説明

搬送物のトレーサビリティシステム及び連繋回転式搬送設備並びにその運転方法

【課題】簡単なシステムにより搬送履歴情報を搬送物毎に管理できるようにする。
【解決手段】周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置9を複数並べて、搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備10を構成し、連繋回転式搬送設備10による搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置11を設け、印字装置11により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の回転式搬送装置9の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理手段12を設け、情報連繋処理手段12からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶手段13を設け、搬送物の個別記号を基に記憶手段13から連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段14を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置を複数並べて、隣接する前記回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備を構成し、その連繋回転式搬送設備から搬送される搬送物に対し適用される搬送物のトレーサビリティシステム及び連繋回転式搬送設備並びにその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送物のトレーサビリィティシステムでは、連繋回転式搬送設備から出てコンベアにより搬送される搬送物の搬送途中に、搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設けてあった。この場合、搬送物の製造年月日等の大まかな情報ぐらいしか記録することができず、搬送物の搬送途中で、例えば、どの回転式搬送装置のどの搬送物保持手段に保持されて処理されたか等の搬送履歴の追跡を行うのは困難であった。
また、連繋回転式搬送設備から出てコンベアにより搬送される搬送物の搬送途中に、搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設け、回転式搬送装置の搬送物保持手段を検出してその保持手段の番号を印字装置で搬送物に印字するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−230532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このシステムにおいても、回転式搬送装置から出た搬送物が、コンベアで搬送される途中で不良品として抜き取られたり、搬送トラブルがあって搬送物の一部が抜き取られる場合には、その搬送順番が狂って正しくない印字情報が搬送物に付けられてしまい、後に搬送履歴の追跡を行うのは困難であった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、簡単なシステムにより搬送履歴情報を搬送物毎に管理できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の搬送物のトレーサビリティシステムの特徴構成は、周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置を複数並べて、隣接する前記回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備を構成し、その連繋回転式搬送設備から搬送される搬送物に対し適用される搬送物のトレーサビリティシステムであって、前記連繋回転式搬送設備による搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設け、前記印字装置により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理手段を設け、前記情報連繋処理手段からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶手段を設けてあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、回転式搬送装置を複数並べて、隣接する回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備では、各回転式搬送装置に設けた複数の搬送物保持手段間の搬送物の受渡し連繋関係は決まっており、その上、連繋回転式搬送設備による搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設けることにより、印字装置により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を、情報連繋処理手段により簡単に繋げられる。
また、連繋回転式搬送設備による搬送途中に印字装置を設けることにより、例え、搬送装置の複数の搬送物保持手段の内、搬送物の保持が良好にできなかったり、不良品ができて取り除いた場合などでも、複数の搬送装置間で空の状態の搬送物保持手段同士の連繋搬送になり、その連繋搬送の関係を乱すことはない。
そして、情報連繋処理手段からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶手段を設けてあることにより、連繋履歴情報のデータベースは整然としたものとなる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記印字装置により付けられた搬送物の個別記号を基に前記記憶手段から前記連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段を設けてあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、搬送物の個別記号を基に前記記憶手段から前記連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段を設けてあることにより、搬送物の流通後であっても、混乱することなく個別情報アウトプット手段により必要な時に搬送物夫々の搬送履歴情報を取り出すことができる。
そのために搬送物の流通後に、その搬送物に何らかの不備な点が発見されたとしても、そこに印字された個別記号を基に、その個別記号に繋がった履歴情報を個別情報アウトプット手段によって記憶手段から引き出せば、連繋回転式搬送設備における回転式搬送装置での処理装置の不備な原因を追究調査できる。
従って、連繋回転式搬送設備の保全管理を確実にできて、搬送物の品質管理を良好にできるようになった。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記搬送物が飲料ボトルを製造するための樹脂製容器であって、前記連繋回転式搬送設備が、樹脂製容器のプリフォームをブロー成型するブロー成型装置、ブロー成型された樹脂製容器の各種検査を行なう成形ボトル検査装置、前記樹脂製容器を殺菌し洗浄する殺菌洗浄装置、前記樹脂製容器に飲料を充填する充填装置、飲料を充填された前記樹脂製容器の口にキャップを取り付けるキャップ巻締装置を夫々形成する前記回転式搬送装置であるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば。連繋回転式搬送設備が樹脂製容器を成型するブロー成型装置や成形ボトル検査装置、殺菌洗浄装置、飲料を充填する充填装置、キャップ巻締装置、などが回転式搬送装置で形成されて連繋搬送されるために、例え搬送途中で処理不良などのトラブルがあって、搬送中の一部の樹脂製容器を取り除いたとしても、各搬送装置による連繋関係は決まっているために、容器の成型から内容物充填密封までの搬送管理は簡単にできる。
【0012】
本発明の第4の連繋回転式搬送設備の特徴構成は、周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置を複数並べて、隣接する前記回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備において、前記回転式搬送装置同士で連繋搬送する搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設け、前記印字装置により付けられた各搬送物の個別記号を読み取る記号読取手段と、前記搬送物保持手段における情報を記憶する第1記憶手段を設け、前記印字装置により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理手段を設け、前記情報連繋処理手段からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する第2記憶手段を設けてあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、回転式搬送装置を複数並べて、隣接する回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送するために、各回転式搬送装置に設けた複数の搬送物保持手段間の搬送物の受渡し連繋関係は決まっており、その上、前記回転式搬送装置同士で連繋搬送する搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設け、前記印字装置により付けられた各搬送物の個別記号を読み取る記号読取手段と、前記搬送物保持手段における情報を記憶する第1記憶手段を設け、前記印字装置により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理手段を設けてあることにより、印字装置により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を、記号読取手段と第1記憶手段とからの情報に基づいて情報連繋処理手段により簡単に繋げられる。
また、回転式搬送装置同士による搬送途中に印字装置を設けることにより、例え、搬送装置の複数の搬送物保持手段の内、搬送物の保持が良好にできなかったり、不良品ができて取り除いた場合などでも、複数の搬送装置間で空の状態の搬送物保持手段同士の連繋搬送になり、その連繋搬送の関係を乱すことはない。
そして、情報連繋処理手段からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する第2記憶手段を設けてあることにより、連繋履歴情報のデータベースは整然としたものとなる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記印字装置により付けられた搬送物の個別記号を基に前記第2記憶手段から前記連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段を設けてあるところにある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、搬送物の個別記号を基に前記第2記憶手段から前記連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段を設けてあることにより、搬送物の流通後であっても、混乱することなく個別情報アウトプット手段により必要な時に搬送物夫々の搬送履歴情報を取り出すことができる。
そのために搬送物の流通後に、その搬送物に何らかの不備な点が発見されたとしても、そこに印字された個別記号を基に、その個別記号に繋がった履歴情報を個別情報アウトプット手段によって第2記憶手段から引き出せば、回転式搬送装置での処理装置の不備な原因を追究調査できる。
従って、連繋回転式搬送設備の保全管理を確実にできて、搬送物の品質管理を良好にできるようになった。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、前記搬送物が飲料ボトルを製造するための樹脂製容器であって、複数の前記回転式搬送装置が、樹脂製容器のプリフォームをブロー成型するブロー成型装置、ブロー成型された樹脂製容器の各種検査を行なう成形ボトル検査装置、前記樹脂製容器を殺菌し洗浄する殺菌洗浄装置、前記樹脂製容器に飲料を充填する充填装置、飲料を充填された前記樹脂製容器の口にキャップを取り付けるキャップ巻締装置のいずれかを形成するものであるところにある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、複数の前記回転式搬送装置が、樹脂製容器を成型するブロー成型装置や成形ボトル検査装置、殺菌洗浄装置、飲料を充填する充填装置、キャップ巻締装置、などのいずれかから形成される回転式搬送装置において、例え搬送途中で処理不良などのトラブルがあって、搬送中の一部の樹脂製容器を取り除いたとしても、各搬送装置による連繋関係は決まっているために、容器の成型から内容物充填密封までの搬送管理は簡単にできる。
【0018】
本発明の第7の連繋回転式搬送設備の運転方法の特徴構成は、周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置を複数並べて、隣接する前記回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備の運転方法であって、前記連繋回転式搬送設備による搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字工程と、前記印字工程により付けられた各搬送物の個別記号を読み取る読取工程と、前記搬送保持手段夫々の情報を取得する情報取得工程と、前記印字工程により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理工程と、前記情報連繋処理工程からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶工程とを有するところにある。
【0019】
本発明の第7の特徴構成によれば、回転式搬送装置を複数並べて、隣接する回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備では、各回転式搬送装置に設けた複数の搬送物保持手段間の搬送物の受渡し連繋関係は決まっており、連繋回転式搬送設備による搬送途中で搬送物夫々に印字工程により個別記号を付け、印字工程により付けられた各搬送物の個別記号を読取工程で読み取り、搬送保持手段夫々の情報を情報取得工程で取得することで、個別記号が付けられた各搬送物と搬送物保持手段夫々との情報を情報連繋処理工程により簡単に繋げられる。
そして、情報連繋処理工程からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶工程を設けてあることにより、連繋履歴情報のデータベースは整然としたものにできる。
【0020】
本発明の第8の特徴構成は、前記印字工程により付けられた搬送物の個別記号を基に前記記憶工程により保存された前記連繋履歴情報を引き出す個別情報アウトプット工程を有するところにある。
【0021】
本発明の第8の特徴構成によれば、搬送物の個別記号を基に前記記憶工程から前記連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット工程を設けてあることにより、搬送物の流通後であっても、混乱することなく個別情報アウトプット工程により必要な時に搬送物夫々の搬送履歴情報を取り出すことができる。
そのために搬送物の流通後に、その搬送物に何らかの不備な点が発見されたとしても、そこに印字された個別記号を基に、記憶工程でデーベース化されて保存された連繋履歴情報を、個別情報アウトプット工程によって引き出せば、連繋回転式搬送設備における回転式搬送装置での処理装置の不備な原因を追究調査できる。
従って、連繋回転式搬送設備の保全管理を確実にできて、搬送物の品質管理を良好にできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】連繋回転式搬送設備の全体概略図である。
【図2】記憶手段におけるデータベース例の図表である。
【図3】成型ボトル検査装置からの操作画面表示例の図表である。
【図4】別実施形態の搬送設備の全体概略図である。
【図5】別実施形態の搬送設備の全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明はポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル製のボトル(以下樹脂製容器1と称する)に充填される飲料の製造設備で、第1コンベア2で搬送されてきた樹脂製容器1のプリフォーム(PFM)材料をブロー成型するブロー成型装置3、ブロー成型された樹脂製容器1の各種検査を、カメラ等を用いて行なう成形ボトル検査装置4を設け、樹脂製容器1を殺菌する殺菌用ノズルと、樹脂製容器1を洗浄する洗浄用ノズル(リンサー)とを設けた第1と第2の殺菌洗浄装置5A、5Bを設け、樹脂製容器1に飲料を充填する充填装置6、飲料を充填された樹脂製容器1の口にキャップを取り付けて第2コンベア7へ受け渡すキャップ巻締装置8(キャッパー)を設け、それらの全てを、周部に複数の搬送物保持ポケットやグリッパー等の搬送物保持手段を設けた複数のスターホイール形式の回転式搬送装置9に組み込んである。
それら複数の回転式搬送装置9を、順番に並べて隣接する物同士を互いに受渡し連繋搬送するように構成して連繋回転式搬送設備10を構成してある。
【0024】
連繋回転式搬送設備10による搬送途中で、成形ボトル検査装置4と第1殺菌洗浄装置5Aとの間に、樹脂製容器1からなる搬送物夫々にレーザーで印字時刻、ライン番号、製造No.等の個別記号を付ける印字装置11を設けてある。
つまり、印字装置11を設ける位置として、例えば、ブロー成型装置の手前で印字する場合は、通常、プリフォーム(PFM)のシュートで自然落下を用いるために、プリフォーム(PFM)の搬送に揺れが発生し、綺麗に印字するのが困難であり、また、ブロー成型装置の中では、ヒーターや金型の高い温度の影響を受けるために、印字装置11を設けるのが困難である。更には、第1、第2殺菌洗浄装置5A、5Bからキャップ巻締装置8までの間に、印字装置11を設ける場合は、薬剤や水分の多い環境であるために適切ではない。結局、成形ボトル検査装置4の近傍に印字装置11を設けるのが好ましい。
【0025】
前記印字装置11により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の回転式搬送装置9の搬送物保持手段夫々の情報とを繋げる情報連繋処理手段12を設け、情報連繋処理手段12からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶手段13を設け、搬送物の個別記号を基に記憶手段13から連係履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段14を設けて搬送物のトレーサビリティシステムを構成してある。
【0026】
回転式搬送装置9の搬送物保持手段には、記憶する情報として、個別の番号が付与される。
例えば、ブロー成型装置3においては、ヒーター内でプリフォーム(PFM)を把持するマンドレルの番号、搬送物を把持する全グリッパーの番号、ブローステーションの番号が付与される。その他に、プリフォーム(PFM)胴部温度、プリフォーム口部温度、成形1次エア圧力、成形2次エア圧力、が情報として記憶される。
【0027】
その他、搬送装置に設けられる装置として、成形ボトル検査装置4では、搬送物保持手段における検査機グリッパーの番号が付与されると共に、複数の空瓶検査項目が記憶され、殺菌洗浄装置5、充填装置6、キャップ巻締装置8においては、殺菌用ノズル番号(No.)、洗浄用ノズル番号、充填用ノズル番号、充填量(ロードセル測定値、又は、流量計測値)、巻締装置ヘッド番号、巻締トルク等、各種情報が図2に示されるように、データベース化されて記憶手段13に記憶される。
【0028】
前記連繋回転式搬送設備10で搬送される途中で抜き取られ発見された不良品や、ボトル成形後に出荷された飲料入りボトルの内で返却された現物から、ボトル成形過程でのボトル不良品の発生原因を特定して、設備を修正するために、個別情報アウトプット手段14を使って、記憶手段13から引き出される連繋履歴情報を基に、次の例のように、原因を追究することができる。
【0029】
例1. 図3の図表に示すように、工程の抜き取り検査でボトルに傷などが見つかった場合(特に図では、空瓶検査項目(2)でグリッパーNo.12における不良数が、13と大きい。つまり、データベースからグリッパーの通過データを参照することにより、異常を特定することができる。
例2. ボトルの形状、肉厚に異常が見つかった場合、ブロー成型装置3における条件であるヒーターで加熱後にブロー成型される直前のプリフォーム(PFM)の温度や、ブロー成型に使った高圧エアの圧力をデータベースから参照することが可能である。
例3. 殺菌、充填不足、またはキャップ巻き締め状態の不良が発見された場合も、各設備のどのノズルで、どのヘッドに異常が出始めているかを特定、発見することが可能である。
【0030】
また、連続運転されている最中においては、成形ボトル検査装置4の検査結果とブロー成型装置3のデータは、連続的に自動照合、監視されている。それにより、例えば、同じブロー金型で毎周期に連続して不良が発生した場合は、警報を発報または自動的に停止させ、金型の異常を自動的に検知することが可能である。
また、各ヘッド毎の検査結果の不良品発生傾向は、検査装置操作画面に表示され、オペレータは、それを見ながら機械の各部品の劣化状況を把握することができる。
【0031】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0032】
〈1〉 前記連繋回転式搬送設備10において搬送される搬送物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)以外のポリエステルの樹脂製容器1や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの他の樹脂製容器1であってもよく、また、樹脂製容器1に限らず、例えば金属容器等の他の搬送物であっても良い。
〈2〉 前記回転式搬送装置9は、スターホイール形式の搬送装置以外に、回転軸の周部に搬送物保持手段としての複数のグリパーのみを設けた搬送装置であってもよい。
〈3〉 前記連繋回転式搬送設備10には、その一部に殺菌洗浄装置を設けた例を示したが、殺菌洗浄装置を設けない場合があっても良い。また、殺菌洗浄装置の代わりに、殺菌装置のみを設けたり、洗浄装置のみを設ける場合があっても良い。
〈4〉 連繋回転式搬送設備10は、一組に限らず複数組設け、それらの複数組の連繋回転式搬送設備10同士をベルトコンベア16などの搬送装置を介して連繋接続した設備であってもよく、この場合には、図4に示すように、各連繋回転式搬送設備10の一部の回転式搬送装置9に印字装置11を設けて、搬送物に複数の印字装置11による印字が、全て付けられることになる。また、図5に示すように、最初の連繋回転式搬送設備10にのみ印字装置11を設け、他の連繋回転式搬送設備10には、前記印字装置11により搬送物に付けられた個別記号を読み取る記号読み取り装置15を設け、その記号読み取り装置15により読み取られた搬送物個別記号に関連する上流側の搬送履歴情報と、記号読み取り装置15の設けられた連繋回転式搬送設備10における回転式搬送装置9の搬送物保持手段情報を繋げて前記記憶手段13に保存する情報連繋処理手段12を設けてあっても良い。
【0033】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 樹脂製容器
3 ブロー成型装置
4 成形ボトル検査装置
5 殺菌洗浄装置
6 充填装置
8 キャップ巻締装置
9 回転式搬送装置
10 連繋回転式搬送設備
11 印字装置
12 情報連繋処理手段
13 記憶手段
14 個別情報アウトプット手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置を複数並べて、隣接する前記回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備を構成し、
その連繋回転式搬送設備から搬送される搬送物に対し適用される搬送物のトレーサビリティシステムであって、
前記連繋回転式搬送設備による搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設け、
前記印字装置により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理手段を設け、
前記情報連繋処理手段からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶手段を設けてある搬送物のトレーサビリティシステム。
【請求項2】
前記印字装置により付けられた搬送物の個別記号を基に前記記憶手段から前記連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段を設けてある請求項1に記載の搬送物のトレーサビリティシステム。
【請求項3】
前記搬送物が飲料ボトルを製造するための樹脂製容器であって、前記連繋回転式搬送設備が、樹脂製容器のプリフォームをブロー成型するブロー成型装置、ブロー成型された樹脂製容器の各種検査を行なう成形ボトル検査装置、前記樹脂製容器を殺菌し洗浄する殺菌洗浄装置、前記樹脂製容器に飲料を充填する充填装置、飲料を充填された前記樹脂製容器の口にキャップを取り付けるキャップ巻締装置を夫々形成する前記回転式搬送装置である請求項1または2に記載の搬送物のトレーサビリティシステム。
【請求項4】
周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置を複数並べて、隣接する前記回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備において、
前記回転式搬送装置同士で連繋搬送する搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字装置を設け、
前記印字装置により付けられた各搬送物の個別記号を読み取る記号読取手段と、前記搬送物保持手段における情報を記憶する第1記憶手段を設け、
前記印字装置により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理手段を設け、
前記情報連繋処理手段からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する第2記憶手段を設けてある連繋回転式搬送設備。
【請求項5】
前記印字装置により付けられた搬送物の個別記号を基に前記第2記憶手段から前記連繋履歴情報を引き出し可能な個別情報アウトプット手段を設けてある請求項4に記載の連繋回転式搬送設備。
【請求項6】
前記搬送物が飲料ボトルを製造するための樹脂製容器であって、複数の前記回転式搬送装置が、樹脂製容器のプリフォームをブロー成型するブロー成型装置、ブロー成型された樹脂製容器の各種検査を行なう成形ボトル検査装置、前記樹脂製容器を殺菌し洗浄する殺菌洗浄装置、前記樹脂製容器に飲料を充填する充填装置、飲料を充填された前記樹脂製容器の口にキャップを取り付けるキャップ巻締装置のいずれかを形成するものである請求項4または5に記載の連繋回転式搬送設備。
【請求項7】
周部に複数の搬送物保持手段を設けた回転式搬送装置を複数並べて、隣接する前記回転式搬送装置同士で搬送物を互いに受渡し連繋搬送する連繋回転式搬送設備の運転方法であって、
前記連繋回転式搬送設備による搬送途中で搬送物夫々に個別記号を付ける印字工程と、
前記印字工程により付けられた各搬送物の個別記号を読み取る読取工程と、
前記搬送保持手段夫々の情報を取得する情報取得工程と、
前記印字工程により個別記号が付けられた各搬送物と、その搬送物を受け取った複数の前記回転式搬送装置の搬送物保持手段夫々の情報を繋げる情報連繋処理工程と、
前記情報連繋処理工程からの連繋履歴情報をデータベース化して保存する記憶工程とを有する連繋回転式搬送設備の運転方法。
【請求項8】
前記印字工程により付けられた搬送物の個別記号を基に前記記憶工程により保存された前記連繋履歴情報を引き出す個別情報アウトプット工程を有する請求項7に記載の連繋回転式搬送設備の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−75712(P2013−75712A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217708(P2011−217708)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】