説明

搬送装置及びこれを用いた選別装置

【課題】プラスチックベルトの取り外しが容易となる搬送装置及びこれを用いた選別装置を提供すること。
【解決手段】挿通孔14が設けられたベルトモジュール12と、ベルトモジュール12を挿通孔14同士が連通するように配置し、連通した挿通孔14に挿通されてベルトモジュール12同士を連結するロッド15とを有し、ベルトモジュール12が環状に連結された無端状のプラスチックベルト11と、プラスチックベルト11が掛け回され、プラスチックベルト11を循環駆動するローラ16,16とを備え、プラスチックベルト11の側部を覆うようにこのプラスチックベルト11の循環方向Yに沿った側板20A,20Bを備えるとともに、一本のロッド15aをベルトモジュール11の挿通孔14からその軸方向に自由移動可能に設ける。自由移動するロッド15aは、ベルト循環時に側板20A,20Bによって抜け止めされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数片のプラスチック製ベルトモジュールがロッドにより環状に連結されてなる無端状のプラスチックベルトを備えた搬送装置、及びこれを用いた選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを搬送する搬送装置には、搬送ベルトとしてプラスチックベルトを備えたものがある。プラスチックベルトは、複数片のプラスチック製ベルトモジュールがロッドにより環状に連結されたものであり、腐食せず、軽量且つ洗浄容易という利点があり、食品搬送に広く用いられている。プラスチックベルトには様々な形状や構造があるが、一般的には上述したように、ベルトモジュールとロッドにより構成されている。ベルトモジュールは、搬送方向に沿って順次隣接して配置されている。また、ベルトモジュールには、各対向する端面から延出した連結端にロッドが挿入されるための挿通孔が設けられている。各ベルトモジュールは、その一端となる連結端が隣接するベルトモジュールの連結端と互いの挿通孔を連通させて配置されており、この連通した挿通孔にロッドが挿通されることにより相互に連結される。ロッドは、ベルトモジュールの挿通孔に回転可能に挿通されており、隣接するベルトモジュールの間にヒンジを形成する。そして、ベルトモジュールは環状に連結され、ローラやスプロケットなどの循環駆動手段に巻き付けられる。
【0003】
ところで、プラスチックベルトにおいて、ロッドが抜けないように保持することは重要事項である。従来、ロッドの両端にこのロッドの径よりも大径なヘッドが設けられ、このヘッドがロッドの抜け止めとなるものがあった。ところが、このようなロッドでは、清掃時などにプラスチックベルトを取り外すために分解するときに、その都度、ヘッドを破壊しなければならず、そのため、プラスチックベルトを取り外す作業は煩雑なものであった。なお、プラスチックベルトを備えた搬送装置は、食品をワークとすることが多いため、ベルトを小まめに清掃することが望ましい。したがって、プラスチックベルトは、循環駆動中にはロッドが抜けないように保持され、清掃時などにはロッドを容易に抜き取れるように構成する必要がある。
【0004】
また、下記特許文献1には、ヘッドレスで、清掃時などには簡単に抜けてベルト分解が容易となるピボットロッドが開示されている。このピボットロッドは、その一端にヘッドが設けられ、他端がヘッドレスに形成されたものである。ピボットロッドは、ヘッドから所定距離をあけて配置されたリテーニングリングを備えている。ピボットロッドは、このロッドと同径となるモジュールリンクの開口に挿入される。リテーニングリングは、最外側のリンクの開口よりも僅かに大径であり、最外側のリンク端の開口に強制的に挿通され、リンクの後ろ側で拡径される。このような配置とすることにより、リテーニングリングによってピボットロッドが保持されるようになる。また、下記特許文献1では、このようなヘッドレスピボットロッドを更に改良して、最外側の開口の径及びリテーニングリングの径に対する厳密な公差を必要とせず、容易に抜き取ることができるピボットロッドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−47715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術によれば、結局はロッドを挿通孔から抜き取るときに、挿通孔を拡径しながらロッドを捻り出すような専用の工具が必要となり、したがって、ロッドを容易に抜き取るという点で十分ではなかった。なお、通常、搬送装置にはプラスチックベルトの側部を覆うために側板が設けられており、プラスチックベルトを取り外すときは、プラスチックベルトがローラなどに掛け回された状態でベルトの一部を側板の上縁よりも上に持ち上げたままロッドを抜き取らなければならないため、工具の扱いにも慣れておく必要がある。
【0007】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、プラスチックベルトの循環駆動中にロッドは抜けず、清掃時などには工具を使用しなくてもロッドを容易に抜き取ることができ、これにより、プラスチックベルトの取り外しが容易となる搬送装置を提供することを目的としている。
【0008】
また、プラスチックベルトを備えた搬送装置は、そのベルト面上に搬送されるワークが搬送中に移動してもベルト面が損傷しないことから、ワークを搬送方向(プラスチックベルトの循環方向)と異なる方向に押し出すような選別装置に用いることに適している。そこで本発明は、更に、上記搬送装置を用いた選別装置を提供することをもう一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明に係る請求項1記載の搬送装置は、それぞれの両端部に挿通孔14が設けられた複数片のプラスチック製ベルトモジュール12と、前記ベルトモジュール12を前記挿通孔14同士が連通するように配置し、該連通した挿通孔14に挿通されて前記ベルトモジュール12同士を連結するロッド15とを備え、前記ベルトモジュール12が環状に連結されてなる無端状のプラスチックベルト11と、
前記プラスチックベルト11が掛け回され、該プラスチックベルト11を循環駆動する一対からなるローラ16,16と、を備えた搬送装置10において、
前記プラスチックベルト11の側部を覆うように該プラスチックベルト11の循環方向Yに沿って設けられた側板20を備えるとともに、
前記ロッド15のうちの少なくとも一本のロッド15aが前記ベルトモジュール11の前記挿通孔14からその軸方向に自由移動可能に設けられ、
該自由移動するロッド15aは前記側板20に当接することより抜け止めされていることを特徴としている。
【0010】
前記自由移動とは、例えばプラスチックベルト11を傾けたときにロッド15aが重力により自ら挿通孔14から抜け出すような移動のことである。すなわち、自由移動するロッド15aは、挿通孔14に極めて滑らかな状態で挿通されている。
【0011】
このような構成によれば、複数片のベルトモジュール12を連結している複数本のロッド15のうち、少なくとも一本のロッド15aを挿通孔14から軸方向に自由移動可能に設けることにより、ロッド15aを容易に抜き取ることができ、プラスチックベルト11の取り外しが容易となる。また、自由移動するロッド15aは、プラスチックベルト11の循環駆動中には側板20によって抜け止めされているため、挿通孔14に保持されるようになる。
【0012】
請求項2記載の搬送装置は、前記自由移動するロッド15aは他の前記ロッド15から識別可能に設けられていることを特徴としている。
【0013】
具体的には、前記自由移動するロッド15aの長さを他のロッド15とは異なる長さとしたり、色を変えたりして識別可能に構成する。
【0014】
このような構成によれば、複数片のベルトモジュール12を連結している複数本のロッド15の中から自由移動するロッド15aを簡単に見つけることができる。
【0015】
請求項3記載の搬送装置は、前記自由移動するロッド15aと該ロッド15aが当接する前記側板20のいずれか一方又は両方が耐摩耗性材料からなることを特徴としている。
【0016】
このような構成によれば、プラスチックベルト11の循環駆動中にロッド15aが自由移動して側板20に当接しても、自由移動するロッド15aと側板20の互いの摩耗が低減するようになる。
【0017】
請求項4記載の選別装置は、請求項1又は2又は3記載の搬送装置10を用いた選別装置であって、
前記搬送装置10の一方側部に配置され、該搬送装置10に搬送されるワークWを前記プラスチックベルト11のベルト面上から前記搬送装置10の他方側部へ排出する選別手段2を備えた選別装置1において、
前記搬送装置10の他方側部に設けられた前記側板20は、その上縁21aが前記ロッド15の端面の下半部よりも高い位置となるとともに前記ベルト面よりも低い位置となるように設けられていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、自由移動するロッド15aの抜止め機能を発揮させながら選別手段2によるワークWの排出を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る搬送装置によれば、プラスチックベルトの循環駆動中にロッドは抜けず、その逆に、清掃時などには工具を使用しなくてもロッドを容易に抜き取ることができる。これにより、プラスチックベルトを容易に取り外すことができるようになり、清掃などが容易となる。
【0020】
また、複数片のベルトモジュールを連結している複数本のロッドの中から自由移動するロッドを簡単に見つけることができる。これにより、プラスチックベルトを更に容易に取り外すことができるようになる。
【0021】
さらに、プラスチックベルトの循環駆動中にロッドが自由移動して側板に当接しても、自由移動するロッドと側板の互いの摩耗を低減することができる。
【0022】
また、本発明に係る選別装置によれば、上記搬送装置を搬送手段として用いても、自由移動するロッドの抜止め機能を発揮させながら選別手段によるワークの排出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態(選別装置)の全体構成を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態における搬送装置を示す側断面図である。
【図3】(a)同実施の形態における搬送装置を示す正面図である。 (b)(a)におけるZ部の拡大図である。
【図4】(a),(b)同実施の形態における搬送装置のプラスチックベルトの取り外し方を示す斜視図である。
【図5】同実施の形態(選別装置)の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1に示すように、この実施の形態(選別装置1)は、前段コンベア50から送られてきて、搬送装置10に搬送される食品などのワークWを、選別手段によって搬送方向Yと異なる排出方向X(この実施の形態では、搬送方向Yと直交する方向)に押して移動させ、ワークWを搬送面から外に排出する装置である。
【0025】
図1,2に示すように、搬送装置10は、ワークWを搬送するための搬送ベルトとしてプラスチックベルト11を備えている。図3に示すように、プラスチックベルト11は、複数片のプラスチック製ベルトモジュール12と、複数本のロッド15とを備えている。ベルトモジュール12は、略矩形板状に形成されている。また、ロッド15は真円柱形状に形成されている。
【0026】
図3(a),(b)に示すように、各ベルトモジュール12は、挿通孔14に挿通されたロッド15の軸方向に複数のモジュール片13に分割可能に形成されている。ここでは、ロッド15の軸方向に並んだモジュール片13の全てを合わせたものを一片のベルトモジュール12とする。すなわち、プラスチックベルト11を形成するためにロッド15で連結させるベルト幅単位のモジュールをベルトモジュール12とする。ベルトモジュール12は、搬送方向Yに沿って順次隣接して配置されている。また、ベルトモジュール12には、各対向する連結端部にロッド15が挿入されるための挿通孔14が設けられている。各ベルトモジュール12は、その一端となる連結端部が隣接するベルトモジュール12の連結端部と互いの挿通孔14が連通するように配置されており、この連通した挿通孔14にロッド15が挿通されることにより相互に連結される。ロッド15は、ベルトモジュール12の挿通孔14に回転可能に挿通されており、隣接するベルトモジュール12,12の間にヒンジを形成する。ベルトモジュール12はロッド15により順次連結されてプラスチックベルトが形成され、最後にプラスチックベルトの両端部がロッド15により連結され、無端状のプラスチックベルト11となる。
【0027】
図2,3に示すように、ロッド15によりベルトモジュール12が環状に連結されてなる無端状のプラスチックベルト11は、このベルト11の循環駆動手段である少なくとも一対からなるローラ16,16に掛け回されている。図1に示すように、一対のローラ16,16のいずれか一方(図1に示す例では、プラスチックベルト11の循環方向、すなわち、ワークWの搬送方向Yの下流側に配置されたローラ)は駆動モータ17に接続された主動ローラとなり、他方は従動ローラとなる。プラスチックベルト11と一対のローラ16,16とからなるコンベアは、脚部18に支持された基台19上に取り付けられている。なお、コンベアを構成するプラスチックベルト11のベルト面が、ワークWの搬送面となる。また、この実施の形態では、プラスチックベルト11の循環駆動手段にはローラ16を用いているが、スプロケットなどであってもよい。
【0028】
図2,3に示すように、コンベアには、一対のローラ16,16に掛け回されたプラスチックベルト11の循環方向、すなわち、ワークWの搬送方向Yの両側部を覆うように、搬送方向Yに沿って一対の側板20,20が設けられている。一対の側板20,20のうち、少なくとも後述する選別手段によってワークWが排出される側となる搬送装置10の他方側部に配置される側板20(20A)は、その上縁21aが、ワークWが搬送される上側のベルト面(搬送面)のロッド15の端面の下半部よりも高い位置になるとともに、この搬送面よりも低い位置となるように設けられている。なお、搬送装置10の一方側部に配置される側板20(20B)は、側板20Aのように、その上縁21aが搬送面のロッド15の端面の下半部よりも高い位置であり、且つ搬送面よりも低い位置となるように設けられてもよいし、後述する図5に示す変形例のように、搬送面を越える高い位置となるように設けられてもよい。また、一対の側板20A,20Bは、その下縁21bが、少なくともプラスチックベルト11の搬送面の下側のベルトのロッド15の上半部よりも低い位置となるように設けられている。図2に示すように、プラスチックベルト11にはその特性上、ローラ16,16に巻き付けられた状態で下側のベルトに弛みが生じる。したがって、側板20A,20Bの各下縁21bは、少なくともこのように弛んだ状態にあるプラスチックベルト11の最下位置に到達したロッド15の上半部よりも低い位置(図2に示す二点鎖線を上限としてこれよりも低い位置)となる。なお、この実施の形態では、側板20A,20Bの各下縁21bは、これら側板20A,20Bの下縁部が下側のベルトのロッド15を完全に覆うような低い位置にある。さらに、側板20A,20Bは、その両側縁21c,21dが、プラスチックベルト11の最も搬送方向Y上流側及び下流側に到達したロッド15の少なくとも左右いずれかの半部を覆うような位置となるように設けられている。
【0029】
また、複数本のロッド15のうち、少なくとも一本のロッド15aは、ベルトモジュール12の挿通孔14からその軸方向に自由移動可能に設けられている。ここで、自由移動とは、例えばプラスチックベルト11を傾けたときにこのロッド15aが重力により自ら挿通孔14から抜け出すような移動のことである。すなわち、自由移動するロッド15aは、挿通孔14に極めて滑らかな状態で挿通されている。また、自由移動するロッド15a以外の他のロッド15は抜け止めされており、挿通孔14に保持されている。したがって、自由移動するロッド15a以外のロッド15が側板20A,20Bと当接することはない。
【0030】
図3(b)に示すように、自由移動するロッド15aは、他のロッド15と識別可能に設けられており、一見して他のロッド15と識別されるように他のロッド15よりも長いものである。自由移動するロッド15aは、超高分子量ポリエチレンなどのような耐摩耗性材料からなる。なお、自由移動するロッド15aの全体が耐摩耗性材料からなる構成でもよいが、ロッド15aの側板20A,20Bに当接する両端部22だけが耐摩耗性材料からなる構成であればよい。また、ロッド15aと共に側板20A,20Bを耐摩耗性材料からなる構成としてもよいし、側板20A,20Bだけを耐摩耗性材料からなる構成としてもよい。さらに、この実施の形態では、自由移動するロッド15aを他のロッド15よりも長くして、すなわち、長さを変えて識別するようにしているが、例えば、ロッド15aを他のロッド15と異なる色として識別するようにしてもよい。
【0031】
ここで、図4を参照してプラスチックベルト11を取り外すときの手順を説明する。
図4(a)に示すように、一対のローラ16,16に掛け回されたプラスチックベルト11は、その特性から弛みがあるため、搬送面となる上側のベルト面を上に引き上げることにより、自由移動するロッド15aを側板20Aの上縁21aよりも上に引き上げることができる。このとき、自由移動するロッド15aは、目視によって他のロッド15から識別可能である。そして、図4(b)に示すように、プラスチックベルト11を引き上げてロッド15aを手で抜き取ることにより、プラスチックベルト11は分解され、容易に取り外すことができる。なお、プラスチックベルト11を引き上げたときに、このベルト11を傾けると、ロッド15aは自由移動して挿通孔14から勝手に抜け出る。
【0032】
図1に示すように、選別装置1は、上述した搬送装置10の他に、前述した選別手段2を備えている。選別手段2は、搬送装置10の一方端部に配置されている。選別手段2は、脚部4で支持された基台5上に取り付けられている。選別手段2は、いわゆるプッシャー選別機であり、選別ゲート3によって、プラスチックベルト11の搬送面上のワークWを排出方向Xに移動させてこの搬送面から外に押し出すものである。
【0033】
図1に示すように、基台5上には、ワークWの搬送方向Yと直交する向きでシリンダ9が固定されている(図5参照)。シリンダ9は伸縮自在のロッド6を備えており、ロッド6の先端は待機時の位置(引き込み位置)において、搬送装置10(プラスチックベルト11)の一方側部よりも僅かに外側に位置している。シリンダ9としては、油圧又は空圧の駆動シリンダでもよいし、電気で作動するソレノイドでもよく、要するにワークWを押すために必要な力を有してロッド6を自在に往復動作させるものであればよい。
【0034】
基台5の上面において、シリンダ9を中心として、このシリンダ9の両側部に直動ガイドされたガイドロッド7,7がその軸方向に往復自在に直動するように設けられている。
【0035】
選別ゲート3は、ロッド6の先端に固定されている。選別ゲート3は、ロッド6の軸方向と直交する方向(搬送方向Y)に長い略直方体状の部材であり、その中央部の後面側においてロッド6に連結されている。さらに、選別ゲート3の前面は、待機時の位置(引き込み位置)において、プラスチックベルト11の一方の側端縁に略一致した位置に配置されている。この位置で搬送されるワークWを待ち、搬送装置10にワークWが搬送されてきたら、所定のタイミングで駆動されたシリンダ9によってプラスチックベルト11の搬送面上に移動し、プラスチックベルト11の他方側部の位置(押し出し位置)まで移動してワークWを搬送面から外に押し出す。なお、このとき、選別ゲート3の下端面とプラスチックベルト11の搬送面との間には、ワークWや作業者の手指などを巻き込まない程度にプラスチックベルト11との過剰な摩擦や干渉を避けることができるほどの僅かな隙間が設けられている。ワークWの押し出し動作後、シリンダは逆方向に移動し、選別ゲート3はもとの待機時の位置に戻る。
【0036】
基台5の上面には、シリンダ9とロッド6、ガイドロッド7などの選別ゲート3の駆動部を覆うように略矩形箱状のカバー8が取り付けられている。カバー8は、選別ゲート3が配置される前面と基台5上に配置される下面が開放されている。カバー8の前面は選別ゲート3の後面で覆われ、下面は基台5の上面で被覆されている。したがって、選別ゲート3の駆動部は外部から見えないようにカバー8に覆われることになる。
【0037】
上述した実施の形態によれば、搬送装置10において、プラスチックベルト11の循環駆動中に自由移動するロッド15aは抜けず、その逆に、清掃時などには工具を使用しなくてもロッド15aを容易に抜き取ることができるようになり、プラスチックベルト11を容易に取り外すことができる。
【0038】
また、自由移動するロッド15aは他のロッド15よりも長いため、複数片のベルトモジュール11を連結している複数本のロッド15の中から自由移動するロッド15aを簡単に見つけることができる。これにより、プラスチックベルト11を更に容易に取り外すことができるようになる。
【0039】
さらに、自由移動するロッド15aの一部又は全部が耐摩耗性材料から形成されていることで、プラスチックベルト11の循環駆動中に自由移動するロッド15aが自由移動して側板20A,20Bに当接しても、自由移動するロッド15aと側板20A,20Bの互いの摩耗を低減することができる。
【0040】
また、従来のように、ロッド15aの端部を精密に加工する必要がないため、製造にかかるコストを抑えることができる。
【0041】
さらに、上述した実施の形態によれば、選別装置1において、搬送装置10を搬送手段として用いても、自由移動するロッド15aの抜止め機能を発揮させながら選別手段2によるワークWの排出を行うことができる。
【0042】
図5には選別装置1の変形例を示している。図5に示すように、この変形例(選別装置1)では、搬送装置10の一方端部の側板20Bの上縁21bが、プラスチックベルト11の搬送面を越える高い位置に配置されている。なお、この変形例では、選別ゲート3の前面ではなく後面が、待機時の位置(引き込み位置)において、プラスチックベルト11の一方の側端縁に略一致した位置に配置されている。また、この例でも、プラスチックベルト11のロッド15の中に自由移動するロッド15aがあるが、ロッド15aの搬送装置10の他方端部の側板20Aと当接する端部22にはこのロッド15aの径よりも大径なヘッド23が設けられている。その他のロッド15には抜け止めが施されている。したがって、この例では、搬送装置10の他方端部の側板20Aの上縁21aは、上述した実施の形態のように、厳密に自由移動するロッド15aの端面の下半部よりも高い位置に配置される必要はなく、自由移動するロッド15aの軸方向の移動を抑える位置となるように配置されている。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、選別手段2としてプッシャー選別機を用いているが、例えば、ワークWが軽量物である場合などは、ワークWにエアーを吹き付けてこのワークWをプラスチックベルト11の搬送面上の排出方向Xに移動させて外に押し出すエアー選別機であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…選別装置
2…選別手段
10…搬送装置
11…プラスチックベルト
12…ベルトモジュール
14…挿通孔
15…ロッド
15a…自由移動するロッド
16…(一対の)ローラ
20…側板
21a…側板の上縁
W…ワーク
Y…ワークの搬送方向(プラスチックベルトの循環方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの両端部に挿通孔(14)が設けられた複数片のプラスチック製ベルトモジュール(12)と、前記ベルトモジュールを前記挿通孔同士が連通するように配置し、該連通した挿通孔に挿通されて前記ベルトモジュール同士を連結するロッド(15)とを備え、前記ベルトモジュールが環状に連結されてなる無端状のプラスチックベルト(11)と、
前記プラスチックベルトが掛け回され、該プラスチックベルトを循環駆動する一対からなるローラ(16)と、を備えた搬送装置(10)において、
前記プラスチックベルトの側部を覆うように該プラスチックベルトの循環方向(Y)に沿って設けられた側板(20)を備えるとともに、
前記ロッドのうちの少なくとも一本のロッド(15a)が前記ベルトモジュールの前記挿通孔からその軸方向に自由移動可能に設けられ、
該自由移動するロッドは前記側板に当接することより抜け止めされていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記自由移動するロッド(15a)は他の前記ロッド(15)から識別可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記自由移動するロッド(15a)と該ロッドが当接する前記側板(20)のいずれか一方又は両方が耐摩耗性材料からなることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
請求項1又は2又は3記載の搬送装置(10)を用いた選別装置であって、
前記搬送装置の一方側部に配置され、該搬送装置に搬送されるワーク(W)を前記プラスチックベルト(11)のベルト面上から前記搬送装置の他方側部へ排出する選別手段(2)を備えた選別装置(1)において、
前記搬送装置の他方側部に設けられた前記側板(20)は、その上縁(21a)が前記ロッド(15)の端面の下半部よりも高い位置となるとともに前記ベルト面よりも低い位置となるように設けられていることを特徴とする選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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