説明

搬送装置および方法

【課題】物品から屑が発生し蓄積することを防止する。
【解決手段】搬送装置10は、屑が発生する2個の焼き菓子XA1を、流れの幅方向に並べた状態で上流から下流に向かって押し進めるフィンガー11と、このフィンガー11の下方に配置されて焼き菓子XA1を下側から支持するプレート21と、を備えている。プレート21は、搬送面21として機能し、流れの幅方向の外側から内側に向かって下方に傾斜するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦または振動によって屑が発生する焼き菓子などの複数の物品を、流れの幅方向に並べてまとめて搬送する搬送装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や日用品などの物品を包装する包装ラインでは、物品が包装機に次々と供給され、フィルムなどの包装材料によって個別に包装される。物品の包装機への供給は、物品を載せて連続的に搬送する搬送装置(コンベア)によって行われる。搬送装置には、ベルトコンベアやチェーン式のフィンガーコンベアなどがある。
【0003】
フィンガーコンベアは、物品を搬送する搬送面を有してなる搬送溝と、スリットを介して搬送面の下方から上方に突出し、搬送溝の流れに沿って物品を押し進める複数のフィンガーと、搬送溝の下方に設けられ、フィンガーを走行させる環状のチェーンと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。フィンガーコンベアによれば、複数のフィンガーが、所定の間隔で物品を押し進めるから、包装機に一定のタイミングで物品を順次供給できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭49−003820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送する物品が焼き菓子などの場合、摩擦または振動によって、粉や欠片などの屑が発生する。そして、複数の物品を流れの幅方向に並べてまとめて搬送する場合には、個々の物品に対し、フィンガーを支点として搬送面内で回転する方向、すなわち流れの幅方向の外側に広がる方向に力が働く。この力は、各物品の形状のばらつき、すなわち物品のひずみや、フィンガーにおける物品の押送箇所が物品幅の全体に対応していない場合の押送箇所のずれに起因して発生する。なお、押送箇所のずれは、幅の異なる種々の物品に対応して搬送面の幅を拡大させた場合に、フィンガーの横幅が不足することによって生じる。
【0006】
このような力が働くことにより、搬送溝の壁面との摩擦を誘発して屑の発生を促進したり、物品から発生した屑が搬送溝の壁面に付着し、蓄積したりする。搬送溝の壁面に蓄積した屑は、物品の円滑な搬送を妨げたり、スリットから落下してチェーンを汚したり、あるいは、包装機に搬送されて物品と共に包装されたりする。
【0007】
このため、搬送溝の壁面に蓄積した屑は、定期的に搬送作業を中断してヘラで削り除去する必要があり、作業効率を低下させている。スリットから落下してチェーンを汚した場合には、エアを吹き付けるなどして清掃されるが、チェーンの潤滑油に付着したときは、十分に清掃することが困難であり衛生上問題があった。搬送溝を取り外すことできれいに清掃できるが、搬送溝の取外し作業、および清掃後に行う搬送溝の組付け調整が煩雑であった。また、物品と共に屑が包装されることは、物品の価値を低下させるので、防止する必要があった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、物品から屑が発生し蓄積することを防止する搬送装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、複数の物品を、流れの幅方向に並べた状態で上流から下流に向かって押し進める押し部材と、前記押し部材の下方に配置されて前記複数の物品を下側から支持する面であって、流れの幅方向における一部または全体が外側から内側に向かって下方に傾斜するように設定された搬送面と、を備えることを特徴とする、搬送装置である。
【0010】
本発明によれば、個々の物品に対し、重力によって、流れの幅方向の内側に集まる方向に力が働く。これにより、個々の物品に対し、押し部材を支点として搬送面内で回転する方向、すなわち流れの幅方向の外側に広がる方向に力が働いた場合であっても、その力は打ち消される。ひいては、搬送面の側方に沿って設けられる壁面との摩擦を誘発して屑の発生を促進したり、物品から発生した屑が当該側面に付着し、蓄積したりすることが防止できる。
【0011】
(2)本発明はまた、前記搬送面の下方に設けられ、前記押し部材を走行させる駆動機構と、前記搬送面を有してなり、前記駆動機構の上方側を覆うように配置されるカバーと、を備えることを特徴とする、上記(1)に記載の搬送装置である。
【0012】
上記発明によれば、物品から発生した屑が、押し部材を突出させるスリットから落下して駆動機構を汚すことが防止される。ひいては、物品から発生した屑の清掃が容易となる。
【0013】
(3)本発明はまた、前記駆動機構を収容する筐体と、前記搬送面の上方において、前記搬送面の側方に沿って設けられたサイドガイドと、を備え、前記カバーおよび前記サイドガイドは、ガイドユニットとして一体に形成され、前記ガイドユニットは、前記筐体に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする、上記(2)に記載の搬送装置である。
【0014】
上記発明によれば、カバーおよびサイドガイドを筐体に対して着脱可能に取り付けたので、カバーおよびサイドガイドを取り外して清掃できる。また、カバーおよびサイドガイドがガイドユニットと一体に形成されているから、清掃後の取付け作業においてサイドガイドの幅を調整する作業が不要となり、清掃後の再現性が確保される。
【0015】
(4)本発明はまた、前記ガイドユニットは、流れ方向に分割された複数のサブガイドユニットから構成され、前記複数のサブガイドユニットは、それぞれが前記筐体に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする、上記(3)に記載の搬送装置である。
【0016】
上記発明によれば、ガイドユニットが複数のサブガイドユニットに分割されているから、ガイドユニットが分割されていない場合と比較して、一つ一つの重量が低減される。これにより、ガイドユニットの着脱作業が容易となる。
【0017】
(5)本発明はまた、前記サブガイドユニットは、流れ方向にスライド可能であることを特徴とする、上記(4)に記載の搬送装置である。
【0018】
上記発明によれば、サブガイドユニットを所望の位置にスライドさせてから取り外したり、サブガイドユニットを取り付けてから所定の位置にスライドさせたりできる。これにより、限られたスペースで作業できる。
【0019】
(6)本発明はまた、前記サブガイドユニットは、前記筐体に対して上方向に着脱可能であることを特徴とする、上記(4)または(5)に記載の搬送装置である。
【0020】
(7)本発明はまた、前記筐体に対して前記ガイドユニットを固定するボルトを備え、前記筐体および前記ガイドユニットは、前記ボルト用のボルト孔を有することを特徴とする、上記(3)〜(6)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0021】
上記発明によれば、一般的な工具であるスパナやレンチを用いるだけで、またはボルトに把手が設けられている場合には素手で、筐体に対してガイドユニットを固定でき、もしくはそれを解除できる。
【0022】
(8)本発明はまた、複数の物品を、流れの幅方向に並べた状態で、流れの幅方向における一部または全体が外側から内側に向かって下方に傾斜するように設定された搬送面の上流から下流に向かって押し進めることを特徴とする、搬送方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の上記(1)〜(7)に記載の搬送装置、および上記(8)に記載の搬送方法によれば、物品から屑が発生し蓄積することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る搬送装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示す搬送装置を上流側から下流側に視た正面図であり、筐体に対してガイドユニットを取り付けた状態を示す。
【図3】図1に示す搬送装置を上流側から下流側に視た正面図であり、筐体に対してガイドユニットを取り外した状態を示す。
【図4】図1に示すサブガイドユニットの取外し手順を説明する搬送装置の概略図である。
【図5】図1に示すサブガイドユニットの取付け手順を説明する搬送装置の概略図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る搬送装置を上流側から下流側に視た正面図であり筐体に対してガイドユニットを取り付けた状態を示す。
【図7】本発明の第3実施形態に係る搬送装置を上流側から下流側に視た正面図であり、筐体に対してガイドユニットを取り外した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の第1〜第3実施形態に係る搬送装置について詳細に説明する。
【0026】
[第1実施形態]まず、図1〜図3を用いて第1実施形態に係る搬送装置10の構成について説明する。図1は、搬送装置10の外観斜視図である。図2は、搬送装置10を上流側から下流側に視た正面図であり、筐体13に対してガイドユニット14を取り付けた状態を示す。図3は、搬送装置10を上流側から下流側に視た正面図であり、筐体13に対してガイドユニット14を取り外した状態を示す。なお、各図において、図面の簡略化のため、一部の構成要件の図示を適宜省略する。
【0027】
図1〜図3に示す搬送装置10は、チェーン式のフィンガーコンベアであり、ちんすこう(登録商標)などの焼き菓子XA1を個別に包装するラインに設置される。この搬送装置10は、焼き菓子XA1を、下流に配置される包装機35(図4および図5参照)に向けて、上流から下流に向かう流れの幅方向に2個並べた状態で次々に搬送する。図1では、左手前側を上流とし、右奥側を下流とする。図2および図3では、紙面手前側を上流とし、紙面奥側を下流とする。なお、各実施形態では、焼き菓子XA1を搬送する場合を例に説明するが、本発明の搬送装置は、固形スープやインスタントラーメンなど、摩擦または振動によって粉や欠片などの屑が発生する物品の搬送に使用可能である。
【0028】
搬送装置10は、上流から下流に沿って焼き菓子XA1を押し進める複数のフィンガー11と、これら複数のフィンガー11の下方において上流から下流に沿って設けられ、フィンガー11を走行させる駆動機構12と、この駆動機構12を収容すると共に搬送面21aを形成する筐体13と、この筐体13に対して着脱可能に取り付けられ、焼き菓子XA1をガイドするガイドユニット14と、筐体13に対してガイドユニット14を固定するボルト15と、を備えている。以下、搬送装置10の各構成要件を説明する。なお、駆動機構12の動作は、図示を省略する制御装置によって統括的に制御される。また、図1では、フィンガー11および駆動機構12の図示を省略する。
【0029】
(フィンガー)複数のフィンガー11は、上流から下流に沿って所定の間隔で配置される。これらの複数のフィンガー11は、駆動機構12の駆動によって走行し、2個の焼き菓子XA1を流れの幅方向に並べた状態で包装機35(図4および図5参照)に向けて押し進める。
【0030】
(駆動機構)駆動機構12は、上流から下流に沿って配置される環状のチェーン17と、このチェーン17との組合せで用いられる複数のスプロケット18と、これら複数のスプロケット18を回動させるモータ等の動力源(図示省略)と、筐体13に対して機構全体を取り付ける支柱19と、などを備えている。
【0031】
チェーン17は、上流から下流に向かって包装機35(図4および図5参照)に近付く方向に走行する進行部(符号省略)と、この進行部の下方に沿って配置され、下流から上流に向かって包装機35(図4および図5参照)から遠退く方向に走行する退行部(符号省略)と、が無端で連結されている。このチェーン17は、外周側に直交するように、複数のフィンガー11が所定の間隔で連結されている。チェーン17は、スプロケット18の回動によって循環する。このチェーン17は、循環することによって、フィンガー11を走行させる。
【0032】
複数のスプロケット18は、それぞれ、全周にわたって複数の歯(図示省略)が形成された歯車である。これらのスプロケット18は、少なくともチェーン17の上流端および下流端に設けられている。少なくとも一つのスプロケット18は、動力源(図示省略)に接続され、その動力源によって回動する。これにより、チェーン17が循環する。
【0033】
支柱19は、筐体13内に架け渡されるように配置される。この支柱19は、筐体13を支持する梁として機能する。
【0034】
(筐体)筐体13は、上流から下流に沿って配置される一対の壁面20と、フィンガー11の下方に配置されて焼き菓子XA1を下側から支持し、少なくとも駆動機構12の上方側を覆うように配置される二対のカバー21と、を備えている。各壁面20は、支柱19などによって互いに連結されている。これらの各壁面20には、ボルト15用のボルト孔(図示省略)が形成されている。各壁面20は、上端が内側に90度折り曲げられている。これら一対の壁面20における上端には、それぞれ、搬送面21aを形成するように二対のカバー21がネジなどにより固定されている。搬送面21aは、流れの幅方向における全体が、外側から内側に向かって下方に傾斜するように設定されている。二対のカバー21の間には、フィンガー11突出用のスリット21bが形成されている。
【0035】
(ガイドユニット)ガイドユニット14は、流れ方向に分割された二対のサブガイドユニット23,24を備えている。各サブガイドユニット23,24は、上流から下流に沿った流れ方向にスライド可能であると共に、筐体13に対して上方向に着脱可能である。ただし、下流端の上方に包装機35(図4および図5参照)が配置されているので、下流側のサブガイドユニット24については、上流側の所望の位置にスライドさせてから取り外したり、上流側の任意の位置に取り付けてから所定の位置にスライドさせたりする必要がある。なお、ここでいう筐体13に対する上方向とは、鉛直上方向、および鉛直上方向から上流側または下流側に傾けた斜め上方向のことを意味する。
【0036】
上流側のサブガイドユニット23は、搬送面21aの上方において搬送面21aの側方に沿って設けられるサイドガイド26と、このサイドガイド26を筐体13に取り付ける取付部材27と、を備えている。
【0037】
サイドガイド26は、金属製のパイプによって形成される。筐体13に取り付けられた状態において、一対のサイドガイド26の間隔Wは、搬送面21aの幅w未満に設定されている。
【0038】
取付部材27は、箱形の部材本体28と、この部材本体28およびサイドガイド26を連結する連結パイプ30と、連結パイプ30の長さを変更し、サイドガイド26の間隔Wを調整する調整ハンドル31と、を備えている。
【0039】
部材本体28には、ボルト15用のボルト孔(図示省略)と、連結パイプ30用のパイプ孔(図示省略)と、調整ハンドル31用のボルト孔(図示省略)と、が形成されている。
【0040】
連結パイプ30用のパイプ孔は、部材本体28の上端を水平方向に貫通する。調整ハンドル31用のボルト孔は、部材本体28の上面から、連結パイプ30用のパイプ孔の中間部分に向かって鉛直方向に貫通する。連結パイプ30用のパイプ孔には、連結パイプ30の一端が挿入される。調整ハンドル31用のボルト孔には、調整ハンドル31のボルト部分(図示省略)が挿入される。パイプ孔に挿入された連結パイプ30は、ボルト孔に挿入された調整ハンドル31のボルト部分が当接することで締め付けられ、部材本体28に固定される。連結パイプ30の他端は、サイドガイド26の側面に当接した状態で溶接などにより固定されている。
【0041】
調整ハンドル31は、連結パイプ30を部材本体28に対して固定したり、その解除をしたりするハンドルであり、素手で操作される。
【0042】
下流側のサブガイドユニット24は、上流側のサブガイドユニット23と比較すると、サイドガイド26に代えてサイドガイド32を備えている。このサイドガイド32は、下流端の上方に切欠き32aを有する。この切欠き32aは、下流端の上方に配置される包装機35(図4および図5参照)との干渉を防止する。なお、サブガイドユニット23と同様の構成要件は、図面に符号を付して説明を省略する。
【0043】
(ボルト)ボルト15は、部材本体28のボルト孔、筐体13のボルト孔(図示省略)の順に挿入されることで、ガイドユニット14を筐体13に固定する。このボルト15は、把手15aを備え、素手で操作される。
【0044】
次に、搬送装置10の作用について図1〜図5に基づいて説明する。図4は、サブガイドユニット23,24の取外し手順を説明する搬送装置10の概略図である。図5は、サブガイドユニット23,24の取付け手順を説明する搬送装置10の概略図である。
【0045】
搬送面21aに供給された焼き菓子XA1は、フィンガー11によって上流から下流の包装機35に向かって押し進められる。焼き菓子XA1には、重力によって、流れの幅方向の内側に集まる方向に力が働く。
【0046】
筐体13内の清掃が行われる場合、ボルト15が操作され、筐体13から各サブガイドユニット23,24が取り外される(図3参照)。具体的には、上流側のサブガイドユニット23が、筐体13に対して鉛直方向に取り外される(図4(A)参照)。そして、下流側のサブガイドユニット24が、上流側の所望の位置にスライドされてから(図4(B)参照)、筐体13に対して鉛直方向に取り外される(図4(C)参照)。その後、ネジ固定された二対のカバー21が筐体13から取り外される(図4(D)参照)。これにより、筐体13内の清掃が可能になる(図4(E)参照)。
【0047】
筐体13内の清掃後は、二対のカバー21が筐体に固定されてから、各サブガイドユニット23,24が筐体13に取り付けられると共に、ボルト15によって各サブガイドユニット23,24が筐体13に固定される。具体的には、カバー21が筐体13にネジ固定される(図5(A)参照)。そして、下流側のサブガイドユニット24が、上流側の任意の位置に、筐体13に対して鉛直方向に取り付けられる(図5(B)参照)。その後、下流側のサブガイドユニット24が、所定の位置にスライドされると共に、ボルト15によって筐体13に固定される(図5(C)参照)。さらに、上流側のサブガイドユニット23が、所定の位置に、筐体13に対して鉛直方向に取り付けられると共に、ボルト15によって筐体13に固定される(図5(D)および図5(E)参照)。
【0048】
なお、調整ハンドル31の操作によって、一対のサイドガイド26あるいは32の間隔W調整が可能となるが、通常の清掃時には、調整ハンドル31の操作は不要である。
【0049】
[第2実施形態]次に、図6を用いて、第2実施形態に係る搬送装置40の構成について説明する。図6は、搬送装置40を上流側から下流側に視た正面図であり、筐体13に対してガイドユニット14を取り付けた状態を示す。
【0050】
なお、第2実施形態に係る搬送装置40の特徴部分のみを説明し、第1実施形態に係る搬送装置10と同様の構成要件、作用、および効果についての説明は省略する。後述する第3実施形態についても、特徴部分のみを説明し、他の実施形態と同様の構成要件、作用、および効果についての説明は省略する。
【0051】
図6に示す搬送装置40は、焼き菓子XA1を、下流に配置される包装機(図示省略)に向けて、流れの幅方向に3個並べた状態で次々に搬送する。この搬送装置40は、第1実施形態の搬送装置10と比較すると、二対のカバー21に代えて二対のカバー41を備えている。
【0052】
一対の壁面20における上端には、それぞれ、搬送面41aを形成するように二対のカバー41がネジなどにより固定されている。搬送面41aは、流れの幅方向における外側の一部が、外側から内側に向かって下方に傾斜するように、そしてその内側が、水平となるように設定されている。二対のカバー41の間には、フィンガー11突出用のスリット41bが形成されている。
【0053】
このように、搬送装置10,40によれば、個々の焼き菓子XA1に対し、重力によって、流れの幅方向の内側に集まる方向に力が働く。これにより、個々の焼き菓子XA1に対し、フィンガー11を支点として搬送面21a,41a内で回転する方向、すなわち流れの幅方向の外側に広がる方向に力が働いた場合であっても、その力は打ち消される。ひいては、搬送面21a,41aの側方に沿って設けられるサイドガイド26との摩擦を誘発して屑の発生を促進したり、焼き菓子XA1から発生した屑がサイドガイド26に付着し、蓄積したりすることが防止できる。
【0054】
また、焼き菓子XA1から発生した屑が、フィンガー11を突出させるスリット21b,41bから落下して駆動機構12を汚すことが防止される。ひいては、焼き菓子XA1から発生した屑の清掃が容易となる。
【0055】
さらに、ガイドユニット14が複数のサブガイドユニット23に分割されているから、ガイドユニット14が分割されていない場合と比較して、一つ一つの重量が低減される。これにより、ガイドユニット14の着脱作業が容易となる。
【0056】
そして、サブガイドユニット23が、上流から下流に向かう流れ方向にスライド可能であるから、サブガイドユニット23を所望の位置にスライドさせてから取り外したり、サブガイドユニット23を取り付けてから所望の位置にスライドさせたりできる。これにより、限られたスペースで作業できる。
【0057】
次いで、ボルト15に把手15aが設けられているから、素手で、筐体13に対してガイドユニット14を固定でき、あるいはそれを解除できる。
【0058】
[第3実施形態]次に、図7を用いて、第3実施形態に係る搬送装置50の構成について説明する。図7は、搬送装置50を上流側から下流側に視た正面図であり、筐体13に対してガイドユニット51を取り外した状態を示す。
【0059】
図7に示す搬送装置50は、第1実施形態の搬送装置10と比較すると、カバー21が筐体13にネジ固定されることに代えて、カバー21がサイドガイド26,32と一体となって構成され、筐体13に対して着脱可能に取り付けられる。
【0060】
ガイドユニット51は、二対のサブガイドユニット53,54を備えている。
【0061】
上流側のサブガイドユニット53は、カバー21と、サイドガイド26と、カバー21およびサイドガイド26を筐体13に取り付ける取付部材55と、を備えている。
【0062】
取付部材55は、部材本体28と、連結パイプ30と、調整ハンドル31と、を備えている。
【0063】
連結パイプ30は、その下部がカバー21の上面に当接した状態で溶接などにより固定されている。
【0064】
下流側のサブガイドユニット54は、上流側のサブガイドユニット53と比較すると、サイドガイド26に代えてサイドガイド32を備えている。なお、サブガイドユニット53と同様の構成要件は、説明を省略する。
【0065】
このように、搬送装置50によれば、カバー21およびサイドガイド26,32を筐体13に対して着脱可能に取り付けたので、カバー21およびサイドガイド26,32を取り外して清掃できる。また、カバー21およびサイドガイド26,32がガイドユニット51として一体に形成されているから、清掃後の取付け作業においてサイドガイド26,32の幅を調整する作業が不要となり、清掃後の再現性が確保される。
【0066】
また、ガイドユニット51が複数のサブガイドユニット53,54に分割されているから、ガイドユニット51が分割されていない場合と比較して、一つ一つの重量が低減される。これにより、ガイドユニット51の着脱作業が容易となる。
【0067】
さらに、サブガイドユニット53,54が、上流から下流に向かう流れ方向にスライド可能であるから、サブガイドユニット53,54を所望の位置にスライドさせてから取り外したり、サブガイドユニット53,54を取り付けてから所望の位置にスライドさせたりできる。これにより、限られたスペースで作業できる。
【0068】
本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0069】
すなわち、上記各実施形態において、ボルト15に把手15aを設けなくてもよい。この場合、素手で操作することはできないが、一般的な工具であるスパナやレンチを用いるだけで操作できる。
【0070】
あるいは、上記各実施形態において、各構成要素の数量、形状、大きさは適宜変更できる。例えば、ガイドユニット14を構成するサブガイドユニット、サブガイドユニットを構成する連結部材、あるいはカバー21,41の数量が挙げられる。あるいは、焼き菓子XA1を、流れの幅方向に4個以上並べて搬送できるように設計してもよい。この場合、カバー21,41の形状などを変更することで対応できる。
【0071】
あるいは、上記各実施形態の構成要件を、可能な範囲で他の実施形態に適用してもよい。例えば、カバー41がサイドガイド26,32と一体となって構成され、筐体13に対して着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。
【0072】
あるいは、上記各実施形態の搬送装置10,40、50、すなわちフィンガーコンベアに適用することに限られず、コヤグラ供給装置(上部コンベア、あるいはオーバーベッドコンベアともいう。)、サイドフィンガーコンベア、もしくはバーコンベアに適用できる。コヤグラ供給装置の詳細は、実公昭42−003671号の図1などを参照されたい。サイドフィンガーコンベアの詳細は、特開2001−010605号公報の図3などを参照されたい。バーコンベアの詳細は、実開昭63−123403号公報の図1などを参照されたい。
【符号の説明】
【0073】
10,40、50 搬送装置
11 フィンガー
12 駆動機構
13 筐体
14,51 ガイドユニット
15 ボルト
15a 把手
17 チェーン
18 スプロケット
19 支柱
20 壁面
21,41 カバー
21a,41a 搬送面
21b,41b スリット
23,24,53,54 サブガイドユニット
26,32 サイドガイド
27,55 取付部材
28 部材本体
30 連結パイプ
31 調整ハンドル
32a 切欠き
XA1 焼き菓子
w 幅
W 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を、流れの幅方向に並べた状態で上流から下流に向かって押し進める押し部材と、
前記押し部材の下方に配置されて前記複数の物品を下側から支持する面であって、流れの幅方向における一部または全体が外側から内側に向かって下方に傾斜するように設定された搬送面と、を備えることを特徴とする、
搬送装置。
【請求項2】
前記搬送面の下方に設けられ、前記押し部材を走行させる駆動機構と、
前記搬送面を有してなり、前記駆動機構の上方側を覆うように配置されるカバーと、を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記駆動機構を収容する筐体と、
前記搬送面の上方において、前記搬送面の側方に沿って設けられたサイドガイドと、を備え、
前記カバーおよび前記サイドガイドは、ガイドユニットとして一体に形成され、
前記ガイドユニットは、前記筐体に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ガイドユニットは、流れ方向に分割された複数のサブガイドユニットから構成され、
前記複数のサブガイドユニットは、それぞれが前記筐体に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記サブガイドユニットは、流れ方向にスライド可能であることを特徴とする、
請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記サブガイドユニットは、前記筐体に対して上方向に着脱可能であることを特徴とする、
請求項4または5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記筐体に対して前記ガイドユニットを固定するボルトを備え、
前記筐体および前記ガイドユニットは、前記ボルト用のボルト孔を有することを特徴とする、
請求項3〜6のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項8】
複数の物品を、流れの幅方向に並べた状態で、流れの幅方向における一部または全体が外側から内側に向かって下方に傾斜するように設定された搬送面の上流から下流に向かって押し進めることを特徴とする、
搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−171658(P2012−171658A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35972(P2011−35972)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】