説明

搬送用トレイ

【課題】山部と谷部を交互に形成して傾斜した山部側面に沿って板状物を収納するトレイとして、トレイ全体の保形性がよく、板状物の取り出し作業や持ち運び等のハンドリング性に優れ、収納した板状物を安定性よく保持できるトレイを提供する。
【解決手段】板状物を収納するトレイAで、縦横1方向に延びる山部3と谷部4を交互に形成し、谷部底41に対し傾斜した谷部4両側の山部3の側面を収納対象の板状物を支持する傾斜受面31,31として形成し、谷部底41には長手方向に間隔をおいて一部が上向きに突出して板状物の下端縁を位置決めする凸条42を形成し、山部頂32には、長手方向に所要の間隔で凹設した凹部33を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品が搭載された基板等の主として細長板状の板状物を保護した状態で収納し運搬、保管するのに使用する搬送用トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型テレビ用等の電子部品が搭載された細長板状の基板を次工程に運搬したり、保管したりするためのトレイとして、種々の構成のものが提案されている。
【0003】
例えば、前記基板を平面上に並べて収納した場合の問題を解決するものとして、1方向に延びる山部と谷部を交互に形成し、谷部の底面に対し傾斜した山部側面を載置面とするとともに、谷部の底面に位置決め用の突出部を設けることで、載置面としての山部側面に沿って収納される基板を安定した状態に保持するようにしたトレイが提案されている(特許文献1)。
【0004】
この提案のトレイは、耐衝撃性、耐振動性、コンパクト性があり、有効に利用されているが、基板の収納、取り出し及び持ち運び等のハンドリング性をさらに改善することが要望されている。
【0005】
すなわち、前記トレイは、前記山部が長手方向に同高さで連続しているものであり、そのため、底面に突出部が形成された谷部よりも、前記山部の部分で折れ曲がりや撓み変形が生じ易くなっている。そのため、基板を収納したトレイを持ち運びする際に、基板の重量でトレイ全体が撓み易く、収納された基板が山部側面の部分から動くことがあった。またトレイの撓みを伴う持ち運びの際の揺動等のために、局所的に荷重が基板に負荷される虞もあり、板状物が妄りに動かないように慎重に持ち運びする必要があった。
【0006】
しかも、収納される基板が山部よりも高くなると、載置面としての山部側面に沿って収納される基板の上端同士が互いに接触することになり、また基板を収納した状態のトレイを段積みした際に下段トレイの基板に上段のトレイが接触する虞があるので、通常、収納される基板が山部よりも高くならないように設定されているが、そうした場合、山部の頂部分が長手方向に連続しているために、収納された基板を取り出す際に該基板を摘み難いものであり、取り出し作業が面倒なものであった。特に、前記基板は2枚重ねで収納されることが多いが、その場合、2枚重ねの基板が邪魔をしてさらに取り出し難いものとなっていた。
【0007】
さらに、細長板状の基板を2枚重ねで収納する際に、谷部底面の位置決め用の突出部を乗り越えることがあり、収納作業に注意を要するという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2009/47207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、山部と谷部を交互に形成して収納対象の板状物を谷部底に対し傾斜した山部側面に沿わせて収納する搬送用トレイとして、前記の問題を解消し、トレイ全体の保形性がよく、収納対象の基板等の板状物の収納および取り出し作業、及び持ち運び等のハンドリング性をさらに改善でき、かつ収納した板状物を所定位置に安定性よく保持でき、その保護を良好になし得るトレイを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する本発明の搬送用トレイは、板状物が収納されるトレイで、縦横1方向に延びる山部と谷部が交互に形成され、谷部底に対し傾斜した谷部両側の山部側面が収納対象の板状物を支持する傾斜受面として形成されるとともに、谷部底には長手方向に間隔をおいて一部が上向きに突出して板状物の下端縁を位置決めする凸条が形成されてなるトレイであって、山部頂には、長手方向に所要の間隔で凹設した凹部が形成されてなることを特徴とする。
【0011】
この搬送用トレイによれば、山部と谷部を交互に形成して、山部側面を収納対象の板状物を支持する傾斜受面として形成したため、収納対象の板状物を、その下縁を谷部底の位置決め用の凸条に当てて位置決めした状態で、山部側面の傾斜受面に沿わせた状態で安定性よく保持できる。特に本発明の場合、前記山部頂には、長手方向に所要の間隔で凹設した凹部が形成されているため、収納作業の際に前記凹部の個所で収納した板状物を揃えたり位置合わせしたりすることが可能になるばかりか、収納されている板状物を取り出す際、前記凹部の個所で指先を板状体に掛けて摘んで持つことができ、取り出し作業を容易に行うことができる。
【0012】
しかも、前記山部頂に所要間隔に凹部を形成したことにより、該山部頂での折れ曲がりや撓み変形を前記凹部の部分で規制でき、したがって、トレイ全体の保形性に優れ、板状物を収納したトレイを持ち運びする際に、板状物の重量でトレイ全体が撓み変形したり上下に揺動するのを抑えることができ、収納された板状物を妄りに動かないように保持できる。また、複数のトレイを積み重ね状態で持ち運びする際に、局所的に上段トレイの荷重が板状物に負荷されることもなくなる。
【0013】
前記の搬送用トレイにおいて、前記谷部底の凸条が、谷部底の長手方向に等間隔に複数形成されるとともに、谷部を長手方向中央で該長手方向に対し直角方向に2等分する線に対して非対称に形成され、同形のトレイを180度方向転換して重ねたときに、下段トレイの凸条の上に上段トレイの凸条間の谷部底が載接するように形成されてなるものとする。
【0014】
このように形成しておくことにより、同形のトレイを交互に方向を変えて複数段に安定性よく積み重ねることができる。特に、積み重ねられる各トレイは、上下のトレイ同士が各谷部底の凸条と凸条間の谷部底とで接することでトレイ全面に亘って積み重ね荷重を受けることができる。また、前記のように谷部底に間隔をおいて複数の凸条を設けておくことにより、谷部での折れ曲がりや撓み変形を抑制することができ、各山部間の谷部を収納部として必要な形状を保持できる。
【0015】
前記の搬送用トレイにおいて、同形のトレイを180度方向転換して重ねたときに、下段トレイの山部側面の傾斜受面と、上段トレイの山部の傾斜受面の裏面との間に、2枚の板状物を重ねて収納できる間隔を保有するように前記凸条高さが設定されてなるものが好ましく、これにより、各段のトレイの収納部としての谷部において山部側面の傾斜受面に、2枚の板状物を重ね合わせた状態で沿わせるように保持して、各トレイを問題なく積み重ねることができる。
【0016】
前記搬送用トレイの山部頂の凹部は、その中央部が断面逆三角形状に下方向きに突出するように凹陥形成されてなるものが好ましい。この場合、板状物を収納してトレイを前記のように積み重ねた状態において、下段トレイの山部頂の上方に、上段トレイの山部の前記凹部における凹陥部が位置することになり、この部分が、下段トレイの山部両側面の両傾斜受面に沿って収納され支持された板状物の上端縁の間に位置することになって浮き上がり規制するように作用し、収納した板状物を所定位置に安定性よく保持できる。
【0017】
前記の搬送用トレイにおいて、前記山部の高さH1に対する前記谷部底の凸条の高さH2の比H1/H2が0.7〜1.0であるものが好ましい。谷部底の位置決め用の凸条の高さを前記のようにしたことで、細幅板状の基板等の板状物が収納作業の際、あるいは運搬中の振動によって凸条を乗り越えてしまうようなことがなく、収納作業を容易に行え、かつ安定性のよい収納状態を保持できる。
【0018】
前記の搬送用トレイにおいて、合成樹脂発泡シートから外周部に枠状縁部を残して前記山部と谷部を交互に形成するように一体成形されてなるものとするのが、コスト安価に提供でき、しかも軽量で緩衝性もあり、特に好ましい。
【0019】
前記の搬送用トレイにおいて、前記山部の長手方向に対し交差する方向の対向両辺の前記枠状縁部の部分に、長手方向の補強用リブが形成されてなるものが好ましい。この場合、前記山部と谷部が一種の補強リブ的な役目を果たし、山部と谷部を交差する方向の線での折れ曲がりを抑制できるとともに、前記枠状縁部の補強リブが、前記山部や谷部と交差する方向の折れ曲がりや撓み変形を抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
上記した本発明の搬送用トレイによれば、山部と谷部を交互に形成し、電子部品を搭載した基板等の細長板状の板状物を、谷部底の凸条により位置決めした状態で谷部両側の山部側面の傾斜受面で支持して収納するようにした搬送用トレイとして、板状物の位置決め、収納作業を容易に行うことができる。特に、本発明の場合、山部頂に長手方向に間隔をおいて、凹部を形成したことにより、収納される板状物が山部側面の傾斜受面に相当する幅のものであっても、前記凹部の個所で板状物を摘んで持つことができ、取り出し操作を容易に行うことができる。
【0021】
しかも前記山部頂の凹部が、該山部頂を支点とする折れ曲がり変形や撓み変形を規制する補強リブとしての役目を果たし、以てトレイ全体の撓み変形を抑制できて全体の保形性を高め、板状物を収納した複数のトレイを積み重ねて持ち運ぶ際の撓み変形や過度の揺動を規制でき、収納した板状物を所定位置に保持でき、その保護を良好になすことができる。また、持ち運びの際の揺動等によって、板状物が凸条を乗り越えて飛び出したり位置がずれたりすることもなく、安定した収納状態を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の搬送用トレイの平面図である。
【図2】同上のトレイの一部の拡大斜視図である。
【図3】同上のトレイのIII−III線の一部を省略した拡大断面図である。
【図4】同上のトレイのIV−IV線の一部を省略した拡大断面図である。
【図5】同上のトレイのV−V線の一部の拡大断面図である。
【図6】トレイを段積みした状態の谷部底の長手方向に沿う線での一部を省略した断面図である。
【図7】トレイを段積みした状態の谷部底の長手方向に対し直角方向の線での一部を省略した断面図である。
【図8】同上の一部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0024】
図示する実施例の搬送用トレイAは、片側面に抵抗やコンデンサー等の電子素子やコネクター等の電子部品が搭載された薄型テレビ用の基板等の主として細長板状の板状物Bを収納するトレイであり、例えば合成樹脂のシート材、特に好ましくは耐熱性及び緩衝性に優れる合成樹脂発泡シートから真空成形、圧空成形等の熱成形手段により外周部に枠状縁部2を残してやや落とし込んだ収納部1が一体に成形されてなる。
【0025】
前記収納部1には、縦横1方向に延びる断面三角状の山部3と谷部4が交互に、好ましくは両端部に谷部4が位置するように形成され、谷部底41に対し所定の角度で傾斜した谷部両側の山部側面(枠状縁部2に連続する端部では斜側面)が収納対象の板状物Bを支持する傾斜受面31,31として形成されるとともに、谷部底41には、長手方向に間隔をおいて一部が上向きに突出して板状物Bの下端縁を位置決めする凸条42が両側に若干幅の底面を残すように形成されている。図の場合、前記山部3は、その頂(山部頂ともいう)32が、前記枠状縁部2よりやや低い高さ位置にあるように形成されている。
【0026】
前記山部3の高さH1は、収納対象の板状物Bを前記凸条42により下側縁を位置決めして収納したとき、該板状物Bの上側縁が前記山部頂32より上方に高く突出しないように設定されている。
【0027】
前記山部の高さH1、並列間隔及び傾斜受面31となる側面の傾斜角度等は、収納対象の基板等の細長板状の板状物Bの幅や厚み及び収納状態の安定性等に応じて適宜設定できる。
【0028】
本発明のトレイの場合、前記山部頂32には、長手方向に所要の間隔で一部を凹設した凹部33が複数形成されている。図の場合、前記山部頂32の凹部33は、その中央部が断面逆三角形状に下方向きに突出するように凹陥形成されている。33aは下方向きに突出する逆三角形の突出部を示す。前記凹部33の長さ、間隔及び数は、山部3の長手方向の長さや収納対象の板状物Bの種類などに応じて適宜設定できるが、該凹部33が山部3の補強リブ的作用も果たすことから、長さと同間隔で複数、好ましくは20mm以上、100mm以下の長さ及び間隔で複数個所に、好ましくは5個所以上に形成しておくものとする。
【0029】
前記谷部底41の凸条42が、谷部底41の長手方向に等間隔に複数形成されるとともに、谷部4を長手方向中央で該長手方向に対し直角方向に2等分する線Cに対して非対称に形成され、同形のトレイを180度方向転換して積み重ねたときに(図6)、下段トレイAの凸条42の上に上段トレイAの凸条42,42間の谷部底41の部分が載接するように形成されており、積み重ね荷重をトレイ全域で受支できるようになっている。
【0030】
前記凸条42の長さと間隔すなわち凸条42,42間の谷部底41の部分の長さが略同寸法で、それぞれが複数存するように形成される。実施上は、図のように収納部1の全域にわたって略均等に配置されるように先行技術文献で例示したトレイに比して短い長さおよび間隔で、各谷部3毎にそれぞれ少なくとも4つ以上が前記のように線Cに対し非対称の配置で、特に好ましくは凸条42と凸条外の谷部底41とがほぼ対称の配置になるように形成されている。図の例では、5つの凸条42が所要の間隔をおいて配置されている。
【0031】
前記凸条42の高さH2については、同形のトレイを前記のように交互に180度方向転換して積み重ねることができるように適宜設定できるが、
実施上は、前記の積み重ね状態において、下段トレイAの山部側面の傾斜受面31,31と、上段トレイAの山部側面の傾斜受面31,31の裏面との間に、図8のように2枚の板状物Bを重ねた状態で余裕を持って収納できる間隔Sを保有するように前記凸条高さH2が設定される。これにより、板状物Bを収納した複数のトレイAを積み重ねた状態において、谷部4において両側の山部側面の傾斜受面31,31により支持された板状物Bを安定性よく収納し保持しておけるようになっている。
【0032】
特に、前記の積み重ね状態において、前記山部3における凹部33の中央部に下方向きに突出する逆三角形の突出部33aが形成されていると、前記のように積み重ねたトレイAの山部3の両側面による傾斜受面31,31に支持された板状物B、Bの上端縁b1,b1の間に前記突出部32aが位置して(図8)、該板状物B、Bの上向きの移動、及び前記上側端b1,b1同士の接触を規制する役目を果たすことになる。
【0033】
前記凸条42の高さH2は、板状物Bの収納操作時の位置決めの効果を考慮して設定されるが、実施上は、図のように、前記山部の高さH1に対する前記谷部底41の凸条42の高さH2の比H1/H2が0.7〜1.0の範囲にあるように比較的高く設定される。これにより、板状物Bの収納操作の際、あるいは板状物Bを収納した状態のトレイAを持ち運びする際に、板状物Bが凸条42を乗り越えるのを防止でき、安定性よく収納し保持できるようになっている。
【0034】
前記山部の高さH1に対する凸条42の高さH2の比H1/H2を前記のように設定するのは、前記高さの比H1/H2が1.0を超えると、合成樹脂のシート材からの成形により肉厚が薄くなり、それだけトレイ強度が弱くなり、また、前記高さの比H1/H2が0.7未満では、板状物Bの収納作業の際、あるいは板状物Bを収納した複数のトレイAを積み重ねた状態での持ち運びの際に、板状物Bの乗り上げが発生する虞があるからである。
【0035】
例えば、基本的に実施例と同構成のトレイで、前記凸条の高さのみを変更し、前記の高さの比H1/H2が0.86のものと、0.58のもの(凸条高さが従来品に相当)について、電子部品が搭載された基板である板状物Bを2枚重ねにして、それぞれ10枚のトレイに収納したところ、前者の場合は凸条乗り上げが生じず、安定性よく収納できたが、後者の場合は、1個所ではあるが、基板に搭載された電子部品の部分の凸条乗り上げが発生した。したがって、前記高さの比H1/H2を、0.7〜1.0とするのが好ましいものである。
【0036】
前記枠状縁部2は、通常の単純な鍔状をなすものであってもよいが、図の場合は、断面逆凹形状に形成され、前記山部3の長手方向に対し交差する方向の対向両辺の前記枠状縁部2の部分に、長手方向の補強用リブ21が形成されており、山部頂32を支点とする折れ曲がりや撓み変形を規制できるようになっている。
【0037】
前記の補強リブ21は、前記両辺部とは交差する対向両辺の枠状縁部2にも形成しておくことができる。符号22はトレイを180度方向転換して積み重ねる際の方向を確認しやすくするための段部である。
【0038】
前記トレイAの構成材料としては、熱可塑性樹脂のシート、好ましくは緩衝性に優れる各種の合成樹脂発泡シート、中でも耐衝撃性に優れるポリオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)の発泡シート、あるいはポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)の発泡シート等が好適に用いられる。前記合成樹脂発泡シートを使用する場合の厚みは、0.5〜2.5mm、より好ましくは1.0〜2.0mmである。
【0039】
上記した実施例の搬送用トレイAの使用状態について説明する。収納対象の板状物Bとして電子部品が搭載された細長板状の基板を2枚重ねにして収納する場合を例にして説明する。
【0040】
トレイAの収納部1には、縦横一方向に延びる山部3と谷部3とが交互に形成され、谷部4両側の山部3の側面を収納対象の板状物Bを支持する傾斜受面31,31として形成したため、収納対象の板状物Bを、その下端縁を谷部底41の位置決め用の凸条42に当てて位置決めして、山部側面の傾斜受面31,31に沿わせた状態で安定性よく収納し保持することができる(図5鎖線)。この受面際、前記山部頂32には、長手方向に所要の間隔で凹設した凹部33が形成されているため、前記凹部33の個所で収納した板状物Bを摘んで揃えたり位置合わせしたりすることが可能になる。しかも、前記谷部底41の凸条42の高さが、上記したように従来よりも高く設定されていることで、乗り上げの心配なく容易に収納できかつ安定性よく保持しておくことができる。
【0041】
そして、前記の板状物Bを収納した複数のトレイを交互に180度方向転換して積み重ねたときには、図6のように下段トレイAの凸条42の上に上段トレイAの凸条42,42間の谷部底41の部分が載接することで、積み重ね荷重をトレイ全域で受支できる。特に、前記の積み重ね状態においては、下段トレイAの傾斜受面31,31と、上段トレイAの傾斜受面31,31の裏面との間に間隔Sを保有し、収納された板状物Bは該間隔S内に保持されるため、板状物Bに上段トレイAの荷重が負荷されることもない。
【0042】
しかも、前記山部頂32に所要間隔に凹部33を形成したことにより、該凹部33が補強リブとして働き、該山部頂32を支点とする折れ曲がりや撓み変形を前記凹部33の部分で抑制できる。したがって、トレイ全体の保形性を高め、板状物Bを収納したトレイAを持ち運びする際、特には前記のように複数のトレイAを積み重ねた状態で持ち運びする際に、板状物Bの重量でトレイA全体が撓み変形したり上下に揺動するのを抑えることができ、収納された板状物Bを妄りに動かないように保持できることになる。
【0043】
また、収納されている板状物Bを取り出す際は、前記山部頂32に形成された凹部33の個所で、指先を板状体Bに掛けて摘んで持つことができ、取り出し作業を容易に行うことができる。
【0044】
このため、搬送用トレイの使用における板状物の収納、取り出し作業、及び持ち運び等のハンドリング性を改善できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、電子部品を搭載した細長板状の薄型テレビ用の基板のほか、他の主として細長板状の板状物を収納して搬送、保管するのに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
A…トレイ、B…板状物、1…収納部、2…枠状縁部、3…山部、4…谷部、21…補強用リブ、31…傾斜受面、32…山部頂、33…凹部、33a…突出部、41…谷部底、42…凸条、H1…山部の高さ、H2…凸条の高さ、S…間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物が収納されるトレイで、縦横1方向に延びる山部と谷部が交互に形成され、谷部底に対し傾斜した谷部両側の山部側面が収納対象の板状物を支持する傾斜受面として形成されるとともに、谷部底には長手方向に間隔をおいて一部が上向きに突出して板状物の下端縁を位置決めする凸条が形成されてなるトレイであって、
山部頂には、長手方向に所要の間隔で凹設した凹部が形成されてなることを特徴とする搬送用トレイ。
【請求項2】
前記谷部底の凸条が、谷部底の長手方向に等間隔に複数形成されるとともに、谷部を長手方向中央で該長手方向に対し直角方向に2等分する線に対して非対称に形成され、同形のトレイを180度方向転換して重ねたときに、下段トレイの凸条の上に上段トレイの凸条間の谷部底が載接するように形成されてなる請求項1に記載の搬送用トレイ。
【請求項3】
同形のトレイを180度方向転換して重ねたときに、下段トレイの山部側面の傾斜受面と上段トレイの山部側面の傾斜受面の裏面との間に、2枚の板状物を重ねて収納できる間隔を保有するように前記凸条高さが設定されてなる請求項2に記載の搬送用トレイ。
【請求項4】
前記山部頂の凹部は、その中央部が断面逆三角形状に下方向きに突出するように凹陥形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送用トレイ。
【請求項5】
前記山部の高さ(H1)に対する前記谷部底の凸条の高さ(H2)の比(H1/H2)が0.7〜1.0である請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送用トレイ。
【請求項6】
合成樹脂発泡シートから外周部に枠状縁部を残して前記山部と谷部を交互に形成するように一体成形されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送用トレイ。
【請求項7】
前記山部の長手方向に対し交差する方向の対向両辺の前記枠状縁部の部分に、長手方向の補強用リブが形成されてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の搬送用トレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−96811(P2012−96811A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243903(P2010−243903)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】