説明

搬送装置用ローラ及び搬送装置

【課題】 アキュームレーションしても被搬送物に摩耗、ラインプレッシャが作用せず、且つ脱調現象を生じる恐れがなく高速回転が可能な搬送装置用ローラ、及び搬送装置(ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ)を提供する。
【解決手段】 駆動軸の外側に外ローラを遊転可能に取り付け、更に前記駆動軸の外周面に中心ローラを一体回転可能に配置し、その中心ローラと前記外ローラとの間に内ローラを放射状に配置して前記外ローラに一体的に取り付け、前記駆動軸の回転により中心ローラから内ローラへ回転が伝達され、外ローラが前記駆動軸を中心として回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送装置用ローラに関し、更に詳しくはローラアキュームコンベヤを構成するローラ、或いはベルトコンベヤのベルトが巻回されるローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラコンベヤの駆動方法としては、(1)ローラの外周に平ベルト或いはVベルトを接触させ、その平ベルト或いはVベルトを回転走行させ、ベルトとの摩擦力で駆動する方法、(2)ローラの外周に半円形状の溝を加工し、その溝と直交配置の駆動軸(プーリ)とに亘って丸ベルトを8の字状に掛け回し、丸ベルトとの摩擦力で駆動する方法、(3)ローラの軸方向一側部にチェーンスプロケットを取り付け、そのスプロケットを回転走行する駆動チェーンによって駆動する方法等、が存在する。
【0003】
しかし、上記した何れの駆動方法とも速度に限界(約100m/min)があり、且つ摩擦(接触)駆動であるため騒音や発塵により作業環境に悪影響を与えており、寿命(耐用年数)も短いという問題を有している。
また、上記ローラコンベヤにおいて、被搬送物を一時的に搬送路上に貯留する所謂アキュームレーションは、基本的に不可能であった。仮に貯留してもラインプレッシャが大きく、貯留搬送物を傷めるか、若しくは、貯留解除する際に被搬送物を1個ずつ切り離して次工程へ送る所謂シンギレーションが出来ず、トラブルが発生するケースがあった。
【0004】
そこで、コンベヤの長寿命化と低騒音化、低発塵を目的に、本件出願人は磁力による吸引と反発作用を利用した非接触型の駆動方法を用いたローラコンベヤを提案済みである(例えば、特許文献1参照)。
これにより、寿命、騒音、及び発塵に関しては目的が達成されたが、一方で低トルク、低速度、クリーン環境下での使用等、その使用が制限される等、他の問題が出ている。
又、アキュームレーションは、シャフトと該シャフトに嵌着した短筒状のローラ、或いはローラ端部に設けたスリップ機構によって行うものが主流であり、摩耗とラインプレッシャは避けられないものであった。
更に、前記非接触型の駆動方法(図9(b)参照)によるローラコンベヤは、駆動軸18からローラ軸19に非接触型の駆動方法で動力伝達してローラ19’を回転させるが、そのローラ19’の高速回転中にローラ19’に一定以上の負荷が掛かり、ローラ軸19の回転が停止した場合、前記負荷を取り除いてもローラ軸19は停止したままで復帰できなくなる脱調現象を生じるという問題点を有する。従って、上記従来のローラコンベヤでは脱調現象の点で、高速回転ができないという問題点があった。
尚、脱調現象を起こしたときは、運転を停止し再度運転を開始するか、或いはローラ軸への動力伝達が可能な速度まで回転を下げなければ復帰させることができない。
【0005】
【特許文献1】特開平7−177725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、アキュームレーションしても被搬送物に摩耗、ラインプレッシャが作用せず、且つ脱調現象を生じる恐れがなく高速回転が可能な搬送装置用ローラ、及び搬送装置(ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に本発明の搬送装置用ローラは、駆動軸の外側に外ローラを遊転可能に取り付け、更に前記駆動軸の外周面に中心ローラを一体回転可能に配置し、その中心ローラと前記外ローラとの間に内ローラを放射状に配置して前記外ローラに一体的に取り付け、前記駆動軸の回転により中心ローラから内ローラへ回転が伝達され、外ローラが前記駆動軸を中心として回転する構成を特徴とする(請求項1)。
前記外ローラに対する内ローラの取り付けは、前記駆動軸と一体に回転する中心ローラの回転により公転し、該内ローラの公転が同時に外ローラを回転させる力として作用するように取り付けられている。その取り付けは、例えば、内ローラの軸芯を駆動軸(中心ローラ)、外ローラの軸芯と交差(直交、斜交)させて取り付ける(請求項2)。
又、前記内ローラは外ローラの内側に放射状に配置するが、その取り付け個数は複数個であればよく、その取り付け個数の増減によりトルクを調整(内ローラの個数が多いと高トルク、内ローラの個数が少ないと低トルク)することができる。
前記内ローラの配置は、外ローラの軸方向の一側部(片側)のみならず、両側部(両側)に配置しても良く、更に軸方向に配置する列数も任意に設定することができる。尚、設置列数を多くした場合は、前記した放射方向の取り付け個数の増減と同様、回転トルクの調整を行うことができる。
前記駆動軸の外周面に配置した中心ローラと、外ローラの内側に一体的に取り付ける内ローラとの間の動力伝達は、歯車の噛み合い等による接触型の動力伝達機構、或いは磁力の吸引と反発作用を利用した非接触型の動力伝達機構(請求項3)の何れでもよい。
【0008】
上記手段によれば、駆動軸を適宜手段(例えば、モータと接触型又は非接触型の動力伝達手段等)によって駆動回転すると、該駆動軸の外周面に固着された中心ローラも一体に回転する。駆動軸と一体の中心ローラが回転すると、該中心ローラと連繋する内ローラが公転される。この時、内ローラの軸芯が駆動軸と交差して配置されているため、内ローラを公転させる力は、同時に内ローラを支持する外ローラを回転させる力として作用するため、外ローラが駆動回転される。それにより、前記ローラを、所定間隔をおいて並設して搬送面を構成すれば、ローラの回転で被搬送物を搬送することが可能となる。そして、前記内ローラの設置個数を増加することで高トルクの回転を得ることができる。また、駆動軸から外ローラへ動力を伝達する機構は外ローラ内に収納されている為、前記動力を伝達する機構部分に異物等が入り込むのを確実に防止できる。それにより、異物混入によるトラブルの発生を防止できる。
【0009】
又、前記外ローラに負荷が作用して拘束された時、前記内ローラは中心ローラとの連繋で回転し、同時に外ローラを回転させる力が作用するが、その外ローラを回転させる力が前記負荷より小さい場合、前記放射状に配置した内ローラは空転し、外ローラは拘束(負荷)が除去されるまで停止状態を維持する。即ち、アキュームレーションが可能となる。
そして、前記負荷が作用している間、中心ローラ及び内ローラは回転を続けている為、前記負荷が取り除かれると、外ローラは速やかに回転状態に復帰する。即ち、脱調現象を起こす心配はない。尚、中心ローラから内ローラへの動力伝達を非接触型の動力伝達手段とした場合は、寿命、発塵、騒音及び振動問題も改善できる。
【0010】
上記したローラは、架台の対向する側板間に所定の間隔をおいて多数本を回転可能に架設し、前記各ローラの駆動軸を、前記架台の側板に沿って架設したモータ等の駆動機構で駆動自在とすることでローラコンベヤ(請求項4)、或いは、前記ローラを、ベルトコンベヤの搬送用ベルトを掛け回すローラ(プーリ)のうち、少なくとも一本に用い、そのローラの駆動軸を駆動機構で駆動回転し、前記搬送用ベルトを回転させるベルトコンベヤ(請求項5)を構成することができる。尚、ベルトコンベヤに用いる前記搬送装置用ローラは、ヘッドドライブタイプ、センタードライブタイプの何れにも用いることができる。
その場合、各ローラの駆動軸を駆動回転する駆動機構は、接触型(平・Vベルト駆動、丸ベルト駆動、チェーン駆動等)、或いは非接触型の何れでもよい。非接触型の場合は、駆動軸の軸方向の一側部を前記架台の側板を貫通して外方に突出させ、その突出部に従動マグネットリングを一体回転可能に固着し、その従動マグネットリングと非接触で交差し対応する駆動マグネットリングを備えた動力伝達軸を前記側板の外側に回転可能に架設し、該動力伝達軸をモータ等で回転するようにする(請求項6)。
【0011】
上記手段によれば、搬送面を構成する各ローラは前記した作動により外ローラが駆動回転され、被搬送物を搬送することができると共に、ローラ内に内蔵される内ローラの設置数によって回転トルクの増減も可能となる。又、駆動機構を作動させず、各ローラの外ローラに搬送方向の力が作用した場合、内ローラが駆動軸の中心ローラの外側を回転(自転)しながら移動(公転)して、外ローラは遊転する。それにより、駆動機構を停止した場合はフリーローラコンベヤとして使用できる。
又、ベルトコンベヤの搬送用ベルトを掛けまわすローラ(プーリ)の内、少なくとも一本に搬送装置用ローラを用い、該ローラの高速回転によって高速搬送が可能で、しかも、駆動機構を停止した状態においてもローラコンベヤと同様、ベルトに作用する外力で搬送ベルトが回動し、搬送することができる。更に、ベルトコンベヤとした場合にもアキュームレーションできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の搬送装置用ローラは請求項1記載の構成により、アキュームレーションしても被搬送物に摩耗、ラインプレッシャが作用しない搬送装置用ローラを提供できる。又、外ローラに負荷が作用し回転が停止した場合でも、中心ローラと内ローラは回転を続けるため、従来の装置で起きた脱調現象を解消できるローラを提供できる。
更に、外ローラを駆動する構成部材は該外ローラ内に収容されている為、前記構成部材の収容部分に異物等が入り込むのを防止でき、異物混入による動作不良を解消するローラを提供できる。
又、請求項2記載の構成により、内ローラの回転力が外ローラを回転させる力として効率よく作用するため、外ローラのスムーズな回転が可能となる。そして、外ローラの回転に関与する内ローラの設置個数を増減することで、簡単にローラ(外ローラ)のトルクの変更の変更を行なうことができる。従って、回転トルクの増減調整を容易に行うことができるローラを提供できる。
更に請求項3記載の構成により、回転作動時の音が静かで、発塵のないローラを提供することが出来る。
【0013】
また、請求項4記載の構成により、従来の摩擦駆動では殆ど不可能とされていた超高速(例えば、300m/min)搬送も可能な搬送装置(ローラコンベヤ)を提供することができる。しかも、駆動軸を停止した場合は、ローラ(外ローラ)が遊転し、フリーローラコンベヤとして使用することができる。従って、1台の搬送装置(ローラコンベヤ)を必要に応じて、駆動ローラコンベヤ、フリーローラコンベヤに切り替え使用でき、セル生産方式に対応できる搬送装置を提供できる。
請求項5記載の構成により、高速搬送が可能で、しかも、駆動を停止した場合はベルトやローラに作用する外力で搬送ベルトを回動して被搬送物を搬送することができる搬送装置(ベルトコンベヤ)を提供することが出来る。
更に、請求項6記載の構成により、全ての動力伝達が非接触の搬送装置となり、静音で、発塵がなく、且つ脱調現象の心配がない高速回転が可能な搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る搬送装置用ローラの実施の一例を示す縦断面図で、架台に架設した状態を示し、搬送装置用ローラAは、駆動軸1と、その駆動軸1の外側に遊転可能に取り付けられた外ローラ2と、前記駆動軸1の外周面に一体回転可能に固着した中心ローラ3と、前記中心ローラ3と前記外ローラ2の間に配置し該外ローラ2に一体的に取り付けた内ローラ4とで構成されている。
【0015】
前記駆動軸1は、外ローラ2の回転中心であり且つ外ローラ2を駆動回転する為の軸で、長軸棒状に構成され、その駆動軸1に軸受5,5’を介して外ローラ2が回転可能に取り付けられている。
【0016】
前記外ローラ2は、金属製(例えば、ステンレス製、アルミニウム製等)や樹脂製の両側端が開放した略円筒状のローラで、一方端の開口部にホルダ6が嵌着固定され、そのホルダ6で軸受5’を支持し、該外ローラ2の軸方向が略密閉状に構成されている。
【0017】
前記中心ローラ3は、駆動軸1の回転を前記外ローラ2の内側に一体的に配置された内ローラ4に伝達するもので、図示は磁力の吸引と反発作用を利用した非接触型の動力伝達手段の一方を担う駆動マグネットリングで構成されている。
その駆動マグネットリング(中心ローラ)は、永久磁石からなる短筒の周面にN極帯とS極帯が交互に螺旋状に着磁して構成されている。尚、駆動マグネットリングの取り付け個数はローラに求める回転トルクに応じて適宜決定され、前記駆動軸1の周面に施した二角面取り部と駆動マグネットリングの内周面に施した二角面取り受部との嵌合によって回り止め固定される(図2(a)参照)。
【0018】
前記中心ローラ(駆動マグネットリング)3と対応する内ローラ4は、非接触型の動力伝達手段の他方を担う従動マグネットリングで構成され、その内ローラ4は外ローラ2の他方端に嵌合固着した内ローラホルダ7に支軸8で回転可能に軸支されている。そして、前記内ローラ4は前記中心ローラ3を中心として放射状(図示では十字状)に配置され、且つ、中心ローラ3の軸方向に沿って複数列(図示例は3列)配置されている。
又、内ローラ4の支軸8は前記駆動軸1の軸芯と直交するように配置して内ローラホルダ7に取り付けられている(図2(a)、(b)参照)。
【0019】
前記従動マグネットリング(内ローラ)は、前記駆動マグネットリング(中心ローラ)と同様、永久磁石からなる短筒の周面にN極帯とS極帯が交互に螺旋状に着磁して構成されている。
【0020】
又、前記内ローラ(従動マグネットリング)4の取り付けは、断面略十字型に形成した内ローラホルダ7の起立壁7aの径方向外側端から中心方向に向かって支軸8が嵌入する受け溝7bを切欠形成し、その対向する起立壁7aの受け溝7bに亘って内ローラ4を回転可能に支持した支軸8が落とし込まれて取り付けられている。
前記内ローラホルダ7には前記駆動軸1に対して該外ローラ2の他方端を回転可能に支持する軸受5が装着されている。
【0021】
図3乃至図5は搬送装置用ローラAを構成する中心ローラ(駆動マグネットリング)3、及び内ローラ(従動マグネットリング)4の設置個数、配置の変形例を示す図で、図3は中心ローラ(駆動マグネットリング)3、及び内ローラ(従動マグネットリング)4の設置列数を前示実施例の倍とした実施例である。
又、図4は前示実施例(図1)で示した中心ローラ(駆動マグネットリング)3、及び内ローラ(従動マグネットリング)4のユニットを、外ローラ2の軸方向両側部に配置した実施例で、配置列数は図3と同じである。この場合、外ローラ2の両側部には内ローラホルダ7を嵌合固定する。
【0022】
図5は内ローラ(従動マグネットリング)4の放射状配置の他の例を示し、(a)は円周を三等分する略120度間隔で配置した形態、(b)は円周を二等分する略180度間隔で配置した形態で、内ローラ(従動マグネットリング)4を断面略Y字型の内ローラホルダ7’、或いは断面略I字型の内ローラホルダ7”に対する取り付けは断面略十字型の内ローラホルダ7に対する取り付けと同じである為、説明は省略する。尚、同じ列上(円周上)に配置される内ローラ(従動マグネットリング)4の個数は、外ローラ2を駆動回転する駆動力に関係し、同じ列上に配置される内ローラ(従動マグネットリング)4の個数が多いと駆動力は大きくなる。
【0023】
上記の如く構成した搬送装置用ローラAは、例えば、ローラコンベヤの搬送ローラとして、或いはベルトコンベヤのドライブプーリとして使用することができる。以下にローラコンベヤ、ベルトコンベヤの構成について説明する。
図6及び図7は前記搬送装置用ローラAを搬送ローラとして使用したローラコンベヤの構成を示し、搬送装置用ローラAを、架台9を構成する一対の対向する側板9a,9b間に軸受を介して回転可能に架設し、且つその搬送装置用ローラAの駆動軸1の一側部を、前記側板9aを貫通して外方に突出させ、その突出部を利用して前記搬送装置用ローラAを駆動回転する駆動機構Bが前記側板9aの外側に配置されている。
前記駆動機構Bは、磁力の吸引と反発作用を利用した非接触型の動力伝達機構10とモータ11からなり、前記搬送装置用ローラAの駆動軸1における突出部に、動力伝達機構10の駆動用従動マグネットリング10aが嵌合固着され、その駆動用従動マグネットリング10aと対応する駆動用駆動マグネットリング10bを備えた動力伝達軸10cが軸受け枠12を介して前記側板9aの外側に回転可能に架設されている。それにより、駆動用駆動マグネットリング10bと駆動用従動マグネットリング10aは非接触状態で、且つ軸芯が略直角に交差し、動力伝達軸10cの回転が駆動用駆動マグネットリング10bから駆動用従動マグネットリング10aに伝達されて搬送装置用ローラAが駆動回転される。
前記動力伝達軸10cはモータ11とベルト伝達手段11’によって回転するように構成されている。
【0024】
前記駆動機構Bの動力伝達機構10を構成する駆動用従動マグネットリング10aと、駆動用駆動マグネットリング10bは、永久磁石からなる短筒の周面にN極帯とS極帯が交互に螺旋状に着磁して構成されている。
【0025】
上記構成としたローラコンベヤは、駆動機構Bのモータ11を作動すると、その回転はベルト伝達手段11’より動力伝達軸10cに伝達され、更に駆動用駆動マグネットリング10bから駆動用従動マグネットリング10aに磁力の吸引と反発作用で回転が伝達される。それにより、架台9に架設した全ての搬送装置用ローラAの駆動軸1が回転され、該駆動軸1に固着された中心ローラ(駆動マグネットリング)3の回転は、該中心ローラ(駆動マグネットリング)3の周囲に放射状、且つ直交して配置された内ローラ(従動マグネットリング)4を公転させるが、その内ローラ(従動マグネットリング)4を公転させる力は、同時に外ローラ2を回転する力として働き、外ローラ2が駆動回転される。これにより、搬送装置用ローラAを並設して構成される搬送面上に載せられた被搬送物は該ローラAの回転方向に搬送される。
【0026】
又、アキュームレーションによって、搬送装置用ローラAの外ローラ2が拘束されて回転を停止した場合、内ローラ(従動マグネットリング)4は公転を停止して自転するため、アキュームレーション以外のローラAへの駆動伝達には影響を及ぼさない。
従って、搬送装置用ローラAの高速駆動回転中に該ローラAに負荷が作用して搬送装置用ローラA(外ローラ2)が停止しても、中心ローラ3を備えた駆動軸1と内ローラ4は回転し続けるため、脱調現象が生じる恐れはなく、前記負荷が取り除かれると搬送装置用ローラA(外ローラ2)は内ローラ(従動マグネットリング)4の公転により速やかに回転復帰する。従って、脱調現象を起こすことはなく、高速回転にも対応し得るローラコンベヤを提供できる。しかし、図9(b)に示す従来の非接触型の駆動方式では、前記したようにローラ19’に負荷が作用して回転が停止した場合、その負荷が取り除かれても高速回転する駆動軸18からローラ軸19への回転伝達はされず、所謂脱調現象を起こす。
【0027】
尚、図示するように前記内ローラ(従動マグネットリング)4の軸芯を中心ローラ(駆動マグネットリング)3の軸芯と略直交するように配置した方が、内ローラ(従動マグネットリング)4の軸芯を中心ローラ(駆動マグネットリング)3の軸芯と略平行に配置した場合より駆動力が上がる。
【0028】
又、前記駆動機構Bのモータ11が停止している場合、ローラ上の被搬送物又は該ローラAの外ローラ2に外力が作用すると、アキュームレーションの場合と同様、内ローラ(従動マグネットリング)4が中心ローラ(駆動マグネットリング)3の周囲を自転しながら公転するため、外ローラ2は空転する。従って、フリーローラコンベヤとして使用することが出来る。
【0029】
図8は搬送装置用ローラAをドライブプーリとして使用したベルトコンベヤの構成を示し、搬送装置用ローラAを、架台13を構成する一対の対向する側板13a,13b間の少なくとも機長方向両側に軸受を介して回転可能に架設し、その両搬送装置用ローラAに亘って搬送用ベルト14を巻回し、更に前記搬送装置用ローラAの駆動軸1の一側部を、前記側板13aを貫通して外方に突出させ、その突出部を利用して前記搬送装置用ローラAを駆動回転する駆動機構B’が前記側板13aの外側に配置されている。
【0030】
前記駆動機構B’は、ローラコンベヤに装備する駆動機構Bと同様、磁力の吸引と反発作用を利用した非接触型の動力伝達機構15とモータ16からなり、前記搬送装置用ローラAの駆動軸1における突出部に、動力伝達機構15の駆動用従動マグネットリング15aが嵌合固着され、その駆動用従動マグネットリング15aと対応する駆動用駆動マグネットリング15bを備えた動力伝達軸15cが軸受け枠17を介して前記側板13aの外側に回転可能に架設されている。それにより、駆動用駆動マグネットリング15bと駆動用従動マグネットリング15aは非接触状態で、且つ軸芯が略直角に交差し、動力伝達軸15cの回転が駆動用駆動マグネットリング15bから駆動用従動マグネットリング15aに伝達されて搬送装置用ローラAが駆動回転される。
前記動力伝達軸15cはモータ16とベルト伝達手段16’によって回転するように構成されている。
前記駆動機構B’の動力伝達機構15を構成する駆動用従動マグネットリング15aと、駆動用駆動マグネットリング15bは、前記駆動機構Bの動力伝達機構10を構成する駆動用従動マグネットリング10a、駆動用駆動マグネットリング10bと同様、永久磁石からなる短筒の周面にN極帯とS極帯が交互に螺旋状に着磁して構成されている。
【0031】
上記構成としたベルトコンベヤは、駆動機構B’のモータ16を作動すると、その回転はベルト伝達手段16’より動力伝達軸15cに伝達され、更に駆動用駆動マグネットリング15bから駆動用従動マグネットリング15aに磁力の吸引と反発作用で回転が伝達される。それにより、架台13に架設した搬送装置用ローラAの駆動軸1が回転され、該駆動軸1に固着された中心ローラ(駆動マグネットリング)3の回転は、該中心ローラ(駆動マグネットリング)3の周囲に放射状、且つ直交して配置された内ローラ(従動マグネットリング)4を公転させるが、その内ローラ(従動マグネットリング)4を公転させる力は、同時に外ローラ2を回転する力として働き、外ローラ2が駆動回転される。これにより、機長方向の両側に配置された搬送装置用ローラAに亘って巻回された搬送用ベルト14が回動し、搬送用ベルト14上に載置された被搬送物は搬送される。
又、前記駆動機構B’のモータ16を停止し、搬送用ベルト14又は搬送装置用ローラAの外ローラ2に外力が作用すると、アキュームレーションの場合と同様、内ローラ(従動マグネットリング)4が中心ローラ(駆動マグネットリング)3の周囲を自転しながら公転するため、外ローラ2は空転する。従って、モータ16を停止しても搬送用ベルト14を回動し搬送することができる。
【0032】
本発明の搬送装置用ローラ及び搬送装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)実施の形態では中心ローラから内ローラへの動力伝達として非接触型の動力伝達方式を示したが、中心ローラ及び内ローラをそれぞれはすば歯車で構成し、はすば歯車の組み合わせからなる接触型の動力伝達方式としてもよい。
(2)実施の形態では搬送装置用ローラの駆動軸を回転する駆動機構を非接触型の動力伝達機構を示したが、接触型の駆動機構(平・Vベルト駆動、丸ベルト駆動、チェーン駆動等)でもよいものである。
(3)ベルトコンベヤを示す実施の形態では、機長方向両側に架設するローラを搬送装置用ローラとした例であるが、両方とも搬送装置用ローラである必要はなく、少なくとも片側が搬送装置用ローラであればよい。又、ローラ間には通常のベルトコンベヤと同様、ベルトを支持するトラフを架設する等任意である。
(4)非接触型の動力伝達機構を構成するマグネットリングのN極とS極の着磁は、螺旋状に限らず、要は磁力の吸引と反発作用で動力を伝達できる着磁であればよい。
(5)本発明の搬送装置用ローラは、図示した搬送装置(ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ)に限らず、ロープやワイヤーを巻き取るローラ(プーリ)として利用することができる。
(6)実施の形態では内ローラを外ローラの中に収容配置しているが、外ローラに窓孔等を開設して内ローラの一部を外ローラから外方に突出させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る搬送装置用ローラの実施の一例を示す縦断面図。
【図2】(a)は図1の(a)−(a)線に沿える拡大断面図、(b)は内ローラの支持構造を示す一部切欠正面図。
【図3】搬送装置用ローラを構成する中心ローラ(駆動マグネットリング)、及び内ローラ(従動マグネットリング)の設置個数の他の例を示す縦断正面図。
【図4】搬送装置用ローラを構成する中心ローラ(駆動マグネットリング)、及び内ローラ(従動マグネットリング)の設置個数、配置の他の例示す縦断正面図。
【図5】搬送装置用ローラを構成する内ローラ(従動マグネットリング)の設置個数、配置の他の例を示す縦断面図で、(a)はY字型、(b)はI字型を示す。
【図6】搬送装置用ローラで構成したローラコンベヤを示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図7】同拡大側面図。
【図8】搬送装置用ローラを利用して構成したベルトコンベヤの平面図。
【図9】(a)は本発明に係る非接触型の駆動機構を示す拡大断面図、(b)は従来の非接触型の駆動機構を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0034】
A…搬送装置用ローラ B、B’…駆動機構
1…駆動軸 2…外ローラ
3…中心ローラ(駆動マグネットリング)
4…内ローラ(従動マグネットリング)
9…架台 9a,9b…側板
10…動力伝達機構 10a…駆動用従動マグネットリング
10b…駆動用駆動マグネットリング 10c…動力伝達軸
11…モータ
14…搬送用ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の外側に外ローラを遊転可能に取り付け、更に前記駆動軸の外周面に中心ローラを一体回転可能に配置し、その中心ローラと前記外ローラとの間に内ローラを放射状に配置して前記外ローラに一体的に取り付け、前記駆動軸の回転により中心ローラから内ローラへ動力が伝達され、外ローラが前記駆動軸を中心として回転することを特徴とする搬送装置用ローラ。
【請求項2】
前記内ローラの軸芯が、前記駆動軸の軸芯と交差していることを特徴とする請求項1記載の搬送装置用ローラ。
【請求項3】
前記中心ローラから内ローラへの動力の伝達が、磁力の吸引・反発作用を利用した非接触型の動力伝達方式であることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置用ローラ。
【請求項4】
前記請求項1乃至3の何れか1項記載のローラを、架台の対向する側板間に所定の間隔をおいて回転可能に架設し、前記各ローラの駆動軸をモータ等の駆動機構で駆動自在としたことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至3の何れか1項記載のローラを、ベルトコンベヤの搬送用ベルトを掛け回すローラのうち、少なくとも一本に用い、そのローラの駆動軸を駆動機構で駆動回転し、前記搬送用ベルトを回転することを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
前記各ローラの駆動軸を駆動回転する駆動機構は、前記駆動軸の軸方向の一側部を前記架台の側板を貫通して外方に突出させ、その突出部に従動マグネットリングを一体回転可能に固着し、その従動マグネットリングと非接触で交差し対応する駆動マグネットリングを備えた動力伝達軸を前記側板の外側に回転可能に架設し、該動力伝達軸をモータ等で回転するようにしたことを特徴とする請求項4又は5記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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