説明

搬送装置及び検査装置

【課題】搬送中の搬送対象物に傷が付くことを抑制可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】シリンジ100を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置において、開閉可能な一対のチャック爪24、25を有するチャック機構19と、チャック機構19を所定の搬送経路に沿って移動させるホイール17とを備えた入口ホイール11と、シリンジ100を上方から吸着保持する吸着ヘッドと、吸着ヘッドを所定の搬送経路に沿って移動させるディスクとを備え、受渡区間にて入口ホイール11からシリンジ100を受け取るメインロータとを備え、一対のチャック爪24、25は、受渡区間において第2カム52により一対のチャック爪24、25と胴部101との間に全周に亘って隙間が生じ、かつフランジ部102を下方から支持する状態に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジやプリフォーム等のフランジ部を有する搬送対象物を搬送する搬送装置、及びその搬送装置を備えた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入口スターホイールからメインロータにプリフォームを供給し、メインロータにて搬送されているプリフォームを撮影してそのプリフォームの異常の有無を検査する検査装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−100119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、入口スターホイールからメインロータにプリフォームを渡す際に、ガイドレールで搬送中のプリフォームのフランジ部を支持してプリフォームの落下を防止する。この際、フランジ部がガイドレール上を滑るので、フランジ部に傷が付くおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、搬送中の搬送対象物に傷が付くことを抑制可能な搬送装置及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送装置は、円筒状の胴部(101)と、前記胴部から半径方向外側に延びるフランジ部(102)と、を有する搬送対象物(100)を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置(10)において、開閉可能な一対のチャック爪(24、25)を有するチャック機構(19)と、前記チャック機構を前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段(17)と、を備え、前記一対のチャック爪の間に前記胴部が挿入され、かつ前記一対のチャック爪にて前記フランジ部を下方から支持することにより前記チャック機構で前記搬送対象物を保持する第1搬送手段(11)と、前記搬送対象物を吸着保持する吸着ヘッド(60)と、前記吸着ヘッドを前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段(63)と、を備え、前記所定の搬送経路に設定された受渡区間(S1)にて前記第1搬送手段の前記チャック機構に保持されている搬送対象物を前記吸着ヘッドで上方から吸着保持して前記第1搬送手段から搬送対象物を受け取る第2搬送手段(12)と、前記受渡区間において、前記一対のチャック爪と前記胴部との間に全周に亘って隙間が生じ、かつ前記フランジ部を下方から支持する状態に前記一対のチャック爪が維持されるように前記チャック機構を操作する操作手段(52)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の搬送装置によれば、受渡区間において一対のチャック爪が胴部との間に全周に亘って隙間が生じ、かつフランジ部を下方から支持する状態に維持されるので、この区間では搬送対象物を胴部とチャック爪との間に生じた隙間分、一対のチャック爪の上面に沿って移動させることができる。そのため、チャック機構に保持されている搬送対象物を吸着ヘッドで吸着保持する際に吸着ヘッドと搬送対象物との中心同士を合わせる、いわゆるセンタリングを容易に行うことができる。また、このように搬送対象物を保持することにより、受渡区間では搬送対象物を上方に引き抜くことができる。そのため、チャック機構に保持されている搬送対象物を吸着ヘッドで直接吸着保持することができる。この場合、搬送手段間に落下防止用のガイドを設ける必要がないので、搬送中に搬送対象物に傷が付くことを抑制できる。
【0008】
本発明の搬送装置の一形態において、前記チャック機構は、前記一対のチャック爪を閉じ側に付勢するばね手段(34)をさらに備え、前記一対のチャック爪の一方には、前記ばね手段に抗して前記一対のチャック爪を開き側に駆動するための操作部材(41)が設けられ、前記操作手段は、前記操作部材と接して前記一対のチャック爪が開くように前記操作部材を操作するカム(52)であってもよい。この場合、操作部材が操作されない限りは一対のチャック爪で搬送対象物を保持することができる。そのため、搬送中にチャック爪が誤って開いて搬送対象物が落下することを防止できる。また、このようにカムでチャック爪を開けることにより、簡素な構造でチャック爪の開閉操作を行うことができる。
【0009】
本発明の搬送装置は、品質管理が厳しい搬送対象物の搬送に適している。そのため、例えば、前記搬送対象物はシリンジ(100)であってもよい。
【0010】
本発明の検査装置(1)は、上述した搬送装置(10)と、前記搬送装置にて搬送されている搬送対象物を撮像する撮像手段(2)と、を備え、前記撮像手段が撮像した搬送対象物の画像に基づいて所定の検査を実施することにより、上述した課題を解決する。
【0011】
本発明の検査装置によれば、上述した搬送装置にて搬送対象物を搬送するので、搬送中に搬送対象物に傷が付くことを抑制できる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明の搬送装置によれば、チャック機構に保持されている搬送対象物を吸着ヘッドで直接吸着保持することができる。そのため、搬送中に搬送対象物に傷が付くことを抑制できる。本発明の検査装置は、本発明の搬送装置を備えているので、同様に搬送中に搬送対象物に傷が付くことを抑制できる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態に係る搬送装置が組み込まれた検査装置を示す図。
【図2】搬送装置で搬送されるシリンジを示す図。
【図3】入口ホイールの断面を示す図。
【図4】入口ホイールの上面の一部を示す図。
【図5】入口ホイールのチャック機構の平面図。
【図6】図5のVI−VI線におけるチャック機構の断面を示す図。
【図7】図3のVII−VII線における入口ホイールの断面を示す図。
【図8】図3の矢印VIII方向から見た入口ホイールを示す図。
【図9】メインロータの側面図。
【図10】メインロータの吸着ヘッドの軸線方向断面を示す図。
【図11】吸引路に吸引力が作用している状態の吸着ヘッドを示す図。
【図12】第2カムにて開き側に操作されている途中のチャック爪を示す図。
【図13】本発明の搬送装置に設けられるチャック爪の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一形態に係る搬送装置が組み込まれた検査装置を示している。この検査装置1は、図2に一例を示した搬送対象物としてのシリンジ100に対して検査を行うものである。シリンジ100は、医療等に使用される周知のものであり、円筒状の胴部101を備えている。胴部101の一端101aは開口しており、その一端101aには半径方向外側に延びるフランジ部102が設けられている。一方、胴部101の他端101bには注射針等が装着されるノズル103が設けられている。
【0016】
検査装置1は、このシリンジ100を所定経路に沿って搬送しつつその搬送中のシリンジ100に対して種々の検査を行うものである。検査としては、例えばシリンジ100の外観の異常の有無を検査する外観検査が行われる。図1に示したように検査装置1は、シリンジ100を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送装置10と、搬送装置10にて搬送されているシリンジ100を撮像する撮像手段としての複数のカメラ2と、カメラ2で撮像し易いようにシリンジ100を照明する複数の照明装置3とを備えている。各カメラ2は、ミラー2aを介してシリンジ100の互いに異なる部分を撮像するように設けられている。この検査装置1で行われる検査は、複数のカメラ2でシリンジ100を撮像し、得られた画像に基づいてシリンジ100の外観の異常の有無を診断する周知の検査である。従って、検査のための機構の詳細は説明を省略する。なお、検査が終了したシリンジ100は、搬送装置10の下流に設けられている不図示の搬出コンベアにて次の工程に送られる。
【0017】
図1、及び図3〜図12を参照して搬送装置10について説明する。図1に示したように搬送装置10は、搬送方向上流側から順に、第1搬送手段としての入口ホイール11、第2搬送手段としてのメインロータ12、及び出口ホイール13を備えている。これら入口ホイール11、メインロータ12、及び出口ホイール13は、それぞれ搬送装置10のベースBに設置されている。出口ホイール13は、軸線CL3回りを回転するスターホイール13aの外周に設けられた複数のポケット(不図示)にシリンジ100を取り込み、そのシリンジ100をチャック装置13bで把持して搬送する周知のスターホイール式搬送装置である。
【0018】
図3は入口ホイール11の断面図を示し、図4は入口ホイール11の上面の一部を示している。図3に示したように入口ホイール11は、検査装置1のベースBに回転不能に固定された架台14と、架台14にベアリング15を介して軸線CL1回りに回転可能に支持される回転軸16とを備えている。回転軸16の上端には円板状のホイール17が、下端には不図示のモータから回転運動が伝達されるギア18がそれぞれ設けられている。これらホイール17及びギア18は、回転軸16と同軸に、かつ一体に回転するように設けられている。図1及び図4に示したようにホイール17の上面には、複数のチャック機構19が設けられている。これらチャック機構19は、ホイール17の外周に周方向に所定間隔で並ぶように配置されている。そして、ホイール17が軸線CL1回りに回転することによりチャック機構19が旋回経路上を移動する。そのため、ホイール17が本発明の移動手段に対応する。
【0019】
図5及び図6を参照してチャック機構19を説明する。図5はチャック機構19の平面図を示し、図6は図5のVI−VI線におけるチャック機構19の断面を示している。これらの図に示すように、チャック機構19は、第1アーム20と、第2アーム21とを備えている。第1アーム20及び第2アーム21は、アーム本体22、23の先端部にチャック爪24、25をボルト26a、27a及びナット26b、27bにて固定した組み立て部品として構成されている。チャック爪24、25のそれぞれの先端部には、シリンジ100の胴部101の外周の一方の側及び他方の側とそれぞれ噛み合い可能な半円弧状の凹部24a、25aが設けられている。
【0020】
第1アーム20は第1回転軸28の軸線の回りに回転可能であり、第2アーム21は第2回転軸29の軸線の回りに回転可能である。これらの回転軸28、29の間の中間点を通過するチャック中心線CLcに対してチャック爪24、25は回転軸28、29の並び方向に隣り合うようにして設けられている。そして、アーム20、21がチャック中心線CLcを挟んで対称的に回転することにより、チャック爪24、25が開閉して胴部101の把持及び胴部101の解放が切り替えられる。図5では、チャック爪24、25が閉じているときのアーム20、21を実線で、開いているときのアーム20、21を想像線でそれぞれ示している。チャック爪24、25は、それらの先端の間の隙間が胴部101の直径よりも小さくなる状態まで閉じることが可能なように設けられている。以下、この状態を全閉状態と称する。また、チャック爪24、25は、それらの先端の隙間が胴部101の直径より若干大きくなる状態まで開けることが可能なように設けられている。以下、この状態を全開状態と称する。
【0021】
図6に示すように、第1回転軸28は、ホイール17に対して転がり軸受30を介して回転自在に取り付けられている。第1回転軸28の上部にはアーム取付軸28aが設けられ、そのアーム取付軸28aと第1アーム20のアーム本体22とは第1回転軸28上のねじ軸28bとナット31とを利用して一体回転可能に連結されている。第1回転軸28の外周にはばねホルダ32が相対回転可能に嵌め合わされ、そのばねホルダ32はホイール17の下面にボルト33を利用して固定されている。ばねホルダ32の外周にはばね手段としての捩りコイルばね34が装着されている。その捩りコイルばね34の一端部34aは、ばねホルダ32に固定されたピン35に掛け止めされている。
【0022】
第1回転軸28の下端にはねじ軸28cが設けられ、そのねじ軸28cにはばね受け36がナット37を利用して固定されている。ばね受け36にはピン38が固定され、そのピン38に捩りコイルばね34の他端部34bが掛け止めされている。捩りコイルばね34は、ピン35、38間にて幾らか捩られた状態でばねホルダ32の外周に装着されている。捩りコイルばね34の捩り変形に対する復元力により、第1アーム20はそのチャック爪24が閉じる方向に駆動される。なお、図6では第1回転軸28のホイール17に対する取付構造を示しているが、第2回転軸29も同様の構造でホイール17に対して回転自在に取り付けられ、かつ第2回転軸29の外周には捩りコイルばね34が幾らか捩られた状態で装着されている。ホイール17を基準としたとき、回転軸28、29の軸線方向に関してアーム20、21のチャック爪24、25は同一高さに配置されている。
【0023】
捩りコイルばね34の捩り変形に対する復元力により、第2アーム21もそのチャック爪25が閉じる方向に駆動される。図5に示したように、アーム20、21間には、ローラ状のストッパ39が設けられている。ストッパ39はホイール17にボルト40を利用して取り付けられている。捩りコイルばね34の力でアーム20、21がストッパ39に突き当たることにより、チャック爪24、25が閉じる方向へのアーム20、21の回転範囲が制限される。なお、ストッパ39はアーム本体22、23の溝22a、23aにそれぞれ入り込んでいる。
【0024】
図5、6から明らかなように、第1アーム20のアーム本体22には、第1回転軸28を越えて後方に延びる操作部材としての操作レバー(操作部)41が一体に形成されている。操作レバー41は、第1回転軸28の位置からチャック中心線CLcの方向に幾らか延び、さらに、回転軸28、29の並び方向に関しては第2回転軸29側に折れ曲がった形状を有している。操作レバー41の後端部(図5及図6の右端部)は、チャック中心線CLcを越えて第2回転軸29側の領域まで延ばされており、その後端部の下面側には、カラー42及びカムフォロア43がボルト44及びナット45を利用して取り付けられている。カムフォロア43は、アーム20、21をそれらのチャック爪24、25が開く方向に回転させる駆動力の入力部として機能する部品であり、その外周にはボルト44の軸線の回りに回転自在なローラ部43aが設けられている。なお、ボルト44及びカラー42は、ホイール17に設けられた貫通孔17aを貫いてホイール17の下面側に延ばされている。貫通孔17aの内径は、操作レバー41の第1回転軸28を中心とした回転動作を阻害しないように、カラー42の外径よりも十分に大きい。
【0025】
操作レバー41の中間、すなわち、カムフォロア43の取付位置と第1回転軸28の取付位置との間には、転がり軸受46がボルト47及びナット48を利用して取り付けられている。その転がり軸受46の外周には、伝達部としての伝達ローラ49が設けられている。伝達ローラ49は転がり軸受46を介して操作レバー41上に支持されることにより、ボルト47の軸線の回りに回転自在である。図5から明らかなように、伝達ローラ49の回転中心線(すなわち、ボルト47の軸線)はチャック中心線CLc上に位置している。伝達ローラ49は、回転軸28、29の後方であって、回転軸28、29の並び方向に関してはそれらの回転軸28、29間に位置していればよい。
【0026】
一方、第2アーム21には、第2回転軸29の後方からチャック中心線CLc側に折れ曲がるようにして延びる当接部としての突起部50が設けられている。その突起部50のローラ49と対向する端面にはカム面50aが設けられている。第2アーム21が第2回転軸29の回りに図5の反時計方向に駆動されることにより、カム面50aはばね力で伝達ローラ49に押し付けられている。
【0027】
図3に戻って入口ホイール11の説明を続ける。この図に示したようにホイール17の下方には、第1カム51及び第2カム52が設けられている。図7は、図3のVII−VII線における入口ホイール11の断面を示している。また、図8は、図3の矢印VIII方向から見た入口ホイール11を示している。これらのカム51、52は、移動不能なように架台14に固定されている。第1カム51は、ホイール17の旋回経路においてチャック機構19にシリンジ100を把持させる区間に対応して設けられている。一方、第2カム52は、ホイール17の旋回経路において入口ホイール11からメインロータ12にシリンジ100が渡される区間に対応して設けられている。すなわち、これらカム51、52は、ホイール17の旋回経路においてチャック爪24、25が開かれるべき区間に対応して設けられている。
【0028】
第1カム51はカム面53を備え、第2カム52はカム面54を備えている。チャック爪24、25は、カムフォロア43がこれらカム面53、54に沿って移動することにより開かれる。具体的には、これらのカム面53、54にカムフォロア43が接してホイール17の半径方向外周側に押し出されると、操作レバー41に駆動力が入力されて操作レバー41が図5の実線位置から想像線の位置へと駆動される。それにより、第1アーム20は第1回転軸28の回りに時計方向に回転する。また、操作レバー41の動作に連係して伝達ローラ49が第2アーム21の突起部50を図5の実線位置から想像線の位置へと押し出す。これにより、第2アーム21は第2回転軸29の回りに反時計方向に回転する。その結果、チャック爪24、25が開かれる。カムフォロア43がカム面53、54から離れると、捩りコイルばね34のばね力で第1アーム20及び第2アーム21がストッパ39に突き当たる位置に復帰し、チャック爪24、25が閉じられる。この際、チャック爪24、25間に胴部101がある場合には、捩りコイルばね34のばね力で胴部101がチャック爪24、25間に挟持される。
【0029】
図7に示したように各カム面53、54は、各カム51、52の両端51a、52aから中央51b、52bに向かって漸次径方向外側に膨らんでいる。これらカム面53、54は、カムフォロア43が中央51b、52bに到達したときにチャック爪24、25が全開状態になるように形成されている。また、これらカム面53、54は、それらの端51a、52aにカムフォロア43が接した時点からチャック爪24、25が開くように形成されている。そして、これらカム面53、54のうち端51a、52aから中央51b、52bまで部分は、チャック爪24、25がそれぞれの凹部24a、25aと胴部101との間に全周に亘って隙間が生じる状態に維持されるように形成されている。チャック爪24、25は、カムフォロア43がカム面53、54に接すると開き始め、その後カムフォロア43が中央51b、52bに到達するまで開き側に徐々に駆動される。そして、カムフォロア43が中央51b、52bに到達すると全開状態になる。その後、カムフォロア43が中央51b、52bを通過すると、チャック爪24、25は徐々に閉じられる。
【0030】
第1カム51は、入口ホイール11にシリンジ100が供給される供給位置P1(図1参照)においてチャック爪24、25が全開状態になるように架台14に固定されている。第2カム52は、入口ホイール11からメインロータ12にシリンジを渡す第1受渡位置P2(図1参照)においてチャック爪24、25が全開状態になるように架台14に固定されている。すなわち、各カム51、52は、それらの中央51b、52bが供給位置P1又は第1受渡位置P2に位置するようにそれぞれ固定されている。
【0031】
次に図9を参照してメインロータ12について説明する。図9は、メインロータ12の側面図である。メインロータ12は、吸着ヘッド60でシリンジ100を吸引保持し、この吸着ヘッド60で保持したシリンジ100を自転させつつ所定の搬送経路に沿って搬送するものである。この図に示したようにメインロータ12は、ベースBに固定される架台61と、架台61に軸線CL2回りに回転自在に支持される回転軸62と、回転軸62と同軸に設けられて回転軸62と一体に回転するディスク63とを備えている。回転軸62の下端には、回転軸62と同軸、かつ一体回転するようにギア64が設けられている。ギア64には、メインロータ12が入口ホイール11と同期して動作するように不図示のモータから回転運動が伝達される。
【0032】
また、メインロータ12は、吸着ヘッド60によるシリンジ100の保持及びその保持の解除を切り替えるための切替弁65を備えている。切替弁65は、吸引源としての真空ポンプ(不図示)と吸着ヘッド60との間の空気吸引経路の途中に設けられ、メインロータ12でシリンジ100を搬送すべき区間において吸着ヘッド60に吸引力が作用するように真空ポンプと吸着ヘッド60との接続及び遮断を切り替える周知のものである。そのため、詳細な説明は省略する。
【0033】
ディスク63には、複数の吸着ヘッド60が設けられている、各吸着ヘッド60は、自転可能なようにディスク63に支持されている。図1に示したように吸着ヘッド60は、ディスク63の外周に所定の間隔で並ぶように配置されている。
【0034】
図10を参照して吸着ヘッド60について詳しく説明する。なお、図10は吸着ヘッド60の軸線方向断面図である。この図に示したように吸着ヘッド60は、ヘッド本体66と、第1可動体としてのピストン部67と、第2可動体としての突出部68と、ばね部材としての複数のコイルばね69とを備えている。ヘッド本体66、ピストン部67、及び突出部68は、同軸に配置されている。この図から明らかなようにヘッド本体66の下面66aがシリンジ100の一端101aと対向する吸着ヘッド60の下面60aとなる。ヘッド本体66は、軸線CLh回りに回転可能なようにディスク63に支持される回転軸70と、回転軸70の下端に回転軸70と一体回転するように取り付けられるケース71とを備えている。図9に示したように回転軸70には、回転軸70と一体に回転するプーリ60cが設けられている。プーリ60cはディスク63の回転経路の一部に設けられたベルト4(図1参照)と噛み合い、そのベルト4の走行に伴って回転駆動される。そのため、これによりヘッド本体66が回転駆動される。
【0035】
図10に戻り、ケース71は、ベース72と、円筒形状のケース本体73と、蓋部74と、ガイド筒部75と、フランジ部76と、カバー部77とを備えている。この図に示したようにベース72、ケース本体73、及び蓋部74のそれぞれの外径はほぼ同じである。ベース72は、回転軸70に同軸的、かつ一体に回転するように取り付けられている。ベース72は、回転軸70が挿入される円筒状の取付部72aと、取付部72aから径方向外側に突出する円盤状の円板部72bと、円板部72bよりも下方に突出する円筒状のピストン受け部72cとを備えている。ピストン受け部72cには、その内側と外側とを連通する連通孔72dが設けられている。ケース本体73はベース72の下面に取り付けられ、蓋部74はケース本体73の下面に重ね合わされている。蓋部74の中心部にはピストン部67が挿入される貫通孔74aが設けられている。また、蓋部74には、蓋部74がケース本体73に同軸に取り付けられるようにケース本体73の内側に嵌る嵌め込み部74bが設けられている。そして、ベース72、ケース本体73、及び蓋部74は、互いに同軸的に配置されてボルト78により一体的に接合されている。
【0036】
ガイド筒部75は、蓋部74の下面に同軸に設けられ、ボルト79により蓋部74に一体に接合されている。ガイド筒部75の外周には径方向外側に突出する突起部75aが設けられている。フランジ部76は、大径部76aと、その大径部76aより下方に突出する小径部76bとを備えている。また、フランジ部76の中心には、上下に貫通して突出部68が挿入される中心孔76cが設けられている。カバー部77には、その下面の中央に孔77aが設けられている。フランジ部76は、その孔77aに小径部76bが嵌るようにカバー部77に内側から嵌め込まれている。ケース71には、蓋部74を貫通してケース本体73に達するばね穴71cが設けられている。ばね穴71cには、コイルばね95が上下方向に圧縮された状態で挿入されている。コイルばね95の下方には、上端がコイルばね95に接し、下端がフランジ部76に接する押し付け部材96が設けられている。そのため、コイルばね95の復元力によってフランジ部76をカバー部77に押し付けることができる。小径部76bの高さは、フランジ部76がカバー部77に嵌め込まれたときにフランジ部76の下面とカバー部77の下面とが略面一になるように設定されている。カバー部77の上部にはガイド筒部75の突起部75aと係合する爪部77bが設けられている。カバー部77は、その内部にフランジ部76を収容しつつ爪部77bが突起部75aと係合されることによりガイド筒部75に同軸的、かつ一体に取り付けられている。
【0037】
ケース本体73の内部には、ピストン部67が収容される第1収容室71aが設けられている。第1収容室71aの上端はベース72で、下端は蓋部74でそれぞれ覆われている。これにより、ベース72は上部隔壁として、ケース本体73は周壁として、蓋部74は下部隔壁としてそれぞれ機能する。また、ガイド筒部75の内部には、突出部68が収容される第2収容室71bが設けられている。第2収容室71bの上端は蓋部74で、下端はフランジ部76でそれぞれ覆われている。
【0038】
第1収容室71aには、ピストン部67が上下方向へ移動可能な状態で収容されている。ピストン部67は、円筒形状の軸部67aと、その軸部67aから径方向外側に延びる円盤状の仕切り部67bとを備えている。仕切り部67bは、軸部67aに同軸に設けられている。仕切り部67bには、その外周から上方に延びる円筒形状の摺動部67cが設けられている。ピストン67は、この摺動部67cがケース本体73の内面に上下動自在に嵌め合わされることにより、第1収容室71a内に移動可能に収容される。これにより第1収容室71a内には、仕切り部67bとベース72との間に大気開放室80が、仕切り部67bと蓋部74との間に第1減圧室81が、それぞれ形成される。ベース72の円板部72bには、大気開放室80とヘッド本体66の外部とを連通する連通孔72eが設けられている。また、ケース本体73には、ケース本体73の下端の一部がベース72と当接せず、その間に隙間ができるように切り欠き部73aが設けられている。そのため、この切り欠き部73aにて形成される隙間によっても大気開放室80とヘッド本体66の外部とを連通させることができる。
【0039】
軸部67aは、仕切り部67bよりも上方に設けられた案内軸67dと、仕切り部67bよりも下方に設けられた取付軸67eとを備えている。回転軸70には、その下面に開口する凹部70aが設けられている。案内軸67dは、その凹部70aに挿入されている。それにより、案内軸67dの上端部と凹部70aの天井面70bとの間に第2減圧室82が形成されている。案内軸67dの外周面と凹部70aの内周面との間には、スリーブ83が設けられている。スリーブ83は、凹部70aの内周面に圧入等の嵌め合い手段を用いて固定されている。スリーブ83と案内軸67dとの間には、案内軸67dがスリーブ83に沿って円滑に摺動できるように微小な隙間が存在する。その隙間を介して第2減圧室82に空気が漏れ込むが、この漏れ込み量は第2減圧室82の減圧に支障がない程度に制限される。案内軸67dには、仕切り部67bとピストン受け部72cとの間に介在してピストン部67がベース72に衝突することを防止する緩衝リング84が設けられている。
【0040】
取付軸67eは、その下端が第2収容室71b内に突出するように蓋部74の貫通孔74aに挿入されている。取付軸67eの外周面と貫通孔74aの内周面との間には、スリーブ85が設けられている。スリーブ85は、貫通孔74aの内周面に圧入等の嵌め合い手段を用いて固定されている。スリーブ85と取付軸67eとの間には、取付軸67eがスリーブ85に沿って円滑に摺動できるように微小な隙間が存在する。その隙間を介して第1減圧室81に空気が漏れ込むが、この漏れ込み量は第1減圧室81の減圧に支障がない程度に制限される。
【0041】
第2収容室71bには、突出部68が上下方向へ移動可能な状態で収容されている。この突出部68は、ピストン部67の取付軸67eと同軸に連結されている。突出部68は、円柱状の胴部68aと、胴部68aから径方向外側に突出する円盤状のつば部68bとを備えている。そして、突出部68は、つば部68bがガイド筒部75の内面に上下動自在に嵌め合わされることにより、第2収容室71b内に移動可能に収容されている。胴部68aは、フランジ部76の中心孔76cに挿入されている。胴部68aの外径は、胴部68aが中心孔76c内を上下に移動できるように中心孔76cの内径よりも若干小さい。胴部68aの下端には、一端101aからシリンジ100内に挿入されるコーン部68cが設けられている。コーン部68cは、先端に向かうに従って外径が漸次減少する円錐状に形成されている。コーン部68cの外面は、光を反射する色、例えば白色に塗装されている。
【0042】
胴部68aには、その上面側に開口する凹部68dが設けられている。凹部68dは、大径部68eと小径部68fとを備えている。大径部68eは、その内径が貫通孔74aを形成する蓋部74の筒部74cの外径より大きくなるように設けられている。小径部68fは、その内径が取付軸67eの外径と同じ値になるように設けられている。ピストン部67の取付軸67eは、小径部68fに嵌め込まれている。胴部68aの下面まで貫通してコーン部68cの中央に開口する吸引孔86が設けられている。そして、この吸引孔86が、吸着ヘッド60の吸引口60bとして機能する。胴部68aの外周面のうち、つば部68bが突出する部分の上部には、径方向内側に凹む溝87が設けられている。そして、この溝87にはシール部材としてのOリング88が取り付けられている。
【0043】
また、第2収容室71bには、複数のコイルばね69が収容されている。これらコイルばね69の上端部は、突出部68のつば部68bに設けられたばね受け穴68gに嵌め合わされている。各コイルばね69は、フランジ部76によって上下方向に圧縮された状態で第2収容室71b内に保持されている。そのため、各コイルばね69の圧縮に対する復元力により突出部68及びピストン部67には上方へ押し上げる力が作用している。この際、ピストン部67及び突出部68は、ピストン部67の仕切り部67bが緩衝リング84を介してベース72のピストン受け部72cに当たるまで上方に移動する。そして、ピストン部67及び突出部68がこの位置に移動することにより、突出部68のコーン部68cがヘッド本体66内に格納される。以降、このように突出部68のコーン部68cがヘッド本体66内に格納される位置を突出部68の待機位置と称することがある。各ばね受け穴68gの底部には、つば部68bを上下に貫通する連絡孔68hが設けられている。カバー部77とガイド筒部75との間には、第2収容室71bとヘッド本体66の外部とを連通する不図示の連通孔が形成されている。
【0044】
吸引口60bから空気を吸引するため、吸着ヘッド60には吸引路89が設けられている。吸引路89は、回転軸70の内部をその軸線CLhに沿って貫通する第1通路90と、ピストン部67の内部を軸線CLhに沿って貫通する第2通路91とを備えている。第1通路90と第2通路91との間には、第2減圧室82が位置する。それにより、第2減圧室82も吸引路89の一部として利用されている。また、第2通路91は、突出部68の吸引孔86と接続されている。そのため、この吸引孔86も吸引路89の一部として利用される。これにより、吸引路89は、ヘッド本体66の上面側から第2減圧室82を経由して吸引口60bに至るように取付軸67eの軸線CLhに沿って延びている。ピストン部67の取付軸67eには、軸線CLhと直交する方向に貫通する複数の接続路92が設けられている。それらの接続路92を介して第2通路91と第1減圧室81とが接続されている。そのため、吸引口60b、第1減圧室81、及び第2減圧室82は、共通の吸引路89と接続されている。図9に示したように吸着ヘッド20の上端には第1通路90の上端と接続される継ぎ手93が取り付けられ、吸引路89はこの継ぎ手93に接続された配管チューブ94を介して切替弁65と接続されている。従って、切替弁65を介して不図示の真空ポンプと吸引路89とを接続することにより、吸引口60b、第1減圧室81、及び第2減圧室82のそれぞれから空気が吸引される。これにより、第1減圧室81及び第2減圧室82の内圧が低下する。
【0045】
図11に示したように吸引路89から空気が吸引したとき、第2減圧室82の圧力低下に伴ってピストン部67に上向きの吸引力F1が作用する。一方、第1減圧室81の圧力低下に伴ってピストン部67に下向きの吸引力F2が作用する。各減圧室81、82は共通の吸引路89に接続されているため、これらの減圧室81、82の圧力は互いに等しい。そのため、ピストン部67に作用する吸引力の大小関係は、第1減圧室81の軸線CLhと直交する断面の面積と、第2減圧室82の軸線CLhと直交する断面の面積との大小関係によって定まる。また、ピストン部67には、突出部68を介してコイルばね69の力が上方に作用している。さらに、ピストン部67の仕切り部67bより上部にはヘッド本体66の外部と連通している大気開放室80が設けられている。そのため、ピストン部67には大気圧による押し下げ力F4が作用する。従って、上向きの力の合力(F1+F3)よりも下向きの力の合力(F2+F4)が大きくなるように第2減圧室82の断面積を第1減圧室81の断面積よりも小さく制限すれば、減圧に伴ってピストン部67には下向きの駆動力が作用することになる。このように断面積を設定することで、吸引路89からの空気の吸引に伴ってピストン部67を下降させることができる。
【0046】
図11は、吸引路89に吸引力を作用させてピストン部67を下降させた状態の吸着ヘッド60を示している。この図に示したように、ピストン部67を下方に移動させることにより、突出部68のコーン部68cをヘッド本体66の下面66aよりも下方に突出させることができる。そのため、このコーン部68cをシリンジ100の内部に挿入し、コーン部68cの先端に設けられている吸引口60bから吸引路89を介してシリンジ100内の空気を吸引することができる。これによりシリンジ100内の圧力を低下させ、吸着ヘッド60にシリンジ100を吸着保持させることができる。以降、突出部68が下方に移動し、コーン部68cがヘッド本体66の下面66aよりも下方に突出する位置を突出部68の突出位置と称することがある。
【0047】
このメインロータ12においてディスク63は、吸着ヘッド60の下面60bが入口ホイール11のチャック機構19に支持されているシリンジ100の一端101aに接触せず、かつ突出部68を突出位置に移動させたときにコーン部68cがそのシリンジ100内に挿入される所定高さで吸着ヘッド60が移動するように各吸着ヘッド60を支持している。そして、ディスク63が回転軸62と一体に回転することにより、入口ホイール11からシリンジ100を受け取る第1受渡位置P2(図1参照)及び出口ホイール13にシリンジ100を送り出す第2受渡位置P3(図1参照)が含まれる所定の搬送経路に沿って吸着ヘッド60を移動させる。そのため、ディスク63が本発明の移動手段に相当する。
【0048】
次に搬送装置10によるシリンジ100の搬送方法について説明する。入口ホイール11には、供給位置P1において不図示の供給コンベアからシリンジ100が供給される。上述したようにこの供給位置P1では第1カム51によってチャック爪24、25が全開状態に切り替えられるので、このチャック爪24、25の間にシリンジ100が供給される。この際、図3に示したようにシリンジ100は、一端101aを上にした状態で、かつフランジ部102が下方からチャック爪24、25で支持されるようにチャック爪24、25間に供給される。この状態でホイール17が回転してカムフォロア43が第1カム51から離れるとチャック爪24、25が閉じてチャック機構19にシリンジ100が保持される。
【0049】
その後、ホイール17が回転してチャック機構19のカムフォロア43が第2カム52に接すると、チャック爪24、25が開き側に駆動される。そして、チャック爪24、25は、カムフォロア43がカム面54の端52aから中央52bに到達するまでの間、図12に示したようにそれぞれの凹部24a、25aと胴部101との間に全周に亘って隙間が生じる状態に維持される。なお、この際においてもシリンジ100のフランジ部102は、チャック爪24、25によって下方から支持されているので、シリンジ100はチャック機構19に保持される。このようにチャック爪24、25を開いた状態に維持することにより第2カム52が本発明の操作手段として機能する。
【0050】
メインロータ12の吸着ヘッド60は、チャック機構19の旋回経路のうち第1受渡位置P2を中心とした所定の受渡区間S1(図4参照)内においてチャック機構19に保持されているシリンジ100の上方を通過する。この受渡区間S1には、チャック爪24、25が第2カム52で開けられている区間の一部が設定される。メインロータ12の切替弁65は、吸着ヘッド60がこの受渡区間S1を通過する際に不図示の真空ポンプと吸引路89とを接続する。これにより、吸着ヘッド60の下面60aから突出部68が突出してそのコーン部68cがシリンジ100内に挿入される。受渡区間S1では、チャック爪24、25はそれぞれの凹部24a、25bと胴部101との間に隙間が生じるように開いているので、シリンジ100はチャック爪24、25の上面に沿って移動することができる。そのため、このようにコーン部68cがシリンジ100内に挿入されるとそのコーン部68cによって吸着ヘッド60とシリンジ100とのセンタリングが行われる。また、吸着ヘッド60の吸引口60bからは空気が吸引されているので、シリンジ100内の圧力が低下し、シリンジ100が吸着ヘッド60に引き寄せられる。そして、これにより吸着ヘッド60にシリンジ100が吸着保持され、シリンジ100が入口ホイール11からメインロータ12に受け渡される。
【0051】
その後、シリンジ100は、メインロータ12によって第1受渡位置P2から第2受渡位置P3まで搬送される。シリンジ100の撮像は、この搬送中に行われる。第2受渡位置P3では、メインロータ12から出口ロータ13にシリンジ100が受け渡される。第2受渡位置P3では、切替弁65が真空ポンプと吸引路89との接続を遮断する。これにより吸引路89への吸引力の作用が止められるので、シリンジ100内の圧力が大気圧に近付き吸着ヘッド60によるシリンジ100の吸着保持が解除される。出口ロータ13は、この吸着保持が解除されたシリンジ100をポケットにて受け取り、チャック装置13bにて把持する。その後、シリンジ100は、搬出位置P4において出口ホイール13から不図示の搬出コンベアに渡される。
【0052】
以上に説明したように、この検査装置1によれば、チャック爪24、25は受渡区間S1においてそれぞれの凹部24a、25aとシリンジ100の胴部101との間に隙間が生じるように開けられる。そのため、チャック爪24、25にて支持されたシリンジ100をメインロータ12の吸着ヘッド60で直接吸着保持することができる。そのため、搬送装置10の構造を簡略化することができる。また、このようにシリンジ100を吸着ヘッド60で直接吸着保持できるので、入口ホイール11とメインロータ12との間にフランジ部102を下方から支持するためのガイドレール等を設ける必要がない。従って、搬送中にシリンジ100のフランジ部102に傷が付くことを十分に抑制できる。
【0053】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明の搬送装置の搬送対象物はシリンジに限定されない。例えば、PETボトルの予備成型品であるプリフォームなど、円筒状の胴部及びその胴部から半径方向外側に延びるフランジを有する種々の物品を本発明の搬送装置で搬送してよい。
【0054】
また、本発明の搬送装置は、検査装置以外の装置に組み込まれてもよい。例えば、シリンジに対して殺菌処理などの複数の処理を行うための装置に組み込んでもよい。
【0055】
チャック爪を開閉操作する機構はカム機構に限定されない。例えば、エアシリンダや電動アクチュエータ等を用いてチャック爪を開閉操作してもよい。
【0056】
本発明の搬送装置に設けられるチャック爪24、25は、図13に示したように全閉状態にした場合に凹部24a、25aが形成する隙間の直径D1がシリンジ100の胴部101の直径D2より大きいものでもよい。この場合、チャック爪24、25が全閉状態であっても各凹部24a、25aとシリンジ100の胴部101との間に全周に亘って隙間ができる。そのため、受渡区間ではチャック爪24、25を少し開くだけでシリンジ100の移動可能な範囲を広くすることができる。これにより、より速やかにシリンジ100と吸着ヘッド60とのセンタリングを行うことができる。また、フランジ部102の下面のうちチャック爪24、25と接触する部分を減らすことができるので、搬送中にシリンジ100に傷が付くことをさらに抑制できる。
【符号の説明】
【0057】
1 検査装置
2 カメラ(撮像手段)
10 搬送装置
11 入口ホイール(第1搬送手段)
12 メインロータ(第2搬送手段)
17 ホイール(移動手段)
19 チャック機構
24 チャック爪
25 チャック爪
34 捩りコイルばね(ばね手段)
41 操作レバー(操作部材)
52 第2カム(操作手段)
60 吸着ヘッド
63 ディスク(移動手段)
100 シリンジ(搬送対象物)
101 胴部
102 フランジ部
S1 受渡区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴部と、前記胴部から半径方向外側に延びるフランジ部と、を有する搬送対象物を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置において、
開閉可能な一対のチャック爪を有するチャック機構と、前記チャック機構を前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段と、を備え、前記一対のチャック爪の間に前記胴部が挿入され、かつ前記一対のチャック爪にて前記フランジ部を下方から支持することにより前記チャック機構で前記搬送対象物を保持する第1搬送手段と、
前記搬送対象物を吸着保持する吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドを前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段と、を備え、前記所定の搬送経路に設定された受渡区間にて前記第1搬送手段の前記チャック機構に保持されている搬送対象物を前記吸着ヘッドで上方から吸着保持して前記第1搬送手段から搬送対象物を受け取る第2搬送手段と、
前記受渡区間において、前記一対のチャック爪と前記胴部との間に全周に亘って隙間が生じ、かつ前記フランジ部を下方から支持する状態に前記一対のチャック爪が維持されるように前記チャック機構を操作する操作手段と、を備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記チャック機構は、前記一対のチャック爪を閉じ側に付勢するばね手段をさらに備え、
前記一対のチャック爪の一方には、前記ばね手段に抗して前記一対のチャック爪を開き側に駆動するための操作部材が設けられ、
前記操作手段は、前記操作部材と接して前記一対のチャック爪が開くように前記操作部材を操作するカムであることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送対象物はシリンジであることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送装置と、前記搬送装置にて搬送されている搬送対象物を撮像する撮像手段と、を備え、前記撮像手段が撮像した搬送対象物の画像に基づいて所定の検査を実施することを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−37616(P2011−37616A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189076(P2009−189076)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】