説明

搬送紙葉類の汚損度判定装置、及び紙葉類処理装置

【課題】高精度な汚損度判定を行うことができる搬送紙葉類の汚損度判定装置、及び紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の搬送紙葉類の汚損度判定装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、前記搬送路の途中に設けられ、搬送される紙葉類からの反射光を読み取る読取手段と、前記読取手段による紙葉類が存在しないときの出力、及び紙葉類が存在するときの出力との差分を求める差分算出手段と、前記差分算出手段の出力に基づいて紙葉類の外形を抽出する外形抽出手段と、前記外形抽出手段により抽出された紙葉類の外形から、判定領域としての紙葉類の縁領域を設定する縁領域設定手段と、前記縁領域設定手段で設定した縁領域に対応する前記読取手段の出力に基づいて紙葉類の縁領域での汚損度を判定する汚損度判定手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送紙葉類の汚損度判定装置、及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送紙葉類の汚損度判定装置は、搬送路に設けられた光源から搬送紙葉類に照射されたその反射光を受光して紙葉類の物理的特徴を画像情報として取得する。この取得した画像情報を所定の閾値を基準として二値化することにより紙葉類の領域と背景の領域とを分離して紙葉類の外形を抽出して紙葉類の外形を抽出し、紙葉類の汚損度判定を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−164489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、紙葉類にゴミなどが付着している場合や、画像情報を取得する光学系センサが経年変化などにより劣化している場合には、それらが影響し、正確に紙葉類の外形を抽出することが出来ない。従って、この外形情報に基づいて紙葉類の領域を特定して行う汚損度の判定は精度を欠く場合があった。
【0005】
そこで、本発明は高精度な汚損度判定を行うことができる搬送紙葉類の汚損度判定装置、及び紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に請求項1記載の搬送紙葉類の汚損度判定装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、前記搬送路の途中に設けられ、搬送される紙葉類からの反射光を読み取る読取手段と、前記読取手段による紙葉類が存在しないときの出力と紙葉類が存在するときの出力との差分を求める差分算出手段と、前記差分算出手段の出力に基づいて紙葉類の外形を抽出する外形抽出手段と、前記外形抽出手段により抽出された紙葉類の外形から、判定領域としての紙葉類の縁領域を設定する縁領域設定手段と、前記縁領域設定手段で設定した縁領域に対応する前記読取手段の出力に基づいて紙葉類の縁領域での汚損度を判定する汚損度判定手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項6記載の紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、前記搬送路の途中に設けられ、搬送される紙葉類からの反射光を読み取る読取手段と、前記読取手段による紙葉類が存在しないときの出力と及び紙葉類が存在するときの出力との差分を求める差分算出手段と、前記差分算出手段の出力に基づいて紙葉類の外形を抽出する外形抽出手段と、前記外形抽出手段により抽出された紙葉類の外形から、判定領域としての紙葉類の縁領域を設定する縁領域設定手段と、前記縁領域設定手段で設定した縁領域に対応する前記読取手段の出力に基づいて紙葉類の縁領域での汚損度を判定する汚損度判定手段と、前記汚損度判定手段によって判定された汚損度に基づいて前記紙葉類を区分する区分手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度な汚損度判定を行うことができる搬送紙葉類の汚損度判定装置、及び紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る紙葉類処理装置の外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る紙葉類処理装置の構成を示す図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像読取部の構成を概略的に示す図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る判定処理部の構成を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1に係るメモリコントローラの処理動作を示すフローチャート。
【図6】図5に示すメモリコントローラの処理動作によって書き込まれたデータ出力に基づいて取得される画像を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1に係る外形抽出部の処理動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施の形態1に係る外形抽出部の処理動作を説明するための図。
【図9】本発明の実施の形態1に係る紙葉類処理装置の処理動作を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施の形態1に係る判定対象領域の一例を示す図。
【図11】本発明の実施の形態1に係る分割領域、及び評価値テーブルの一例を示す図。
【図12】本発明の実施の形態1に係る重み付けテーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る紙葉類処理装置100の構成を示す図である。紙葉類処理装置100は、例えば、紙幣などの紙葉類を検査して再流通可能な紙葉類か否かを判定して区分して集積する。
【0012】
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に投入部112、操作部136、操作表示パネル137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0013】
投入部112は、紙葉類を投入するための構成であり、重ねられた状態の紙葉類をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示パネル137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示パネル137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示パネル137に表示される釦をオペレータが操作することにより各種操作入力を検知する。
【0014】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉するための構成である。取出口139は、紙葉類処理装置100により検査不能と判断された紙葉類が集積される集積部から紙葉類を取り出すための構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。
【0015】
また、図2に示すように紙葉類処理装置100は、装置内部に投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、紙葉類判定部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備えている。また、紙葉類処理装置100は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する主制御部151を備えている。
【0016】
取出部113は、投入部112の上部に設けられており、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、例えば、1回転する毎に1枚の紙葉類を取り出すように機能し、紙葉類を一定のピッチで取り出すことができる。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類は、搬送路115に受渡される。
【0017】
搬送路115は、紙葉類を紙葉類処理装置100内の各部に搬送するための構成である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えており、図示しない駆動モータにより搬送ベルトを駆動させ、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。また、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0018】
取出部113から伸びた搬送路115上には、紙葉類判定部116が設けられている。紙葉類判定部116は、画像情報読取部、厚み検査部、蛍光検出装置、及び磁気センサなどの各種検出部、及びこの各種検出部による検出結果に基づいて紙葉類の光学的特徴情報、磁気的特徴情報、及び蛍光印刷情報を検出し、紙葉類の種類、紙葉類の汚損度、紙葉類の表裏、紙葉類の真偽を判定する判定処理部を有して構成されている。
【0019】
画像情報読取部は、搬送路115を搬送される紙葉類の両面(表面、及び裏面)の反射光を読み取ることが出来る(詳細は、図3参照。)。
【0020】
詳細は後述するが、本実施の形態において紙葉類の汚損度判定は、紙葉類の外形を抽出し、この抽出した紙葉類の外形から紙葉類の縁領域を設定してその縁領域での紙葉類の汚損度を判定する。
【0021】
主制御部151は、紙葉類判定部116による判定結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御し、搬送路115を搬送される紙葉類を所定の処理部に搬送するよう制御する。
【0022】
紙葉類判定部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。主制御部151は、紙葉類判定部116による判定の結果、正規の紙葉類ではないと判定された紙葉類(排除券)、または、紙葉類判定部116によって検査を行うことが出来ないと判定された紙葉類(検査不能券)を排除搬送路126に搬送するようにゲート120を切り替える。
【0023】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部127が設けられており、上述した排除券、及び検査不能券を集積する。オペレータは、排除集積部127に集積された紙葉類を取出口139から取り出すことができる。
【0024】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(以下、総称して、集積・結束部132とする)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、紙葉類判定部116により再流通可能であると判定された紙葉類(正券)が紙葉類の種類及び紙葉類の表裏ごとに区別されて集積される。この集積された紙葉類は所定枚数ごとに結束して排出する。
【0025】
ゲート125により分岐される下流側には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類を裁断して格納する。なお、ゲート125に搬送される紙葉類は、紙葉類判定部116による判定の結果、再流通不可能であると判定された紙葉類(損券)である。また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、上記した損券を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、損券をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0026】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類の枚数、及び裁断部133により裁断された紙葉類の枚数を計数する。
【0027】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司り、操作・表示パネル137により入力される操作信号、及び紙葉類判定部116による判定結果に基づき、紙葉類の搬送、及び集積を制御する。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態1に係る画像情報読取部の構成を概略的に示す図である。
【0029】
図3において紙葉類は、その表面を上にした状態で搬送路115を図示矢印方向(図中左から右)へ搬送ベルトによって挟持搬送される。搬送路115上には、搬送される紙葉類の表面に、可視光の光を照射する光源13、及びこの光源13の光照射による紙葉類表面からの反射光を受光して電気信号に変換する光電変換素子としてのイメージセンサ14が設けられ、画像情報読取部を構成している。例えば、イメージセンサ14には、紙葉類の搬送方向と直交する方向に多数のセンサが併設されたラインイメージセンサが用いられる。
【0030】
イメージセンサ14において受像された紙葉類表面の反射光は、電気信号に変換された後、判定処理部15に送信される。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態1に係る判定処理部の構成を示す図である。前処理部21、前処理部21にデータバス22を介して接続される記憶部23、上述した紙葉類の判定処理を行うCPU(Central Processing Unit)24から構成されている。
【0032】
前処理部21は、イメージセンサ14の出力信号をA/D(アナログ/デジタル)変換するA/D変換部25、A/D変換部25から出力されたデータを記憶部23に書き込むメモリコントローラ26、紙葉類の外形を抽出する外形抽出部27を有して構成されている。
【0033】
イメージセンサ14によって取得された電気信号は、ハードウェアで構成される前処理部21内のA/D変換部25においてアナログ信号からデジタル信号へと変換される。変換されたデジタル信号は、メモリコントローラ26に送信される。メモリコントローラ26は、A/D変換部25から出力されたデータを記憶部23へ書き込む。一旦、記憶部23に書き込まれたデータは外形抽出部27によって読み出され、紙葉類の外形が抽出される。
【0034】
また、記憶部23には、後述する外形情報テーブルTB1、評価値テーブルTB2、及び重みづけテーブルTB3などの種々のデータが記憶されている。
【0035】
図5は、本発明の実施の形態1に係るメモリコントローラの処理動作を説明するフローチャートである。以下、メモリコントローラ26の行う処理動作について説明する。メモリコントローラ26は、受信したデジタル信号を図5のフローチャートに示すようにステップSt1、St2、及びSt3の処理を行うことにより、イメージセンサ14のライン毎に記憶部23に書き込む。例えば、イメージセンサ14の1ライン分の画素数が256画素で、1画素が8ビットのデータに相当する場合、1ライン分のデータは256バイトとなる。この場合、メモリコントローラ26では、1ラインずつデジタル信号を256番地ずつインクリメントしながら繰り返し記憶部23に対して書き込む。
【0036】
このとき、メモリコントローラ26は、1ライン分のデータを書き込む毎に記憶部23の位置(アドレス)を一意に決定するパラメータ、例えば、先頭画素を書き込む記憶部23のアドレス値(以後、これを書込領域アドレスポインタと呼ぶ)をインクリメントする。図6に図5に示すメモリコントローラの処理動作によって記憶部23に書き込まれたデータの出力に基づいて取得される画像を示す。図中、紙葉類の搬送方向をY軸、紙葉類の搬送方向と直交する方向をX軸として示した。
【0037】
図7は、本発明の実施の形態1に係る外形抽出部の処理動作を説明するフローチャートである。図8は、本発明の実施の形態1に係る外形抽出部の処理動作を説明するための図である。
【0038】
以下、図6乃至図8を参照して外形抽出部27の行う処理動作について説明する。外形抽出部27は、該当する書込領域アドレスポインタを参照して記憶部23からデータを取得し、取得した画像に基づいて、紙葉類が存在しないときのラインlにおける背景の輝度情報(以下、背景情報とする。)を取得する(St101)。次に、記憶部23から紙葉類が存在するときのラインlの輝度情報を取得する(St102)。図8(a)にSt101において取得されたラインlにおける輝度情報の一例を示す。図8(b)にSt102において取得されたラインlにおける背景情報の一例を示す。
【0039】
ここで、紙葉類が存在しないときのラインをl、紙葉類が存在するときのラインラインlとして示す。紙葉類が存在するかしないかは、図3に示すイメージセンサ14よりも紙葉類の搬送方向手前に通過検出センサを設けておき、この通過検出センサで紙葉類を検出したタイミングで紙葉類の存在しないとき(つまり、図6中のラインl)でのデータを取得すれば良い。
【0040】
St101、及びSt102における処理動作の後、St101において取得されたラインlでの背景情報と、St102において取得されたラインlにおける輝度情報との差分を求めることによりラインlにおける差分情報を取得する(St103)。つまり、1ラインの各画素の輝度情報の差分を求める。図8(c)にSt103において取得された差分情報の一例を示す。
【0041】
St103においてラインlにおける差分情報を取得した後、この差分情報に基づいて紙葉類の端点の画素番号を求める(St104乃至St109)。
【0042】
ここで、紙葉類の端点の画素番号の導出について説明する。先ず、St103において取得された差分情報と予め設定された所定の輝度の閾値(以下、この閾値を第1の閾値とする)との大小に基づいて領域を第1の閾値以上の領域と、それ未満との領域とに分離する(St104)。
【0043】
St104において分離された領域の境界点の画素の座標をX´sn、X´en(図8(c)参照)とする(ただし、X´sn<X´enとする)。
【0044】
差分情報のうち第1の閾値以上として分離された領域(St104のYesの領域:領域A)に対して、当該領域内の各画素をその画素の隣接画素を用いて補間を行う(St105)。このSt105における補間処理は領域A内の全画素について行われる(St105、St106)。
【0045】
ここで、補間処理を行うのは、例えば、紙葉類の一部にゴミなどが付着することによって生じた特定画素の輝度情報の影響を分散させるためである。つまり、特定画素の輝度情報の数値がその隣接画素と極端に違う数値である場合、全体の傾向から推測して近似することにより、特定画素の影響を分散させることができる。
【0046】
また、St105における補間を領域Aのみを対象とし、領域Bに対して行わないのは、紙葉類領域は、紙葉類の存在しない領域と比較して輝度情報にばらつきがある可能性が高いためである。また、補間の対象を領域Aに限定することにより補間処理の効率を高めることができる。
【0047】
St105における補間処理が領域A内の全画素について行われた後、補間後のラインlにおける輝度情報と、上述したラインlにおける背景情報との差分である補間後の差分情報を取得する(St107)。図8(d)にSt107において取得された補間後の差分情報の一例を示す。
【0048】
St107において取得された補間後の差分情報と予め設定された所定の輝度の閾値(以下、この閾値を第2の閾値とする)とに基づいてSt104と同様にして更に領域を分離する(St108)。
【0049】
つまり、補間後の差分情報のうち第2の閾値以上の輝度の領域(St108のYesの領域:領域A´)と、補間後の差分情報のうち第2の閾値未満の輝度の領域(St108のNoの領域:領域B´)とに分離する。
【0050】
St108における領域の分離によって、補間後の差分情報のうち第2の閾値以上の輝度の領域(領域A´)を紙葉類領域であると判定し(St109)、補間後の差分情報のうち第2の閾値未満の輝度の領域(領域B´)、及び差分情報のうち第1の閾値未満の輝度の領域(領域B)を背景領域であると判定する(St110)。
【0051】
St109、及びSt110において判定された紙葉類領域、及び背景領域との境界点の画素番号を紙葉類の端点を示す点の位置を示す座標として求める(St111)。例えば、図8(d)に示すようにラインlにおける紙葉類の端点の画素番号は、Xsn、Xenとする(ただし、Xsn<Xenとする)。
【0052】
St111において求められたラインlにおける紙葉類の端点の画素番号Xsn、Xen、を該当の書込領域アドレスポインタの値とともに記憶部23に記憶する(St112)。
【0053】
St112において記憶部23に記憶した後、同様にして全ライン(図6に示すl:n=s〜e)における紙葉類の端点の画素番号を導出して、該当の書込領域アドレスポインタの値とともに記憶部23に記憶する(St113のNo:St101〜St112の処理を繰り返す)。
【0054】
つまり、紙葉類の端点の画素番号が得られなくなったことを監視するなどして紙葉類の外形の抽出処理を完了する(St113のYes、St114)。
【0055】
次に、図7に示す動作処理により抽出した紙葉類の外形に基づいて、紙葉類の縁領域の汚損度の判定を行う動作処理について説明する。
【0056】
図9は、本発明の実施の形態1に係る縁領域の汚損度の判定処理を説明するフローチャートである。
【0057】
CPU24は、図7に示す処理により取得された紙葉類の外形に基づいて、紙葉類の汚損度の判定に必要な画像情報が存在する紙葉類上の縁領域(以下、この領域を判定対象領域Eとする。)を算出し、この算出した判定対象領域内の画像情報を記憶部23から読み出して、紙葉類の縁領域の汚損度判定を行う。
【0058】
すなわち、CPU24は、記憶部23から紙葉類の外形を読み出す(St201)。St201において読み出された紙葉類の外形から判定対象領域Eを算出する(St202)。
【0059】
本実施の形態では、紙葉類の汚損度の判定に必要な画像情報が存在する判定対象領域Eが紙葉類の外形から起算して12画素(約5mm)の紙葉類の縁領域を判定対象領域Eとし、その判定対象領域Eの一例を図10に示す。
【0060】
St202の後、外形情報テーブルTB1に記憶された書込領域アドレスポインタを参照して記憶部23からSt202において算出された判定対象領域E内の画像を読み出す(St203)。
【0061】
次に、St203において読み出された判定対象領域Eの画像を所定数の小領域に分割する(St204)。本実施の形態では、図11(a)に示すように判定対象領域Eを30個の領域(D〜D30)に分割した場合を示したが、領域の分割数は任意に設定可能である。この分割後の各領域を分割領域D(i:領域番号)とする。
【0062】
続いて、St204において分割された判定対象領域Eの分割領域Dから判定対象領域Eの汚損度Pを判定する(St205)。
【0063】
本実施の形態では、判定対象領域Eの汚損度Pは、各分割領域Dの輝度に基づく評価値a及び予め設定された分割領域重みづけ値wを用いて下式により導出される。
【数1】

【0064】
分割領域Dの評価値aは、分割領域Dの輝度に基づいて設定されている。例えば、本実施の形態では図11(b)に評価値テーブルTB2として示したように分割領域Dの輝度が「最明」と判定された場合「5」、「明」と判定された場合を「4」、「中間」と判定された場合を「3」、「やや暗」と判定された場合を「2」、「暗」と判定された場合を「1」とする。
【0065】
また、重み付け値wは、例えば、図12に示した重み付けテーブルTB3に示すうように予め任意に各分割領域Dに対して設定される。
【0066】
紙葉類に角折れがあったときの影響を少なくするように紙葉類の四隅の分割領域の重みを小さくし、折り目による影響を小さくなるように長さ方向の中央部の分割領域の重みも小さくしている。
【0067】
本実施の形態では、(式1)に基づいて次のように紙葉類の縁領域の汚損度Pが導出される。
【数2】

【0068】
算出された紙葉類の判定対象領域Eの汚損度Pにより、汚損度が高いと判定された紙葉類は主制御部151の制御に基づいて再流通不可能であるとして排除集積部127にリジェクトされる。一方、汚損度が低いと判定された紙葉類は、再流通可能であるとして主制御部151の制御に基づいて集積・結束部128〜131を制御し、紙葉類の集積、及び結束がなされる(St206)。
【0069】
以上のように本発明の実施の形態1によれば、搬送された各紙葉類の画像から紙葉類が存在しないときの画像情報読取部の出力を基に、紙葉類の外形を抽出し、その紙葉類の外形を元に汚損度の判定領域として縁領域を設定して、縁領域での汚損度の判定を行うため、高精度な汚損度判定を行うことができる。
【0070】
また、紙葉類が搬送される度にラインlにおける背景情報を更新するため、搬送系や光学系などの経時的な影響を回避することができるため、高精度な紙葉類の汚損度の判定を行うことができる。
【0071】
更に、紙葉類の縁領域に任意に重み付け値を設定し、その値を基に汚損度を判定するため、顧客の要求に応じて縁領域中の更に特定した領域に注目した汚損度の判定をすることができる。
【0072】
なお、本実施の形態においては、領域Aの各画素に対してその隣接画素を用いて補間を行った場合を説明したが、補間を行わずSt104において分離された領域の境界点の画素の座標X′sn、X′enを紙葉類の端点の画素番号として導出してもよい。
【0073】
なお、本実施の形態では、紙葉類の表側の画像情報のみを基に汚損度判定を行う例を説明したが、紙葉類の裏側の画像情報のみを基に汚損度判定を行っても良いし、紙葉類の表側、裏側両方の画像情報を基に汚損度判定を行うものであっても良い。
【0074】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。さらに異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0075】
100 紙葉類処理装置
15 判定処理部
21 前処理部
23 記憶部
24 CPU
25 A/D変換部
26 メモリコントローラ
27 外形抽出部
112 投入部
113 取出部
114 吸着ローラ
115 搬送路
116 紙葉類判定部
120〜125 ゲート
126 排除搬送路
127 排除集積
134 スタッカ
136 操作部
137 操作表示パネル
138 ドア
139 取出口
140 キーボード
151 主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路の途中に設けられ、搬送される紙葉類からの反射光を読み取る読取手段と、
前記読取手段による紙葉類が存在しないときの出力と紙葉類が存在するときの出力との差分を求める差分算出手段と、
前記差分算出手段の出力に基づいて紙葉類の外形を抽出する外形抽出手段と、
前記外形抽出手段により抽出された紙葉類の外形から、判定領域としての紙葉類の縁領域を設定する縁領域設定手段と、
前記縁領域設定手段で設定した縁領域に対応する前記読取手段の出力に基づいて紙葉類の縁領域での汚損度を判定する汚損度判定手段と、
を有することを特徴とする搬送紙葉類の汚損度判定装置。
【請求項2】
前記縁領域設定手段は、
前記縁領域を複数の分割領域に分割する分割手段を有し、
前記汚損度判定手段は、
各分割領域での汚損度を判定し、全ての分割領域での汚損度を総合して汚損度を判定することを特徴とする請求項1記載の搬送紙葉類の汚損度判定装置。
【請求項3】
前記縁領域設定手段は、
縁領域を複数の分割領域に分割するとともに各分割領域に重み付けを行う手段を有し、
前記汚損度判定手段は、
それぞれの分割領域での汚損度と重みとに基づいて全ての分割領域での汚損度を総合して汚損度を判定することを特徴とする請求項1記載の搬送紙葉類の汚損度判定装置。
【請求項4】
前記読取手段は、
前記紙葉類の搬送方向に略直交する方向に配設されるラインセンサを有し、
前記差分算出手段は、
前記ラインセンサの出力に基づいて紙葉類が存在しないときの出力と紙葉類が存在するときの出力との差分を求め、
前記外形抽出手段は、
前記差分算出手段の出力に基づいて紙葉類の端点位置を求め、前記端点位置から紙葉類の外形を抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の汚損度判定装置。
【請求項5】
前記外形抽出手段は、
前記差分算出手段の出力を補間する補間手段を更に有することを特徴とする請求項4記載の汚損度判定装置。
【請求項6】
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路の途中に設けられ、搬送される紙葉類からの反射光を読み取る読取手段と、
前記読取手段による紙葉類が存在しないときの出力と紙葉類が存在するときの出力との差分を求める差分算出手段と、
前記差分算出手段の出力に基づいて紙葉類の外形を抽出する外形抽出手段と、
前記外形抽出手段により抽出された紙葉類の外形から、判定領域としての紙葉類の縁領域を設定する縁領域設定手段と、
前記縁領域設定手段で設定した縁領域に対応する前記読取手段の出力に基づいて紙葉類の縁領域での汚損度を判定する汚損度判定手段と、
前記汚損度判定手段によって判定された汚損度に基づいて前記紙葉類を区分する区分手段と、
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−79066(P2012−79066A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223194(P2010−223194)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】