説明

搬送装置、インクジェット記録システム及びインクジェット記録方法

【課題】搬送対象の物品を好適に搬送することができる搬送装置、搬送装置を有するインクジェット記録システム、及び、インクジェット記録システムで実行されるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送装置1は、複数の搬送ローラ10と、直交方向の第一の側及び第二の側のうちの第一の側に設けられ、搬送中の物品3の基準側面部に接し、直交方向において、搬送中の物品3の位置決めをする第一ガイドローラ90とを有する。複数の搬送ローラ10は、回転軸22と傾斜ローラ本体24とを有し、回転軸22が、搬送中の物品3を第一の側に斜行させる方向に傾斜した傾斜ローラ20を含む。傾斜ローラ20は、物品3の基準側面部が第一ガイドローラ90に接した状態で、物品3が第一ガイドローラ90から受ける反力に応じて、傾斜ローラ本体24を、回転軸22の軸方向において、第二の側に移動させる移動機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、搬送装置を有するインクジェット記録システム、及び、インクジェット記録システムで実行されるインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品を搬送するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の塗装装置は、建築板の幅方向についておよその位置を決める第1位置決め部と、建築板の幅方向の位置をさらに正確に決める第2位置決め部とを備える。第1位置決め部および第2位置決め部を通り幅方向の位置決めがなされた建築板は塗装部に搬送される。第1位置決め部には、搬送装置を構成するローラコンベアが配置されている。ローラコンベアは、複数本のローラを搬送方向に配列した構成を有し、建築板の搬送方向に対しては傾斜するように配置される。ローラコンベアには建築板の幅方向の一側面が当接する多数個の位置決めロールが配置される。位置決めロールは上下方向の回転軸を有し搬送方向に列設される。第1位置決め部では、複数本のローラが前述のように傾斜するように配置されるため、建築板は、位置決めロールの側に建築板が付勢される。
【0003】
特許文献1とは異なる技術も提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−98647号公報
【特許文献2】特開2010−254436号公報
【特許文献3】特開2004−250215号公報
【特許文献4】特開2010−550号公報
【特許文献5】実開平1−121020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来の技術によれば、搬送中の物品を、搬送方向に直交する直交方向において位置決めすることができる。しかし、搬送中の物品が位置決めのための構成に接した状態において、物品には、この構成からの反力が作用する。そのため、ローラの外周面と、これに接した物品の下面との間に、擦れが生じる。物品の種類によっては、この擦れによって物品の品位が低下することもあり得る。
【0006】
本発明は、搬送対象の物品を好適に搬送することができる搬送装置、搬送装置を有するインクジェット記録システム、及び、インクジェット記録システムで実行されるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、物品を、上流側から下流側へ向かう搬送方向に搬送する搬送装置であって、前記搬送方向に隣り合う状態で設けられ、物品を前記搬送方向に搬送するための複数の搬送ローラと、前記搬送方向に直交する直交方向の第一の側及び第二の側のうちの前記第一の側に設けられ、搬送中の物品の側面のうち、基準とされる基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第一位置決め部と、を有し、前記複数の搬送ローラは、少なくとも、回転軸と、傾斜ローラ本体と、を有し、前記回転軸が、搬送中の物品を前記第一の側に斜行させる方向に傾斜した第一状態とされた傾斜ローラを含み、前記傾斜ローラは、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態で、物品が前記第一位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記回転軸の軸方向において、前記第二の側に移動させる移動機構を有する、搬送装置である。
【0008】
これによれば、搬送中の物品を斜行させ、直交方向における物品の位置決めを行う際に、傾斜ローラ本体と、この傾斜ローラ本体に接する物品の下面との間に生じる擦れを防止することができる。この搬送装置によって搬送対象とされる物品は、広く解釈される。例えば、主たる搬送対象が、搬送ローラに載せ置かれて搬送される場合、物品は、この主たる搬送対象である。また、主たる搬送対象が、直接、搬送ローラに載せ置かれたパレットにセットされ、搬送対象とパレットとが共に搬送される場合、物品は、このパレットを含む。この場合、第一位置決め部に接する、物品の基準側面部は、少なくとも、主たる搬送対象の側面の一部、又は、このパレットの側面の一部である。
【0009】
この搬送装置は、次のような構成とすることもできる。前記移動機構は、前記第一の側に設けられ、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第二の側に移動させるための付勢力を生じさせる第一付勢部と、前記第二の側に設けられ、前記第一付勢部による付勢力と反対方向の付勢力を生じさせる第二付勢部と、を有する、ようにしてもよい。これによれば、傾斜ローラ本体を、好適に移動させることができる。
【0010】
また、前記傾斜ローラは、前記傾斜ローラ本体を構成し、前記第一の側に設けられ、前記回転軸が挿入された状態で、前記回転軸に対して前記軸方向に摺動する第一摺動部と、前記傾斜ローラ本体を構成し、前記第二の側に設けられ、前記回転軸が挿入された状態で、前記回転軸に対して前記軸方向に摺動する第二摺動部と、前記傾斜ローラ本体を構成し、前記第一の側において前記第一摺動部に嵌合され、前記第二の側において前記第二摺動部に嵌合される筒状のカラーと、を有し、前記移動機構において、前記第一付勢部は、前記第一摺動部を付勢し、前記第二付勢部は、前記第二摺動部を付勢する、ようにしてもよい。
【0011】
これによれば、摺動抵抗を低減し、傾斜ローラ本体を、好適に移動させることができる。物品の下面を擦ることなく、傾斜ローラ本体が、第二の側に移動するためには、傾斜ローラの第二の側への摺動抵抗と、第一付勢部及び第二付勢部の付勢力の合力との和が、傾斜ローラと物品との間の摩擦抵抗よりも小さくなる必要がある。傾斜ローラを、分割された第一摺動部及び第二摺動部によって構成し、これらに回転軸が挿入された状態とすることで、回転軸に対して摺動する部材の同心度を考慮する必要性が低減し、その摺動抵抗を小さくすることができる。その結果、より好適に、傾斜ローラ本体と、この傾斜ローラ本体に接する物品の下面との間に生じる擦れを防止することができる。
【0012】
また、前記搬送装置は、さらに、前記第二の側に設けられ、搬送中の物品の基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第二位置決め部と、前記第一状態とされた、前記傾斜ローラにおける前記回転軸が、搬送中の物品を前記第二の側に斜行させる方向に傾斜した第二状態に切り替える切替機構と、を有し、前記移動機構は、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態で、物品が前記第二位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第一の側に移動させる、ようにしてもよい。これによれば、物品の位置決めを、直交方向における搬送装置の両側で行うことができる。
【0013】
本発明の他の側面は、上述した何れかの搬送装置と、前記搬送装置で、搬送中の物品が位置決めされた状態で、前記搬送装置によって、さらに搬送される物品の前記搬送ローラに対向する下面と反対側の上面に、インクを吐出し、画像を記録するインクジェット記録部と、を有する、インクジェット記録システムである。これによれば、好適に位置決めされた状態で、画像を好適に記録することが可能となり、好適な画像品質の物品を得ることができる。
【0014】
本発明のさらに他の側面は、上流側から下流側へ向かう搬送方向に隣り合う状態で設けられ、物品を前記搬送方向に搬送するための複数の搬送ローラと、前記搬送方向に直交する直交方向の第一の側及び第二の側のうちの前記第一の側に設けられ、搬送中の物品の側面のうち、基準とされる基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第一位置決め部と、を有し、前記複数の搬送ローラは、少なくとも、回転軸と、傾斜ローラ本体と、を有し、前記回転軸が、搬送中の物品を前記第一の側に斜行させる方向に傾斜した第一状態とされた傾斜ローラを含み、前記傾斜ローラは、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態で、物品が前記第一位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記回転軸の軸方向において、前記第二の側に移動させる移動機構を有する、搬送装置と、前記搬送装置で、搬送中の物品が位置決めされた状態で、前記搬送装置によって、さらに搬送される物品の前記搬送ローラに対向する下面と反対側の上面に、インクを吐出し、画像を記録するインクジェット記録部と、を有する、インクジェット記録システムで実行されるインクジェット記録方法であって、前記搬送装置の上流側において、物品の第二面が下面となる状態で、前記搬送装置の搬送面に物品を載せ置く第一セット工程と、載せ置かれた物品を、上流側から下流側に搬送する第一搬送工程と、搬送中の物品を、前記傾斜ローラによって前記第一の側に斜行させ、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態とし、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第一位置決め工程と、位置決めされた搬送中の物品の第二面と反対側の第一面に、インクを吐出し、画像を記録する第一インクジェット記録工程と、を含み、前記第一位置決め工程は、さらに、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態で、物品が前記第一位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第二の側に移動させる第一移動工程を含む、インクジェット記録方法である。これによれば、好適に位置決めされた状態で、画像を好適に記録することが可能となり、好適な画像品質の物品を得ることができる。
【0015】
このインクジェット記録方法は、次のような構成とすることもできる。前記インクジェット記録方法は、前記第二の側に設けられ、搬送中の物品の基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第二位置決め部と、前記第一状態とされた、前記傾斜ローラにおける前記回転軸が、搬送中の物品を前記第二の側に斜行させる方向に傾斜した第二状態に切り替える切替機構と、を有し、前記移動機構は、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態で、物品が前記第二位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第一の側に移動させる、前記搬送装置を有する、前記インクジェット記録システムで実行され、前記インクジェット記録方法は、さらに、前記切替機構を、前記第一状態から前記第二状態に切り替える切替工程と、第一面に画像が記録された物品を、前記直交方向に反転させ、前記搬送装置の上流側において、物品の第一面が下面となる状態で、前記搬送面に物品を載せ置く第二セット工程と、載せ置かれた物品を、上流側から下流側に搬送する第二搬送工程と、搬送中の物品を、前記傾斜ローラによって前記第二の側に斜行させ、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態とし、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第二位置決め工程と、位置決めされた搬送中の物品の第二面に、インクを吐出し、画像を記録する第二インクジェット記録工程と、を含み、前記第二位置決め工程は、さらに、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態で、物品が前記第二位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第一の側に移動させる第二移動工程を含む、ようにしてもよい。
【0016】
これによれば、搬送方向に対する物品の先頭位置と、基準側面部とを、第一面への画像の記録の際と、第二面への画像の記録の際の両時において、同一とすることができる。第一面及び第二面の何れについても、好適に位置決めされた状態で、画像を好適に記録ことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送対象の物品を好適に搬送することができる搬送装置、搬送装置を有するインクジェット記録システム、及び、インクジェット記録システムで実行されるインクジェット記録方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】搬送装置の概略構成の一例を示す図であって、物品が、搬送装置の斜行領域を、搬送方向に直交する直交方向のうち、第一の側に斜行する状態を示す図である。
【図2】搬送装置の概略構成の一例を示す図であって、物品が、搬送装置の斜行領域を、直交方向のうち、第二の側に斜行する状態を示す図である。
【図3】傾斜ローラ、第一ガイドローラ及び第二ガイドローラの概略構成の一例を示す図である。
【図4】傾斜ローラの傾斜角度を切り替えた場合における傾斜ローラの状態を説明する図である。
【図5】第一直行ローラ、第一ガイドローラ及び第二ガイドローラの概略構成の一例を示す図である。
【図6】インクジェット記録システムの概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0020】
<搬送装置>
搬送装置1について、図1〜図3等を参照して説明する。なお、図1及び図2は、搬送装置1を、上方から視認した図(平面図)である。図3は、搬送装置1を、搬送方向の上流側から視認した状態に対応した部分断面図である。図3におけるハッチングは、断面を示すものである。
【0021】
搬送装置1は、ローラコンベアである。搬送装置1は、所定の物品3を、搬送装置1の上流側から下流側に搬送する。物品3としては、数ミリ程度〜数十センチ程度の厚みを有する物品が例示される。具体的に、物品3としては、コンクリートブロック、サイディング材(建築板)、段ボール箱、鋼板、ガラス板等の産業資材等が例示される。この他、物品3には、所定の商品(梱包された状態を含む)等が例示される。ユーザは、搬送装置1の上流側において、搬送対象の物品3を、搬送装置1に載せ置く。例えば、搬送装置1が、後述するインクジェット記録システム7に採用される場合、ユーザは、画像が記録される面が、上側となるようにして、物品3を搬送装置1に載せ置く。この点に関する説明は、後述する。搬送装置1における搬送では、パレット5を用いてもよい。この場合、物品3は、図3及び図5に示すように、搬送装置1に直接載せ置かれたパレット5上に載せ置かれる。なお、図1及び図2では、パレット5は、図示されていない。
【0022】
搬送装置1は、図1及び図2に示すように、複数の搬送ローラ10と、複数の第一ガイドローラ90と、複数の第二ガイドローラ92と、切替機構100とを有する。複数の搬送ローラ10は、搬送方向に隣り合う状態で設けられ、物品3を搬送方向に搬送する。複数の搬送ローラ10は、それぞれ、搬送方向に対応した方向に回転し、これによって物品3は、搬送方向に搬送される。複数の搬送ローラ10は、それぞれ、不図示のタイミングベルトに接続されている。タイミングベルトには、モータ等の駆動源が接続されている。複数の搬送ローラ10の搬送方向に対応した方向への回転は、駆動源が駆動し、これに伴い、タイミングベルトが搬送方向に対応した方向に回転し、この回転による駆動力が、複数の搬送ローラ10に伝達されて行われる。
【0023】
複数の搬送ローラ10は、複数の傾斜ローラ20と、複数の第一直行ローラ50と、第二直行ローラ80とに分類される。なお、本実施形態において、搬送ローラ10は、傾斜ローラ20、第一直行ローラ50及び第二直行ローラ80を総称するものである。図1及び図2に示す例では、4本の傾斜ローラ20と、3本の第一直行ローラ50と、3本の第二直行ローラ80との合計10本の搬送ローラ10が、図示されているが、これら本数は、例示であり、傾斜ローラ20、第一直行ローラ50及び第二直行ローラ80の本数は、それぞれ、搬送方向における搬送装置1の全長(搬送距離)等に基づき適宜決定される。
【0024】
図1及び図2に示す搬送装置1では、複数の傾斜ローラ20による斜行領域110は、複数の第一直行ローラ50による導入領域112と、複数の第二直行ローラ80による送出領域114との間に形成されている。なお、導入領域112と、斜行領域110と、送出領域114とは、物理的に分離した複数の搬送機構によって形成されてもよい。この場合、搬送装置1は、複数の搬送機構を組み合わせて形成される。
【0025】
斜行領域110において、複数の傾斜ローラ20は、それぞれ、回転軸22が、搬送方向に直交する直交方向に対して(図1、図2及び図4に示す「基準線K」参照)、所定の角度θ1(図1参照)又は角度θ2(図2参照)だけ傾斜した状態で設けられている。角度θ1,θ2は、直交方向を基準とした方向が相違するが、その大きさ(絶対値)は同一又は同程度である。角度θ1,θ2は、それぞれ、斜行させる量等を考慮して、適宜設定される。角度θ1,θ2は、数度〜十数度の範囲、例えば、5°程度に設定される。
【0026】
導入領域112において、複数の第一直行ローラ50は、それぞれ、回転軸52が、直交方向に一致するような状態、具体的に、直交方向に対する角度が0°となるような状態で設けられている。同じく、送出領域114において、複数の第二直行ローラ80は、それぞれ、回転軸82が、直交方向に対する角度が0°となるような状態で設けられている。従って、搬送装置1を搬送方向に搬送される物品3は、上述したように搬送装置1に載せ置かれた後、図1及び図2に示すように、導入領域112を直行して搬送方向に搬送される。なお、導入領域112において、物品3が、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に接したとき、物品3は、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に沿って搬送される。導入領域112を通過した物品3は、斜行領域110を、角度θ1又は角度θ2に対応した側に向けて斜行しつつ、搬送方向に搬送される。斜行領域110を通過した物品3は、送出領域114を直行して搬送方向に搬送される。傾斜ローラ20及び第一直行ローラ50の構造等と、斜行領域110及び導入領域112における搬送経路及び位置決め等とについては、後述する。
【0027】
複数の第一ガイドローラ90は、図1及び図2に示すように、直交方向のうち、第一の側に、搬送方向に沿うように設けられる。複数の第二ガイドローラ92は、直交方向のうち、第二の側に、搬送方向に沿うように設けられる。導入領域112において、第一ガイドローラ90は、上流側から下流側に向けて、直交方向における搬送装置1の中心までの距離が、漸次減少するように、配列されている。同じく、導入領域112において、第二ガイドローラ92は、上流側から下流側に向けて、直交方向における搬送装置1の中心までの距離が、漸次減少するように配列されている。即ち、導入領域112において、物品3を搬送するための搬送面として有効に機能する領域(図1及び図2に基づけば、第一ガイドローラ90の外周面に接する仮想の破線と、第二ガイドローラ92の外周面に接する仮想の破線との間の領域)の幅W(図1参照)は、漸次減少する。
【0028】
例えば、物品3が、搬送装置1の上流側において、直交方向における中心付近に載せ置かれず、例えば、幅Wの領域内において第一の側に寄せて載せ置かれたとする。このような場合、物品3は、導入領域112を搬送されている途中で、第一ガイドローラ90に接触する。その後、物品3は、第一ガイドローラ90に沿って、且つ直交方向の中心側に寄りながら、搬送方向に搬送される。このような構成によれば、導入領域112において、物品3の直交方向における位置を、おおよそ合わせることができる。なお、斜行領域110及び送出領域114においては、第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92は、共に、搬送方向に平行となるように配列されている。換言すれば、斜行領域110及び送出領域114においては、物品3を搬送するための搬送面として有効に機能する領域の幅Wは、一定である。
【0029】
第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92は、共に、同様の構成を有し、フリーローラによって構成される。具体的に、第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92は、図3及び図5に示すように、回転軸94と、ガイドローラ本体96とによって構成される。回転軸94は、鉛直方向に延在するよう、搬送装置1に所定の構成で支持され、ガイドローラ本体96には、支持された回転軸94が挿入される。ガイドローラ本体96は、回転軸94を中心として、回転軸94の周方向を自由に回転することができる(図1において、最下流に示す第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92の外周に記載の両矢の矢印参照)。これによれば、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に接した物品3が、ガイドローラ本体96の外周面に擦れながら、搬送されることを防止することができる。なお、第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92は、同様の構成を有する。
【0030】
切替機構100は、複数の傾斜ローラ20を、図1の第一状態から図2の第二状態とし、また、第二状態から第一状態とする。なお、第一状態は、搬送中の物品3を第一の側に斜行させるため、回転軸22の傾斜角度が、角度θ1とされた状態である。第二状態は、搬送中の物品3を第二の側に斜行させるため、回転軸22の傾斜角度が、角度θ2とされた状態である。切替機構100は、例えば、図1及び図2に示すように、搬送装置1の第二の側に設けられ、第二の側において、回転軸22を支持する。切替機構100において、回転軸22を支持する支持部材102は、搬送方向に沿った方向(図1において、「切替」と記載された両矢の矢印参照)に移動する。この移動に伴い、傾斜ローラ20は、第一の側において回転軸22が支持された位置を支点(図4に示す「支点P」参照)として揺動し、直交方向に対する傾斜角度は、図1に示すような角度θ1、又は、図2に示すような角度θ2に設定される。切替機構100による切替動作は、切替機構100に接続された所定の駆動源又は手動によって行われる。
【0031】
<搬送ローラ>
搬送ローラ10に含まれる、傾斜ローラ20及び第一直行ローラ50について、説明する。第二直行ローラ80は、従来から利用されているローラコンベアを構成するローラと同様のローラである。そのため、第二直行ローラ80の構造についての説明は、省略する。なお、図4は、図1及び図2と同じく、搬送装置1を上方から視認した部分断面図である。図5は、搬送装置1を、搬送方向の上流側から視認した状態に対応した部分断面図である。図4及び図5におけるハッチングは、断面を示すものである。
【0032】
<傾斜ローラ>
傾斜ローラ20について、図3及び図4等を参照して説明する。傾斜ローラ20は、上述した回転軸22の他、傾斜ローラ本体24と、第一付勢部32と、第二付勢部34とを有する。回転軸22は、スプラインシャフトによって構成される。回転軸22は、傾斜ローラ本体24に挿入される。回転軸22は、挿入された状態で、傾斜ローラ本体24を貫通し、傾斜ローラ本体24は、自身を貫通する回転軸22の軸方向(図1、図2及び図4に一点鎖線で示す「軸線L」が延在する方向参照)に摺動する。
【0033】
傾斜ローラ本体24は、第一摺動部26と、第二摺動部28と、カラー30とによって構成される。第一摺動部26及び第二摺動部28には、スプラインシャフトによって構成される回転軸22が挿入される。第一摺動部26及び第二摺動部28は、それぞれ、回転軸22が挿入された状態で、回転軸22の軸方向を摺動する。第一摺動部26は、図1及び図2に示す状態において、回転軸22の両端のうち、第一の側に設けられ、第二摺動部28は、第二の側に設けられる。第一摺動部26の外周面と、第二摺動部28の外周面とによって、傾斜ローラ本体24(傾斜ローラ20)の外周面が形成される。物品3又はパレット5は、この外周面に接するようにして載せ置かれる。カラー30は、第一摺動部26と第二摺動部28との間に設けられ、カラー30の両端部は、それぞれ、第一摺動部26及び第二摺動部28に嵌合される。この嵌合は、例えば、隙間嵌めとされる。カラー30が第一摺動部26及び第二摺動部28に嵌め合わせられることで、これら各部26〜30は、一体となり、傾斜ローラ本体24が構成される。
【0034】
第一付勢部32及び第二付勢部34は、例えば、図3及び図4に示すように、圧縮ばねによって構成される。第一付勢部32及び第二付勢部34は、同じ大きさの付勢力を生じさせるよう、例えば、同一の圧縮ばねによって構成される。第一の側において、第一付勢部32には、回転軸22が挿入される。第一付勢部32は、回転軸22の所定の位置に設けられた規制部36によって、回転軸22の軸方向のうち、傾斜ローラ本体24と反対側への移動が規制される。第一付勢部32は、規制部36と、傾斜ローラ本体24、具体的には、第一摺動部26との間で、圧縮された状態となる。第二の側において、第二付勢部34には、回転軸22が挿入される。第二付勢部34は、回転軸22の所定の位置に設けられた規制部38によって、回転軸22の軸方向のうち、傾斜ローラ本体24と反対側への移動が規制される。第二付勢部34は、規制部38と、傾斜ローラ本体24、具体的には、第二摺動部28との間で、圧縮された状態となる。
【0035】
回転軸22の軸方向において、第一付勢部32は、第一摺動部26を第二の側に付勢し、第二付勢部34は、第二摺動部28を第一の側に付勢する。第一付勢部32及び第二付勢部34のそれぞれによる付勢方向は、反対方向となり、付勢力が釣り合う回転軸22上の位置において、傾斜ローラ本体24は、静止する。傾斜ローラ20において、回転軸22の軸方向の何れか一方向に所定の力が作用し、傾斜ローラ本体24に作用する軸方向の力が不均衡な状態となったとき、傾斜ローラ本体24は、この所定の力が作用した方向に、移動し、相反する方向の力が釣り合った位置で静止する。その後、所定の力が作用しなくなったとき、傾斜ローラ本体24は、第一付勢部32及び第二付勢部34のそれぞれによる付勢力が釣り合う元の位置に戻り、静止する。
【0036】
傾斜ローラ20の搬送装置1への取り付けは、図3及び図4に示すように、回転軸22の両端にそれぞれ設けられた球面軸受40,42によって行われる。球面軸受40は、搬送装置1の第一の側において、例えば、搬送装置1を構成するフレーム(不図示)に取り付けられる。同じく、球面軸受42は、搬送装置1の第二の側において、例えば、搬送装置1を構成するフレーム(不図示)に取り付けられる。回転軸22の両端側の部分は、それぞれ、フレームに取り付けられた球面軸受40,42によって支持される。球面軸受40,42によれば、図4に示すように、切替機構100(図1及び図2参照)による切替動作に対応し、傾斜ローラ20の揺動を実現し、直交方向に対する回転軸22の傾斜角度を、角度θ1から角度θ2又はその逆へと変更することができる。例えば、第一の側において、揺動のための支点P(図4参照)を形成することができる。また、第二の側において、直交方向に対する回転軸22の位置を、搬送装置1の下流側又は上流側の各方向に、移動させることができる。
【0037】
第一の側において、回転軸22の端部は、図3及び図4に示すように、ユニバーサルジョイント44の一端側に接続されている。なお、ユニバーサルジョイント44の他端側は、傾斜ローラ20を含む搬送ローラ10を回転させるためのタイミングベルトに接続される(不図示)。ユニバーサルジョイント44によれば、図4に示すように、直交方向に対する回転軸22の傾斜角度が変化しても、タイミングベルトによって伝達される駆動力を、傾斜ローラ20に伝達することができる。
【0038】
<第一直行ローラ>
第一直行ローラ50について、図5を参照して説明する。第一直行ローラ50は、傾斜ローラ20と同様の構造を有する。即ち、第一直行ローラ50は、図5に示すように、上述した回転軸52の他、第一直行ローラ本体54と、第一付勢部62と、第二付勢部64とを有する。回転軸52は、傾斜ローラ20の回転軸22と同様の構成であり、回転軸52は、第一直行ローラ本体54に挿入され、第一直行ローラ本体54を貫通する。第一直行ローラ本体54は、自身を貫通する回転軸52の軸方向に摺動する。回転軸52に関する他の説明は、回転軸22の場合と同様であり、省略する。
【0039】
第一直行ローラ本体54は、傾斜ローラ本体24と同様の構成であり、第一摺動部56と、第二摺動部58と、カラー60とによって構成される。第一摺動部56、第二摺動部58及びカラー60は、それぞれ、傾斜ローラ20の第一摺動部26、第二摺動部28及びカラー30と同様の構成であり、上述した通りの機能を発揮する。そのため、これら各部56〜60に関する説明は、省略する。
【0040】
また、第一付勢部62及び第二付勢部64は、それぞれ、傾斜ローラ20の第一付勢部32及び第二付勢部34と同様の構成である。第一の側において、第一付勢部62は、傾斜ローラ20の第一付勢部32と同様、回転軸52の所定の位置に設けられた規制部66によって、回転軸52の軸方向のうち、第一直行ローラ本体54と反対側への移動が規制される。第一付勢部62は、規制部66と、第一直行ローラ本体54(第一摺動部56)との間で、圧縮された状態となる。第二の側において、第二付勢部64は、回転軸52の所定の位置に設けられた規制部68によって、回転軸52の軸方向のうち、傾斜ローラ本体24と反対側への移動が規制される。第二付勢部64は、規制部68と、第一直行ローラ本体54(第二摺動部58)との間で、圧縮された状態となる。第一付勢部62及び第二付勢部64に関する他の説明は、第一付勢部32及び第二付勢部34の場合と同様であり、省略する。
【0041】
第一直行ローラ50においても、回転軸52の軸方向の何れか一方向に所定の力が作用し、第一直行ローラ本体54に作用する軸方向の力(第一付勢部62及び第二付勢部64のそれぞれによる付勢力)が不均衡な状態となったとき、第一直行ローラ本体54は、この所定の力が作用した方向に、移動し、相反する方向の力が釣り合った位置で静止する。その後、所定の力が作用しなくなったとき、第一直行ローラ本体54は、第一付勢部62及び第二付勢部64のそれぞれによる付勢力が釣り合う元の位置に戻り、静止する。
【0042】
第一直行ローラ50の搬送装置1への取り付けは、図5に示すように、回転軸52の両端にそれぞれ設けられたすべり軸受70,72によって行われる。第一直行ローラ50については、傾斜ローラ20のような切り替えは行われないため、回転軸52を支持する軸受は、球面軸受とする必要がない。第一の側において、回転軸52の端部は、第一直行ローラ50を含む搬送ローラ10を回転させるためのタイミングベルトに接続される(不図示)。
【0043】
<搬送動作>
搬送装置1における物品3の搬送動作について、図1及び図2を参照して説明する。なお、図1及び図2において、物品3及び搬送ローラ10等と重複し、搬送方向に延在する片矢の矢印は、以下に説明する搬送動作によって、物品3が搬送方向に搬送される際の搬送経路を示すものである。また、以下では、パレット5は用いられていないこととする。搬送装置1における搬送動作は、ユーザが、搬送装置1の上流側において、物品3を搬送装置1、より詳細には、搬送ローラ10によって形成される搬送面に載せ置くことで開始される。物品3は、載せ置かれた位置を基準として、導入領域112を直行して搬送方向に搬送される。例えば、載せ置かれた物品3が、図1において最も上流側に示す位置にある物品である場合、この物品3は、直交方向における位置が変化することなく、搬送方向を直行し、そのまま、導入領域112を通過する。
【0044】
これに対し、物品3が、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に近接した位置、換言すれば、幅Wの領域内において第一の側又は第二の側に寄せて載せ置かれたとする。このような場合、物品3は、導入領域112を搬送されている途中で、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92の何れかに接触する。このような場合、上述した通り、物品3は、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に接触した後、これに沿って、且つ直交方向の中心側に寄りながら、搬送方向に搬送される。
【0045】
物品3が、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に接触すると、物品3には、接触した第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92からの反力が作用する。物品3に作用した反力は、物品3の下面が接している第一直行ローラ50、詳細には、第一摺動部56及び第二摺動部58に伝達される。反力が、第一摺動部56及び第二摺動部58に伝達されると、第一付勢部62による付勢力と、第二付勢部64による付勢力との釣り合いが不均衡な状態となる。その結果、第一直行ローラ本体54は、回転軸52の軸方向(図5参照)において、反力が作用する方向に対応した方向に移動する。例えば、物品3が、第二ガイドローラ92に接触したとする。この場合、物品3には、第一の側への反力が作用し、第一付勢部62による第二の側への付勢力より、第一の側への第二付勢部64による付勢力及び反力を合計した力が大きくなる。従って、第一直行ローラ本体54は、回転軸52の軸方向において、反力が作用する方向に対応した第一の側に移動する。第一直行ローラ本体54は、回転軸52の軸方向において相反する方向の力が釣り合った位置で、静止する。
【0046】
導入領域112を搬送された物品3は、導入領域112を通過し、次に、斜行領域110を、搬送方向に搬送される。斜行領域110において、物品3は、直交方向に対する傾斜角度に対応した側に斜行する。この点について、先ず、図1に基づき説明する。物品3は、角度θ1に対応し、直交方向のうち、第一の側に斜行し、第一の側に設けられた第一ガイドローラ90に接触する。なお、導入領域112において、既に第一ガイドローラ90に接触していた場合、物品3は、第一ガイドローラ90に接触したまま、斜行領域110を搬送される。
【0047】
物品3には、接触した第一ガイドローラ90からの反力が作用する。物品3に作用した反力は、物品3に接している傾斜ローラ20、詳細には、第一摺動部26及び第二摺動部28に伝達される。反力が、第一摺動部26及び第二摺動部28に伝達されると、第一付勢部32による付勢力と、第二付勢部34による付勢力との釣り合いが不均衡な状態となる。この場合、物品3には、第二の側への反力が作用し、第二付勢部34による第一の側への付勢力より、第二の側への第一付勢部32による付勢力及び反力を合計した力が大きくなる。その結果、傾斜ローラ本体24は、回転軸22の軸方向において、反力が作用する方向に対応した第二の側に移動する。傾斜ローラ本体24は、回転軸22の軸方向において相反する方向の力が釣り合った位置で、静止する。第一ガイドローラ90に接した物品3は、第一ガイドローラ90に沿った状態で位置決めされ、搬送方向に搬送される。
【0048】
次に、図2に基づき説明する。物品3は、角度θ2に対応し、直交方向のうち、第二の側に斜行し、第二の側に設けられた第二ガイドローラ92に接触する。なお、導入領域112において、既に第二ガイドローラ92に接触していた場合、物品3は、第二ガイドローラ92に接触したまま、斜行領域110を搬送される。
【0049】
物品3には、接触した第二ガイドローラ92からの反力が作用する。物品3に作用した反力は、物品3に接している傾斜ローラ20、詳細には、第一摺動部26及び第二摺動部28に伝達される。反力が、第一摺動部26及び第二摺動部28に伝達されると、第一付勢部32による付勢力と、第二付勢部34による付勢力との釣り合いが不均衡な状態となる。この場合、物品3には、第一の側への反力が作用し、第一付勢部32による第二の側への付勢力より、第一の側への第二付勢部34による付勢力及び反力を合計した力が大きくなる。その結果、傾斜ローラ本体24は、回転軸22の軸方向において、反力が作用する方向に対応した第一の側に移動する。傾斜ローラ本体24は、回転軸22の軸方向において相反する方向の力が釣り合った位置で、静止する。第二ガイドローラ92に接した物品3は、第二ガイドローラ92に沿った状態で位置決めされ、搬送方向に搬送される。
【0050】
斜行領域110で、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に接触する位置に位置決めされ、斜行領域110を搬送された物品3は、斜行領域110を通過し、次に、送出領域114を、搬送方向に搬送される。送出領域114において、物品3は、斜行領域110で位置決めされた位置を基準として、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92に沿った状態のまま、直行して搬送方向に搬送される。送出領域114では、第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92は、それぞれ、搬送方向に平行となるように設けられている。そのため、物品3が第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92に接触した状態であっても、物品3には、上述したような反力は作用しない。なお、搬送装置1が、例えば、次に説明するインクジェット記録システム7に採用される場合、物品3は、このインクジェット記録システム7に含まれるインクジェット記録部200の側に、そのまま、搬送される。
【0051】
<インクジェット記録システム>
上述した搬送装置1は、図6に示すように、インクジェット記録システム7に採用することができる。以下、搬送装置1を有するインクジェット記録システム7について、説明する。インクジェット記録システム7は、搬送装置1の他、インクジェット記録部200を有する。インクジェット記録部200には、シリアル型のインクジェット記録部と、ライン型のインクジェット記録部とがある。本実施形態では、インクジェット記録部200が、ライン型のインクジェット記録部である場合を例に説明する。
【0052】
インクジェット記録部200は、送出領域114を搬送されてきた物品3を、記録媒体として、物品3の上面にインクを吐出し、この上面に、例えばフルカラーの画像を記録する。記録媒体としての物品3としては、上述したような、コンクリートブロック、サイディング材(建築板)、段ボール箱、鋼板、ガラス板等の産業資材が例示される。物品3が、産業資材である場合、画像の記録には、例えば、活性エネルギー硬化型インクが用いられる。活性エネルギー硬化型インクとしては、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等が例示される。画像の記録に活性エネルギー硬化型インクが用いられる場合、インクジェット記録システム7は、活性エネルギー線を照射する照射部220を有する。本実施形態では、紫外線硬化型インクを例に説明する。この場合、照射部220では、活性エネルギー線としての紫外線が照射される。
【0053】
インクジェット記録システム7において、搬送装置1は、図6に示すように、送出領域114に連続して設けられる別体の搬送機構(他の搬送装置)を含むように構成してもよい。別体の搬送機構において、物品3は、送出領域114を搬送される場合と同じく、搬送方向を直行して搬送される。従って、物品3の直交方向における位置は、斜行領域110で位置決めされた状態が維持される。別体の搬送機構は、第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92が省略される他、図1及び図2に示す搬送装置1における送出領域114の部分と同様の構成を有する。なお、別の搬送機構は、ベルトコンベア等、ローラコンベア以外の構成としてもよい。
【0054】
なお、図6は、インクジェット記録システム7(搬送装置1)を、図1及び図2等と同一方向から視認した状態を示す図である。図6において、搬送装置1は、例えば搬送ローラ10の図示を省略する等、簡略化して図示されている。また、以下では、別体の搬送機構によって物品3が搬送される領域を、記録領域116という。
【0055】
インクジェット記録部200は、記録ヘッド210K,210C,210M,210Yを有する。記録ヘッド210K,210C,210M,210Yは、物品3の搬送方向に隣り合った状態で配列されて設けられている。記録ヘッド210Kは、ブラックの紫外線硬化型インク(紫外線硬化型ブラックインク)を吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド210Cは、シアンの紫外線硬化型インク(紫外線硬化型シアンインク)を吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド210Mは、マゼンタの紫外線硬化型インク(紫外線硬化型マゼンタインク)を吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド210Yは、イエローの紫外線硬化型インク(紫外線硬化型イエローインク)を吐出する記録ヘッドである。なお、搬送方向における記録ヘッド210K,210C,210M,210Yの配列は、図6の構成の他、これとは異なる配列順序としてもよい。各色の配列順序は種々の点を考慮し決定される。
【0056】
記録ヘッド210K,210C,210M,210Yそれぞれには、搬送装置1の搬送面に対向するようにノズルが形成されている。ノズルは、直交方向に複数個配列された状態で、ノズル列を形成する。ノズル列は、記録ヘッド210K,210C,210M,210Yそれぞれに複数列形成されている。記録ヘッド210K,210C,210M,210Yそれぞれに対応する色の紫外線硬化型インクは、記録ヘッド210K,210C,210M,210Yそれぞれに形成されたノズルから吐出される。
【0057】
照射部220は、インクジェット記録部200(記録ヘッド210Y)に対して、搬送方向下流側の所定の位置に設けられている。照射部220は、搬送装置1の搬送面(記録領域116)に向けて設けられた紫外線ランプを有し、搬送面の方向に紫外線を照射する。照射部220は、紫外線ランプから発せられた紫外線が外部に照射されることを防止可能なシャッタ機構を備え、このシャッタ機構を開閉させることで、紫外線の照射を開始し停止することができる。なお、紫外線の照射の開始及び停止は、紫外線ランプの点灯及び消灯によって実現してもよい。この場合、シャッタ機構は、省略される。
【0058】
紫外線の照射の開始は、例えば、記録ヘッド210Yに対して搬送方向下流側で且つ照射部220に対して搬送方向上流側の所定の位置に設けられた検知センサ(不図示)によって、物品3が検知されたことを条件として行われる。これによって、物品3の上面に、紫外線が照射される。具体的に、照射部220では、記録ヘッド210K,210C,210M,210Yで、物品3の上面に記録されたブラックドット、シアンドット、マゼンタドット、イエロードットに、紫外線が照射される。一方、紫外線の照射の停止は、搬送方向下流側の所定の位置に設けられた検知センサ(不図示)によって、物品3が照射部220を通過したことが検知されたことを条件として行われる。紫外線の照射の開始後、所定の時間が経過したとき、紫外線の照射を停止する構成とすることもできる。
【0059】
インクジェット記録システム7は、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの紫外線硬化型インクをそれぞれ貯留したメインタンク240K,240C,240M,240Yを備える。メインタンク240Kに貯留された紫外線硬化型ブラックインクは、ブラック用のインク供給ライン250Kを通して、記録ヘッド210Kに供給される。メインタンク240Cに貯留された紫外線硬化型シアンインクは、シアン用のインク供給ライン250Cを通して、記録ヘッド210Cに供給される。メインタンク240Mに貯留された紫外線硬化型マゼンタインクは、マゼンタ用のインク供給ライン250Mを通して、記録ヘッド210Mに供給される。メインタンク240Yに貯留された紫外線硬化型イエローインクは、イエロー用のインク供給ライン250Yを通して、記録ヘッド210Yに供給される。また、インクジェット記録システム7は、自装置内で実行される処理を制御する制御部260を有する。制御部260は、例えば、CPU、ROM(ROMに記憶されたコンピュータプログラム)及びRAM等によって構成され、各種の機能手段を実現する。制御部260は、例えば、次に説明するインクジェット記録方法を制御する。
【0060】
<インクジェット記録方法>
インクジェット記録システム7で実行されるインクジェット記録方法について、図6を参照して説明する。インクジェット記録方法が実行される場合、インクジェット記録システム7では、通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のような外部装置から、物品3に記録される画像を示すデータが入力される。そして、入力されたデータに対して、ラスタライズ等の処理が実行され、所定のデータが生成される。また、搬送装置1の上流側において、物品3が、物品3の第一面が上面となるように、換言すれば、物品3の第二面が下面となるようにして、搬送装置1に載せ置かれる。搬送装置1に載せ置かれた物品3は、搬送装置1によって、搬送方向に搬送される。その後、物品3は、搬送装置1の導入領域112、斜行領域110及び送出領域114を、搬送方向に搬送される。これら各領域112,110,114の搬送動作は、上述したように行われる。そのため、これに関する説明は、省略する。なお、図6に示す状態は、図1の第一状態に対応する。
【0061】
送出領域114を搬送された物品3は、送出領域114を通過し、次に、記録領域116を、直交方向における位置が維持された状態のまま、直行して搬送方向に搬送される。その後、物品3は、インクジェット記録部200に到達する。即ち、物品3は、記録ヘッド210K,210C,210M,210Yのそれぞれにおいて、ノズルが形成された面と、上面とされた物品3の第一面とが対向した位置に搬送される。このとき、インクジェット記録部200では、ラスタライズによって生成された所定のデータに従って、物品3の第一面に対して、記録ヘッド210K,210C,210M,210Yが配置された順に、紫外線硬化型ブラックインク、紫外線硬化型シアンインク、紫外線硬化型マゼンタインク及び紫外線硬化型イエローインクが吐出される。吐出されたこれら紫外線硬化型インクのインク滴は、物品3の第一面に、着弾し付着する。これによって、物品3の第一面に、ブラックドット、シアンドット、マゼンタドット、イエロードットが形成され、入力されたデータによって示される画像が記録される。
【0062】
第一面に画像が記録された物品3は、さらに、搬送装置1によって、下流側に搬送される。照射部220では、上述したタイミングで、紫外線の照射が開始される。そして、物品3の第一面に着弾した、各色のドットそれぞれを形成する各色の紫外線硬化型インクによるインク滴に、紫外線が照射される。これによって、インク滴が硬化し、硬化した複数のインクドットによって画像が、好適に記録される。
【0063】
照射部220を通過した物品3は、搬送装置1の下流側の所定の位置に到達したとき、搬送装置1から取り除かれる。ところで、物品3の第二面についても、画像が記録される場合がある。このような場合、搬送装置1では、切替機構100が動作され、傾斜ローラ20の傾斜角度が、角度θ1から角度θ2に切り替えられる。即ち、搬送装置1において、斜行領域110における傾斜ローラ20が、図1の第一状態から図2の第二状態に切り替えられる。
【0064】
搬送装置1から取り除かれた物品3は、第一面に画像を記録した際の搬送状態を基準として、第一の側から第二の側又はその逆に向けて反転、即ち、直交方向に反転され、既に画像が記録された第一面が下面となり、第二面が上面となるように反転される。その後、物品3は、第二面が上面とされた状態のまま、搬送装置1の上流側において、再度、搬送装置1に載せ置かれる。続けて、再度、上述したように、搬送方向に搬送され、斜行領域110を通過する際、第二の側に斜行し、第二ガイドローラ92に接し、位置決めされる。
【0065】
その後、物品3は、送出領域114を通過し、記録領域116を搬送され、第二面に画像が記録され、且つ紫外線が照射され、搬送装置1の下流側の所定の位置に到達し、搬送装置1から、再度、取り除かれる。これによって、物品3は、第一面及び第二面の両面に画像が記録された状態となる。なお、第二面に対するインクジェット記録方法は、第一面の場合と同様であるため、これに関するこの他の説明は、省略する。
【0066】
<本実施形態の効果>
本実施形態では、物品3に作用する反力の方向に対応した方向に、傾斜ローラ本体24が移動する。そのため、物品3が、傾斜ローラ本体24の外周面(詳細には、第一摺動部26の外周面及び第二摺動部28の外周面)を擦って移動することを防止することができる。従って、前述の外周面と物品3の下面との間に生じる擦れ、及び、この擦れに起因した物品3の劣化等を防止した状態で、好適に物品3の位置決めを行うことができる。なお、上述した通り、このような効果は、傾斜ローラ20と同様に動作する、第一直行ローラ本体54を有する第一直行ローラ50によっても得ることができる。
【0067】
本実施形態では、斜行領域110に続けて送出領域114を設け、斜行領域110を通過した物品3が、この送出領域114を搬送されるような構成とした。物品3は、先頭部分は斜行領域110を通過したものの、後端部分は未だ斜行領域110を搬送されているような状態となる。このとき、物品3には、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92からの反力が作用する。
【0068】
インクジェット記録システムは、上述した本実施形態のような構成の他、例えば、斜行領域110を通過した直後に、別の搬送機構による記録領域116が設けられたような構成とすることもできる。この他、インクジェット記録システムは、斜行領域110に併設してインクジェット記録部200を設け、斜行領域110を通過した直後に、上述したように画像が記録されるようにすることもできる。しかし、このようなインクジェット記録システムでは、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92からの反力が作用した状態で、物品3は、別の搬送機構による記録領域116に移動しなければならない。発明者は、このような場合、好適な移動が阻害されることがあることを、実験によって知得している。また、反力が作用した状態で、物品3に画像が記録されることとなるが、このような場合、例えば画像の位置ずれが生じることも想定される。
【0069】
上述したような送出領域114を設けた本実施形態では、送出領域114において、物品3を、反力が作用せず、単に位置決めだけされ、搬送方向を直行する状態とすることができる。そのため、物品3の記録領域116への移動を、前述したような状態で行うことが可能となり、好適に実現することができる。また、物品3に反力が作用していない状態で、画像を記録することができるため、好適な画像を記録することができる。
【0070】
本実施形態では、物品3の第一面及び第二面の両面に画像を記録する場合、物品3の第一面への画像の記録が終了した後、搬送装置1の状態を、第一状態から第二状態へと切り替え、且つ、物品3を直交方向に反転させることとした。従って、第一面への画像の記録の際と、第二面への画像の記録の際との両時において、搬送方向に対する物品3の先頭位置を、同一とすることができる。また、第一ガイドローラ90及び第二ガイドローラ92に接する物品3の側面部を同一とし、前述の両時において、物品3の位置決めを1つの側面部(基準側面部)を基準として行うことができる。そのため、第一面及び第二面に記録されるそれぞれの画像の位置ずれを防止し、好適な状態とすることができる。
【0071】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。このような変形例によっても、上述した効果と同様の効果を、適宜得ることができる。即ち、上記では、搬送装置1を採用した構成として、インクジェット記録システム7を例として説明した。しかし、搬送装置1は、インクジェット記録システム7以外のシステムについても適用することができる。例えば、所定の製品の製品出荷システムに採用することもできる。つまり、搬送装置1は、搬送対象の物品3の、直交方向における位置を、搬送中に、決められた位置とする必要がある、各種のシステムに採用することができる。
【0072】
また、上記では、物品3の側面部(基準側面部)が、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92のガイドローラ本体96に接する構成を例として説明した。この他、パレット5の側面の一部を、基準側面部とし、パレット5の基準側面部が、第一ガイドローラ90又は第二ガイドローラ92のガイドローラ本体96に接すようにしてもよい。この場合、物品3は、パレット5に対して、位置決めされた状態で載せ置かれる。
【符号の説明】
【0073】
1 搬送装置
3 物品、 5 パレット
7 インクジェット記録システム
10 搬送ローラ
20 傾斜ローラ
22 回転軸、 24 傾斜ローラ本体、 26 第一摺動部、 28 第二摺動部
30 カラー、 32 第一付勢部、 34 第二付勢部
50 第一直行ローラ
52 回転軸、 54 第一直行ローラ本体
56 第一摺動部、 58 第二摺動部
60 カラー、 62 第一付勢部、 64 第二付勢部
80 第二直行ローラ、 82 回転軸
90 第一ガイドローラ、 92 第二ガイドローラ
94 回転軸、 96 ガイドローラ本体
100 切替機構、 102 支持部材
110 斜行領域、 112 導入領域、 114 送出領域、 116 記録領域
200 インクジェット記録部
210K,210C,210M,210Y 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を、上流側から下流側へ向かう搬送方向に搬送する搬送装置であって、
前記搬送方向に隣り合う状態で設けられ、物品を前記搬送方向に搬送するための複数の搬送ローラと、
前記搬送方向に直交する直交方向の第一の側及び第二の側のうちの前記第一の側に設けられ、搬送中の物品の側面のうち、基準とされる基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第一位置決め部と、を有し、
前記複数の搬送ローラは、少なくとも、回転軸と、傾斜ローラ本体と、を有し、前記回転軸が、搬送中の物品を前記第一の側に斜行させる方向に傾斜した第一状態とされた傾斜ローラを含み、
前記傾斜ローラは、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態で、物品が前記第一位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記回転軸の軸方向において、前記第二の側に移動させる移動機構を有する、搬送装置。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記第一の側に設けられ、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第二の側に移動させるための付勢力を生じさせる第一付勢部と、
前記第二の側に設けられ、前記第一付勢部による付勢力と反対方向の付勢力を生じさせる第二付勢部と、を有する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記傾斜ローラは、
前記傾斜ローラ本体を構成し、前記第一の側に設けられ、前記回転軸が挿入された状態で、前記回転軸に対して前記軸方向に摺動する第一摺動部と、
前記傾斜ローラ本体を構成し、前記第二の側に設けられ、前記回転軸が挿入された状態で、前記回転軸に対して前記軸方向に摺動する第二摺動部と、
前記傾斜ローラ本体を構成し、前記第一の側において前記第一摺動部に嵌合され、前記第二の側において前記第二摺動部に嵌合される筒状のカラーと、を有し、
前記移動機構において、
前記第一付勢部は、前記第一摺動部を付勢し、
前記第二付勢部は、前記第二摺動部を付勢する、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送装置は、さらに、
前記第二の側に設けられ、搬送中の物品の基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第二位置決め部と、
前記第一状態とされた、前記傾斜ローラにおける前記回転軸が、搬送中の物品を前記第二の側に斜行させる方向に傾斜した第二状態に切り替える切替機構と、を有し、
前記移動機構は、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態で、物品が前記第二位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第一の側に移動させる、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置で、搬送中の物品が位置決めされた状態で、前記搬送装置によって、さらに搬送される物品の前記搬送ローラに対向する下面と反対側の上面に、インクを吐出し、画像を記録するインクジェット記録部と、を有する、インクジェット記録システム。
【請求項6】
上流側から下流側へ向かう搬送方向に隣り合う状態で設けられ、物品を前記搬送方向に搬送するための複数の搬送ローラと、前記搬送方向に直交する直交方向の第一の側及び第二の側のうちの前記第一の側に設けられ、搬送中の物品の側面のうち、基準とされる基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第一位置決め部と、を有し、前記複数の搬送ローラは、少なくとも、回転軸と、傾斜ローラ本体と、を有し、前記回転軸が、搬送中の物品を前記第一の側に斜行させる方向に傾斜した第一状態とされた傾斜ローラを含み、前記傾斜ローラは、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態で、物品が前記第一位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記回転軸の軸方向において、前記第二の側に移動させる移動機構を有する、搬送装置と、前記搬送装置で、搬送中の物品が位置決めされた状態で、前記搬送装置によって、さらに搬送される物品の前記搬送ローラに対向する下面と反対側の上面に、インクを吐出し、画像を記録するインクジェット記録部と、を有する、インクジェット記録システムで実行されるインクジェット記録方法であって、
前記搬送装置の上流側において、物品の第二面が下面となる状態で、前記搬送装置の搬送面に物品を載せ置く第一セット工程と、
載せ置かれた物品を、上流側から下流側に搬送する第一搬送工程と、
搬送中の物品を、前記傾斜ローラによって前記第一の側に斜行させ、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態とし、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第一位置決め工程と、
位置決めされた搬送中の物品の第二面と反対側の第一面に、インクを吐出し、画像を記録する第一インクジェット記録工程と、を含み、
前記第一位置決め工程は、さらに、物品の基準側面部が前記第一位置決め部に接した状態で、物品が前記第一位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第二の側に移動させる第一移動工程を含む、インクジェット記録方法。
【請求項7】
前記インクジェット記録方法は、
前記第二の側に設けられ、搬送中の物品の基準側面部に接し、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第二位置決め部と、前記第一状態とされた、前記傾斜ローラにおける前記回転軸が、搬送中の物品を前記第二の側に斜行させる方向に傾斜した第二状態に切り替える切替機構と、を有し、前記移動機構は、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態で、物品が前記第二位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第一の側に移動させる、前記搬送装置を有する、前記インクジェット記録システムで実行され、
前記インクジェット記録方法は、さらに、
前記切替機構を、前記第一状態から前記第二状態に切り替える切替工程と、
第一面に画像が記録された物品を、前記直交方向に反転させ、前記搬送装置の上流側において、物品の第一面が下面となる状態で、前記搬送面に物品を載せ置く第二セット工程と、
載せ置かれた物品を、上流側から下流側に搬送する第二搬送工程と、
搬送中の物品を、前記傾斜ローラによって前記第二の側に斜行させ、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態とし、前記直交方向において、搬送中の物品の位置決めをする第二位置決め工程と、
位置決めされた搬送中の物品の第二面に、インクを吐出し、画像を記録する第二インクジェット記録工程と、を含み、
前記第二位置決め工程は、さらに、物品の基準側面部が前記第二位置決め部に接した状態で、物品が前記第二位置決め部から受ける反力に応じて、前記傾斜ローラ本体を、前記軸方向において、前記第一の側に移動させる第二移動工程を含む、請求項6に記載のインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232820(P2012−232820A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101704(P2011−101704)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】