説明

搬送装置及び搬送システム

【課題】ピットを掘る必要をなくすことでコストを削減でき、容易に設備ラインの長さを変更したり、設備を移設・増設したりすることが可能な搬送装置及び搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送装置100は、それぞれが一対のスプロケット13・13に捲回されて対向する一対のチェーン14・14と、一対のチェーン14・14の間に掛け渡されて設けられる複数枚のスラット16・16・・・と、を備える、スラットコンベア10と、スラットコンベア10が備えるスラット16・16・・・における外面上側に対して着脱可能に配設される、支持部材21と、を具備し、支持部材21の上部にワークWを載置した状態で、スラットコンベア10を駆動させることにより、ワークWを搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び搬送システムに関し、詳しくは、スラットコンベアを用いてワークを搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車の組立設備や物流設備において、一対のチェーンの間に複数枚のスラット(よろい板)を掛け渡し、このスラットの上側にワークを載置した状態でチェーンを駆動することによりワークを搬送する、スラットコンベアが用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−37437号公報
【特許文献2】特開平10−236641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1及び特許文献2に記載のスラットコンベアを、例えば自動車の車体等の大きなワークを組立てる組立設備に用いる場合は、ワークを運んでくる運搬車両とスラットコンベアとの間でワークを円滑に受け渡す必要がある。つまり、運搬車両とスラットコンベアにおける搬送高さを略同一にするため、図6に示す如く、運搬車両と同じ高さでワークを支持する支持部材(イケール)をスラットに立設し、この支持部材にワークを載置した状態で搬送する必要がある。
【0005】
図6に示す如く、従来技術に係るスラットコンベアにおいては、支持部材をスラットに立設した状態で駆動させるために、床下にスラットコンベア及び支持部材が通過する空間を設ける必要がある。つまり、スラットコンベアの設置箇所に、スラットコンベアの高さT1と支持部材の高さT2とを加えた(T1+T2)以上の深さでピットを掘り、そのピットにスラットコンベアを設置する必要がある。また、スラットコンベア等の保全作業のスペースを確保する必要もあるため、ピットは一定以上の大きさが求められる。
【0006】
また、上記の如く支持部材をスラットに立設した状態でスラットコンベアを駆動させる構成によれば、スラットコンベアの両端部でスラット及び支持部材を反転させる際に、チェーンを駆動させるスプロケットに対して、支持部材の重量分の大きな加重が加わる。つまり、大きな加重に耐えられるだけの大きさのスプロケットを用いる必要があるため、スラットコンベアの高さT1を一定以上の大きさで確保する必要があり、より大掛かりな設備構成が必要となる。
【0007】
上記の構成によれば、一定の大きさ以上のピットを掘るために多大なコストが必要となる。さらに、一度設備を配設した場合はピットの長さや大きさを変更することは難しいため、設備ラインの長さを変更したり、設備を移設・増設したりすることが困難となっていたのである。
【0008】
そこで本発明は、上記現状に鑑み、ピットを掘る必要をなくすことでコストを削減でき、容易に設備ラインの長さを変更したり、設備を移設・増設したりすることが可能な搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、それぞれが一対のスプロケットに捲回されて対向する一対のチェーンと、前記一対のチェーンの間に掛け渡されて設けられる複数枚のスラットと、を備える、スラットコンベアと、前記スラットコンベアが備えるスラットにおける外面上側に対して着脱可能に配設される、支持部材と、を具備し、前記支持部材の上部にワークを載置した状態で、前記スラットコンベアを駆動させることにより、ワークを搬送するものである。
【0011】
請求項2においては、前記支持部材の下部には、係合部材が配設され、前記スラットコンベアが備えるスラットの外面には、前記係合部材に対応する位置に被係合部材が配設され、前記係合部材と、前記被係合部材とを、互いに係合させることにより、支持部材をスラットに対して配設するものである。
【0012】
請求項3においては、前記スラットコンベアにおける複数本の前記スラットで囲まれた空間の内側に、内側センサが配設され、前記スラットコンベアが備えるスラットの内面に、内側センサを動作させるための内側ドグが配設されるものである。
【0013】
請求項4においては、前記スラットコンベアにおける複数本の前記スラットで囲まれた空間の外側に、外側センサが配設され、前記スラットコンベアが備えるスラットの外面のうち、前記支持部材が配設される部分に、外側センサを動作させるための外側ドグが配設されるものである。
【0014】
請求項5においては、前記チェーンは、外面下側においてレールにガイドされ、前記レールにおける、ワーク搬送方向の下流側端部には、チェーンと当接して回動するカムフロアが配設されるものである。
【0015】
請求項6においては、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の搬送装置と、自走可能な運搬車両と、を備える搬送システムであって、前記支持部材は、前記運搬車両の上面に対して着脱可能に構成されるとともに、前記スラットコンベアの始端部で運搬車両からスラットコンベアに受け渡され、スラットコンベアの終端部でスラットコンベアから運搬車両に受け渡されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明により、搬送装置を設置する際にピットを掘る必要をなくすことでコストを削減でき、容易に設備ラインの長さを変更したり、設備を移設・増設したりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係る搬送装置を示した正面図。
【図2】同じく搬送装置を示した右側面図。
【図3】(a)は搬送装置に支持部材を受け渡す直前の状態を示した右側面図、(b)は搬送装置に支持部材を受け渡した直後の状態を示した右側面図。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ第二実施形態に係る搬送装置の始端部を示した右側面図。
【図5】(a)は第三実施形態に係る搬送装置の終端部を示した右側面図、(b)はレールの端部を示した拡大右側面図。
【図6】従来技術に係る搬送装置(スラットコンベア)を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0020】
[第一実施形態]
まず始めに、本発明の第一実施形態に係る搬送装置100の構成について、図1及び図2を用いて説明する。なお、本明細書においては説明の便宜上、図1における上側及び下側を、それぞれ搬送装置100の上方及び下方とし、同じく左側及び右側を、それぞれ搬送装置100の左側方及び右側方とし、同じく紙面手前側及び紙面奥側を、それぞれ搬送装置100の前方及び後方として説明する。
【0021】
本実施形態に係る搬送装置100は図1及び図2に示す如く、スラットコンベア10と支持部材21とを具備している。
スラットコンベア10は、それぞれが前後一対のスプロケット13・13に捲回されて左右方向に対向する左右一対のチェーン14・14と、一対のチェーン14・14の間に掛け渡されて設けられる複数枚のスラット16・16・・・と、を備えている。
【0022】
より具体的には、床面に対して支柱11・11・・・がそれぞれ前後左右に一本ずつ立設され、左右に対向する前側の支柱11・11の間に、回動軸12が掛け渡されている。後側の支柱11・11の間にも、同様に回動軸12が掛け渡されている。つまり、回動軸12・12は前後に一本ずつ配設されている。回動軸12・12の一方又は双方は図示しない駆動原と連結され、駆動原からの駆動力を得て回動するように構成されている。
【0023】
それぞれの回動軸12の左右両端部には、一対のスプロケット13・13が回動軸12に対して相対回転不能に配設されている。そして、前後それぞれの回動軸12・12において右側に位置するスプロケット13・13に対してチェーン14が捲回され、同様に左側に位置するスプロケット13・13に対してもチェーン14が捲回される。つまり、チェーン14・14は左右に対向して一本ずつ配設されているのである。そして、左右一対のチェーン14・14の間には、複数のスラット16・16・・・が長手方向を左右に向けて、左右方向に掛け渡されて設けられている。
【0024】
スラットコンベア10においては上記の如く構成されることにより、回動軸12が駆動原から駆動力を得て、スプロケット13・13とともに回動すると、スプロケット13・13に捲回されたチェーン14・14が駆動し、スラット16・16・・・と共に、図2中の矢印A・Aの如く回転するのである。
【0025】
支持部材21は、図1及び図2に示す如く、複数の金属柱を組合せて構成された部材である。即ち、支持部材21は、例えば、前後左右位置の4箇所に垂直方向に立設された支持柱と、前後方向へ向けて横設され、左方の前後位置に配設された2本の前記支持柱および右方の前後位置に配設された2本の前記支持柱をそれぞれ連結する、2本の前後連結柱と、左右方向へ向けて横設され、左右の前記前後連結柱を、前端部及び後端部でそれぞれ連結する、2本の左右連結柱とで構成されている。
また、支持部材21は、前記支持柱の下端部に、下方に開口された孔を有する係合部材であるカップ23・23・・・を備えるとともに、前記左右連結柱の左右両端部に設けられ、該左右連結柱を回動軸として回動自在に配設されたローラ25・25・・・を備えている。
【0026】
そして、支持部材21はその上部に車体等のワークWを載置した状態で、スラットコンベア10の上面に配置される。
搬送装置100は、この状態で前記の如くスラットコンベア10を駆動することにより、図2中の矢印Bに示す如くワークWを搬送するのである。そして作業者は、図1に示す如く、搬送装置100の左右両側に設けられた作業フロアの上で、例えば部品の組付け作業等をワークWに対して行うのである。
【0027】
支持部材21は、スラットコンベア10が備えるスラット16・16・・・における外面上側に対して着脱可能に配設されている。
具体的には、スラットコンベア10が備えるスラット16・16・・・の外面には、カップ23・23・・・に対応する位置に、被係合部材であるピン18・18・・・が配設されているのである。そして、後述するように、カップ23・23・・・とピン18・18・・・とを互いに係合させることにより、支持部材21をスラット16・16・・・に対して配設するのである(図3(a)及び(b)を参照)。
【0028】
本実施形態に係る搬送装置100においては上記の如く、支持部材21をスラット16・16・・・に対して着脱可能に構成するため、床下にピットを掘る必要がなくなる。つまり、スラットコンベア10の下側をスラット16・16・・・が通過する間は、スラット16・16・・・から支持部材21を取り外すことができるため、床下に支持部材21が通過する空間を設ける必要がないのである。
【0029】
また、スラットコンベア10の両端部でスラット16・16・・・を反転させる際に、スラット16・16・・・から支持部材21を取り外すことができる。このため、チェーン14・14を駆動させるスプロケット13・13に対して、大きな加重が加わることがない。つまり、スプロケット13・13を従来技術と比較して小さくすることができ、スラットコンベア10の上下方向高さをより小さくすることが可能となる。即ち、設備構成をコンパクトにすることができるため、床下にスラットコンベア10を収容するためのピットを掘る必要がなくなるのである。
【0030】
さらに、本実施形態においては、支持部材21とスラット16・16・・・との係合部材及び被係合部材として、カップ23・23・・・及びピン18・18・・・を用いることにより、スラット16・16・・・の前後幅を小さく構成することができる。つまり、スラットコンベア10の両端部において、小さな径のスプロケット13・13でスラット16・16・・・を反転させることが可能となるのである。これによっても、スプロケット13・13を従来技術と比較して小さくすることが可能となり、設備構成をコンパクトにすることができるのである。
【0031】
なお、支持部材21とスラット16・16・・・との係合部材及び被係合部材として、スラット16・16・・・にカップ23・23・・・を、支持部材21にピン18・18・・・を配設する構成とすることも可能である。ただし、スラット16・16・・・の上側で孔が上方を向いた際に、カップ23・23・・・に埃や異物が侵入することを防止する観点から、本実施形態の如く、支持部材21にカップ23・23・・・を、スラット16・16・・・にピン18・18・・・を配設する構成とすることが望ましい。また、支持部材21とスラット16・16・・・との係合部材及び被係合部材としては、カップやピンだけではなく、互いに係合する形状であれば別の部材を用いることも可能である。
【0032】
上記の如く、本実施形態に係る搬送装置100によれば、ピットを掘るためのコストを削減することができるのに加え、一度設備を配設した場合でも、ピットが不要であることから、容易に設備ラインの長さを変更したり、設備を移設・増設したりすることが可能となるのである。
【0033】
本実施形態に係る搬送装置100と、電気自動車や無人搬送車等の自走可能な運搬車両Vとを備える搬送システムにおいては、支持部材21は、運搬車両Vの上面に対して着脱可能に構成される。詳細には図3(a)に示す如く、運搬車両Vの上部に水平に配設された棒状のガイド部Vrの上に、支持部材21のローラ25・25・・・(25a・25b)が掛止されているのである。
支持部材21が運搬車両V上に載置されている状態では、支持部材21におけるカップ23・23・・・の下端の高さ位置と、スラットコンベア10におけるスラット16・16・・・の上面の高さ位置とは略一致するように構成されている。
【0034】
そして、支持部材21は図3(a)及び(b)に示す如く、スラットコンベア10の始端部で運搬車両Vからスラットコンベア10に受け渡される。
支持部材21を運搬車両Vからスラットコンベア10に受け渡す際は、まず図3(a)に示す如く、運搬車両Vが支持部材21を載置した状態、つまり、ガイド部Vrの上に前側ローラ25a及び後側ローラ25bを掛止した状態で、スラットコンベア10の始端部における受け渡し位置に停止する。
【0035】
そして、図3(a)に示す如く、前側ピン18aがチェーン14の駆動によって回動しながら上昇することにより、前側カップ23aの孔に挿入される。即ち、運搬車両Vが停止する前記受け渡し位置とは、前側ピン18aの上昇する位置に前側カップ23aが位置する場所のことをいうのである。
【0036】
前側ピン18aが前側カップ23aと係合することにより、支持部材21はチェーン14の駆動にともなって、図3(a)中の矢印Cに示す如く前方に移動する。この際、後側ローラ25bは未だガイド部Vrの上に載置された状態であり、後側ローラ25bがガイド部Vrの上を転がりながら、支持部材21が前方へと進んでいく。
【0037】
その後、図3(b)に示す如く、後側カップ23bに対応する位置に配設された後側ピン18bがチェーン14の駆動によって回動しながら上昇することにより、後側カップ23bの孔に挿入される。さらに、支持部材21はチェーン14の駆動にともなって、図3(b)中の矢印Dに示す如く前方に移動し、運搬車両Vからスラットコンベア10へと受け渡されるのである。
【0038】
一方、スラットコンベア10の終端部では、支持部材21がスラットコンベア10から運搬車両Vに受け渡される。この場合は、前記と逆に、カップ23・23・・・からピン18・18・・・が外れると同時に、ローラ25・25・・・が運搬車両Vのガイド部Vrに載置されることにより、支持部材21が受け渡されるのである。つまり、スラットコンベア10の始端部で支持部材21をスラットコンベア10に受け渡した運搬車両Vは、搬送装置100によって搬送された支持部材21を受け取るためにスラットコンベア10の終端部へと移動するのである。
【0039】
本実施形態に係る搬送装置100を備える搬送システムによれば上記の如く構成することにより、運搬車両Vとスラットコンベア10との間で、支持部材21を円滑に受け渡すことが可能となる。つまり、スラットコンベア10の駆動を停止させることなく、支持部材21の搬送高さを略同一にしたまま、運搬車両Vとスラットコンベア10との間で支持部材21に載置したワークWを受け渡すことができるのである。
【0040】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る搬送装置の構成について、図4(a)及び(b)を用いて説明する。なお本実施形態以降において説明する搬送装置において、第一実施形態と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
【0041】
本実施形態においては、スラットコンベア10におけるスラット16・16・・・で囲まれた空間の内側、換言すれば、スラット16・16・・・の回転機構の内側に、内側センサ41が配設されている。そして、スラット16・16・・・の内面に、内側センサ41に当接して動作させる内側ドグ31が配設されている。つまり、内側ドグ31はチェーン14・14の駆動により移動し、内側センサ41に当接することによって内側センサ41に検知されるのである。
【0042】
また、スラットコンベア10におけるスラット16・16・・・で囲まれた空間の外側、換言すれば、スラット16・16・・・の回転機構の外側に、外側センサ43が配設されている。そして、スラット16・16・・・の外面のうち、支持部材21が配設される部分、つまり、前側ピン18aと後側ピン18bとの間に、外側センサ43を動作させるための外側ドグ33が配設されている。つまり、外側ドグ33はチェーン14・14の駆動により移動し、外側センサ43に当接することによって外側センサ43に検知されるのである。
【0043】
本実施形態における内側センサ41や外側センサ43は、主にスラットコンベア10上のワークWの位置を検出するためのものであり、ワークWのスラットコンベア10上での停止機構や、前後の工程とのインターロック機構として作用するものである。
なお、本実施形態においては、搬送装置に対して内側センサ41及び外側センサ43を同時に配設する構成としたが、何れか一方のみを用いることも可能である。
【0044】
本実施形態においては上記の如く構成することにより、スラットコンベア10を高くすることなく、安全性、保全性を確保してスラットコンベア10上のワークWの位置を検出することが可能となる。
つまり、内側ドグ31で内側センサ41を動作させる構成とすることにより、スラット16・16・・・の内面に内側ドグ31が配設されるため、作業者がスラット16・16・・・の上面を通った場合でも、作業者が内側ドグ31に躓くことを防止できるのである。
【0045】
一方、外側ドグ33を支持部材21が配設される部分に配置し、外側センサ43を動作させる構成とすることにより、図4(b)に示す如く、スラット16・16・・・のうち外側ドグ33の上方に支持部材21及びワークWが載置されるため、作業者がスラット16・16・・・の上面を通った場合でも、作業者が外側ドグ33に躓くことを防止できるのである。
【0046】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る搬送装置の構成について、図5(a)及び(b)を用いて説明する。
本実施形態においては図5(a)及び(b)に示す如く、チェーン14は外面下側においてレール51にガイドされている。そして、レール51における、ワークWの搬送方向の下流側端部、即ち前側端部には、チェーン14と当接して回動するカムフロア53が配設されるのである。
【0047】
本実施形態においては図5(a)に示す如く、レール51がチェーン14の下側を上方に押し上げることにより、チェーン14に張りを与える構成としている。そして、チェーン14が図5(a)及び(b)に示す矢印E・Eの如く回動すると、レール51の前側端部において、チェーン14はまずカムフロア53に当接した後にレール51に着座することになる。
【0048】
本実施形態においては上記の如く構成することにより、チェーン14がレール51に着座する際に、レール51の前側端部における角部に直接当たることを防止している。つまり、チェーン14がレール51に直に当接すると、レール51によってチェーン14が削られ、異音や金属粉の発生に繋がる。しかし本実施形態によれば、チェーン14に対してまずカムフロア53が当接し、回転する構成としている。これによりチェーン14における摩擦を低減させて、チェーン14をレール51に対して滑らかに着座させることができるため、前記のような異音や金属粉の発生を防止できるのである。
【符号の説明】
【0049】
10 スラットコンベア
13 スプロケット
14 チェーン
16 スラット
18 ピン
21 支持部材
23 カップ
100 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが一対のスプロケットに捲回されて対向する一対のチェーンと、前記一対のチェーンの間に掛け渡されて設けられる複数枚のスラットと、を備える、スラットコンベアと、
前記スラットコンベアが備えるスラットにおける外面上側に対して着脱可能に配設される、支持部材と、を具備し、
前記支持部材の上部にワークを載置した状態で、前記スラットコンベアを駆動させることにより、ワークを搬送する、
ことを特徴とする、搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材の下部には、係合部材が配設され、
前記スラットコンベアが備えるスラットの外面には、前記係合部材に対応する位置に被係合部材が配設され、
前記係合部材と、前記被係合部材とを、互いに係合させることにより、支持部材をスラットに対して配設する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記スラットコンベアにおける複数本の前記スラットで囲まれた空間の内側に、内側センサが配設され、
前記スラットコンベアが備えるスラットの内面に、内側センサを動作させるための内側ドグが配設される、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記スラットコンベアにおける複数本の前記スラットで囲まれた空間の外側に、外側センサが配設され、
前記スラットコンベアが備えるスラットの外面のうち、前記支持部材が配設される部分に、外側センサを動作させるための外側ドグが配設される、
ことを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記チェーンは、外面下側においてレールにガイドされ、
前記レールにおける、ワーク搬送方向の下流側端部には、チェーンと当接して回動するカムフロアが配設される、
ことを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の搬送装置と、自走可能な運搬車両と、を備える搬送システムであって、
前記支持部材は、前記運搬車両の上面に対して着脱可能に構成されるとともに、前記スラットコンベアの始端部で運搬車両からスラットコンベアに受け渡され、スラットコンベアの終端部でスラットコンベアから運搬車両に受け渡される、
ことを特徴とする、搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−116581(P2012−116581A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265599(P2010−265599)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】