説明

搬送装置、及び搬送方法

【課題】幅の狭い記録媒体や、連量の大きい記録媒体を搬送する場合であっても、記録媒体の搬送開始時の蛇行を抑制することができる、搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】搬送装置では、記録媒体の搬送開始前に、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部の駆動方向及び駆動量に、調整部を駆動する。このため、搬送装置では、記録媒体の搬送開始前に、加熱ローラの軸方向の加熱ローラに対する加圧ローラの押圧力が、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた押圧力に調整された状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置では、紙質、紙厚、寸法など多岐にわたる記録媒体を安定して搬送する機構が設けられている。例えば、一対のロール状の部材によって記録媒体を挟持搬送する定着装置に、記録媒体の蛇行を防止する機構を備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷開始より随時、用紙蛇行センサによる蛇行量の検知結果を監視し、検知された蛇行量に応じて、加熱ロールと加圧ロールとの挟持力を随時調整することが開示されている。また、特許文献2には、用紙の搬送開始時に加熱ロールと圧力ロールとの接触圧力を該ロールの軸方向に対して左右何れか一方を高くし、適当な時間経過後に圧力を元に戻すことが開示されている。また、特許文献3には、定着部自体の傾きを検知し、印刷開始前に定着部の傾きを調整することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、搬送する記録媒体の幅が狭くなるほど、また、搬送する記録媒体の連量が大きくなるほど、蛇行速度が速くなる(急激に蛇行量が増す)ことが知られている。しかしながら、特許文献1の技術では、記録媒体の搬送開始後に随時蛇行量を検出して補正を行うため、搬送開始直後の記録媒体の蛇行を調整することは困難であり、蛇行速度が高速となるほど、蛇行調整が困難となる傾向にあった。また、特許文献2の技術では、記録媒体の種類等に拘らず、一義的に用紙搬送開始直後の圧力を調整するため、蛇行速度が高速となるほど、蛇行調整が困難であった。また、特許文献3の技術についても、蛇行速度が高速となるほど、蛇行調整が困難であった。
【0005】
すなわち、従来では、搬送する記録媒体の幅が狭くなるほど、また、連量の大きい記録媒体であるほど、特に、記録媒体の搬送開始時の蛇行を抑制することは困難であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、幅の狭い記録媒体や、連量の大きい記録媒体を搬送する場合であっても、記録媒体の搬送開始時の蛇行を抑制することができる、搬送装置、及び搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一対のロール部材によって記録媒体を挟持搬送する搬送手段と、前記記録媒体の蛇行方向及び蛇行量を検出する検出手段と、前記一対のロール部材の軸方向における挟持力を調整する調整手段と、前記記録媒体の前回の搬送開始時の蛇行方向及び蛇行量に対応する前記調整手段の調整量を記憶した記憶手段と、前記記録媒体の搬送開始前に、前回の前記記録媒体の搬送時の前記調整手段の調整量に応じて前記調整手段を制御する制御手段と、を備えた搬送装置である。
【0008】
また、本発明は、記録媒体を搬送する搬送装置で実行される搬送方法であって、前記搬送装置は、一対のロール部材によって記録媒体を挟持搬送する搬送手段と、前記記録媒体の蛇行方向及び蛇行量を検出する検出手段と、前記一対のロール部材の軸方向における挟持力を調整する調整手段と、前記記録媒体の前回の搬送開始時の蛇行方向及び蛇行量に対応する前記調整手段の調整量を記憶した記憶手段と、を備え、前記記録媒体の搬送開始前に、前回の前記記録媒体の搬送時の前記調整手段の調整量に応じて前記調整手段を制御するステップを備えた搬送方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、幅の狭い記録媒体や、連量の大きい記録媒体を搬送する場合であっても、記録媒体の搬送開始時の蛇行を抑制することができる、搬送装置、及び搬送方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1〜第3の実施の形態の搬送装置の概略構成図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態の搬送装置の各機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態における、蛇行エラー発生回数と駆動量との関係の一例を示す線図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態の搬送処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第1の実施の形態の調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1の実施の形態の調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2の実施の形態の搬送装置の各機能的構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態における、蛇行エラー発生回数と駆動量との関係の一例を示す線図である。
【図9】図9は、第2の実施の形態の搬送処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2の実施の形態の第3調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第3の実施の形態の搬送装置の各機能的構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、第3の実施の形態における、蛇行エラー発生回数と駆動量との関係の一例を示す線図である。
【図13】図13は、第3の実施の形態の搬送処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、第3の実施の形態の第5調整処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、搬送装置、及び搬送方法の一の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態の搬送装置の概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の搬送装置10は、加熱ローラ12及び加圧ローラ14(一対のロール部材)を備える。これらの加熱ローラ12及び加圧ローラ14は、各々の軸方向に交差する方向に互いに近づくように接触して配置されている。これらの加熱ローラ12及び加圧ローラ14は、図示を省略する駆動部材を介して後述する搬送駆動部に接続されており、該搬送駆動部の駆動によってニップ部において互いに異なる方向(図1中、矢印CB方向、矢印CA方向)に回転駆動することで、記録媒体16を搬送方向(図1中、矢印B方向)挟持搬送する。なお、記録媒体16とは、具体的には、連続紙(ロール紙、折り畳み用紙)を示す。
【0014】
加熱ローラ12には、ヒータ(図示省略)が内蔵されており、その表面を加熱する。加圧ローラ14は、軸方向の両端部を、各々、支持部材18、支持部材20によって支持されている。各支持部材18及び支持部材20の各々の長尺方向(図1中、矢印12A方向参照)の一端部は、加圧ローラ14の軸方向(矢印14A方向)の両端部の各々に連結している。各支持部材18及び支持部材20の長尺方向の中央部には、各々、支点軸18A、及び支点軸20Aが設けられている。これらの支点軸18A及び支点軸20Aは、各々、カム19A及びカム21Aの外周に接触配置されている。
【0015】
カム19Aは、回転軸19Bを中心に回転する。また、カム21Aは、回転軸21Bを中心に回転する。カム19A及びカム21Aは、各々、回転軸19B及び回転軸21Bの各々を介して後述する挟持駆動部(図1では図示省略)に接続されている。この挟持駆動部の駆動力が回転軸19B及び回転軸21Bを介してカム19A及びカム21Aの各々に伝達されることで、カム19A及びカム21Aが回転駆動する。そして、これらのカム19A及びカム21Aの回転駆動によって、支持部材18及び支持部材20によって支持された加圧ローラ14が、加熱ローラ12に接触する位置または加熱ローラ12から離間した位置に配置される。
【0016】
支持部材18及び支持部材20の各々の長尺方向の、加圧ローラ14とは反対側の端部は、走行調整プーリ(図示省略)、スプリング22A、及びワイヤ22を介して走行調整モータ(調整手段)24に連結されている。
【0017】
走行調整モータ24は、加熱ローラ12の軸方向における加圧ローラ14の押圧力を調整する。詳細には、走行調整モータ24には、調整部24Aが設けられている。この調整部24Aの駆動方向(例えば、矢印A方向)及び駆動量によって、支持部材20及び支持部材18を介して、加圧ローラ14と加熱ローラ12との軸方向の挟持力(以下、加圧ローラ14の加熱ローラ12への押圧力と称する場合がある)が調整され、加圧ローラ14の軸方向における加熱ローラ12の押圧力が調整される。なお、調整部24Aの駆動方向及び駆動量が、調整部24Aの調整量に相当する。
【0018】
調整部24Aは、図示を省略する駆動部を介して後述する調整モータ駆動部に接続されている。この調整モータ駆動部の駆動力が駆動部を介して調整部24Aに伝達されることによって、調整モータ駆動部に入力された信号に応じた駆動方向及び駆動量で調整部24Aが調整される。
【0019】
加熱ローラ12及び加圧ローラ14による、記録媒体16の搬送方向(図1中、矢印B方向)上流側には、記録媒体16を加熱ローラ12及び加圧ローラ14に案内する案内板15が設けられている。案内板15には、検出部26(検出手段)が設けられている。検出部26は、記録媒体16の蛇行エラーを検出すると共に、検出時の記録媒体16の蛇行方向を検出する。検出部26としては、公知の光学センサ等が挙げられるが、これに限られない。「蛇行エラー」とは、記録媒体16の蛇行(スキュー)量が、媒体の搬送方向と直交する方向(記録媒体幅方向)で、蛇行補正可能な許容範囲を超えてしまったことを指す。
【0020】
また、搬送装置10には、搬送装置10に設けられた装置各部を制御する主制御部28が設けられている。主制御部28は、CPU、ROM、RAMなど通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0021】
図2は、搬送装置10の各機能的構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、搬送装置10は、主制御部28、検出部26、調整モータ駆動部30、挟持駆動部32、搬送駆動部34、及び取得部36を備える。
【0023】
調整モータ駆動部30は、上述した調整部24Aに接続されている。挟持駆動部32は、上述したカム21Aの回転軸21B及びカム19Aの回転軸19Bに接続されている。搬送駆動部34は、加熱ローラ12及び加圧ローラ14を互いに異なる方向(向かい合う方向)に回転させる図示を省略する駆動部に接続されている。なお、本実施例において、駆動部は、加熱ローラ12を回転駆動させ、加圧ローラ14は加熱ローラ12または記録媒体16との接触による従動回転構成となっている。取得部36は、ユーザによる操作指示によって搬送開始や搬送停止を指示するときに操作され、搬送開始を示す信号や搬送停止を示す信号を取得する。取得部36としては、キーボードやタッチパネル等の公知の入力機構が挙げられる。
【0024】
主制御部28は、制御部40(制御手段)、及び記憶部38(記憶手段)を備える。制御部40は、後述する搬送処理を実行する。
【0025】
記憶部38は、記録媒体16の蛇行方向及び蛇行量に対応づけて、調整部24Aの駆動方向及び駆動量を格納する。具体的には、記憶部38は、記録媒体16の蛇行方向及び蛇行量に対応づけて、調整部24Aの駆動方向及び駆動量を格納したテーブルを格納する。
【0026】
本実施の形態では、蛇行方向とは、記録媒体16が搬送方向(図1中、矢印B方向参照)に交差する方向(図1中、矢印D方向参照)の何れの方向(図1中、L側、R側参照)に蛇行したかを示す。
【0027】
また、本実施の形態では、蛇行エラー発生回数とは、蛇行エラーの発生回数を示し、記録媒体16の搬送を開始した後に検出部26によって、例えば、L側またはR側への蛇行エラーが検出される度にカウントアップした回数であるものとして説明する。このため、記憶部38は、記録媒体16の蛇行方向及び蛇行エラー発生回数に対応づけて、調整部24Aの駆動方向及び駆動量を格納する。
【0028】
また、本実施の形態では、記録媒体16の搬送を開始した後に検出部26によって蛇行エラーが検出されると、搬送を停止してユーザ等が記録媒体16を所定の初期位置にセットし直した後に、再度搬送を開始するものとして説明する。
【0029】
なお、記憶部38は、蛇行エラー発生回数が大きくなるほど、調整モータ駆動部30から調整部24Aへ出力する駆動量が大きくなるように、蛇行エラー発生回数に対応する調整部24Aの駆動量を記憶する。図3には、蛇行エラー発生回数と駆動量との関係の一例を示す線図42を示した。図3に示すように、記憶部38は、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係が、比例関係を示す直線によって示される線図42で表される関係となるように、蛇行エラー発生回数に対応する駆動量を予め記憶する。
【0030】
次に、搬送装置10で実行する搬送処理の手順を説明する。図4は、搬送処理の手順を示すフローチャートである。
【0031】
まず、制御部40は、取得部36を介して搬送開始指示を示す信号を受け付けたか否かを判断する(ステップS100)。搬送開始指示を示す信号を受け付けなかった場合には(ステップS100:No)、本ルーチンを終了する。
【0032】
一方、搬送開始指示を示す信号を受け付けた場合には(ステップS100:Yes)、制御部40は、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS102)。制御部40は、例えば、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示す情報が記憶部38に格納されているか否かを判別することによって、ステップS102の判断を行えばよい。このとき、制御部40は、搬送開始時に搬送エラーが発生した場合には、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示す情報(例えば、フラグ)を記憶部38に格納し、搬送開始時に蛇行エラーが発生しなかった場合には、該フラグを記憶部38から削除すればよい。
【0033】
制御部40は、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS102:Yes)、後述するステップS104へ進む。一方、制御部40は、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生していなかったと判断すると(ステップS102:No)、後述するステップS110へ進む。
【0034】
制御部40は、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動方向及び駆動量を記憶部38から読み取る(ステップS104)。例えば、制御部40は、前回の搬送開始時の蛇行エラーの発生時に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を記憶部38に記憶する(詳細後述)。そして、制御部40は、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応する、調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を記憶部38から読み取ることによって、ステップS104の処理を行う。
【0035】
次に、制御部40は、調整モータ駆動部30へ、ステップS104で読み取った駆動方向及び駆動量を含む駆動指示信号を出力する(ステップS106)。該駆動指示信号を受け付けた調整モータ駆動部30は、該駆動指示信号に含まれる駆動量及び駆動方向に調整部24Aを駆動する。このため、ステップS106の処理によって、加熱ローラ12の軸方向の各位置における該加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の押圧力が、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた、押圧力に調整される。
【0036】
そして、調整モータ駆動部30は、該駆動指示信号に含まれる駆動量及び駆動方向に調整部24Aを駆動した後に、駆動完了を示す信号を制御部40へ出力する。
【0037】
次に、制御部40は、挟持駆動部32から、駆動完了を示す信号を受け付けるまで否定判断を繰り返し(ステップS108:No)、肯定判断すると(ステップS108:Yes)、ステップS110へ進む。
【0038】
次に、制御部40は、記録媒体16の搬送開始を示す搬送開始指示信号を、搬送駆動部34へ出力する(ステップS110)。搬送開始指示信号を受け付けた搬送駆動部34は、図示を省略する駆動部を介して、加熱ローラ12及び加圧ローラ14を回転駆動する。ステップS110の処理によって、記録媒体16の搬送が開始(開始または再開)される。
【0039】
次に、制御部40は、蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS112)。制御部40は、搬送開始から所定時間以内に蛇行エラーの発生を示す信号を検出部26から受け付けたか否かを判別することによって、ステップS112の判断を行う。
【0040】
蛇行エラーが発生しなかったと判断すると(ステップS112:No)、制御部40は、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグを記憶部38から削除(メモリクリア)した後に、本ルーチンを終了する。
【0041】
一方、蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS112:Yes)、制御部40は、搬送終了指示信号を搬送駆動部34へ出力する(ステップS114)。搬送終了指示信号を受け付けた搬送駆動部34は、駆動ローラ(本実施例では加熱ローラ12)の回転駆動を終了する。
【0042】
次に、制御部40は、詳細を後述する調整処理(ステップS118)を行い、更に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグを記憶部38に記憶した後に、本ルーチンを終了する。
【0043】
次に、図4における調整処理(ステップS118)における手順の一例を説明する。図5は、該調整処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
制御部40は、上記ステップS102と同様にして、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS200)。
【0045】
制御部40は、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS200:Yes)、今回発生した蛇行エラーにおける記録媒体16の蛇行方向を示す信号を取得する(ステップS202)。なお、制御部40は、蛇行エラー発生を判断したときに(図4中、ステップS112参照)、検出部26から受け付けた蛇行エラー発生、及び蛇行方向を示す信号を、蛇行エラー発生日時に対応づけて記憶部38に格納する。そして、ステップS202の処理において、制御部40は、記憶部38に格納されている最新の蛇行方向を示す信号を読み取ることによって、今回の蛇行エラーの蛇行方向を示す信号を取得すればよい。
【0046】
次に、制御部40は、ステップS202で取得した今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向であるか否かを判断する(ステップS204)。詳細には、制御部40は、記憶部38に格納されている最新の蛇行方向を示す信号の直前の蛇行発生日時に対応する、蛇行方向を示す信号を読み取ることによって、前回の蛇行エラーの蛇行方向を読み取る。そして、制御部40は、今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の蛇行エラーの蛇行方向と同じであるか否かを判別することによって、ステップS204の判断を行う。
【0047】
制御部40は、今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向である場合には(ステップS204:Yes)、後述するステップS208へ進む。
【0048】
一方、制御部40は、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生していないと判断した場合(ステップS200:No)、及び、今回の蛇行エラーの蛇行方向が前回の蛇行方向と異なる方向であると判断した場合(ステップS204:No)、後述するステップS206の処理を行った後に、後述するステップS208の処理を行う。
【0049】
制御部40は、ステップS206の処理において、記憶部38に格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nに“0”を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをクリアする(ステップS206)。
【0050】
次に、制御部40は、ステップS208の処理において、記憶部38に格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nを、現在のカウント値Nに“1”を加算した値を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをカウントアップする(ステップS208)。
【0051】
次に、制御部40は、記憶部38に格納されている最新の蛇行発生日時に対応する蛇行方向を、今回の蛇行エラーの蛇行方向として記憶部38に記憶する(ステップS210)。
【0052】
次に、制御部40は、ステップS208でカウントアップした後のカウント値N(すなわち、蛇行エラー発生回数)に対応する、調整部24Aの駆動量を記憶部38から読み取る(ステップS212)。また、制御部40は、ステップS210で記憶した蛇行エラーの蛇行方向に対応する、調整部24Aの駆動方向を記憶部38から読み取る(ステップS212)。
【0053】
なお、記憶部38は、記録媒体16の蛇行方向を調整する(すなわち、蛇行前の方向に戻す)ための調整部24Aの駆動方向を、記録媒体16の蛇行方向に対応づけて予め格納している。このため、制御部40は、蛇行エラーの蛇行方向に対応する、調整部24Aの駆動方向を記憶部38から読み取ることによって、調整部24Aの駆動方向を得る。
【0054】
次に、制御部40は、読みとった駆動方向及び駆動量を、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて記憶部38に記憶し(ステップS214)、本ルーチンを終了する。
【0055】
なお、ステップS214で記憶部38に格納した駆動方向及び駆動量を、制御部40は、次回の記録媒体16の搬送開始時の上述したステップS104(図4参照)の処理時に読み取ることとなる。
【0056】
なお、図4における調整処理(ステップS118)では、図5に示す調整処理に代えて、図6に示す調整処理を行ってもよい。図6は、図4における調整処理(ステップS118)の手順を示すフローチャートである。
【0057】
制御部40は、上記ステップS102と同様にして、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS300)。
【0058】
制御部40は、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS300:Yes)、ステップS202(図5参照)と同様にして、今回発生した蛇行エラーにおける記録媒体16の蛇行方向を示す信号を取得する(ステップS304)。
【0059】
次に、制御部40は、ステップS304で取得した今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向であるか否かを判断する(ステップS306)。なお、ステップS306の判断は、図5に示すステップS204と同様にして行う。
【0060】
制御部40は、今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向である場合には(ステップS306:Yes)、後述するステップS314へ進む。
【0061】
一方、制御部40は、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生していないと判断した場合(ステップS300:No)、記憶部38に格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nに“0”を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをクリアする(ステップS302)。そして、後述するステップS314へ進む。
【0062】
次に、制御部40は、今回の蛇行エラーの蛇行方向が前回の蛇行方向と異なる方向であると判断した場合(ステップS306:No)、今回の蛇行エラーの蛇行方向が前々回の蛇行方向と同じ方向であるか否かを判断する(ステップS308)。詳細には、制御部40は、記憶部38に格納されている最新の蛇行方向を示す信号に対して、二つ前の蛇行発生日時に対応する、蛇行方向を示す信号を読み取ることによって、前々回の蛇行エラーの蛇行方向を読み取る。そして、制御部40は、今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前々回の蛇行エラーの蛇行方向と同じであるか否かを判別することによって、ステップS308の判断を行う。
【0063】
今回の蛇行エラーの蛇行方向が前々回の蛇行方向と同じ方向であると判断すると(ステップS308:Yes)、記憶部38に格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nに“0”を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをクリアする(ステップS310)。そして、後述するステップS314へ進む。
【0064】
一方、今回の蛇行エラーの蛇行方向が前々回の蛇行方向と異なる方向であると判断すると(ステップS308:No)、記憶部38に格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nに、現在のカウント値Nから“0.5”を減算した値を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタを減算する(ステップS312)。そして、後述するステップS318へ進む。
【0065】
次に、ステップS314の処理を説明する。制御部40は、ステップS314の処理において、記憶部38に格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nを、現在のカウント値Nに“1”を加算した値を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをカウントアップする(ステップS314)。
【0066】
次に、制御部40は、記憶部38に格納されている最新の蛇行発生日時に対応する蛇行方向を、今回の蛇行エラーの蛇行方向として記憶部38に記憶する(ステップS316)。
【0067】
次に、制御部40は、ステップS314でカウントアップした後のカウント値NまたはステップS312で減算した後のカウント値N(すなわち、蛇行エラー発生回数)に対応する、調整部24Aの駆動量を記憶部38から読み取る(ステップS318)。また、制御部40は、ステップS316で記憶した蛇行エラーの蛇行方向に対応する、調整部24Aの駆動方向を記憶部38から読み取る(ステップS318)。なお、ステップS318の処理は、図5で説明したステップS212の処理と同様にして行う。
【0068】
次に、制御部40は、読みとった駆動方向及び駆動量を、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて記憶部38に記憶し(ステップS320)、本ルーチンを終了する。
【0069】
なお、ステップS320で記憶部38に格納した駆動方向及び駆動量を、制御部40は、次回の記録媒体16の搬送開始時の上述したステップS104(図4参照)の処理時に読み取ることとなる。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態の搬送装置10では、記録媒体16の搬送開始前に、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動方向及び駆動量に、調整部24Aを駆動する。このため、本実施の形態の搬送装置10では、記録媒体16の搬送開始前に、加熱ローラ12の軸方向の各位置における該加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の押圧力が、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた押圧力に調整された状態となる。
【0071】
このため、本実施の形態の搬送装置10では、幅の狭い記録媒体16や、連量の大きい記録媒体16を搬送する場合等のように、記録媒体16の蛇行速度が高速となる記録媒体16を搬送する場合であっても、加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の軸方向の各位置における押圧力が搬送開始時に既に調整された状態となっているので、記録媒体16の搬送開始時の蛇行を抑制することができる。
【0072】
また、本実施の形態の搬送装置10では、記録媒体16の搬送開始時の蛇行を抑制することができるので、記録媒体16の蛇行によって、記録媒体16の搬送開始時にユーザが搬送装置10の保守を行う作業を抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態の搬送装置10では、上述したように、記録媒体16の前回の搬送開始時の蛇行エラー時に、蛇行エラー発生回数が大きくなるほど大きい駆動量を設定する。このため、蛇行エラー発生後の記録媒体16の搬送再開時における記録媒体16の蛇行を効果的に抑制することができる。
【0074】
なお、本実施の形態の搬送装置10は、公知の電子写真方式の画像形成装置の定着装置として機能させてもよい。この場合、搬送装置10は、記録媒体16上に転写されたトナーを加熱ローラ12によって加熱すると共に加熱ローラ12と加圧ローラ14とで加圧することによって、トナーを記録媒体16に定着させることができる。
【0075】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、記録媒体16の幅に応じて、搬送開始時の駆動量及び駆動方向を調整する場合を説明する。
【0076】
図1は、本実施の形態の搬送装置10Aの概略構成図である。なお、搬送装置10Aは、図1に示す各構成では、第1の実施の形態で説明した搬送装置10における検出部26に代えて検出部26Aを備え、主制御部28に代えて主制御部28Aを備える。これらの点以外は、搬送装置10と同じであるため、同一部分には同じ符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0077】
検出部26Aは、記録媒体16の蛇行エラーを検出すると共に、検出時の記録媒体16の蛇行方向及び蛇行量を検出する。また、検出部26Aは、更に、記録媒体16の幅を検出する。検出部26Aとしては、公知の光学センサ等が挙げられるが、これに限られない。
【0078】
なお、本実施の形態においても、蛇行量は、蛇行エラー発生回数を示す場合を説明する。蛇行エラー発生回数の定義は、第1の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。
【0079】
主制御部28Aは、CPU、ROM、RAMなど通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0080】
図7は、本実施の形態の搬送装置10Aの各機能的構成を示すブロック図である。
【0081】
図7に示すように、搬送装置10Aは、主制御部28A、検出部26A、調整モータ駆動部30、挟持駆動部32、搬送駆動部34、及び取得部36を備える。
【0082】
主制御部28Aは、制御部40A(制御手段)、及び記憶部38A(記憶手段)を備える。制御部40Aは、後述する搬送処理を実行する。
【0083】
記憶部38Aは、記録媒体16の幅毎に、記録媒体16の蛇行方向及び蛇行エラー発生回数に対応づけて、調整部24Aの駆動方向及び駆動量を格納する。なお、具体的には、記憶部38Aは、記録媒体16の蛇行方向及び蛇行量に対応づけて、調整部24Aの駆動方向及び駆動量を格納したテーブルを、記録媒体16の幅毎に格納する。
【0084】
詳細には、記憶部38Aは、蛇行エラー発生回数が大きくなるほど、調整モータ駆動部30から調整部24Aへ出力する駆動量が大きくなるように、蛇行エラー発生回数に対応する調整部24Aの駆動量を記憶する。
【0085】
図8には、蛇行エラー発生回数と駆動量との関係の一例を示す線図を示した。図8に示すように、例えば、記憶部38Aは、記録媒体16の幅として標準の幅を示す情報に対応づけて、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係が、比例関係を示す直線44Bで表される関係となるように、蛇行エラー発生回数に対応する駆動量を予め記憶する。また、記憶部38Aは、例えば、標準の幅より狭い幅を示す情報に対応づけて、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係が、直線44Bより傾きの大きい比例関係を示す直線44Aで表される関係となるように、蛇行エラー発生回数に対応する駆動量を予め記憶する。同様に、例えば、記憶部38Aは、標準の幅より広い幅を示す情報に対応づけて、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係が、直線44Bより傾きの小さい比例関係を示す直線44Cで表される関係となるように、蛇行エラー発生回数に対応する駆動量を予め記憶する。
【0086】
なお、図8には、記録媒体16の幅が標準の幅、標準の幅より広い幅、標準の幅より狭い幅、の3種類の幅に対応した、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係を示したが、3種類の幅に限られない。例えば、4種類以上の記録媒体16の幅の各々に応じた、蛇行エラー発生回数に対応する調整部24Aの駆動量を示すテーブルを、記憶部38Aに記憶してもよい。
【0087】
次に、搬送装置10Aで実行する搬送処理の手順を説明する。図9は、搬送処理の手順を示すフローチャートである。
【0088】
まず、制御部40Aは、取得部36を介して搬送開始指示を示す信号を受け付けたか否かを判断する(ステップS400)。搬送開始指示を示す信号を受け付けなかった場合には(ステップS400:No)、本ルーチンを終了する。
【0089】
一方、搬送開始指示を示す信号を受け付けた場合には(ステップS400:Yes)、制御部40Aは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS402)。制御部40Aは、例えば、図4で説明したステップS102と同様にしてステップS402の判断を行う。
【0090】
制御部40Aは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS402:Yes)、後述するステップS404へ進む。一方、制御部40Aは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生していなかったと判断すると(ステップS402:No)、後述するステップS416へ進む。
【0091】
制御部40Aは、現在搬送中の記録媒体16の幅mを読み取る(ステップS404)。例えば、制御部40Aは、検出部26Aで検出された、記録媒体16の幅を示す信号を読み取ることによって、現在搬送中の記録媒体16の幅mを読み取る。
【0092】
次に、制御部40Aは、前回の搬送開始時の蛇行エラー時の記録媒体16の幅nを示す情報を読み取る(ステップS406)。例えば、制御部40Aは、前回の搬送開始時の蛇行エラーの発生時に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて、前回の搬送開始時に読み取った記録媒体16の幅を示す情報を記憶部38Aに記憶する。そして、制御部40Aは、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応する、記録媒体16の幅を示す情報を、幅nを示す情報として読み取ることによって、ステップS406の処理を行う。
【0093】
次に、制御部40Aは、ステップS404で読み取った現在の記録媒体16の幅mと、ステップS406で読み取った前回の記録媒体16の幅nと、が同じであるか否かを判別する(ステップS408)。
【0094】
制御部40Aは、ステップS408で否定判断すると(ステップS408:No)、後述するステップS416へ進み、ステップS408で肯定判断すると(ステップS408:Yes)、後述するステップS410へ進む。
【0095】
次に、制御部40Aは、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動方向及び駆動量を記憶部38Aから読み取る(ステップS410)。例えば、制御部40Aは、前回の搬送開始時の蛇行エラーの発生時に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を記憶部38Aに記憶する(詳細後述)。そして、制御部40Aは、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応する、調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を記憶部38Aから読み取ることによって、ステップS410の処理を行う。ここで、ステップS410の処理は、上記ステップS408で肯定判断したときに行うことから、制御部40Aは、現在搬送中の記録媒体16の幅(ステップS404で読み取った幅m)に対応する、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を読み取ることとなる。
【0096】
次に、制御部40Aは、調整モータ駆動部30へ、ステップS410で読み取った駆動方向及び駆動量を含む駆動指示信号を出力する(ステップS412)。該駆動指示信号を受け付けた調整モータ駆動部30は、該駆動指示信号に含まれる駆動量及び駆動方向に調整部24Aを駆動する。このため、ステップS412の処理によって、加熱ローラ12の軸方向の各位置における加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の押圧力が、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた、押圧力に調整される。
【0097】
そして、調整モータ駆動部30は、該駆動指示信号に含まれる駆動量及び駆動方向に調整部24Aを駆動した後に、駆動完了を示す信号を制御部40Aへ出力する。
【0098】
次に、制御部40Aは、挟持駆動部32から、駆動完了を示す信号を受け付けるまで否定判断を繰り返し(ステップS414:No)、肯定判断すると(ステップS414:Yes)、ステップS416へ進む。
【0099】
次に、制御部40Aは、記録媒体16の搬送開始を示す搬送開始指示信号を、搬送駆動部34へ出力する(ステップS416)。搬送開始指示信号を受け付けた搬送駆動部34は、図示を省略する駆動部を介して、加熱ローラ12を回転駆動する。ステップS416の処理によって、記録媒体16の搬送が開始(開始または再開)される。
【0100】
次に、制御部40Aは、図4のステップS112と同様にして、蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS418)。
【0101】
蛇行エラーが発生しなかったと判断すると(ステップS418:No)、制御部40Aは、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグを記憶部38Aから削除(メモリクリア)した後に、本ルーチンを終了する。
【0102】
一方、蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS418:Yes)、制御部40Aは、搬送終了指示信号を搬送駆動部34へ出力する(ステップS420)。搬送終了指示信号を受け付けた搬送駆動部34は、加熱ローラ12の回転駆動を終了する。
【0103】
次に、制御部40Aは、詳細を後述する第3調整処理(ステップS422)を行い、更に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグを記憶部38Aに記憶した後に、本ルーチンを終了する。
【0104】
次に、図9における第3調整処理(ステップS422)における手順を説明する。図10は、第3調整処理の手順を示すフローチャートである。
【0105】
制御部40Aは、上記ステップS402(図9参照)と同様にして、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS500)。
【0106】
制御部40Aは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS500:Yes)、ステップS404(図9参照)と同様にして、現在の記録媒体16の幅mを読み取る(ステップS502)。
【0107】
次に、制御部40Aは、ステップS406(図9参照)と同様にして、前回処理時の記録媒体16の幅nを読み取る(ステップS504)。そして、制御部40Aは、ステップS502で読み取った現在の記録媒体16の幅mと、ステップS504で読み取った前回の記録媒体16の幅nと、が同じであるか否かを判別する(ステップS506)。
【0108】
制御部40Aは、ステップS506で否定判断すると(ステップS506:No)、後述するステップS512へ進み、ステップS506で肯定判断すると(ステップS506:Yes)、後述するステップS508へ進む。
【0109】
次に、制御部40Aは、今回発生した蛇行エラーにおける記録媒体16の蛇行方向を示す信号を、ステップS202(図5参照)と同様にして取得する(ステップS508)。
【0110】
次に、制御部40Aは、ステップS508で取得した今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向であるか否かを、ステップS204(図5参照)と同様にして判断する(ステップS510)。
【0111】
制御部40Aは、今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向である場合には(ステップS510:Yes)、後述するステップS514へ進む。
【0112】
一方、制御部40Aは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生していないと判断した場合(ステップS500:No)、ステップS506で否定判断した場合(ステップS506:No)、及び、今回の蛇行エラーの蛇行方向が前回の蛇行方向と異なる方向であると判断した場合(ステップS510:No)、後述するステップS512の処理を行った後に、後述するステップS514の処理を行う。
【0113】
制御部40Aは、ステップS512の処理において、記憶部38Aに格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nに“0”を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをクリアする(ステップS512)。
【0114】
次に、制御部40Aは、ステップS514の処理において、記憶部38Aに格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nを、現在のカウント値Nに“1”を加算した値を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをカウントアップする(ステップS514)。
【0115】
次に、制御部40Aは、記憶部38Aに格納されている最新の蛇行発生日時に対応する蛇行方向を、今回の蛇行エラーの蛇行方向として記憶部38Aに記憶する(ステップS516)。
【0116】
次に、制御部40Aは、上記ステップS502で読み取った、現在搬送中の記録媒体16の幅mを、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したときの記録媒体16の幅nを示す情報として、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて記憶部38Aに記憶する(ステップS518)。
【0117】
次に、制御部40Aは、ステップS518で記憶した記録媒体16の幅(すなわち、今回の蛇行エラー発生時に搬送中の記録媒体16の幅)に対応する、テーブル(蛇行方向及び蛇行エラー発生回数に対応する、駆動方向及び駆動量を格納したテーブル)を記憶部38Aから選択する(ステップS520)。
【0118】
次に、制御部40Aは、ステップS520で選択したテーブルから、ステップS514でカウントアップした後のカウント値N(すなわち、蛇行エラー発生回数)に対応する、調整部24Aの駆動量を読み取る(ステップS522)。また、制御部40Aは、ステップS516で記憶した蛇行エラーの蛇行方向に対応する、調整部24Aの駆動方向を読み取る(ステップS522)。
【0119】
なお、記憶部38Aは、記録媒体16の蛇行方向を調整する(すなわち、蛇行前の方向に戻す)ための調整部24Aの駆動方向を、記録媒体16の蛇行方向に対応づけて予め格納している。このため、制御部40Aは、蛇行エラーの蛇行方向に対応する、調整部24Aの駆動方向を記憶部38Aから読み取ることによって、調整部24Aの駆動方向を得る。
【0120】
次に、制御部40Aは、読みとった駆動方向及び駆動量を、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて記憶部38Aに記憶し(ステップS524)、本ルーチンを終了する。
【0121】
なお、ステップS524で記憶部38Aに格納した駆動方向及び駆動量を、制御部40Aは、次回の記録媒体16の搬送開始時の上述したステップS410(図9参照)の処理時に読み取ることとなる。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態の搬送装置10Aでは、記録媒体16の搬送開始前に、搬送する記録媒体16の幅に対応する、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動方向及び駆動量に、調整部24Aを駆動する。このため、本実施の形態の搬送装置10Aでは、記録媒体16の搬送開始前に、加熱ローラ12の軸方向の各位置における該加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の押圧力が、記録媒体16の幅、及び前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた押圧力に調整された状態となる。
【0123】
このため、本実施の形態の搬送装置10Aでは、加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の軸方向の各位置における押圧力が、搬送開始時には既に記録媒体16の幅に応じて調整された状態となっている。従って、本実施の形態の搬送装置10Aでは、記録媒体16の搬送開始時の蛇行を抑制することができる。
【0124】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、記録媒体16が搬送方向に連続する連続紙であって、この記録媒体16の連量に応じて、搬送開始時の駆動量及び駆動方向を調整する場合を説明する。
【0125】
図1は、本実施の形態の搬送装置10Bの概略構成図である。なお、搬送装置10Bは、図1に示す各構成では、主制御部28に代えて主制御部28Bを備える。これらの点以外は、搬送装置10と同じであるため、同一部分には同じ符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0126】
なお、本実施の形態においても、蛇行量は、蛇行エラー発生回数を示す場合を説明する。蛇行エラー発生回数の定義は、第1の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。
【0127】
主制御部28Bは、CPU、ROM、RAMなど通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0128】
図11は、本実施の形態の搬送装置10Bの各機能的構成を示すブロック図である。
【0129】
図11に示すように、搬送装置10Bは、主制御部28B、検出部26、調整モータ駆動部30、挟持駆動部32、搬送駆動部34、及び取得部36Bを備える。
【0130】
取得部36Bは、第1の実施の形態における取得部36と同様に、搬送開始を示す信号及び搬送停止を示す信号をユーザから受け付ける。また、取得部36Bは、更に、記録媒体16の連量を示す情報をユーザから受け付ける。取得部36Bとしては、キーボードやタッチパネル等の公知の入力機構が挙げられる。
【0131】
主制御部28Bは、制御部40B(制御手段)、及び記憶部38B(記憶手段)を備える。制御部40Bは、後述する搬送処理を実行する。
【0132】
記憶部38Bは、記録媒体16の連量毎に、記録媒体16の蛇行方向及び蛇行エラー発生回数に対応づけて、調整部24Aの駆動方向及び駆動量を格納する。なお、具体的には、記憶部38Bは、記録媒体16の蛇行方向及び蛇行量に対応する、調整部24Aの駆動方向及び駆動量を格納したテーブルを、記録媒体16の連量毎に格納する。
【0133】
詳細には、記憶部38Bは、蛇行エラー発生回数が大きくなるほど、調整モータ駆動部30から調整部24Aへ出力する駆動量が大きくなるように、蛇行エラー発生回数に対応する調整部24Aの駆動量を記憶する。
【0134】
図12には、蛇行エラー発生回数と駆動量との関係の一例を示す線図を示した。図12に示すように、例えば、記憶部38Bは、記録媒体16の重さとして標準の連量を示す情報に対応づけて、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係が、比例関係を示す直線46Bで表される関係となるように、蛇行エラー発生回数に対応する駆動量を予め記憶する。また、記憶部38Bは、例えば、標準の連量より大きい連量を示す情報に対応づけて、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係が、直線46Bより傾きの大きい比例関係を示す直線46Aで表される関係となるように、蛇行エラー発生回数に対応する駆動量を予め記憶する。同様に、例えば、記憶部38Bは、標準の連量より小さい連量を示す情報に対応づけて、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係が、直線46Bより傾きの小さい比例関係を示す直線46Cで表される関係となるように、蛇行エラー発生回数に対応する駆動量を予め記憶する。
【0135】
なお、図12には、記録媒体16の連量の異なる3種類の連量に対応した、蛇行エラー発生回数と調整部24Aの駆動量との関係を示したが、3種類に限られない。例えば、4種類以上の記録媒体16の連量の各々に応じた、蛇行エラー発生回数に対応する調整部24Aの駆動量を示すテーブルを、記憶部38Bに記憶してもよい。
【0136】
次に、搬送装置10Bで実行する搬送処理の手順を説明する。図13は、搬送処理の手順を示すフローチャートである。
【0137】
まず、制御部40Bは、取得部36Bを介して搬送開始指示を示す信号を受け付けたか否かを判断する(ステップS600)。搬送開始指示を示す信号を受け付けなかった場合には(ステップS600:No)、本ルーチンを終了する。
【0138】
一方、搬送開始指示を示す信号を受け付けた場合には(ステップS600:Yes)、制御部40Bは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS602)。制御部40Bは、例えば、図4で説明したステップS102と同様にしてステップS602の判断を行う。
【0139】
制御部40Bは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS602:Yes)、後述するステップS604へ進む。一方、制御部40Bは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生していなかったと判断すると(ステップS602:No)、後述するステップS616へ進む。
【0140】
制御部40Bは、現在搬送中の記録媒体16の連量の値である連量値Pを読み取る(ステップS604)。例えば、制御部40Bは、取得部36Bから受け付けた、記録媒体16の連量の値である連量値を示す信号を読み取ることによって、現在搬送中の記録媒体16の連量値Pを読み取る。
【0141】
次に、制御部40Bは、前回の搬送開始時の蛇行エラー時に搬送していた記録媒体16の連量値Qを示す情報を読み取る(ステップS606)。例えば、制御部40Bは、前回の搬送開始時の蛇行エラーの発生時に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて、前回の搬送開始時に読み取った記録媒体16の連量値を示す情報を記憶部38Bに記憶する。そして、制御部40Bは、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応する、記録媒体16の連量値を示す情報を、連量値Qを示す情報として読み取ることによって、ステップS606の処理を行う。
【0142】
次に、制御部40Bは、ステップS604で読み取った現在の記録媒体16の連量値Pと、ステップS606で読み取った前回の記録媒体16の連量値Qと、が同じであるか否かを判別する(ステップS608)。
【0143】
制御部40Bは、ステップS608で否定判断すると(ステップS608:No)、後述するステップS616へ進み、ステップS608で肯定判断すると(ステップS608:Yes)、後述するステップS610へ進む。
【0144】
次に、制御部40Bは、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動方向及び駆動量を記憶部38Bから読み取る(ステップS610)。例えば、制御部40Bは、前回の搬送開始時の蛇行エラーの発生時に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を記憶部38Bに記憶する(詳細後述)。そして、制御部40Bは、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応する、調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を記憶部38Bから読み取ることによって、ステップS610の処理を行う。ここで、ステップS610の処理は、上記ステップS608で肯定判断したときに行うことから、制御部40Bは、現在搬送中の記録媒体16の連量値(ステップS604で読み取った連量値P)に対応する、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動量及び駆動方向を示す情報を読み取ることとなる。
【0145】
次に、制御部40Bは、調整モータ駆動部30へ、ステップS610で読み取った駆動方向及び駆動量を含む駆動指示信号を出力する(ステップS612)。該駆動指示信号を受け付けた調整モータ駆動部30は、該駆動指示信号に含まれる駆動量及び駆動方向に調整部24Aを駆動する。このため、ステップS612の処理によって、加熱ローラ12の軸方向の各位置における加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の押圧力が、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた、押圧力に調整される。
【0146】
そして、調整モータ駆動部30は、該駆動指示信号に含まれる駆動量及び駆動方向に調整部24Aを駆動した後に、駆動完了を示す信号を制御部40Bへ出力する。
【0147】
次に、制御部40Bは、挟持駆動部32から、駆動完了を示す信号を受け付けるまで否定判断を繰り返し(ステップS614:No)、肯定判断すると(ステップS614:Yes)、ステップS616へ進む。
【0148】
次に、制御部40Bは、記録媒体16の搬送開始を示す搬送開始指示信号を、搬送駆動部34へ出力する(ステップS616)。搬送開始指示信号を受け付けた搬送駆動部34は、図示を省略する駆動部を介して、加熱ローラ12を回転駆動する。ステップS616の処理によって、記録媒体16の搬送が開始(開始または再開)される。
【0149】
次に、制御部40Bは、図4のステップS112と同様にして、蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS618)。
【0150】
蛇行エラーが発生しなかったと判断すると(ステップS618:No)、制御部40Bは、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグを記憶部38Bから削除(メモリクリア)した後に、本ルーチンを終了する。
【0151】
一方、搬送エラーが発生したと判断すると(ステップS618:Yes)、制御部40Bは、搬送終了指示信号を搬送駆動部34へ出力する(ステップS620)。搬送終了指示信号を受け付けた搬送駆動部34は、加熱ローラ12の回転駆動を終了する。
【0152】
次に、制御部40Bは、詳細を後述する第5調整処理(ステップS622)を行い、更に、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグを記憶部38Bに記憶した後に、本ルーチンを終了する。
【0153】
次に、図13における第5調整処理(ステップS622)における手順を説明する。図14は、第5調整処理の手順を示すフローチャートである。
【0154】
制御部40Bは、上記ステップS602(図13参照)と同様にして、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したか否かを判断する(ステップS700)。
【0155】
制御部40Bは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したと判断すると(ステップS700:Yes)、ステップS604(図13参照)と同様にして、現在の記録媒体16の連量値Pを読み取る(ステップS702)。
【0156】
次に、制御部40Bは、ステップS606(図13参照)と同様にして、前回処理時の記録媒体16の連量値Qを読み取る(ステップS704)。そして、制御部40Bは、ステップS702で読み取った現在の記録媒体16の連量値Pと、ステップS704で読み取った前回の記録媒体16の連量値Qと、が同じであるか否かを判別する(ステップS706)。
【0157】
制御部40Bは、ステップS706で否定判断すると(ステップS706:No)、後述するステップS712へ進み、ステップS706で肯定判断すると(ステップS706:Yes)、後述するステップS708へ進む。
【0158】
次に、制御部40Bは、今回発生した蛇行エラーにおける記録媒体16の蛇行方向を示す信号を、ステップS202(図5参照)と同様にして取得する(ステップS708)。
【0159】
次に、制御部40Bは、ステップS708で取得した今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向であるか否かを、ステップS204(図5参照)と同様にして判断する(ステップS710)。
【0160】
制御部40Bは、今回の蛇行エラーの蛇行方向が、前回の記録媒体16の搬送開始時の蛇行エラーの蛇行方向と同じ方向である場合には(ステップS710:Yes)、後述するステップS714へ進む。
【0161】
一方、制御部40Bは、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生していないと判断した場合(ステップS700:No)、ステップS706で否定判断した場合(ステップS706:No)、及び、今回の蛇行エラーの蛇行方向が前回の蛇行方向と異なる方向であると判断した場合(ステップS710:No)、後述するステップS712の処理を行った後に、後述するステップS714の処理を行う。
【0162】
制御部40Bは、ステップS712の処理において、記憶部38Bに格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nに“0”を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをクリアする(ステップS712)。
【0163】
次に、制御部40Bは、ステップS714の処理において、記憶部38Bに格納されている、蛇行エラー発生回数のカウント値Nを、現在のカウント値Nに“1”を加算した値を代入することによって、蛇行エラー発生回数カウンタをカウントアップする(ステップS714)。
【0164】
次に、制御部40Bは、記憶部38Bに格納されている最新の蛇行発生日時に対応する蛇行方向を、今回の蛇行エラーの蛇行方向として記憶部38Bに記憶する(ステップS716)。
【0165】
次に、制御部40Bは、上記ステップS702で読み取った、現在搬送中の記録媒体16の連量値Pを、前回の搬送開始時に蛇行エラーが発生したときの記録媒体16の連量値Qを示す情報として、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて記憶部38Bに記憶する(ステップS718)。
【0166】
次に、制御部40Bは、ステップS718で記憶した記録媒体16の連量値(すなわち、今回の蛇行エラー発生時に搬送中の記録媒体16の連量値)に対応する、テーブル(蛇行方向及び蛇行エラー発生回数に対応する、駆動方向及び駆動量を格納したテーブル)を記憶部38Bから選択する(ステップS720)。
【0167】
次に、制御部40Bは、ステップS720で選択したテーブルから、ステップS714でカウントアップした後のカウント値N(すなわち、蛇行エラー発生回数)に対応する、調整部24Aの駆動量を読み取る(ステップS722)。また、制御部40Bは、ステップS716で記憶した蛇行エラーの蛇行方向に対応する、調整部24Aの駆動方向を読み取る(ステップS722)。
【0168】
なお、記憶部38Bは、記録媒体16の蛇行方向を調整する(すなわち、蛇行前の方向に戻す)ための調整部24Aの駆動方向を、記録媒体16の蛇行方向に対応づけて予め格納している。このため、制御部40Bは、蛇行エラーの蛇行方向に対応する、調整部24Aの駆動方向を記憶部38Bから読み取ることによって、調整部24Aの駆動方向を得る。
【0169】
次に、制御部40Bは、読みとった駆動方向及び駆動量を、搬送開始時に蛇行エラーが発生したことを示すフラグに対応づけて記憶部38Bに記憶し(ステップS724)、本ルーチンを終了する。
【0170】
なお、ステップS724で記憶部38Bに格納した駆動方向及び駆動量を、制御部40Bは、次回の記録媒体16の搬送開始時の上述したステップS610(図13参照)の処理時に読み取ることとなる。
【0171】
以上説明したように、本実施の形態の搬送装置10Bでは、記録媒体16の搬送開始前に、搬送する記録媒体16の連量値に対応する、前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた調整部24Aの駆動方向及び駆動量に、調整部24Aを駆動する。このため、本実施の形態の搬送装置10Bでは、記録媒体16の搬送開始前に、加熱ローラ12の軸方向の各位置における該加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の押圧力が、記録媒体16の連量値、及び前回の搬送開始時の蛇行エラーに応じて求めた押圧力に調整された状態となる。
【0172】
このため、本実施の形態の搬送装置10Bでは、加熱ローラ12に対する加圧ローラ14の軸方向の各位置における押圧力が、搬送開始時には既に記録媒体16の連量値に応じて調整された状態となっている。従って、本実施の形態の搬送装置10Bでは、記録媒体16の搬送開始時の蛇行を抑制することができる。
【0173】
なお、上記第2の実施の形態では、記録媒体16の幅に応じて、搬送開始時の駆動量及び駆動方向を調整する場合を説明し、第3の実施の形態では、記録媒体16の連量に応じて、搬送開始時の駆動量及び駆動方向を調整する場合を説明した。しかし、記録媒体16の幅及び連量に応じて、搬送開始時の駆動量及び駆動方法を調整してもよい。この場合には、上述した、蛇行方向及び蛇行エラー発生回数に対応する駆動量及び駆動方向を示すテーブルを、記録媒体16の幅及び連量毎に用意しておき、参照するようにすればよい。
【0174】
なお、上記第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態で実行される搬送処理を実行するための搬送プログラムは、予め各主制御部28、主制御部28A、及び主制御部28Bの各々のROMに格納されている。なお、この搬送プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供され、書き換え可能な不揮発性メモリ、HDDなどに書き込むことも可能である。
【0175】
また、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態で実行される搬送処理を実行するための搬送プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、第2の実施の形態、第3の実施の形態で実行される搬送処理を実行するための搬送プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0176】
第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態で実行される搬送処理を実行するための搬送プログラムは、上述した各部(記憶部、制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から搬送プログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM等の主記憶装置上にロードされ、上記各部が該主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0177】
10、10A、10B 搬送装置
12 加熱ローラ
14 加圧ローラ
26、26A 検出部
28、28A、28B 主制御部
34 搬送駆動部
36、36B 取得部
38、38A、38B 記憶部
40、40A、40B 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0178】
【特許文献1】特開2004−286905号公報
【特許文献2】特開昭63−272741号公報
【特許文献3】特開平10−326033号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のロール部材によって記録媒体を挟持搬送する搬送手段と、
前記記録媒体の蛇行方向及び蛇行量を検出する検出手段と、
前記一対のロール部材の軸方向における挟持力を調整する調整手段と、
前記記録媒体の前回の搬送開始時の蛇行方向及び蛇行量に対応する前記調整手段の調整量を記憶した記憶手段と、
前記記録媒体の搬送開始前に、前回の前記記録媒体の搬送時の前記調整手段の調整量に応じて前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えた搬送装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記記録媒体の幅を更に検出し、
前記記憶手段は、前記記録媒体の幅毎に、前記記録媒体の前回の搬送開始時の蛇行方向及び蛇行量に対応する前記調整手段の調整量を記憶し、
前記制御手段は、前記記録媒体の搬送開始前に、該記録媒体の幅に対応する、前回の前記記録媒体の搬送時の前記調整手段の前記調整量に応じて前記調整手段を制御する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記記録媒体は、搬送方向に連続する連続紙であり、
前記搬送手段で挟持搬送する前記記録媒体の連量を取得する取得手段を更に備え、
前記記憶手段は、前記記録媒体の連量毎に、前記記録媒体の前回の搬送開始時の蛇行方向及び蛇行量に対応する前記調整手段の調整量を記憶し、
前記制御手段は、前記記録媒体の搬送開始前に、該記録媒体の連量に対応する、前回の前記記録媒体の搬送時の前記調整手段の前記調整量に応じて前記調整手段を制御する、
請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
記録媒体を搬送する搬送装置で実行される搬送方法であって、
前記搬送装置は、
一対のロール部材によって記録媒体を挟持搬送する搬送手段と、
前記記録媒体の蛇行方向及び蛇行量を検出する検出手段と、
前記一対のロール部材の軸方向における挟持力を調整する調整手段と、
前記記録媒体の前回の搬送開始時の蛇行方向及び蛇行量に対応する前記調整手段の調整量を記憶した記憶手段と、
を備え、
前記記録媒体の搬送開始前に、前回の前記記録媒体の搬送時の前記調整手段の調整量に応じて前記調整手段を制御するステップを備えた搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−61414(P2013−61414A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198618(P2011−198618)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】