説明

搬送装置用フリクションローラ

【課題】支持部材へのフランジの形成やローレット加工を不要としながら、支持部材に対する弾性ローラの滑りを効果的に抑制する。
【解決手段】非自走式キャリアの被駆動面又は自走式キャリアが走行するレールに外周面が圧接される円環状の弾性ローラ2及び弾性ローラ2に内嵌される支持部材3を備え、支持部材3を弾性ローラ2が着脱可能な分割構造としてなる搬送装置用フリクションローラ1であって、弾性ローラ2の内周面を、回転軸方向中間部から側端面に向かって径方向外側に広がるように傾斜させ、これら傾斜内周面2C,2Cのなす角度を略直角又は鋭角とするとともに、支持部材3の外周面を弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cに対して面同士が当接する傾斜外周面6A,6Aとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦駆動式トロリコンベア等の搬送装置に使用されるフリクションローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送装置用フリクションローラとして、治具パレットを搬送駆動するためのフリクションローラにおいて、円環状の弾性ローラ(弾性リング)の内周面と前記弾性ローラを支持する支持部材(支持ローラ)の外周面とを接着等により接合しないようにするとともに、前記弾性ローラの内周面に両面側に対して外広がり状のテーパ面をそれぞれ対称的に一対形成し、前記支持部材を厚み方向に対して二分割してなる分割ローラの外周面に、前記弾性ローラの内周面に形成されたテーパ面よりテーパ角度が小さいテーパ面を形成してなるものがある(特許文献1参照。)。
このような構成のフリクションローラによれば、弾性ローラが摩耗した際に該弾性ローラだけを交換することができるとともに、支持部材を弾性ローラに着脱する作業を容易に行なうことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−35774号公報(図4−10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフリクションローラは、弾性ローラの内周面と支持部材の外周面とを接着等により接合していないことから、弾性ローラを支持部材に対して位置決めする位置決め手段として、弾性ローラの内周面及び支持部材の外周面を前記テーパ面としており、例えば、弾性ローラのテーパ面を軸心線に対して略18.5°程度の傾斜角度とし、支持部材のテーパ面を軸心線に対して略10°程度の傾斜角度としている。
よって、弾性ローラの一対のテーパ面がなす角度は略153°程度に、支持部材の一対のテーパ面がなす角度は略170°程度に、いずれも鈍角とされ、その中でも比較的大きい角度に設定されている。
【0005】
このような傾斜角度に設定されたテーパ面による位置決め手段を備えたフリクションローラにおいては、支持部材の端部にフランジを形成することにより、弾性ローラの外れ止めを行うとともに、組付け完了状態で弾性ローラを変形させて支持部材のテーパ面に倣わせる必要がある。
このように弾性ローラを支持部材のフランジにより変形させた状態で使用する構成では、弾性ローラにおけるフランジが押し付けられた部分とそうでない部分の境目に大きな応力が生じて該弾性ローラに無理が掛かるため、弾性ローラの交換時期が早まる場合がある。
【0006】
また、特許文献1のフリクションローラの構成は、弾性ローラの内周面と支持部材の外周面とを接合していないとともに、前記テーパ面のなす角度が比較的大きな鈍角であることから、支持部材の外周テーパ面にローレット加工を施すことにより、支持部材に対する弾性ローラの滑りを抑制する必要がある。すなわち、前記ローレット加工を施すことにより、フリクションローラにより治具パレットに推進力を付与して治具パレットを駆動するトルク伝達効率を向上させる必要がある。
このようなローレット加工を施す構成では、加工コストが増大するとともに、支持部材と弾性ローラとの間で滑りが発生した際には、却って弾性ローラが損傷してその交換時期が早まることになる。
【0007】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、円環状の弾性ローラの内周面と前記弾性ローラを支持する支持部材の外周面とを接着等により接合しないようにするとともに支持部材を分割構造にして弾性ローラだけを交換することができる構成において、支持部材へのフランジの形成やローレット加工を不要としながら、支持部材に対する弾性ローラの滑りを効果的に抑制することにより、フリクションローラにより搬送装置のキャリアに推進力を付与してキャリアを駆動するトルク伝達効率を向上することができる搬送装置用フリクションローラを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る搬送装置用フリクションローラは、前記課題解決のために、非自走式キャリアの被駆動面又は自走式キャリアが走行するレールに外周面が圧接される円環状の弾性ローラ及び該弾性ローラに内嵌される支持部材を備え、該支持部材を前記弾性ローラが着脱可能な分割構造としてなる搬送装置用フリクションローラであって、前記弾性ローラの内周面を、回転軸方向中間部から側端面に向かって径方向外側に広がるように傾斜させ、これら傾斜内周面のなす角度を略直角又は鋭角とするとともに、前記支持部材の外周面を前記弾性ローラの傾斜内周面に対して面同士が当接する傾斜外周面としてなるものである。
【0009】
ここで、前記支持部材が、前記弾性ローラの一方の傾斜内周面に対して面同士が当接する傾斜外周面を有する傾斜リング部及びその径方向内側に位置して径方向に延びる平リング部からなる板状の支持リングの一対を背面合わせして連結してなるものであると好ましい。
【0010】
また、前記弾性ローラの傾斜内周面に、前記傾斜リング部の先端角部を逃げる周溝を形成してなると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る搬送装置用フリクションローラによれば、非自走式キャリアの被駆動面又は自走式キャリアが走行するレールに外周面が圧接される円環状の弾性ローラ及び該弾性ローラに内嵌される支持部材を備え、該支持部材を前記弾性ローラが着脱可能な分割構造としてなる搬送装置用フリクションローラであって、前記弾性ローラの内周面を、回転軸方向中間部から側端面に向かって径方向外側に広がるように傾斜させ、これら傾斜内周面のなす角度を略直角又は鋭角とするとともに、前記支持部材の外周面を前記弾性ローラの傾斜内周面に対して面同士が当接する傾斜外周面としてなるので、支持部材を弾性ローラが着脱可能な分割構造としているとともに、支持部材の傾斜外周面がなす角度及び弾性ローラの傾斜内周面がなす角度が略直角又は鋭角であるため、弾性ローラが摩耗した際に該弾性ローラを支持部材から容易に取り外して該弾性ローラのみを交換することができるとともに、弾性ローラを支持部材に接着する作業が不要であるため、コストを低減することができる。
【0012】
その上、弾性ローラの傾斜内周面のなす角度を略直角又は鋭角とするとともに、支持部材の外周面を前記傾斜内周面に対して面同士が当接する傾斜外周面としていることから、略V字状のリム部のなす角度が略直角又は鋭角であり、該リム部の傾斜外周面と弾性ローラの傾斜内周面との面同士が当接する構成であるため、弾性ローラが支持部材に対して位置決めされるとともに抜け止めもされ、さらに、略V字状リム部の摩擦力が大きくなるため、支持部材に対する弾性ローラの滑りを抑制する効果を高めることができる。
よって、支持部材へのフランジの形成やローレット加工を不要としながら、支持部材に対する弾性ローラの滑りを効果的に抑制することにより、フリクションローラにより搬送装置のキャリアに推進力を付与してキャリアを駆動するトルク伝達効率を向上することができる。
【0013】
また、前記支持部材が、前記弾性ローラの一方の傾斜内周面に対して面同士が当接する傾斜外周面を有する傾斜リング部及びその径方向内側に位置して径方向に延びる平リング部からなる板状の支持リングの一対を背面合わせして連結してなるものであると、前記効果に加え、板状の一対の支持リングを同一のものとしてプレス加工により製作することができるため、コストをさらに低減することができるとともに、フリクションローラの軽量化を図ることができる。
その上、一対の支持リングを背面合わせしてこれらの傾斜リング部により形成される略V字状のリム部のなす角度が略直角又は鋭角であることから、平リング部に対する傾斜リング部の傾斜角度が比較的小さくなるため、この点からも前記プレス加工を容易に行うことができる。
【0014】
さらに、前記弾性ローラの傾斜内周面に、前記傾斜リング部の先端角部を逃げる周溝を形成してなると、前記効果に加え、弾性リングが弾性変形した際に、傾斜リング部の先端角部が弾性リングに食い込んで該弾性リングを損傷させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
本発明のフリクションローラが用いられる搬送装置は、以下の実施の形態に示すようなトロリコンベアである摩擦駆動式フロアコンベアの他、台車の側面(台車駆動面)にフリクションローラを圧接して推進力を付与する台車コンベア、摩擦駆動式オーバヘッドコンベア、又は、レール上を走行する電車等であってもよく、すなわち、本発明のフリクションローラは、フリクションローラの外周面を非自走式キャリアの被駆動面に圧接することにより該キャリアに推進力を付与する構成、又は、フリクションローラの外周面を自走式キャリアが走行するレールに圧接することにより該キャリア自体が走行する構成の搬送装置に用いることができる。
【0016】
図1〜図6は、本発明の実施の形態に係る搬送装置用フリクションローラ1の構成説明図であり、図1はフリクションローラ1を摩擦駆動式フロアコンベア11に用いた例を示す平面図、図2は同コンベア11におけるフリクションローラ式駆動装置15の部分断面側面図、図3はフリクションローラ1の分解斜視図、図4は同じく平面図、図5は同じく要部を拡大して示す縦断側面図、図6は弾性リングに形成した周溝2Dを示す縦断側面図である。
【0017】
図1に示す搬送装置は、トロリコンベアである摩擦駆動式フロアコンベア11であり、搬送方向(図中矢印A参照。)に向かって左右に設置された走行レール12,12に走行車輪13,…を係合させることにより走行レール12,12に支持された複数のトロリ14,…とこれらトロリの隣り合うもの同士に渡された被駆動ロッド等によって構成される非自走式キャリア上に被搬送物が載置される。
そして、搬送経路の適宜箇所に設置されたフリクションローラ式駆動装置15のフリクションローラ1の弾性ローラ2の垂直外周面2Aを、トロリ14の被駆動面14A及び被駆動ロッドの被駆動面に圧接することにより、フリクションローラ1のトルク(回転方向は図中矢印B参照。)がキャリアに伝達されて推進力が付与されるため、該キャリアが搬送経路に沿って搬送される。
なお、フリクションローラ1の前記被駆動面に対向する面以外の大部分は、安全上の配慮等から、カバー21で覆われている。
【0018】
カバー21を取り外した状態である図2に示すように、フリクションローラ式駆動装置15は、モータ16の出力を減速機17によりトルク増幅した出力が取り出される出力軸18にスプライン18Aを形成しており、該スプライン18Aに、例えば鋼製の取付部材4のボス部7に形成したスプライン7Aを係合させることにより、フリクションローラ1にトルクを伝達して回転させるものである。
また、フリクションローラ1は、例えばウレタンゴム又はアクリルニトリルブタジエンゴム等からなる円環状の弾性ローラ2及び弾性ローラ2に内嵌される例えば鋼製の支持部材3を備えるとともに、支持部材3はボルト9,…及びナット10,…により取付部材4のフランジ部8に連結固定される。
【0019】
図2及び図3に示すように、弾性ローラ2は、その内周面が、上下方向(回転軸方向)中間部の垂直内周面2B及び該垂直内周面2Bの上下から上下端面(側端面)に向かって径方向外側に広がるように傾斜する上下一対の傾斜内周面2C,2Cにより形成されており、該傾斜内周面2C,2Cのなす角度は後述するように略直角又は鋭角とされる。
支持部材3は、上側の支持リング3Aと下側の支持リング3Bとを背面合わせして連結してなるものであり、これら一対の支持リング3A,3Bは、弾性ローラ2の一方の傾斜内周面2Cに対して面同士が当接する傾斜外周面6Aを有する傾斜リング部6及びその径方向内側に位置して径方向に延びる平リング部5からなる板状のものである。
【0020】
図2及び図3に示すように、弾性ローラ2の上側及び下側から、上下の通孔5B,5Bを合わせた状態として支持リング3A,3Bをあてがい、支持リング3A,3Bの嵌合孔5A,5Aに取付部材4のボス部7の下側部分を内嵌して、通孔5B,…に通孔7B,…を合わせた状態とし、ボルト9,…を通孔5A,5A,…及び通孔7B,…に挿通してナット10,…と螺合することにより、弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cと支持部材3(支持リング3A,3B)の傾斜外周面6A,6Aとを接着等により接合せずに、フリクションローラ1の組立を容易に行うことができ、この組立状態において、弾性ローラ2は支持部材3に対して位置決めされるとともに抜け止めされる。
【0021】
このようにして組み立てたフリクションローラ1は、前述のとおり、取付部材4のボス部7に形成したスプライン7Aをフリクションローラ式駆動装置15の出力軸18に形成したスプライン18Aに係合させた状態で、ワッシャ19を上側からあてがってボルト20を出力軸18に螺合することにより、出力軸18に固定される。
【0022】
また、一対の支持リング3A,3Bは、これらの傾斜リング部6,6が弾性ローラ2を支持する略V字状のリム部を構成しており、一対の支持リング3A,3Bを分離することにより、すなわちボルト9,…及びナット10,…を緩めて取り外すことにより前記リム部が分離する分割構造であることから、弾性ローラ2を容易に取り外すことができるため、弾性ローラ2を交換する際の脱着を容易に行うことができる。
なお、支持リング3A,3Bの孔5Cは、例えば鋼板製の支持リング3A,3Bの軽量化及び材料の節約のためにプレス成形により適宜位置に形成した抜き孔である。
【0023】
次に、図5に示す略V字状リム部のなす角度(弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cのなす角度、支持部材3の傾斜外周面6A,6Aのなす角度)θの大きさの設定方法について説明する。
図4及び図5において、フリクションローラ1の押付け力をW、弾性ローラ2の外周面2A及びトロリ14の被駆動面14A間の摩擦係数をμ1、支持部材3の傾斜リング部6の傾斜外周面6A及び弾性ローラ2の傾斜内周面2C間の摩擦係数をμ2とすると、図4に示す弾性ローラ2及び被駆動面14A間の摩擦力F1は、F1=μ1・Wであり、傾斜リング部6,6の傾斜外周面6A,6A及び弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2C間をずらす方向に作用する力F2は、F2=(R1/R2)F1であるため、これらの式から次式(1)が得られる。
【0024】
F2=(R1/R2)μ1・W ・・・(1)
【0025】
また、図5において、傾斜内周面2Cの垂直抗力をPとすると、力の釣り合いから、W=2Psin(θ/2)が得られ、よって、次式(2)が得られる。
【0026】
P=(W/2)/(sin(θ/2)) ・・・(2)
【0027】
さらに、傾斜リング部6,6(リム部)の摩擦力Fは、F=2μ2・Pであるため、この式と式(2)より、次式(3)が得られる。
【0028】
F=μ2・W/sin(θ/2) ・・・(3)
【0029】
リム部における滑り(支持部材3の傾斜リング部6,6の傾斜外周面6A,6A及び弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2C間における滑り)を防ぐためには、F>F2を満たす必要があるため、式(1)及び式(3)より、sin(θ/2)<(R2/R1)(μ2/μ1)となるため、次式(4)が得られる。
【0030】
θ<2sin-1[(R2/R1)(μ2/μ1)] ・・・(4)
【0031】
ここで、略V字状リム部のなす角度θが小さい程、いわゆるくさび増力効果により、リム部の摩擦力Fが大きくなるため、支持部材3に対する弾性ローラ2の滑りを抑制する効果が高まることになる。
また、リム部における滑りを防ぐためには、例えば、式(4)において、R2/R1=0.8とすると、μ2/μ1=1で、θ<106.3°、μ2/μ1=0.8で、θ<79.6°、μ2/μ1=1.2で、θ<147.5°となり、R2/R1=0.75とすると、μ2/μ1=1で、θ<97.2°、μ2/μ1=0.8で、θ<73.7°、μ2/μ1=1.2で、θ<128.3°となる。
よって、摩擦係数のばらつき等を考慮すると、略V字状リム部のなす角度θは略直角又は鋭角としておくのが好ましく、製作のしやすさや被駆動面との接触面積を確保する観点からは、略V字状リム部のなす角度θを略直角とするのがより好ましい実施態様である。
【0032】
以上のような構成のフリクションローラ1によれば、支持部材3(支持リング3A,3B)を弾性ローラ2が着脱可能な分割構造としているとともに、支持部材3の傾斜外周面6A,6Aがなす角度及び弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cがなす角度が略直角又は鋭角であるため、弾性ローラ2が摩耗した際に該弾性ローラ2を支持部材3から容易に取り外して該弾性ローラ2のみを交換することができるとともに、弾性ローラ2を支持部材3に接着する作業が不要であるため、コストを低減することができる。
また、弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cのなす角度を略直角又は鋭角とするとともに、支持部材3の外周面を弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cに対して面同士が当接する傾斜外周面6A,6Aとしていることから、略V字状のリム部のなす角度が略直角又は鋭角であり、該リム部の傾斜外周面6A,6Aと弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cとの面同士が当接する構成であるため、弾性ローラ2が支持部材3に対して位置決めされるとともに抜け止めもされ、さらに、略V字状リム部の摩擦力Fが大きくなるため、支持部材3に対する弾性ローラ2の滑りを抑制する効果を高めることができる。
よって、支持部材3へのフランジの形成やローレット加工を不要としながら、支持部材3に対する弾性ローラ2の滑りを効果的に抑制することにより、フリクションローラ1により搬送装置(例えば、摩擦駆動式フロアコンベア11)のキャリアに推進力を付与してキャリアを駆動するトルク伝達効率を向上することができる。
【0033】
さらに、弾性ローラ2の一方の傾斜内周面2Cに対して面同士が当接する傾斜外周面6Aを有する傾斜リング部6及びその径方向内側に位置して径方向に延びる平リング部5からなる板状の支持リングの一対3A,3Bを背面合わせして支持部材3としているため、板状の一対の支持リング3A,3Bを同一のものとしてプレス加工により製作することができるため、コストをさらに低減することができるとともに、フリクションローラ1の軽量化を図ることができる。
その上、一対の支持リング3A,3Bを背面合わせしてこれらの傾斜リング部6,6により形成される略V字状のリム部のなす角度が略直角又は鋭角であることから、平リング部5に対する傾斜リング部6の傾斜角度が比較的小さくなるため、この点からも前記プレス加工を容易に行うことができる。
【0034】
その上さらに、図6に示すように、弾性ローラ2の傾斜内周面2C,2Cの上下端面(側端面)側部分に、傾斜リング部6,6の先端角部6B,6Bを逃げる周溝2D,2Dを形成しておくことにより、弾性リング2が弾性変形した際に、プレス加工により製作された支持リング31,3Bの先端角部6B,6Bが弾性リング2に食い込んで該弾性リング2を損傷させることをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る搬送装置用フリクションローラを摩擦駆動式フロアコンベアに用いた例を示す平面図である。
【図2】同コンベアにおけるフリクションローラ式駆動装置の部分断面側面図である。
【図3】フリクションローラの分解斜視図である。
【図4】同じく平面図である。
【図5】同じく要部を拡大して示す縦断側面図である。
【図6】弾性リングに形成した周溝を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0036】
θ 略V字状リム部のなす角度
1 フリクションローラ
2 弾性ローラ
2C 傾斜内周面
2D 周溝
3 支持部材
3A,3B 支持リング
4 取付部材
5 平リング部
6 傾斜リング部(リム部)
6A 傾斜外周面
6B 先端角部
7 ボス部
8 フランジ部
9 ボルト
10 ナット
11 摩擦駆動式フロアコンベア(搬送装置)
14A 被駆動面
15 フリクションローラ式駆動装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非自走式キャリアの被駆動面又は自走式キャリアが走行するレールに外周面が圧接される円環状の弾性ローラ及び該弾性ローラに内嵌される支持部材を備え、該支持部材を前記弾性ローラが着脱可能な分割構造としてなる搬送装置用フリクションローラであって、
前記弾性ローラの内周面を、回転軸方向中間部から側端面に向かって径方向外側に広がるように傾斜させ、これら傾斜内周面のなす角度を略直角又は鋭角とするとともに、前記支持部材の外周面を前記弾性ローラの傾斜内周面に対して面同士が当接する傾斜外周面としてなることを特徴とする搬送装置用フリクションローラ。
【請求項2】
前記支持部材が、前記弾性ローラの一方の傾斜内周面に対して面同士が当接する傾斜外周面を有する傾斜リング部及びその径方向内側に位置して径方向に延びる平リング部からなる板状の支持リングの一対を背面合わせして連結してなるものである請求項1記載の搬送装置用フリクションローラ。
【請求項3】
前記弾性ローラの傾斜内周面に、前記傾斜リング部の先端角部を逃げる周溝を形成してなる請求項2記載の搬送装置用フリクションローラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−13231(P2010−13231A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174838(P2008−174838)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】