説明

搬送用トレー

【課題】載置される物品の種類に応じて異なる構造とするための設計の自由度が大きく、しかもコストが削減される搬送用トレーを提供する。
【解決手段】搬送用トレー200は、走行路を走行するキャリッジ102を備える搬送装置100に備えられて、キャリッジ102に結合された状態で物品が載置される。トレー200は、物品を支える剛性を有するベース部210と、ベース部210の上面211を覆っていると共に、載置された物品10が接触する載置面222を有する上層部220と、ボルト部材250によりキャリッジ102のベース本体112に結合される結合部240とを備える。ベース部210および上層部220は、別個の部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置に備えられて、該物品搬送装置により搬送される物品が載置される搬送用トレーに関する。そして、該トレーは、例えば、物品の搬送中にトレーが傾動することにより物品を仕分ける物品仕分装置に使用される。
【背景技術】
【0002】
物品搬送装置が、走行路を走行するキャリッジと、このキャリッジに結合された状態で物品が載置される搬送用トレーとを備えるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−16604号公報(段落0023〜0025、図1,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品搬送装置が備える搬送用トレーにおいては、載置される物品の種類に応じて、その構造を異ならせることが好ましい場合がある。例えば、物品を滑走させてトレーに搬入するときや、搬送中にトレーを傾動させることにより、傾斜したトレーから物品を滑走させて搬出するときには、物品が載置されるトレーの載置面の摩擦係数は小さいことが好ましい。一方、トレーが傾動しない場合には、搬送中におけるトレーでの物品の移動を抑制することや、トレーからの落下を防止することのためには、載置面の摩擦係数が大きいことが好ましい。
また、物品の種類が異なる例として、物品の重量が異なる場合には、例えば重量が大きい物品を載置可能とするために、強度が大きい材料でトレーを形成する必要がある。
【0005】
しかしながら、トレーが単一の形成材料により形成される場合には、物品の種類に応じて、トレーの全体構造(トレーの形成材料も含む。)を異なるものとする必要があるために、全体構造が異なる多数のトレーを製造しなければならないので、トレーのコストが増加するという問題があった。
【0006】
また、トレーは、走行路を走行するキャリッジに結合されているので、キャリッジの走行に起因して発生するキャリッジの振動が、キャリッジを介してトレーに伝達されて、トレーが振動する。そして、トレーが振動すると、載置されている物品が、搬送中にトレー上で移動することやトレーから落下することなど、物品がトレーの振動による影響を受けることがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するものであって、その目的は、載置される物品の種類に応じて異なる構造とするための設計の自由度が大きく、しかもコストが削減される搬送用トレーを提供することである。
また、本発明の他の目的は、キャリッジからトレーへの振動の伝達を抑制することにより、トレーに載置されている物品に対するキャリッジの振動の影響を低減して、防振性能に優れた搬送用トレーを提供することである。
また、本発明の他の目的は、物品搬入時における物品との接触に起因する騒音が低減する搬送用トレーを提供することである。
また、本発明の他の目的は、物品の搬出の円滑性が向上する搬送用トレーを提供することである。
また、本発明の他の目的は、載置される物品の種類に応じて異なる構造とするための構造変更やメンテナンスが容易になる搬送用トレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、請求項1に係る発明は、走行路を走行するキャリッジを備える物品搬送装置に備えられて、前記キャリッジに結合された状態で物品が載置される搬送用トレーにおいて、前記物品を支える剛性を有するベース部と、前記ベース部の上面を覆っていると共に、載置された前記物品が接触する載置面を有する上層部と、結合手段により前記キャリッジに結合される結合部とを備え、前記ベース部および前記上層部が、別個の部材であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記結合部が、前記ベース部および前記上層部のうちで、前記上層部のみに設けられる上結合部を有し、前記上結合部が、前記結合手段を介して前記上結合部に伝達される前記キャリッジの振動により変位可能であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記上層部が、樹脂で形成されていると共に、前記ベース部の厚さよりも小さい厚さを有し、前記ベース部が、発泡樹脂またはセル構造材により形成されていることにより、前述の課題を解決したものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記物品搬送装置が、前記トレーを傾動させるトレー傾動部材を備え、前記上層部が、低摩擦係数を有する材料により形成されていることにより、前述の課題を解決したものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記ベース部を支持する補強部を備え、前記結合部が、前記補強部に設けられる下結合部を有し、前記下結合部が、前記結合手段を介して伝達される前記キャリッジの振動により変位可能であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記ベース部には、前記結合手段が前記ベース部に結合されることなく収容される収容空間が設けられていることにより、前述の課題を解決したものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記ベース部および前記上層部が、互いに着脱可能に結合されていることにより、前述の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0015】
そこで、本発明の搬送用トレーは、走行路を走行するキャリッジを備える物品搬送装置に備えられて、キャリッジに結合された状態で物品が載置されることで、キャリッジに結合されたトレーにより、物品を搬送することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
【0016】
すなわち、請求項1に係る本発明の搬送用トレーによれば、この搬送用トレーが、物品を支える剛性を有するベース部と、ベース部の上面を覆っていると共に、載置された物品が接触する載置面を有する上層部と、結合手段によりキャリッジに結合される結合部とを備え、ベース部および上層部が、別個の部材であることにより、トレーに載置される物品の種類が異なる場合にも、ベース部を共通の構成部材として、載置される物品に応じて要求される機能に好適な上層部を設けることが可能になるので、載置される物品の種類に応じて異なる構造とするためのトレーの設計の自由度が大きくなり、しかも物品の種類に適したトレーのコストを削減することができる。
【0017】
請求項2に係る本発明の搬送用トレーによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、結合部が、ベース部および上層部のうちで、上層部のみに設けられる上結合部を有し、上結合部が、結合手段を介して上結合部に伝達されるキャリッジの振動により変位可能であることにより、キャリッジとトレーとを結合する結合手段がトレーにおいて結合される上結合部は、ベース部に設けられることなく、ベース部とは別個の部材である上層部に設けられ、しかも上結合部はキャリッジの振動により変位する柔構造を構成するので、キャリッジからトレーへのキャリッジの振動の伝達が抑制されるため、キャリッジの振動によるトレーの振動が低減して、例えばトレーの振動により物品が落下するなど、キャリッジの振動がトレーに載置されている物品に与える影響を低減することができ、トレーの防振性能を向上させることができる。
【0018】
請求項3に係る本発明の搬送用トレーによれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、上層部が、樹脂で形成されていると共に、ベース部の厚さよりも小さい厚さを有し、ベース部が、発泡樹脂またはセル構造材により形成されていることにより、上層部が樹脂で形成されること、および、ベース部が樹脂またはセル構造により形成されることにより、トレーを軽量化することができて、キャリッジを走行させるための消費エネルギを削減することができる。
また、ベース部が発泡樹脂により形成されている場合には、発泡樹脂の緩衝機能により、トレーへの物品の搬入時における物品とトレーとの接触に起因する騒音を低減することができ、ひいては物品搬送装置の運転時の騒音を低減することができる。
【0019】
請求項4に係る本発明の搬送用トレーによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、物品搬送装置が、トレーを傾動させるトレー傾動部材を備え、上層部が、低摩擦係数を有する材料により形成されていることにより、トレーが傾動するときに、載置面での物品の滑走が円滑になるので、トレーからの物品の搬出の円滑性を向上させることができ、さらに該円滑性の向上により、搬送速度の高速化が可能になって、物品搬送装置の搬送効率を向上させることができる。
【0020】
請求項5に係る本発明の搬送用トレーによれば、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、搬送用トレーがベース部を支持する補強部を備え、結合部が、補強部に設けられる下結合部を有し、下結合部が、結合手段を介して伝達されるキャリッジの振動により変位可能であることにより、結合手段によりトレーをキャリッジに結合するための下結合部がベース部の補強部に設けられるので、トレーを強固にキャリッジに結合することができるうえ、下結合部はキャリッジの振動により変位する柔構造を構成するので、キャリッジからトレーへのキャリッジの振動の伝達が抑制されるため、キャリッジの振動によるトレーの振動が低減して、キャリッジの振動がトレーに載置されている物品に与える影響を低減することができ、トレーの防振性能を向上させることができる。
【0021】
請求項6に係る本発明の搬送用トレーによれば、請求項1から請求項5のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、ベース部には、結合手段がベース部に結合されることなく収容される収容空間が設けられ、結合部が、収容空間に収容されていることにより、走行に起因するキャリッジの振動は、結合手段を介してベース部に直接伝達されることがないので、剛性部材であるベース部へのキャリッジの振動の伝達が抑制されるため、キャリッジの振動がトレーに載置されている物品に与える影響を低減することができて、トレーの防振性能を向上させることができる。
【0022】
請求項7に係る本発明の搬送用トレーによれば、請求項1から請求項6のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、ベース部および上層部が、互いに着脱可能に結合されていることにより、上層部とベース部とを別々に交換することができるので、例えば、物品の種類に応じた、またはメンテナンスでの、上層部のみの交換が可能になるなど、載置される物品の種類に応じて異なる構造とするためのトレーの構造変更やメンテナンスを容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例を示し、トレー式搬送装置の要部側面図。
【図2】図1のII矢視でのトレー式搬送装置のキャリッジの正面図であり、トレーについては、図5のIIa−IIa線断面図。
【図3】図1のトレー式搬送装置のキャリッジの斜視図。
【図4】図1のトレー式搬送装置のキャリッジの平面図。
【図5】図1のトレー式搬送装置のトレーの平面図。
【図6】図5のVI矢視図。
【図7】図5のVII−VII線断面図。
【図8】図5のトレーのベース部の、一部が破断されて示される要部斜視図。
【図9】図2の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の搬送用トレーは、走行路を走行するキャリッジを備える物品搬送装置に備えられて、キャリッジに結合された状態で物品が載置されるものであって、物品を支える剛性を有するベース部と、ベース部の上面を覆っていると共に、載置された物品が接触する載置面を有する上層部と、結合手段によりキャリッジに結合される結合部とを備え、ベース部および上層部が、別個の部材であることにより、載置される物品の種類に応じて異なる構造とするための設計の自由度が大きく、しかもコストが削減されるものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0025】
例えば、本発明の搬送用トレーが結合されるキャリッジが走行する走行路は、鉛直方向での位置が変化しない一次元または二次元の走行路、鉛直方向での位置が変化する三次元の走行路の、いずれであってもよい。
本発明の搬送用トレーを備える物品搬送装置は、該トレーがキャリッジに傾動可能に支持されたもの、トレーが傾動することなく物品を搬送するもの、またはトレーがキャリッジに傾動不能に支持されたものであってもよい。
本発明の搬送用トレーを備える物品搬送装置は、物品仕分装置に備えられるほかに、単に物品搬送装置として使用されてもよい。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例を、図1〜図9を参照して説明する。
本発明の実施例において、図1に示される物品搬送装置(以下、「搬送装置」という。)100は、該搬送装置100により搬送される物品10の搬出部としてのシュート20(図2参照)および傾動作動装置30(図2参照)と共に、物品10を仕分ける物品仕分装置に備えられる。
【0027】
図1〜図3を参照すると、搬送装置100は、物品10が載置される1以上の、本実施例では複数の搬送用トレー200(以下、「トレー200」という。)と、それぞれがトレー200を支持する複数のキャリッジ102と、キャリッジ102が走行する走行路(以下、「走行路」という。)を形成する走行レール103と、キャリッジ102を走行させる電気式の駆動装置としてのリニアモータ104とを備える。
【0028】
そして、搬送装置100の運転時に、すべてのキャリッジ102は、走行方向で隣接するキャリッジ102同士が互いに連結された状態で、リニアモータ104により駆動されて走行路上を走行方向に一斉に走行する。
なお、図1,図2では、図の繁雑化を避けるために、図3において示される樹脂製部材に形成されているリブなどが省略されている。
また、樹脂とは、合成樹脂を意味する。
【0029】
キャリッジ102は、トレー200を支持するトレー支持部材110と、該トレー支持部材110を傾動可能に支持するヨーク120(または、ボディ)と、ヨーク120に対するトレー支持部材110の傾動および非傾動を設定するインデックス部材150と、ヨーク120に支持されると共にヨーク120を走行レール103に沿って走行させる走行ユニット160と、走行方向で隣接するキャリッジ102同士を連結するキャリッジ連結部170とを備える。
【0030】
リニアモータ104は、キャリッジ102を走行させる駆動力を発生する駆動力発生部としての1次側であるコイル部104aと、前記駆動力が作用する駆動力作用部としての2次側であるリアクションプレート104bとを有する。
なお、左右方向は、走行方向に向いているときの左右方向であり、上下方向は、走行方向に直交する平面上で左右方向に直交する方向であり、前後方向は、走行方向における前後方向であり、それぞれ図1,図2に示される方向である。
【0031】
トレー支持部材110は、トレー200がボルト部材250(図9も参照)により着脱可能に取り付けられるトレー取付ベース111と、該トレー取付ベース111に結合されるベース支持体115とを有する。
【0032】
図4を併せて参照すると、ベース支持体115を介してヨーク120に傾動可能に支持されるトレー取付ベース111は、トレー200が取り付けられる矩形状で平板状のベース本体112と、1対の平板状の側板113とが一体成形された、かつその全体がほぼ一様な厚みを有する1つの板状部材としての薄板である。
前後方向に延びて配置されている各側板113により、前後方向に平行な平面内でのトレー取付ベース111の曲げ剛性が高められている。
そして、トレー取付ベース111は、金属(例えば、鉄または軽金属(一例として、アルミニウム))または樹脂(例えば、繊維強化樹脂)により形成されており、本実施例では鉄製である。
【0033】
ベース本体112は、トレー200がボルト部材250により結合される所定数である1以上の、ここでは4つのトレー用結合部112tと、ベース支持体115が結合される1以上の、ここでは2つの前支持用結合部112aおよび後支持用結合部112bから構成される支持用結合部とを有する。
各トレー用結合部112tと各支持用結合部112a,112bとは、上下方向に直交する方向で互いに離隔して配置されている(図4参照)。
【0034】
そして、トレー取付ベース111は、キャリッジ102が走行することに起因して、走行ユニット160を支持するヨーク120が振動し、その振動によりベース支持体115が振動するときに、ヨーク120の振動がベース支持体115を介して伝達されるベース本体112において、各支持用結合部112a,112bと、各トレー用結合部112tとの間で、ベース本体112の弾性変形に基づいて、ベース支持体115の振動に起因する相対変位が可能な部材であるように、その厚みを含む形状が設定されている。
【0035】
ベース支持体115は、ヨーク120の前支持本体130および後支持本体140にそれぞれ傾動可能に支持されると共に、前後方向で離隔して配置されていて、互いに別個の部材である前ベース支持体116および後ベース支持体117から構成される。
後ベース支持体117は、前後方向から見て、図2に示される前ベース支持体116の輪郭と概ね同様の輪郭を有する。
【0036】
前ベース支持体116は、前支持用結合部112aに結合される前ベース側結合部116a(図4において、網掛けが施されている。)と、前支持本体130に傾動可能に結合される前ヨーク側結合部116bとを有する。同様に、前ベース支持体116と同様に後ベース支持体117は、後支持用結合部112bに結合される後ベース側結合部117a(図4において、網掛けが施されている。)と、後支持本体140に傾動可能に結合される後ヨーク側結合部117bとを有する。
一方、各ヨーク側結合部116b,117bは、前支持本体130または後支持本体140に設けられた枢支部としての支持ピン129に、トレー支持部材110の傾動中心線Lt(図2参照)が前後方向に平行となるように枢着されている。
【0037】
前ベース支持体116および後ベース支持体117は樹脂製部材により構成され、トレー取付ベース111と各ベース支持体116,117とは、インサート成形により、各支持用結合部112a,112bに設けられている貫通孔(図示されず)を通じて流入した樹脂によりベース本体112の上面112cおよび下面112dを部分的に覆って形成された各結合部116a,117aにおいて、一体に結合されている。
そして、前後方向に平行に延びて配置されているトレー取付ベース111は、前ベース支持体116および後ベース支持体117を連結することによりトレー支持部材110の剛性を高める補強部材でもある。
【0038】
走行ユニット160により走行路に沿って走行するヨーク120は、トレー支持部材110を支持する支持本体121と、該支持本体121とは別個の部材であって支持本体121に結合されてヨーク120の剛性を高める補強部材としてのヨーク連結部材122と、支持ピン129とを有する。
【0039】
支持本体121は、前後方向で離隔して配置されている前支持本体130および後支持本体140から構成される。樹脂製部材である各支持本体130,140は、樹脂製の本体形成部131,141と、本体形成部131,141を補強する補強部材としての円柱状のロッドからなる芯材132,142(図1参照)とから構成される。
各支持本体130,140の本体形成部131,141を形成している樹脂は、例えば繊維強化樹脂、ポリアミド樹脂である。
芯材132,142は、上下方向に延びている状態で、その少なくとも一部が本体形成部131,141に埋設されている。
【0040】
ヨーク連結部材122は、第1前結合部137および第1後結合部147において両支持本体130,140を連結する円柱状の第1ヨーク連結部材123と、第1ヨーク連結部材123よりも上方に配置されて第2前結合部138および第2後結合部148において両支持本体130,140を連結する円柱状の第2ヨーク連結部材124とを有する。
【0041】
いずれも1つのロッドから構成される第1,第2ヨーク連結部材123,124、芯材132,142および支持ピン129は、金属(例えば、鉄)により形成されている。
そして、前支持本体130および後支持本体140の各本体形成部131,141と、第1,第2ヨーク連結部材123,124、芯材132,142および支持ピン129とは、インサート成形により一体に結合されている。
【0042】
図1〜図4を参照すると、ヨーク120に対してトレー支持部材110を傾動させることによりトレー200を傾動させるトレー傾動部材であるインデックス部材150は、後ベース支持体117に上下方向に揺動可能に支持されている。
インデックス部材150は、非作動位置(図1に実線で示される。)および作動位置(図1に二点鎖線で示される。)との間で揺動可能に移動するインデックス本体としてのレバー151と、ヨーク120に設けられたロッド状のカムガイド153と、レバー151に設けられると共に非作動位置と作動位置との間での揺動するレバー151をカムガイド153との係合により案内するカム154と、レバー151を非作動位置に向けて付勢する付勢部材であるばね155と、後ベース支持体117に保持された状態でレバー151を揺動可能に支持する支持ピン156とを有する。
【0043】
ここで、非作動位置は、当接部152がトレー取付ベース111に当接しない位置であり、レバー151が非作動位置を占めるときに、トレー支持部材110およびトレー200は傾動(または、傾斜)していない基本位置(または、非傾動位置)を占める。この基本位置において、ベース本体112は、上下方向に直交する平面にほぼ平行(例えば、水平状態)になる。
作動位置は、当接部152がトレー取付ベース111に当接する位置である。
【0044】
傾動作動装置30(図2参照)が当接可能なレバー151は、その当接部151cにおいて、トレー取付ベース111に対して、左右方向での一方側としての左側で当接可能である(図4参照)。このため、レバー151がトレー取付ベース111に当接することで、トレー支持部材110は、ヨーク120に対して、左右方向での他方側としての右側に傾動する(図2参照)。
トレー支持部材110の最大傾動量は、ベース支持体115が支持本体121に設けられたストッパ(図示されず)と当接することにより規制される。
【0045】
カムガイド153は、第2ヨーク連結部材124により構成される。カムガイド153を収容可能な凹形状(図2参照)を有するカム154は、カムガイド153との係合により、ばね155が非作動位置にあるレバー151を付勢する状態で、トレー支持部材110が基本位置を維持する。なお、傾動位置にあるレバー151は、傾斜状態にあるトレー200またはトレー支持部材110が、走行レール104に取り付けられて走行路に沿って間隔を置いて配置された戻し用ガイド40(図2参照)と当接することにより、トレー200およびトレー支持部材110が前記基本位置に向かって回動する際に、カムガイド153に当接するカム154に案内されて非作動位置に戻る。
【0046】
キャリッジ102において前支持本体130のみに支持される走行ユニット160は、走行路上を移動する走行体としての1対の走行ローラ161と、走行路に沿ってヨーク120を案内するガイド体としての1対のガイドローラ162と、前支持本体130の走行ユニット支持部135に保持される支持軸163と、支持軸163に回動可能に支持される走行支持体164とを有する。
【0047】
1対の走行ローラ161は、走行支持体164に回転可能に支持されて、走行レール103を転動する。また、1対のガイドローラ162は、走行ユニット支持部135に回転可能に支持されて、走行レール103のガイド面である側面を転動する。
走行支持体164は、上下方向に平行な回動中心軸Lr(図4参照)を中心に回動することにより、各走行ローラ161が回動中心線Lrを中心に回動して(図4に二点鎖線で示される。)、曲線状の走行路に沿って、キャリッジ102の走行方向が変更される。
【0048】
図1,図3,図4を参照すると、キャリッジ連結部170は、前キャリッジ連結部171と、後キャリッジ連結部172と、両キャリッジ連結部171,172を連結するキャリッジ間連結部材173とを有する。
前キャリッジ連結部171は、支持軸163により構成され、前方に連結されるキャリッジ102である前キャリッジ(図示されず)の後キャリッジ連結部172にキャリッジ間連結部材173を介して連結される。
後キャリッジ連結部172は、後支持本体140を前後方向に貫通して後方に延出している第1ヨーク連結部材123の延長部123eにより構成され、後方に連結されるキャリッジ102である後キャリッジ102Bの前キャリッジ連結部171にキャリッジ間連結部材173を介して連結される。
【0049】
キャリッジ間連結部材173は、前キャリッジ連結部171に揺動可能に、かつ着脱可能に取り付けられる前ジョイントとしての第1ジョイントである球面ジョイント174と、前キャリッジ連結部171に着脱可能で、かつ移動不能の状態で取り付けられる後ジョイントとしての樹脂製の第2ジョイント175と、球面ジョイント174および第2ジョイント175を連結する連結部材としての連結ロッド176とを有する。連結ロッド176は、前後方向での長さが調整可能な部材である。
【0050】
図1,図2を参照すると、キャリッジ102は、物品仕分装置が備える位置センサ(例えば、磁歪センサ)により検出される被検出部(例えば、磁石)191(図1参照)を備える。前記位置センサは、例えばリアクションプレート104bに設けられる被検出部191を通じて、キャリッジ102が、走行路において、シュート20が配置された仕分位置に位置することを検出する。
【0051】
そして、前記位置センサにより、予め仕分位置が指定された物品10が載置されたトレー200を支持するキャリッジ102が前記指定された所定位置に到達したことが検出されたとき、仕分位置に配置された傾動作動装置30が作動して、レバー151の操作部151aと当接する。これにより、レバー151は、トレー取付ベース111のベース本体112に向かって揺動してトレー取付ベース111に当接し、トレー支持部材110およびトレー200を傾動させる。そして、トレー200に載置された物品10は、傾動したトレー200からシュート20に投下され、該シュート20により搬送された後にコンテナに収容される。
【0052】
以下、図1を適宜参照しつつ、図2,図5〜図9を参照して、トレー200について詳細に説明する。
図2を参照すると、トレー200は、キャリッジ102のトレー取付ベース111に結合され、物品10(以下、物品10については、図1参照。)は、トレー取付ベース111に結合された状態のトレー200に載置される。
併せて、図5〜図7を参照すると、トレー200は、物品10を支える剛性を有する板状のベース部210と、ベース部210の上面211を覆っている板状の上層部220と、ベース部210の下面212を覆っている板状の下層部である補強層230と、所定数である1以上の、本実施例では複数としての4つの結合手段としてのボルト部材250によりトレー取付ベース111に結合される前記所定数の結合部240と、インデックス部材150の作用に基づく傾動により傾斜した傾動位置を占めるトレー200およびトレー支持部材110を前記基本位置に戻すための1つまたは1対の、本実施例では1対の戻り用当接部材260とを備える。
トレー200は、左右対称および前後対称である形状を有する(図2,図5参照)。
【0053】
図2に示されるように、ベース部210は、前後方向から見てのV字形状を呈して前後方向に延びている板形状をトレー基本形状として有し、載置される物品10の有無に関わらず、および、載置される物品10の最大重量および最小重量の範囲で、このトレー基本形状を実質的に維持する剛性(または、強度)を有する。
【0054】
図8を参照すると、ベース部210は、セル構造材213(例えば、図8に示されるハニカム構造材)により形成されている。セル構造材213は、例えば六角形の多数の柱状空間213bを形成する柱状壁213aを有するハニカム構造体以外に、六角形以外の多角形または円形の多数の柱状空間213bを形成する柱状壁213aを有するものであってもよい。
セル構造材213は、柱状壁213aに結合されると共に柱状空間213bを覆う上被覆板213cおよび下被覆板213dを有する。
ベース部210、すなわちセル構造材213は、発泡体により形成され、本実施例では、樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレン樹脂)からなる発泡樹脂により形成されている。
【0055】
図2,図5,図9を参照すると、ベース部210には、各ボルト部材250のボルト251が収容される前記所定数の結合用収容空間215と、戻り用当接部材260のボルト262が収容される1対の当接部材用収容空間216とが設けられる。
各収容空間215は、各ボルト部材250に対応する位置で、ベース部210を上下方向に貫通している柱状の、ここでは円柱状の貫通孔である。当接部材260と同数の収容空間216のそれぞれは、ベース部210を上下方向に貫通している柱状の、ここでは左右方向に細長い長円柱状の貫通孔である。
【0056】
図2,図5〜図7,図9を参照すると、ベース部210の厚さt1に比べて小さく、かつ均一の厚さt2を有する薄板状の部材である上層部220は、トレー200に載置された物品10が接触する載置面222を有する載置壁221と、載置壁221に連なると共に前後方向および左右方向で載置壁221を全周に亘って囲んでいる周縁壁223とを有する単一の部材である。
載置壁221は、ベース部210を、その少なくとも一部で、本実施例ではその全体で、上方から覆っており、ベース部210に沿ったV字形状を呈する(図2参照)。
【0057】
周縁壁223は、ベース部210から前後方向および左右方向で離隔している(図2,図5参照)。そして、この周縁壁223は、上層部220の前部および後部にそれぞれ位置して、載置面222上での物品10の前方および後方への移動をそれぞれ規制する規制部224a,224bを有する前縁壁223aおよび後縁壁223bと、左右方向での1対の側縁壁223c,223dとを有する。
ベース部210の上面211に、固着されることなく、かつ接触状態にある載置壁221は、図5,図7に示されるように、左右方向に平行に延びている凸条221aが形成されている凹凸壁を有し、したがって載置面222は凹凸面を有する。
【0058】
上層部220は、樹脂により形成されている。さらに具体的には、この樹脂は、低摩擦係数を有する低摩擦係数材料であり、低摩擦係数であることにより、物品10の滑り機能を高めた滑り機能材料である。このため、載置面222は低摩擦係数を有する面である。
ここで、低摩擦係数とは、物品10との間での静摩擦係数が0.5以下の摩擦係数であり、前記低摩擦係数材料は、例えばポロプロピレン樹脂である。
【0059】
図2,図6,図7,図9を参照すると、ベース部210の下面212に接触していて、ベース部210を支持することによりベース部210を補強している補強部としての補強層230は、ベース部210および上層部220のそれぞれの厚さt1,t2に比べて小さく、かつ均一の厚さt3を有する薄板状の補強板である。
図2,図5に示されるように、補強層230は、各収容空間215,216を覆う左右幅および前後幅を有し、左右幅は、ベース部210および上層部220の各左右幅よりも小さい。
【0060】
図2,図9を参照すると、補強層230は、ベース部210の下面212に、固着されることなく接触している状態で、ボルト251により上層部220およびベース部210と一体化されて設けられている。
補強層230は、金属、ここでは鉄により形成されている。
このように、ベース部210、上層部220および補強層230は、互いに別個の部材であり、かつ互いに異なる材料で形成されている。
そして、補強層230は、ベース部210、上層部220および補強層230に分割されている積層構造を有するトレー200を、トレー取付ベース111に固定状態で取り付けるための取付板である。
【0061】
各結合部240は、ベース部210、上層部220および補強層230のうちで、上層部220のみに設けられる上結合部241と、ベース部210、上層部220および補強層230のうちで、補強層230のみに設けられる下結合部245を有する。各結合部241,245は、収容空間215に臨んでいると共に、上下方向から見てベース本体112と重なる位置にある。
【0062】
上結合部241は、上層部220の一部により形成されて、載置面222に対して凹んでいる凹部であり、収容空間215に収容されている。上結合部241のテーパ状の周囲部241aは、ボルト部材250を介して上結合部241に伝達されるキャリッジ102の振動により、弾性変形して変位可能である。周囲部241aは、上結合部241において、後述する座部254およびスペーサ253に挟まれてボルト251およびナット252により締め付けられる締付け部241bの周囲に位置する環状の部分である。
【0063】
下結合部245は、補強層230の一部により形成されて、補強層230におけるベース部210との対向面である上面231に対して凹んでいる凹部であり、ベース本体112に向かって突出していて、その当接部245bにおいてベース本体112に当接している。
下結合部245のテーパ状の周囲部245aは、当接部245bの周囲に位置する環状の部分であり、座部254およびスペーサ253に挟まれてボルト251およびナット252により締め付けられる当接部245bを介してベース本体112から伝達されるキャリッジ102の振動により、弾性変形して変位可能である。
【0064】
キャリッジ102が備えるボルト部材250は、互いに螺合するボルト251およびナット252から構成される結合具と、上結合部241と下結合部245との間に配置されてボルト251が貫通するスペーサ253と、ボルト251の頭部251aと上結合部241との間に配置されて上下方向で頭部251aと上結合部241との接触を防止する座部254とを有する。
ボルト251は、ベース部210と結合されることなく、収容空間215に収容され、かつベース部210と接触することなく、両結合部241,245および収容空間215を貫通した状態で、ベース本体112のトレー用結合部112tの下方でナット252と螺合する。
そして、上層部220および補強層230は、ボルト251およびナット252により、ベース部210に対して着脱可能に結合されている。
【0065】
ボルト251によるベース本体112とトレー200との結合状態で、上結合部241と下結合部245とにより挟持されて上下方向に圧縮され得るスペーサ253は、緩衝材料としてのゴム状弾性を有する材料(例えば、ゴム)から形成されていて、キャリッジ102の振動が下結合部245およびボルト251を介して上結合部241および上層部220へ伝達されることを抑制する。
また、ボルト251の頭部251aと上結合部241とにより挟持されて上下方向に圧縮される座部254は、載置面222上での物品10の滑走の阻害を防止するために、樹脂、好ましくは低摩擦係数材料である樹脂から形成されている。
頭部251aおよび座部254は、トレー200に載置されている、またはトレー200を滑走している物品10との接触が回避されるように、上結合部241を構成する凹部に収容されている。
【0066】
戻り用当接部材260は、物品仕分装置が備える戻し用ガイド40(図2参照)と当接可能な戻り用当接部261と、戻り用当接部261を補強層230に結合するための当接部結合手段としてのボルト262およびナット263とから構成される。
ボルト262は、樹脂製の戻り用当接部261および補強層230を貫通して、収容空間216に収容されているナット263に螺合する。
【0067】
1対の戻り用当接部材260は、左右方向で結合部240を挟んで左右両側に配置されている。これにより、トレー200は、該トレー200が、ヨーク120に右側、左側、および、左右両側にそれぞれ傾動する場合にも使用できる兼用のトレーである。
戻り用当接部材260は、金属製の補強層230に取り付けられているので、ベース部210および上層部220が樹脂製であるトレー200において、戻し用ガイド40との衝突時の衝撃に耐える強度を容易に確保することができる。
【0068】
そして、ヨーク120からトレー支持部材110、補強層230およびボルト251を介してトレー200に伝達されるヨーク120の振動、すなわちキャリッジ102の振動は、緩衝機能を有するスペーサ253により低減されると共に、キャリッジ102の振動により変位可能な下結合部245の柔構造部である周囲部245aおよび上結合部241の柔構造部である周囲部241aにより構成されるトレー200の柔構造での変位により低減する。
【0069】
このとき、キャリッジ102の振動がベース部210に伝達される場合には、両結合部241,245により低減した振動が伝達されることになるので、キャリッジ102の振動が、例えばボルトを介してベース部210に直接伝達される場合に比べて、ベース部210の振動は抑制されたものとなる。
このため、トレー200に載置されている物品10へのキャリッジ102の振動伝達が抑制されて、該振動が物品10に与える影響が低減する。
【0070】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
トレー200は、走行路を走行するキャリッジ102を備える搬送装置100に備えられて、キャリッジ102に結合された状態で物品10が載置されることで、キャリッジ102に結合されたトレー200により、物品10を仕分けるために搬送する。
【0071】
そして、トレー200は、物品10を支える剛性を有するベース部210と、ベース部210の上面211を覆っていると共に、載置された物品10が接触する載置面222を有する上層部220と、ボルト部材250によりキャリッジ102のベース本体112に結合される結合部240とを備え、ベース部210および上層部220は、別個の部材である。
この構成により、トレー200に載置される物品10の種類が異なる場合にも、ベース部210を共通の構成部材として、載置される物品10に応じて要求される機能に好適な上層部220を設けることが可能になるので、載置される物品10の種類に応じて異なる構造とするためのトレー200の設計の自由度が大きくなり、しかも物品10の種類に適したトレー200のコストを削減することができる。
【0072】
結合部240が、ベース部210および上層部220のうちで、上層部220のみに設けられる上結合部241を有し、上結合部241が、ボルト部材250を介して上結合部241に伝達されるキャリッジ102の振動により変位可能であることにより、キャリッジ102とトレー200とを結合するボルト部材250がトレー200において結合される上結合部241は、ベース部210に設けられることなく、ベース部210とは別個の部材である上層部220に設けられ、しかも上結合部241はキャリッジ102の振動により変位する柔構造を構成するので、キャリッジ102からトレー200へのキャリッジ102の振動の伝達が抑制されるため、キャリッジ102の振動によるトレー200の振動が低減して、例えばトレー200の振動により物品10が落下するなど、キャリッジ102の振動がトレー200に載置されている物品10に与える影響を低減することができ、トレー200の防振性能を向上させることができる。
【0073】
さらに、トレー200は、ベース部210を支持する補強層230を備え、結合部240は、補強層230に設けられる下結合部245を有し、下結合部245は、ボルト部材250を介して伝達されるキャリッジ102の振動により変位可能である。
この構成により、ボルト部材250によりトレー200をキャリッジ102に結合するための下結合部245がベース部210の補強層230に設けられるので、トレー200を強固にキャリッジ102に結合することができるうえ、下結合部245はキャリッジ102の振動により変位する柔構造を構成するので、キャリッジ102からトレー200へのキャリッジ102の振動の伝達が抑制されるため、キャリッジ102の振動によるトレー200の振動が低減して、キャリッジ102の振動がトレー200に載置されている物品10に与える影響を低減することができ、トレー200の防振性能を向上させることができる。
【0074】
上層部220が、樹脂で形成されていると共に、ベース部210の厚さt1よりも小さい厚さt2を有し、ベース部210が、発泡樹脂で形成されているセル構造材213により形成されている。
この構成により、上層部220が樹脂で形成されること、および、ベース部210が樹脂であり、しかもセル構造材213により形成されることにより、トレー200を軽量化することができて、キャリッジ102を走行させるための消費エネルギを削減することができる。
また、ベース部210が発泡樹脂により形成されているので、発泡樹脂の緩衝機能により、トレー200への物品10の搬入時における物品10とトレー200との接触に起因する騒音を低減することができ、ひいては搬送装置100の運転時の騒音を低減することができる。
【0075】
上層部220が、低摩擦係数を有する材料により形成されていることにより、インデックス部材150の作用によりトレー200が傾動するときに、および、搬入用コンベヤにより物品10がトレー200が搬入されるときに、載置面222での物品10の滑走が円滑になるので、トレー200における物品10の搬入および搬出の円滑性を向上させることができ、さらに該円滑性の向上により、搬送速度の高速化が可能になって、搬送装置100の搬送効率を向上させることができる。
【0076】
ベース部210には、ボルト部材250がベース部210に結合されることなく収容される収容空間215が設けられていることにより、キャリッジ102の振動は、ボルト部材250を介してベース部210に直接伝達されることがないので、剛性部材であるベース部210へのキャリッジ102の振動の伝達が抑制されるため、キャリッジ102の振動がトレー200に載置されている物品10に与える影響を低減することができて、トレー200の防振性能を向上させることができる。
【0077】
ベース部210および上層部220が、ボルト部材250により互いに着脱可能に結合されていることにより、上層部220とベース部210とを別々に交換することができるので、例えば、物品10の種類に応じた、またはメンテナンスでの、上層部220のみの交換が可能になるなど、載置される物品10の種類に応じて異なる構造とするためのトレー200の構造変更やメンテナンスを容易化することができる。
【0078】
そして、トレー取付ベース111が、両ベース支持体116,117を介してヨーク120に支持されると共に、ベース支持体116,117との支持用結合部112a、112bと、トレー200とのトレー用結合部112tとの間で、ベース支持体116,117の振動に起因する相対変位が可能な部材である。
この構成により、トレー取付ベース111に伝達されるヨーク120の振動は、トレー取付ベース111において支持用結合部112a、112bとトレー用結合部112tとの間で生じる相対変位により低減されるので、トレー200に伝達されるヨーク120の振動が低減して、トレー200に伝達されるキャリッジ102の振動を低減することができる。
【0079】
樹脂製部材である前支持本体130および後支持本体140と補強部材である金属製の第1,第2ヨーク連結部材123,124とがインサート成形により一体に結合され、樹脂製部材である前ベース支持体116および後ベース支持体117と、補強部材である金属製のトレー取付ベース111とがインサート成形により一体に結合されるので、コストを削減することができる。
また、補強部材である第1,第2ヨーク連結部材123,124およびトレー取付ベース111が、いずれも前後方向に延びているので、前後方向に平行な平面内におけるヨーク120、または、ヨーク120およびトレー支持部材110の曲げ剛性を高めることができる。
【0080】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
上層部220および補強層230は、ベース部210に接着剤により接着されてもよい。
ボルト部材250は、キャリッジ102の代わりに、トレー200に備えられてもよい。補強部は、板状以外の形状であってもよい。
上層部220は、ベース部210に施されたコーティングにより形成されてもよい。
載置面222は、上層部220に施されたコーティング(例えば、低摩擦係数の材料)により形成されてもよい。
傾動させないトレー200においては、表層部は、少なくとも載置面222の摩擦係数が、前記低摩擦材料の摩擦係数よりも大きな静摩擦係数を有する材料であってもよい。
ベース部210は、発泡樹脂以外の樹脂により、また、セル構造を有していない板状の構造体により形成されてもよい。
搬送装置100において、複数のキャリッジ102に支持されるトレーは、少なくとも1つのトレー200と、トレー200とは異なる1以上のトレーであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
100・・・物品搬送装置
102・・・キャリッジ
110・・・トレー支持部材
111・・・トレー取付ベース
112・・・ベース本体
120・・・ヨーク
200・・・搬送用トレー
210・・・ベース部
220・・・上層部
222・・・載置面
230・・・補強層
240・・・結合部
241・・・上結合部
245・・・下結合部
250・・・ボルト部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路を走行するキャリッジを備える物品搬送装置に備えられて、前記キャリッジに結合された状態で物品が載置される搬送用トレーにおいて、
前記物品を支える剛性を有するベース部と、前記ベース部の上面を覆っていると共に、載置された前記物品が接触する載置面を有する上層部と、結合手段により前記キャリッジに結合される結合部とを備え、
前記ベース部および前記上層部が、別個の部材であることを特徴とする搬送用トレー。
【請求項2】
前記結合部が、前記ベース部および前記上層部のうちで、前記上層部のみに設けられる上結合部を有し、
前記上結合部が、前記結合手段を介して前記上結合部に伝達される前記キャリッジの振動により変位可能であることを特徴とする請求項1記載の搬送用トレー。
【請求項3】
前記上層部が、樹脂で形成されていると共に、前記ベース部の厚さよりも小さい厚さを有し、
前記ベース部が、発泡樹脂またはセル構造材により形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送用トレー。
【請求項4】
前記物品搬送装置が、前記トレーを傾動させるトレー傾動部材を備え、
前記上層部が、低摩擦係数を有する材料により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の搬送用トレー。
【請求項5】
前記ベース部を支持する補強部を備え、
前記結合部が、前記補強部に設けられる下結合部を有し、
前記下結合部が、前記結合手段を介して伝達される前記キャリッジの振動により変位可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の搬送用トレー。
【請求項6】
前記ベース部には、前記結合手段が前記ベース部に結合されることなく収容される収容空間が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の搬送用トレー。
【請求項7】
前記ベース部および前記上層部が、互いに着脱可能に結合されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の搬送用トレー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103802(P2013−103802A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249008(P2011−249008)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】