説明

搬送物分離機構及びこれを備えた搬送装置

【課題】搬送物を従来よりも確実かつ均一に分離することのできる搬送物分離機構及びこれを用いた搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送物分離機構10は、搬送物Wの導入口9a及び導出口8dを備えた通気管路9、8c、8dと、容器内部に導出口8dが開口するとともに、導出口8dに対向し外部に対して通気性を備えた分離用網体7b及び搬送物Wが排出される排出口7eを有し、導出口8dから導出された搬送物Wを一時的に収容して排出口7eから排出する搬送物収容器7と、通気管路に導入口9aから導出口8dへ向かう気流を生じさせることにより、搬送物Wを導入口9aから導入し導出口8dから導出した後に分離用網体7bに衝突させる気流発生手段8、8aと、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送物分離機構及びこれを備えた搬送装置に係り、特に、電子部品を搬送する場合に好適な、搬送物同士を互いに分離する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品等の搬送物を各種の処理装置や検査装置等に供給するためにパーツフィーダ(振動式搬送装置)が用いられている。このパーツフィーダは、スパイラル状のトラックを備えたボウル状の搬送体を有するボウルフィーダや直線状のトラックを備えたリニアフィーダ等を有し、ランダムに集合した多数の搬送物を搬送路(トラック)に沿って搬送しながら、最終的に搬送物を一列に整列させて供給する。
【0003】
上述のように多数の搬送物を搬送していく際に、搬送物の少なくとも一部が粘着性を有していたり搬送物が静電気を帯びていたりすると、搬送物同士が貼り付いて塊になることによって効率的に整列状態に移行させることができない場合がある。このような場合には、例えば、以下の特許文献1に記載されているように、搬送路の底面(搬送面)に空気噴出口20を形成するとともに、この空気噴出口20の上方に網体16を備えた搬送物受け15を設置してなるワーク分離機構1を設けることがある。このワーク分離機構1を設けることにより、上記空気噴出口20から圧縮空気を噴出させることでワークWが上方へ吹き上げられ、網体16に衝突したり落下したりしたときの衝撃でワークWが分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4024809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のワーク分離機構1を備えたパーツフィーダにおいては、多数のワークWが密集した状態で上記空気噴出口20上に到達したときに空気噴出口20から噴出する空気により通過するワークWの一部が上方へ吹き上げられず、ワークWに充分な分離処理が施されなかったり、一部のワークWがそのまま処理されずに通過したりする場合がある。すなわち、空気噴出口20の開口位置に対するワークWの相対的位置関係やワークの姿勢などによってワークWの飛散強度や飛散方向がばらつくため、全てのワークに均質な分離処理を施すことが難しい。また、この分離処理の不足を解消するためにエア量やエア圧を過大に設定すると、ワークWが網体16に衝突したりその反発力によりトラック上に落下したりする際に大きな衝撃を受けて損傷を受けることがある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、搬送物を従来よりも確実かつ均一に分離することのできる搬送物分離機構及びこれを用いた搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる実情に鑑み、本発明の搬送物分離機構は、搬送物の導入口及び導出口を備えた通気管路と、容器内部に前記導出口が開口するとともに、前記導出口に対向し外部に対して通気性を備えた分離用網体及び前記搬送物が排出される排出口を有し、前記導出口から導出された前記搬送物を一時的に収容して前記排出口から排出する搬送物収容器と、前記通気管路に前記導入口から前記導出口へ向かう気流を生じさせることにより、前記搬送物を前記導入口から導入し前記導出口から導出した後に前記分離用網体に衝突させる気流発生手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、気流発生手段により生じた気流により搬送物が通気管路の導入口から導入され内部を通過して導出口から導出されて分離用網体に衝突するため、複数の搬送物が粘着性や静電気等により結合していても、搬送物は気流に乗って通気管路の内部を通過する過程で受ける衝撃や導出口に対向する分離用網体に衝突することで受ける衝撃により相互に分離され、最終的に搬送体収容器の排出口から排出される。したがって、通気管路を通して搬送物を網体に衝突させることで、通気管路の内部に導入された全ての搬送物に分離処理を施すことができるとともに、通気管路内を気流に乗って通過する際や網体へ衝突する際に衝撃を充分に与えることができるので、搬送物を従来よりも確実かつ均一に分離することができる。特に、搬送物は通気管路の内部から分離用網体へ向けて気流により導出されるので、従来のようにワークを気流により吹き上げた際に飛散距離や飛散方向がばらついて網体への衝突態様が不均一になることがないから、分離用網体に確実かつ均一に衝突させることができる。
【0009】
本発明において、前記気流発生手段は、前記通気管路の中途位置から前記導出口へ向けて気流を吹き込むことにより前記導出口からの前記搬送物の導出力を得るとともに前記導入口への前記搬送物の吸引力を生じさせる気流インジェクタ構造を有することが好ましい。これによれば、搬送物を上記中途位置から導出口へ向けて確実に気流に乗せて送り出すことができるとともに、中途位置から吹き込まれた気流によって通気管路の上流側に生ずる負圧により導入口への吸引力を生じさせることが可能になる。したがって、導入口への吸引力で周囲への影響を回避しつつ搬送物を通気管路の内部に吸い込むことができ、また、吸い込んだ搬送物を飛散させずに気流に乗せて搬送してから網体へ衝突させて分離処理を施すことができるので、従来方法のように空気噴出口の開口位置と搬送物の相対的位置関係や搬送物の姿勢により飛散距離や飛散方向がばらついて網体への衝突態様が不均一になることを防止でき、より確実かつ均一な分離処理を行うことができる。また、簡易な構造によって通気管路全体に必要な気流を生じさせることができる。
【0010】
本発明において、前記気流インジェクタ構造の上流側に前記通気管路の一部を構成する導入管をさらに有し、前記導入管の先端に前記導入口が設けられることが好ましい。これによれば、通気管路の上流側部分を導入管で構成することで、搬送体自体に穿孔部分を設ける必要がなくなるなど搬送体の形状や構造などに制約を受けにくくなるため、導入口の位置を比較的自由に設定したり変更したりすることが可能になる。この場合に、前記導入口は前記搬送物の搬送面と非接触の状態で搬送路上に開口することが望ましい。これによれば、搬送体の形状や構造に制約を全く受けずに導入口の位置を設定したり変更したりすることができ、搬送体に対して搬送物分離機構を後付けすることも容易になる。
【0011】
本発明において、前記通気管路の少なくとも一部は誘電体からなる管材で構成され、該管材の外面には電気的に接地された導電材が接触していることが好ましい。一般に通気管路の少なくとも一部を管材(例えば、上記導入管)で構成する場合であって当該管材を誘電体で構成するときには、通気管路と搬送物の摩擦により通気管路と搬送物が共に帯電するとともに、搬送物が通気管路の内面に静電力により吸着されやすくなることで搬送物の搬送が阻害される虞がある。しかしながら、上記のように管材の外面に電気的に接地された導電材を接触させることで、管材の管壁に帯電する静電気を低減することができるため、搬送物の搬送が阻害されにくくなるように構成できる。この場合に、前記導電材は、前記管材の外面上において管路方向に沿って螺旋状に巻回されることが望ましい。これによれば、管路方向の広い範囲にわたって管材の外面に導電材を接触させることが可能であるため、電気的な接地効果を高めることができるとともに、導電材の一部を電気的に接地することで足りるため、簡易に構成できる。
【0012】
本発明において、前記搬送物収容器は、前記分離用網体が設置された側部と、前記排出口が形成された底部とを有することが好ましい。これによれば、側部に分離用網体が設置されるとともに底部に排出口が設けられることで、導出口から導出された搬送物が分離用網体に衝突した後に底部へ向けて落下するので、重力により搬送物をスムーズに排出することができる。
【0013】
この場合に、前記底部は前記排出口に向けて下方へ傾斜する傾斜案内面を有することが好ましい。これによれば、分離用網体に衝突した後に底部へ向けて落下した搬送物が傾斜案内面によって排出口に向けて案内されるので、搬送物を排出口からさらにスムーズに排出することが可能になる。
【0014】
また、前記底部には外部に対して通気性を備えた底部網体が設けられることが好ましい。これによれば、導出口から放出される気流が底部網体から外部へ流出可能になることで気流が排出口に集中しにくくなることから、気流により搬送物が排出口から過剰な速度で排出されるといったことを回避でき、排出された搬送物の飛散による搬送効率の低下を防止できる。
【0015】
さらに、前記搬送物収容器の上部には外部に対して通気性を備えた上部網体が設けられることが好ましい。これによれば、導出口から放出された気流が上部網体を通して上方へ流出可能となることで底部へ向かう気流を低減できるため、気流により搬送物が排出口から過剰な速度で排出されるといったことを回避でき、排出された搬送物の飛散による搬送効率の低下を防止できる。
【0016】
一般的には、搬送物収容器の側部に分離用網体が設置されるとともに底部に排出口が形成された搬送物収容器において、その上部と下部の少なくともいずれか一方に、外部に対して通気性を有する網体が設置されることが好ましい。これによれば、排出口へ気流が集中することを防止できるので、上述と同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
本発明において、前記搬送物収容器には、前記分離用網体と前記排出口との間に介在し、前記搬送物が前記分離用網体から前記排出口へ直接に向かうことを妨げる規制板を設けることが好ましい。これによれば、搬送物が分離用網体に衝突した後に直接に排出口から飛び出ることを回避できるため、排出された搬出物の飛散による搬送効率の低下を防止できる。
【0018】
次に、本発明の搬送装置は、搬送物が搬送される搬送路を備えた搬送体と、前記搬送路の第1の搬送位置に向けて開口する導入口及び前記導出口を備えた通気管路と、前記導出口に対向し外部に対して通気性を備えた分離用網体及び前記搬送物が排出され前記第1の搬送位置よりも下流側の第2の搬送位置に開口する排出口を有し、前記導出口から導出された前記搬送物を一時的に収容して前記排出口から排出する搬送物収容器と、前記通気管路に前記導入口から前記導出口へ向かう気流を生じさせることにより、前記搬送物を前記導入口から導入し前記導出口から導出した後に前記分離用網体に衝突させる気流発生手段と、を具備することを特徴とする。
【0019】
本発明において、前記気流発生手段は、前記通気管路の中途位置から前記導出口へ向けて気流を吹き込むことにより前記導出口からの前記搬送物の導出力を得るとともに前記導入口への前記搬送物の吸引力を生じさせる気流インジェクタ構造を有することが好ましい。また、前記気流インジェクタ構造の上流側に前記通気管路の一部を構成する導入管をさらに有し、前記導入管の先端に前記導入口が設けられることが好ましい。この場合に、前記導入口は前記搬送物の搬送面と非接触の状態で該搬送面上に開口することが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、搬送物を通気管路内に取り込んでから網体に衝突させるといった分離処理を施すことにより、搬送物を従来よりも確実かつ均一に分離することのできるという優れた効果を奏し得る。特に、搬送物を吸い込むことで通気経路内に導入することにより、さらに確実かつ均一に処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る搬送装置の実施形態の全体構成を示す概略平面図(a)及び概略側面図(b)。
【図2】上記実施形態に適用することのできる搬送物分離機構の実施例を示す平面図。
【図3】図2のA−A線に沿った断面を示す上記実施例の縦断面図。
【図4】導入管の外面に導電材を巻回した様子を示す断面図(a)、導電材の接触部分の拡大断面図(b)及び導電材を設けない場合の状態を示す拡大断面説明図(c)。
【図5】分離用網体、上部網体及び底部網体として用いることのできる網体を示す概略平面図(a)、当該網体の構造を示す拡大平面図(b)及び拡大断面図(c)、並びに、同様に用いることのできる別の網体の構造を示す拡大平面図(d)及び拡大断面図(e)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図1(a)及び(b)を参照して本発明に係る搬送装置の実施形態について説明する。本実施形態の搬送装置100は、ボウル型のパーツフィーダ(振動式搬送装置、以下同様。)よりなる第1の搬送機構4と、この第1の搬送機構4に接続されたリニア型パーツフィーダよりなる第2の搬送機構5とを有している。これらの第1の搬送機構4及び第2の搬送機構5は基台3上に取付固定されている。この基台3は設置台1上に防振要素としてコイルばね等の弾性部材を含む複数の防振機構2を介して支持される。
【0023】
第1の搬送機構4は、基台3上に設置された回転振動機40(図1参照)と、この回転振動機40上に固定されたボウル型の搬送体41とを有し、回転振動機40によって搬送体41が軸線周りの回転方向に振動するように構成される。搬送体41の内側中央には搬送物溜まり部42が設けられ、この搬送物溜まり部42内からその周縁の斜め内側に向いた傾斜内面上にわたってスパイラル状の搬送路43が形成されている。搬送路43は上記搬送物溜まり部42の内部から上記傾斜内面に沿って徐々に上方へ向かいながら外周側へ進むように構成される。搬送路43は上記傾斜内面に形成された断面L字状の溝(内側が開放された片溝)により構成される。搬送路43の溝幅は、搬送物溜まり部42に近い上流側では広く構成されて多数の搬送物(ワーク)Wが積み重なったり並列したりすることを許容するが、下流側に進むに従って徐々に若しくは順次に小さくなって搬送物Wの一部を搬送路43から内側へ脱落させながら搬送物Wの重なりや並びを徐々に解消していく。
【0024】
第2の搬送機構5は、基台3上に設置された直線振動機50と、この直線振動機50上に固定された搬送体51とを有し、直線振動機50によって搬送体51が長手方向に往復振動するように構成される。搬送体51の上部には長手方向に沿って直線状に伸びる搬送路52が設けられる。搬送路52の上流端は上述の搬送路43の下流端に接続される。搬送路52を搬送されていくことで最終的に既定の搬送姿勢で一列に整列された搬送物Wは先端部53から図示しない各種の処理装置(検査装置、実装装置など)へと供給される。
【0025】
上記搬送物Wは、搬送過程において上記搬送路43及び52上から徐々に排除されたり姿勢変換を受けたりすることにより、最終的に要求仕様に応じた姿勢で一列に整列される。近年の高速搬送の要求を満たすためには、搬送路の上流側部分では搬送物Wの重なり若しくは並びを許容するとともに搬送物Wの搬送姿勢を制約しないようにして高密度で搬送し、下流側に進むに従って上記搬送姿勢や重なり若しくは並びを徐々に制約し搬送姿勢も規制していき、搬送路の下流側部分では最終的に搬送物Wを既定の搬送姿勢でほとんど隙間なく一列に整列させる必要がある。
【0026】
上記の搬送過程において、搬送路43上から排除される搬送物Wは上記傾斜内面に沿って内側に落下し、上記搬送物溜まり部42内に戻り、再び搬送路43上を上昇する。なお、図1(a)に示す搬送体41では、その内部にある搬送物Wを搬送路43の一部にのみ描き、他の部分では搬送物Wの図示を省略してある。すなわち、搬送路43のうち、後述する第1の搬送位置43aからその上流側の第1の搬送路部分、及び、後述する第2の搬送位置43bからその下流側の第2の搬送路部分においては搬送物Wを描いてあるが、第1の搬送路部分のさらに上流側の部分と、第2の搬送路部分のさらに下流側の部分では搬送物Wの図示を省略してある。また、第1の搬送路部分と第2の搬送路部分との間の領域は、次に述べる搬送物分離機構10の動作により本来的に搬送物Wが存在しない領域となっている。
【0027】
搬送装置100には搬送物分離機構10が設置される。この搬送物分離機構10において、第1の搬送機構4の搬送体41上には搬送物収容器7が設置され、この搬送物収容器7には気流インジェクタ構造8が接続固定される。この気流インジェクタ構造8には図示しないコンプレッサ、エア配管、圧力調整器、電磁弁等の気体供給器から圧縮空気などの気体を供給するための樹脂チューブなどからなる給気管8aが接続される。なお、この給気管8aに図示しないイオナイザーを介して気体(除電エア)を供給することにより、搬送物Wに対する除電効果をも得ることができる。また、気流インジェクタ構造8には、上記の通気管路の導入側部分を構成する樹脂チューブ等の導入管9が接続される。導入管9の先端には導入口9aが設けられる。なお、図1(a)及び(b)では導入管9は二点鎖線で示される。
【0028】
なお、上記の各樹脂チューブとしては、テトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂で構成されたものが搬送物Wとの摩擦を低減しこれに伴う帯電を抑制する上で好ましい。導入管9は本発明の通気管路の最も上流側に配置される部材であり、複数の搬送物Wが結合した塊が多く導入されその塊も大きいので、導入管9の内径を或る程度は大きくして詰りが生じないようにする必要がある反面、内径を大きくしすぎると後述する分離用網体7bへの衝突により搬送物Wに過剰な衝撃を与えない程度の気流では導入口9aにおいて充分な吸引力を確保することが難しくなるとともに、通気管路内で搬送物Wに分離作用が生じる程度の適度な衝撃を搬送物W同士の衝突や管壁との衝突により与えにくくなるから、導入管9の内径(開口断面積)は重要である。導入管9の開口断面形状が円形、楕円形若しくは角形である場合には、導入管9の内径、短径若しくは最小の対向面距離を、搬送物Wの長手方向の寸法よりも大きくすることが好ましく、当該寸法の3倍以下、できれば2倍以下にすることが望ましい。
【0029】
本実施例において搬送物分離機構10は上記搬送物収容器7、気流インジェクタ構造8及び導入管9により構成される。図2は搬送物分離機構10の詳細を示す平面図、図3は搬送物分離機構10の詳細を示す縦断面図(図2のA−A線に沿った垂直断面を示す図)である。なお、図1に示す搬送物分離機構10と図2及び図3に示す搬送物分離機構10とは、厳密には導入管9の取り回し態様や支持具7gの構造、気流インジェクタ構造8における給気管8aの接続部などの細部において異なる点を有するが、当該異なる点についてはどちらを採用してもよい趣旨である。また、以下の説明においては、搬送物分離機構10を搬送体41に図示のように設置したときの搬送体41の軸線側を「半径方向内側」、当該軸線とは反対側を「半径方向外側」とする。しかし、搬送物分離機構10自体においては半径方向の内側か外側かは特に無意味であって相対的な位置関係にのみ意義があるので、単に絶対的な位置関係の一例を示すものに過ぎない。
【0030】
本実施例において、搬送物収容器7及び気流インジェクタ構造8は支持具7gによって保持固定されている。支持具7gは基台3上に固定され、各搬送機構4及び5により発生する振動を直接受けないように構成される。これにより、支持具7gの剛性を過剰に高めなくても搬送物収容器7及び気流インジェクタ構造8が不具合を生ずるほど振動しないようになっている。もっとも、不具合が生じなければ支持具7gを基台3上に固定してもよく、或いは、搬送物収容器7や気流インジェクタ構造8を搬送体41に対して直接、或いは別の支持部材を介して固定しても構わない。なお、図示例では支持具7g等の支持構造は後述する導出管8dに連結される。なお、搬送機構4及び5からの振動をさらに受けにくくするために支持具7gを設置台1上に固定してもよい。
【0031】
搬送物収容器7は、垂直な軸線を備えた円筒状の容器本体7aと、この容器本体7aにおいて半径方向内側に突出する突出部71の先端の側部開口に設けられ通気性を備えた分離用網体7bと、容器本体7aの上部開口に設けられ通気性を備えた上部網体7cと、容器本体7aの下部開口に取り付けられ通気性を備えた底部網体7dと、容器本体7aの下部と底部網体7dとの間に設けられた排出口7eと、この排出口7eの上方において容器本体7aの周囲に張り出すように構成された搬送物Wの飛散防止用の遮蔽板7fとを備えている。ここで、底部網体7d及び排出口7eは搬送物収容器7の底部を構成する。
【0032】
気流インジェクタ構造8では、上記給気管8aに接続された給気路8bと、上記導入管9に接続された通気路8cとが合流し、この合流点より先に導出管8dが連続するように設けられる。この導出管8dは半径方向内側に伸びて容器本体7aに接続固定される。このように本実施例では搬送物収容器7と気流インジェクタ構造8が一体に構成される。図示例の場合、給気管8aは流量調整器8fに接続され、流量調整器8fの出口が給気路8bに接続される。給気路8bは直線状に伸びてそのまま同じ方向に伸びる直線状の管路を備えた導出管8dに接続される。通気路8cは給気路8b及び導出管8dの管路に対して導出側に向けて斜めに合流する。給気路8b及び導出管8cの管路の少なくとも内面部分は搬送物Wが受ける衝撃を緩和するためにウレタンゴム等の軟質素材で構成されることが好ましく、また、テトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等の表面摩擦の小さい素材で構成されることが望ましい。
【0033】
導出管8dは水平方向に伸びて容器本体7a内に突出し、その先端が通気管路の導出口8eとなって容器本体7aの内部に開口している。この導出口8eは間隔を有して上記分離用網体7bと対向する。ここで、容器本体7aの突出部71は半径方向内側に突出するが、垂直線(容器本体7aの軸線)に対して直交する方向(水平方向)ではなく斜め上方に突出している。また、突出部71の先端にある側部開口も上記突出方向に対応して半径方向内側に向けて斜め上方に開口し、これに応じて分離用網体7bも容器本体7aの内部から見たときに導出管8dの突出方向若しくは水平方向に対して斜め下方に向く。分離用網体7bの斜め下方の向きの導出管8dの突出方向若しくは水平方向に対する傾斜角度θは導出口8eからの搬送物Wの導出速度、搬送物Wの耐衝撃性、分離用網体7bの剛性、搬送物Wの形状等による跳ね返り角度の分布などに応じて適宜に設定される。搬送物Wが分離用網体7bに衝突した後に導出管8dにぶつかることを回避しスムーズに下方の排出口7eに向かうようにするには、傾斜角度θは2〜20度の範囲内であることが好ましく、特に5〜10度の範囲内であることが望ましい。
【0034】
分離用網体7bは後述するようにステンレス鋼やアルミニウム等よりなる平坦な金属板に多数の細孔を形成したメッシュ構造を有している。また、分離用網体7bの内面はウレタンゴム等の軟質樹脂その他の軟質素材でコーティングされる。このコーティング層は衝突時の搬送物Wの受ける衝撃を緩和し損傷を抑制するためのものである。分離用網体7bは円環状の固定枠72により上記突出部71に固定される。なお、後述するように、分離用網体7bを繊維72(図5(d)参照)で構成する場合には、繊維72を軟質繊維とすることで上記と同様に搬送物Wの衝撃を緩和できる。
【0035】
容器本体7aの上部開口は上記導出管8dの通過位置よりも上方に設けられる。この上部開口には上部網体7cが円環状の固定枠73により固定される。この上部網体7cも上記分離用網体7bと同様に構成できる。なお、上部網体7cの開口範囲はなるべく広い方が好ましい。例えば、当該開口範囲を半径方向内側に向けて図示例のように導出口8eの直上位置に達しない範囲に限定すれば、搬送物Wの上方への飛散は低減されるが気流の拡散作用は低下する。一方、上記開口範囲を半径方向内側に向けて導出口8eの直上位置を越えて広がるように構成することで気流の拡散作用は高まるが搬送物Wは上方へ飛散しやすくなる。上記の関係は導出管8dの突出量によっても変化する。この突出量を変化させると導出管8eと分離用網体7bとの距離が変化し、搬送物Wの分離用網体7bに衝突した時の衝撃力を調整することができる。このため、導出管8dを容器本体7aに対して出し入れ方向に移動可能にすることで上記突出量を調整できるようにすることが望ましい。
【0036】
容器本体7aの下部開口には底部網体7dが半径方向外側に向けて斜め下方に傾斜する姿勢で固定される。下部開口の半径方向外側の開口縁は切り欠き状に構成されて上記排出口7eを形成する。つまり、排出口7eは容器本体7aと底部網体7dの最下部(半径方向外側の縁部)との間において半径方向外側へ向けて開口している。なお、底部網体7dは上部網体7cと同様に構成できるが、その内面には、当該内面上を搬送物Wがスムーズに滑り落ちることのできるように、摩擦係数の大きな上記コーティング層を設けないことが望ましい。むしろ、底部網体7dが設けられた容器本体7aの底部内面には摩擦係数を小さくするためのテトラフルオロエチレンその他のフッ素樹脂よりなるコーティング層等の低摩擦層を形成することが好ましい。また、底部網体7dは、落下時に搬送物Wが受ける衝撃を緩和するために軟質素材で構成するか、或いは、薄板で構成することが望ましい。
【0037】
底部網体7dの内面は半径方向内側から半径方向外側へ向けて下方に向かう傾斜案内面を構成し、この傾斜案内面に沿って半径方向外側に向かった先に上記排出口7eが形成される。このため、搬送物Wは底部網体7dの内面である傾斜案内面に案内されつつ重力により滑り落ち、最終的に排出口7eから排出される。ここで、底部網体7dは上述のように搬送物Wを排出口7eに向けて案内する機能を有するが、この機能を果たすだけでよいのであれば、網体ではなく細孔のない、容器本体7aと一体の樹脂板や金属板などの板材で構成してもよい。しかしながら、本実施形態では、搬送物収容器7の底部に底部網体7dを設けることで、排出口7eへ向かう気流を抑制して搬送物Wの排出速度を低減することにより、搬送物Wの飛散を防止している。
【0038】
底部網体7dの内面で構成される傾斜案内面の傾斜角度φは搬送物Wがスムーズに滑り落ちるために必要な角度であって、しかも搬送物Wが排出口7eから過剰な速度で排出されない範囲の角度に設定することが好ましい。図示例では傾斜角度φは20〜45度の範囲が好ましく、25〜35度の範囲であることがさらに望ましい。なお、底部に網体を用いない場合でも傾斜案内面の傾斜角は上記と同様である。
【0039】
容器本体7aの内部には、分離用網体7bと排出口7eの間に、半径方向外側の周壁に固定された規制板74が設置されている。この規制板74は、分離用網体7bに衝突して落下した搬送物Wが直接に(すなわち、容器本体7aの内面に一度も接触せずに、或いは、当該内面に接触しても過剰な速度を維持したまま)排出口7eから排出されるといったことがないように、上方から落下してきた搬送物Wを一旦受け止め、上記底部網体7d等の底部に向かうように案内する機能を有する。なお、当該機能を備えているのであれば、規制板7eを通気性のある網体で構成してもよい。
【0040】
容器本体7aの周囲には遮蔽板7fが張り出すように設けられる。図示例の場合、遮蔽板7fは容器本体7aよりも半径方向外側にある部分がより広く張り出す形状を有し、上記排出口7eから排出された搬送物Wが搬送体41の外部に飛び出すことを防止する。遮蔽板7fの半径方向外側の縁部は搬送体41の内面形状に沿って円弧状に形成される。図示例では、容器本体7aの周壁の外側に環状の支持枠75が固定され、この支持枠75を介して遮蔽板7fが取り付けられる。なお、上記の導出管8dと支持具7gの連結構造を維持したまま、或いは、当該連結構造の代わりに、支持枠75を支持具7gに連結することで、容器本体7aの支持強度を高めることができる。
【0041】
本実施形態では、気流インジェクタ構造8及び導入管9、並びに、容器本体7aが透明若しくは半透明の透光性素材で構成されることで、導入口9aから排出口7eまでの搬送物Wの経路が全て外部から視認可能とされる。特に、図示例では搬送物収容器7、インジェクタ構造8及び導入管9が全て透光性素材(好ましくは透明素材)で構成されることにより搬送物分離機構10の内部にある搬送物Wを極めて容易に視認できる。このため、搬送物Wが詰るなどの問題を容易に知ったり事前に予測したりできるので、搬送速度が低下したり搬送不能に陥ったりする事態を短時間で解消したり予め回避したりできる。
【0042】
また、図2及び図3に示す実施形態では、導入管9の外面に帯状若しくは線状の導電材9dが螺旋状に巻回され、この導電材9dは支持具7gの接続点9yにおいて導電接続されることによりアース(電気的に接地)されている。これにより、誘電体で構成される導入管9の内部を通過する搬送物Wに摩擦等により誘起される静電気を緩和できる。この導電材9dを設けない場合には、搬送物Wの通過中に上記気流インジェクタ構造8による気流の吹き込みを停止すると導入管9の内面に帯電した搬送物Wが貼り付くが、上記導電材9dを設けて電気的に接地すると搬送物Wの貼り付きはほとんど生じなくなる。
【0043】
図4(a)には導入管9に導電材9dを巻回した状態の断面を示し、図4(b)には導電材9dの接触部分の拡大断面を示す。このように導電材9dを導入管9の外面に接触させて電気的に接地すると、導入管9とその周囲の空気との間にアースが挿入されてシールド効果を生じ、導入管9の管壁と周囲の空気が誘電分極してそれらの境界面に電荷が発生することを防止できる。したがって、仮に導入管9内を通過する搬送物Wが帯電していても導入管9の管壁の内面に吸着されにくくなる。
【0044】
一方、図4(c)に示すように、導電材9dが導入管9の外面に接触していない場合には、搬送物Wとの摩擦により導入管9の管壁が帯電すると、当該管壁とその周囲の空気層とが誘電分極して、それらの間の境界面に互いに逆極性の電荷が発生した状態になる。この状態になると導入管9の管壁の帯電状態(電荷)が維持されるので、導入管9の内部を通過する搬送物Wは逆極性に帯電した導入管9の管壁内面に吸着されやすくなる。
【0045】
さらに、搬送物収容器7の底部を構成する底部網体7dが導電材で構成され、この導電材が上記傾斜案内面として容器内側に露出するように構成し、導電線7xを介して接続点7yにおいて支持具7gに導電接続されることにより電気的に接地される。これにより、容器本体7a内から傾斜案内面上を移動して排出口7eから排出される搬送物Wの静電気を効率的に低減できる。この場合、底部網体7d等の底部内面は搬送物Wが搬送物分離機構10から放出される排出口7eの直前に位置するので、搬送物分離機構10に導入される前から帯電していた電荷はもちろんのこと、搬送物分離機構10の内部で新たに帯電した静電気をも効率的に低減できる点で都合がよい。なお、静電気の除去性能の観点から見れば、搬送物収容器7の底部に底部網体7dの代わりに細孔を有しない導電板を設置してこれを電気的に接地すると、搬送物Wに対する接触面積の増大や接触抵抗の低減により更なる除電効果を得ることができる。
【0046】
なお、上述のように透光性素材で搬送物分離機構10の各部を構成する場合には当該各部は実質上誘電体で構成せざるを得ないので、導入管9内を気流に乗って移動する過程、気流インジェクタ構造8内を通過する過程などといった通気管路内の移動過程において、或いは、導出口8eからの導出後の分離用網体7bへの衝突、容器本体7aの内面又は規制板45への衝突時等において、搬送物Wが帯電しやすくなることから、上記のようなアース構造による除電手段の効果は極めて高くなる。発明者が確認したところ、上記のアース構造を上記イオナイザーとともに採用すると、排出された搬送物Wの帯電量(測定電圧)はアース構造及びイオナイザーを用いない場合の10%程度に低下した。
【0047】
図5には、上記の分離用網体7b、上部網体7c及び底部網体7dとして用いることのできる網体の概略平面図(a)、及び、その網体の一部を拡大して示す拡大平面図(b)及び拡大断面図(c)を示す。この網体は図5(b)及び(c)に示すように薄い板状体71に(図示例では矩形状の)多数の開口部71aが縦横に配列されるように構成される。例えば、薄い金属板の表面に網目状のエッチングマスクを形成し、これをエッチング法によってエッチングすることで、エッチングマスクを形成していない平面部分が上記開口部71aとなるようにして製造できる。
【0048】
上記の網体は、図5(d)の拡大平面図及び図5(e)の拡大断面図に示すように構成することもできる。この網体は、断面が円形状若しくは楕円形状の繊維72で構成された網材であり、繊維72が適宜の態様で編み込まれてなる。このような網体であれば気流を繊維72の断面形状に沿ってスムーズに通過させることができ、網体通過時に気流の跳ね返りが少なくなって渦も生じにくくなるため、搬送物収容器7内における気流による搬送物Wへの影響を低減することができる。
【0049】
上記いずれの網体においても、網体の開口率(網体全体の面積に対する開口部の面積の総和の比)が50%(特に、75%)を越えるように構成されることが好ましい。このようにすると、気流が網体よりスムーズに外部へ抜けやすくなるため、分離用網体7bにおいて網体による気流の跳ね返りによって搬送物Wが網体へ衝突しにくくなったり、気流の跳ね返りによって搬送物収容器7の内部に過剰な気流や渦が発生したりすることを防止できる。ただし、個々の開口部は、搬送物Wが通過してしまったり引っ掛かってしまったりすることを防止するために搬送物Wの各部の寸法よりも小さな開口幅を有する必要がある。
【0050】
次に、以上説明した本実施形態の作用効果を以下に説明する。本実施形態では、図3に示すように、気流インジェクタ構造8の給気管8aから給気路8bに気流を吹き込むと、当該気流は導出管8dの内部を通過し、導出口8eから搬送物収容器7内に放出される。このとき、通気路8cには負圧が発生するので、導入管9の先端の導入口9aから搬送物Wを吸い込むことが可能になる。図1に示すように、導入管9の先端にある導入口9aは搬送路43上に設置される。このとき、導入口9aは、搬送体41と接触しないように、搬送路43の搬送面から離間した状態で搬送路43上に開口する位置に、図示しない保持具等により固定される。この導入口9aは、搬送路43のうち多数の搬送物Wが重なったり並んだりした状態で搬送される第1の搬送位置43aに開口している。このため、第1の搬送位置43aにおいて搬送物Wが導入管9内に吸引される。
【0051】
本実施形態において、搬送物Wの少なくとも一部表面が粘着性を有していたり搬送物Wが静電気により互いに貼り付きやすいものであったりする場合には、上記第1の搬送位置43aにおいて搬送物Wは互いに貼りついて結合し、複数の搬送物Wの塊が生じる。このため、搬送物Wが第1の搬送位置43aを通過してそのまま搬送路43上を搬送されていく場合には、複数の搬送物Wの塊が一体に移動するため、搬送路43の幅が徐々に若しくは順次に狭くなっていくと塊ごとに搬送路43上に残ったり搬送路43から排除されたりするから、搬送物Wが重なったり並んだりした状態を少しずつ解消していくことができず、最終的には塊ごとに搬送路43から排除されるので、搬送路43上に搬送物Wが存在しない隙間が形成された状態で残った搬送物Wのみが搬送されていく。このようになると、搬送装置100の搬送効率(搬送速度)は著しく低下し、設計能力の5〜10分の一程度になってしまうこともある。
【0052】
本実施形態では、上記の不具合を解消するために、第1の搬送位置43aにおいて搬送路43上の全ての搬送物Wを導入管9内に吸引する。このように搬送物Wを通気管路内に吸い込む構成では搬送物Wは導入口9aに向けて周囲から吸い寄せられるので、従来のように空気噴出口から気流を吹き出す構成のように搬送物の飛散距離や飛散方向がばらついて拡散してしまうことがなく、また、吸込みの対象となる搬送物W以外の他の搬送物等に与える影響も低減できる。さらに、上記の搬送物Wの塊は、導入管9内の管路、通気路8c及び導出管9内の管路で構成される通気管路中を気流により搬送される過程で、搬送時の揺動により或いは管路内面への衝突や搬送物W同士の衝突等により衝撃を受けるため、当該塊を構成する搬送物W同士が相互に分離される。したがって、通気管路内に取り込まれた搬送物全てに確実に分離処理を施すことができるので、従来のように処理の程度がばらついたり処理されない搬送物Wが生じたりすることもない。
【0053】
上記のように通気管路内に取り込まれた搬送物Wは気流インジェクタ構造8を通して導出口8eから搬送物収容器7内に導出される。導出口8eから導出された上記塊が気流に乗って分離用網体7bに衝突したときにも、その衝撃によって搬送物W同士が分離される。このとき、導出口8eは分離用網体7bに対向しているので、導出口8eから放出された気流の一部は通気性のある分離用網体7bを通過できるから、搬送物Wの分離用網体7bへの衝突が分離用網体7bで跳ね返った気流により妨害されにくくなる。これにより、気流インジェクタ構造8において供給される気流の強さを調整することで搬送物Wの分離用網体7bへの衝突時に受ける衝撃の大きさをより精密に制御することが可能になる。さらに、本実施形態では、分離用網体7bが導出口8eに対して上記傾斜角度θの分だけ斜めに対向している(正対していない)ことにより、分離用網体7bに衝突した搬送物Wが導出管8dの先端等に再度衝突して過剰な衝撃を受けることを防止できる。特に、分離用網体7bは排出口7eの側である下方に斜めに向いているので、網体に衝突した搬送物Wを効率的に排出することができるという利点もある。
【0054】
上記のようにして相互に分離された搬送物Wは、落下角度に応じて容器本体7aの内面や規制板74に衝突しながら降下し、最終的に底部網体7d上に落下する。このとき、搬送物Wの降下態様は容器本体7aの内部の気流分布に大きく影響されるが、本実施形態では、容器本体7aの上部に上部網体7cが設けられることで上方へ向けて気流が外部に放出されるので、気流の向きが下方に集中しにくく、搬送物Wの降下速度を抑制できる。また、底部に到達した搬送物Wについては、気流が底部網体7dを通して外部へ放出されることで、排出口7eに向かう気流が低減されて排出口7eからの搬送物Wの排出速度が抑制され、外部に出たときの搬送物Wの飛散が防止される。なお、搬送物Wの排出速度は基本的に底部の傾斜案内面の傾斜角度φによって制御される。なお、分離用網体7b以外にさらに上部網体7cや底部網体7dを有することにより、搬送物収容器7内において渦が生じにくくなるので、一部の搬送物Wが排出口7eから排出されずに容器本体7a内を循環し続けることで損傷を受ける確率が高まるという不具合も防止できる。
【0055】
図3に示すように、排出口7eを搬送体41の搬送路43上に開口するように配置することにより、排出口7eから排出された搬送物Wはスムーズに搬送路43上に移動する。排出口7eは搬送路43における図1及び図3に示す第2の搬送位置43bに設置される。この第2の搬送位置43bは、第1の搬送位置43aよりも下流側であるが、少なくとも複数の搬送物Wが重なったり並んだりすることができる幅を有する部分であることが好ましい。これは、排出口7eから搬送物Wが或る程度の排出速度で排出されるとき、上述のような幅を有しないと飛散して搬送路43から外れてしまう可能性が高くなり、搬送効率が低下するからである。図1に示すように第2の搬送位置43bよりも下流側(図示上方)にある搬送路43の第3の搬送位置43cにおいて搬送物Wが長手方向を搬送方向と一致させた正規の姿勢で搬送される場合には、第2の搬送位置43bの幅は正規の姿勢にある搬送物Wの幅の2倍以上であることが好ましいが、図示例のように3倍よりも大きな幅を有していることがさらに望ましい。また、図示例では、第2の搬送位置43bにおける搬送路43の幅は搬送物Wの長手方向の寸法と同等かそれ以上の幅を有するので、搬送物Wが搬送路43から外れる可能性をさらに低減できる。
【0056】
傾斜案内面の傾斜角度φや摩擦係数、導出口8eから放出される気流の量、上部網体7c及び底部網体7dの通気性などは、排出口7eから排出される搬送物Wが搬送路43上の第2の搬送位置43bから外れたり、搬送路43上から落下したりしないように適宜に設定することが好ましい。また、上記遮蔽板7fは、搬送体41の傾斜内面の近くまで張り出すことで、排出口7eから排出された搬送物Wが第2の搬送位置43bから大きく外れても搬送体41の外部に飛び出さないように設置され、特に、第2の搬送位置43bから大きく外れて排出された搬送物Wを第2の搬送位置43b及びその搬送方向の前後位置に戻すことができる態様で設置されることが好ましい。
【0057】
以上述べたように、本実施形態では、導入口9aで搬送路43上の第1の搬送位置43aにある搬送物Wを吸い込み、気流による搬送過程と網体への衝突による衝撃により搬送物Wを相互に分離した後、第2の搬送位置43bに戻すので、搬送物の吸い込み時に他の搬送物に影響を与えにくく、また、吸い込んだ全ての搬送物Wに対して均等に分離処理を施すことができるとともに分離処理を十分かつ効率的に行うことができるため、従来よりも確実かつ均一に分離処理を施すことができる。したがって、粘着性や帯電度の高い搬送物Wであっても搬送効率を十分に高めることが可能で、近年特に要求されることの多い、高い搬送速度を確保することも可能である。特に、搬送物収容器7の内面の少なくとも一部(好ましくは底部内面、或いは、傾斜案内面)を導電材で構成しこれを電気的に接地することで、搬送物Wの帯電や吸着を抑制できる。
【0058】
また、本実施形態では、気流インジェクタ構造8の上流側に導入管9を接続し、その先端の導入口9aを搬送路43上に開口させているため、搬送体41に穿孔部分を設けるなど特殊な構造にしなくても搬送物分離機構10を容易に装備でき、また、可撓性の導入管9を用いることで導入口9aの位置を容易に調整・変更できるなど、搬送体41の構造に制約を受けにくくなり、種々の態様に容易に対応することができる。特に、導入口9aを搬送路43の搬送面(底面及び側面)から離間させて非接触の状態として搬送路上に開口させることで、搬送体41の形状や構造とは無関係に安定した吸引状態を維持できるから、導入口9aの位置の設定や変更が可能になるとともに、搬送体41に搬送物分離機構10を後付けすることも容易になる。さらに、導入管9の外面に導電材を接触させて電気的に接地することで、搬送物Wの帯電や管壁内面への吸着を抑制することができる。
【0059】
尚、本発明の搬送物分離機構及び搬送装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上記実施例では、導入管9の導入口9aを第1の搬送位置43aにおいて搬送路43上に開口させ、第1の搬送位置43a上の搬送物Wを吸引してそれよりも下流側の第2の搬送位置43bに排出しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、図示しないホッパ等の供給部や搬送物溜まり部42内から搬送物Wを直接吸引して搬送路43上へ排出するように構成し、その代わりに、分離処理が施されない搬送物が搬送路43上に搬送されることを回避するために、供給部や搬送物溜まり部42と搬送路43を分断してもよい。また、搬送装置に設けられる搬送機構としてはボウル型の振動体41を有するものに限られない。
【符号の説明】
【0060】
1…設置台、2…防止機構、3…基台、4…第1の搬送機構、41…搬送体、42…搬送物溜まり部、43…搬送路、43a…第1の搬送位置、43b…第2の搬送位置、43c…第3の搬送位置、5…第2の搬送機構、7…搬送物収容器、7a…容器本体、7b…分離用網体、7c…底部網体、7d…底部網体、7e…排出口、7f…遮蔽板、75…規制板、8…気流インジェクタ構造、8a…給気管、8b…給気路、8c…通気路、8d…導出管、8e…導出口、9…導入管、9a…導入口、9d…導電材、10…搬送物分離機構、100…搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の導入口及び導出口を備えた通気管路と、
容器内部に前記導出口が開口するとともに、前記導出口に対向し外部に対して通気性を備えた分離用網体及び前記搬送物が排出される排出口を有し、前記導出口から導出された前記搬送物を一時的に収容して前記排出口から排出する搬送物収容器と、
前記通気管路に前記導入口から前記導出口へ向かう気流を生じさせることにより、前記搬送物を前記導入口から導入し前記導出口から導出した後に前記分離用網体に衝突させる気流発生手段と、
を具備することを特徴とする搬送物分離機構。
【請求項2】
前記気流発生手段は、前記通気管路の中途位置から前記導出口へ向けて気流を吹き込むことにより前記導出口から前記搬送物の放出力を得るとともに前記導入口への前記搬送物の吸引力を生じさせる気流インジェクタ構造を有することを特徴とする請求項1に記載の搬送物分離機構。
【請求項3】
前記気流インジェクタ構造の上流側に前記通気管路の一部を構成する導入管をさらに有し、前記導入管の先端に前記導入口が設けられることを特徴とする請求項2に記載の搬送物分離機構。
【請求項4】
前記導入口は前記搬送物の搬送面と非接触の状態で搬送路上に開口することを特徴とする請求項3に記載の搬送物分離機構。
【請求項5】
前記通気管路の少なくとも一部は誘電体からなる管材で構成され、該管材の外面には電気的に接地された導電材が接触していることを特徴とする請求項1に記載の搬送物分離機構。
【請求項6】
前記導電材は前記管材の外面上において管路方向に沿って螺旋状に巻回されることを特徴とする請求項5に記載の搬送物分離機構。
【請求項7】
前記搬送物収容器は、前記分離用網体が設置された側部と、前記排出口が形成された底部とを有することを特徴とする請求項1に記載の搬送物分離機構。
【請求項8】
前記底部は前記排出口に向けて下方へ傾斜する傾斜案内面を有することを特徴とする請求項7に記載の搬送物分離機構。
【請求項9】
前記底部には外部に対して通気性を備えた底部網体が設けられることを特徴とする請求項7に記載の搬送物分離機構。
【請求項10】
前記搬送物収容器の上部には外部に対して通気性を備えた上部網体が設けられることを特徴とする請求項7に記載の搬送物分離機構。
【請求項11】
搬送物が搬送される搬送路を備えた搬送体と、
前記搬送路の第1の搬送位置に向けて開口する導入口及び前記導出口を備えた通気管路と、
前記導出口に対向し外部に対して通気性を備えた分離用網体及び前記搬送物が排出され前記第1の搬送位置よりも下流側の第2の搬送位置に開口する排出口を有し、前記導出口から導出された前記搬送物を一時的に収容して前記排出口から排出する搬送物収容器と、
前記通気管路に前記導入口から前記導出口へ向かう気流を生じさせることにより、前記搬送物を前記導入口から導入し前記導出口から導出した後に前記分離用網体に衝突させる気流発生手段と、
を具備することを特徴とする搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−131634(P2012−131634A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287224(P2010−287224)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【特許番号】特許第4809496号(P4809496)
【特許公報発行日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(599069507)株式会社ダイシン (27)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】