搬送装置及び印刷装置
【課題】多種多様の搬送に対応可能で装置の小型化及び低価格化に寄与できる搬送装置を提供する。
【解決手段】第1方向xに延びる第1把持領域13dで基材を把持する第1把持部H1と、第1の把持領域の一端側に配置され、第1方向と交差する第2方向yに延びる第2把持領域13eで基材を把持する第2把持部H2と、を備える。
【解決手段】第1方向xに延びる第1把持領域13dで基材を把持する第1把持部H1と、第1の把持領域の一端側に配置され、第1方向と交差する第2方向yに延びる第2把持領域13eで基材を把持する第2把持部H2と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型インクを用いて記録媒体に画像またはパターンを形成する液滴吐出装置が注目されている。紫外線硬化型インクは、紫外線を照射するまでは硬化が非常に遅く、紫外線を照射すると急速に硬化するという、印刷インクとして好ましい特性を有する。また、硬化にあたって溶剤を揮発させることがないので、環境負荷が小さいという利点もある。
【0003】
さらに、紫外線硬化型インクは、ビヒクルの組成により種々の記録媒体に高い付着性を発揮する。また、硬化した後は化学的に安定で、接着性、耐薬剤性、耐候性、耐摩擦性等が高く、屋外環境にも耐える等、優れた特性を有する。このため、紙、樹脂フィルム、金属箔等の薄いシート状の記録媒体の他、記録媒体のレーベル面、テキスタイル製品等、ある程度立体的な表面形状を有するものに対しても画像を形成できる。
【0004】
上記の紫外線硬化型インクを液滴吐出方式で、基板上のICに製造番号や製造会社等の属性情報を印刷する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。上記の基板に対して印刷処理を実施する際には、液滴吐出装置、前処理装置等、印刷に関連する各種の処理装置に基板が順次搬送される。基板搬送装置としては、基板を両側から把持して搬送する装置(例えば、特許文献2)が開示されている。また、特許文献3には、カセットから基板を取り出すためにアームを有するロボットを設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−080687号公報
【特許文献2】特開2010−269899号公報
【特許文献3】特開2010−201556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
特許文献2に記載された技術では、ハンド自体が大きいため、装置自体の大型化を招いてしまう。また、基板の大きさが変わった場合、基板の把持位置変更に伴う制御が複雑になってしまう。一方、特許文献3に記載された技術では、専用のロボットを設けているため、やはり装置の大型化及びコスト増を招いてしまう。また、いずれの技術についても、多種多様の搬送に対応できるとは言い難い。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、多種多様の搬送に対応可能で装置の小型化及び低価格化に寄与できる搬送装置及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の搬送装置は、第1方向に延びる第1把持領域で基材を把持する第1把持部と前記第1の把持領域の一端側に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2把持領域で前記基材を把持する第2把持部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、本発明の搬送装置では、例えば第1把持部により基材の第1方向に沿った一側縁を把持することが可能になるとともに、第2把持部により基材の第2方向に沿った他の側縁を把持することが可能になり、多様な搬送形態を選択することができる。また、本発明では、第1把持領域及び第2把持領域が第1方向に沿った略直線上に配置されるため、装置の小型化に寄与できるとともに、基板に対して所定の処理を行う処理装置毎にロボット等を設ける必要がなくなり装置の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0010】
上記構成における前記第2把持部としては、前記第1把持部の両端側に配置される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持部の一端側及び他端側の双方で基材の第2方向に沿った側縁を把持することが可能になり、さらに多様な搬送形態を選択することができる。
【0011】
上記構成における前記第2把持領域の長さとしては、前記第1把持領域の長さよりも短い構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持部の第2方向の長さ(例えば厚さ)を短くすることで、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0012】
上記構成における前記第1把持部としては、前記第1方向に延び前記基材の一面を支持面で支持する支持部と、前記第1方向に延び前記支持部との間で前記基材を挟持する挟持部とを有し、前記第2把持領域の一部が、前記支持部と前記挟持部とにより形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持部を構成する支持部及び挟持部が第2把持領域で基材を把持する第2把持部の一部を構成することになるため、別途、第2把持部に支持部及び挟持部を設ける必要がなくなり、装置の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0013】
上記構成においては、前記支持部は、前記第1方向及び前記第2方向と平行に形成された前記支持面で連結部に連結され、前記第2把持部は、前記連結部に前記基材が嵌合する幅で前記第2方向に貫通して形成され、少なくとも一面が前記支持面で形成された溝部を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、基材を連結部の溝部に嵌合させた際に、第2方向に沿って配置される支持面で基材の一面(例えば下面)を支持した状態で、当該基材の側縁を把持することが可能になる。
【0014】
上記の支持部及び把持部を有する構成においては、前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方が、導電材で形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、静電気の悪影響を排除することができ、半導体装置等の静電気による損傷を回避できる。
【0015】
上記の支持部及び把持部を有する構成においては、前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方が、弾性材で形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1、第2把持部間で基材を挟持して把持した際に、第1、第2把持部の少なくとも一方が弾性変形するため、基材に過度な挟持力が作用することを回避できる。
【0016】
上記構成における前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、ワイヤー状である構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、支持部と前記挟持部との少なくとも一方を安価で容易に形成することができる。
【0017】
また、本発明では、前記第1把持領域が、前記第1方向に間隔をあけて配置された複数の突部により形成される構成、あるいは該第1把持領域に亘る長さで延在する前記第1把持部により形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、分離した複数の部材、あるいは一つの部材で第1把持部を構成することができる。
【0018】
また、本発明では、前記第1把持領域から前記第2方向に延び前記基材を下方から支持する複数のフォーク部を備える構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持領域で基材の側縁を把持しつつ、複数のフォーク部により基材を下方から支持して搬送することができる。
【0019】
一方、本発明の印刷装置は、先に記載の搬送装置と、前記搬送装置で搬送された基材に対して活性光線で硬化する液体の液滴を吐出する吐出部とを備えることを特徴とするものである。
従って、本発明の印刷装置では、装置の小型化及び低価格化を実現しつつ、多様な搬送方法で搬送された基材に対して、迅速且つ小さな環境負荷で高精度の印刷処理を実行することができる。
【0020】
また、本発明では、前記吐出部が、前記基材の表面に設けられた半導体装置に前記液滴を塗布する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、装置の小型化及び低価格化を実現しつつ、多様な搬送方法で搬送された基材における半導体装置の属性情報等を示す印刷パターンを所定の印刷品質及び低コストで成膜・印刷することができる。
なお、本明細書における、相対移動方向や直交する方向、第1、第2方向については、製造・組立による誤差等によってずれる範囲も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は半導体基板を示す模式平面図、(b)は液滴吐出装置を示す模式平面図。
【図2】供給部を示す模式図。
【図3】(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図、(b)は、キャリッジを示す模式側面図。
【図4】(a)は、ヘッドユニットを示す模式平面図、(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図。
【図5】収納部を示す模式図。
【図6】搬送部の構成を示す図。
【図7】検出装置から半導体基板1に検知光が投光されている図。
【図8】制御系を示すブロック図。
【図9】印刷方法を示すためのフローチャート。
【図10】把持部の動作を説明するための図。
【図11】把持部の別形態を示す図。
【図12】把持部の別形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の搬送装置及び印刷装置の実施の形態を、図1乃至図12を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0023】
(半導体基板)
まず、印刷装置を用いて描画(印刷)する対象の一例である半導体基板について説明する。
図1(a)は半導体基板を示す模式平面図である。図1(a)に示すように、基材としての半導体基板1は基板2及び半導体装置3を備えている。基板2は耐熱性があり半導体装置3を実装可能であれば良く、基板2にはガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板等を用いることができる。被記録媒体としての半導体装置3は、パッケージ基材であってもよいし、半導体基材であってもよい。
【0024】
基板2上には半導体装置3が実装されている。そして、半導体装置3上には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマーク(印刷パターン、所定パターン)が描画されている。これらのマークが後述する印刷装置によって描画される。
【0025】
(印刷装置)
図1(b)は印刷装置を示す模式平面図である。
図1(b)に示すように、印刷装置7は主に供給部8、前処理部9、塗布部(印刷部)10、冷却部11、収納部12、搬送部13、後処理部14及び制御部CONT(図8参照)の各種印刷に関連する処理を行う複数の処理装置から構成されている。なお、供給部8、収納部12が並ぶ方向、及び前処理部9、冷却部11、後処理部14が並ぶ方向をX方向とする。X方向と直交する方向をY方向とし、Y方向には塗布部10、冷却部11、搬送部13が並んで配置されている。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0026】
供給部8は、複数の半導体基板1が収納された収納容器を備えている。そして、供給部8は中継場所8aを備え、収納容器から中継場所8aへ半導体基板1を供給する。中継場所8aには、X方向に延びY方向に間隔をあけて設けられた一対のレール8bが、収納容器から送り出される半導体基板1の高さと略同一の高さに設けられている。
【0027】
前処理部9は、半導体装置3の表面を加熱しながら改質する機能を有する。前処理部9により半導体装置3は吐出された液滴の広がり具合及び印刷するマークの密着性が調整される。前処理部9は第1中継場所9a及び第2中継場所9bを備え、処理前の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bから取り込んで表面の改質を行う。その後、前処理部9は処理後の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bに移動して、半導体基板1を待機させる。第1中継場所9a及び第2中継場所9bを合わせて中継場所9cとする。そして、前処理部9の内部で前処理が行われる場所を処理場所9dとする。
【0028】
冷却部11は、塗布部10の中継場所に配置されており、前処理部9で加熱及び表面改質が行われた半導体基板1を冷却する機能を有している。冷却部11は、それぞれが半導体基板1を保持して冷却する処理場所11a、11bを有している。処理場所11a、11bは、適宜、処理場所11cと総称するものとする。
【0029】
塗布部10は、半導体装置3に液滴を吐出してマークを描画(印刷)するとともに、描画されたマークを固化または硬化する機能を有する。塗布部10は中継場所としての冷却部11から描画前の半導体基板1を移動させて描画処理及び硬化処理を行う。その後、塗布部10は描画後の半導体基板1を冷却部11に移動させて、半導体基板1を待機させる。
【0030】
後処理部14は、塗布部10で描画処理が施された後、冷却部11に載置された半導体基板1に対して後処理として再加熱処理を行うものである。後処理部14は、第1中継場所14a及び第2中継場所14bを備えている。第1中継場所14a及び第2中継場所14bを合わせて中継場所14cとする。
【0031】
収納部12は、半導体基板1を複数収納可能な収納容器を備えている。そして、収納部12は中継場所12aを備え、中継場所12aから収納容器へ半導体基板1を収納する。中継場所12aには、X方向に延びる一対のレール12bが、半導体基板1を収容する収納容器と略同一の高さに設けられている。操作者は半導体基板1が収納された収納容器を印刷装置7から搬出する。
【0032】
印刷装置7の中央の場所には、搬送部13が配置されている。搬送部13は腕部13bを備えたスカラー型ロボットが用いられている。そして、腕部13bの先端には半導体基板1を裏面(下面)から支持しつつ、側縁を片持ちで把持する把持部13aが設置されている。中継場所8a,9c,11、14c、12aは把持部13aの移動範囲内に位置している。従って、把持部13aは中継場所8a,9c,11、14c、12a間で半導体基板1を移動することができる。制御部CONTは、印刷装置7の全体の動作を制御する装置であり、印刷装置7の各部の動作状況を管理する。そして、搬送部13に半導体基板1を移動する指示信号を出力する。これにより、半導体基板1は各部を順次通過して描画されるようになっている。
【0033】
以下、各部の詳細について説明する。
(供給部)
図2(a)は供給部を示す模式正面図であり、図2(b)及び図2(c)は供給部を示す模式側面図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、供給部8は基台15を備えている。基台15の内部には昇降装置16が設置されている。昇降装置16はZ方向に動作する直動機構を備えている。この直動機構はボールネジと回転モーターとの組合せや油圧シリンダーとオイルポンプの組合せ等の機構を用いることができる。本実施形態では、例えば、ボールネジとステップモーターとによる機構を採用している。基台15の上側には昇降板17が昇降装置16と接続して設置されている。そして、昇降板17は昇降装置16により所定の移動量だけ昇降可能になっている。
【0034】
昇降板17の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には複数の半導体基板1が収納されている。収納容器18はX方向の両面に開口部18aが形成され、開口部18aから半導体基板1が出し入れ可能となっている。収納容器18のY方向の両側に位置する側面18bの内側には凸状のレール18cが形成され、レール18cはX方向に延在して配置されている。レール18cはZ方向に複数等間隔に配列されている。このレール18cに沿って半導体基板1をX方向からまたは−X方向から挿入することにより、半導体基板1がZ方向に配列して収納される。
【0035】
基台15のX方向側には支持部材21及び支持台22を介して、押出装置23が設置されている。押出装置23には、昇降装置16と同様の直動機構によりX方向に突出して半導体基板1をレール8bに向けて押し出す押出ピン23aが設けられている。従って、押出ピン23aは、レール8bと略同一の高さに設置されている。
【0036】
図2(c)に示すように、押出装置23における押出ピン23aが+X方向に突出することにより、レール18cよりも僅かに+Z側の高さに位置する半導体基板1が収納容器18から押し出されて、レール8b上に移動して支持される。
【0037】
半導体基板1がレール8b上に移動した後に、押出ピン23aは、図2(b)に示す待機位置に戻る。次に、昇降装置16が収納容器18を降下させて、次に処理される半導体基板1を押出ピン23aと対向する高さに移動させる。この後、上記と同様にして、押出ピン23aを突出させて半導体基板1をレール8b上に移動させる。
このようにして供給部8は順次半導体基板1を収納容器18からレール8b上に移動する。収納容器18内の半導体基板1を総て中継台23上に移動した後、操作者は空になった収納容器18と半導体基板1が収納されている収納容器18とを置き換える。これにより、供給部8に半導体基板1を供給することができる。
【0038】
(前処理部)
前処理部9は、中継場所9a、9bに搬送された半導体基板1に対して、処理場所9dにおいて前処理を行う。前処理としては、加熱した状態で、例えば、低圧水銀ランプ、水素バーナー、エキシマレーザー、プラズマ放電部、コロナ放電部等による活性光線の照射を例示できる。水銀ランプを用いる場合、半導体基板1に紫外線を照射することにより、半導体基板1の表面の撥液性を改質することができる。水素バーナーを用いる場合、半導体基板1の酸化した表面を一部還元することで表面を粗面化することができ、エキシマレーザーを用いる場合、半導体基板1の表面を一部溶融固化することで粗面化することができ、プラズマ放電或いはコロナ放電を用いる場合、半導体基板1の表面を機械的に削ることで粗面化することができる。本実施形態では、例えば、水銀ランプを採用している。
前処理が終了した後、前処理部9は半導体基板1を中継場所9cに移動する。続いて、搬送部13が中継場所9cから半導体基板1を除材する。
【0039】
(冷却部)
冷却部11は、各処理場所11a、11bにそれぞれ設けられ、上面が半導体装置1の吸着保持面とされたヒートシンク等の冷却板110a、110bを有している。
処理場所11a、11b(冷却板110a、110b)は、把持部13aの動作範囲内に位置しており、処理場所11a、11bにおいて冷却板110a、110bは露出する。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を冷却板110a、110bに載置することができる。半導体基板1に冷却処理が行われた後、半導体基板1は、処理場所11aに位置する冷却板110a上または処理場所11bに位置する冷却板110a上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動させることができる。
【0040】
(塗布部)
次に、半導体基板1に液滴を吐出してマークを形成する塗布部10について図3乃至図6に従って説明する。液滴を吐出する装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小な液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0041】
図3(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図である。塗布部10により半導体基板1に液滴が吐出される。図3(a)に示すように、塗布部10には、直方体形状に形成された基台37を備えている。液滴を吐出するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とが相対移動する方向を主走査方向とする。そして、主走査方向と直交する方向を副走査方向とする。副走査方向は改行するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とを相対移動する方向である。本実施形態ではY方向(第2方向)を主走査方向とし、X方向(第1方向)を副走査方向とする。
【0042】
基台37の上面37aには、X方向に延在する一対の案内レール38がX方向全幅にわたり凸設されている。その基台37の上側には、一対の案内レール38に対応する図示しない直動機構を備えたステージ39が取付けられている。そのステージ39の直動機構は、リニアモーターやネジ式直動機構等を用いることができる。本実施形態では、例えば、リニアモーターを採用している。そして、ステージ39は、X方向に沿って所定の速度で往動または復動するようになっている。往動と復動を繰り返すことを走査移動と称す。さらに、基台37の上面37aには、案内レール38と平行に副走査位置検出装置40が配置され、副走査位置検出装置40によりステージ39の位置が検出される。
【0043】
そのステージ39の上面には載置面41が形成され、その載置面41には図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。載置面41上に半導体基板1が載置された後、半導体基板1は基板チャック機構により載置面41に固定される。
【0044】
ステージ39が、例えば、+X側に位置するときの載置面41の場所が半導体基板1のロード位置またはアンロード位置の中継場所となっている。この載置面41は把持部13aの動作範囲内に露出するように設置されている。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を載置面41に載置することができる。半導体基板1に塗布(マーク描画)が行われた後、半導体基板1は中継場所である載置面41上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動することができる。
【0045】
基台37のY方向両側には一対の支持台42が立設され、その一対の支持台42にはY方向に延びる案内部材43が架設されている。案内部材43の下側にはY方向に延びる案内レール44がX方向全幅にわたり凸設されている。案内レール44に沿って移動可能に取り付けられるキャリッジ(移動手段)45は略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ45は直動機構を備え、その直動機構は、例えば、ステージ39が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。そして、キャリッジ45がY方向に沿って走査移動する。案内部材43とキャリッジ45との間には主走査位置検出装置46が配置され、キャリッジ45の位置が計測される。キャリッジ45の下側にはヘッドユニット47が設置され、ヘッドユニット47のステージ39側の面には図示しない液滴吐出ヘッドが凸設されている。
【0046】
図3(b)は、キャリッジを示す模式側面図である。図3(b)に示すようにキャリッジ45の半導体基板1側にはヘッドユニット47と一対の照射部としての硬化ユニット48が、Y方向に関してキャリッジ45の中心からそれぞれ等間隔で配置されている。ヘッドユニット47の半導体基板1側には液滴を吐出する液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)49が凸設されている。
【0047】
キャリッジ45の図中上側には収容タンク50が配置され、収容タンク50には機能液が収容されている。液滴吐出ヘッド49と収容タンク50とは図示しないチューブにより接続され、収容タンク50内の機能液がチューブを介して液滴吐出ヘッド49に供給される。
【0048】
機能液は樹脂材料、硬化剤としての光重合開始剤、溶媒または分散媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や、親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。本実施形態では、例えば、白色の顔料を添加している。機能液の樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり、例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール等を用いることができる。溶媒または分散媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。機能液を液滴吐出ヘッドから吐出し易い粘度にすることにより、液滴吐出ヘッドは安定して機能液を吐出することができるようになる。
【0049】
図4(a)は、ヘッドユニットを示す模式平面図である。図4(a)に示すように、ヘッドユニット47には、2つの液滴吐出ヘッド49が副走査方向(X方向)に間隔をあけて配置され、各液滴吐出ヘッド49の表面にはノズルプレート51(図4(b)参照)がそれぞれ配置されている。各ノズルプレート51には複数のノズル52が配列して形成されている。本実施形態においては、各ノズルプレート51に、15個のノズル52が副走査方向に沿って配置されたノズル列60B〜60EがY方向に間隔をあけて配置されていえる。また、2つの液滴吐出ヘッド49における各ノズル列60B〜60Eは、X方向に沿って直線上に配置されている。ノズル列60B、60Eは、Y方向に関してキャリッジ45の中心から等間隔で配置されている。同様に、ノズル列60C、60Dは、Y方向に関してキャリッジ45の中心から等間隔で配置されている。従って、+Y側の硬化ユニット48とノズル列60Bとの距離と、−Y側の硬化ユニット48とノズル列60Eとの距離とは同一となる。また、+Y側の硬化ユニット48とノズル列60Cとの距離と、−Y側の硬化ユニット48とノズル列60Dとの距離とは同一となる。
【0050】
図4(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図である。図4(b)に示すように、液滴吐出ヘッド49はノズルプレート51を備え、ノズルプレート51にはノズル52が形成されている。ノズルプレート51の上側であってノズル52と相対する位置にはノズル52と連通するキャビティ53が形成されている。そして、液滴吐出ヘッド49のキャビティ53には機能液(液体)54が供給される。
【0051】
キャビティ53の上側には上下方向に振動してキャビティ53内の容積を拡大縮小する振動板55が設置されている。振動板55の上側でキャビティ53と対向する場所には上下方向に伸縮して振動板55を振動させる圧電素子56が配設されている。圧電素子56が上下方向に伸縮して振動板55を加圧して振動し、振動板55がキャビティ53内の容積を拡大縮小してキャビティ53を加圧する。それにより、キャビティ53内の圧力が変動し、キャビティ53内に供給された機能液54はノズル52を通って吐出される。
【0052】
硬化ユニット48は、図3(b)及び図4(a)に示すように、主走査方向(相対移動方向)においてヘッドユニット47を挟んだ両側の位置に配置されている。硬化ユニット48の内部には吐出された液滴を硬化させる紫外線を照射する照射装置が配置されている。照射装置は発光ユニットと放熱板等から構成されている。発光ユニットには多数のLED(Light Emitting Diode)素子が配列して設置されている。このLED素子は、電力の供給を受けて紫外線の光である紫外光を発光する素子である。硬化ユニット48の下面には、照射口48aが形成されている。そして、照射装置が発光する紫外光が照射口48aから半導体基板1に向けて照射される。
【0053】
液滴吐出ヘッド49が圧電素子56を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子56が伸張して、振動板55がキャビティ53内の容積を縮小する。その結果、液滴吐出ヘッド49のノズル52から縮小した容積分の機能液54が液滴57となって吐出される。機能液54が塗布された半導体基板1に対しては、照射口48aから紫外光が照射され、硬化剤を含んだ機能液54を固化または硬化させるようになっている。
【0054】
(収納部)
図5(a)は収納部を示す模式正面図であり、図5(b)及び図5(c)は収納部を示す模式側面図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、収納部12は基台74を備えている。基台74の内部には昇降装置75が設置されている。昇降装置75は供給部8に設置された昇降装置16と同様の装置を用いることができる。基台74の上側には昇降板76が昇降装置75と接続して設置されている。そして、昇降板76は昇降装置75により昇降させられる。昇降板76の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には半導体基板1が収納されている。収納容器18は供給部8に設置された収納容器18と同じ容器が用いられている。
【0055】
搬送部13によって中継場所としてのレール12bに載置された半導体基板1は、当該搬送部13によってレール12bから収納容器18に移動する。または、搬送部13によってレール12bから収納容器18への中途まで移動した後に、例えば、図5(c)に示すように、レール12bの下方で、Y方向ではレール12b、12b間に位置し、上記押出装置23と同様の構成を有し、図示しない昇降装置により上記の中途位置にある半導体基板1と対向する位置まで上昇可能な押出装置80を設け、搬送部13が半導体基板1をレール12bに載置する際には押出装置80をレール12bの下方で待機させ、搬送部13がレール12bから退避した際には、押出装置80を上昇させて半導体基板1の側面と対向させ、押出ピン23aを+X方向に突出することにより、半導体基板1を収納容器18に移動させる構成としてもよい。
【0056】
上記のように、半導体基板1の収納容器18への収納と、昇降装置75による収納容器18のZ方向への移動とを繰り返して、収納容器18内に所定の枚数の半導体基板1が収納された後、操作者は半導体基板1が収納された収納容器18と空の収納容器18とを置き換える。これにより、操作者は複数の半導体基板1をまとめて次の工程に持ち運ぶことができる。
【0057】
(搬送部)
次に、半導体基板1を搬送する搬送部13について図1、図6乃び図7に従って説明する。
搬送部13は、装置内の天部に設けられた支持体83を備えており、支持体83の内部にはモーター、角度検出器、減速機等から構成される回転機構が設置されている。そして、モーターの出力軸は減速機と接続され、減速機の出力軸は支持体83の下側に配置された第1腕部84と接続されている。また、モーターの出力軸と連結して角度検出器が設置され、角度検出器がモーターの出力軸のZ方向(第3方向)と平行な軸線周りの回転角度を検出する。これにより、回転機構は第1腕部84の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0058】
第1腕部84上において支持体83と反対側の端には回転機構85が設置されている。回転機構85はモーター、角度検出器、減速機等により構成され、支持体83の内部に設置された回転機構と同様の機能を備えている。そして、回転機構85の出力軸は第2腕部86と接続されている。これにより、回転機構85は第2腕部86の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0059】
第2腕部86上において回転機構85と反対側の端には昇降装置87及び回転機構(駆動部)88が配置されている。昇降装置87は直動機構を備え、直動機構を駆動することによりZ方向に伸縮することで把持部13aを第2腕部86に対して昇降させることができる。この直動機構は、例えば、供給部8の昇降装置16と同様の機構を用いることができる。回転機構88は、上記回転機構85と同様の構成を有しており、第2腕部86に対して把持部13aをZ方向と平行な軸線13c(図6(c)参照)周りに回転させる。
【0060】
図6(a)は、腕部13bの−Z側に把持部13aが設けられた正面図、図6(b)は平面図(ただし、腕部13bは図示せず)、図6(c)は左側面図である。
なお、把持部13aは、回転機構88によって腕部13bに対してθZ方向(Z軸回りの回転方向)に回転移動可能に設けられ、XY平面における位置が変動するため、以下の説明では便宜上、XY平面と平行な一方向をx方向、XY平面と平行でx方向と直交する方向をy方向として説明する(Z方向は共通)。
【0061】
把持部13aは、腕部13bに対してθZ方向には回転可能、且つ半導体基板1の把持の際に固定状態で用いられる固定部100と、固定部100に対してZ方向に移動自在に設けられた移動部110とを備えている。
【0062】
固定部100は、Z軸部材101、懸架部材102、連結部材103、連結板(連結部)104、支持板(支持部)105、フォーク部106を主体として構成されている。Z軸部材101は、Z方向に延在し腕部13bにZ軸回りに回転可能に設けられている。懸架部材102は、x方向に延在する板状に形成されており、x方向の中央部においてZ軸部材101の下端に固定されている。
【0063】
連結板104は、懸架部材102と平行に互いに隙間をあけて配置され、x方向両端側で連結部材103によって連結されている。連結板104のx方向の両端部には、半導体基板1が嵌合する深さ(Z方向の幅)でy方向に貫通して切欠108が形成されている。切欠108と支持部105の支持面105aとにより、図6(a)に示すように、x方向における外側に開口し、内側に所定長さの奥行きを有する正面視矩形状の溝部107が形成される。
【0064】
支持板105は、x方向に延在する板状に形成されており、図6(c)に示すように、+Z側の表面における+y側の端縁で連結板104の下端に連結されている。そして、支持板105における+Z側の表面が、x方向及びy方向と平行に形成され、半導体基板1を把持する際の支持面105aとなっている。
【0065】
フォーク部106は、支持面105aで把持された半導体基板1の下面(−Z側の面)を下方から支持するものであって、支持板105の−y側の側面からy方向に延出させ、且つx方向に間隔をあけて複数(ここでは4本)設けられている。フォーク部106の配置間隔及び本数は、半導体基板1の長さが機種等に応じて変動した場合でも、少なくとも長さ方向で1箇所、好ましくは2箇所以上で支持可能に設定される。
【0066】
移動部110は、昇降部111、挟持板(挟持部)112を主体として構成されている。昇降部111は、エアシリンダ機構等で構成されており、Z軸部材101に沿って昇降する。挟持板112は、昇降部111と一体的に昇降可能に設けられており、連結部材103、103間のx方向の隙間長よりも短く、懸架部材102と連結板104との間の隙間よりも小さな幅を有し、これら連結部材103、103間の隙間及び懸架部材102と連結板104との間の隙間にZ方向に移動可能に挿入された挿入部112aと、挿入部112aよりも下方に位置し、懸架部材102よりも下方で支持板105とほぼ同じ長さでx方向に延在する挟持板112bとが一体的に形成されてなるものである。
【0067】
上記挿入部112a及び挟持板112bとからなる挟持板112は、昇降部111の昇降に応じて一体的にZ方向に移動する。挟持板112が下降した際には、支持板105との間で半導体基板1の一端縁を挟持して把持可能であり、挟持板112が上昇した際には、支持板105から離間することで半導体基板1に対する把持が解除される。
【0068】
半導体基板1を把持可能なこれら支持板105及び挟持板112によって、対向する隙間に当該支持板105及び挟持板112に亘る長さで、且つ連結板104よりも−y側に位置する支持面105aの幅でx方向に連続的に延在する第1把持領域13dを有する第1把持部H1が構成される。図6(b)に示すように、支持板105及び挟持板112並びに把持領域13dの長さL1は、上記フォーク部106の長さL2よりも大きく形成されている。また、フォーク部106の長さL2、連結板104、支持部105のy方向の合計長さは、図1(b)に示すレール8bの隙間よりも短く形成され、フォーク部106、連結板104及び支持部105が当該隙間を介してZ方向に移動可能となっている。
【0069】
また、挿入された半導体基板1と嵌合して把持する溝部107を形成する連結板104及び支持板105と、溝部107よりも−y側の延長線上で、溝部107から延出する半導体基板1を把持可能な上記支持板105及び挟持板112とによって、ほぼ支持板105の幅の長さでy方向に延在する第2把持領域13eを有する第2把持部H2が構成される。すなわち、支持板105と挟持板112とは、第1把持部H1と第2把持部H2とで共用されており、第2把持領域13eの一部は、第1把持領域13dを形成する支持板105と挟持板112とによって形成される。
【0070】
また、本実施形態では、回転機構88により把持部13aが回転する際の回転中心軸線(軸線)13cは、フォーク部106の長さ方向であるy方向に関しては、図6(c)に示されるように、フォーク部106が配置される領域に位置するように設定される。また、回転中心軸線13cは、支持板105及び挟持板112の長さ方向であるx方向に関しては、図6(a)に示すように、把持領域13dの略中央に配置されている。
【0071】
上記の搬送部13における第1把持部H1で半導体基板1を搬送する際には、フォーク部106が半導体基板1を下方から支持しているため、搬送された半導体基板1が表面に載置される前処理部9の第1、第2中継場所9a、9b、冷却部11の処理場所11a、11b、後処理部14の第1、第2中継場所14a、14b(以下、載置部140と総称する)には、搬送時のフォーク部106と対応する位置に、図7に示すように、溝部141が設けられている。また、載置部141における溝部140の近傍には、載置部140に載置された半導体基板1を吸着保持するための吸着部142が複数配設されている。
【0072】
図8は、印刷装置7に係る制御系のブロック図である。
図8に示すように、上述した供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部14、収納部12、搬送部13の動作は制御部CONTにより統括的に制御される。
【0073】
(印刷方法)
次に上述した印刷装置7を用いた印刷方法について図9にて説明する。図9は、印刷方法を示すためのフローチャートである。
図9のフローチャートに示されるように、印刷方法は、半導体基板1を収納容器18から搬入する搬入工程S1、搬入された半導体基板1の表面に対して前処理を施す前処理工程S2、前処理工程S2で温度上昇した半導体基板1を冷却する冷却工程S3、冷却された半導体基板1に対して各種マークを描画印刷する印刷工程S4、各種マークが印刷された半導体基板1に対して後処理を施す後処理工程S5、後処理が施された半導体基板1を収納容器18に収納する収納工程S6を主体に構成される。
【0074】
上記の各工程で半導体基板1を処理する際には、まず、図2(c)に示したように、供給部8において、押出ピン23aが+X方向に突出して半導体基板1を収納容器18から押し出して、半導体基板1の一部をレール8b上に移動させて支持させる。半導体基板1の一部がレール8b上に支持されると、搬送部13においては、連結板104及び支持板105がX方向に沿って延在する状態で、図10(a)に示すように、−x側の溝部107における開口部が半導体基板1の端縁と対向する位置まで、レール8bの隙間を介して把持部13aを下降させる。
このとき、挟持板112は、溝部107のZ方向の幅以上の距離で支持板105に対して離間させておく。
【0075】
次に、把持部13aを−X方向に移動させて、溝部107に半導体基板1の+X側の端縁を挿入させるとともに、図10(b)に示すように、挟持板112を下降させて支持板105との間で、レール8b間の隙間に位置する半導体基板1を把持させる。これにより、半導体基板1は、+X側の短辺の端縁が溝部107に嵌合・把持されるとともに、溝部107よりも−y側において支持板105と挟持板112との間で把持される。換言すると、半導体基板1は、把持部H2におけるY方向に延びる第2把持領域13eにおいて+X側の端縁が把持される。
【0076】
続いて、把持部13aを+X方向に移動させることにより、図10(c)に示すように、半導体基板1を収納容器18から引き出して、半導体基板1の全体をレール8bに支持させる。半導体基板1をレール8b上に位置させると、挟持板112を上昇させて支持板105との間での把持を解除するともに、さらに把持部13aを+X方向に移動させて、溝部107への半導体基板1の嵌合・把持を解除する。
【0077】
把持部13a(第2把持部H2)による半導体基板1の把持が解除されると、把持部13aが上昇してレール部8bの隙間から離脱するとともに、図1(b)に示すように、半導体基板1の+Y側端縁と対向する位置に移動した後に、上記第2把持部H2による把持の場合と同様に、支持板105と挟持板112との隙間が半導体基板1の+Y側の端縁が対向する位置まで下降する。
【0078】
この後、図7(a)に示した場合と同様に、支持板105と挟持板112との間に半導体基板1の端縁が位置するまで搬送部13aを−Y方向に移動させた後に、挟持板112を下降させて支持板105との間で、半導体基板1の+Y側の長辺の端縁を第1把持部H1の第1把持領域13dにおいて把持させつつ、フォーク部106で下方から支持する。
【0079】
このとき、把持領域13dの長さは、フォーク部106の長さよりも大きく、また半導体基板1の長辺よりも大きいため、例えば前処理時の加熱で半導体基板1に反りが生じていた場合でも、半導体基板1の一側縁を一括的に挟持することで反りを矯正した状態で安定して把持することができる。
【0080】
そして、昇降装置87により把持部13aを所定高さに移動させた後に、回転機構85、88等の回転角度を制御して駆動することにより、把持部13aに把持された半導体基板1を所定の載置部140と対向する位置にXY平面に沿って移動させる。
【0081】
このとき、把持部13aは回転機構88の作動により回転中心軸線13cを中心として回転するが、y方向に関しては、回転中心軸線13cがフォーク部106が配置される領域に位置しているため、すなわち、半導体基板1が支持されている領域に位置しているため、例えば回転中心軸線13cが挟持板112及び支持板105により形成される把持領域13dに位置する場合と比較して、回転中心軸線13cから半導体基板1の外縁部までの距離が短くなる。つまり、半導体基板1が回転移動する際の回転半径が小さくなり、結果として半導体基板1に作用する遠心力が小さくなる。
【0082】
同様に、回転中心軸線13cを中心とする把持部13aの回転時、x方向に関しては回転中心軸線13cが把持領域13dの略中央に配置されているため、回転中心軸線13cから半導体基板1の外縁部までの距離が短くなり、半導体基板1が回転移動する際の回転半径が小さくなり、結果として半導体基板1に作用する遠心力が小さくなる。
つまり、把持部13a及び半導体基板1の回転に伴って、半導体基板1との干渉を避けるために周辺機器の離間距離を小さくすることで、装置の大型化を避けることができるとともに、遠心力により把持部13aに対して半導体基板1がずれることを防止でき、安定した搬送を実施することが可能になる。また、半導体基板1に対する把持力(挟持力)を小さくすることができるため、昇降部111の駆動力も小さくすることができ、一層の小型化を図ることができる。
【0083】
所定の載置部140と対向する位置まで半導体基板1を搬送した搬送部13は、昇降装置87の駆動により把持部13aを下降させ、図7(a)に示すように、載置部140の表面に半導体基板1を受け渡す。このとき、載置部140には、フォーク部106に対応した位置及び大きさで溝部141が形成されているため、半導体基板1の受け渡し時にフォーク部106は溝部141に入り込み、載置部140と干渉することが回避される。
【0084】
載置部140の表面に受け渡された半導体基板1は、吸着部142によって載置部140の表面に吸着保持された状態で所定の処理(例えば、冷却処理)が施されるか、塗布処理や前処理が行われるステージに搬送される。
【0085】
上述した搬送部13で搬送された半導体基板1は、前処理工程S2で半導体基板1の前処理(加熱した状態で表面の改質処理)が施され、冷却工程S3で冷却された後に、印刷工程S4で半導体装置3上に各種マークの印刷処理が行われる。各種マークの印刷処理が行われた半導体基板1は、後処理工程S5で後処理が施された後に収納工程S6で収納容器18に収納され、収納容器18を介して搬出される。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では、搬送部13における搬送部13aがx方向に延在する第1把持領域13dを有する第1把持部H1と、y方向に延在する第2把持領域13eを有する第2把持部H2と備えているため、同一姿勢の半導体基板1に対して長辺及び短辺を選択して一つの搬送部13aで把持して移動させることが可能であり、処理部に専用の搬送装置を設けることで装置の大型化及び高価格化を招くことなく、多様な搬送形態に対応できる。また、本実施形態では、第2把持部H2の第2把持領域13eの長さが、第1把持部H1の第1把持領域13dの長さよりも短く設定されているため、例えば、レール部8bの隙間にしか把持可能な領域が存在しない場合でも、半導体基板1を把持して移動させることが可能になり、より汎用性の高い搬送を実現できる。
【0087】
加えて、本実施形態では、第2把持部H2において、第2把持領域13eの一部が支持板105及び挟持板112によって形成されるため、第2把持部H2用に支持板及び挟持板を設ける必要がなく、さらなる装置の小型化及び低価格化に寄与できる。また、本実施形態では、フォーク部106により半導体基板1の下方を支持しているため、半導体基板1の一端縁のみを片持ちで支持した場合のような反りの悪影響を排除して安定した搬送処理を実行できる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0089】
例えば、上記実施形態では、収納部12については、押出装置80を用いてレール12b上の半導体基板1を収納容器18に移動させる構成を例示したが、これに限定されるものではなく、搬送部13aにおける+x側の第2把持部H2を用いて半導体基板1を収納容器18に移動させる構成としてもよい。
このような構成を採ることにより、押出装置80を設ける必要がなくなり、一層の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0090】
また、上記実施形態では、第1把持領域13dと第2把持領域とが互いに直交する方向に延在する構成を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、半導体基板1の外形が曲線や斜線である場合には、第1把持領域と第2把持領域のいずれかを曲線方向や斜線方向に延在させた構成とすればよい。
【0091】
また、上記実施形態では、支持板105及び挟持板112がx方向に連続的に延在する第1把持領域13dを形成する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示すように、挟持板112bにおける支持板105と対向する位置にx方向に間隔をあけて複数の挟持部112cを分離して設け、分離された挟持部112cと支持板105との間に第1把持領域が半導体基板1の長さ以上の範囲に亘って、x方向に断続的に設けられる構成であってもよい。
この構成では、半導体基板1の表面に異物が付着している場合や、局所的に反りが大きくなっている場合でも、これらの箇所とは異なる領域を把持することが可能であり、このような不測の事態が生じた場合でも、安定した搬送処理が可能になる。
【0092】
また、上記実施形態で示した支持板105及び挟持板112については、剛体ではなく、少なくともいずれか一方を弾性材で形成する構成としてもよい。例えば、支持板105及び挟持板112の少なくとも一方をゴム材等の弾性材で形成する構成としてもよい。
このように弾性材を用いて半導体基板1を把持することにより、弾性材が弾性変形することにより、半導体基板1に過度な挟持力が作用することを回避できるとともに、半導体基板1に加わる衝撃を吸収することができる。
【0093】
また、上記実施形態で示した支持板105及び挟持板112の少なくとも一部は、所定の孔を設けて軽量化してもよい。例えば、図12に示すように、挟持板112を、屈曲させたワイヤー状に形成する構成としてもよい。
また、ワイヤー状とした場合には、把持部を安価で容易に形成することが可能になる。 また、支持板105側を弾性材で形成してもよいことは言うまでもない。
さらに、図11に示した把持部112cをゴム材等の弾性材で形成してもよい。
【0094】
さらに、支持板105及び挟持板112については、少なくとも一方を導電材で形成してもよい。
この場合、半導体基板1に対する静電気の悪影響を排除することができ、半導体装置3等の静電気による損傷を回避することが可能になる。支持板105及び挟持板112については、少なくとも一方を金属で構成してもよいし、表面に導電性膜で形成してもよいし、導電性ゴムで構成してもよい。また、所定の材料で、導電処理を施してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、UVインクとして紫外線硬化型インクを用いたが、本発明はこれに限定されず、可視光線、赤外線を硬化光として使用することができる種々の活性光線硬化型インクを用いることができる。
また、光源も同様に、可視光等の活性光を射出する種々の活性光光源を用いること、つまり活性光線照射部を用いることができる。
【0096】
ここで、本発明において「活性光線」とは、その照射によりインク中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、活性光線硬化型インクとしては、本実施形態のように、紫外線を照射することにより硬化可能な紫外線硬化型インクを用いることが好ましい。
【0097】
上記実施形態における基材としての半導体基板1は、半導体装置3が実装された基板2であったが、シリコンなどの半導体で形成された基板であってもよい。被記録媒体としての半導体装置3は、樹脂でモールドした半導体装置であってもよいし、半導体装置そのものであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…半導体基板(基材)、 3…半導体装置、 7…印刷装置、 9…前処理部、 10…塗布部(印刷部、吐出装置)、 13c…回転中心軸線(軸線)、 13d…第1把持領域、 13e…第2把持領域、 14…後処理部、 45…キャリッジ(移動手段)、 48…硬化ユニット(照射部)、 49…液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)、 52…ノズル、 54…機能液(液体)、 57…液滴、 88…回転機構(駆動部)、 90…筺体、 90a…開口部、 92…カバー部材、 93…保持装置、 96…固定部材、 97…締結部材、 97b…ヘッド部(把持部)、 104…連結板(連結部)、 105…支持板(支持部)、 105a…支持面、 106…フォーク部、 107…溝部、 112…挟持板(挟持部)、 140…載置部、 141…溝部、 CONT…制御部、 H1…第1把持部、 H2…第2把持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型インクを用いて記録媒体に画像またはパターンを形成する液滴吐出装置が注目されている。紫外線硬化型インクは、紫外線を照射するまでは硬化が非常に遅く、紫外線を照射すると急速に硬化するという、印刷インクとして好ましい特性を有する。また、硬化にあたって溶剤を揮発させることがないので、環境負荷が小さいという利点もある。
【0003】
さらに、紫外線硬化型インクは、ビヒクルの組成により種々の記録媒体に高い付着性を発揮する。また、硬化した後は化学的に安定で、接着性、耐薬剤性、耐候性、耐摩擦性等が高く、屋外環境にも耐える等、優れた特性を有する。このため、紙、樹脂フィルム、金属箔等の薄いシート状の記録媒体の他、記録媒体のレーベル面、テキスタイル製品等、ある程度立体的な表面形状を有するものに対しても画像を形成できる。
【0004】
上記の紫外線硬化型インクを液滴吐出方式で、基板上のICに製造番号や製造会社等の属性情報を印刷する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。上記の基板に対して印刷処理を実施する際には、液滴吐出装置、前処理装置等、印刷に関連する各種の処理装置に基板が順次搬送される。基板搬送装置としては、基板を両側から把持して搬送する装置(例えば、特許文献2)が開示されている。また、特許文献3には、カセットから基板を取り出すためにアームを有するロボットを設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−080687号公報
【特許文献2】特開2010−269899号公報
【特許文献3】特開2010−201556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
特許文献2に記載された技術では、ハンド自体が大きいため、装置自体の大型化を招いてしまう。また、基板の大きさが変わった場合、基板の把持位置変更に伴う制御が複雑になってしまう。一方、特許文献3に記載された技術では、専用のロボットを設けているため、やはり装置の大型化及びコスト増を招いてしまう。また、いずれの技術についても、多種多様の搬送に対応できるとは言い難い。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、多種多様の搬送に対応可能で装置の小型化及び低価格化に寄与できる搬送装置及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の搬送装置は、第1方向に延びる第1把持領域で基材を把持する第1把持部と前記第1の把持領域の一端側に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2把持領域で前記基材を把持する第2把持部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、本発明の搬送装置では、例えば第1把持部により基材の第1方向に沿った一側縁を把持することが可能になるとともに、第2把持部により基材の第2方向に沿った他の側縁を把持することが可能になり、多様な搬送形態を選択することができる。また、本発明では、第1把持領域及び第2把持領域が第1方向に沿った略直線上に配置されるため、装置の小型化に寄与できるとともに、基板に対して所定の処理を行う処理装置毎にロボット等を設ける必要がなくなり装置の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0010】
上記構成における前記第2把持部としては、前記第1把持部の両端側に配置される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持部の一端側及び他端側の双方で基材の第2方向に沿った側縁を把持することが可能になり、さらに多様な搬送形態を選択することができる。
【0011】
上記構成における前記第2把持領域の長さとしては、前記第1把持領域の長さよりも短い構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持部の第2方向の長さ(例えば厚さ)を短くすることで、装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0012】
上記構成における前記第1把持部としては、前記第1方向に延び前記基材の一面を支持面で支持する支持部と、前記第1方向に延び前記支持部との間で前記基材を挟持する挟持部とを有し、前記第2把持領域の一部が、前記支持部と前記挟持部とにより形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持部を構成する支持部及び挟持部が第2把持領域で基材を把持する第2把持部の一部を構成することになるため、別途、第2把持部に支持部及び挟持部を設ける必要がなくなり、装置の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0013】
上記構成においては、前記支持部は、前記第1方向及び前記第2方向と平行に形成された前記支持面で連結部に連結され、前記第2把持部は、前記連結部に前記基材が嵌合する幅で前記第2方向に貫通して形成され、少なくとも一面が前記支持面で形成された溝部を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、基材を連結部の溝部に嵌合させた際に、第2方向に沿って配置される支持面で基材の一面(例えば下面)を支持した状態で、当該基材の側縁を把持することが可能になる。
【0014】
上記の支持部及び把持部を有する構成においては、前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方が、導電材で形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、静電気の悪影響を排除することができ、半導体装置等の静電気による損傷を回避できる。
【0015】
上記の支持部及び把持部を有する構成においては、前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方が、弾性材で形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1、第2把持部間で基材を挟持して把持した際に、第1、第2把持部の少なくとも一方が弾性変形するため、基材に過度な挟持力が作用することを回避できる。
【0016】
上記構成における前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、ワイヤー状である構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、支持部と前記挟持部との少なくとも一方を安価で容易に形成することができる。
【0017】
また、本発明では、前記第1把持領域が、前記第1方向に間隔をあけて配置された複数の突部により形成される構成、あるいは該第1把持領域に亘る長さで延在する前記第1把持部により形成される構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、分離した複数の部材、あるいは一つの部材で第1把持部を構成することができる。
【0018】
また、本発明では、前記第1把持領域から前記第2方向に延び前記基材を下方から支持する複数のフォーク部を備える構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、第1把持領域で基材の側縁を把持しつつ、複数のフォーク部により基材を下方から支持して搬送することができる。
【0019】
一方、本発明の印刷装置は、先に記載の搬送装置と、前記搬送装置で搬送された基材に対して活性光線で硬化する液体の液滴を吐出する吐出部とを備えることを特徴とするものである。
従って、本発明の印刷装置では、装置の小型化及び低価格化を実現しつつ、多様な搬送方法で搬送された基材に対して、迅速且つ小さな環境負荷で高精度の印刷処理を実行することができる。
【0020】
また、本発明では、前記吐出部が、前記基材の表面に設けられた半導体装置に前記液滴を塗布する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、装置の小型化及び低価格化を実現しつつ、多様な搬送方法で搬送された基材における半導体装置の属性情報等を示す印刷パターンを所定の印刷品質及び低コストで成膜・印刷することができる。
なお、本明細書における、相対移動方向や直交する方向、第1、第2方向については、製造・組立による誤差等によってずれる範囲も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は半導体基板を示す模式平面図、(b)は液滴吐出装置を示す模式平面図。
【図2】供給部を示す模式図。
【図3】(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図、(b)は、キャリッジを示す模式側面図。
【図4】(a)は、ヘッドユニットを示す模式平面図、(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図。
【図5】収納部を示す模式図。
【図6】搬送部の構成を示す図。
【図7】検出装置から半導体基板1に検知光が投光されている図。
【図8】制御系を示すブロック図。
【図9】印刷方法を示すためのフローチャート。
【図10】把持部の動作を説明するための図。
【図11】把持部の別形態を示す図。
【図12】把持部の別形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の搬送装置及び印刷装置の実施の形態を、図1乃至図12を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0023】
(半導体基板)
まず、印刷装置を用いて描画(印刷)する対象の一例である半導体基板について説明する。
図1(a)は半導体基板を示す模式平面図である。図1(a)に示すように、基材としての半導体基板1は基板2及び半導体装置3を備えている。基板2は耐熱性があり半導体装置3を実装可能であれば良く、基板2にはガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板等を用いることができる。被記録媒体としての半導体装置3は、パッケージ基材であってもよいし、半導体基材であってもよい。
【0024】
基板2上には半導体装置3が実装されている。そして、半導体装置3上には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマーク(印刷パターン、所定パターン)が描画されている。これらのマークが後述する印刷装置によって描画される。
【0025】
(印刷装置)
図1(b)は印刷装置を示す模式平面図である。
図1(b)に示すように、印刷装置7は主に供給部8、前処理部9、塗布部(印刷部)10、冷却部11、収納部12、搬送部13、後処理部14及び制御部CONT(図8参照)の各種印刷に関連する処理を行う複数の処理装置から構成されている。なお、供給部8、収納部12が並ぶ方向、及び前処理部9、冷却部11、後処理部14が並ぶ方向をX方向とする。X方向と直交する方向をY方向とし、Y方向には塗布部10、冷却部11、搬送部13が並んで配置されている。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0026】
供給部8は、複数の半導体基板1が収納された収納容器を備えている。そして、供給部8は中継場所8aを備え、収納容器から中継場所8aへ半導体基板1を供給する。中継場所8aには、X方向に延びY方向に間隔をあけて設けられた一対のレール8bが、収納容器から送り出される半導体基板1の高さと略同一の高さに設けられている。
【0027】
前処理部9は、半導体装置3の表面を加熱しながら改質する機能を有する。前処理部9により半導体装置3は吐出された液滴の広がり具合及び印刷するマークの密着性が調整される。前処理部9は第1中継場所9a及び第2中継場所9bを備え、処理前の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bから取り込んで表面の改質を行う。その後、前処理部9は処理後の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bに移動して、半導体基板1を待機させる。第1中継場所9a及び第2中継場所9bを合わせて中継場所9cとする。そして、前処理部9の内部で前処理が行われる場所を処理場所9dとする。
【0028】
冷却部11は、塗布部10の中継場所に配置されており、前処理部9で加熱及び表面改質が行われた半導体基板1を冷却する機能を有している。冷却部11は、それぞれが半導体基板1を保持して冷却する処理場所11a、11bを有している。処理場所11a、11bは、適宜、処理場所11cと総称するものとする。
【0029】
塗布部10は、半導体装置3に液滴を吐出してマークを描画(印刷)するとともに、描画されたマークを固化または硬化する機能を有する。塗布部10は中継場所としての冷却部11から描画前の半導体基板1を移動させて描画処理及び硬化処理を行う。その後、塗布部10は描画後の半導体基板1を冷却部11に移動させて、半導体基板1を待機させる。
【0030】
後処理部14は、塗布部10で描画処理が施された後、冷却部11に載置された半導体基板1に対して後処理として再加熱処理を行うものである。後処理部14は、第1中継場所14a及び第2中継場所14bを備えている。第1中継場所14a及び第2中継場所14bを合わせて中継場所14cとする。
【0031】
収納部12は、半導体基板1を複数収納可能な収納容器を備えている。そして、収納部12は中継場所12aを備え、中継場所12aから収納容器へ半導体基板1を収納する。中継場所12aには、X方向に延びる一対のレール12bが、半導体基板1を収容する収納容器と略同一の高さに設けられている。操作者は半導体基板1が収納された収納容器を印刷装置7から搬出する。
【0032】
印刷装置7の中央の場所には、搬送部13が配置されている。搬送部13は腕部13bを備えたスカラー型ロボットが用いられている。そして、腕部13bの先端には半導体基板1を裏面(下面)から支持しつつ、側縁を片持ちで把持する把持部13aが設置されている。中継場所8a,9c,11、14c、12aは把持部13aの移動範囲内に位置している。従って、把持部13aは中継場所8a,9c,11、14c、12a間で半導体基板1を移動することができる。制御部CONTは、印刷装置7の全体の動作を制御する装置であり、印刷装置7の各部の動作状況を管理する。そして、搬送部13に半導体基板1を移動する指示信号を出力する。これにより、半導体基板1は各部を順次通過して描画されるようになっている。
【0033】
以下、各部の詳細について説明する。
(供給部)
図2(a)は供給部を示す模式正面図であり、図2(b)及び図2(c)は供給部を示す模式側面図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、供給部8は基台15を備えている。基台15の内部には昇降装置16が設置されている。昇降装置16はZ方向に動作する直動機構を備えている。この直動機構はボールネジと回転モーターとの組合せや油圧シリンダーとオイルポンプの組合せ等の機構を用いることができる。本実施形態では、例えば、ボールネジとステップモーターとによる機構を採用している。基台15の上側には昇降板17が昇降装置16と接続して設置されている。そして、昇降板17は昇降装置16により所定の移動量だけ昇降可能になっている。
【0034】
昇降板17の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には複数の半導体基板1が収納されている。収納容器18はX方向の両面に開口部18aが形成され、開口部18aから半導体基板1が出し入れ可能となっている。収納容器18のY方向の両側に位置する側面18bの内側には凸状のレール18cが形成され、レール18cはX方向に延在して配置されている。レール18cはZ方向に複数等間隔に配列されている。このレール18cに沿って半導体基板1をX方向からまたは−X方向から挿入することにより、半導体基板1がZ方向に配列して収納される。
【0035】
基台15のX方向側には支持部材21及び支持台22を介して、押出装置23が設置されている。押出装置23には、昇降装置16と同様の直動機構によりX方向に突出して半導体基板1をレール8bに向けて押し出す押出ピン23aが設けられている。従って、押出ピン23aは、レール8bと略同一の高さに設置されている。
【0036】
図2(c)に示すように、押出装置23における押出ピン23aが+X方向に突出することにより、レール18cよりも僅かに+Z側の高さに位置する半導体基板1が収納容器18から押し出されて、レール8b上に移動して支持される。
【0037】
半導体基板1がレール8b上に移動した後に、押出ピン23aは、図2(b)に示す待機位置に戻る。次に、昇降装置16が収納容器18を降下させて、次に処理される半導体基板1を押出ピン23aと対向する高さに移動させる。この後、上記と同様にして、押出ピン23aを突出させて半導体基板1をレール8b上に移動させる。
このようにして供給部8は順次半導体基板1を収納容器18からレール8b上に移動する。収納容器18内の半導体基板1を総て中継台23上に移動した後、操作者は空になった収納容器18と半導体基板1が収納されている収納容器18とを置き換える。これにより、供給部8に半導体基板1を供給することができる。
【0038】
(前処理部)
前処理部9は、中継場所9a、9bに搬送された半導体基板1に対して、処理場所9dにおいて前処理を行う。前処理としては、加熱した状態で、例えば、低圧水銀ランプ、水素バーナー、エキシマレーザー、プラズマ放電部、コロナ放電部等による活性光線の照射を例示できる。水銀ランプを用いる場合、半導体基板1に紫外線を照射することにより、半導体基板1の表面の撥液性を改質することができる。水素バーナーを用いる場合、半導体基板1の酸化した表面を一部還元することで表面を粗面化することができ、エキシマレーザーを用いる場合、半導体基板1の表面を一部溶融固化することで粗面化することができ、プラズマ放電或いはコロナ放電を用いる場合、半導体基板1の表面を機械的に削ることで粗面化することができる。本実施形態では、例えば、水銀ランプを採用している。
前処理が終了した後、前処理部9は半導体基板1を中継場所9cに移動する。続いて、搬送部13が中継場所9cから半導体基板1を除材する。
【0039】
(冷却部)
冷却部11は、各処理場所11a、11bにそれぞれ設けられ、上面が半導体装置1の吸着保持面とされたヒートシンク等の冷却板110a、110bを有している。
処理場所11a、11b(冷却板110a、110b)は、把持部13aの動作範囲内に位置しており、処理場所11a、11bにおいて冷却板110a、110bは露出する。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を冷却板110a、110bに載置することができる。半導体基板1に冷却処理が行われた後、半導体基板1は、処理場所11aに位置する冷却板110a上または処理場所11bに位置する冷却板110a上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動させることができる。
【0040】
(塗布部)
次に、半導体基板1に液滴を吐出してマークを形成する塗布部10について図3乃至図6に従って説明する。液滴を吐出する装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小な液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0041】
図3(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図である。塗布部10により半導体基板1に液滴が吐出される。図3(a)に示すように、塗布部10には、直方体形状に形成された基台37を備えている。液滴を吐出するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とが相対移動する方向を主走査方向とする。そして、主走査方向と直交する方向を副走査方向とする。副走査方向は改行するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とを相対移動する方向である。本実施形態ではY方向(第2方向)を主走査方向とし、X方向(第1方向)を副走査方向とする。
【0042】
基台37の上面37aには、X方向に延在する一対の案内レール38がX方向全幅にわたり凸設されている。その基台37の上側には、一対の案内レール38に対応する図示しない直動機構を備えたステージ39が取付けられている。そのステージ39の直動機構は、リニアモーターやネジ式直動機構等を用いることができる。本実施形態では、例えば、リニアモーターを採用している。そして、ステージ39は、X方向に沿って所定の速度で往動または復動するようになっている。往動と復動を繰り返すことを走査移動と称す。さらに、基台37の上面37aには、案内レール38と平行に副走査位置検出装置40が配置され、副走査位置検出装置40によりステージ39の位置が検出される。
【0043】
そのステージ39の上面には載置面41が形成され、その載置面41には図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。載置面41上に半導体基板1が載置された後、半導体基板1は基板チャック機構により載置面41に固定される。
【0044】
ステージ39が、例えば、+X側に位置するときの載置面41の場所が半導体基板1のロード位置またはアンロード位置の中継場所となっている。この載置面41は把持部13aの動作範囲内に露出するように設置されている。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を載置面41に載置することができる。半導体基板1に塗布(マーク描画)が行われた後、半導体基板1は中継場所である載置面41上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動することができる。
【0045】
基台37のY方向両側には一対の支持台42が立設され、その一対の支持台42にはY方向に延びる案内部材43が架設されている。案内部材43の下側にはY方向に延びる案内レール44がX方向全幅にわたり凸設されている。案内レール44に沿って移動可能に取り付けられるキャリッジ(移動手段)45は略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ45は直動機構を備え、その直動機構は、例えば、ステージ39が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。そして、キャリッジ45がY方向に沿って走査移動する。案内部材43とキャリッジ45との間には主走査位置検出装置46が配置され、キャリッジ45の位置が計測される。キャリッジ45の下側にはヘッドユニット47が設置され、ヘッドユニット47のステージ39側の面には図示しない液滴吐出ヘッドが凸設されている。
【0046】
図3(b)は、キャリッジを示す模式側面図である。図3(b)に示すようにキャリッジ45の半導体基板1側にはヘッドユニット47と一対の照射部としての硬化ユニット48が、Y方向に関してキャリッジ45の中心からそれぞれ等間隔で配置されている。ヘッドユニット47の半導体基板1側には液滴を吐出する液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)49が凸設されている。
【0047】
キャリッジ45の図中上側には収容タンク50が配置され、収容タンク50には機能液が収容されている。液滴吐出ヘッド49と収容タンク50とは図示しないチューブにより接続され、収容タンク50内の機能液がチューブを介して液滴吐出ヘッド49に供給される。
【0048】
機能液は樹脂材料、硬化剤としての光重合開始剤、溶媒または分散媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や、親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。本実施形態では、例えば、白色の顔料を添加している。機能液の樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり、例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール等を用いることができる。溶媒または分散媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。機能液を液滴吐出ヘッドから吐出し易い粘度にすることにより、液滴吐出ヘッドは安定して機能液を吐出することができるようになる。
【0049】
図4(a)は、ヘッドユニットを示す模式平面図である。図4(a)に示すように、ヘッドユニット47には、2つの液滴吐出ヘッド49が副走査方向(X方向)に間隔をあけて配置され、各液滴吐出ヘッド49の表面にはノズルプレート51(図4(b)参照)がそれぞれ配置されている。各ノズルプレート51には複数のノズル52が配列して形成されている。本実施形態においては、各ノズルプレート51に、15個のノズル52が副走査方向に沿って配置されたノズル列60B〜60EがY方向に間隔をあけて配置されていえる。また、2つの液滴吐出ヘッド49における各ノズル列60B〜60Eは、X方向に沿って直線上に配置されている。ノズル列60B、60Eは、Y方向に関してキャリッジ45の中心から等間隔で配置されている。同様に、ノズル列60C、60Dは、Y方向に関してキャリッジ45の中心から等間隔で配置されている。従って、+Y側の硬化ユニット48とノズル列60Bとの距離と、−Y側の硬化ユニット48とノズル列60Eとの距離とは同一となる。また、+Y側の硬化ユニット48とノズル列60Cとの距離と、−Y側の硬化ユニット48とノズル列60Dとの距離とは同一となる。
【0050】
図4(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図である。図4(b)に示すように、液滴吐出ヘッド49はノズルプレート51を備え、ノズルプレート51にはノズル52が形成されている。ノズルプレート51の上側であってノズル52と相対する位置にはノズル52と連通するキャビティ53が形成されている。そして、液滴吐出ヘッド49のキャビティ53には機能液(液体)54が供給される。
【0051】
キャビティ53の上側には上下方向に振動してキャビティ53内の容積を拡大縮小する振動板55が設置されている。振動板55の上側でキャビティ53と対向する場所には上下方向に伸縮して振動板55を振動させる圧電素子56が配設されている。圧電素子56が上下方向に伸縮して振動板55を加圧して振動し、振動板55がキャビティ53内の容積を拡大縮小してキャビティ53を加圧する。それにより、キャビティ53内の圧力が変動し、キャビティ53内に供給された機能液54はノズル52を通って吐出される。
【0052】
硬化ユニット48は、図3(b)及び図4(a)に示すように、主走査方向(相対移動方向)においてヘッドユニット47を挟んだ両側の位置に配置されている。硬化ユニット48の内部には吐出された液滴を硬化させる紫外線を照射する照射装置が配置されている。照射装置は発光ユニットと放熱板等から構成されている。発光ユニットには多数のLED(Light Emitting Diode)素子が配列して設置されている。このLED素子は、電力の供給を受けて紫外線の光である紫外光を発光する素子である。硬化ユニット48の下面には、照射口48aが形成されている。そして、照射装置が発光する紫外光が照射口48aから半導体基板1に向けて照射される。
【0053】
液滴吐出ヘッド49が圧電素子56を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子56が伸張して、振動板55がキャビティ53内の容積を縮小する。その結果、液滴吐出ヘッド49のノズル52から縮小した容積分の機能液54が液滴57となって吐出される。機能液54が塗布された半導体基板1に対しては、照射口48aから紫外光が照射され、硬化剤を含んだ機能液54を固化または硬化させるようになっている。
【0054】
(収納部)
図5(a)は収納部を示す模式正面図であり、図5(b)及び図5(c)は収納部を示す模式側面図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、収納部12は基台74を備えている。基台74の内部には昇降装置75が設置されている。昇降装置75は供給部8に設置された昇降装置16と同様の装置を用いることができる。基台74の上側には昇降板76が昇降装置75と接続して設置されている。そして、昇降板76は昇降装置75により昇降させられる。昇降板76の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には半導体基板1が収納されている。収納容器18は供給部8に設置された収納容器18と同じ容器が用いられている。
【0055】
搬送部13によって中継場所としてのレール12bに載置された半導体基板1は、当該搬送部13によってレール12bから収納容器18に移動する。または、搬送部13によってレール12bから収納容器18への中途まで移動した後に、例えば、図5(c)に示すように、レール12bの下方で、Y方向ではレール12b、12b間に位置し、上記押出装置23と同様の構成を有し、図示しない昇降装置により上記の中途位置にある半導体基板1と対向する位置まで上昇可能な押出装置80を設け、搬送部13が半導体基板1をレール12bに載置する際には押出装置80をレール12bの下方で待機させ、搬送部13がレール12bから退避した際には、押出装置80を上昇させて半導体基板1の側面と対向させ、押出ピン23aを+X方向に突出することにより、半導体基板1を収納容器18に移動させる構成としてもよい。
【0056】
上記のように、半導体基板1の収納容器18への収納と、昇降装置75による収納容器18のZ方向への移動とを繰り返して、収納容器18内に所定の枚数の半導体基板1が収納された後、操作者は半導体基板1が収納された収納容器18と空の収納容器18とを置き換える。これにより、操作者は複数の半導体基板1をまとめて次の工程に持ち運ぶことができる。
【0057】
(搬送部)
次に、半導体基板1を搬送する搬送部13について図1、図6乃び図7に従って説明する。
搬送部13は、装置内の天部に設けられた支持体83を備えており、支持体83の内部にはモーター、角度検出器、減速機等から構成される回転機構が設置されている。そして、モーターの出力軸は減速機と接続され、減速機の出力軸は支持体83の下側に配置された第1腕部84と接続されている。また、モーターの出力軸と連結して角度検出器が設置され、角度検出器がモーターの出力軸のZ方向(第3方向)と平行な軸線周りの回転角度を検出する。これにより、回転機構は第1腕部84の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0058】
第1腕部84上において支持体83と反対側の端には回転機構85が設置されている。回転機構85はモーター、角度検出器、減速機等により構成され、支持体83の内部に設置された回転機構と同様の機能を備えている。そして、回転機構85の出力軸は第2腕部86と接続されている。これにより、回転機構85は第2腕部86の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0059】
第2腕部86上において回転機構85と反対側の端には昇降装置87及び回転機構(駆動部)88が配置されている。昇降装置87は直動機構を備え、直動機構を駆動することによりZ方向に伸縮することで把持部13aを第2腕部86に対して昇降させることができる。この直動機構は、例えば、供給部8の昇降装置16と同様の機構を用いることができる。回転機構88は、上記回転機構85と同様の構成を有しており、第2腕部86に対して把持部13aをZ方向と平行な軸線13c(図6(c)参照)周りに回転させる。
【0060】
図6(a)は、腕部13bの−Z側に把持部13aが設けられた正面図、図6(b)は平面図(ただし、腕部13bは図示せず)、図6(c)は左側面図である。
なお、把持部13aは、回転機構88によって腕部13bに対してθZ方向(Z軸回りの回転方向)に回転移動可能に設けられ、XY平面における位置が変動するため、以下の説明では便宜上、XY平面と平行な一方向をx方向、XY平面と平行でx方向と直交する方向をy方向として説明する(Z方向は共通)。
【0061】
把持部13aは、腕部13bに対してθZ方向には回転可能、且つ半導体基板1の把持の際に固定状態で用いられる固定部100と、固定部100に対してZ方向に移動自在に設けられた移動部110とを備えている。
【0062】
固定部100は、Z軸部材101、懸架部材102、連結部材103、連結板(連結部)104、支持板(支持部)105、フォーク部106を主体として構成されている。Z軸部材101は、Z方向に延在し腕部13bにZ軸回りに回転可能に設けられている。懸架部材102は、x方向に延在する板状に形成されており、x方向の中央部においてZ軸部材101の下端に固定されている。
【0063】
連結板104は、懸架部材102と平行に互いに隙間をあけて配置され、x方向両端側で連結部材103によって連結されている。連結板104のx方向の両端部には、半導体基板1が嵌合する深さ(Z方向の幅)でy方向に貫通して切欠108が形成されている。切欠108と支持部105の支持面105aとにより、図6(a)に示すように、x方向における外側に開口し、内側に所定長さの奥行きを有する正面視矩形状の溝部107が形成される。
【0064】
支持板105は、x方向に延在する板状に形成されており、図6(c)に示すように、+Z側の表面における+y側の端縁で連結板104の下端に連結されている。そして、支持板105における+Z側の表面が、x方向及びy方向と平行に形成され、半導体基板1を把持する際の支持面105aとなっている。
【0065】
フォーク部106は、支持面105aで把持された半導体基板1の下面(−Z側の面)を下方から支持するものであって、支持板105の−y側の側面からy方向に延出させ、且つx方向に間隔をあけて複数(ここでは4本)設けられている。フォーク部106の配置間隔及び本数は、半導体基板1の長さが機種等に応じて変動した場合でも、少なくとも長さ方向で1箇所、好ましくは2箇所以上で支持可能に設定される。
【0066】
移動部110は、昇降部111、挟持板(挟持部)112を主体として構成されている。昇降部111は、エアシリンダ機構等で構成されており、Z軸部材101に沿って昇降する。挟持板112は、昇降部111と一体的に昇降可能に設けられており、連結部材103、103間のx方向の隙間長よりも短く、懸架部材102と連結板104との間の隙間よりも小さな幅を有し、これら連結部材103、103間の隙間及び懸架部材102と連結板104との間の隙間にZ方向に移動可能に挿入された挿入部112aと、挿入部112aよりも下方に位置し、懸架部材102よりも下方で支持板105とほぼ同じ長さでx方向に延在する挟持板112bとが一体的に形成されてなるものである。
【0067】
上記挿入部112a及び挟持板112bとからなる挟持板112は、昇降部111の昇降に応じて一体的にZ方向に移動する。挟持板112が下降した際には、支持板105との間で半導体基板1の一端縁を挟持して把持可能であり、挟持板112が上昇した際には、支持板105から離間することで半導体基板1に対する把持が解除される。
【0068】
半導体基板1を把持可能なこれら支持板105及び挟持板112によって、対向する隙間に当該支持板105及び挟持板112に亘る長さで、且つ連結板104よりも−y側に位置する支持面105aの幅でx方向に連続的に延在する第1把持領域13dを有する第1把持部H1が構成される。図6(b)に示すように、支持板105及び挟持板112並びに把持領域13dの長さL1は、上記フォーク部106の長さL2よりも大きく形成されている。また、フォーク部106の長さL2、連結板104、支持部105のy方向の合計長さは、図1(b)に示すレール8bの隙間よりも短く形成され、フォーク部106、連結板104及び支持部105が当該隙間を介してZ方向に移動可能となっている。
【0069】
また、挿入された半導体基板1と嵌合して把持する溝部107を形成する連結板104及び支持板105と、溝部107よりも−y側の延長線上で、溝部107から延出する半導体基板1を把持可能な上記支持板105及び挟持板112とによって、ほぼ支持板105の幅の長さでy方向に延在する第2把持領域13eを有する第2把持部H2が構成される。すなわち、支持板105と挟持板112とは、第1把持部H1と第2把持部H2とで共用されており、第2把持領域13eの一部は、第1把持領域13dを形成する支持板105と挟持板112とによって形成される。
【0070】
また、本実施形態では、回転機構88により把持部13aが回転する際の回転中心軸線(軸線)13cは、フォーク部106の長さ方向であるy方向に関しては、図6(c)に示されるように、フォーク部106が配置される領域に位置するように設定される。また、回転中心軸線13cは、支持板105及び挟持板112の長さ方向であるx方向に関しては、図6(a)に示すように、把持領域13dの略中央に配置されている。
【0071】
上記の搬送部13における第1把持部H1で半導体基板1を搬送する際には、フォーク部106が半導体基板1を下方から支持しているため、搬送された半導体基板1が表面に載置される前処理部9の第1、第2中継場所9a、9b、冷却部11の処理場所11a、11b、後処理部14の第1、第2中継場所14a、14b(以下、載置部140と総称する)には、搬送時のフォーク部106と対応する位置に、図7に示すように、溝部141が設けられている。また、載置部141における溝部140の近傍には、載置部140に載置された半導体基板1を吸着保持するための吸着部142が複数配設されている。
【0072】
図8は、印刷装置7に係る制御系のブロック図である。
図8に示すように、上述した供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部14、収納部12、搬送部13の動作は制御部CONTにより統括的に制御される。
【0073】
(印刷方法)
次に上述した印刷装置7を用いた印刷方法について図9にて説明する。図9は、印刷方法を示すためのフローチャートである。
図9のフローチャートに示されるように、印刷方法は、半導体基板1を収納容器18から搬入する搬入工程S1、搬入された半導体基板1の表面に対して前処理を施す前処理工程S2、前処理工程S2で温度上昇した半導体基板1を冷却する冷却工程S3、冷却された半導体基板1に対して各種マークを描画印刷する印刷工程S4、各種マークが印刷された半導体基板1に対して後処理を施す後処理工程S5、後処理が施された半導体基板1を収納容器18に収納する収納工程S6を主体に構成される。
【0074】
上記の各工程で半導体基板1を処理する際には、まず、図2(c)に示したように、供給部8において、押出ピン23aが+X方向に突出して半導体基板1を収納容器18から押し出して、半導体基板1の一部をレール8b上に移動させて支持させる。半導体基板1の一部がレール8b上に支持されると、搬送部13においては、連結板104及び支持板105がX方向に沿って延在する状態で、図10(a)に示すように、−x側の溝部107における開口部が半導体基板1の端縁と対向する位置まで、レール8bの隙間を介して把持部13aを下降させる。
このとき、挟持板112は、溝部107のZ方向の幅以上の距離で支持板105に対して離間させておく。
【0075】
次に、把持部13aを−X方向に移動させて、溝部107に半導体基板1の+X側の端縁を挿入させるとともに、図10(b)に示すように、挟持板112を下降させて支持板105との間で、レール8b間の隙間に位置する半導体基板1を把持させる。これにより、半導体基板1は、+X側の短辺の端縁が溝部107に嵌合・把持されるとともに、溝部107よりも−y側において支持板105と挟持板112との間で把持される。換言すると、半導体基板1は、把持部H2におけるY方向に延びる第2把持領域13eにおいて+X側の端縁が把持される。
【0076】
続いて、把持部13aを+X方向に移動させることにより、図10(c)に示すように、半導体基板1を収納容器18から引き出して、半導体基板1の全体をレール8bに支持させる。半導体基板1をレール8b上に位置させると、挟持板112を上昇させて支持板105との間での把持を解除するともに、さらに把持部13aを+X方向に移動させて、溝部107への半導体基板1の嵌合・把持を解除する。
【0077】
把持部13a(第2把持部H2)による半導体基板1の把持が解除されると、把持部13aが上昇してレール部8bの隙間から離脱するとともに、図1(b)に示すように、半導体基板1の+Y側端縁と対向する位置に移動した後に、上記第2把持部H2による把持の場合と同様に、支持板105と挟持板112との隙間が半導体基板1の+Y側の端縁が対向する位置まで下降する。
【0078】
この後、図7(a)に示した場合と同様に、支持板105と挟持板112との間に半導体基板1の端縁が位置するまで搬送部13aを−Y方向に移動させた後に、挟持板112を下降させて支持板105との間で、半導体基板1の+Y側の長辺の端縁を第1把持部H1の第1把持領域13dにおいて把持させつつ、フォーク部106で下方から支持する。
【0079】
このとき、把持領域13dの長さは、フォーク部106の長さよりも大きく、また半導体基板1の長辺よりも大きいため、例えば前処理時の加熱で半導体基板1に反りが生じていた場合でも、半導体基板1の一側縁を一括的に挟持することで反りを矯正した状態で安定して把持することができる。
【0080】
そして、昇降装置87により把持部13aを所定高さに移動させた後に、回転機構85、88等の回転角度を制御して駆動することにより、把持部13aに把持された半導体基板1を所定の載置部140と対向する位置にXY平面に沿って移動させる。
【0081】
このとき、把持部13aは回転機構88の作動により回転中心軸線13cを中心として回転するが、y方向に関しては、回転中心軸線13cがフォーク部106が配置される領域に位置しているため、すなわち、半導体基板1が支持されている領域に位置しているため、例えば回転中心軸線13cが挟持板112及び支持板105により形成される把持領域13dに位置する場合と比較して、回転中心軸線13cから半導体基板1の外縁部までの距離が短くなる。つまり、半導体基板1が回転移動する際の回転半径が小さくなり、結果として半導体基板1に作用する遠心力が小さくなる。
【0082】
同様に、回転中心軸線13cを中心とする把持部13aの回転時、x方向に関しては回転中心軸線13cが把持領域13dの略中央に配置されているため、回転中心軸線13cから半導体基板1の外縁部までの距離が短くなり、半導体基板1が回転移動する際の回転半径が小さくなり、結果として半導体基板1に作用する遠心力が小さくなる。
つまり、把持部13a及び半導体基板1の回転に伴って、半導体基板1との干渉を避けるために周辺機器の離間距離を小さくすることで、装置の大型化を避けることができるとともに、遠心力により把持部13aに対して半導体基板1がずれることを防止でき、安定した搬送を実施することが可能になる。また、半導体基板1に対する把持力(挟持力)を小さくすることができるため、昇降部111の駆動力も小さくすることができ、一層の小型化を図ることができる。
【0083】
所定の載置部140と対向する位置まで半導体基板1を搬送した搬送部13は、昇降装置87の駆動により把持部13aを下降させ、図7(a)に示すように、載置部140の表面に半導体基板1を受け渡す。このとき、載置部140には、フォーク部106に対応した位置及び大きさで溝部141が形成されているため、半導体基板1の受け渡し時にフォーク部106は溝部141に入り込み、載置部140と干渉することが回避される。
【0084】
載置部140の表面に受け渡された半導体基板1は、吸着部142によって載置部140の表面に吸着保持された状態で所定の処理(例えば、冷却処理)が施されるか、塗布処理や前処理が行われるステージに搬送される。
【0085】
上述した搬送部13で搬送された半導体基板1は、前処理工程S2で半導体基板1の前処理(加熱した状態で表面の改質処理)が施され、冷却工程S3で冷却された後に、印刷工程S4で半導体装置3上に各種マークの印刷処理が行われる。各種マークの印刷処理が行われた半導体基板1は、後処理工程S5で後処理が施された後に収納工程S6で収納容器18に収納され、収納容器18を介して搬出される。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では、搬送部13における搬送部13aがx方向に延在する第1把持領域13dを有する第1把持部H1と、y方向に延在する第2把持領域13eを有する第2把持部H2と備えているため、同一姿勢の半導体基板1に対して長辺及び短辺を選択して一つの搬送部13aで把持して移動させることが可能であり、処理部に専用の搬送装置を設けることで装置の大型化及び高価格化を招くことなく、多様な搬送形態に対応できる。また、本実施形態では、第2把持部H2の第2把持領域13eの長さが、第1把持部H1の第1把持領域13dの長さよりも短く設定されているため、例えば、レール部8bの隙間にしか把持可能な領域が存在しない場合でも、半導体基板1を把持して移動させることが可能になり、より汎用性の高い搬送を実現できる。
【0087】
加えて、本実施形態では、第2把持部H2において、第2把持領域13eの一部が支持板105及び挟持板112によって形成されるため、第2把持部H2用に支持板及び挟持板を設ける必要がなく、さらなる装置の小型化及び低価格化に寄与できる。また、本実施形態では、フォーク部106により半導体基板1の下方を支持しているため、半導体基板1の一端縁のみを片持ちで支持した場合のような反りの悪影響を排除して安定した搬送処理を実行できる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0089】
例えば、上記実施形態では、収納部12については、押出装置80を用いてレール12b上の半導体基板1を収納容器18に移動させる構成を例示したが、これに限定されるものではなく、搬送部13aにおける+x側の第2把持部H2を用いて半導体基板1を収納容器18に移動させる構成としてもよい。
このような構成を採ることにより、押出装置80を設ける必要がなくなり、一層の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0090】
また、上記実施形態では、第1把持領域13dと第2把持領域とが互いに直交する方向に延在する構成を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、半導体基板1の外形が曲線や斜線である場合には、第1把持領域と第2把持領域のいずれかを曲線方向や斜線方向に延在させた構成とすればよい。
【0091】
また、上記実施形態では、支持板105及び挟持板112がx方向に連続的に延在する第1把持領域13dを形成する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示すように、挟持板112bにおける支持板105と対向する位置にx方向に間隔をあけて複数の挟持部112cを分離して設け、分離された挟持部112cと支持板105との間に第1把持領域が半導体基板1の長さ以上の範囲に亘って、x方向に断続的に設けられる構成であってもよい。
この構成では、半導体基板1の表面に異物が付着している場合や、局所的に反りが大きくなっている場合でも、これらの箇所とは異なる領域を把持することが可能であり、このような不測の事態が生じた場合でも、安定した搬送処理が可能になる。
【0092】
また、上記実施形態で示した支持板105及び挟持板112については、剛体ではなく、少なくともいずれか一方を弾性材で形成する構成としてもよい。例えば、支持板105及び挟持板112の少なくとも一方をゴム材等の弾性材で形成する構成としてもよい。
このように弾性材を用いて半導体基板1を把持することにより、弾性材が弾性変形することにより、半導体基板1に過度な挟持力が作用することを回避できるとともに、半導体基板1に加わる衝撃を吸収することができる。
【0093】
また、上記実施形態で示した支持板105及び挟持板112の少なくとも一部は、所定の孔を設けて軽量化してもよい。例えば、図12に示すように、挟持板112を、屈曲させたワイヤー状に形成する構成としてもよい。
また、ワイヤー状とした場合には、把持部を安価で容易に形成することが可能になる。 また、支持板105側を弾性材で形成してもよいことは言うまでもない。
さらに、図11に示した把持部112cをゴム材等の弾性材で形成してもよい。
【0094】
さらに、支持板105及び挟持板112については、少なくとも一方を導電材で形成してもよい。
この場合、半導体基板1に対する静電気の悪影響を排除することができ、半導体装置3等の静電気による損傷を回避することが可能になる。支持板105及び挟持板112については、少なくとも一方を金属で構成してもよいし、表面に導電性膜で形成してもよいし、導電性ゴムで構成してもよい。また、所定の材料で、導電処理を施してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、UVインクとして紫外線硬化型インクを用いたが、本発明はこれに限定されず、可視光線、赤外線を硬化光として使用することができる種々の活性光線硬化型インクを用いることができる。
また、光源も同様に、可視光等の活性光を射出する種々の活性光光源を用いること、つまり活性光線照射部を用いることができる。
【0096】
ここで、本発明において「活性光線」とは、その照射によりインク中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、活性光線硬化型インクとしては、本実施形態のように、紫外線を照射することにより硬化可能な紫外線硬化型インクを用いることが好ましい。
【0097】
上記実施形態における基材としての半導体基板1は、半導体装置3が実装された基板2であったが、シリコンなどの半導体で形成された基板であってもよい。被記録媒体としての半導体装置3は、樹脂でモールドした半導体装置であってもよいし、半導体装置そのものであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…半導体基板(基材)、 3…半導体装置、 7…印刷装置、 9…前処理部、 10…塗布部(印刷部、吐出装置)、 13c…回転中心軸線(軸線)、 13d…第1把持領域、 13e…第2把持領域、 14…後処理部、 45…キャリッジ(移動手段)、 48…硬化ユニット(照射部)、 49…液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)、 52…ノズル、 54…機能液(液体)、 57…液滴、 88…回転機構(駆動部)、 90…筺体、 90a…開口部、 92…カバー部材、 93…保持装置、 96…固定部材、 97…締結部材、 97b…ヘッド部(把持部)、 104…連結板(連結部)、 105…支持板(支持部)、 105a…支持面、 106…フォーク部、 107…溝部、 112…挟持板(挟持部)、 140…載置部、 141…溝部、 CONT…制御部、 H1…第1把持部、 H2…第2把持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1把持領域で基材を把持する第1把持部と、
前記第1の把持領域の一端側に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2把持領域で前記基材を把持する第2把持部と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の搬送装置において、
前記第2把持部は、前記第1把持部の両端側に配置されることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の搬送装置において、
前記第2把持領域の長さは、前記第1把持領域の長さよりも短いことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持部は、前記第1方向に延び前記基材の一面を支持面で支持する支持部と、前記第1方向に延び前記支持部との間で前記基材を挟持する挟持部とを有し、
前記第2把持領域の一部は、前記支持部と前記挟持部とにより形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項4記載の搬送装置において、
前記支持部は、前記第1方向及び前記第2方向と平行に形成された前記支持面で連結部に連結され、
前記第2把持部は、前記連結部に前記基材が嵌合する幅で前記第2方向に貫通して形成され、少なくとも一面が前記支持面で形成された溝部を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の搬送装置において、
前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、導電材で形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、弾性材で形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項7記載の搬送装置において、
前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、ワイヤー状であることを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持領域は、前記第1方向に間隔をあけて配置された複数の突部により形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持領域は、該第1把持領域に亘る長さで延在する前記第1把持部により形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持領域から前記第2方向に延び前記基材を下方から支持する複数のフォーク部を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置で搬送された基材に対して活性光線で硬化する液体の液滴を吐出する吐出部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項12記載の印刷装置において、
前記吐出部は、前記基材の表面に設けられた半導体装置に前記液滴を塗布することを特徴とする印刷装置。
【請求項1】
第1方向に延びる第1把持領域で基材を把持する第1把持部と、
前記第1の把持領域の一端側に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2把持領域で前記基材を把持する第2把持部と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の搬送装置において、
前記第2把持部は、前記第1把持部の両端側に配置されることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の搬送装置において、
前記第2把持領域の長さは、前記第1把持領域の長さよりも短いことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持部は、前記第1方向に延び前記基材の一面を支持面で支持する支持部と、前記第1方向に延び前記支持部との間で前記基材を挟持する挟持部とを有し、
前記第2把持領域の一部は、前記支持部と前記挟持部とにより形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項4記載の搬送装置において、
前記支持部は、前記第1方向及び前記第2方向と平行に形成された前記支持面で連結部に連結され、
前記第2把持部は、前記連結部に前記基材が嵌合する幅で前記第2方向に貫通して形成され、少なくとも一面が前記支持面で形成された溝部を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の搬送装置において、
前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、導電材で形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、弾性材で形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項7記載の搬送装置において、
前記支持部と前記挟持部との少なくとも一方は、ワイヤー状であることを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持領域は、前記第1方向に間隔をあけて配置された複数の突部により形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持領域は、該第1把持領域に亘る長さで延在する前記第1把持部により形成されることを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記第1把持領域から前記第2方向に延び前記基材を下方から支持する複数のフォーク部を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置で搬送された基材に対して活性光線で硬化する液体の液滴を吐出する吐出部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項12記載の印刷装置において、
前記吐出部は、前記基材の表面に設けられた半導体装置に前記液滴を塗布することを特徴とする印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−222032(P2012−222032A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83599(P2011−83599)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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