説明

搬送容器の間隔調整方法及び容器搬送設備並びに容器搬送処理設備

【課題】設備全体を大型で高価なものにせず、隣接する容器間の間隔を調整可能にする。
【解決手段】搬送中の容器1で搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測し、搬送中の隣接する3本以上の容器1を一組として、その一組の容器群の容器間距離の合計が、一組の容器群における容器間の数に設定値Xを乗じた値と同じ値以上で、且つ、複数の容器間距離のいずれかが設定値より小さい場合に、両端の容器1を除く中間の容器1を相対的に変位させて、隣接する容器間の離間距離を設定値X以上になるように調整すると共に、一組の容器群の容器間距離の合計が、一組の容器群における容器間の数に設定値Xを乗じた値よりも小さい場合に、容器間距離の調整は行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多数の容器を、搬送方向に夫々間隔を置いて搬送する容器搬送技術に関し、搬送する容器間距離の調整を行う間隔調整方法及び間隔調整装置を設けてある容器搬送設備、並びに、容器搬送設備の下流側に容器処理装置を設けてある容器搬送処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送ライン上で搬送される容器は、その搬送途中で例えばベルトコンベアから別のベルトコンベアへの乗り移り箇所、や、曲り搬送する箇所などにおいて、隣接して搬送される容器と容器との間の離間距離が変化することがあり、その容器間の離間距離が設定値以下になると、下流側の容器処理装置での処理に支障を来たす場合がある。
そこで、搬送する多数の容器間の距離を修正できるように、搬送ライン中に間隔調整装置を設けてある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−114365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の間隔調整装置では、コンベア上の搬送容器を、コンベアの搬送速度よりも遅いベルト間に挟持して走行させるベルト駆動機構を設け、そのベルト駆動機構から一定ピッチで容器をコンベア上に排出させることにより、容器間の搬送ピッチを一致させるように構成してある。
しかし、この間隔調整装置では、搬送されてきた容器が多数本、速度の遅いベルト駆動機構に一旦待機させて溜められる為に、多数本の容器を貯留するスペースが必要となり、容器搬送設備全体が大型に成る傾向にあるばかりか、ベルト駆動機構のベルト間に、進入する容器に、それに後続する容器からの押し圧がかかって、変形や傷をつけてしまうという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、設備全体を大型で高価なものにすることなく、搬送を行いながら、その搬送途中で隣接する容器間の間隔を調整できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の搬送ラインにおいて、搬送される多数の容器において通常は、容器間距離が設定値以下になる確率が少ないことに着目して、搬送される多数の容器の内、前後に隣接する容器との離間距離が設定値より少ない容器だけを調整すれば良いことを見出して次の構成を採用した。
【0007】
本発明の第1の特徴構成は、多数の容器を、搬送方向に夫々間隔を置いて搬送する搬送ラインにおいて、搬送中の容器で搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測し、搬送中の隣接する3本以上の容器を一組として、その一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値と同じ値以上で、且つ、複数の容器間距離のいずれかが設定値より小さい場合に、前記一組の容器群の両端の容器を除く中間の容器を相対的に変位させて、隣接する容器間の離間距離を設定値以上になるように調整すると共に、前記一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値よりも小さい場合に、前記一組の容器群の容器間距離の調整は行わないところにある。
【0008】
本発明の第1の特徴構成によれば、搬送中の容器で搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測し、搬送中の隣接する3本以上の容器を一組として、その一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値と同じ値以上で、且つ、複数の容器間距離のいずれかが設定値より小さい場合は、多数の容器を待機させることなく、一組の容器群の内の中間の容器の相対位置を変えるだけで、他の容器の搬送速度を変えなくとも隣接する容器間距離を設定値以上にできる。
これに対し、前記一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値よりも小さい場合に、前記一組の容器群の容器間距離の調整は行わないために、一組の容器群の中の中間の容器は、後の処理ができなくなる虞があるものの、その容器の処理のみを犠牲にするだけで、正常な間隔の容器の搬送の速度を変えずに、全体的に効率よく搬送ライン上を搬送させられる。
【0009】
本発明の第2の特徴構成は多数の容器を、搬送方向に夫々間隔を置いて搬送する搬送ラインにおいて、搬送中の容器で搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測する容器間距離計測装置を設け、前記容器間距離計測装置からの計測情報に基づいて、搬送中の隣接する3本以上の容器を一組として、その一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値と同じ値以上で、且つ、複数の容器間距離のいずれかが設定値より小さい場合に、前記一組の容器群の両端の容器を除く中間の容器を相対的に変位させて、隣接する容器間の離間距離を設定値以上になるように調整すると共に、前記一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値よりも小さい場合に、前記一組の容器群の容器間距離の調整は行わない間隔調整装置を設けてあるところにある。
【0010】
本発明の第2の特徴構成によれば、前記容器間距離計測装置と前記間隔調整装置を設けることで、前述の第1の特徴構成の方法により間隔調整装置が調整操作を行うことにより、正常な間隔の容器の搬送の速度を変えずに、全体的に効率よく搬送ライン上を搬送させられる。
従って、多数の容器を待機させることがないために、装置全体を大型で高価なものにすることなく、大部分の容器の搬送の効率を高く維持できる。
【0011】
本発明の第3の特徴構成は、前記間隔調整装置を搬送ライン上の複数箇所に設け、前記各間隔調整装置に対応して容器間距離計測装置を夫々設けてあるところにある。
【0012】
本発明の第3の特徴構成によれば、容器間距離計測装置を設けた間隔調整装置を、搬送ライン上の複数箇所に設けてあることにより、搬送される容器夫々の容器間距離の調整をより正確にできる。
【0013】
本発明の第4の特徴構成は、前記間隔調整装置は、対象とする容器の搬送速度の増減調整により容器間距離の調整を行うものであるところにある。
【0014】
本発明の第4の特徴構成によれば、間隔調整装置により対象とする容器の搬送速度を増減調整することにより、他の容器を通常通り搬送させながら、他の容器との間隔が調整され、容器の搬送効率を低下させることはない。
【0015】
本発明の第5の特徴構成における容器搬送処理設備は、前記容器搬送設備の下流側に容器処理装置を設け、前記容器処理装置と前記間隔調整装置との間に搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測する処理前容器間距離計測装置を設け、
前記処理前容器間距離計測装置による計測結果に基づいて、搬送される各容器の前後に隣接する容器夫々との離間距離が設定値以上の場合にのみ、その容器を前記容器処理装置で所定の処理を行わせる制御装置を設けてあるところにある。
【0016】
本発明の第5の特徴構成によれば、前記容器搬送設備により搬送される多数の容器の容器間距離を調整した後、前後に隣接する容器夫々との離間距離が設定値以下で容器間距離の調整が行われなかった容器については、容器処理装置に容器が搬送される前に、処理前容器間距離計測装置により検出され、所定の処理が行われない。
そのために、全体の容器の搬送効率を落とさずに、搬送不良の物以外は確実に処理を行うことができる。
【0017】
本発明の第6の特徴構成は、前記容器処理装置が容器の検査装置であるところにある。
【0018】
本発明の第6の特徴構成によれば、容器の検査において、所定間隔を置いて搬送される容器が安定して供給され、容器の検査精度を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】容器搬送処理設備の全体概略平面図である。
【図2】間隔調整装置の作用説明図である。
【図3】間隔調整装置の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2、図3に示すように、多数のPETボトルなどの容器1を、搬送方向に夫々間隔を置いてコンベアで搬送する搬送ライン2において、搬送中の容器1で搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測する容器間距離計測装置Sを設け、容器間距離計測装置Sからの計測情報に基づいて、搬送中の隣接する容器1の3本以上(1A,1B,1C)を一組として、その一組の容器群の容器間距離(A及びB)の合計(A+B)が、前記一組の容器群における容器間の数(この場合は2)に設定値Xを乗じた値と同じ値以上で、且つ、A又はBのいずれかが設定値Xより小さい場合に、前記一組の容器群の両端の容器1A,1Cを除く中間の容器1Bを相対的に変位させて、隣接する容器間の離間距離(A及びB)を設定値X以上になるように調整すると共に、前記一組の容器群の容器間距離(A及びB)の合計(A+B)が、前記一組の容器群における容器間の数(この場合は2)に設定値Xを乗じた値2Xよりも小さい場合(A+B<2X)に、前記一組の容器群の容器間距離の調整は行わない間隔調整装置4を設けて容器搬送設備5が構成される。
ここで、設定値Xとは、後述する容器処理装置6において各容器1の処理が可能となるに足る容器間距離をいう。この設定値Xは、容器処理装置6の仕様に応じて適宜設定される。
【0021】
容器搬送設備5の下流側にPETボトルに貼られたラベルの検査装置としての容器処理装置6を設け、容器処理装置6と間隔調整装置4との間に搬送方向に隣接する容器1間の離間距離を計測する処理前容器間距離計測装置7を設け、処理前容器間距離計測装置7による計測結果に基づいて、搬送される各容器1の前後に隣接する容器1夫々との離間距離が設定値X以上の場合にのみ、その容器1を容器処理装置6で検査を行わせる制御装置8を設けて容器搬送処理設備9を構成してある。
【0022】
尚、一組の容器群の容器間距離(A及びB)の合計(A+B)が、前記一組の容器群における容器間の数(この場合は2)に設定値Xを乗じた値と同じ値以上で、且つ、AとBが共に設定値Xより大であっても、互いに異なった値の場合に、AとBを同等になるように、容器1Bを相対的に変位させてもよいが、容器間距離の調整は、行わなくても良い。
【0023】
前記容器間距離計測装置Sと間隔調整装置4との間の距離は、正規のボトル3本分の間隔よりも長くしてあり、3本で一組の容器群の先頭容器1Aが、間隔調整装置4に進入する前に、各計測が完了している必要がある。
前記間隔調整装置4を搬送ライン2上の2箇所に設け(第1間隔調整装置4Aと第2間隔調整装置4B)、前記各間隔調整装置4A、4Bに対応して容器間距離計測装置Sを夫々設けてある。
【0024】
前記間隔調整装置4は、コンベアによる搬送ライン2上で、ボトルを左右両側から挟持する一対の無端ベルト10を設け、その一対の無端ベルト10を駆動回転操作する駆動制御装置11を設け、容器間距離計測装置Sからの計測情報に基づいて、調整対象のボトルを挟持しながらコンベアの速度よりも加速したり、減速したりできるように構成してある。
つまり、図2に示すように、搬送方向に第1容器1Aと第2容器1Bと第3容器1Cとの3本の各容器間距離(第1間隔Aと第2間隔B)の合計(A+B)が、一組の容器群における容器間の数2に設定値Xを乗じた値(2X)と同じ値以上の場合で、しかも、第2間隔Bが設定値(X)よりも小さいと、第2容器1Bを増速させてA≒Bにする。
また、図3に示すように、搬送方向に第1容器1Aと第2容器1Bと第3容器1Cとの3本の各容器間距離(第1間隔Aと第2間隔B)の合計(A+B)が、一組の容器群における容器間の数2に設定値Xを乗じた値(2X)と同じ値以上の場合で、第1間隔Aが設定値(X)より小さいと、第2容器を減速してA≒Bにする。
なお、一対の無端ベルト10は、容器1の形状に応じて、その形、配置位置が適宜設計され、例えば、横断面が異型の容器1に対しては、この一対の無端ベルト10の幅を比較的小さくしたり、容器1の重心に対応する位置に配置する。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0025】
〈1〉 本発明の容器搬送設備5においては、容器1に該当する物は、PETボトルの他に、ガラス瓶や飲料缶、その他それらのボトルや缶を収容するダンボールなどの箱であってもよい。
〈2〉 前記容器処理装置6として、ラベル検査装置の他に、検査後の排斥処理装置、箱などの重量計測装置、ボトルの水滴吹き飛ばし装置等、搬送される多数の容器間の離間距離が所定距離以下の場合に、処理に支障を来たすものならば、各種の処理装置への搬送ライン2に採用できるものである。つまり、前記排斥処理装置へのボトルの搬送供給時には、容器間の間隔が少なすぎると正確な排斥処理ができず、また、前記水滴吹き飛ばし装置においては、ボトル間の離間距離が設定以上なければ、吹き飛ばしたボトル表面の水滴が、隣接するボトルの表面に付着する虞があり、また、前記重量計測装置においては、隣接する箱が、設定以上の間隔を設けずに搬送されてくると、誤計測の危険性が発生する。
〈3〉 前記容器間距離計測装置Sによる計測で、3本の容器1を一つの容器群として扱う以外に、3本以上の容器1、例えば5本の容器1を一つの容器群と見なして計測して調整操作の判断材料にしても良い。
〈4〉 前記間隔調整装置4を、搬送ライン2上の2箇所以外に、3箇所以上設けてあっても良い。
【0026】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 容器
4 間隔調整装置
6 容器処理装置
7 処理前容器間距離計測装置
8 制御装置
S 容器間距離計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の容器を、搬送方向に夫々間隔を置いて搬送する搬送ラインにおいて、
搬送中の容器で搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測し、
搬送中の隣接する3本以上の容器を一組として、その一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値と同じ値以上で、且つ、複数の容器間距離のいずれかが設定値より小さい場合に、前記一組の容器群の両端の容器を除く中間の容器を相対的に変位させて、隣接する容器間の離間距離を設定値以上になるように調整すると共に、前記一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値よりも小さい場合に、前記一組の容器群の容器間距離の調整は行わない搬送容器の間隔調整方法。
【請求項2】
多数の容器を、搬送方向に夫々間隔を置いて搬送する搬送ラインにおいて、
搬送中の容器で搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測する容器間距離計測装置を設け、
前記容器間距離計測装置からの計測情報に基づいて、搬送中の隣接する3本以上の容器を一組として、その一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値と同じ値以上で、且つ、複数の容器間距離のいずれかが設定値より小さい場合に、前記一組の容器群の両端の容器を除く中間の容器を相対的に変位させて、隣接する容器間の離間距離を設定値以上になるように調整すると共に、前記一組の容器群の容器間距離の合計が、前記一組の容器群における容器間の数に設定値を乗じた値よりも小さい場合に、前記一組の容器群の容器間距離の調整は行わない間隔調整装置を設けてある容器搬送設備。
【請求項3】
前記間隔調整装置を搬送ライン上の複数箇所に設け、前記各間隔調整装置に対応して容器間距離計測装置を夫々設けてある請求項2に記載の容器搬送設備。
【請求項4】
前記間隔調整装置は、対象とする容器の搬送速度の調整により容器間距離の増減調整を行うものである請求項2又は3に記載の容器搬送設備。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の容器搬送設備の下流側に容器処理装置を設け、
前記容器処理装置と前記間隔調整装置との間に搬送方向に隣接する容器間の離間距離を計測する処理前容器間距離計測装置を設け、
前記処理前容器間距離計測装置による計測結果に基づいて、搬送される各容器の前後に隣接する容器夫々との離間距離が設定値以上の場合にのみ、その容器を前記容器処理装置で所定の処理を行わせる制御装置を設けてある容器搬送処理設備。
【請求項6】
前記容器処理装置が容器の検査装置である請求項5に記載の容器搬送処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−148631(P2011−148631A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13250(P2010−13250)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】