沿って間隔L1だけ離れた各リブ係合突起21は、半球形状のリブ係合突起21を、その上端部から半径の1/3程度の位置を通過する水平面で切断してその水平面より上側部分を切除した、言わば、略腕形状になっている。また、その略腕形状のリブ係合突起21から側方に間隔L1だけ離れたリブ係合突起21は、半球形状のリブ係合突起21を、その上端部から半径の2/3程度の位置を通過する水平面で切断してその水平面より上側部分を切除した、言わば、略鏡餅形状になっている。また、中心線CL1,CL2上にあって台盤11の縦横方向で隣り合った略鏡餅形状のリブ係合突起21,21の間の中点にも、略鏡餅形状のリブ係合突起21がそれぞれ設けられている。
【0033】
図4〜図6には、搬送台車10にて搬送される荷物としてのコンテナ30の一例が示されている。このコンテナ30は、直方体の筐体構造をなし、平面形状が台盤11と略同一の長方形になっている。図6に示すように、コンテナ30の下面30Aには、その下面30Aの外縁部を内側にシフトした位置に外枠リブ33が設けられ、その外枠リブ33に囲まれた長方形領域全体に格子形リブ31が張り巡らされている。
【0034】
外枠リブ33は、下面30Aの外縁形状と略相似形の枠形リブ33A,33Bを内外に二重に配置し、それら矩形リブ33A,33Bの間を複数の連結リブ33Cで連結した構造になっている。また、図5に示すように、外側の枠形リブ33Bは、内側の枠形リブ33Aに比べて下面30Aからの突出量が若干小さくなっており、連結リブ33Cの下端部は、外側の枠形リブ33Bの下端部と、内側の枠形リブ33Aの下端部とを直線状に繋ぐように傾斜している。つまり、コンテナ30の下面30Aに備えたリブ全体の角部が面取りされた構造になっている。
【0035】
なお、このようにコンテナ30の下面に面取り部を設けたことにより、実開昭59−94089号公報にも掲載されているように、コンテナ30をローラコンベア上でスムーズに移動させることができる。
【0036】
図6に示すように、格子形リブ31は、下面30Aの縦方向hに対して+45度傾いた第1の方向xに延びかつ等しい間隔L1で並んだ複数のリブと、下面30Aの縦方向に対して−45度傾いた第2の方向yに延びたかつ等しい間隔L1で並んだ複数のリブとを直交させた構造になっている。また、格子形リブ31の下端部は、前記した外枠リブ33における内側の枠形リブ33Aの下端部と面一になっている。
【0037】
次に、上記構成からなる本実施形態の動作を説明する。
本実施形態の搬送台車10を用いて上述したコンテナ30を搬送する場合には、例えば、コンテナ30の外縁部と搬送台車10における台盤11の外縁部とを一致させるようにして台盤11上にコンテナ30を載置すればよい。すると、図6及び図7に示すように、台盤11に備えた突起集合体20の各リブ係合突起21が、コンテナ30の下面30Aに備えた格子形リブ31の升目空間32に突入して凹凸係合する。ここで、各リブ係合突起21は、下端部から上端部に向かうに従って先細りになっているので、コンテナ30の格子形リブ31に容易に凹凸係合させることができる。そして、リブ係合突起21と格子形リブ31との凹凸係合により、コンテナ30が台盤11上に滑り止めされる。
【0038】
図8には、上記したコンテナ30(以下、これを適宜、「標準コンテナ30」という)に比べて細長いコンテナ35と、小さいコンテナ36,37とが搬送台車10の台盤11上に載置された状態が示されている。これらコンテナ35,36,37は、標準コンテナ30の格子形リブ31と同じ格子形リブを下面に備えている。そして、細長いコンテナ35は、例えば、台盤11の長手方向の一端側において、そのコンテナ35の外縁部を台盤11の外縁部と平行に配し、両端部が台盤11の側方に張り出した状態にして、1対の突起集合体20,20を覆った状態にして載置されている。また、小さいコンテナ36,37は、例えば、それらコンテナ36,37の外縁部を台盤11の外縁部と平行に配し、台盤11の長手方向の他端側における突起集合体20,20上にそれぞれ載置されている。これにより、上記した標準コンテナ30の場合と同様に、各突起集合体20の各リブ係合突起21が、コンテナ35,36,37の下面の格子形リブと凹凸係合して、滑り止めが図られる。
【0039】
また、本実施形態の台盤11では、複数のリブ係合突起21からなる突起集合体20を間隔を開けて複数設けたので、図6に示した標準コンテナ30の下面30Aのように、リブ係合突起21と凹凸係合する格子形リブ31と、リブ係合突起21と凹凸係合不能な他のリブ(外枠リブ33)との両方が設けられている場合に、他のリブ(外枠リブ33)を避けて、リブ係合突起21を格子形リブ31に確実に凹凸係合させることができる。
【0040】
コンテナ30,35,36,37に代えて、段ボール箱等を搬送台車10にて搬送する場合には、例えば、比較的小さい段ボール箱であれば、搬送台車10の台盤11における中央部に設けた平坦面11Bに載置すればよい。これにより、段ボール箱をリブ係合突起21によって変形させることなく搬送することができる。
【0041】
また、上記した標準コンテナ30と同等或いはそれ以上の大きさの段ボール箱を搬送する場合には、突起集合体20を覆うようにして台盤11上に段ボール箱を載置すればよい。ここで、本実施形態の台盤11では、突起集合体20を構成する各リブ係合突起21が、突起集合体20の中央部から側方に離れるに従って徐々に突出量が小さくなるように構成されているので、突起集合体20と突起集合体20以外の部分との間の段差が抑えられている。しかも、突起集合体20を構成するリブ係合突起21は、半球形状であるか、半球形状の上側部分を切除して平坦面11Bとした形状になっているので、各リブ係合突起21が段ボール箱に過度に食い込むことも防がれる。これにより、段ボール箱への変形を低減させることができる。
【0042】
ここで、上記した標準コンテナ30のように下面に面取り部を備えている場合には、従来であれば、その面取り部の上縁部に係止可能な比較的大きな突出部(例えば、図15に示した従来の台盤1Aにおける枠形突条2)を設ける必要があったが、本実施形態の台盤11は、荷物を載置可能な部分に、リブ係合突起21以上に上方に突出した突出部を有しない略平坦形状になっているので、比較的大きな段ボール箱を載置しても、その段ボール箱を過度に曲げ変形させる事態が防がれる。
【0043】
このように本実施形態の搬送台車10及び台盤11の構成によれば、台盤11に備えた複数のリブ係合突起21と凹凸係合可能な格子形リブ31を下面30Aに備えたコンテナであれば、どのような大きさのコンテナであっても、台盤11に載置しただけで滑り止めを図ることができる。また、コンテナの下面に縦横の辺に対して±45度傾いた格子形リブ31が備えられている場合に、その格子形リブ31にリブ係合突起21が凹凸係合して、台盤11の縦横の辺とコンテナ30の縦横の辺とを平行にすることができる。しかも、段ボール箱を載置した場合に、その段ボール箱が過度に変形することもない。これにより、搬送作業の効率が向上する。
【0044】
[第2実施形態]
本実施形態は、図9に示されており、突起集合体20におけるリブ係合突起21の構成が上記第1実施形態と異なる。即ち、本実施形態の突起集合体20を構成する各リブ係合突起21は、突起集合体20の中央部から側方に離れるに従って平面形状の外径が徐々に大きくなっている。より具体的には、突起集合体20の中央に配置された半球形状のリブ係合突起21に比べて、その半球形状のリブ係合突起21から間隔L1だけ側方に離れた略腕形状のリブ係合突起21の外径の方が大きくなっており、その略腕形状のリブ係合突起21から間隔L1だけ側方に離れた略鏡餅形状のリブ係合突起21の外径の方がさらに大きくなっている。そして、略鏡餅形状のリブ係合突起21が格子形リブ31における升目空間32に内接した状態に嵌合するようになっている。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、第1実施形態と同一符号を付して、重複した説明は省略する。
【0045】
本実施形態の突起集合体20を構成する各リブ係合突起21は、第1実施形態と同様に、突起集合体20の中央部から側方に離れるに従って突出量が小さくなるように構成されているので、コンテナ30を載置すると、突起集合体20の中央部から外側に向かう順番でリブ係合突起21が格子形リブ31の升目空間32に突入していく。ここで、リブ係合突起21は、突起集合体20の中央部から離れるに従って、平面形状の外径が徐々に大きくなっているので、突起集合体20の中央部のリブ係合突起21が格子形リブ31の升目空間32に突入することでコンテナ30が大まかに位置決めされ、外側のリブ係合突起21が順に格子形リブ31の升目空間32に突入していくに従って、コンテナ30が徐々に細かく位置決めされる。これにより、突起集合体20と格子形リブ31との凹凸係合のガタを低減することができる。
【0046】
[第3実施形態]
本実施形態の搬送台車10は、図10〜図12に示されており、台盤11におけるキャスター受容凹所17,17に囲まれた平坦部分に、突起集合体20を、例えば、縦横の3行3列にして配置した構造になっている。そして、その突起集合体20は、前記第1実施形態で説明した略腕形状のリブ係合突起21を縦横等間隔に1対ずつ配置して計4つのリブ係合突起21から構成されている。その他の構成については上記第1実施形態と同じである。
【0047】
この構成によれば、図11に示すように、コンテナの縦横の辺に対して±45度傾いた格子形リブ31が備えられている場合に、その格子形リブ31にリブ係合突起21が凹凸係合して、台盤11の縦横の辺とコンテナ30の縦横の辺とを平行にすることができるばかりか、図12に示すように、コンテナの縦横の辺に対して平行な格子形リブ31が備えられている場合にも、その格子形リブ31にリブ係合突起21が凹凸係合して、台盤11の縦横の辺とコンテナ30の縦横の辺とを平行にすることも可能になる。また、第1実施形態に比べてリブ係合突起21の間隔が疎になっているので、リブ係合突起21,21の間にゴミがつまり難いという効果も奏する。
【0048】
[第4実施形態]
本実施形態の搬送台車10は、図13に示されており、突起集合体20を備えずに、前記第1実施形態で説明した半球形状のリブ係合突起21を、台盤11の上面11Aに散在させた構造になっている。その他の構成については上記第1実施形態と同じである。この構成によれば、第3実施形態と概ね同様の効果を奏する。
【0049】
[第5実施形態]
本実施形態の搬送台車10は、図14に示されており、前記第1実施形態で説明した略鏡餅形状のリブ係合突起21を、台盤11の上面11Aのうちキャスター受容凹所17,17に囲まれた平坦部分全体に、台盤11の縦横複数列の等間隔に配置した構成になっている。その他の構成については上記第1実施形態と同じである。
【0050】
この構成によれば、コンテナの下面に縦横の辺に対して平行な格子形リブが備えられている場合に、その格子形リブにリブ係合突起が凹凸係合して、台盤の縦横の辺とコンテナの縦横の辺とを平行にすることができる。
【0051】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
(1)前記第1実施形態において突起集合体20を構成するリブ係合突起21は、半球形状、略腕形状、又は、略鏡餅形状になっていたが、例えば、円錐形状、角錐形状、円錐台形状、角錐台形状、円柱形状又は角柱形状としてもよい。
【0053】
(2)前記第1実施形態の台盤11には、リブ係合突起21以上に上方に突出した突出部が設けられていなかったが、そのような突出物を備えた台盤及び搬送台車も本発明の範囲に含まれる。
【0054】
(3)前記第1実施形態の台盤11は、平面形状が長方形であったが、台盤11の形状は長方形に限定されず、正方形、円形、多角形であってもよい。
【0055】
(4)前記第1実施形態の台盤11にはキャスター受容凹所17が備えられていたが、台盤はキャスター受容凹所を有していなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る搬送台車の斜視図
【図2】台盤の一部を破断した斜視図
【図3】台盤の部分平面図
【図4】台盤とコンテナの側面図
【図5】台盤とコンテナの正面図
【図6】リブ係合突起が係合したコンテナの底面図
【図7】図6のA−A破断面における台盤とコンテナの部分断面図
【図8】搬送台車に複数のコンテナを載置した状態の斜視図
【図9】第2実施形態の台盤とコンテナの部分断面図
【図10】第3実施形態の搬送台車の斜視図
【図11】リブ係合突起が係合したコンテナの底面図
【図12】リブ係合突起が係合したコンテナの底面図
【図13】第4実施形態の搬送台車の斜視図
【図14】第5実施形態の搬送台車の斜視図
【図15】従来の搬送台車の斜視図
【図16】従来の搬送台車の斜視図
【図17】従来の搬送台車の平面図
【符号の説明】
【0057】
10 搬送台車
11 台盤
11A 上面
11B 平坦面
12 キャスター
20 突起集合体
21 リブ係合突起
30 コンテナ
30,35,36,37 コンテナ
30A 下面
31 格子形リブ
32 升目空間
33 外枠リブ(他のリブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子形リブを下面に有したコンテナその他の荷物を上面に載置して搬送可能な搬送台車用の台盤において、
前記格子形リブに囲まれた升目空間に突入して前記格子形リブと凹凸係合可能な複数のリブ係合突起を上面に備えたことを特徴とする台盤。
【請求項2】
前記リブ係合突起は、下端部から上端部に向かうに従って先細りになっていることを特徴とする請求項1に記載の台盤。
【請求項3】
前記台盤の平面形状を矩形とし、前記複数のリブ係合突起の少なくとも一部を、前記台盤の縦方向に対して±45度傾いた両方向で等間隔に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の台盤。
【請求項4】
前記台盤の平面形状を矩形とし、前記複数のリブ係合突起の少なくとも一部を、前記台盤の縦横の両方向で等間隔に配置したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の台盤。
【請求項5】
前記複数のリブ係合突起を、前記台盤の縦横の両方向、又は、前記台盤の縦方向に対して±45度傾いた両方向で、等間隔に配置してなる突起集合体を、間隔を開けて複数設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の台盤。
【請求項6】
前記突起集合体を前記台盤の外縁部に配置し、前記台盤の中央部に平坦面を設けたことを特徴とする請求項5に記載の台盤。
【請求項7】
前記突起集合体を構成する各リブ係合突起は、前記突起集合体の中央部から側方に離れるに従って徐々に突出量が小さくなるように構成されたことを特徴とする請求項5又は6に記載の台盤。
【請求項8】
前記突起集合体を構成する各リブ係合突起は、平面形状が円形をなすと共に、前記突起集合体の中央部から側方に離れるに従って、前記平面形状の外径が徐々に大きくなりかつ突出量が小さくなるように構成されたことを特徴とする請求項5又は6に記載の台盤。
【請求項9】
前記突起集合体の中央部に配置された前記リブ係合突起は半球形状をなし、前記突起集合体の中央部から離れた位置に配置された前記リブ係合突起は、前記半球形状のリブ係合突起における所定の水平面より上側部分を切除した形状であることを特徴とする請求項7又は8に記載の台盤。
【請求項10】
前記台盤のうち荷物を載置可能な部分は、前記リブ係合突起以上に上方に突出した突出部を有しない略平坦形状になっていることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の台盤。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の台盤の下面に、複数のキャスターを備えてなることを特徴とする搬送台車。
【請求項12】
前記請求項11に記載の搬送台車と、その搬送台車の前記リブ係合突起と凹凸係合可能な前記格子形リブを有したコンテナとからなることを特徴とする搬送台車セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−248396(P2006−248396A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68492(P2005−68492)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(598059387)株式会社パルタック (6)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】